JP2000128061A - 船 体 - Google Patents

船 体

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JP2000128061A
JP2000128061A JP10325908A JP32590898A JP2000128061A JP 2000128061 A JP2000128061 A JP 2000128061A JP 10325908 A JP10325908 A JP 10325908A JP 32590898 A JP32590898 A JP 32590898A JP 2000128061 A JP2000128061 A JP 2000128061A
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Japan
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hull
water
propeller
vacuum chamber
rear wall
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JP10325908A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Fujita
仁司 藤田
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FUJITA YASOHITO
Original Assignee
FUJITA YASOHITO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、船体に係り、プロペラの出力を推
力として従来よりも有効に利用できるようにした船体を
提供する事を目的とする。 【構成】 本発明は、前記目的を達成するために、船体
本体1の後側を仮想負圧線aより深い所定の深さから平
水面bよりも高い所定の高さで覆う後壁2と、前記船体
本体1の船尾部のプロペラ3の左右両側を覆い、且つそ
の後端を後壁2の左端又は右端に連続させた左右1対の
側壁4と、これら船体本体1、後壁2、及び左右両側壁
4の間に形成される空間を平水面b上で上から気密状に
閉じる上壁5とを備えるバキュームチャンバーCが設け
られるとともに、このバキュームチャンバーCの空気を
吸引し、該バキュームチャンバーC内の水面を平水面b
上に高める真空吸引装置18とが設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船体に係り、特
に、渦抵抗を小さくできるとともに、プロペラの一部が
水面上に露出することを防止して、プロペラ全体にわた
って推力を発生させ、推力ロスを減少させることができ
る上、プロペラの回転に伴って生じる上方に流れる水流
が、船体周囲の水面から仮想負圧線までの水の水頭圧に
よって押さえられ、後方に向け変えられるので、このプ
ロペラの上方に流れる水流を形成する出力を船体を前進
させる推力を生じる出力として有効に利用できるように
なり、これにより、プロペラの出力を推力として従来よ
りも有効に利用できるようにした船体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】大部分の船舶はプロペラを水中で回転さ
せることにより推進されている。プロペラの翼の各点
は、前進する速度と回転による速度との合速度で水中を
移動するので、この合速度に対して所定の迎え角を取る
ことにより推力が得られる。即ち、翼の各点には合速度
に垂直の方向に揚力が生じ、合計速度の方向に抗力が生
じ、この揚力と推力との合力の回転軸に平行な成分が推
力となり、回転軸に直角な成分はプロペラの各点を回転
させるのに必要なトルクである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、推力が加えられたプロペラ後方の水とその周囲の水
