JP2000123709A - 含浸型陰極基体の製造方法および陰極構体 - Google Patents

含浸型陰極基体の製造方法および陰極構体

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JP2000123709A
JP2000123709A JP29552298A JP29552298A JP2000123709A JP 2000123709 A JP2000123709 A JP 2000123709A JP 29552298 A JP29552298 A JP 29552298A JP 29552298 A JP29552298 A JP 29552298A JP 2000123709 A JP2000123709 A JP 2000123709A
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Osamu Nakamura
修 中村
Akito Hara
昭人 原
Naoto Muro
直人 室
Sadao Matsumoto
貞雄 松本
Kiyomi Koyama
生代美 小山
Eiichiro Uda
英一郎 宇田
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Toshiba Development and Engineering Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の製造方法は、耐イオン衝撃性の向上に
より電子放出特性の向上が可能なイオン衝撃後の電子放
射物質の表面への再供給および表面濃度回復時間を改善
し、エミッション特性が良好な含浸型陰極基体を備えた
陰極構体を得ることを課題とする。 【解決手段】この陰極構体の製造方法は、高融点金属か
らなる多孔質焼結体ウェハを形成する工程と、この多孔
質焼結体ウェハにレーザ光を照射して基体金属を切り出
す工程と、切り出された前記基体金属に電子放射物質を
含浸する工程と、電子放射物質を含浸した前記基体金属
を金属製のメッシュ上で振動させて前記基体金属の表面
に存在するばりおよび電子放射物質を除去する工程とを
具備し、さらに切断した前記多孔質焼結体ウェハにおけ
る最表面の高融点金属に対してエッチングを施す工程と
を具備することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陰極基体の製造
方法、さらにこの陰極基体を設けた陰極構体に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー受像管や進行波管等の電子管にお
ける陰極構体に設ける陰極基体は、基体金属に電子放射
物質を組合せたたもので、陰極構体に設けるために金属
からなるキャップの内部に嵌合されてろう付けを施して
固着している。陰極構体は、陰極基体を嵌合したカップ
をスリーブで囲み、このスリーブの内部に陰極基体を加
熱して電子を放射させるヒータを配置した構成をなして
いる。そして、含浸型陰極基体は、多孔質の金属焼結体
からなる基体金属に電子放射物質を含浸して作製したも
のである。
【0003】近年、走査線を増加させ解像度を改善した
カラー受像管や、超高周波対応受像管の開発が要請され
ている。また、投写管等においても輝度の向上が望まれ
ている。これらの要請に応えるためには、陰極基体から
の放出電流密度を従来に対し大幅に増大させる必要があ
る。このため、含浸型陰極基体は酸化物陰極基体に比ぺ
て大きな放射電流密度が得られることから、カラー受像
管の分野ではHD−TV管、ED−TV管等の特殊用途
のみならず、大型CPT用などの要請が高まり採用が急
速に拡大されている。
【0004】従来、含浸型陰極基体は基本的に次に述ぺ
る方法により製造されている。タングステンなどの高融
点金属の粉体を焼結して得られる多孔質焼結体(空孔率
は約20%)からなる基体金属を作製し、この多孔質基
体金属の空孔部に例えばBaO、CaO、Al23
どの電子放射物質を含浸し、その後陰極基体の表面に残
存している電子放射物質を除去・洗浄してから基体金属
の表面(電子放射面)にIr、Os−Ruなどの金属膜
をスパッタ法や蒸着法などの方法により形成して含浸型
陰極基体を得ている。
【0005】そして、この陰極基体の製造において生産
性を向上する手段として次に述べる方法が採用されてい
る。すなわち、所定の空孔率となるように平均粒径を調
整したタングステンの粉体を所定の形状に焼結して得た
多孔質焼結体に銅を含浸させ、その状態で多孔質焼結体
を所定厚みのウエハ状に切断し多孔質焼結体ウェハを得
る。多孔質焼結体に銅を含浸するのは、多孔質焼結体の
形状を安定させる作用と、多孔質焼結体を切断する際に
潤滑剤としての作用を有するからである。次いで、多孔
質焼結体ウェハから銅を除去する。この多孔質焼結体ウ
ェハの一方の側面にRu−Moペーストろう材を塗布し
た後に溶融してRu一Moろう材面を形成する。こうし
て得たろう材面付きの多孔質焼結体ウェハに電子放射物
質を真空中あるいは水素雰囲気中で含浸する。電子放射
物質が含浸された多孔質焼結体ウェハにレーザー光を照
射して多孔質焼結体ウェハから所定直径を有する多数の
陰極基体を切り出す(カッティング)。このカッティン
