JP2000126251A - クリ―ンベッド - Google Patents

クリ―ンベッド

Info

Publication number
JP2000126251A
JP2000126251A JP11232370A JP23237099A JP2000126251A JP 2000126251 A JP2000126251 A JP 2000126251A JP 11232370 A JP11232370 A JP 11232370A JP 23237099 A JP23237099 A JP 23237099A JP 2000126251 A JP2000126251 A JP 2000126251A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
bed
mist
clean
antibacterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11232370A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Nishimoto
徹郎 西本
Kiyohiro Nishimoto
清宏 西本
Tatsuo Suzuki
達夫 鈴木
Yoshihiro Otaki
義博 大滝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JUON MEDICAL SYSTEM KK
Original Assignee
JUON MEDICAL SYSTEM KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JUON MEDICAL SYSTEM KK filed Critical JUON MEDICAL SYSTEM KK
Priority to JP11232370A priority Critical patent/JP2000126251A/ja
Publication of JP2000126251A publication Critical patent/JP2000126251A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Accommodation For Nursing Or Treatment Tables (AREA)
  • Invalid Beds And Related Equipment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベッド収容室内の空気に雑菌類が混入増殖す
ることを効果的に阻止でき、室内環境を長時間にわたっ
て常に清浄に保つことができるクリーンベッドを提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 密閉可能なベッド収容室を構成する室構
築物と、前記ベッド収容室内に収容されるベッドと、前
記ベッド収容室に付設された空気清浄器とからなるクリ
ーンベッドであって、該空気清浄器は、吸入口から吸引
ファンで吸入した空気に加湿し、第2のミスト発生室と
の間に設けられた除菌用フィルタを通して送り出すため
の第1のミスト発生室と、第1のミスト発生室から送ら
れてきた加湿空気に抗菌性を付与してベッド収容室内に
排出ファンにより排出する第2のミスト発生室とを備え
るものであるクリーンベッドが提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリーンベッドに
関し、特に、新規な空気清浄器によりベッド収容室内の
空気中の細菌類や塵埃などを除去し、かつ抗菌液により
細菌類の増殖を抑制するようにしたクリーンベッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】現在の医療においては、様々な疾病、例
えば、急性白血病、再生不良性貧血、顆粒球減少症等の
各種血液疾患に対する化学療法や骨髄移植、悪性腫瘍に
対する化学療法や放射線療法、重度の熱傷に対する皮膚
移植後の開放治療、臓器移植後の免疫抑制療法、喘息や
アレルギー等の治療のために、無菌的な環境が必要とさ
れる場面が多くなっている。疾病によっては患者の免疫
力が低下したり、または治療のために免疫抑制剤を投与
しなければならない場合もあり、治療効果を向上させる
ために無菌的環境の必要性は高い。
【0003】こうした無菌的環境をつくるために、従
来、医療施設ではクリーンルームやクリーンベッドと呼
ばれる装置が使用されてきた。クリーンルームやクリー
ンベッドはいずれも周囲の環境から患者の居住空間を隔
てる構造となっているが、クリーンルームは周囲の空気
と患者の居住空間の空気を完全に遮断する構造となって
おり、一方クリーンベッドの方が小型かつ可動式で簡易
な構造となっている。
【0004】従来使用されてきたクリーンベッドを、図
4を例に挙げて説明する。このようなクリーンベッド
は、図4に示すとおり、ベッドBとベッドを収容するた
めのベッド収容室10とを備えている。ベッド収容室1
0は、無菌ユニット2とベッドの周囲を取り巻くカーテ
ン6を吊るすためのレールが設けられたフレーム4と、
カーテン6および天板8(以下、これらを合わせて室構
築物という)とを備える。室構築物のうち、無菌ユニッ
ト2には、側面にプレフィルタを備えた空気吸込口3と
風速・風量等を調節するための操作パネル2aと、移動
のための把手2bとが設けられている。
【0005】吸込口から吸込まれた空気は、パンチング
板より構成される吹出面9と平衡に設置されたフィルタ
により清浄化され、ベッドBのヘッドレストの位置にあ
る吹出面9から層流として吹出される。したがって、ク
リーンベッドの外側の空気は、吸込口から吸込まれるも
の以外は自由に流入しないようになっている。空気の吸
入口には、高性能のプレフィルタ(濾過装置)などを設
けることにより、クリーンベッドの外側の空気中に浮遊
するゴミや埃などの塵埃、各種のバクテリアをはじめと
する細菌、カビなどの真菌、ダニ類、各種ウイルス等
(以下、空中浮遊雑菌類という)の除去を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の装置では、集塵率の高いフィルタ、例え
ば、Hepaフィルタなどを使用していることから、空気中
の塵埃はかなりの割合で除去することができるものの、
フィルタの表面に溜まった塵埃によって目詰まりを起こ
して吹出口の風力が低下し、ベッド収容室内における空
気の流通が悪くなるという問題がある。また、Hepaフィ
ルタを使用した場合であっても、一定の大きさ以下の空
中浮遊雑菌類は除去することができず、これらは吹出口
から吹出される空気に乗ってベッド収容室内に移動し、
風力の低下と相俟ってベッド上に落下するという問題も
あった。
【0007】目詰まりの問題は定期的なフィルタの洗浄