との圧力差や、プロペラの回転に伴って生じる遠心力に
よって水が周囲に押し出されることにより、推力ロスが
生じる。
【0004】又、速力が速くなると、船尾後方の水面が
楔形に低くなり、渦抵抗が大きくなる上、この船尾部に
おける水面の低下によってプロペラの翼の一部分が水面
上に露出し、その水面上に露出した部分が推力を発生し
ないばかりか、水面をかき回して渦を発生させ、渦抵抗
を更に増大させることがある。
【0005】特に、満船時に十分な推力を得るためにプ
ロペラ径を大きくしている船が空船である時にはこの問
題が生じ易い。
【0006】本発明は、このような従来技術の課題を解
消し、プロペラの出力を推力として従来よりも有効に利
用できるようにした船体を提供することを目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、この目的を達
成するため、船体本体の後側を少なくとも仮想負圧線か
ら平水面よりも高い所定の高さまで覆う後壁と、船体本
体の船尾部のプロペラの左右両側を覆い、その後端を前
記後壁の左端又は右端に連続させた左右1対の側壁と、
これら船体本体、後壁、及び左右両側壁の間に形成され
る空間を上から気密状に閉じる上壁とを備えるバキュー
ムチャンバーを設けるとともに、このバキュームチャン
バーの空気を吸引し、該バキュームチャンバー内の水面
を平水面上に高める真空吸引装置とを設ける、という技
術的手段を採用する。
【0008】これによれば、バキュームチャンバー内の
空気を真空吸引装置で吸引することによりバキュームチ
ャンバー内に平水面以上の所定の高さまで水を充填する
ことができ、空船時にプロペラの前後で水面が船体周囲
の水面よりも低く下がることが防止され、プロペラの一
部が水面上に露出することを防止でき、プロペラ全体に
わたって推力を発生させることができる。
【0009】又、プロペラの回転に伴ってプロペラの軸
心から左右両方に向かって流れる水流は側壁に堰止めら
れ、船体本体に沿って後方に流れる水流の影響で後方に
向け変えられ船体を前進させる推力として作用する。更
に、プロペラの軸心から上方に向かって流れる水流は、
船体周囲の水面と等しい高さから仮想負圧線までの前記
バキュームチャンバー内の水の圧力によって押さえら
れ、後方に向け変えられて船体を前進させる推力として
作用する。
【0010】本発明の船体について更に詳細に説明する
と、以下の通りである。まず、本発明における船体本体
は、従来の船体の船首部から少なくとも船尾隔壁により
区画される水密区画までの船体の部分を含んでおればよ
いのであり、船尾隔壁の後方に非水密区画である船尾部
が延設されている場合には船首部からこの船尾隔壁の後
方の船尾部も含めた部分をいう。
【0011】この船体本体の後部の形状は特に限定され
ず、例えば切妻状に形成してもよいが、プロペラから上
方に流れる水流を押さえて後方に向け変え、推力とし作
用させるために、船体本体の後下部を前上方に凹入さ
せ、これにより形成された船体本体の後下方に位置する
凹入空間にプロペラを配置することが望ましい。
【0012】本発明の船体において、重要な点は、後壁
と、側壁と、上壁とを備えるバキュームチャンバーが設
けられ、このバキュームチャンバーに接続された真空吸
引装置が設けられることであるが、このバキュームチャ
ンバーの後壁は、船体本体の後側を少なくとも仮想負圧
線よりも深い所定の深さから平水面よりも高い所定の高
さまで覆うことが必要である。
【0013】ここで、仮想負圧線とは、一般的には、前
記バキュームチャンバーと真空吸引装置とを設けない場
合に船央面及びその延長面において船体本体の後方に形
成される航行時の水面に対応する線の事であり、船底か
ら船体後方の所定の距離までにわたって形成され、前記
所定の距離よりも後方の平水面に連続する上に凸な曲線
である。もちろん、この仮想負圧線は船底の位置が浅く
なる空船時には浅く短くなり、船底の位置が深くなる満
船時には深く長くなる。そこで、本発明においては、空
船時にもバキュームチャンバーの下面の大気中への開放
