JP2000123135A - 表示装置付き情報カード - Google Patents

表示装置付き情報カード

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JP2000123135A
JP2000123135A JP10293905A JP29390598A JP2000123135A JP 2000123135 A JP2000123135 A JP 2000123135A JP 10293905 A JP10293905 A JP 10293905A JP 29390598 A JP29390598 A JP 29390598A JP 2000123135 A JP2000123135 A JP 2000123135A
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JP
Japan
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card
information card
display
organic electroluminescence
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JP10293905A
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English (en)
Inventor
Tomonori Akai
伴教 赤井
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、表示装置付き情報カードに関
し、従来から使用されている情報カードの大きさの規格
の範囲内で、表示装置を付加することを課題とする。 【解決手段】 情報を記憶する記憶部と、記憶情報を表
示するための有機エレクトロルミネッセンス素子からな
る表示部と、表示部を駆動する制御部とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表示装置付き情
報カードに関し、特に有機エレクトロルミネッセンス素
子を表示装置として用いた表示装置付き情報カードに関
する。
【0002】
【従来の技術】今日、クレジットカードのようなカード
形態のメディアは、一般に磁気やICなどによる記録機
能がカード自体に付与されている。このカードを用いて
端末機からホストコンピュータにアクセスすることによ
り、本人であることの確認、情報の記録や確認等が行わ
れる。利用者はカードに書き込まれた情報、例えばクレ
ジットカードならば残金や引き落とし日等のデータを担
当者に聞くことなく一人で確認できる。さらにホストコ
ンピュータにアクセスする際には、暗号番号を入力する
ように設定することによって、カードを紛失したり、あ
るいはカードが誤って他人に渡った場合においても情報
内容が他人に漏れないようにすることができる。このよ
うにカード形態のメディアは、情報検索の容易さ、セキ
ュリティ、携帯性の点等で優れているため、従来より広
く用いられている。
【0003】しかし、現状において、このようなカード
形態のメディアは、それ自体に表示部を備えておらず、
カード自体に書き込まれた情報内容は、その情報を読み
出し可能な端末機に付随するディスプレイやスピーカー
によって確認される。すなわち、カードを直接見ること
により、書き込まれた情報内容を確認することはできな
い。
【0004】一方、携帯電話、ポケットベル、電子手帳
等の携帯情報端末機器では、液晶ディスプレイや無機物
を発光部に用いた無機エレクトロルミネッセンス素子の
ディスプレイが備えられているので、この内部に記憶さ
れた情報内容をすぐに確認できる。したがって、カード
形態のメディアにおいても、同様に、メディア自体で情
報内容を容易に確認できるものが要求される。また、例
えばクレジットカードを利用するキャッシュサービスコ
ーナーでは情報内容が端末機のモニターに大きく表示さ
れるので、端末機ごとに壁で仕切ることにより情報内容
を他人に見られないようにしている。さらに、カード形
態のメディアは、所定の規格に適合した読取端末器で読
取るため、厚み、強度、屈曲性(JIS−X6301に
規定)等の規格を満たす必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】カードメディアにディ
スプレイを搭載しようとする場合、カードに要求される
厚み(0.8mm)を満足するための薄型の表示素子を
利用する必要がある。液晶ディスプレイはテレビなどに
用いられているCRTディスプレイに比べて厚さを薄