グの際に、レーザー光によりタングステン多孔質焼結体
およびろう材が溶融して陰極基体の縁部にばり(カット
ばり)が生じることがあり、また陰極基体表面に含浸後
の余剰の電子放射物質や酸化物が付着して陰極基体表面
が汚染されたりすることがある。
【0006】次いで、切断された陰極基体を、直径3〜
5mm程度のシリカボールやアルミナボールなどととも
に所定の容器に入れて撹拌(タンブリング)して、陰極
基体に存在するカットばりや酸化物および含浸後の余剰
の電子放射物質を除去する。こうして得られた陰極基体
は、純水による超音波洗浄などの方法により表面をクリ
−ニングし、電子放射面(ろう材塗布面の反対側面)に
スパッタ法などの方法によりIr、Os−Ruなどの金
属膜を形成することにより陰極基体(カソードディス
ク)を得る。なお、陰極基体にろう材を付着するのは陰
極基体を陰極構体の一部をなすカップにろう付けにより
固定するためである。
【0007】タンブリング工程は、切り出された陰極基
体とボールとを適当な容器に入れて撹拌装置で高速回転
することにより、極基体とボールとの間の機械的な摩擦
および研磨作用を発生させ、陰極基体表面に存在するカ
ットばり、酸化物および余剰の電子放射物質を除去する
ものである。すなわち、多孔質焼結体ウェハから基体金
属を切り出す時にタングステンからなる多孔質焼結体の
ばりだけでなく、ろう材に強靭なばりも形成される。こ
の強靭なろう材のばりはタンプリングにおける機械的な
摩擦および研磨作用により取り除くことが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、含浸型陰極
の電子放出特性は、電子放射物質の主要成分であるBa
およぴO(酸素)の加熱による陰極表面への供給量、お
よび陰極表面のBa−0単分子層の被覆率に支配され
る。実際のカラー受像管では高電圧を印加しているため
管内の残留ガスがイオン化し、陰極表面は残留ガスのイ
オン衝撃を受け、Ba−0をはじめとする表面の単分子
層が消失する。一方で陰極表面の開孔部から加熱により
陰極機体表面にBaおよびOが再供給されて拡散し表面
を被覆する。これらのパランスによりカラー受像管内に
おける含浸型陰極基体のエミッション特性、すなわち受
像管のアノ一ド電流特性が決定される。従って、イオン
衝撃後の陰極表面の単分子層の回復と被覆の度台を向上
(陰極の耐イオン衝撃性の向上)することが受像管のア
ノ一ド電流特性を向上し、もって受像管自体の性能を向
上するうえで重要となる。陰極の耐イオン衝撃性とエミ
ッション特性の関係を評価する手段のーつとして、エミ
ッシヨン電流のデユーティ(Duty)特性評価があ
る。
【0009】これは次のような方法で行われる。陰極基
体とアノ一ド(この場合のアノ一ドは通常の2極管にお
ける陽極を指す)によりブラウン管(真空管)内で2極
管を構成して、アノ一ドにパルス電圧を印加して一定時
間経過後にエミッション電流を評価する。この際、パル
ス電圧Vpおよぴパルス周期Tをある一定値に保った状
態で、Tに対するパルス幅τの割合、すなわちデューテ
ィ(=(τ/T)×100%)を種々変化させるもので
ある。デューティが大きく(小さく)なるとパルス電圧
の印加時間が長く(短く)なってブラウン管内の残留ガ
スによる陰極基体表面へのイオン衝撃の割合が大きく
(小さく)なると考えられることから、この時のエミッ
ション電流の多寡が陰極基体の耐イオン衝撃性の良否を
評価する手段となる(耐イオン衝撃性良好−エミッショ
ン電流大)。この場合の評価条件の例として、陰極基体
−アノ一ド間距離:0.11mm、Vp=150V、T
=l0msec、τ=10〜900μsec.(Dut
y=0.1〜9%)とした。
【0010】従来の製造方法により製造された含浸型陰
極基体を前記のDuty特性評価方法により評価したと
ころ、デューティが大きくなるとエミッション電流が著
しく劣化するという欠点があることが判明した(図5参
照)。このことは前記の事項から次に述べる理由による
ものと考えられる。
【0011】すなわち、従来の陰極基体の製造方法で
は、電子放射物質が含浸された多孔質焼結体ウェハにレ
ーザー光を照射して陰極基体を切り出す時に、レーザー
光によりタングステン多孔質焼結体およびろう材が溶融
して陰極基体の縁部にばり(カットばり)が生じ、また
陰極基体表面に含浸後の余剰の電子放射物質や酸化物が
付着する。そこで、陰極基体をシリカボールやアルミナ
ボールなどとともに撹拌(タンブリング)して、陰極基
体に存在するカットばりや含浸後の余剰の電子放射物質
や酸化物を除去している。しかし、このタンブリング工
程では、陰極基体表面に存在するカットばり、余剰の電
子放射物質および酸化物を除去されるだけでなく、ボー
ルによる摩擦および研磨作用により陰極基体の最表面の
タングステン粒が平面状に引き伸ばされたようになり、
表面に形成していた開孔の一部が目潰れを生じる。この
結果、陰極基体は、電子放射物質の表面への供給源であ
る陰極基体表面の開孔が目潰れを起こす度合いが大変多
く、しかも開孔間の平均距離も大きくなっている。
【0012】このため、前述したようにデユーティ特性
評価方法の実施においてブラウン管内の残留ガスにより
陰極基体表面へのイオン衝撃を受け、Ba、Oなどから
なる陰極基体表面の単分子層が消失した時に、従来の製