による真空破壊を確実に防止するために、単に仮想負圧
線という場合には空船時の仮想負圧線を意味するものと
している。
【0014】又、前記平水面とは、一般的には停船時の
静止水面を意味し、喫水が深くなる満船時には高くな
り、喫水が浅くなる空船時には低くなる。しかし、本発
明においては、単に平水面という場合には、バキューム
チャンバーの下側の水でプロペラから上方に流れる水流
をできるだけ強く押さえつけるために、仮想負圧線から
最も高く離れた満船時の平水面を意味するものとする。
【0015】ところで、バキュームチャンバーの後壁の
下端はバキュームチャンバー内の空気を真空吸引装置で
吸引した時に、バキュームチャンバー内に水を吸い上げ
られるように、少なくとも水面に接している必要があ
る。
【0016】又、後述するバキュームチャンバー内の空
気を真空吸引装置で吸引することによりバキュームチャ
ンバー内に少なくとも平水面の高さまで水を充填させる
必要があるので、その上縁の高さは平水面以上であるこ
とが必要である。
【0017】従って、本発明の原理を実現するために
は、理論的にはバキュームチャンバーの後壁は船体本体
の後側を少なくとも空船時の仮想負圧線と満船時の平水
面とにわたって覆うように形成すればよいと言えのであ
るが、実際には水面の波や船体の動揺という問題がある
ので、この上下に適当な余裕を持たせる必要がある。
【0018】つまり、本発明の船体においては、バキュ
ームチャンバーの後壁は、水面の波動や船体の揺動によ
ってその下縁が仮想負圧線から昇降したり、その左右で
傾斜したりする範囲よりも大きい範囲で、という意味で
少なくとも仮想負圧線よりも深い所定の深さから船体本
体の後側を覆うことが必要とされているのであり、又、
水面の波動や船体の揺動によってその上縁が平水面から
昇降したり、傾斜したりする範囲よりも大きい範囲で、
という意味で平水面よりも高い所定の高さまで船体本体
の後側を覆うことが必要とされているのである。
【0019】このように後壁を仮想負圧線よりも深い位
置に位置させると、この後壁がプロペラにより造られた
後向きの水流を妨げ、推力のロスを大きくする恐れがあ
るので、後壁の平水面よりも深い位置に開口を設け、プ
ロペラにより造られた後向きの水流が効率良く後壁の後
方に貫流するようにする一方、空中では自重によりこの
開口を閉じてバキュームチャンバーの真空破壊を防止
し、水中ではその自重と浮力とがバランスして、プロペ
ラにより造られた後向きの水流に押されて簡単に前記開
口を開くゲート弁、或いは、その浮力が自重に打ち勝っ
て自動的に前記開口を開くゲート弁を設けることが好ま
しい。
【0020】後壁の平面形状ないし横断形状は、特に限
定されず、例えば半円弧形、半楕円弧形などの曲板形
状、直線形状の平板形状、平板形状の両端にその横断形
状が四半円弧形、四半楕円弧形などの曲板形状を連続さ
せた直曲複合面形状、或いは、その横断形状が部分楕円
弧形の両端に曲率が異なる部分楕円弧形又は部分円弧形
を連続させた複合曲面形状などに形成することができ
る。これらの形状の中では、船価を安価にするという観
点から平板形状に形成することが望ましい。
【0021】前記バキュームチャンバーの側壁は、船体
本体の船尾部のプロペラの左右両側を覆い、その後端が
前記後壁の左端又は右端に連続していればよい。この側
壁の前端は、空船時にもバキュームチャンバーの下面の
大気中への開放による真空破壊を確実に防止するため
に、少なくとも仮想負圧線よりも深い所定の深さから上
壁の高さまで船体本体に連続させることが必要である
が、この所定の深さよりも下側の部分は船体本体から離
隔させてもよい。しかし、バキュームチャンバーの真空
破壊の防止に加えて、この側壁による造波抵抗の発生を
防止することを考慮すれば、仮想負圧線よりも深い所定
の深さの下側でも側壁の前端を船体本体に連続させるこ
とが好ましい。
【0022】又、この側壁は、回頭時や転舵時に抵抗を
生じ、回頭特性や操舵性能を低下させるおそれがあるの
で、適当な範囲、例えば仮想負圧線よりも深い所定の深