や交換によって解消することができるが、一定の大きさ
以下の空中浮遊雑菌類は除去できないという問題は解消
されない。また、吹出口がベッドのヘッドレストの部分
に固定され、ファンによる騒音などの問題もあった。し
たがって、フィルタ方式による場合には、空中に浮遊す
る細菌、真菌またはウイルス等の除去効率を高め、空気
の清浄度を維持するためには、別途アルコール消毒など
を行う必要がある。
【0008】しかし、最も殺菌消毒効果の高い70%エ
タノールを用いると、第1に、刺激が強いために眼やの
どの痛みによってベッド収容室内にいる患者が耐えられ
ないという問題があり、第2に消防面からの問題もあ
る。さらにまた、従来のクリーンベッドで採用されてき
た濾過装置を用いるフィルタ方式では、フィルタ上に集
められた塵埃の上で細菌や真菌が増殖し、これらの菌
体、菌糸、胞子などがフィルタをすり抜けてベッド収容
室内に吹き出されるという問題もある。こうした菌は、
その種類や、ベッド収容室内の患者の容体によっては、
二次感染の原因ともなるため、菌の増殖等が起こらない
ようにすることが必要とされる。
【0009】このような菌の繁殖などを抑えるために
は、上述の空中浮遊雑菌類の除去の場合と同様に、別の
消毒手段や殺菌手段を講じる必要がある。しかし、フィ
ルタ上に溜まった塵埃上におけるカビなどの増殖は、フ
ィルタをかなり頻繁に洗浄、交換しても完全には防止で
きず、患者のいる空間で、治療中の患者に悪影響を与え
るような消毒、殺菌手段を採ることはできないため、細
菌等の除去効率が低下するという問題もある。また、上
述した高電圧磁場などを使用した場合には、室構築物自
体はフィルタ方式を採用する場合より安価に作成できる
が、磁場を発生させる設備などに多額の投資が必要であ
り、また管理維持費も大きいという問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべ
く、本発明の発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ある種
の抗菌性の液体を使用することにより、クリーンベッド
室内の空気中の塵埃のみならず、空中浮遊雑菌類を積極
的に回収し、回収後に清浄化処理を行うことができるこ
とを見出し、本発明を完成したものである。本発明は、
ベッド収容室内に存在する空中浮遊雑菌類と塵埃とをと
もに除去することができ、長期間の使用によってもベッ
ド収容室内に排出する空気の風力の減少や清浄化効率の
低下を起こすことなく、ベッド収容室内の空気を清浄に
保つことができる、コンパクトで、安全性が高く、かつ
安価なクリーンベッドを提供することを目的とする。
【0011】すなわち、本発明は、密閉可能なベッド収
容室を構成する室構築物と、前記ベッド収容室内に収容
されるベッドと、前記ベッド収容室に付設された空気清
浄器とからなるクリーンベッドであって、該空気清浄器
は、吸入口から吸引ファンで吸入した空気に加湿して送
り出すための第1のミスト発生室と、第1のミスト発生
室で加湿された空気を除菌するための除菌用フィルタ
と、除菌された加湿空気に抗菌性を付与してベッド収容
室内に排出ファンにより排出する第2のミスト発生室と
を備えるクリーンベッドである。そして、少なくとも上
記第2のミスト発生室には抗菌液溜まりが設けられてい
ることが好ましい。
【0012】また、上記抗菌液溜りには、台湾ヒノキ、
豪州産西洋ヒノキ、ラベンダーおよびユーカリからなる
群から選ばれる植物から得られる精油と水とからなる抗
菌液が収容されていることが好ましい。空気清浄器の吹
出口は、室構築物の天井部に設けられており、上記吹出
口に複数枚の羽がさらに設けられていることが好まし
い。本発明においては、ベッド収容室内に排出する空気
の清浄化処理は、吸入口から吸込んだ空気から、空中浮
遊雑菌類を塵埃と共に除去した後に、この空気を、適
宜、抗菌性ミストと接触させて適度な湿気と抗菌性とを
付与しつつ、清浄化した空気をベッド収容室内に排出す
るようにした新規な空気清浄器を利用して行うものであ
る。
【0013】本発明のクリーンベッドは、一定体積の空
間を仕切ることができるベッド収容室を構成する室構築
物と、前記ベッド収容室内に収容されるベッドと、前記
ベッド収容室に付設された空気清浄器とからなるクリー
ンベッドであって、該空気清浄器は、2つのミスト発生
室を備える。第1のミスト発生室は、吸入口から吸引フ
ァンで吸入した空気に加湿し、第2のミスト発生室との
間に設けられた除菌用フィルタを通して送り出すための
ものであり、第2のミスト発生室は第1のミスト発生室
からフィルタを通って送られてきた加湿空気に抗菌性を
付与してベッド収容室内に排出ファンにより排出するも
のである。
【0014】本発明のクリーンベッドで使用する空気清
浄器は、吸入口を塵埃や落下菌の溜まる床付近ではな
く、クリーンベッドの天井近くの高い位置に備えるこ
と、および吹出口をベッドのヘッドレスト以外の場所、
例えば、クリーンベッドの天井または足元など他の適当
な位置にすることができることを特徴とする。吸入口を
このように高い位置にすることで、床やベッド上に落下
した菌を巻き上げることなく、ベッド収容室内の空気を
吸引することができる。
【0015】また、大型のフィルタを使用しないため吹
出口をベッドのヘッドレスト以外の部分に設定でき、フ
ィルタを使用した場合よりも清浄化した空気の吹出しの
際に抵抗が小さくなるため騒音も低下し、より小型で騒
音の少ないファンを使用することができることから騒音
はさらに小さくなる。これによって患者にかかるストレ
スも小さくなる。
【0016】本発明のクリーンベッドで使用する空気清
浄器は、従来のクリーンベッドと異なり、塵埃の除去だ
けでなく空中浮遊雑菌類を殺菌・除去することができる
機構を備える。空中浮遊雑菌類の殺菌は、後述するミス
ト発生室に設けられた抗菌液溜りに貯留された抗菌液か
ら発生する抗菌ミストと空中浮遊雑菌類を含む空気とが
接触することによって行われる。上述したように本発明
のクリーンベッドは、空気清浄器中に2つのミスト発生
室を備えるが、少なくとも前記第2のミスト発生室には
抗菌液溜まりが設けられていることが好ましい。
【0017】第1のミスト発生室で発生させたミストに
接触した空中浮遊雑菌類や塵埃はミスト粒子にトラップ
されて落下し、落下しなかったものについても、第1の
ミスト発生室と第2のミスト発生室との間に設けられた
フィルタによって除去される。そして、第2のミスト発
生室に送られた空気が抗菌ミストと接触することによっ
て、残存する空中浮遊雑菌類は抗菌ミスト粒子に捕捉さ
れて死滅し、抗菌液溜りに落下する。そして、抗菌ミス
トと接触することによって適度な湿気と抗菌性とが付与
された清浄空気がクリーンベッド内に排出される。
【0018】この抗菌液溜りで使用する抗菌液は、台湾
ヒノキ、青森ヒバ、ラベンダー、ユーカリおよび豪州産
