JP2000119831A - 成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法Info
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Abstract
と耐食性に優れた溶融亜鉛メッキ熱延鋼板とその製造方
法を提供する。 【解決手段】 表層部メッキ層の厚さとメッキ層組成を
規定しかつ、第二相としてパーライト及びベイナイトの
うち1種以上を1〜30%の面積率で含む複合組織から
なり、一方、重量比で、C:0.001〜0.1%、Si:0.01〜2
%、Mn:1.0〜3.5%、P:0.001〜0.1%%、S:0.001〜0.015
%、Ti:4×[N]〜0.05%、Nb:0.005〜0.05%、Mo:0.2〜
0.8%、Al:0.01〜0.1%、N:0.005%以下とCa、REM、Bの
うち1種以上を特定範囲で含みかつ、下記式を満た
し、590MPa以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優
れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法。 C≧−0.049([Mn]+1.7[Mo])+0.15
Description
ッキ熱延鋼板及びその製造方法に関し、さらに詳しく
は、低降伏比で成形性(穴拡げ性)と耐食性に優れた引張
強度590MPa以上の複合組織高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼
板及びその製造方法に関するものである。
から、自動車メーカーでは高強度鋼板使用の拡大による
車体軽量化がますます推進される情勢にある。その対象
部品は、内・外板等のパネル用鋼板をはじめとする、メ
ンバー類やアーム屡等の構造部材や足廻り部材であり、
対象部品の拡大が予想される。これらの部材の中でもと
くに足廻り部材については、板厚減少に伴う耐食性の劣
化が懸念される。そのため、この部材へも高強度溶融亜
鉛亜鉛メッキ熱延鋼板の採用が検討されてきた。例え
ば、特開昭56-16625号公報には、フェライトと低温変態
相を含む加工性の優れた熱延高張力亜鉛メッキ鋼板の製
造方法が開示されている。また、特開平4-297527号公報
には、95%以上のベイナイトとマルテンサイトからなる
強度−延性バランスの優れた高強度溶融亜鉛めっき熱延
鋼板を製造する方法が開示されている。さらに、特開平
5-247586号公報には、残留オーステナイトを含む高強度
高延性溶融亜鉛メッキ鋼板が開示されている。
た足廻り部材を対象とした高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼
板のうち、特開平6-306533号公報記載のものについて
は、低降伏比を有し、優れた成形性と溶接性を得る方法
が開示されているが、溶融メッキ工程での熱処理温度範
囲が全く異なり、得られる組織構成を異にするものであ
る。そのため、得られる穴拡げ性のレベルも相違する。
また、特開平4-297527号公報では、Mn量を高め、溶融亜
鉛メッキ工程での加熱時にMnの拡散を利用し、残留オー
ステナイトを安定して得る製造方法を開示したもので、
優れた延性を示すが、やはり穴拡げ性については何等言
及はなく、本発明が対象とする部材への適用した場合、
バーリング加工時の割れが危惧される。また、Mn量が高
いため溶接性の劣化も懸念される。一方、特開平5-2475
86号公報には、Moを添加する例が開示されているが、対
象は冷延鋼板であるばかりか、残留オーステナイトを含
むことが特徴であるため、組織的にも本発明とは異な
る。また、メッキ処理の方法も基本的には本発明とは全
く異なる。
穴拡げ性を確保しかつ、耐食性を向上させた高強度溶融
亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法の提供を目的とす
る。
を解決するため、C、Mn及びMoを種々の水準で変化させ
た鋼を真空溶解で溶製した。これらの鋼を鋼片にしてAr
3変態点以上の温度域で仕上圧延を完了し、2.6mmの熱延
板とした。続いて50℃/sの冷却速度で550℃まで冷却
後、その温度で巻取処理を実施した。得られた熱延板に
ついて、酸洗後、電気メッキにより0.5g/m2の目付け量
でNiを表層にメッキし、続いて460℃まで加熱した後、
直ちに60g/m2の純亜鉛をメッキした。得られたメッキ材
については、引張特性、穴拡げ性及び耐食性を調査し
た。なお、穴拡げ性は打ち抜きままの穴の径をd0とし、
バリを外側にして60度の円錐ポンチによる穴拡げ試験を
実施し、板厚を貫通する割れが生じた時の穴の径をdと
した場合のd/d0で評価した。また、耐食性について
は、JIS Z 4371記載の塩水噴霧試験を実施し、48hの試
験後に赤錆の発生が無いことを合格とした。その結果、
以下のことが知見できた。
示すような成分範囲とすることで得られることがわかっ
た。すなわち、CとMn及びMoとの関係式においてC≧−0.