く、重量を軽くできる等の特徴を持つことから、上述の
携帯情報端末機器やノート型パーソナルコンピュータの
ディスプレイとして現在広く用いられている。
【0006】図10に、従来の液晶ディスプレイの構成
の断面の概略図を示す。液晶組成物11を2枚の透明ガ
ラス基板12で挟み、2枚の透明ガラス基板12上には
それぞれ偏光板13が張り付けられ、さらに一方の偏光
板13上に反射板14が設置されている。つまり、最も
簡単な構成の液晶ディスプレイでも、少なくとも5枚の
基板から構成される。
【0007】また、液晶ディスプレイは自発光するもの
ではない。したがって利用者が暗所においても表示内容
を確認することが出来るようにするためには、上記の構
成要素に加えてバックライトが必要となる。また、カラ
ー表示をする為にはカラーフィルターが必要となる。上
記の構成を有する液晶ディスプレイは携帯情報端末機器
やノート型のパーソナルコンピュータに要求される程度
の厚さ(数mm以上)には対応できる。しかし上記のよ
うに何層もの基板から構成されているので、液晶ディス
プレイによってカードメディアの規格である0.8mm
という厚さを満たすのは、技術的に困難である。
【0008】また、ディスプレイを携帯情報端末機器や
ノート型のパーソナルコンピュータに用いる場合には屈
曲性は特に要求されないが、カードメディアは厚さだけ
ではなく、屈曲性も要求される。さらに、現在用いられ
ているほとんどのカードメディアはプラスチックで作製
されているので、カードにディスプレイを搭載しようと
する場合も、ディスプレイの基板としてはプラスチック
フィルムを用いることが要求される。また、液晶ディス
プレイの基板としてプラスチックフィルムを用いた場合
には、液晶素子の複屈折性という問題点が生じる。した
がって、複屈折性の問題をさけるために、現在市販され
ている携帯情報端末機器の液晶ディスプレイには、ガラ
ス基板が用いられている。液晶ディスプレイをカードメ
ディアに用いることは、このように屈曲性の点からも技
術的に困難である。
【0009】また、現在の液晶ディスプレイを備えた携
帯情報端末機器は、表示部や制御回路を駆動させるため
の電力供給源として、一次電池もしくは二次電池を搭載
している。しかし、カードメディアの電力供給源として
カード自体に一次電池もしくは二次電池を搭載するとす
れば、カードに要求される規格を満たすことは困難であ
る。また、電力供給源として一次もしくは二次電池を用
いると、電池が切れてしまうと使えなくなるという問題
もある。
【0010】そこで、表示部の搭載されたカードメディ
アを実現するためには、表示部がカードに要求される厚
みや屈曲性の規格を満たすこと、及び表示部や制御回路
部の駆動のための電力供給部をカードに搭載することが
課題となる。
【0011】この発明は、以上のような事情を考慮して
なされたものであり、カードメディアに記憶された情報
内容をカード自体で容易に確認することができるように
するために、現状のカードメディアの規格の範囲内で、
有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した表示装置
を有する情報カードを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、情報を記憶
する記憶部と、記憶情報を表示するための有機エレクト
ロルミネッセンス素子からなる表示部と、表示部を駆動
する制御部とを備えることを特徴とする情報カードを提
供するものである。ここで、前記有機エレクトロルミネ
ッセンス素子は、互いにマトリクス状に配置された透明
導電膜ラインと金属電極ライン、および前記透明導電膜
ラインと金属電極ラインとの間に挿入された有機薄膜層
とから構成できる。また、前記有機薄膜層は、ホール輸
送層と発光層とから構成できる。また、前記制御部は、
電磁誘導回路あるいは太陽電池を含む電力供給部を備え
る。また、前記表示部は、プラスチックフィルム上に貼
付され、封止用材料により封止されるようにしてもよ
い。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発
明が限定されるものではない。図1に、この発明の一実
施例である情報カードの概略図を示す。一般に、情報カ
ード31は、54mm×85mmの形状のプラスチック
フィルム基板21からなる。図1に示すように、この発
明の情報カード31は、有機エレクトロルミネッセンス
素子で構成される表示部32、表示部32を駆動するた
めのIC部33、情報内容を記録した磁気記録部34、
電力の供給を受ける電磁誘導回路部35、およびホスト
端末機から電力供給を行うためにカード中に埋め込まれ