造方法による含浸型陰極は、開孔の目潰れによって、イ
オン衝撃によって単分子層が消失した後のBa、O等の
再供給が不充分となる。また、開孔間の平均距離が大き
くなるために、再供給された電子放射物質がエミッショ
ンの回復するのに充分な量まで表面を拡散および被覆し
うる前に再度イオン衝撃により消失する。このため、エ
ミッション電流が劣化すると考えられる。
【0013】このように従来は、耐イオン衝撃性の向上
により電子放出特性の向上が可能なイオン衝撃後の電子
放射物質の表面への再供給および表面濃度回復時間を改
善し、エミッション特性が良好な含浸型陰極基体を得る
ことが要求されれいた。
【0014】本発明は、耐イオン衝撃性の向上により電
子放出特性の向上が可能なイオン衝撃後の電子放射物質
の表面への再供給および表面濃度回復時間を改善し、エ
ミッション特性が良好で従来の課題を解決した含浸型陰
極基体の製造方法を提供することを課題とする。また、
本発明は前記の含浸型陰極基体を用いた陰極構体を提供
することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の陰極構
体は、高融点金属の多孔質焼結体からなる基体金属に電
子放射物質を含浸した含浸型陰極基体を備え、この含浸
型陰極基体の電子放射面に平均直径0.5μm以上の開
孔が2×l04 個/mm2 以上存在するものであること
を特徴とする。
【0016】この発明の構成よれば、耐イオン衝撃性の
向上により電子放出特性の向上が可能なイオン衝撃後の
電子放射物質の表面への再供給および表面濃度回復時間
を改善し電子放射特性が良好な含浸型陰極基体を備えた
陰極構体を得ることができる。
【0017】請求項2の発明の含浸型陰極基体の製造方
法は、高融点金属からなる多孔質焼結体ウェハを形成す
る工程と、この多孔質焼結体ウェハにレーザ光を照射し
て基体金属を切り出す工程と、切り出された前記基体金
属に電子放射物質を含浸する工程と、電子放射物質を含
浸した前記基体金属を振動させて前記基体金属の表面に
存在するばりおよび電子放射物質を除去する工程とを具
備することを特徴とする。
【0018】請求項2の発明によれば、基体金属の表面
に存在するカットばりや余剰電子放射物質を取り除くの
に際して、タンブリングを行うことがなく、これにより
基体金属の表面における開孔を目潰しすることを抑制で
きる。
【0019】請求項3の発明の含浸型陰極基体の製造方
法は、多孔質焼結体をウェハ状に切断して多孔質焼結体
ウェハを形成する工程と、切断した前記多孔質焼結体ウ
ェハにおける最表面の高融点金属に対してエッチングを
施す工程と、エッチングを施した前記多孔質焼結体ウェ
ハにレーザ光を照射して基体金属を切り出す工程と、切
り出された前記基体金属に電子放射物質を含浸する工程
と、電子放射物質を含浸した前記基体金属を振動させて
前記基体金属の表面に存在するばりおよび電子放射物質
を除去する工程とを具備することを特徴とする。
【0020】請求項3の発明によれば、請求項1の作用
に加えて多孔質焼結体からウェハを切断する時に生じる
多孔質焼結体の表面の開孔の目潰しを取り除くこともで
きる。
【0021】請求項4の発明の含浸型陰極基体の製造方
法は、高融点金属からなる多孔質焼結体ウェハを形成す
る工程と、前記多孔質焼結体ウェハの一方の面にろう材
を斑点状に並べて塗布する工程と、前記多孔質焼結体ウ
ェハにその一方の面側からレーザ光を照射して斑点状の
各ろう材毎にそのろう材を囲む多孔質焼結体の部分を切
り出して基体金属を得る工程と、得られた基体金属に電
子放射物質を含浸する工程と、電子放射物質を含浸した
前記基体金属を振動させて前記基体金属の表面に存在す
るばりおよび電子放射物質を除去する工程とを具備する
ことを特徴とする。
【0022】請求項5の発明の含浸型陰極基体の製造方
法は、多孔質焼結体をウェハ状に切断して多孔質焼結体
ウェハを形成する工程と、切断した前記多孔質焼結体ウ
ェハにおける最表面の高融点金属に対してエッチングを
施す工程と、エッチングを施した前記多孔質焼結体ウェ
ハの一方の面にろう材を斑点状に並べて塗布する工程
と、前記多孔質焼結体ウェハにその一方の面側からレー
ザ光を照射して斑点状の各ろう材毎にそのろう材を囲む
多孔質焼結体意の部分を切り出して基体金属を得る工程
と、得られた基体金属に電子放射物質を含浸する工程
と、電子放射物質を含浸した前記基体金属を金属製のメ
ッシュ上で振動させて前記基体金属の表面に存在するば
りおよび電子放射物質を除去する工程とを具備すること
を特徴とする。
【0023】請求項4および請求項5の発明によれば、
請求項2および請求項3の作用に加えて、基体金属切り
取りに際して陰極基体固着用ろう材面形成側とは反対側
から基体金属にレーザ光を照射して、基体金属を形成す
る多孔質焼結体のばりのみを形成することにより、基体
金属のばりの取り除きをさらに一層容易にすることがで
きる。
【0024】請求項6の発明によれば、請求項2ないし
5のいずれかに記載の含浸型陰極基体の製造方法におい
て、電子放射物質を含浸した前記基体金属を振動させて
前記基体金属の表面に存在するばりおよび電子放射物質
を除去する工程は、前記基体金属を金属製のメッシュ上
に載せて行うものであることを特徴とする。
【0025】この発明によれば、基体金属を適切な環境