さより更に深い位置に通水口を設けて、転舵時に側壁を
水流が貫流できるようにすることが好ましい。
【0023】この通水口は常時開放させてもよいが、両
側壁間の水がこの通水口を通って両外側に逸流すること
を防止するために、回頭時や転舵時にこの通水口を開
き、回頭時や転舵時以外にこの通水口を閉じる弁を設け
ることが好ましい。
【0024】この弁を操作する弁操作手段は、操舵機構
の動作を検出する検出手段と、この検出結果に基づいて
操舵機構の動作に対応して該弁を強制開閉する自動操作
手段とを備えるものを挙げることができるが、構成を簡
単にするために、例えばスプリングを用いて、前進時に
は側壁と面一状に位置する中立位置に弾性的に保持し、
その両面に作用する水圧の差が一定値を越えると側壁の
比較的圧力が低い側、即ち、外側又は内側に回転した
り、平行移動したりして自動的に通水口を開くように構
成することが好ましい。
【0025】前記各側壁にそれぞれ複数口の通水口を設
ける場合には、各側壁の一部分の通水口にはその側壁が
舵取り方向側の場合にのみ開く弁を設け、残りの部分の
通水口にその側壁が舵取り反対方向側の場合にのみ開く
弁を設けるようにしてもよい。
【0026】側壁による操舵性能の低下を解消する他の
手段としては、各側壁の一部分を分割してこの分割され
た一部分で舵を構成したり、各側壁の後部に舵を支持さ
せたりすることが挙げられる。これらの場合、空船時に
もバキュームチャンバーの下面の大気中への開放による
真空破壊を確実に防止するため、仮想負圧線下に舵を設
けることが好ましい。
【0027】前記バキュームチャンバーの上壁は、船体
本体、後壁、及び左右両側壁の間に形成される空間を平
水面上で上から気密状に閉じるように構成される。
【0028】従って、前記船体本体、左右両側壁、後壁
及び上壁により区画される空間を取り囲むバキュームチ
ャンバーは、船体本体の後側の少なくとも空船時の仮想
負圧線よりも深い所定の深さと満船時の平水面よりも高
い所定の高さとにわたって形成される。
【0029】ここで、船体構造を簡単にすることを考慮
すれば、このバキュームチャンバーの上壁は船体本体の
後部甲板と面一状に設置することが好ましい。
【0030】本発明においては、前進時に、プロペラの
回転により左右両側壁間の水は後方に排出され、この排
出水量に対応する水が左右両側壁間に補充される。この
水の補充は左右両側壁間の下方から補充されることにな
るが、プロペラよりも前方で、前記左右両側壁又はこれ
に連続する左右両舷殻の外面に左右両側壁間に連通する
吸水口を開口させることにより、舷側からも補充できる
ようにしてもよい。
【0031】又、本発明においては、プロペラから下方
に流れる水流を受け止めて後方に向け変える下壁を設け
てもよい。この下壁は、例えば船体本体に翼状に支持さ
せてもよいが、左右両側壁の下縁に連続させて設ければ
よい。
【0032】なお、本発明の船体は、戦艦、特務艦、特
務艇などの軍艦、客船、貨客船、貨物船などの商船、漁
船、作業船、調査船、取締船、運搬船、その他の特殊船
などに広く適用できる。
【0033】
【作用】以上に説明したように、本発明の船体は、船体
本体の後側を少なくとも仮想負圧線より深い所定の深さ
から平水面よりも高い所定の高さまで覆う後壁と、船体
本体の船尾部のプロペラの左右両側を覆い、その後端を
前記後壁の左端又は右端に連続させた左右1対の側壁
と、これら船体本体、後壁、及び左右両側壁の間に形成
される空間を平水面上で上から気密状に閉じる上壁とを
備えるバキュームチャンバーを設けるとともに、このバ
キュームチャンバーの空気を吸引し、該バキュームチャ
ンバー内の水面を平水面上に高める真空吸引装置とを設
ける。
【0034】従って、本発明によれば、バキュームチャ
ンバー内の空気を真空吸引装置で吸引してバキュームチ
ャンバー内に平水面よりも高い所定の高さまで水を充填
し、プロペラの前後で水面が平水面よりも低く下がるこ
とを防止できる作用が得られる。
【0035】又、この作用により、船尾の後方で水面が
