JP2000119674A - 不燃性潤滑剤 - Google Patents

不燃性潤滑剤

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JP2000119674A
JP2000119674A JP29582098A JP29582098A JP2000119674A JP 2000119674 A JP2000119674 A JP 2000119674A JP 29582098 A JP29582098 A JP 29582098A JP 29582098 A JP29582098 A JP 29582098A JP 2000119674 A JP2000119674 A JP 2000119674A
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JP
Japan
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wax
lubricant
meth
dispersion
dispersed
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JP29582098A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Konishi
正芳 小西
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩擦性に優れると共に、分散安定性に優
れ、製品の分離を招来することがなく、また、処理が容
易で安価な不燃性潤滑剤を提供する。 【解決手段】 粒子状のワックスを、1〜60重量%の
割合で水性媒体中に分散させて不燃性潤滑剤を得る。上
記ワックスの水性媒体への分散は分散安定剤の存在下で
行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不燃性潤滑剤に関
するものであり、さらに詳しくは、分散安定性および耐
摩擦性に優れた不燃性潤滑剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、油圧装置には鉱油系作動油が一般
的に用いられている。しかしながら、鉱油系作動油は、
火災の危険性から、近くに発火源が存在する場合には用
いることができず、使用できる場所が限られている。そ
こで、例えば製鉄所等、発火源の多い場所でも用いるこ
とができる不燃性潤滑剤の開発が進められている。
【0003】これまで、不燃性潤滑剤としては、大別し
て、リン酸エステル型潤滑剤、W/Oエマルジョン型潤
滑剤、および水−グリコール型潤滑剤が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リン酸
エステル型潤滑剤は、耐磨耗性は良好であるが、高価で
あり、しかも、廃液処理が困難であるという問題点を有
している。一方、W/Oエマルジョン型潤滑剤は安価で
はあるが、製品が分離し易い。水−グリコール型潤滑剤
は安価であり、優れた耐燃性および水溶解安定性を示す
が、耐摩擦性が充分ではない。このため、上記従来の問
題点を招来しない不燃性潤滑剤が切望されている。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、耐摩擦性に優れると共に、
分散安定性に優れ、製品の分離を招来することがなく、
また、処理が容易で安価な不燃性潤滑剤を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、粒子状のワックスを
特定の割合で水性媒体中に分散してなる不燃性潤滑剤
が、分散安定性および耐摩擦性に優れ、しかも処理が容
易でかつ安価に製造することができることを見い出し
て、本発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、請求項1記載の発明の不燃性潤滑剤
は、上記の課題を解決するために、ワックスが水性媒体
中に分散してなる不燃性潤滑剤であって、上記ワックス
が粒子状であり、かつ、ワックスの含有量が1〜60重
量%の範囲内であることを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明の不燃性潤滑剤は、上
記の課題を解決するために、ワックスが水性媒体中に分
散してなる不燃性潤滑剤であって、上記ワックスが粒子
状であり、かつ、振り子II型式摩擦試験により算出され
る動摩擦係数が0.2以下であることを特徴としてい
る。
【0009】請求項3記載の発明の不燃性潤滑剤は、上
記の課題を解決するために、請求項1または2記載の不
燃性潤滑剤において、上記ワックスが高分子ワックスで
あることを特徴としている。
【0010】請求項4記載の発明の不燃性潤滑剤は、上
記の課題を解決するために、請求項1〜3の何れか1項
に記載の不燃性潤滑剤において、上記ワックスが分散安
定剤の存在下で水性媒体中に分散してなるものであるこ
とを特徴としている。
【0011】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかる不燃性潤滑剤は、粒状のワックスが水性媒体に分
散してなるワックス分散体からなっている。本発明にか
かる上記の不燃性潤滑剤は、水性媒体へのワックスの分
散安定性に優れると共に、振り子II型式摩擦試験により
算出される動摩擦係数が0.2以下という優れた耐摩擦
性を有している。尚、振り子II型式摩擦試験について
は、後述する実施例において詳細に説明する。
【0012】本発明において用いられるワックスとして
は、具体的には、例えば、カルナバワックス等の植物系
天然ワックス、蜜ろう等の動物系天然ワックス、パラフ
ィンワックス等の石油系天然ワックス、モンタンワック
ス等の鉱物系天然ワックス、ポリエチレンワックス等の
合成ワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪族アルコ
ール、高級脂肪酸または高級脂肪族アルコールの合成エ
ステル等の各種ワックスのうち、常温で固体のワックス
であれば、特に限定されるものではない。これらワック
スのなかでも、耐摩擦性に優れると共に、廃棄あるいは
再利用に際し、製品からの分離が容易であることから、
平均分子量10,000以上の高分子ワックスが好まし
く、平均分子量50,000〜1,000,000の高
分子ワックスがより好ましい。
【0013】上記高分子ワックスとしては、具体的に
は、例えば、結晶ポリエチレンワックス(例えば東邦化
学工業株式会社製結晶ポリエチレンワックスエマルジョ
ンE−103N)、結晶ポリプロピレン系ワックス(東
邦化学工業株式会社製結晶ポリプロピレン系ワックスエ
マルジョンE−433N)、およびエチレン共重合系ワ
ックス(東邦化学工業株式会社製エチレン共重合系ワッ
クスエマルジョンS−3127)、炭素数9〜30の脂
肪族炭化水素基を有する単量体を含む単量体成分を重合
してなる高分子ワックス等が上げられるが、特に限定さ
れるものではない。
【0014】上記炭素数9〜30の脂肪族炭化水素基を
有する単量体を含む単量体成分を重合してなる高分子ワ
ックスとしては、具体的には、例えば、下記一般式
(1)
【0015】
【化1】
【0016】で示される構造単位および下記一般式
(2)
【0017】
【化2】
【0018】で示される構造単位のうち、少なくとも一
方の構造単位を、10重量%〜100重量%の割合、好
ましくは20重量%〜100重量%の割合、より好まし
くは50重量%〜100重量%の割合で含む重合体が挙
げられる。尚、上記構造単位の割合は、上記構造単位を
繰り返し単位とする分子鎖末端の基の分子量は計算には
含めないものとする。
【0019】上記一般式(1)で表される構造単位およ
び一般式(2)で表される構造単位はランダムに配列さ
れていてもよいし、ブロック状に配列されていてもよ
い。また、同じ構造単位が不規則に配列して複数個、ブ
ロック状に配列されていてもよい。
【0020】また、式中、R3 で表される2価の有機基