た電極端子部36から構成される。
【0014】図2に、この発明の一実施例である情報カ
ードの断面図を示す。ここでは、表示部32が存在する
部分の断面図を示している。有機エレクトロルミネッセ
ンス素子で構成される表示部32は、情報カード31の
プラスチックフィルム基板2に貼り付けられ、封止用高
分子樹脂23で封止される。封止用高分子樹脂23は、
信頼性確保のために施されるものであり、有機エレクト
ロルミネッセンス素子部が外気と直接接触することによ
る機械的損傷、あるいは空気中の酸素や水分による有機
薄膜層や金属電極ラインの劣化を防いでいる。用いる高
分子樹脂には、これらの機械的強度や防湿性等が要求さ
れる。場合によっては数種類の高分子樹脂や高分子フィ
ルムを組み合わせても構わない。例えば、テフロン系の
ポリマーやポリカーボネート等は防湿性に優れており、
これらと熱可塑性樹脂との組み合わせによっても満たさ
れる。
【0015】磁気記録部34には、例えば、プリペイド
カードとして用いる場合を例にとると、カード発行年月
日、額面金額、有効期限、暗唱番号、カード使用残高、
使用店舗等が記憶される。
【0016】屈曲性に関して、基板はプラスチックであ
り、それ以外の構成要素も情報カードに使用するための
十分な屈曲性を有している。
【0017】また、情報カード31の情報を読みとる場
合には、図3に示すように、情報カードをピックアップ
モジュール37に近づけることによって、IC部33に
電磁誘導によって非接触で電力の供給がされる。電力が
供給されたIC部33は、磁気記録部34に記録された
情報を読み取る。IC部33が読み取った情報は、情報
カードの表示部32に表示される。また、セキュリティ
上の観点から、情報を表示させる際に、暗号番号を端末
装置から入力するようにすることが好ましい。
【0018】表示部32は単色、フルカラーのいずれで
もよい。表示部32の表示面積は、情報カード31上に
IC部33や電磁誘導回路部35を設置した残りの部分
に収納でき、必要な文字、図形等の情報を表示できる程
度の大きさであればよい。
【0019】図4は、この発明の情報カード31に、非
接触で表示部の駆動のための電力を供給する装置の構成
の概略図である。ここでは、電力供給方法として電磁誘
導を用いた場合について示す。情報カード31を端末機
側のピックアップモジュール37に設置すると、ホスト
コンピュータ43からのアクセスにより、データ線42
を通してデータ信号がドライブ回路モジュール38に送
信される。送信されたデータ信号に従ってドライブ回路
モジュール38中の高周波電源40が作動し、電極39
を通して情報カード31の基板の中に埋め込まれた電極
36に、電力が非接触で供給される。情報カード31に
電力が供給されると、この電極36とIC部33とは接
続されているので、IC部33が駆動される。そして、
IC部33は、情報カード31に搭載された有機エレク
トロルミネッセンス素子からなる表示部32に、記録情
報を表示させる。
【0020】図5は、この発明の電磁誘導に係わる部分
の回路構成図である。ピックアップモジュール37に配
置される電力誘導回路は、発振器51、高周波電力ドラ
イバ52および一次コイル53で構成される。情報カー
ド31側の電磁誘導回路部35は、二次コイル54およ
び整流回路55で構成され、表示部32を駆動するIC
部33を通して、表示部32へも電力を与える。表示部
32に電力を供給するための電磁誘導回路部35は情報
カード31の上に構成される。なお、電磁誘導回路部3
5はカードの表面だけでなく、場合によっては多層プリ
ント配線板に用いられているように層間をスルホールで
接続し層状の回路構成にしてもよい。
【0021】図5において、一次コイル、二次コイルの
間は非接触であるが、電磁誘導により一次コイル53に
発生した電力が二次コイルに受け渡される。すなわち、
ドライブ回路モジュール38の高周波電源から供給され
た電力は、発振器51によって例えば400kHz程度
の高周波に変換され、高周波電力ドライバ52によって
一次コイルに運ばれる。電力の供給を受ける情報カード
31では、二次コイル54によって一次コイルで発生し
た電力を受け取る。二次コイル54において電磁誘導で
供給される電力は交流であるが、IC部33及び有機エ
レクトロルミネッセンス素子32は直流で駆動されるの
で、整流回路55にて直流に変換され、IC部33及び
有機エレクトロルミネッセンス素子32に供給される。
なお、電力供給のために電磁誘導回路35を用いた場合
においても、有機エレクトロルミネッセンス素子は連続
的な発光表示が可能である。以上が、情報カード31に