低下することを防止して、渦抵抗を小さくできる作用が
得られるとともに、プロペラの一部が水面上に露出する
ことを防止でき、プロペラ全体にわたって推力を発生さ
せることができる作用を得ることができる。
【0036】更に、本発明によれば、プロペラの回転に
伴ってプロペラの軸心から左右両方に向かって流れる水
流が側壁に堰止められ、船体本体に沿って後方に流れる
水流の影響で後方に向け変えられるので、プロペラの軸
心から左右両方に向かって流れる水流を船体を前進させ
る推力に変換できる作用が得られる。
【0037】加えて、本発明によれば、プロペラの軸心
から上方に向かって流れる水流が、船体周囲の水面以下
仮想負圧線までのバキュームチャンバー内の水の水頭圧
によって押さえられ、後方に向け変えられるので、この
プロペラの軸心から上方に向かって流れる水流を船体を
前進させる推力に変換できる作用が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例に係る船体を図
面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0039】図1は本発明の一実施例に係る船体の縦断
側面図であり、図2はその斜視図であり、これら図1及
び図2に示すように、この船体には、船体本体1の後側
に、この船体本体1の後側を仮想負圧線aよりも低い所
定の深さから上側で覆う後壁2と、船体本体1の船尾部
のプロペラ3の左右両側を覆い、その後端が前記後壁2
の左端又は右端に連続する左右1対の側壁4と、これら
船体本体1、後壁2、及び左右両側壁4の間に形成され
る空間を平水面b上で上から気密状に閉じる上壁5とを
備えるバキュームチャンバーCが設けられる。
【0040】ここで、仮想負圧線aとは、前記バキュー
ムチャンバーCを設けない場合に船央線及びその延長線
において、空船航行時に船体本体1の後方に形成される
水面に対応する線の事であり、プロペラ3の一部分がこ
の仮想負圧線aよりも上側に現れるようにしている。
【0041】この実施例の船体本体1は、バキュームチ
ャンバーCを備えていない従来の船体の船首から船尾に
わたる全体、即ち、船首部から船尾隔壁までの部分と、
更に、この船尾隔壁よりも後方に延長された船尾部とを
含めたものであり、この船体本体1の後下部を前上方に
凹入させるとともに、これにより形成された船体本体1
の後下方に位置する凹入空間にプロペラ3を配置して、
プロペラ3から上方に流れる水流を押さえて後方に向け
変え、推力とし作用させるようにしている。
【0042】前記バキュームチャンバーCの後壁2は、
この船体本体1の後側を仮想負圧線aよりも深い所定の
深さ以上で覆うように形成されていればよい。つまり、
船が理想的に平坦な水面上を航行するのであれば、その
下縁は仮想負圧線aの深さに位置させてあればよいので
あるが、この実施例では、船体のピッチングによる船尾
の上昇、船体のローリングによる後壁下縁の傾斜などが
生じた時にその下縁が水面上に浮上し、バキュームチャ
ンバーCが大気中に連通されることを防止するために、
その下縁を仮想負圧線aよりも深い所定の深さに位置さ
せている。
【0043】又、この後壁2には、プロペラ3により造
られた後向きの水流を妨げないように、平水面よりも深
い位置に開口6を設けるとともに、空中では自重により
この開口6を閉じてバキュームチャンバーCがこの開口
6を通して大気中に連通することを防止し、水中ではそ
の自重とそれに作用する浮力とがバランスし、プロペラ
3により造られた後向きの水流に押されて前記開口6を
開くゲート弁7を設けている。
【0044】図3に示すように、このゲート弁7は水中
でその自重と浮力とがバランスするようにした中空の弁
体8と、これを水平のピン9を介して後壁2の外側に回
転可能に連結するヒンジ10とを備え、空気中ではその
自重によって開口6を閉じ、水中では、その自重とそれ
に作用する浮力とがバランスし、プロペラ3により造ら
れた後向きの水流に押されて開口6を開くように構成さ
れている。
【0045】なお、前記開口6の周囲には、閉弁時の気