049×(Mn+1.7Mo)+0.15が満足される領域で、590MPa以
上の強度が得られる。また、変態挙動を詳細に調査した
結果、Moの添加によるベイナイト変態の遅れが見出され
た。これは、溶融亜鉛メッキ工程のような比較的冷却速
度が遅い領域での組織制御に有利と考えられる。
示すように、Cが0.1mass%を超えて添加されると炭化物
の析出量が多くなるため、十分な穴拡げ性が得られなく
なることが見出された。また、ベイナイト及びパーライ
トの1種または2種の分率と穴拡げ性との関係について
は、図3のようになることがわかり、すなわち、第二相
の分率が30%を超えてこれよりも高くなると、2.3を超え
るd/d0が得られなくなることが知見された。なお、ここ
で言うベイナイトにはベイニティックフェライトも含む
ものである。
法による耐食性を評価した結果、赤錆の発生が全く無い
ことを確認した。なお、比較としてメッキ処理を施さな
かったものについては、全面に赤錆が発生していた。
れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法を
確立した。
上層にAlを0.1〜10%、Mgを0.05〜5%、残部が不可避的不
純物を含む100μm以下の亜鉛合金層からなる590MPa以上
の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融
亜鉛メッキ熱延鋼板。 (2)第二相としてベイナイト及びパーライトのうち1種以
上を、面積率で1%以上30%以下含む複合組織からなり、
降伏比が0.75以下の(1)記載の590MPa以上の引張強度を
有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱
延鋼板。 (3)重量%で、C:0.001〜0.1%、Si:0.01〜2%、Mn:1.0
〜3.5%、P:0.001〜0.1%、S:0.001〜0.015%、Ti:4×
[N]〜0.05%、Nb:0.005〜0.05%、Mo:0.2〜0.8%、Al:
0.01〜0.1%の範囲で含み、N:0.005%以下であり、か
つ、下記式を満たし、残部Fe及び不可避的不純物から
なる(1)又は(2)記載の590MPa以上の引張強度を有する成
形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板。 C≧−0.049([Mn]+1.7[Mo])+0.15 (4)Ca:0.001〜0.01%、REM:0.005〜0.05%のうち1種以
上を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の590MPa以上の
引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜
鉛メッキ熱延鋼板。 (5)B:0.0005〜0.005%を含有する(3)又は(4)に記載の59
0MPa以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高
強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板。 (6)Cu:0.05〜0.5%、Ni:0.02〜0.3%を含有する(3)〜(5)
のいずれかに記載の590MPa以上の引張強度を有する成形
性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板。 (7)連続鋳造にてスラブとした後、再加熱あるいは鋳造
後直ちにAr3変態点以上の温度で仕上圧延を終了して、
フェライトの分率が70%以上となるまで空冷後、5〜150
℃/secの冷却速度で冷却し、350〜650℃の温度域で巻取
り、かくして得られた熱延帯鋼を酸洗後、電気メッキで
表層にNiをめっきし、続いて連続式溶融亜鉛メッキライ
ンで板温を550℃未満の温度に加熱し、そのままメッキ
浴に浸漬させることによる、(3)〜(6)のいずれかに記載
の590MPa以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れ
た高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。 (8)粗圧延を終了し、シートバーを一旦コイルに巻き取