西洋ヒノキからなる群から選ばれる植物から得られる精
油と水とからなるものであることが好ましく、台湾ヒノ
キまたはユーカリを使用することが好ましい。ユーカリ
は、シネオール系ユーカリ(Eucarlyptus globulus Lab
ill)、ピペリトン・フェランドレン系ユーカリ(Eucal
yptus dives Scauer Type)、酢酸ゲラニル系ユーカリ
(Eucalyptus macarthuri H. Deane et J. H. Maiden)
およびシトロネラール系ユーカリ(Eucalyptus citriod
ora Hook)に大別されるが、これらの中でもシトロネラ
ール系ユーカリ(レモンユーカリ)から得られる精油と
水とからなる抗菌液を使用すると、蚊などの害虫の忌避
効果が高い。
【0019】上記の植物を水蒸気蒸留することによって
得られる精油には、抗菌性のある成分が含まれているこ
とによる。例えば、台湾ヒノキと青森ヒバには抗菌性の
あるヒノキチオールが含まれており、レモンユーカリに
はp−メンタン−3,8−ジオールが含まれていること
による。ここで使用する抗菌液は、上記の精油を約20
重量%含有する水溶液をPCT/JP97/03248に記載の方法で
調製し、これを原液として約300〜500倍に水で希
釈したものである。この抗菌液約20Lを、約24〜2
6℃、風速3m/秒の設定で上記空気清浄器の抗菌液溜
りに貯留して使用した場合には、約1週間で約7Lの減
少が起こる。このため、同程度に希釈した抗菌液を減少
した分だけ追加するか、液全体を交換すればよい。ベッ
ド収容室内に居住する患者の疾病の状態によっては、原
液の希釈率を下げて、より抗菌性の高い抗菌液を調製
し、この抗菌液にいつでも切り替えることができる。
【0020】さらに、本発明のクリーンベッドで使用す
る空気清浄器では、第2のミスト発生室で適宜湿気と抗
菌性とが付与された清浄空気は、この空気清浄器がベッ
ド収容室内に置かれている場合には、吹出口から直接ベ
ッド収容室内に排出される。一方、空気清浄器がベッド
収容室外に置かれている場合には、適当な直径を有する
管によって送風口まで清浄空気を導き、ベッド収容室内
に排出する。ベッド収容室内における清浄空気の排出方
向は、排出の向きと風量によって適宜調節すればよい
が、鉛直方向に対して約45°上方とすると、清浄空気中
に含まれる抗菌ミスト粒子と空中浮遊雑菌類との接触時
間が長くなり、また、拡散する容積も大きくなることか
ら、殺菌効果を高める上で好適である。
【0021】吹出し口をベッド収容室の天井に設ける
と、抗菌ミストを含んだ清浄空気を吹出口から静かに落
下させることができ、大きな風力を必要とせず、床やベ
ッド上の塵埃や落下菌を巻き上げることがないこと、そ
して騒音も小さくて済むという利点がある。特に、ベッ
ドの真上の天井部に吹出口を設けると、清浄空気に含ま
れる抗菌ミストが最も多量に患者と接触し得ることか
ら、菌が表在している感染症患者などに対しては好適で
ある。
【0022】吹出口をベッド収容室の天井部に設ける場
合には、第2のミスト発生室から管で室構築物の天板上
に設ける吹出ユニットまで清浄空気を導く。このユニッ
トは、例えば、全体をステンレス板、アルミ板、各種プ
ラスチック板などで構成することができる。一例を挙げ
れば、図3に示すように、全体を直方体とし、天井部の
吹出口となる部分をパンチングした板、スリットを入れ
た板、網状構造の板などで構成してもよい。また、管と
の接触部分から吹出し口との接続部分にかけて徐々に口
径が広がるように一体型ユニットとして成形し、吹出し
口となる部分を上記のような板状部材等で構成してもよ
い。吹出口ユニットに抗菌処理をした素材を使用するこ
とが空気の清浄度を保つ上でさらに好ましい。
【0023】吹出口を天井部に設ける場合には、その配
置と大きさとは、ベッド収容室内に排出される清浄空気
の風量などの諸因子を勘案して適宜決定すればよく、特
に限定されない。なお、上記吹出口に、方向を適宜調節
することができる複数枚の羽をさらに設けると、清浄空
気の流れる方向を適宜調節することができる。こうした
羽を作製する素材としては、吹出ユニット5に使用する
素材と同様のものを使用することができる。羽の大きさ
や枚数は特に制限されず、室構造体の強度と吹出す清浄
空気の量などにより決定すればよい。具体的には、大き
さは約10〜25×7〜15cm程度、枚数は2〜10枚
程度である。
【0024】こうした羽は、短い支持部を有するもので
あり、前後左右および回転可能なように支持部の一端に
羽との接続部を設ける。この接続部は、羽の向きを変え
ることができるように把持する部材で構成されていれば
よく、その構造は特に限定されない。支持部の他の端に
は、吹出し口の板に固定するための接続部を設ける。こ
の接続部は、磁石、クリップなど簡易に取り外しのでき
る手段からなるものであってもよく、ネジなどによって
固定する手段を用いるものであってもよい。使用する羽
の枚数、期間などによって、どのように固定するかを適
宜選択すればよい。
【0025】以上のような構成のクリーンベッドでは、
まず、上記空気清浄器の第1のミスト発生室に吸引され
たベッド収容室内の空気は、上記第1のミスト発生室内
で発生しているミスト中を通過し、その過程で空気中に
存在する雑菌が塵埃とともにミスト中に捕捉される。次
に、雑菌や塵埃を捕捉したミストを含む空気は、第1の
ミスト発生室と第2のミスト発生室との間に設けられた
フィルタを通って第2のミスト発生室へ移動する。空気
中に含まれるミストは、このフィルタによって捕捉さ
れ、それと同時にミストに捕捉された雑菌や塵埃等も除
去される。
【0026】その結果、このフィルタを通過することに
よって雑菌や塵埃等が除去された清浄な空気が第2のミ
スト発生室へ移動する。第2のミスト発生室では抗菌液
のミストが発生しているため、送られてきた清浄な空気
中に空中浮遊雑菌類が残存していた場合でも、ミストと
接触することによってこうした残存する空中浮遊雑菌類
は捕捉されて死滅する。これによって、空気の清浄度を
一層高めることができる。一方、残存する空中浮遊雑菌
類を捕捉したミストは重くなって抗菌液溜り中に落下す
る。
【0027】第2のミスト発生室に送られてきた清浄な
空気は、この抗菌性ミストと接触して残存する空中浮遊
雑菌類が除去され、さらに抗菌ミストを含む清浄空気と
して排出ファンを介してベッド収容室内に排出される。
したがって、排出される空気は清浄でありかつ抗菌液を
含むことから、空中浮遊雑菌類がベッド収容室内に送り
込まれることもなく、これらがベッド収容室内において
増殖することもない。このため、室内の清浄さが長期間
にわたって維持される。
【0028】本発明のクリーンベッドの好ましい態様で
は、前記空気清浄器の吸引ファンにエアコンディショナ
ーの送風パイプを連結し、該エアコンディショナーの吸
入口を前記ベッド収容室内に配置している。この態様に