で確実にばりおよび余剰電子放射物質の除去を行うこと
ができる。請求項7の発明は、請求項3または5に記載
の含浸型陰極基体の製造方法において、前記多孔質焼結
体に対してこれをウェハ状に切断する前に銅または合成
樹脂含浸する工程と、切断された多孔質焼結体ウェハか
ら含浸成分を取り除く工程を具備することを特徴とす
る。
【0026】この発明によれば、多孔質焼結体の形状を
安定させ、且つ多孔質焼結体をウェハ状に切断する際に
潤滑作用をもたすことができる。請求項7の発明は、請
求項2ないし5のいずれかに記載の含浸型陰極基体の製
造方法において、電子放射物質を含浸した前記基体金属
を金属製のメッシュ上で振動させて前記基体金属の表面
に存在するばりおよび電子放射物質を除去する工程の後
に、前記基体金属を50〜100℃に加熱したオルトリ
ン酸に浸漬する工程を具備することを特徴とする。この
発明によれば、基体金属の表面に残存付着する異物をず
べて取り除くことができ、異物により障害を全て取り除
くことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態につい
て図1ないし図6を参照して説明する。この実施の形態
における含浸型陰極基体の製造方法について図1(a)
ないし(e)および図2(a)ないし(f)を参照して
説明する。この実施の形態では、陰極基体の基体金属を
形成する高融点金属としてタングステンを採用してい
る。
【0028】まず、図1(a)に示すように平均粒径3
μmのタングステン粉末を焼結して得られた例えば直径
90mm、厚さ25mmの棒形の除多孔質焼結体Aの空
孔部に銅を含浸させる。こうして得た多孔質焼結体Aを
ワイヤソーなどにより厚さ約0.3mmのウェハ状に切
断し、図1(b)に示すように多孔質焼結体ウェハ11
を得る。
【0029】次いで、図1(c)に示すように多孔質焼
結体ウェハ11を、例えば水:フェリシアン化カリウ
ム:水酸化ナトリウム=80:15:5重量%比、液温
25℃からなる水溶液に3分間浸漬することによって多
孔質焼結体ウェハ11における最表面の高融点金属であ
るタングステンをエッチングする。このエッチング後に
多孔質焼結体ウェハ11を十分に水洗して乾燥させる。
このエッチング処理は、多孔質焼結体Aをワイヤソーな
どによりウェハ状に切断することにより、多孔質焼結体
ウェハ11の表面における目潰れした開口を孔明けする
ためのものであり、これにより多孔質焼結体Aをウェハ
状に切断することによる開口の目潰れを解消する。
【0030】次いで、エッチングを施した多孔質焼結体
ウェハIlaは、硝酸により焼結体中の銅を溶解させ
る。次いで、水素雰囲気中、1500℃×30分で加熱
することにより含浸されていた銅を全く除去して図1
(d)に示す多孔質焼結体ウェハ12aを得る。
【0031】次いで、図1(e)に示すように多孔質焼
結体ウェハ12aの片面全体にペースト状のRuーMo
ろう材13をスクリーン印刷法により多数箇所に斑点
(ドット)状に形成する。この場合、ドットの直径は製
作しようとする陰極基体(基体金属)の直径よりわずか
に小さく(直径0.9mm)なるようにスクリーンパタ
ーンで調節する。ろう材は水素雰囲気中で2080℃で
溶融する。なお、図1(e)では多孔質焼結体ウェハ1
2aの片面の一部にろう材13を形成した状態を示して
いる。
【0032】次いで、図2(a)に示すようにこうして
得られた多孔質焼結体ウェハ12の一方の面に斑点状に
塗布された各ろう材13毎に、そのろう材13の斑点が
中心となるように1つずつレーザ光を用いて例えば直径
1.1mmにディスク状に切断(カッティング)して多
数の基体金属14aを切り出す。この場合、レーザ光は
多孔質焼結体ウェハ12に対してそのろう材塗布面側か
ら照射し、且つろう材13の周囲を囲む多孔質焼結体ウ
ェハ12(タングステン)の部分のみを照射して切断す
る。また、基体金属14aの外周縁(切断線)には、多
孔質焼結体ウェハ12を形成する高融点金属であるタン
グステンのばり16(カットばり)が、多孔質焼結体ウ
ェハ12のろう材形成面側に向けて生じる。すなわち、
基体金属14aにはタングステンのみのばり16が生じ
る。なお、図2(a)は切り出した一部の基体金属14
aを示している。
【0033】次いで、図2(b)のように、酸化バリウ
ム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化ア
ルミニウム(Al23 )からなる電子放射物質15を
例えば水素雰囲気中、165O℃に加熱して基体金属1
4a内の空孔部に含浸させる。ここでは、電子放射物質
15は、例えばBaO:CaO:Al23 =4:1:
1のモル比からなる。図2(c)に示すように電子放射
物質15が含浸された基体金属14bには、ろう材形成
面側にカッティングの際に生じた溶融タングステンのカ
ットばり16が存在し、また電子放射物質含浸時に基体
金属14bに付着した余剰の電子放射物質17が付着し
ている。なお、図2(b)および図2(c)は夫々一部
の基体金属14bのみを示している。
【0034】次いで、図2(d)に示すようにモリブデ
ンからなるカップ19の底面部に40メッシュ程度のモ
リブデンメッシュ18を敷き、その上に適宜な数の基体
金属14bを入れる。さらにその上に40メッシュ程度