ることを特徴とする(7)に記載の590MPa以上の引張強度
を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ
熱延鋼板の製造方法。 (9)100mm以下の鋳片に鋳造後、直ちに粗圧延を実施する
ことを特徴とする(7)又は(8)に記載の590MPa以上の引張
強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メ
ッキ熱延鋼板の製造方法。にある。
る。
は、鋼板の表面に付与するメッキ層として、Niを含む合
金層とその上層にAlとMgを含む亜鉛合金層からなるもの
としなければならない。Niを含む合金層がない場合に
は、本発明が対象とするSi添加量が高い鋼では、Al及び
Mgを含む亜鉛合金層と地鉄との密着性が確保できない。
そのため、Ni含有合金層の厚さは、地鉄とAl及びMgを含
む亜鉛合金層との密着性を確保するために0.04μm以上
必要である。しかし、その効果は5μmで飽和するため、
これを上限とする。なお、その際のNiは電気メッキによ
り付与する。続いて溶融メッキにてAl及びMgを含む亜鉛
合金層をメッキするが、その厚さについては、外観の均
一性の観点からは100μm以下が好ましい。なお、Alの添
加量は、素地との密着性を確保するためには0.1%以上必
要であるが、10%を超えても耐食性向上の効果が少ない
ため、これを上限とする。一方、Mgの添加量についても
耐食性の観点から5%を超えて添加されてもその効果が飽
和するため、これを上限とする。なお、0.05%未満では
その効果が得られない。
た組織としかつ、強度確保の観点から第二相を含有させ
る必要がある。ただし、第二相としてはフェライトと硬
度差の大きいものは、穴拡げ性を劣化させるため好まし
くない。そのため、第二相の種類としてはベイナイトあ
るいはパーライトを形成させることが必要である。な
お、この際、セメンタイトの析出を伴わないベイニティ
ックフェライトの形成も本願発明に含まれる組織であ
る。この第二相の分率としては極力少ない方が良く、2.
3を超える穴拡げ性を確保するには、30%以下としなけれ
ばならない。また、1%未満では強度を確保するには不足
となるため、これを下限とする。
由について述べる。
これを超えて添加されると熱延板で析出するセメンタイ
トが多くなり、穴拡げ性を大きく低下させるばかりでな
く、延性も低下するため、加工性が大きく劣化する。ま
た、0.001mass%より少なくする場合には、製鋼段階で脱
炭時間が長くなるとともに、特性の向上は期待できる
が、強度確保のための合金元素の添加量が多くなる。そ
のため、脱炭コストや合金コストの上昇を招くため好ま
しくない。
形成させ、それぞれの固溶強化による強化上昇量とあわ
せて、強度を確保するのに重要な役割を果たす元素であ
る。本発明で目的とする強度を得るには、1mass%以上の
添加が必要となる。一方、過度に添加されると強度が高
くなりすぎて加工性が確保できないため、3.5mass%を上
限とした。
割を果たす元素である。すなわち、ベイナイト及びパー
ライトの形成と、炭化物による析出強化を目的に添加す
るものである。溶融亜鉛メッキ工程では、比較的冷却速
度が遅いため、本発明で規定する引張強度を得るために
は、ベイナイトやパーライトの組織制御を通じた強度確
保が必要である。そのため、0.2%以上の添加が必要とな
るが、前述した実験結果より、C≧−0.049([Mn]+1.7
[Mo])+0.15を満足するようなC、Mn及びMoの組み合わせ
とする必要がある。また、過度の添加はコストを著しく
上昇させるため、0.8%を上限とする。
する場合に添加される。そのため、必要な場合に添加さ
れるが、不要な場合にはコストアップにならない程度低
減させるものとし、0.01%を下限とする。なお、過度の
添加は溶接性を劣化させるため、上限を2.0mass%とし
た。
れる元素であるが、過剰に含有されると延性を低下させ
るばかりでなく、粒界を脆化させるため、上限を0.1mas
s%とする。なお、必要以上の低減が脱燐コストの大幅な
増加させるため、0.001%を下限とする。
ばかりでなく、硫化物が多数形成され、加工時の割れ発
生の原因にもなるため、0.015mass%を上限とした。な