おいては、空気清浄器から送り出された空気に含まれる
抗菌性ミストをがベッド収容室内に存在する空中浮遊雑
菌類やウイルスなどと接触してこれらを捕捉・死滅させ
た後に、吸入口からファンによって吸込まれる。吸込ま
れた空気は死滅した雑菌類をミスト中に含んだまま、エ
アコンディショナーによって湿度および温度の調節を受
け、その後エアコンディショナーの送風パイプから第1
のミスト発生室に送り込まれる。
【0029】送り込まれた空気中には空中浮遊雑菌類を
捕捉したミストが存在しているが、これら空中に存在す
るミストは、第1のミスト発生室で発生しているミスト
と接触した後に、ある程度は第1のミスト発生室の底面
方向に落下する。落下しなかったミスト粒子を含む空気
が第1のミスト発生室と第2のミスト発生室との間に設
けられた除菌用フィルタを通過する際に、空気中からこ
れらのミスト粒子が除去され、この段階で清浄空気とな
る。ついで、この空気は第2のミスト発生室に送られ、
そこで発生している抗菌性ミストと接触し、上述のよう
に残存する空中浮遊雑菌類がある場合にはこれらが抗菌
ミストによって捕捉・殺菌される。この後、抗菌性ミス
トを含む清浄空気がベッド収容室内に排出される。
【0030】本発明のクリーンベッドに使用される空気
清浄器では、上述したように、空中浮遊雑菌類の除去手
段として、第1のミスト発生室と第2のミスト発生室と
の間に設けた除菌用フィルタと、抗菌ミストとを併用す
る。抗菌ミストは第1のミスト発生室または第2のミス
ト発生室のいずれで発生させてもよく、抗菌ミストを発
生させるために、第1のミスト発生室と第2のミスト発
生室の双方、または、少なくとも第2のミスト発生室に
は抗菌液溜りを備えるようにする。
【0031】第2のミスト発生室で抗菌ミストを発生さ
せると、上述のように、空中浮遊雑菌類は第1のミスト
発生室で発生しているミスト粒子中に捕捉され、除菌用
フィルタで除去された後に第2のミスト発生室で発生し
ている抗菌ミストと接触する。第2のミスト発生室で抗
菌ミストを発生させることにより、除菌用フィルタで捕
捉しきれなかった空中浮遊雑菌類をこれらのミストと接
触させて捕捉し、不活化または殺菌することができるよ
うになる。
【0032】第1のミスト発生室および第2のミスト発
生室の双方で抗菌ミストを発生させると、ベッド収容室
から吸込まれた空気中に存在する空中浮遊雑菌類が、ま
ず第1のミスト発生室中で発生している抗菌ミストと接
触し、ミスト粒子中に捕捉されて死滅する。空中浮遊雑
菌類を捕捉したミスト粒子は、空気と共に第2のミスト
発生室へ送られる際に、除菌用フィルタによって捕捉さ
れて空気中から除去され、清浄空気が第2のミスト発生
室へ送られる。第2のミスト発生室へ送られた空気は、
再度抗菌ミストと接触し、空中浮遊雑菌類が残存する場
合にはこれらがミスト粒子中に捕捉される。こうした雑
菌類を捕捉して重くなったミストは抗菌液溜りに落下し
て行くので、上記の雑菌類は空気中から除去され、一層
清浄度が高くなった空気が抗菌ミストを含んだ状態でベ
ッド収容室内に排出される。ベッド収容室内に浮遊する
雑菌類は、清浄空気と共に排出された抗菌ミスト粒子と
接触すると捕捉されるため、空中の落下菌なども捕捉さ
れる。
【0033】本発明のクリーンベッドは、ベッド収容室
内の空気が、空気清浄器から排出された清浄空気によっ
て清浄に保たれるものであるため、免疫抑制剤の投与を
受けている移植患者をはじめとする免疫力の低下してい
る患者にとっては、感染症を起こす危険性が減少すると
いう利点がある。また、細菌の感染症患者を収容してい
る場合には、咳などによって患者自身から細菌が飛散し
たとしても、抗菌ミスト粒子と接触することによってこ
れらの菌が死滅するため、患者の治療に当たる医療関係
者などにとっても二次感染の危険を減少させることがで
きるという利点もある。
【0034】上記第1および第2のミスト発生室は、各
種プラスチック、アルミ、ステンレスなど、種々の素材
で構成することができる。また、上記除菌用フィルタの
素材は特に限定されないが、植物性セルロースからなる
スポンジ、ガーゼなどの織布、不織布、ヘパフィルタな
どのほか、板状に成形したゼオライトや複数枚の不織布
に挟んで層状構造とした活性炭なども使用することがで
き、さらに、従来のエアコンディショナーで用いている
フィルタなども使用することができる。
【0035】上記の除菌用フィルタは、上述した空中浮
遊雑菌類を捕捉したミスト粒子を空気中から除去するこ
とができるものであればよく、定置式のもの、循環式の
もののいずれを使用することもできる。定置式のフィル
タを使用する場合には、ある程度の期間使用した時点
で、汚れた除菌用フィルタを新しいものと交換する。循
環式のフィルタを使用する場合には、例えば、図8に示
すように循環過程においてその一部が上述した抗菌液溜
り中の抗菌液中を通過するようにしておくことにより、
長時間の連続使用が可能となるとともに、空気の一層の
清浄化を図ることが可能となる。なお、本発明で使用す
る空気清浄器の吹出し口に、空気を流通させることがで
きる適当な容器にグラスウールを詰めたものを設ける
と、湿度を調整する上で好適である。
【0036】前記空気清浄器の抗菌液溜りに用いる抗菌
液としては、台湾ヒノキ、青森ヒバ、ラベンダー、ユー
カリおよび豪州産西洋ヒノキからなる群から選ばれる植
物の精油と、水とからなる精油含有水溶液を使用するこ
とが好ましい。こうした植物精油を含有する精油含有水
溶液は、天然物から抽出された精油と水以外のものは含
まないため安全性が高く、また、後述する細菌、真菌に
対して抗菌効果を有し、ウイルスに対しても抗ウイルス
効果を有するからである。
【0037】これらの精油は、それぞれに殺菌・防除ス
ペクトルが異なるため、患者の状態や感染を防ぎたい菌
種、ウイルスの種類等によって適宜選択すればよい。例
えば、免疫抑制剤を使用している患者にとって重篤な感
染症の原因となる多剤耐性黄色ブドウ球菌(Multi-drug
resistant Staphylococcus aureus, 以下MRSAという)
や出血性大腸炎の原因となる大腸菌、O-157等に対して
は、抗菌性の高いヒノキ油やヒバ油を含有する水溶液を
使用すればよい。
【0038】上記の植物のなかでもヒノキ科植物から得
られる精油の抗菌・抗ウイルス効果が高く、とりわけ台
湾産のヒノキ(以下、台湾ヒノキという)または青森産
のヒバ(以下、青森ヒバという)から得られた精油を使
用すると抗菌効果が高い。台湾ヒノキ(Chamaecyparis
obtusa(Seib. et Zucc.))および青森ヒバ(Thujopsis
dolabrata Seib. et Zucc. var. Hondai Makino)はい
ずれもヒノキ科に属し、タイワンヒノキ油および青森ヒ
バ油がそれぞれ得られる。タイワンヒノキ油は、台湾を
原産地とするタイワンヒノキの葉、根を水蒸気蒸留して