密性を確保するために、後壁2と閉じられた弁体8との
間を気密状に風刺する気密シール11が設けられてい
る。前記後壁2の平面形状ないし横断形状は、特に限定
されないが、この実施例では、船体構造を簡単にするた
めに、直線形状の平板形状に形成している。
【0046】前記側壁4は、船体本体1の甲板から船底
までの全高にわたって、左舷部又は右舷部に連続して設
けられ、各側壁4の後端は前記後壁2の左端又は右端に
直角に連続させてある。
【0047】これにより、両側壁4によりプロペラ3の
左右両側を覆い、プロペラ3の左右に流れる水流を受
け、船体本体1に沿って後方に流れる水流と合流させて
後方に向け変えるようにしている。
【0048】又、各側壁4の前端を全高にわたって船体
本体1の左舷部又は右舷部に連続させ、その後端を後壁
2に連続させることにより、空船時にもバキュームチャ
ンバーCが大気中に連通することを防止するとともに、
この側壁4により造波抵抗が発生することを防止してい
る。
【0049】前記各側壁4の仮想負圧線aよりも下側の
部分には、必要に応じて、各側壁4の内側(船央側)と
外側(舷外側)とを連通させる通水口12が形成され、
回頭時や転舵時に水が各側壁4を貫流できるようにし、
これにより、回頭時や転舵時に側壁2により生じる抵抗
を減少させるようにしている。
【0050】ところで、プロペラ3により造られた水流
には回転成分が含まれ、プロペラ3の後方でもこの回転
成分によって左右方向に流れる水流が形成され、これに
より出力ロスが生じる。
【0051】そこで、この通水口12は常時開放させて
もよいが、プロペラ3の後方において左右方向に流れる
水流を受け止め、この水流の方向を後方に向け変えて出
力ロスを小さくするために、この実施例では、回頭時や
転舵時にはこの通水口12を開き、転舵時以外にはこの
通水口12を閉じる弁13を設けている。
【0052】この弁13は、図4の断面図に示すよう
に、通水口12内にその前側に偏らせて配置した縦軸
(横軸でもよい。)14と、この縦軸14に回転自在に
支持させた弁体15とを備え、この縦軸14に外装した
例えばねじりコイルバネからなる中立付勢手段16によ
り、前進時にはこの弁体15が側壁4と面一状になる中
立位置に位置するように付勢し、回頭時や転舵時に弁体
15の両面に作用する水圧の差が一定値を越えると、こ
の差圧により弁体15を側壁4の比較的圧力が低い側に
回転させて自動的に通水口12を開くように構成してい
る。
【0053】なお、この実施例では、舵17は船体本体
1の後下方に位置する凹入空間に、プロペラ3の後方に
位置させているが、例えば図5に示すように、各側壁4
の後下部を分割し、この分割された部分を舵17として
各側壁4の後部に支持させることにより、両側壁4によ
る操舵性能の低下を解消するようにしもよい。
【0054】この場合、空船時にもバキュームチャンバ
ーCが大気中に連通することを防止するため、後壁2の
下縁よりも下方の各側壁4の後下部分で舵17を構成す
るようにしている。
【0055】前記バキュームチャンバーCの上壁5は、
船体本体1、後壁2、及び左右両側壁4の間に形成され
る空間を平水面b上で上から気密状に閉じるように構成
してあり、これら船体本体1、後壁2、左右両側壁4及
び上壁5で区画されるバキュームチャンバーC内の空間
が真空吸引装置18に接続される。なお、ここで、平水
面bとは、満船停船時の静止水面のことである。
【0056】又、前記上壁5の高さは、船体のピッチン
グやローリングの影響を考慮に入れるとともに、船体構
造を簡単にするために、船体本体1の後部甲板と面一状
に設置している。
【0057】ところで、この実施例において、プロペラ
3を回転させると、左右両側壁4間の水は後方に排出さ
れ、この排出水量に対応する水が左右両側壁4間に補充
される。この水の補充は左右両側壁4間の下方から補充
されることになるが、この実施例では、プロペラ3より
も前方で、前記左右両側壁4の外面の空船時の平水面よ
りも低い位置に左右両側壁4間の空間に連通する吸水口