お、必要以上の低減が脱硫コストの大幅な増加を招くた
め、0.001%を下限とする。
め、本発明における目的を達成するには何ら寄与するも
のではない。しかし、0.005%以下では本来目的とする効
果が発揮されない。一方、0.1%を超えて添加されると酸
化物として鋼中に残存させるばかりでなく、コスト上昇
を招くことから、これを上限とする。
されるが、多量のTiNが形成されると加工性を劣化させ
るため、上限を0.005%とする。Nは含有していなくても
よい。
であるため、下限はN量と当量とする。しかし、過度の
添加はコストアップとなるため、0.005%を上限とした。
強度上昇に寄与している。そのため、0.005%未満ではそ
の効果が発揮されない。しかし、0.05%を超えて添加さ
れると強度が上がりすぎるため、加工性の劣化が懸念さ
れる。
添加されるものであるが、0.001%未満のCa、あるいは、
0.005%未満のREMではその効果が得られない。一方、過
度の添加は鋼中に介在物を残すばかりでなく、コストア
ップを招くため、それぞれ上限をCa:0.01%及びREM:0.
05%とする。なお、ここでREMはLa,Ce,Y等の元素であ
る。
に添加する元素である。0.0005%未満の添加ではその効
果が現れない。一方、過剰に添加されると連続鋳造後の
スラブ割れの原因となるため、0.005%を上限とする。
製する場合に添加されるものである。添加量は、使用す
るスクラップ量に比例するが、とくにCuは過度に添加さ
れると、熱間加工時に生じる割れの回避のために添加さ
れるNi量が多くなりすぎるため、0.5%を上限とした。熱
間割れ回避の観点から、含有Cu量の半分程度のNi量が必
要となることから、その上限を0.3%とした。
m以下の薄スラブ連鋳法にて製造しても本発明の効果を
損なうものではない。
いは鋳造後直ちにAr3変態点以上の温度域で仕上圧延を
終了する。 Ar3変態点よりも低い温度域で仕上圧延を行
うと、組織が不均一となるため延性が劣化し、本発明で
目的とする加工性が得られない。なお、組織微細化の観
点からは、変態前のオーステナイト粒径は小さい方が良
いため、好ましくはAr3〜Ar3+20℃の範囲で仕上圧延を
終了するのが良い。
速度及び巻取温度によって本発明で目的とする組織が形
成されるような条件とする。仕上圧延後の冷却条件とし
ては、フェライトの分率が70%以上となるまで空冷する
必要がある。その後、第二相を形成させるために冷却す
るが、その際の冷却速度が5℃/s未満となるとパーライ
トの形成が多くなり、結果としてその体積率が30%を超
えるため、2.3を超える穴拡げ性が得られない。一方、1
50℃/sを超える冷却速度での冷却は、実操業での温度制
御を困難にするばかりでなく、形状精度の低下も招き、
歩留を低下させるため好ましくない。
制御の観点から最も重要な因子である。すなわち、350
℃未満ではマルテンサイトが形成され、穴拡げ性の劣化
が懸念されるため、これを下限とする。一方、巻取温度
が高くなると第二相の分率が30%を超え、2.3を超える穴
拡げ性が得られなくなるため、650℃を上限とした。な
お、本発明ではとくに規定しないが、巻取後の調質圧延
は本発明における特性に何等影響を及ぼすものではな
い。
鋼板表面を亜鉛浴の温度と同程度に加熱し、その温度で
亜鉛浴に浸漬させる。しかし、あまり高くなりすぎると
熱延板の組織変化による強度低下を招くため、550℃を
上限とする。一方、表面温度が亜鉛浴よりも低くなりす
ぎるとメッキ不良及びメッキ層厚さの不均一化を招くた
め、420℃以上とする。そのため、メッキ浴の温度も上
述の温度範囲とするが、とくに上限についてはこれより
も高い浴温となると、ヒュームの多量発生を招くことか
らこれを上限とする。
027%,N:0.0016%,Ti:0.021%,Nb:0.013,Mo:0.038%を含む
鋼を転炉出鋼し、連続鋳造にてスラブとした。熱延は12
00℃で加熱後、粗圧延を実施してからAr3変態点以上の
温度域となる900℃で仕上圧延を終了し、2.6mmの熱延板
とした。その後、表1に示す条件での冷却と巻取を実施
した。得られた熱延板を酸洗した後、0.08μmの厚さのN
i層を電気メッキし、続いて通電加熱により板温を420℃