得られる精油である。成分としては、α-ピネン、β-ピ
ネン、カンフェン、p-シメン、γ-テルピネン、d-サビ
ネン、テルピネオール、リナロール、ツヨプセン、β-
エレメン、α-セドレン、エレモール、ビドロール、セ
ドロール、ヒノキチオール、α-ツヤプリシン、トロポ
ロイド、ヒノキチン等が含まれる。
【0039】ヒバ油は、青森県及び北海道を主産地とす
るヒバ又はヒノキアスナロの材、枝葉を水蒸気蒸留して
得られる精油である。材油の成分としては、ロジン酸、
α-ツヤプリシン、β-ツヤプリシン、ヒノキチオール、
ツヨプセン(主成分)、セドロール、カルバクロール等
のフェノール類が含まれる。また、葉油の成分として
は、ジペンテン、サビネン、ボルネオール、サビノール
を中心としたモノテルペノイド(主成分)、酢酸サビニ
ル、セスキテルペノイド並びにヒバエン等のジテルペノ
イドが含まれる。
【0040】上述のように樹木の葉、材や根部のチップ
を水蒸気蒸留して精油が得られるが、得られた精油を後
述するようにして水と混合し、抗菌液溜りに入れる抗菌
液を製造する。上記の空気清浄器で使用する抗菌液は植
物精油と水とからなる水溶液であり、界面活性剤等を一
切含有しないため、ヒトをはじめとする動物及び植物に
対して高い安全性を確保することができる。また、こう
した精油は微生物に対して異なるスペクトルを有し、混
合して使用した場合でも化学反応を起こすことはないの
で、細菌やウイルスなど広範囲にわたる微生物の除去に
使用することができる。OECD化学物質毒性試験指針(19
87年)に準拠して行った、マウスに対する急性毒性試験
(単回経口投与)の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】上述の空気清浄器に用いる抗菌液は、表1
及び2に示すようにマウスの急性毒性試験でも死亡例は
1例もなく、対照群と同様に14日間体重も増加してい
た。また、この抗菌液中にどのようなものが含まれるか
について水質基準の項目に沿って検討した。
【0044】
【表3】
【0045】水質基準の項目うち、表3に示した項目に
ついては特に適合しないものはなく、安全性が高く、か
つ水質基準にも適合したものであることが示された。な
お、上記抗菌液が有する各種の細菌に対する抗菌性、ウ
イルスの増殖抑制効果およびダニなどの忌避効果を、表
4〜11に示す。ここでは、細菌として、大腸菌、病原
性大腸菌-157、黄色ブドウ球菌、MRSA、サルモネラ菌お
よびレジオネラ菌、ウイルスとしてコクサッキーウイル
スとインフルエンザウイルスを使用した。また、A、
B、Cはそれぞれ、0.005重量%、0.05重量%、0.5重量
%の上述の植物精油を含有する抗菌液を表す。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】上記のとおり、表4〜10から、上記空気
清浄器に使用する抗菌液は、種々の細菌に対して抗菌性
があり、また、ウイルスの増殖抑制効果やダニの忌避効
果をも有することが示された。また、本発明で使用する
空気清浄器をある病院で1週間使用した後に、抗菌液中
からレジオネラ菌が検出されるかどうかを調べたとこ
ろ、レジオネラ属菌は検出されなかった。この試験は、
レジオネラ症防止指針(財)(ビル管理教育センター、
平成7年、7月に刊行された初版第3刷)に従って行っ
た。次に、検体で処理したろ紙の上へ、どの位の数のダ
ニが這い上がるかを指標として、コナヒョウヒダニを用
いたダニの忌避試験を行った。
【0054】
【表11】
【0055】表8において、ダニの忌避指数は、(C-
T)/C×100で表される。ここで、Cは対照区にお
いて這い上がったダニの数、Tは処理区において這い上
がったダニの数を表し、100に近いほど忌避効果が高
いことを示す。したがって、抗菌液中における精油の含
量が高いほど、ダニの忌避効果が高く、長時間持続する
ことが示された。
【0056】クリーンベッド内で問題となるものは、細
菌、真菌、酵母、きのこの胞子などの空中落下菌、各種
のウイルス、ダニ類および塵埃等である。具体的には、
例えば、細菌としては、連鎖球菌、結核菌、O-157をは
じめとする病原性大腸菌、在郷軍人病の原因菌であるレ
ジオネラ菌、重篤な感染症を引き起こすMRSA等が挙げら
れる。また、真菌としては、カンジダ、アスペルギル
ス、クリプトコッカス等が挙げられる。これらの真菌
は、本来、病原性は低いものであるが、二次病原体とな
って日和見感染を起こす。さらに、ウイルスとしては、
乳幼児に夏を最盛期として感染症を引き起こすコクサッ
キーウイルス、インフルエンザの原因であるインフルエ
ンザウイルス等が挙げられる。
【0057】表4〜11に示すように、本発明のクリー
ンベッドでは、上述のような問題となる細菌、ウイル
ス、ダニ等に抗菌力の高い抗菌液を使用するため、日和
見感染の防止等に大きな効果が期待できる。また、上記
の細菌、真菌およびウイルスは、患者の免疫がどのよう
な状態にあるかによって危険性が大きく異なってくる
が、こうした場合にも抗菌液中の精油濃度を変えたり、
患者の容体等に応じて上述した抗菌液を適宜選択し、必
要に応じて組合せることもできるため、環境の適切な管
理を行い、危険性を低下させることができるという利点
がある。
【0058】
【発明の実施形態】以下、図面を参照しながら、本発明
によるクリーンベッドの実施の形態を説明する。なお、
図中に表された同一の番号は、同一の部材を表すもので
ある。図1は、本発明のクリーンベッドの第1実施形態
を示すもので、柱4、床12、側壁13、天井8で構成
される室構築物10により密閉可能な状態でベッド収容
室1が作られている。このベッド収容室1には患者用ベ
ッドBが収容されるとともに、適切な箇所、例えば床1
2上に空気清浄器20が配置されている。
【0059】前記柱4は、例えば、青森ヒバや台湾ヒノ
キその他のダニ等を寄せつけない天然の木材、もしくは
アルミ、スチール等の軽量な金属で構成することが好ま
しい。また、側壁13および天井8を密閉に覆う素材
は、外部から患者を容易に観察することができるように
するため、および場合によっては治療行為を行うための
グローブボックスを取り付けることができるようにする
ために、少なくともその一部を、例えば、プラスチック
製の透明な樹脂フィルムを用いて作製することが好まし
い。特に、床板の長手方向に沿ってこのようなフィルム
を配置しておくと、患者の容体の観察や治療にあたって
都合がよい。また、床12には青森ヒバ、台湾ヒノキ
等、ダニ等の害虫を寄せつけない天然材料の他、抗菌処
理したプラスチック等を使用することが好ましい。ただ
し、室構築物10の材質はこれらに限定されるものでは
ない。
【0060】本発明のクリーンベッドで使用する空気清
浄器20の構造を図5〜図8に示している。図5は空気
清浄器20の第1構造例であって、20aは第1のミス