のモリブデンメッシュを被せ、カップ19に蓋をする。
蓋をしたカップ19をバイプレータ20に固定し、バイ
プレータ20を駆動してカップ19を例えば2000r
pm程度の振動数で20〜30分振動させる。これによ
りカップ19に入れた基体金属14bを振動して、基体
金属14bに存在するカットばり16が除去するととも
に、基体金属14bに付着した余剰の電子放射物質17
を除去する。
【0035】この場合、電子放射物質を含浸した基体金
属14bを振動させて基体金属14bの表面に存在する
ばりおよび電子放射物質を除去する工程は、基体金属1
4bをこの基体金属14bに合せた金属製のメッシュ上
に載せて行うので、基体金属14bを適切な環境で確実
にばりおよび余剰電子放射物質の除去を行うことができ
る。
【0036】次いで、図2(e)に示すようにこの基体
金属14bを純水による超音波洗浄を施すことにより、
前段階工程における振動により除去できず基体金属14
bに残存していた余剰の電子放射物質17を全て除去
し、さらに基体金属14bをエタノ一ルで水分を置換し
た後に例えば温度150℃で30分間乾燥させて清浄な
基体金属14を得る。
【0037】前述したように多孔質焼結体ウェハ13か
ら基体金属14aを切り出す際に、基体金属14aには
これを形成する高融点金属であるタングステンのばり1
6のみが形成される。このタングステンからなるばり1
6はろう材からなるばりに比較して脆いものであり、タ
ンブリング法によらず本工程における振動により方法で
も充分取り除くことができる。そして、この振動により
基体金属14bに存在するカットばり16および余剰の
電子放射物質17を取り除く方法は、タンブリング法と
は異なりボールなどの摩耗体が存在せず、基体金属14
bを形成するタングステンの表面における開口の目潰し
することがほとんどない。なお、図2(e)は一部の基
体金属14aのみを示している。
【0038】次いで、図2(f)に示すように基体金属
14の他方の面である電子放射面に、Ir,Os−Ru
などの金属をスパッタ法などにより付着させて被膜15
を形成することによって陰極基体3を製造する。なお、
図2(f)は一部の陰極基体3のみを示している。
【0039】このようにして陰極構体を製造する方法で
は、基体金属の表面に存在するカットばりや余剰電子放
射物質を取り除くのに際して、タンブリングを行うこと
がなく、これにより基体金属の表面における開孔を目潰
しすることを抑制できる。このため、基体金属表面にお
ける開孔が目潰れを起こすことがなくなり,開孔間の平
均距離も小さくなる。目潰れがなくなることによって耐
イオン衝撃性に優れ,エミッション特性が良好な含浸型
陰極基体を得ることができる。
【0040】また、この陰極構体の製造方法では、多孔
質焼結体Aをワイヤソーなどによりウェハ状に切断して
得た多孔質焼結体ウェハ11の表面における最表面の高
融点金属であるタングステンをエッチング処理すること
により、多孔質焼結体Aをウェハ状に切断することによ
る開口の目潰れを解消することができ、陰極基体の特性
向上に寄与することができる。
【0041】このようにして製造した陰極基体3の表面
をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した写真を図
3に示す。また、比較例として従来の製造方法により得
られた陰極基体表面の観察写真を図4に示す。図3と図
4とを比較すると、図3に示される陰極基体3の表面
は、図4に示される従来の陰極基体3の表面に比較して
開口の目潰れが大変少ないことが判る。
【0042】このようにして製造した陰極基体3を組み
込んだ陰極構体について図6を参照して説明する。カッ
プ2の内部に、本発明の方法によって製作された陰極基
体3が電子放射面を外側にして嵌合され、陰極基体3に
形成したろう材13を介してカップ2の底面部にろう付
けされている。さらに、カップ2はスリーブ1の一端部
の内側に、その一端部開口縁とほぽ同一面となるように
固定されている。スリーブ1と、このスリーブ1の外側
に同軸的に配置されたカソードホルダ4とは、一端部が
スリーブ1の他端部外側面に、他端部が複数個(図面で
は3個)のストラップ5に固定されている。このストラ
ップ5はカソードホルダ4の一端部に形成された内側張
り出し部に取り付けられている。また、陰極基体3はス
リーブ1の内側に挿入されたヒータ6により加熱される
になっている。
【0043】このような構成をなす含浸型陰極構体に陽
極を備えつけて2極管を構成し、電子放射特性として前
記のデューティ特性を評価した。この場合の評価条件は
以下のとおりである。陰極動作温度は1300K、パル
ス電圧:Vp=150V、パルス周期:T=10mse
c.、パルス幅:τ=10〜900、μsec.(デュ
ーティ=0.1〜9%)のパルスを陰極一陽極間に印加
して、エミッション電流を測定した。
【0044】図5は、本発明の製造方法により製造され
た含浸型陰極基体と従来の製造方法により製造された含
浸型陰極基体のデューティ特性を示す線図である。この
線図には、各製造法で製造された陰極基体の電子放射面
をAFM(原子間力顕微鏡)で観察した際の、平均直径
が0.5μm以上の開孔(pores)のカウント数も
示している。本実施の形態の陰極基体の開孔数は4×l
4 pores/mm2 である。線図で示されるように