19を開口させることにより、舷側からも補充できるよ
うにしている。
【0058】さて、以上に具体的に説明したように、こ
の実施例に係る船体は、船体本体1の後側を仮想負圧線
aより低い所定の水深から上側で覆う後壁2と、船体本
体1のプロペラ3の左右両側を覆い、その後端を前記後
壁2の左端又は右端に連続させた左右1対の側壁4と、
これら船体本体1、後壁2、及び左右両側壁4の間に形
成される空間を平水面b上で上から気密状に閉じる上壁
5とを備えるバキュームチャンバーCを設けるととも
に、このバキュームチャンバーCの空気を吸引し、該バ
キュームチャンバーC内の水面を平水面b上に高める真
空吸引装置18とを設ける。
【0059】従って、この船体によれば、バキュームチ
ャンバーC内の空気を真空吸引装置18で吸引してバキ
ュームチャンバーC内の所定の高さまで水を充填し、プ
ロペラ3の前後で水面が平水面bよりも低く下がること
を防止できる。
【0060】又、これにより、船尾の後方で水面が低下
することを防止して、渦抵抗を小さくできるとともに、
プロペラ3の一部が水面上に露出することを防止して、
プロペラ3全体にわたって推力を発生させ、推力ロスを
減少させることができる。
【0061】更に、この実施例によれば、プロペラ3の
回転に伴って生じるプロペラ3の左右両方に流れる水流
が側壁4に堰止められ、船体本体1に沿って後方に流れ
る水流の影響で後方に向け変えられるので、プロペラ3
の軸心から左右両方に向かって流れる水流を形成する出
力を船体を前進させる推力を生じる出力として有効に利
用できるようになり、推力ロスを減少させることができ
る。
【0062】又更に、この実施例によれば、プロペラ3
の回転に伴って生じるプロペラ3の軸心から上方に向か
って流れる水流が、船体の周囲の水面から仮想負圧線a
までの前記バキュームンチャンバーC内の水の水頭圧に
よって押さえられ、後方に向け変えられるので、このプ
ロペラ3の回転に伴って上方に向かって流れる水流を形
成する出力を船体を前進させる推力を生じる出力として
有効に利用できるようになる。
【0063】加えて、この実施例では、船体本体1の後
下部を前上方に凹入させ、これにより形成された船体本
体1の後下方に位置する凹入空間にプロペラ3を配置し
ているので、プロペラ3から直接に上方に向かって流れ
る流れをこの船体本体1の後部で上から押さえることが
でき、プロペラ3から上方に向かって流れる水流を形成
する出力を船体を前進させる推力を生じる出力として一
層有効に利用できるようになる。
【0064】更に加えて、この実施例では、前記後壁2
の空船時の平水面よりも低い部分に通水口6を開口する
とともに、空中では自重によりこの通水口6を閉じ、水
中ではその自重とそれが受ける浮力とがバランスし、プ
ロペラ3が造る水流に押されて通水口6を開くゲート弁
7を設けているので、水中に没して後壁2がプロペラ3
の造る水流を妨げることが緩和される上、ピッチングよ
る船尾の上昇やローリングによる傾斜が生じても通水口
6を通してバキュームチャンバーCの内部空間が大気中
に連通されることを防止できる。
【0065】その上、この実施例では、プロペラ3より
も前方で、前記左右両側壁4の外面にバキュームチャン
バーCに連通する吸水口19を開口させたので、バキュ
ームチャンバーC特にプロペラ3回りに十分に水を補充
でき、上述の諸効果を寄り確実に得ることができる。
【0066】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の船体に
は、船体本体の後側を仮想負圧線よりも上側で覆う後壁
と、船体本体の船尾部のプロペラの左右両側を覆い、そ
の後端を前記後壁の左端又は右端に連続させた左右1対
の側壁と、これら船体本体、後壁、及び左右両側壁の間
に形成される空間を平水面上で上から気密状に閉じる上
壁とを備えるバキュームチャンバーが設けられるととも
に、このバキュームチャンバーの空気を吸引し、該バキ
ュームチャンバー内の水面を平水面上に高める真空吸引
装置とが設けられている。