ト発生装置であり、空気の出口部分を除いて、従来知ら
れた加湿器と同じような構成である。すなわち、第1の
ミスト発生装置20aは、容器21と水タンク22とを
有し、該容器21と水タンク22の底部は共通した液体
溜り23により連通状態とされている。容器21の側方
には、後述する第2のミスト発生装置20bを構成する
容器27内の空間に連通する配管30が設けてあり、該
配管30には、例えば、上述した植物性セルロースなど
で構成された除菌フィルタ31が外気と接触しない状態
でかつ交換可能な状態で取り付けてある。
【0061】水タンク22には公知の水面調節器24が
設けられ、液体溜り23内に水タンク22内の水Wを常
に一定レベルとなるように案内する。液体溜り23の容
器21に面する部分には従来知られた超音波振動子25
aが取り付けられ、この超音波振動子25aの作動によ
り液体溜り23内部ジャケットの水Wはミスト化して容
器21内部ジャケットの空間に浮遊する。さらに、容器
21の上方には吸引ファン26が備えられ、ベッド収容
室内の空気は吸引ファン26により容器21内に吸引さ
れる。容器21内に吸引された空気は、そこで発生して
いるミストと混合されて加湿空気となり、前記配管30
を通って第2のミスト発生装置20bに移動する。
【0062】吸引されたベッド収容室10内の空気中に
存在する空中浮遊雑菌類はミスト粒子によって捕捉さ
れ、こうした雑菌類を捕捉したミスト粒子は、配管30
に設けた除菌用フィルタ31を通過する際に、塵埃と共
に除菌用フィルタ31に回収される。除菌用フィルタ3
1を通過して清浄となった空気は第2のミスト発生装置
20bに移動する。第2のミスト発生装置20bは、容
器27の下部に液体溜り28を有し、そこに、上述した
台湾ヒノキ液のような抗菌液Aが収容されている。容器
27の上部には排出ファン29が備えられ、容器27内
の空気をベッド収容室10内に排出する。液体溜り28
には従来知られた超音波振動子25bが取り付けられて
あり、この超音波振動子25bの作動により抗菌液Aは
ミストとなって容器27内の空間に浮遊する。浮遊する
抗菌性のミスト粒子は配管30を通って移動してくる清
浄空気とともにベッド収容室10内に運ばれる。
【0063】抗菌液性ミストは、除菌用フィルタ31に
よって除去されなかった空中浮遊雑菌類を捕捉してこれ
らを殺菌もしくは不活性化するだけでなく、ベッド収容
室内に排出された場合には、ベッド収容室内の空中浮遊
菌その他の菌を除去する作用を有するため、ベッド収容
室10内の一層の清浄化が図られる。図6は空気清浄器
20の第2構造例であって、除菌用フィルタの構成及び
第1のミスト発生室20aと第2のミスト発生室20b
とを接続する管路30aの構成が図5に示したものと相
違する。ここでの除菌用フィルタ31aは無端ベルト状
とされており、上下のローラ32a、32bの間に巻装
される。上記ローラ32a、32bは図示しない可変速
電動モータにより任意の速度で回動し、また停止するよ
うにされ、さらに、下方のローラ32bは前述した液体
溜り28内に位置するようにされる。そして、管路30
aは、そこを通過する空気が前記無端ベルト状とされた
除菌用フィルタ31aを通って第1のミスト発生室21
内から第2のミスト発生室27内に流入されるように配
置される。また、除菌用フィルタ31a及びその駆動機
構は、全体が外気から遮断された状態で組み付けられて
いる。
【0064】この構造では、除菌用フィルタ31aは、
その循環過程において上記液体溜り28を通過するの
で、十分な量の抗菌液Aを常に保持させておくことが可
能となり、より確実な除菌効果が得られる。また、回転
速度を変えることにより、除菌用フィルタ31aの含水
率(抗菌液+水)を調節することもでき、結果として、
第2のミスト発生室27内からベッド収容室10内に排
出される空気の含水率を調節することが可能となる。
【0065】図7は空気清浄器20の第3構造例であっ
て、図4に記載の空気清浄器20における上記第2のミ
スト発生装置20bにおける液体溜り28と、第1のミ
スト発生装置20aにおける液体溜り23とが共通した
液体溜り40とされており、この共通の液体溜り40に
は抗菌液Aが収容される。この場合には、前記水タンク
22には抗菌液が収容され、第1の抗菌液ミスト発生装
置20a内には、単なる水ではなく、上述した抗菌液A
がミスト粒子として充満する。それにより、容器21内
に吸引される空気は第1のミスト発生装置20a内での
除菌作用を受けることとなり、より一層の除菌効果が期
待できる。
【0066】図8は空気清浄器20の第4構造例であっ
て、図6に記載の空気清浄器20での前記第2のミスト
発生装置20bにおける液体溜り28と第1のミスト発
生装置20aにおける液体溜り23とを共通した液体溜
り40aとしたものであり、この共通の液体溜り40a
には抗菌液Aが収容される。この場合にも、第1の抗菌
液ミスト発生装置20a内には、抗菌液A(又は、抗菌
剤と水)がミスト粒子として充満する。このため、容器
21内に吸引される空気は、第1のミスト発生装置20
a内での除菌作用を受けることとなり、より一層の清浄
化が期待できる。
【0067】図1は、本発明のクリーンベッドの第1実
施形態を示すもので、ベッド収容室10中に、前記空気
清浄器20の吹出し口を設置したものである。そして、
エアコンディショナー11の送風パイプ11aを前記空
気清浄器20の第1のミスト発生室20aの吸引ファン
26に接続し、かつ、エアコン11の吸入口11dをベ
ッド収容室10に向けて配置したものである。なお、第
1実施形態において、抗菌ミストを含む清浄空気の吹出
し方向を鉛直方向に対して約45°上方に向けると、排出
される空気の流れに乗って抗菌ミストが拡散される範囲
が最も広くなる。また、エアコンディショナー11の位
置は、天井近くの壁面から床の間で適宜変えることがで
きるが、塵埃や落下菌の巻き上げを起こさないことか
ら、天井近くの高い位置とすることが好ましい。空気清
浄器20をベッド収容室内に置く場合には、図2に示す
形態となる。
【0068】図3は、本発明のクリーンベッドの第2実
施形態を示すもので、この例では、前記空気清浄器20
はエアコン11と共にベッド収容室10の内部にではな
く外側に配置してあり、第2のミスト発生室20から排
出ファン29により吐き出される抗菌液を含んだ清浄空
気は、配管11bを通り、ベッド収容室10の天井8に
配置した吹出しユニット5から、ベッド収容室10内に
静かに放出されるようになっている。この形態では、抗
菌液を含んだ清浄空気はベッドBに寝ている患者の上方
からシャワー状に静かに降り注ぐこととなり、ベッド収
容室10内に室内空気の乱流が生じるのを防止してい
る。それにより、クリーンベッド内で菌が飛散し、二次
感染を起こすことを効果的に防止することが可能とな
る。
【0069】また、この第2実施の形態では、空気清浄
器20から送り出された抗菌性ミストは、ベッド収容室