とは、具体的には、炭素数2〜30の、脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、または芳香族炭化水素基等を表
す。
【0021】これらワックスは、一種類のみを用いても
よく、適宜二種類以上を混合して用いてよい。これらワ
ックスのなかでも、炭素数9〜30の脂肪族炭化水素基
を有する単量体を含むワックス用単量体成分を重合して
なる高分子ワックスが、水性媒体への分散安定性および
耐摩擦性に優れ、振り子II型式摩擦試験により算出され
る動摩擦係数が0.1以下という優れた値を達成するこ
とができることから、特に好ましい。
【0022】本発明において用いられる炭素数9〜30
の脂肪族炭化水素基を有する上記の単量体としては、特
に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ノ
ニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メ
タ)アクリレート等の、炭素数9〜30の高級アルキル
(メタ)アクリレート類;オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸等の一塩基性直鎖不飽和脂肪酸と、グリシジル
(メタ)アクリレート、イソプロペニルオキサゾリン等
のカルボキシル基と付加反応し得る重合性単量体との付
加物;米ぬか油、大豆油、鯨油等の動植物の脂肪酸(混
合脂肪酸)とグリシジル(メタ)アクリレート、イソプ
ロペニルオキサゾリン等のカルボキシル基と付加反応し
得る重合性単量体との付加物;ステアリルアルコール、
オレイルアルコール等の高級アルコールと、多価イソシ
アネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート等のヒドロキシル基を有する重合性単量体との付加
物;ラウリルマレエート、ステアリルマレエート、ベヘ
ニルマレエート、ジトリデシルマレエート、ジステアリ
ルマレエート、ブチルラウリルマレエート等の炭素数9
〜30の高級アルキルマレエート類;ラウリルフマレー
ト、ステアリルマレエート、ベヘニルフマレート、ジト
リデシルフマレート、ジステアリルフマレート、エチル
ラウリルフマレート等の炭素数9〜30の高級アルキル
フマレート類;ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル
等の高級脂肪酸ビニルエステル類;等が挙げられる。こ
れら単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上
を適宜混合して用いてもよい。
【0023】また、上記ワックス用単量体成分は、必要
に応じて、炭素数9〜30の脂肪族炭化水素基を有する
上記の単量体と共重合可能な単量体(以下、共重合成分
と記す)を含んでいてもよい。即ち、上記一般式(1)
で示される構造単位および一般式(2)で示される構造
単位のうち少なくとも一方の構造単位を含む上記高分子
ワックスは、炭素数9〜30の脂肪族炭化水素基を有す
る単量体を、単独で、あるいは該単量体と共重合可能な
共重合成分と(共)重合させることにより容易に得るこ
とができる。該共重合成分の上記単量体(炭素数9〜3
0の脂肪族炭化水素基を有する単量体)に対する使用割
合は、得られるワックスが、前記一般式(1)で表され
る構造単位および一般式(2)で表される構造単位のう
ち、少なくとも一方の構造単位を上述した割合で含むよ
うに設定される。
【0024】上記単量体と共重合可能な共重合成分とし
ては、特に限定されるものではないが、具体的には、例
えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸もしくはこれらの半エステルまた
はこれらの塩等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレン
グリコールもしくはポリエチレングリコールとのモノエ
ステル等のヒドロキシル基含有不飽和単量体類;(メ
タ)アクリル酸2−スルホン酸エチル、ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、およびこれらの塩等のスルホ
ン酸基含有ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の、(メタ)アク
リル酸と炭素数1〜14のモノアルコールとのエステル
化反応により合成される(メタ)アクリル酸エステル
類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエステル、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリ
ジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の塩基
性不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸と、エチレング
リコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチル
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール等の多価アルコールとのエステル等の、分子内に
重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリ
ル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−モノメ
チル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)
アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリル
アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−
ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)ア
クリルアミド類;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリル
トリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリ
ルアミン等の有機珪素基含有不飽和単量体類;イソプロ
ペニルオキサゾリン、ビニルオキサゾリン等のオキサゾ
リン基含有不飽和単量体類;グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽
和単量体類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−
クロロプロピレン等のハロヒドリン基含有不飽和単量体
類;2−アシリジニルエチルメタクリレート等のアシリ
ジニル基含有不飽和単量体類;2−インシアナートエチ
ルメタクリレートとエチルアルコールとの反応付加物等
のブロック化イソシアネート基含有不飽和単量体類;フ
ッ化ビニル;フッ化ビニリデン;塩化ビニル;塩化ビニ
リデン;ジビニルベンゼン;ジアリルフタレート;等が
挙げられる。これら共重合成分は、一種類のみを用いて
もよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】尚、上記ワックス用単量体成分の重合方法
は、特に限定されるものではない。上記ワックス用単量
体成分の好適な重合方法については、後述する。
【0026】また、本発明で用いられる上記の水性媒体
としては、水のみを用いることが好ましいが、分散安定
性および安全性に悪影響を及ぼさない範囲内において、
水と親水性溶媒との混合物を使用してもよい。上記親水
性溶媒としては、水と溶解しあうものであれば、特に制
限されない。
【0027】本発明にかかる上記不燃性潤滑剤は、上述
したように、ワックスが水性媒体に分散されてなってい
る。ワックスを水性媒体に分散させる方法、即ち、本発
明にかかる不燃性潤滑剤の製造方法としては、特に限定
されるものではなく、例えば、粉砕等により予め粒状に
成形したワックスを乳化剤や分散安定剤等の存在下で水
性媒体に混合、分散する方法や、ワックスを溶融状態と