まで加熱後、そのまま亜鉛浴に浸漬させた。ここで浸漬
させた亜鉛浴の組成はAl:0.2%、Mg:0.5%、亜鉛浴の温度
は430℃である。得られたメッキ板には1%の調質圧延が
施され、材質評価に供された。材質評価はJIS Z 2201
記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方
法にしたがって引張試験を行った。また、穴拡げ性の調
査は、30度円錐ポンチを使用して直径10mm(d0)の穴を押
し広げ、割れが板厚を貫通した時点での穴径(d)を測定
し、d/d0で評価した。結果を同表に示す。さらに耐食
性については、JIS Z 4371記載の塩水噴霧試験を行
い、48時間後に赤錆が発生しないものを合格とした。な
お、ここで得られたメッキを施す前の熱延板の特性は、
YP:440MPa、TS:640MPa、El:31%、d/d0:2.6であった。
本発明法にしたがったNo.1,2,3,4,5,6,
7,8及び9では、第二相の分率が1〜20%でありかつ、
590MPaを超える引張強度と1.8を超える穴拡げ性が得ら
れている。仕上圧延後の冷却速度が本発明の範囲から低
くはずれたNo.10及び11では、第二相の分率が本発
明の範囲より高くはずれたため、穴拡げ性が低い。ま
た、巻取温度が本発明の範囲より高く、あるいは低く外
れても第二相の分率が高くなるため、低い穴拡げ性しか
得られていない。一方、巻取温度がNo.14のようにか
なり低く外れてしまうと、マルテンサイトが形成される
ようになるため、穴拡げ性といった加工性が大きく劣化
する。さらに、No.12及び13では、巻取温度が本発
明で限定した範囲から外れている。いずれも、それぞれ
の第二相の分率が高く外れたため、穴拡げ性が低い。な
お、耐食性についてはいずれの場合も合格であった。
ラブとした。熱延は1150〜1250℃で加熱後、粗圧延及び
仕上圧延を実施して表3に示すような板厚の熱延板を製
造した。なお、仕上圧延はいずれもAr3変態点以上の温
度域で終了した。さらに、仕上圧延後の冷却速度は本発
明の範囲内の条件となるよう、冷却ゾーンにおける水量
を調整して冷却後、600℃で巻取を行った。酸洗した
後、0.05μmの厚さのNi層を電気メッキし、通電加熱に
より板温を同表に示した温度まで加熱後、そのまま亜鉛
浴に浸漬させた。ここで浸漬させた亜鉛浴の組成はAl:
0.2%、Mg:1%、亜鉛浴の温度は(板温+10℃)とした。得
られたメッキ板には1%の調質圧延を施し、材質評価を行
った。実施例1と同様に引張試験による材質評価と穴拡
げ性評価、さらに耐食性試験を実施した。結果を同表に
示す。本発明にしたがったA,B,C,D,F,G,I,J,K,M,N,O及
びP鋼では、590MPaを超える引張強度と1.8を超える穴拡
げ性が得られている。ただし、A-5,F-4ではメッキを施
す際の板温が600℃を超えたため、590MPaを超える強度
が得られていない。また、MnとMoが式を満足していな
いE,H及びL鋼でも、590MPaを超える強度が得られていな
い。さらに、C量が大きくはずれたQ鋼では、炭化物の析
出が多いため、1.8を超える穴拡げ性が得られない。な
お、いずれの鋼も本発明法の範囲内でメッキを実施して
いるため、耐食性については合格であった。
後、亜鉛浴に浸漬した。その際のメッキ条件は表4に示
すとおりである。得られたメッキ材については、JIS Z
4371記載の塩水噴霧試験を実施し、耐食性を評価し
た。本発明の範囲にしたがったNo.1,2,4,5,6,7及び9で
は、優れた耐食性を示し、48時間後にも赤錆は発生しな
かった。しかし、鋼板表面のNiメッキ層の厚さが本発明
の範囲より低くはずれたNo.3では、メッキの密着性が不
十分なため、耐食性が確保できない。また、メッキ層に
含まれるAl及びMgが本発明範囲より低くはずれたNo.8で
もやはり、耐食性が確保されない。
用される鋼板に対し、優れた成形性と耐食性を有する高
強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法を明らか
にしたものである。本発明により、適用部材の薄手化が
図れかつ、車体の軽量化が可能となる。
ある。
ある。
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 鋼板表層部に0.04〜5μmのNiを含む合金