【0067】従って、本発明の船体によれば、バキュー
ムチャンバー内の空気を真空吸引装置で吸引してバキュ
ームチャンバー内の所定の高さまで水を充填し、プロペ
ラの前後で水面が平水面よりも低く下がることを防止で
き、これにより、船尾の後方で水面が低下することを防
止して、渦抵抗を小さくできるとともに、プロペラの一
部が水面上に露出することを防止して、プロペラ全体に
わたって推力を発生させ、推力ロスを減少させることが
できるなどの効果を得ることができる。
【0068】又、本発明の船体によれば、プロペラの回
転に伴って生じるプロペラの軸心から左右両方に向かっ
て流れる水流が側壁に堰止められ、船体本体に沿って後
方に流れる水流の影響で後方に向け変えられるので、こ
のプロペラの左右両方に流れる水流を形成する出力を船
体を前進させる推力を生じる出力として有効に利用でき
るようになり、これにより、推力ロスを減少させること
ができる効果を得ることができる。
【0069】更に、本発明の船体によれば、プロペラの
回転に伴って生じる上方に流れる水流が、船体周囲の水
面から仮想負圧線までの水の水頭圧によって押さえら
れ、後方に向け変えられるので、このプロペラの上方に
流れる水流を形成する出力を船体を前進させる推力を生
じる出力として有効に利用できるようになり、これによ
り、推力ロスを減少させることができる効果も得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の縦断側面図である。
【図2】図2は、本発明の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の要部の側面図である。
【図4】図4は、本発明の別の要部の側面図である。
【図5】図5は、本発明の斜視図である。
【符号の説明】
C バキュームチャンバー a 仮想負圧線 b 平水面 1 船体本体 2 後壁 3 プロペラ 4 側壁 5 上壁 6 通水口 7 ゲート弁 18 真空吸引装置 19 吸水口

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体本体の後側を少なくとも仮想負圧線
    よりも深い所定の深さから平水面よりも高い所定の高さ
    まで覆う後壁と、船体本体の船尾部のプロペラの左右両
    側を覆い、その後端を前記後壁の左端又は右端に連続さ
    せた左右1対の側壁と、これら船体本体、後壁、及び左
    右両側壁の間に形成される空間を平水面上で上から気密
    状に閉じる上壁とを備えるバキュームチャンバーを設け
    るとともに、このバキュームチャンバーの空気を吸引
    し、該バキュームチャンバー内の水面を平水面上に高め
    る真空吸引装置とが設けられていることを特徴とする船
    体。
  2. 【請求項2】 船体本体の後下部を前上方に凹入させ、
    これにより形成された船体本体の後下方に位置する凹入
    空間にプロペラが配置される請求項1に記載の船体。
  3. 【請求項3】 前記後壁の平水面よりも低い部分に通水
    口を開口するとともに、空中では自重によりこの通水口
    を閉じ、水中ではその自重とそれが受ける浮力とがバラ
    ンスし、プロペラが造る水流に押されて該通水口を開く
    ゲート弁を設ける請求項1又は2に記載の船体。
  4. 【請求項4】 プロペラよりも前方で、前記左右両側壁
    又はこれに連続する左右両舷殻の外面にバキュームチャ
    ンバーに連通する吸水口を開口させた請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の船体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012126163A (ja) * 2010-12-13 2012-07-05 Fujita Yasohito 船体

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