し、界面活性剤等の分散安定剤と水とを混合して強撹拌
によりワックスを水中に分散した後に冷却する方法、ワ
ックス用単量体成分を乳化剤や分散安定剤等の存在下で
水性媒体中に分散させた状態で、乳化重合または懸濁重
合させる方法等が挙げられる。
【0028】そのなかでも、粒状のワックスが水性媒体
に分散された本発明の不燃性潤滑剤を上記重合反応によ
り直接得ることができることから、ワックス用単量体成
分を乳化剤や分散安定剤等の存在下で水性媒体中に分散
させた状態で、乳化重合または懸濁重合させる方法が好
適であり、ワックス用単量体成分の液滴、より好ましく
は前述のワックス用単量体成分の液滴の平均粒子径が、
1μm以下、より好ましくは0.5μm以下となるよう
に水性媒体中に分散させた状態で懸濁重合させる方法が
特に好適である。
【0029】上記ワックス用単量体成分の重合に際して
は、上記ワックス用単量体成分の円滑な重合促進のため
に、ラジカル重合開始剤が用いられる。該ラジカル重合
開始剤は、特に限定されるものではなく、油溶性、水溶
性に拘らず、従来公知の種々のラジカル重合開始剤を用
いることができる。
【0030】上記ラジカル重合開始剤のうち、油溶性重
合開始剤としては、具体的には、例えば、アゾビスイソ
ブチロニトリル、アソビスバレロニトリル、2,2’−
アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,
1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)
2塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン
酸)等のアゾ化合物類;ベンゾイルパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸
化物類等が挙げられる。
【0031】また、水溶性重合開始剤としては、具体的
には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素等が挙げられる。尚、重合速度を速くするた
めには、酸化剤型の重合開始剤を必要に応じて還元剤と
組み合わせてレドックス系開始剤として使用することも
できる。
【0032】これらラジカル重合開始剤の使用量は、特
に限定されるものではないが、ワックス用単量体成分1
00部に対して0.01重量部〜5重量部の範囲内であ
る。
【0033】これらラジカル重合開始剤は、予め上記ワ
ックス用単量体成分または水性媒体に溶解させておいて
もよく、また、上記ワックス用単量体成分または水性媒
体とは別に添加してもよい。
【0034】また、上記ワックス用単量体成分あるいは
ワックスを水性媒体に分散させる際には、上記ワックス
用単量体成分あるいはワックスを水性媒体に均一に分散
させるために、高剪断力を与える分散機を用いることが
好ましい。上記ワックス用単量体成分を、高剪断力を与
える分散機を用いて水性溶媒に高圧分散させることで、
上記ワックス用単量体成分を上記分散機の剪断力により
引き千切り、微細液滴の状態になるまで細かくすること
ができるので、前記した平均粒子径を有するワックス用
単量体成分の液滴(微細液滴)を容易に得ることができ
る。
【0035】本発明において用いられる上記の分散機と
しては、100kgf/cm2 〜5000kgf/cm
2 の圧力の印加が可能な分散機であればよく、特に限定
されるものではない。該分散機としては、具体的には、
例えば、ホモジナイサー・ポリトロン((株)セントラ
ル科学貿易製)、ホモジナイサー・ヒストロン((株)
日吉医理科器機製作所製)、ターボ型攪拌機((株)小
平製作所製)、バイオミキサー((株)日本精機製作所
製)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株)製)、エバ
ラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKホモミクサ
ー、TKラボディスパー、TKパイプラインミクサー、
TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、TK
ユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TKアヂ
ホモディスパー(以上、特殊機化工業(株)製)、クレ
アミックス(エム・テクニック(株)株式会社製)、ケ
イディミル(キネティック・ディスパージョン社製)等
の高速餌断混合機;高圧ホモゲナイザー((株)イズミ
フードマシナリ製)、高圧ホモジナイサー(Rannie
製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 製)、
ナノマイザー(ナノマイザー(株)製)等の高圧ホモジ
ナイサー;超音波ホモジナイサー((株)日本精機製作
所製)等の超音波ホモジナイサー;スタティックミキサ
ー((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)、スルー
ザーミキサー(住友重機械工業(株)製)、静止型管内
混合器(東レ(株)製)、スケアミキサー((株)桜製
作所製)、バイブロミキサー(冷化工業(株)製)、T
K−ROSS−LPDミキサー(特殊機化工業(株)
製)等の管内混合器;等が挙げられる。
【0036】本発明では、上記ワックス用単量体成分を
水性媒体中に分散させる際には、上記ワックス用単量体
成分を水性媒体中に上記微細液滴の状態で分散させるた
めに、該ワックス用単量体成分、水性媒体、ラジカル重
合開始剤、および乳化安定剤や分散安定剤等を含む予備
分散混合液を上記分散機に導入し、導入された混合液
を、該分散機内において、100kgf/cm2 〜50
00kgf/cm2 の高圧下で圧送することが好まし
く、300kgf/cm2 〜3000kgf/cm2
高圧下で圧送することがより好ましい。これにより、予
備分散混合液にキャビテーション、乱流、剪断力、衝撃
力等が加えられ、効率良く短時間で上記微細液滴の状態
を得ることができる。
【0037】尚、上記高圧分散(圧送)が上記圧力範囲
を逸脱する場合には、上記微細液滴の状態を得ることは
できない。また、上記圧力範囲を上回ると、該分散機の
部品の消耗が激しくなるので好ましくない。
【0038】被処理物である上記の予備分散混合液は、
所望の上記微細液滴の状態になるまで上記分散機で1回
処理するか、または、2回以上、繰り返し処理してもよ
い。上記分散機内に導入された被処理物は、壁や互いに
衝突することにより、上記ワックス用単量体成分の液滴
に、キャビテーション、乱流、・勢断力、衝撃力等が加
えられ、該液滴が分散、破砕されて、微細化する。これ
により、前記微細液滴が水性媒体中に分散された状態が
得られる。
【0039】また、上記ワックスあるいはワックス用単
量体成分の水性媒体への分散は、分散安定剤の存在下で
行われることが好ましい。即ち、本発明にかかる不燃性
潤滑剤は、分散安定剤を含んでいることが好ましい。
【0040】本発明で用いられる上記の分散安定剤とし
ては、従来公知の分散安定剤、例えば、アニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性
剤、両性界面活性剤等の界面活性剤や保護コロイド等を
用いることができる。
【0041】上記アニオン性界面活性剤としては、アル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナト
リウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ア
ルキルフェニルポリオキシエチレンサルフェートナトリ
ウム塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。カチオン
性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤と
しては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が
挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルベンダ
イン等が挙げられる。保護コロイドとしては、ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げら
れる。
【0042】これら分散安定剤は、一種類のみを用いて
もよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。これ
ら分散安定剤のなかでも、粒子径の細かい、分散安定性
のよいワックス分散体を、本発明にかかる不燃性潤滑剤
として得ることができることから、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のようなイ
オン性界面活性剤が好ましく、水溶性単量体を必須成分
とする分散安定剤用単量体成分を、炭素数6以上のアル
キルメルカプタンの存在下に重合して得られる、炭素数
6以上の末端アルキル基を有する水溶性もしくは水分散
性の重合体(アニオン性界面活性剤);分子内に2個以
上の第1級および/または第2級アミノ基を有するポリ
アミン化合物と、下記一般式(3)
【0043】
【化3】
【0044】で表される化合物とを反応させて得られる
化合物(カチオン性界面活性剤);分子内に2個以上の
第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有する
ポリアミン化合物と、下記一般式(4)
【0045】
【化4】
【0046】で表される化合物とを反応させて得られる
化合物(カチオン性界面活性剤);から選ばれる少なく
とも一種の界面活性剤がより好ましい。
【0047】本発明において分散安定剤として好適に用
いられる上記のアニオン性界面活性剤の原料として用い
られる水溶性単量体としては、特に限定されるものでは
なく、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロ
トン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、もしくは
これらの半エステルまたはこれらの塩等、分子内にカル
ボキジル基および/またはその塩と重合性不飽和基とを
有する不飽和カルボン酸;(メタ)アクリルアミド、N
−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、もしくはこれらの塩またはこれらの4
級化物等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレ
ングリコールもしくはポリエチレングリコールとのモノ
エステル等のヒドロキシル基含有不飽和単量体類;(メ
タ)アクリル酸2−スルホン酸エチル、ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、およびこれらの塩等のスルホ
ン酸基含有ビニル化合物類;等が挙げられる。これら水
溶性単量体は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類
以上を混合して用いてもよい。
【0048】また、上記分散安定剤用単量体成分は、必
要に応じて、上記水溶性単量体以外のその他の単量体を
含んでいてもよい。該その他の単量体としては、上記水
溶性単量体と共重合可能な単量体であれば、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルス
チレン等のスチレン類;(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の、(メタ)アクリ
ル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化反応
により合成される(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸
ビニル、(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。
これら単量体は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種
類以上を混合して用いてもよい。
【0049】上記その他の単量体の使用量は、上記分散
安定剤用単量体成分における上記水溶性単量体の含有量
が、30〜100重量%の範囲内となるように適宜設定
されることが好ましく、得られるアニオン性界面活性剤
の酸価が200未満とならないように設定されることが
より好ましい。また、上記その他の単量体は、得られる
アニオン性界面活性剤を用いて上述したワックス用単量
体成分の重合を行うことにより得られるワックスとの相
溶性を考慮して、その種類と量を選択することが好まし
い。
【0050】また、上記分散安定剤用単量体成分の重合
に用いられるアルキルメルカプタンの使用量は、所望す
る分散安定剤の分子量により決定されるものであるが、
通常、上記分散安定剤用単量体成分100重量部に対
し、2重量部〜300重量部の範囲内である。
【0051】また、上記分散安定剤用単量体成分の重合
に用いられる重合開始剤としては、周知の油溶性重合開
始剤または水溶性重合開始剤、より具体的には、前記例
示の重合開始剤を使用することができる。該重合開始剤
の使用量は、上記アルキルメルカプタン1モルに対し、
1モル以下の割合が好ましく、0.1以下の割合とする
ことがより好ましい。
【0052】上記アニオン性界面活性剤は、その性状に
より塊状重合、溶液重合、懸濁重合の何れの方法でも製
造することができる。重合温度としては50℃〜150
℃が好ましく、重合時間は1時間〜8時間が好適であ
る。
【0053】また、溶液重合反応を行う際の溶剤として
は、上記分散安定剤用単量体成分とアルキルメルカプタ
ンとが溶解し、ラジカル重合を阻害しないものであれ
ば、特に限定されない。
【0054】上記の方法により得られた重合体(アニオ
ン性界面活性剤)は、それ自身充分な界面活性能を有す
るが、上記ワックス用単量体成分の重合時の分散安定性
および得られるワックス分散体、即ち、不燃性潤滑剤の
貯蔵時の分散安定性を向上するために、カルボキシル基
の一部もしくは全量を中和して塩として使用することが
より好ましい。
【0055】上記の重合体の中和に用いる中和剤として
は、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭
酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニ
ア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン等の水溶性有機アミン類;等、酸の中和に通常使
用される中和剤を用いることができる。これら中和剤
は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合
して用いてもよい。
【0056】このようにして得られた上記のアニオン性
界面活性剤は、ワックス用単量体成分の重合時の分散安
定性の面で、酸価が200以上であることが好ましい。
また、上記アニオン性界面活性剤の数平均分子量は30
0〜7000の範囲内が好ましく、400〜4000の
範囲内が特に好適である。上記アニオン性界面活性剤の
数平均分子量が上記範囲内であれば、ワックス用単量体
成分あるいはワックスの分散安定性が極めて良好とな
る。
【0057】本発明では、上記ワックス用単量体成分が
カルボキシル基と反応し得る基を有する単量体を含むと
共に、上記分散安定剤としてカルボキシル基を有するア
ニオン性界面活性剤を用いれば、得られるワックスと、
分散安定剤としての上記のアニオン性界面活性剤とが反
応して共有結合を形成して一体化するため、より高性能
の不燃性潤滑剤を得ることができる。
【0058】カルボキシル基と反応し得る基を有する単
量体としては、前記ヒドロキシル基含有不飽和単量体
類;オキサゾリン基含有不飽和単量体類;エポキシ基含
有不飽和単量体類;アジリジニル基含有不飽和単量体類
等が挙げられる。これらカルボキシル基と反応し得る基
を有する単量体は、前記ワックス用単量体成分中、0.