電磁誘導回路部35を備えた場合の実施例である。
【0022】次に、非接触で情報カードへの電力を供給
する他の実施例として、太陽電池を情報カードに組み込
んだ実施例を示す。図6に、太陽電池61を備えた情報
カードの一部分の概略図を示す。太陽電池61は、情報
カード31の表面に配置され、IC部33と電気的に接
続される。
【0023】この場合、端末機側のピックアップモジュ
ール37には、カードに光を照射するための発光部を設
ける。情報カード31をピックアップモジュール37に
近づけ所定の位置にセットすると、光が発光部からカー
ドへ照射される。照射された光はカードに搭載された太
陽電池61に当たり、電子・ホール対が作られて電力が
発生する。生じた電力はIC部33を通して、表示部3
2へも与えられる。電力供給を太陽電池61で行う場合
は、電力は直流で供給されるので、電磁誘導を用いる際
に必要であった整流回路55は不要となり、情報カード
内部の回路をより簡素化できる。
【0024】電磁誘導、もしくは太陽電池により供給さ
れた電力が表示部の駆動回路であるIC部33に与えら
れると、例えば図7に示すようにドットマトリックス状
にパターニングさた有機エレクトロルミネッセンス素子
32にIC部33から表示に必要な信号が与えられ、磁
気記録部34に記憶されている文字、図形等の情報が表
示部32に点灯表示される。
【0025】図7に、情報カードの表示部32である有
機エレクトロルミネッセンス素子の一実施例の構成図を
示す。ここでは、ドットマトリックス状にパターニング
され、単色の発光が得られる有機エレクトロルミネッセ
ンス素子を示している。実際の有機エレクトロルミネッ
センス素子においては信頼性確保のために封止用高分子
樹脂23によるコーティング処理が施されているが、説
明のために図2に示した封止用高分子樹脂23は省略し
ている。
【0026】有機エレクトロルミネッセンス素子は、プ
ラスチックフィルム基板21上に形成され、透明導電膜
72、有機薄膜層73、及び金属電極74から構成され
る。透明導電膜72には、ITOを用いることができ
る。透明導電膜72は、フォトリソグラフィ法等を用い
て、プラスチックフィルム基板21上にストライプライ
ン状にパターニングされる。この透明導電膜72の上に
全面にわたって有機薄膜層73が形成される。有機薄膜
層73は、後述するように2つの層からなる。
【0027】さらに、この有機薄膜層73の上に金属電
極74がストライプライン状に形成される。金属電極7
4は、マスクや隔壁を使った手法によりパターニングさ
れるが、金属電極74のライン方向は透明導電膜72の
ライン方向と直交するようにパターニングされる。発光
色を2色以上にする場合には、有機薄膜層73を全面に
形成せずに、画素となるドット毎に、有機層薄膜73を
発光色が異なる種類のものとすればよい。
【0028】図8にドットマトリックス状に形成された
有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動原理の説明図
を示す。ここで示す駆動方法は、液晶ディスプレイにお
いて用いられるものと同様である。図8に示すディスプ
レイは、列電極(信号電極)81がm本(Y1,Y2,
…,Ym)、行電極(走査電極)82がn本(X1
2,…,Xn)によって構成されるm×n画素のディス
プレイであるとする。
【0029】情報カードのIC部33が、行電極82を
上から下へ走査するために、選択信号が順次行電極に与
えられる。選択された行電極82はある一定時間保持さ
れ、その間は行電極と列電極が交差するm個の画素が動
作状態にある。一方、列電極81には、発光させたい位
置の画素に表示信号が一定時間与えられる。1行目から
n行目までの行電極で走査が進み、1画面分の信号アド
レスが完了する。n行目の行電極まで走査が完了する
と、走査が1行目に戻り、繰り返されて画面が表示され
る。連続的に画像を表示させるためには、この画面走査
が繰り返し実行される。
【0030】このような駆動を実現するための駆動回路
であるIC回路33としては、有機エレクトロルミネッ
センス素子において得られる発光輝度は電流の大きさに
ほぼ比例するので、電流制御型の駆動回路を用いること
が好ましい。
【0031】図9に、図7のようなドットマトリックス
にパターンニングされた有機エレクトロルミネッセンス
素子の断面図を示す。プラスチックフィルム基板21
は、厚みが0.1〜0.3mm程度のポリカーボネー
ト、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタラート等の高
分子フィルムからなる。この基板21の上に、透明導電