層と、その上層にAlを0.1〜10%、Mgを0.05〜5%、残部が
不可避的不純物を含む100μm以下の亜鉛合金層からなる
590MPa以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた
高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板。 - 【請求項2】 第二相としてベイナイト及びパーライト
のうち1種以上を、面積率で1%以上30%以下含む複合組織
からなり、降伏比が0.75以下の請求項1記載の590MPa以
上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶
融亜鉛メッキ熱延鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.001〜0.1%、Si:0.01〜2
%、Mn:1.0〜3.5%、P:0.001〜0.1%、S:0.001〜0.015
%、Ti:4×[N]〜0.05%、Nb:0.005〜0.05%、Mo:0.2〜
0.8%、Al:0.01〜0.1%の範囲で含み、N:0.005%以下で
あり、かつ、下記式を満たし、残部Fe及び不可避的不
純物からなる請求項1又は2記載の590MPa以上の引張強度
を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ
熱延鋼板。 C≧−0.049([Mn]+1.7[Mo])+0.15 - 【請求項4】 Ca:0.001〜0.01%、REM:0.005〜0.05%
のうち1種以上を含有する請求項3に記載の590MPa以上の
引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜
鉛メッキ熱延鋼板。 - 【請求項5】 B:0.0005〜0.005%を含有する請求項3又
は4に記載の590MPa以上の引張強度を有する成形性と耐
食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板。 - 【請求項6】 Cu:0.05〜0.5%、Ni:0.02〜0.3%を含有
する請求項3乃至5のいずれかに記載の590MPa以上の引
張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛
メッキ熱延鋼板。 - 【請求項7】 連続鋳造にてスラブとした後、再加熱あ
るいは鋳造後直ちにAr3変態点以上の温度で仕上圧延を
終了して、フェライトの分率が70%以上となるまで空冷
後、5〜150℃/secの冷却速度で冷却し、350〜650℃の温
度域で巻取り、かくして得られた熱延帯鋼を酸洗後、電
気メッキで表層にNiをめっきし、続いて連続式溶融亜鉛
メッキラインで板温を550℃未満の温度に加熱し、その
ままメッキ浴に浸漬させることによる、請求項3乃至6の
いずれかに記載の590MPa以上の引張強度を有する成形性
と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造
方法。 - 【請求項8】 粗圧延を終了し、シートバーを一旦コイ
ルに巻き取ることを特徴とする請求項7に記載の590MPa
以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高強度
溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項9】 100mm以下の鋳片に鋳造後、直ちに粗圧
延を実施することを特徴とする請求項7又は8に記載の59
0MPa以上の引張強度を有する成形性と耐食性に優れた高
強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28675198A JP3464611B2 (ja) | 1998-10-08 | 1998-10-08 | 成形性と耐食性に優れた高強度溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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