1重量%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜10
重量%の割合で用いることができる。
【0059】また、本発明において分散安定剤として好
適に用いられる上記のカチオン性界面活性剤の原料とし
て用いられるポリアミン化合物は、分子内に2個以上の
第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有する
ポリアミンまたはポリアミン誘導体であり、具体的に
は、例えば、ポリエチレンイミン等の、アルキレンイミ
ン類の(共)重合によって得られるポリアルキレンイミ
ン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタ
エチレンヘキサミン等の(ポリ)アルキレンポリアミ
ン;ポリアルキレンイミンおよび/または(ポリ)アル
キレンポリアミンとアジピン酸等の多塩基酸との縮合に
よって得られるポリアミドポリアミン;ポリアルキレン
イミンおよび/または(ポリ)アルキレンポリアミンお
よび/またはアルキレンイミンと尿素との反応によって
得られるポリウレアポリアミン;アルキレンイミンとフ
タル酸等の酸無水物との共重合によって得られるポリア
ミドボリエステルポリアミン;等が挙げられる。
【0060】また、ポリアミン誘導体としては、ポリア
ミンに、アルキレンオキシド、(メタ)アクリル酸エス
テル類、α、β−不飽和酸アミド化合物等を付加反応さ
せた化合物等が挙げられる。上記アルキレンオキシドと
しては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙
げられる。また、(メタ)アクリル酸エステル類として
は、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等が挙げら
れる。α、β−不飽和酸アミド化合物としては、アクリ
ルアミド等が挙げられる。
【0061】これらポリアミン化合物のなかでも、優れ
た界面活性能を得る上で、ポリエチレンイミンまたはそ
の誘導体が好適であり、得られるカチオン性界面活性剤
の水への溶解性、溶液の粘度、界面活性能から、重量平
均分子量が5000以下のポリエチレンイミンを使用す
ることがより好ましい。
【0062】また、前記一般式(3)で表される化合物
において、式中、R6 で表される置換基が炭素数4〜2
8の炭化水素基とは、具体的には、炭素数4〜28の直
鎖状もしくは分枝状のアルキル基、(アルキル)アリー
ル基、(アルキル)水添アリール基、(アルキル)アラ
ルキル基等である。
【0063】上記一般式(3)で表される化合物として
は、具体的には、例えば、エチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、イソブチレンオキシド等のアルキレンオキ
シドの付加モル数が1〜30の、n−オクチルポリオキ
シアルキレングリシジルエーテル、n−ノニルポリオキ
シアルキレングリシジルエーテル、ラウリルポリオキシ
アルキレングリシジルエーテル、ステアリルポリオキシ
アルキレングリシジルエーテル、2−エチルヘキシルポ
リオキシアルキレングリシジルエーテル等の第一級アル
キルポリオキシアルキレングリシジルエーテル類;炭素
数12〜14の第二級アルコールの混合物にアルキレン
オキシドを1〜30モル付加し、さらにグリシジルエー
テル化した化合物、炭素数10〜12の第二級アルコー
ルの混合物にアルキレンオキシドを1〜30モル付加
し、さらにグリシジルエーテル化した化合物等の第二級
アルキルポリオキシアルキレングリシジルエーテル類;
アルキレンオキシドの付加モル数が1〜30の、オクチ
ルフェニルポリオキシアルキレングリシジルエーテル、
ノニルフェニルポリオキシアルキレングリシジルエーテ
ル、ラウリルフェニルポリオキシアルキレングリシジル
エーテル、ステアリルフェニルポリオキシアルキレング
リシジルエーテル等のアルキルフェニルポリオキシアル
キレングリシジルエーテル類;アルキレンオキシドの付
加モル数が1〜30の、オクチルシクロペンチルポリオ
キシアルキレングリシジルエーテル、オクチルシクロヘ
キシルポリオキシアルキレングリシジルエーテル、ノニ
ルシクロペンチルポリオキシアルキレングリシジルエー
テル、ノニルシクロヘキシルポリオキシアルキレングリ
シジルエーテル、ラウリルシクロペンチルポリオキシア
ルキレングリシジルエーテル、ラウリルシクロヘキシル
ポリオキシアルキレングリシジルエーテル、ステアリル
シクロペンチルポリオキシアルキレングリシジルエーテ
ル、ステアリルシクロヘキシルポリオキシアルキレング
リシジルエーテル等のアルキルシクロアルキルポリオキ
シアルキレングリシジルエーテル類;アルキレンオキシ
ドの付加モル数が1〜30の、オクチルベンジルポリオ
キシアルキレングリシジルエーテル、ノニルベンジルポ
リオキシアルキレングリシジルエーテル、ラウリルベン
ジルポリオキシアルキレングリシジルエーテル、ステア
リルベンジルポリオキシアルキレングリシジルエーテル
等のアルキルベンジルポリオキシアルキレングリシジル
エーテル類;オクチルグリシジルエーテル、ラウリルグ
リシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、2
−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の高級アルコー
ルのグリシジルエーテル類:オクチルフェニルグリシジ
ルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、ラウ
リルフェニルグリシジルエーテル、ステアリルフェニル
グリシジルエーテル等のアルキルフェノールのグリシジ
ルエーテル類;オクチルシクロペンチルグリシジルエー
テル、オクチルシクロヘキシルグリシジルエーテル、ノ
ニルシクロペンチルグリシジルエーテル、ノニルシクロ
ヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルシクロペンチル
グリシジルエーテル、ラウリルシクロヘキシルグリシジ
ルエーテル、ステアリルシクロペンチルグリシジルエー
テル、ステアリルシクロヘキシルグリシジルエーテル等
のアルキルシクロアルカノールのグリシジルエーテル
類;オクチルベンジルグリシジルエーテル、ノニルベン
ジルグリシジルエーテル、ラウリルペンジルグリシジル
エーテル、ステアリルベンジルグリシジルエーテル等の
アルキルベンジルアルコールのグリシジルエーテル類;
炭素数12〜14のα−オレフィンエポキシド、炭素数
16または18のα−オレフィンエポキシド等の1,2
−エポキシアルカン類;オクチルイソシアネート、デシ
ルイソシアネート、オタタデシルイソシアネート等のア
ルキルイソシアネート類;オクタノール、ラウリルアル
コール、ステアリルアルコール等のアルコール類または
それらアルコール類のアルキレンオキシド付加物とトリ
レンジイソシアネート等のジイソシアネート類との反応
により得られるモノイソシアネート化合物類;オクタノ
ール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の
アルコール類またはそれらアルコール類のアルキレンオ
キシド付加物の未端水酸基を塩素、臭素、ヨウ素等のハ
ロゲン原子で置換したハロゲン化物類;ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪
酸類;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオス
テアリン酸等の不飽和脂肪酸類;(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エス
テル類;等が挙げられる。これら一般式(3)で表され
る化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以
上を混合して用いてもよい。
【0064】上記一般式(3)で表される化合物の使用
量は、特に限定されるものではないが、充分な界面活性
能を発現させる上で、ポリアミン化合物の活性アミン水
素1個あたり0.01〜0.9分子の割合で使用するこ
とが好ましい。
【0065】また、前記一般式(4)で表される化合物
において、式中、R7 で表される原子団中の重合性不飽
和基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、
(メタ)アリル基、ビニル基等である。
【0066】上記一般式(4)で表される化合物として
は、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−クロ
ルエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)ア
クリル酸2−イソシアネートエチル等の、分子内にアミ
ノ基と反応する基を有する(メタ)アクリル酸エステル
類:クロルエチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類;(メタ)アリルクロライド、(メタ)アリルブロマ
イド、(メタ)アリルイソチオシアネート、(メタ)ア
クリル酸アリル、(メタ)アリルアルコールと無水フタ
ル酸あるいは無水コハク酸等のジカルボン酸無水物との
半エステル、(メタ)アリルグリシジルエーテル等の
(メタ)アリル化合物類;クロルメチルスチレン、α−
メチルクロルメチルスチレン等の、分子内にアミノ基と
反応する基を有するスチレン誘導体類;クロル酢酸ビニ
ル等の、分子内にアミノ基と反応する基を有する酸のビ
ニルエステル類;等が挙げられる。これら一般式(4)
で表される化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜
二種類以上を混合して用いてもよい。これら一般式
(4)で表される化合物のなかでも、収率良く上記のカ
チオン性界面活性剤を得る上で、ビニルエーテル類、
(メタ)アリル化合物類、スチレン誘導体類、酸のビニ
ルエステル類を使用することが好ましい。
【0067】上記一般式(4)で表される化合物の使用
量は、特に限定されるものではないが、充分な界面活性
能を発現させる上で、ポリアミン化合物の活性アミン水
素1個あたり0.01〜0.9分子の割合で使用するこ
とが好ましい。
【0068】本発明において、上記の各カチオン性界面
活性剤を得るための反応条件は、特に限定されるもので
はなく、これらカチオン性界面活性剤は、例えば、ポリ
アミン化合物と、上記一般式(3)で表される化合物ま
たは上記一般式(4)で表される化合物とをそのまま、
あるいは、必要に応じて溶剤により希釈して、好ましく
は、常温〜200℃、より好ましくは50℃〜100℃
の温度条件下で反応させることにより得ることができ
る。
【0069】上記の反応において必要に応じて用いられ
る上記の溶剤としては、上記ポリアミン化合物と、上記
一般式(3)で表される化合物および上記一般式(4)
で表される化合物のうち反応に用いられる化合物とを溶
解し得るものであって、かつ、これらに対して不活性で
あるものが好ましい。また、上記の反応に際しては、反
応を促進するための触媒を使用しても構わない。
【0070】このようにして得られた化合物(カチオン
性界面活性剤)は、各々、酸を配合することにより塩と
して用いることができる。このようにして得られた化合
物を塩とすることで、水に対する溶解性を向上させるこ
とができる。上記の酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等
の無機酸;ギ酸、酢酸、(メタ)アクリル酸等の有機
酸;が挙げられる。
【0071】本発明では、上記ワックス用単量体成分が
アミノ基と反応し得る基を有する単量体を含むと共に、
上記分散安定剤として上記のカチオン性界面活性剤のう
ち少なくとも一方のカチオン性界面活性剤を用いれば、
得られるワックスと分散安定剤としての上記カチオン性