膜72、例えばITOが1500〜2000Åの厚さに
スパッタリング、エレクトロンビーム蒸着法等の手段に
より形成される。
【0032】透明導電膜72の上に、ホール輸送層7
6、発光層75からなる有機薄膜層73が形成される。
ホール輸送層76は、フォソリソグラフィー工程等で透
明導電膜72をストライプラインにパターン形成した構
造上に、ポリアミン、フタロシアニン、その他の正の電
荷を輸送するホール輸送材によって形成される。発光層
75は、さらにその上部に形成された電子輸送を受け持
つ層であり、アルミキノリノール等の発光材を用いるこ
とができる。これら2つの層(75,76)からなる有
機薄膜層73は、600Å程度の厚さになるように、た
とえば抵抗加熱蒸着法等で形成すればよい。
【0033】また、これらの有機薄膜層73を形成する
際に、有機エレクトロルミネッセンス素子の特性や耐久
性を向上させるために、ホールを輸送するホール輸送層
76を2層にしたり、発光層75中にキナクリドン、ル
ブレン、クマリン6といった蛍光性の色素をドーピング
してもよい。また、素子の特性を改善するために発光層
75を形成した後に、さらに電子輸送を受け持つ有機薄
膜層を抵抗加熱蒸着法で形成してもよい。さらに、ホー
ル注入効率を高めるために、上記のようなホール輸送材
を複数重ねて形成してもよい。有機薄膜層の薄膜構成に
ついては発光材の役割を担う層75は絶対に必要である
が、それ以外のホール輸送層76については、素子の特
性を高くすることのできる材料を用いればよく、様々な
タイプが考えられる。
【0034】有機薄膜層73を形成した後、金属電極7
4がその上部に形成される。金属電極74は、電子の注
入が容易な仕事関数の小さな金属、例えばリチウム、マ
グネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属を用
いればよく、抵抗加熱蒸着法やエレクトロンビーム法等
で10〜2000Å程度形成する。アルカリ金属やアル
カリ土類金属は単体では大気中の酸素によって酸化され
て信頼性に問題が生じるので、アルミニウム、インジウ
ム、銀等の比較的酸化されにくい金属と共蒸着をするこ
とが好ましい。また、これらの有機薄膜層73や金属電
極74を形成する際に、マスクや隔壁を使用することに
よって、ドットマトリックスディスプレイにするために
必要なパターンを形成することができる。
【0035】以上の工程に続き、素子の信頼性確保のた
めに、上記構造の上に封止用高分子樹脂23をコーティ
ングする。このようにして、厚みが0.8mm以下の有
機エレクトロルミネッセンス素子が構成される。ここ
で、基板21と封止用高分子樹脂23を除いた部分の厚
さは1μm以下である。このような有機エレクトロルミ
ネッセンス素子を用いれば、現在使用されている情報カ
ードに、現在の大きさの規格の範囲内で表示装置を組み
込むことができる。
【0036】最後に、有機エレクトロルミネッセンス素
子の発光の原理を説明する。フォトリソグラフィー工程
等の手法により、パターン形成されたITO等の透明導
電膜72が陽極、金属電極74が陰極となるように直流
電圧を印加する。透明導電膜72から注入されてホール
輸送層76を通ってきたホールと金属電極74から注入
された電子が、発光層75中で所定の確率で再結合する
と、発光層75において励起状態が形成される。この励
起状態が基底状態に緩和する際にエレクトロルミネッセ
ンスの発光が観測される。発光色は使用する発光材によ
って変えることができる。発光材は有機物であり、数多
くの種類が開発されているので、適宜選択することによ
り希望に応じた発光色を得ることができる。したがっ
て、フルカラー表示も含め、使用目的に応じた様々な色
で表示する情報カードを作製することができる。
【0037】例えば、発光層にアルミキノリノールを用
いた場合には、緑色の表示ができる。また、印加電圧を
5Vとすれば、情報カードの表示部32として必要十分
な100cd/m2の輝度を得ることができる。また、
情報カードの基板21にプラスチックフィルムを用い
て、その上に有機エレクトロルミネッセンス素子を形成
しているので、カードに要求される厚みや屈曲性を満足
できる。
【0038】
【発明の効果】この発明によれば、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子を用いて表示部を形成しているので、従
来から使用されている情報カードに、記憶情報を表示す
ることができる。
【0039】この発明によれば、カード自体に書き込ま
れた情報内容、例えばクレジットカードならば残金や引
き落とし日等を、カードに付与された表示部で直接確認