内に設置された排出口から吹出される。吹出しユニット
5の大きさは天板8より小さければ特に限定されない
が、あまりに小さいと、ベッド収容室10内に抗菌ミス
ト粒子が十分にいきわたらず、室内の清浄化効果が低下
するため、天板の面積の約20%以上の大きさとしてい
る。なお、図3では、吹出ユニット5を天板上に1つ設
けているが、複数の吹出口ユニット5を天井の所望の位
置に設けてもよい。
【0070】天井部に設けられた吹出しユニット5から
抗菌ミストを含んだ空気がベッド収容室10に緩やかな
風と共に送り込まれると、ミスト粒子は空中浮遊雑菌類
や塵埃と接触しながらゆっくりと落下し、さらに、床や
ベッド上の落下菌や塵埃などを巻き上げることなく、こ
れらと接触して捕捉する。ベッド収容室10内の空中浮
遊雑菌類やウイルス等が送り込まれた空気に含まれてい
る抗菌ミストによって捕捉され殺菌された後、ベッド収
容室10内の空気は吸込口11dからエアコンディショ
ナー11に吸引される。エアコンディショナー11から
は空調され、かつ殺菌済の菌やダニの死骸を含んだ空気
が送風パイプ11aから第1のミスト発生室21内に送
り込まれ、これらの殺菌済の菌やダニの死骸は除菌用フ
ィルタ31、31aで捕捉される。かくしてベッド収容
室10の空気は、通常の空調を受けることに加えて、無
菌状態に清浄化される。
【0071】本発明のクリーンベッドに用いる空気清浄
器20は、前記のように、第1のミスト発生室21と第
2のミスト発生室27、および上記2つのミスト発生室
の間の空気の移動路30に除菌用フィルタ31または3
1aを配置するという構成をとっている。そのために、
本発明のクリーンベッドに用いる空気清浄器がエアコン
ディショナー11のフィルタの代わりとなることから、
エアコンディショナー11を用いる場合にはエアコンデ
ィショナーに取り付けられるフィルタを取り外して運転
しても差し支えない。エアコンディショナーに取り付け
られるフィルタを取り外して運転することにより、空気
抵抗が減少する分風量が増加するので、フィルタを外す
前と同じ風量を得るために必要な電力が小さくなるか
ら、エアコンディショナーのランニングコストを低減さ
せることが可能になる。
【0072】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明による空
気清浄器では、第1のミスト発生装置内において、空気
中の雑菌類は有効に捕捉され、雑菌類を捕捉したミスト
は除菌用フィルタによって回収される。そのために、第
1のミスト発生室から第2のミスト発生室に移動してく
る空気は清浄化されており、その空気が第2のミスト発
生室で発生する抗菌液のミストをベッド収容室内にも運
んでも、そこで雑菌類の増殖が起こることはない。その
ために、ベッド収容室の室内空気への雑菌類の混入増殖
は効果的に阻止できる。そのために、クリーンベッドの
室内環境を長時間にわたって常に清浄に保つことがで
き、例えば、レジオネラ菌の大気浮遊による感染等を確
実に防止することが可能となる。本発明によるクリーン
ベッドは、上記空気清浄器のみでクリーンベッド室内の
雑菌類や塵埃等を積極的に回収できるため、室構築物や
清浄化設備が安価であり、維持管理も手間がかからない
利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーンベッドの第1実施形態を示す
外観図である。
【図2】本発明のクリーンベッドの第1実施形態の一部
を変化させた形態を示す外観図である。
【図3】本発明のクリーンベッドの第2実施形態を示す
外観図である。
【図4】従来のクリーンベッドの形態を示す外観図であ
る。
【図5】本発明のクリーンベッドに用いられる空気清浄
器の第1構造例の説明図である。
【図6】本発明のクリーンベッドに用いられる空気清浄
器の第2構造例の説明図である。
【図7】本発明のクリーンベッドに用いられる空気清浄
器の第3構造例の説明図である。
【図8】本発明のクリーンベッドに用いられる空気清浄
器の第4構造例の説明図である。
【符号の説明】
1…室構築物、2…無菌ユニット、2a…操作パネル、
2b…把手 4…フレーム、8…天板、10…ベッド収容室、13…
側壁、20…空気清浄器、11…エアコンディショナ
ー、B…ベッド、11aおよび11b…送風パイプ、3
および11d…吸入口、20a…第1のミスト発生装
置、20b…第2のミスト発生装置、21、27…容
器、22…水タンク、23、28、40…液体溜り、2
4…水面調節器、25a、25b…超音波振動子、26
…吸引ファン、29…排出ファン、30…管路、31…
除菌用フィルタ、A…抗菌液、W…水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉可能なベッド収容室を構成する室構
    築物と、前記ベッド収容室内に収容されるベッドと、前
    記ベッド収容室に付設された空気清浄器とからなるクリ
    ーンベッドであって、該空気清浄器は、吸入口から吸引
    ファンで吸入した空気に加湿して送り出すための第1の
    ミスト発生室と、第1のミスト発生室で加湿された空気
    を除菌するための除菌用フィルタと、除菌された加湿空
    気に抗菌性を付与してベッド収容室内に排出ファンによ
    り排出する第2のミスト発生室とを備えるクリーンベッ
    ド。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記第2のミスト発生室には
    抗菌液溜まりが設けられている請求項1に記載のクリー
    ンベッド。
  3. 【請求項3】 前記抗菌液溜りには、台湾ヒノキ、豪州
    産西洋ヒノキ、ラベンダーおよびユーカリからなる群か
    ら選ばれる植物から得られる精油と水とからなる抗菌液
    が収容されている請求項1または2に記載のクリーンベ
    ッド。
  4. 【請求項4】 空気清浄器の吹出口は、室構築物の天井
    部に設けられる請求項1〜3のいずれかに記載のクリー
    ンベッド。
  5. 【請求項5】 前記吹出口に複数枚の羽をさらに設けた
    請求項4に記載のクリーンベッド。
JP11232370A 1998-08-19 1999-08-19 クリ―ンベッド Pending JP2000126251A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11232370A JP2000126251A (ja) 1998-08-19 1999-08-19 クリ―ンベッド

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23307898 1998-08-19
JP10-233078 1998-08-19