界面活性剤とが反応して共有結合を形成して一体化する
ため、より高性能の不燃性潤滑剤を得ることができる。
【0072】アミノ基と反応し得る基としては、前記不
飽和カルボン酸類;ヒドロキシル基含有不飽和単量体
類;スルホン酸基含有ビニル化合物類;有機珪素基含有
不飽和単量体類;オキサゾリン基含有不飽和単量体類;
エポキシ基含有不飽和単量体類;ハロヒドリン基含有不
飽和単量体類;アシリジニル基含有不飽和単量体類;ブ
ロック化イソシアネート基含有不飽和単量体類;等が挙
げられる。これらカルボキシル基と反応し得る基を有す
る単量体は、前記ワックス用単量体成分中、0.1重量
%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%
の割合で用いることができる。
【0073】本発明において、これら分散安定剤の使用
量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、上
記ワックス用単量体成分100重量部に対して、1重量
部〜20重量部の範囲内、より好ましくは3重量部〜1
5重量部の範囲内である。上記分散安定剤の使用量が上
記の範囲内であれば、上述した微細液滴の状態となるよ
うに上記ワックス用単量体成分の平均粒子径が調節され
る。
【0074】本発明では、上記ワックス用単量体成分の
重合は、該ワックス用単量体成分が上記水性溶媒中に分
散した状態、好ましくは、上記ワックス用単量体成分が
微細液滴となって水性溶媒中に分散した状態を保持しな
がら行うことが好ましい。重合に使用する重合装置とし
ては、従来公知のものを適用することができる。また、
重合温度としては、0℃〜100℃、好ましくは50℃
〜80℃であり、重合時間は1時間〜15時間である。
【0075】本発明では、耐摩擦性の高い不燃性潤滑剤
を得るべく、ワックス用単量体成分と分散安定剤との組
み合わせや分散条件、水性媒体に対するワックスの使用
割合が設定される。
【0076】このようにして得られたワックスの平均粒
子径は、1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で
あり、分散安定性に優れている。但し、上記ワックスが
水性媒体に1μm以下の平均粒子径で以て分散していな
い場合には、耐摩擦性に優れた不燃性潤滑剤を得ること
ができなくなるおそれがある。
【0077】また、上記不燃性潤滑剤におけるワックス
の使用割合、即ち、不燃性潤滑剤中のワックスの含有量
は、1〜60重量%の範囲内に調整され、より優れた耐
摩擦性を有する不燃性潤滑剤を、安定して得ることがで
きることから、好ましくは、2〜30重量%の範囲内に
調整される。上記不燃性潤滑剤におけるワックスの含有
量が上記の範囲を逸脱すると、耐摩擦性が急激に低下す
る傾向にあり、耐摩擦性に優れた所望の不燃性潤滑剤を
得ることができない。
【0078】本発明にかかる不燃性潤滑剤は、このよう
に、ワックスが水性媒体中に分散されてなり、ワックス
が、水性媒体中で凝集することなく、1μm以下の平均
粒子径で水性媒体に均一に分散し、優れた耐摩擦性を発
現する。特に、上記ワックス用単量体成分を微細液滴に
して水性媒体中に分散させた状態で重合してなるワック
ス分散体からなる不燃性潤滑剤は、分散安定性に極めて
優れると共に、振り子II型式摩擦試験により算出される
動摩擦係数が0.1以下と極めて高い耐摩擦性を有して
いる。
【0079】また、本発明にかかる不燃性潤滑剤は、安
価であり、かつ、粒状のワックスを使用していることか
ら、廃棄あるいは再利用に際し、濾過等により、ワック
スを容易に水性媒体から分離することができる。また、
リン等を用いておらず、しかも、ワックスの分散媒とし
て水性溶媒を用いていることから、処理が容易であり、
従来のような廃液処理に伴う問題を招来することもな
い。しかも、本発明にかかる不燃性潤滑剤は、ワックス
の分散媒として水性溶媒を用いていることから不燃性を
有し、例えば製鉄所等、発火源の多い場所でも安全に用
いることができる。
【0080】また、上記ワックスの平均粒子径が1μm
以下と非常に小さく、しかも、凝集することなく水性媒
体に分散していることで、例えば、油圧装置等、本発明
の不燃性潤滑剤を用いた装置における、不燃性潤滑剤を
介して相対する機材間の間隔を小さくすることができ、
上記基材間の動力の伝達効率を向上させることができる
と共に、該不燃性潤滑剤の潤滑特性によって、上記機材
の耐久性を改善することができる。
【0081】本発明の不燃性潤滑剤は、上記ワックスの
分散媒として水性媒体を用いているため、例えば油圧装
置等の装置における該不燃性潤滑剤との接触面、即ち、
上記不燃性潤滑剤を介して運動する機材の相対面が金属
である場合には、さらに防錆剤を含んでいることが好ま
しい。また、本発明にかかる不燃性潤滑剤は、上記ワッ
クス、水性媒体、および分散安定剤以外に、さらに、増
粘剤、分散剤、界面活性剤等の、通常、潤滑剤に用いら
れる従来公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわな
い範囲内で含んでいてもよい。これら防錆剤、増粘剤、
分散剤、界面活性剤等の添加剤の添加方法としては、特
に限定されるものではなく、例えば上記水性媒体に混合
して用いることができる。また、これら添加剤の使用量
は、特に限定されるものではない。
【0082】本発明にかかる不燃性潤滑剤は、耐摩擦性
や不燃性を必要とする種々の用途・分野、具体的には、
例えば、発火源の多い場所で使用する各種機械や、印刷
機械、撚線機、電動機器、自動車部品等に設けられてい
る各種軸受け等、種々の用途・分野において好適に用い
ることができる。
【0083】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較
例中、特に断りがなければ、「部」は「重量部」を表
し、「%」は「重量%」を表す。また、以下の実施例お
よび比較例で得られた不燃性潤滑剤の諸性能は、以下の