することができるので、ホストシステムにアクセスする
端末機には情報を確認するためのディスプレイやスピー
カーは不要である。従って、個人の情報が第三者に漏れ
る可能性を少なくすることができるので、端末機のモニ
ターに表示される文字やスピーカーから発せられる音声
が他人に漏れないようにするための仕切り板や防音壁等
の設備は不要となる。
【0040】また、カードに付与された表示部を駆動さ
せるための電力供給源には電磁誘導や太陽電池を用いる
ので、化学反応を利用する一次電池の場合と異なり、カ
ードを使用中に、電力供給が停止して表示部が駆動しな
くなることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
を表示部に持つ情報カードの概略図である。
【図2】この発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
を表示部に持つ情報カードの断面の概略図である。
【図3】この発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
を表示部に持つ情報カードの外観図である。
【図4】この発明の情報カードに電力を供給するための
装置の構成の概略図である。
【図5】この発明の電磁誘導に係わる部分の回路構成図
である。
【図6】この発明において、太陽電池を備えた情報カー
ドの一部分の概略図である。
【図7】この発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
の一実施例の構成図である。
【図8】この発明のドットマトリックスディスプレイと
して形成された有機エレクトロルミネッセンス素子の駆
動原理の説明図である。
【図9】この発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
の構成を示す断面図である。
【図10】従来技術である液晶ディプレイの断面概略図
である。
【符号の説明】
21 プラスチックフィルム基板 23 封止用高分子樹脂 31 情報カード 32 表示部 33 IC部 34 磁気記録部 35 電磁誘導回路部 36 電極端子部 37 ピックアップモジュール 38 ドライブ回路モジュール 39 電極 40 高周波電源 43 ホストコンピュータ 51 発振器 52 高周波電力ドライバ 53 一次コイル 54 二次コイル 55 整流回路 61 太陽電池 72 透明導電膜 73 有機薄膜層 74 金属電極 75 発光層 76 ホール輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B035 AA07 AA08 AA13 BA05 BB02 BB09 BC00 BC02 CA02 CA03 CA06 CA12 CA23 CA29 CA38 5B058 CA02 CA24 CA27 KA06 KA31 YA02 YA03 YA07 5C094 AA37 AA56 BA29 CA19 DA09 DA20 GB01 HA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報を記憶する記憶部と、記憶情報を表
    示するための有機エレクトロルミネッセンス素子からな
    る表示部と、表示部を駆動する制御部とを備えることを
    特徴とする情報カード。
  2. 【請求項2】 前記有機エレクトロルミネッセンス素子
    が、互いにマトリクス状に配置された透明導電膜ライン
    と金属電極ライン、および前記透明導電膜ラインと金属
    電極ラインとの間に挿入された有機薄膜層とから構成さ
    れることを特徴とする請求項1記載の情報カード。
  3. 【請求項3】 前記有機薄膜層が、ホール輸送層と発光
    層とから構成されることを特徴とする請求項2記載の情
    報カード。
  4. 【請求項4】 前記制御部が、電磁誘導回路を含む電力
    供給部を備えることを特徴とする請求項1記載の情報カ
    ード。
  5. 【請求項5】 前記制御部が、太陽電池を含む電力供給
    部を備えることを特徴とする請求項1記載の情報カー
    ド。
  6. 【請求項6】 前記表示部が、プラスチックフィルム上
    に貼付され封止用材料により封止されたことを特徴とす
    る請求項1記載の情報カード。
JP10293905A 1998-10-15 1998-10-15 表示装置付き情報カード Pending JP2000123135A (ja)

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