デューティが0.1%では、本発明例と従来例とには差
はなかった。しかし、1%を越えると両者の電子放射特
性に差が生じ、デューティ9%になるまで、本発明によ
る含浸型陰極基体のほうがエミッション電流が大きくな
った。
【0045】これは次に述べる理由によるものと考えら
れる。図3の写真でも明らかなように、本発明の製造方
法による含浸型陰極基体の表面には、従来の製造方法に
よる含浸型陰極基体の表面より多くの開孔が形成され、
目潰れも生じていない。このため、デューティが増して
管内の残留ガスにより陰極表面がイオン衝撃を受けて表
面の単分子層が消失する量が増しても、Ba、Oなどの
供給源である開孔が多数存在するために再供給が充分行
われる。また、開孔間の平均距離も小さくなるために、
イオン衝撃を受けて消失した単分子層は、再供給された
Ba、Oなどが短時間で陰極表面を拡散および被覆する
ことにより、従来より短時間で再形成されるようにな
る。これらの効果によりエミッション電流の劣化が抑え
られると考えられる。
【0046】すなわち、基体金属の表面の開孔が目潰れ
を起こすことがなくなり、各開孔間の平均距離も小さく
なる。目潰れがなくなることによって、陰極表面のイオ
ン衝撃によって表面の単分子層が消失してもBa、Oな
どの再供給は充分行われるようになる。また、基体金属
の開孔間の平均距離が小さくなることによって、再供給
された電子放射物質は、再度イオン衝撃を受けてもエミ
ッションが回復するのに充分な量まで表面を拡散および
被覆することが容易にできるようになる。従って、耐イ
オン衝撃性に優れ、エミッション特性が良好な含浸型陰
極基体を得ることができる。
【0047】これらの点を裏付けるために、オージェ電
子分光法(AES)による定性分析を行った。AES装
置内に本発明および従来の製造方法による製造した含浸
型陰極基体を組み込んだ陰極構体をセットし、外部電源
からヒータに電圧を印加して陰極を加熱する。加熱状態
のままで、陰極基体の基体金属表面にアルゴンイオンを
照射する。この時、アルゴンイオン照射前後の陰極基体
の基体金属表面のBa−Oの検出強度の時間変化を同時
に検出する。アルゴンイオン照射(残留ガスによるイオ
ン衝撃に相当する)により陰極基体の基体金属表面のB
a−Oは消失し、その後時間とともにBa−Oの強度は
回復していく。消失後のBa−0強度が初期(アルゴン
イオン照射前)の平均強度レペルにまで回復するまでの
平均所要時間を比較したところ、従来の製造方法の含浸
型陰極は平均3分であったのに対し、本発明の製造方法
の含浸型陰極基体は平均1.1分であった(カソード温
度1300K)。このことは本発明の製造方法による効
果の優位性を物理的に表している。
【0048】本発明の製造方法によれば、電子放射面に
おける平均直径が0.5μm以上の開孔のカウント数は
2×104 pores/mm2 以上である陰極基体を得
ることができる。この値はデューティ特性を改善する上
で必要である。カウント数が前記の値未満であるとデュ
ーティ特性の改善には不十分である。
【0049】本発明は前述した第1の実施の形態に限定
されずに、種々の形態で実施することができる。例えば
前述した製造方法から、水:フェリシアン化カリウム:
水酸化ナトリウム水溶液により多孔質焼結体ウェハのタ
ングステンをエッチングする工程を省略することができ
る。この実施の形態の方法により製造されたアユーア陰
極基体は、図6に示すような陰極構体を組立て、前述し
た前記実施の形態と同様の方法でデューティ特性を評価
した。図5の線図において、この実施の形態により製造
された含浸型陰極構体のデューティ特性およぴ開孔(p
ore)のカウント数を示している。この実施の形態の
陰極基体の開孔数は2.5×104 pores/mm2
である。図5の線図から明らかなように従来の製造方法
により製造した陰極基体よりも電子放射面の開孔数が増
えたことによってデューティ特性が向上していた。
【0050】また、第1の実施の形態において基体金属
14bにメッシュ上での振動を加えて基体金属に残存し
ていたばり16および余剰の電子放射物質17を除去す
る工程に後に、基体金属を純水により超音波洗浄する工
程に替って、オルトリン酸により超音波洗浄する工程を
採用することができる。
【0051】このオルトリン酸により超音波洗浄する工
程は次に述べる方法で行う。オルトリン酸は50℃から
100℃の間に加熱する。メッシュ上での振動を加えて
残存していたばり16および余剰の電子放射物質17を
除去した基体金属14bを、加熱したオルトリン酸に1
分間浸漬して基体金属14bから余剰の電子放射物質を
除去する。次いで、基体金属14bに付着しているオル
トリン酸を純水で洗い流し、エタノ一ルに浸漬して水分
を置換する。150℃で30分乾燥させる。第1の実施
の形態により作成された陰極基体は、図6に示すような
陰極構体に組込み、第1の実施の形態と同様の方法でデ
ューティ特性を評価した。この実施の形態により作成さ
れた含浸型陰極のデューティ特性についても第1の実施
の形態とほぽ同様の特性が得られた。なお、第1の実施
の形態では電子放射物質のモル比を4:1:1とした
が、陰極基体の電子放射特性および寿命試験を満足する
ものであれば他のモル比でもよい。
【0052】また、余剰の電子放射物質の除去にオルト