JP11232370A JP2000126251A (ja) 1998-08-19 1999-08-19 クリ―ンベッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000126251A true JP2000126251A (ja) 2000-05-09

Family

ID=26530421

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11232370A Pending JP2000126251A (ja) 1998-08-19 1999-08-19 クリ―ンベッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000126251A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006223646A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd 消臭剤組成物および消臭方法
JP2007217977A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Hino Seiki Kk 温度調整システム
JP2010017225A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Takasago Thermal Eng Co Ltd インフルエンザ感染防止クリーンブース
GB2463005A (en) * 2008-08-26 2010-03-03 Grosvenor Contracts Cubicle Curtain and Glider
JP2016222660A (ja) * 2015-05-29 2016-12-28 株式会社コーセー 紫外線防御組成物
KR102251969B1 (ko) * 2021-03-29 2021-05-17 유정선 비말차단 환자용 침대
CN113171254A (zh) * 2021-04-27 2021-07-27 马玉霞 一种神经内科用多功能疗养房设备

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006223646A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd 消臭剤組成物および消臭方法
JP4703211B2 (ja) * 2005-02-18 2011-06-15 第一工業製薬株式会社 消臭剤組成物および消臭方法
JP2007217977A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Hino Seiki Kk 温度調整システム
JP2010017225A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Takasago Thermal Eng Co Ltd インフルエンザ感染防止クリーンブース
GB2463005A (en) * 2008-08-26 2010-03-03 Grosvenor Contracts Cubicle Curtain and Glider
GB2463005B (en) * 2008-08-26 2010-10-06 Grosvenor Contracts Cubicle curtain
JP2016222660A (ja) * 2015-05-29 2016-12-28 株式会社コーセー 紫外線防御組成物
KR102251969B1 (ko) * 2021-03-29 2021-05-17 유정선 비말차단 환자용 침대
CN113171254A (zh) * 2021-04-27 2021-07-27 马玉霞 一种神经内科用多功能疗养房设备
CN113171254B (zh) * 2021-04-27 2023-07-18 西安交通大学医学院第一附属医院 一种神经内科用多功能疗养房设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210364171A1 (en) Air treatment systems
US10723622B2 (en) Ozone generator
US4468372A (en) Hygienic air purifying device
KR100738260B1 (ko) 살균, 탈취 및 유해물질 제거기능을 갖는 공기정화장치
CN104110745A (zh) 一种居家和车载空气过滤净化装置
EP2618853A1 (en) A room sanitizing apparatus
TW200408789A (en) Air clean apparatus
JP2000126251A (ja) クリ―ンベッド
JP2874749B2 (ja) 空気清浄機
JP5256058B2 (ja) 殺菌・ウイルス不活性装置
CN203949304U (zh) 一种居家和车载空气过滤净化装置
US20230018712A1 (en) Hydroxyl ion generator apparatuses for ceiling mount or walk through
WO2007055430A1 (en) Air purifier with sterilization, deodorization and absorbing toxic materials
JP2000210521A (ja) 気体清浄化方法及び気体清浄機
KR200406012Y1 (ko) 살균, 탈취 및 유해물질 제거기능을 갖는 공기정화장치
JPH0370974B2 (ja)
WO2023128878A1 (en) Nanofiltration device for deactivation of air-filtered pathogens on surface-treated filter material
CN211861576U (zh) 一种有净化空气功能的光催化灭蚊器
CN219494333U (zh) 一种病房消毒杀菌装置
WO2024039854A1 (en) Device for medical room disinfection
JP2003153993A (ja) 炭そ菌等芽胞菌その他一般細菌等を除去する空気清浄方法及びその装置
JPH05146497A (ja) オゾン殺菌方法
JP2520944Y2 (ja) 空気圧縮装置
CN115282315A (zh) 一种手术室主动消毒系统
KR20220019581A (ko) 점성이 있는 액상의 올리고당류와 과산화수소를 혼재하여 세균류를 소독,살균,멸균 시키면서 바이러스의 구성 성분인 단백질을 산화시켜 변종바이러스를 소멸시키는 신소재 및 시스템

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050113