リン酸を用いた場合、乾燥後に、真空中あるいは水素雰
囲気中での加熱を行ってもよい。また、多孔質焼結体ウ
エハ11を得る際に、前記実施の形態では多孔質焼結体
に銅を含浸させたが、銅に代ってプラスチックを含浸し
てもよい。この場合、多孔質焼結体への含浸に適切なプ
ラスチックを選択し、多孔質焼結体ウェハIlaからの
除去も適切な方法を選択すればよい。前述した実施の形
態では、電子放射面に膜15を形成して陰極基体として
いるが、電子放射面に膜15を形成しないものでも陰極
基体とすることができる。
【0053】
【発明の効果】請求項1の発明の陰極構体によれば、耐
イオン衝撃性の向上により電子放出特性の向上が可能な
イオン衝撃後の電子放射物質の表面への再供給および表
面濃度回復時間を改善しエミッション特性が良好な含浸
型陰極基体を備えたもの得ることができる。
【0054】請求項2の発明の含浸型陰極基体の製造方
法によれば、多孔質焼結体ウェハからレーザ光により基
体金属を切り出す際に基体金属に生じた基体金属の表面
に存在するカットばりや、基体金属に電子放射物質を含
浸した後に基体金属の表面に残存する余剰の電子放射物
質を取り除くために、基体金属を金属製のメッシュ上で
振動させる工程を採用するのでタンブリングを行うこと
がなく、これにより基体金属を形成する高融点金属から
なる多孔質焼結体の表面における開孔を目潰しすること
を抑制できる。
【0055】従って、陰極基体表面の開孔が目潰れを起
こすことが少なくなるとともに、開孔間の平均距離も小
さくなる。陰極基体表面の開孔の目潰れが少なくなるこ
とによって、陰極基体表面のイオン衝撃によって表面の
単分子層が消失しても電子放射物質の再供給は充分行わ
れるようになる。また、陰極基体表面の表面の開孔間の
平均距離が小さくなることによって、再供給された電子
放射物質は、再度イオン衝撃を受けてもエミッションが
回復するのに充分な量まで表面を拡散・被覆することが
容易にできるようになる。従って、耐イオン衝撃性に優
れエミッション特性が良好な含浸型陰極基体を得ること
ができる。
【0056】請求項3の発明の含浸型陰極基体の製造方
法によれば、多孔質焼結体からウェハを切断する時に生
じる多孔質焼結体の表面の開孔の目潰しを取り除くこと
もできる。
【0057】請求項4および請求項5の発明の含浸型陰
極基体の製造方法によれば、多孔質焼結体ウェハから基
体金属を切り取る際して陰極基体における固着用ろう材
面形成側とは反対側から基体金属にレーザ光を照射し
て、基体金属を形成する多孔質焼結体のばりのみを形成
することにより、基体金属のばりの取り除きをさらに一
層容易にすることができる。
【0058】請求項6の発明によれば、基体金属を振動
させてカットばりおよび余剰の電子放射物質を除去する
場合に、基体金属にとって適切な環境で確実にカットば
りおよび余剰の電子放射物質の除去を行うことができ
る。
【0059】請求項7の発明によれば、多孔質焼結体の
形状を安定させ、且つ多孔質焼結体をウェハ状に切断す
る際に潤滑作用をもたすことができる。請求項8の発明
によれば、基体金属の表面に残存付着する異物を全て取
り除くことができ異物により障害を全て取り除くことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における陰極基体の
製造方法の工程を示す説明図。
【図2】同実施の形態における陰極基体の製造方法の工
程を示す説明図。
【図3】同実施の形態の製造方法により製造された陰極
基体の表面を拡大して示す顕微鏡写真。
【図4】従来の製造方法により製造された陰極基体の表
面を拡大して示す顕微鏡写真。
【図5】同実施の形態の製造方法により製造された陰極
基体と従来の製造方法により製造された陰極基体の夫々
のデューティ特性を示す線図。
【図6】同実施の形態の製造方法により製造された陰極
基体を組み込んだ陰極構体を示す断面図。
【符号の説明】
1…スリーブ、 2…カップ、 3…陰極基体、 4…ホルダ、 6…ヒータ、 11…多孔質焼結体ウェハ、 11a…多孔質焼結体ウェハ、 12…多孔質焼結体ウェハ、 12a…多孔質焼結体ウェハ、 13…ろう材、 14a…基体金属、 14b…基体金属、 15…電子放射物質、 16…ばり、 18…メッシュ、 19…カップ、 20…バイブレータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 昭人 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 室 直人 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 松本 貞雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小山 生代美 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 宇田 英一郎 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4K018 FA06 FA31 KA22 5C027 CC12 CC14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点金属の多孔質焼結体からなる基体
    金属に電子放射物質を含浸した含浸型陰極基体を備え、
    この含浸型陰極基体の電子放射面に平均直径0.5μm
    以上の開孔が2×l04 個/mm2 以上存在するもので
    あることを特徴とする陰極構体。
  2. 【請求項2】 高融点金属からなる多孔質焼結体ウェハ
    を形成する工程と、この多孔質焼結体ウェハにレーザ光
    を照射して基体金属を切り出す工程と、切り出された前
    記基体金属に電子放射物質を含浸する工程と、電子放射
    物質を含浸した前記基体金属を振動させて前記基体金属
    の表面に存在するばりおよび電子放射物質を除去する工
    程とを具備することを特徴とする含浸型陰極基体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 多孔質焼結体をウェハ状に切断して多孔
    質焼結体ウェハを形成する工程と、切断した前記多孔質
    焼結体ウェハにおける最表面の高融点金属に対してエッ
    チングを施す工程と、エッチングを施した前記多孔質焼
    結体ウェハにレーザ光を照射して基体金属を切り出す工
    程と、切り出された前記基体金属に電子放射物質を含浸
    する工程と、電子放射物質を含浸した前記基体金属を振
    動させて前記基体金属の表面に存在するばりおよび電子
    放射物質を除去する工程とを具備することを特徴とする
    含浸型陰極基体の製造方法。
  4. 【請求項4】 高融点金属からなる多孔質焼結体ウェハ
    を形成する工程と、前記多孔質焼結体ウェハの一方の面
    にろう材を斑点状に並べて塗布する工程と、前記多孔質
    焼結体ウェハにその一方の面側からレーザ光を照射して
    斑点状の各ろう材毎にそのろう材を囲む多孔質焼結体の
    部分を切り出して基体金属を得る工程と、得られた基体
    金属に電子放射物質を含浸する工程と、電子放射物質を
    含浸した前記基体金属を振動させて前記基体金属の表面
    に存在するばりおよび電子放射物質を除去する工程とを
    具備することを特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。
  5. 【請求項5】 高融点金属からなる多孔質焼結体をウェ
    ハ状に切断して多孔質焼結体ウェハを形成する工程と、
    切断した前記多孔質焼結体ウェハにおける最表面の高融
    点金属に対してエッチングを施す工程と、エッチングを
    施した前記多孔質焼結体ウェハの一方の面にろう材を斑
    点状に並べて塗布する工程と、前記多孔質焼結体ウェハ
    にその一方の面側からレーザ光を照射して斑点状の各ろ
    う材毎にそのろう材を囲む多孔質焼結体の部分を切り出
    して基体金属を得る工程と、得られた基体金属に電子放
    射物質を含浸する工程と、電子放射物質を含浸した前記
    基体金属を振動させて前記基体金属の表面に存在するば
    りおよび電子放射物質を除去する工程とを具備すること
    を特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。
  6. 【請求項6】 電子放射物質を含浸した前記基体金属を
    振動させて前記基体金属の表面に存在するばりおよび電
    子放射物質を除去する工程は、前記基体金属を金属製の
    メッシュ上に載せて行うものであることを特徴とする請
    求項2ないし5のいずれかに記載の含浸型陰極基体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記多孔質焼結体に対してこれをウェハ
    状に切断する前に銅または合成樹脂を含浸する工程と、
    切断された多孔質焼結体ウェハから含浸成分を取り除く
    工程を具備することを特徴とする請求項3または5に記
    載の含浸型陰極基体の製造方法。
  8. 【請求項8】 電子放射物質を含浸した前記基体金属を
    金属製のメッシュ上で振動させて前記基体金属の表面に
    存在するばりおよび電子放射物質を除去する工程の後
    に、前記基体金属を50〜100℃に加熱したオルトリ
    ン酸に浸漬する工程を具備することを特徴とする請求項
    2ないし5いずれかに記載の含浸型陰極基体の製造方
    法、
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009238565A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Panasonic Corp 閃光放電管用陰極材の製造方法、閃光放電管用陰極材、及びそれを用いた閃光放電管用電極

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009238565A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Panasonic Corp 閃光放電管用陰極材の製造方法、閃光放電管用陰極材、及びそれを用いた閃光放電管用電極

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