方法で評価した。
【0084】(a)分散安定性 先ず、得られた不燃性潤滑剤を、それぞれ高さ150m
m、直径15mmの試験管に、該試験管の底から100
mmの高さまで充填した。その後、この試験管を室温で
放置し、該不燃性潤滑剤中のワックス粒子の沈降および
分散状態を目視にて評価した。この結果、不燃性潤滑剤
を充填した試験管を10日間放置後、ワックス粒子の沈
降が起こらず、試験管内の不燃性潤滑剤中のワックス粒
子が均一な分散状態を保っているものを「◎」で表す。
また、ワックス粒子の均一分散体が全く得られなかった
ものを「×」で表す。
【0085】(b)耐摩擦性 耐摩擦性は、いわゆる振り子II型式摩擦試験により評価
した。つまり、耐摩擦性の評価は、振り子型油性摩擦試
験機(神鋼造機株式会社製)を用い、初期振幅を0.5
ラジアン、振り子縦軸重鐘の重量を40g、振り子横軸
重鐘の重量を80g、振り子縦軸重鐘の取り付け位置を
支点から100mm、振り子横軸重鐘の取り付け位置を
支点から340mmとする標準試験条件にて、振り子の
振れ角が5回一致したときの振れ角を読み取り、該振れ
角から動摩擦係数を算出することにより行った。
【0086】また、分散安定剤は、以下の製造例により
製造した。 〔製造例1〕撹拌機、還流冷却管、温度計、および滴下
ロートを備えたフラスコに、イソプロピルアルコール1
80部を仕込み、窒素を吹き込みながら81度まで内温
を上昇させた。次に、予め容易しておいたアクリル酸8
6部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル139部、n−
ドデシルメルカプタン36部、イソプロピルアルコール
30部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
0.30部からなる重合性単量体混合物を滴下ロートか
ら上記フラスコ内に1時間かけて滴下し、重合反応を行
った。滴下終了後、上記フラスコ内の反応溶液を、還流
状態でさらに1時間撹拌して熟成を行い、固形物55.
4%の重合体の溶液を、分散安定剤(以下、分散安定剤
(1)と記す)として得た。該重合体は、下記一般式
(5)
【0087】
【化5】
【0088】で表される構造を有する、酸価256mg
KOH/g、数平均分子量1500の白色粘稠物であっ
た。
【0089】〔製造例2〕製造例1と同様のフラスコ
に、イソプロピルアルコール180部を仕込み、窒素を
吹き込みながら81度まで内温を上昇させた。次に、予
め容易しておいたアクリル酸174部、n−ドデシルメ
ルカプタン36部、および2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル0.42部からなる重合性単量体混合物を滴
下ロートから上記フラスコ内に1時間かけて滴下し、重
合反応を行った。滴下終了後、上記フラスコ内の反応溶
液を、還流状態でさらに1時間撹拌して熟成を行い、固
形物53.9%の重合体の溶液を、分散安定剤(以下、
分散安定剤(2)と記す)として得た。該重合体は、下
記一般式(6)
【0090】
【化6】
【0091】で表される構造を有する、酸価645mg
KOH/g、数平均分子量1200の白色粘稠物であっ
た。
【0092】〔実施例1〕アクリル酸ステアリル100
部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部、水1
02部、および分散安定剤(1)の中和物溶液(製造例
1で得られた重合体の溶液6.7部に25%アンモニア
水溶液1.5部を加えて中和したもの)8.2部を混合
し、高圧ホモゲナイザー(HV−0H−07型;株式会
社イズミフードマシナリ製)を用いて600kgf/c
2 の圧力で10分間(即ち、5回)処理し、平均粒子
径0.33μmの分散液滴混合物(1)を調整した。
【0093】続いて、撹拌機、還流冷却管、窒素導入
管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに水52
部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら上記
フラスコ内の水を75℃に昇温させた。また、一方で、
上記の分散液滴混合物(1)を上記滴下ロートに仕込ん
だ。
【0094】昇温してから30分間経過後、滴下ロート
から上記分散液滴混合物(1)を3時間かけて滴下し
た。滴下中は温度を75℃〜80℃に保持し、さらに滴
下終了後、同温度で3時間撹拌して重合を終了させ、不
揮発分39.8%、平均粒子径0.35μmのワックス
分散体(1)を得た。このワックス分散体(1)に水を
添加し、不揮発分10.0%とすることで、本発明にか
かる不燃性潤滑剤(1)を得た。得られた不燃性潤滑剤
(1)の分散安定性および耐摩擦性を上述した方法によ
り評価した。この結果を表1に示す。
【0095】〔実施例2〕メタクリル酸メチル34部、
スチレン20部、アクリル酸2−エチルヘキシル22
部、メタクリル酸グリシジル4部、アクリル酸ステアリ
ル20部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1
部、水102部、および分散安定剤(1)の中和物溶液
(製造例1で得られた重合体の溶液6.7部に25%ア
ンモニア水溶液1.5部を加えて中和したもの)8.2
部を混合し、実施例1と同様の処理を行って平均粒子径
0.26μmの分散液滴混合物(2)を調整した。
【0096】続いて、実施例1において、分散液滴混合
物(1)に代えて上記分散液滴混合物(2)を用いた以
外は、実施例1と同様の反応・操作を行って不揮発分4
0.0%、平均粒子径0.28μmのワックス分散体
(2)を得た。このワックス分散体(2)に水を添加
し、不揮発分10.0%とすることで、本発明にかかる
不燃性潤滑剤(2)を得た。得られた不燃性潤滑剤
(2)の分散安定性および耐摩擦性を上述した方法によ
り評価した。この結果を表1に示す。
【0097】〔実施例3〕実施例1において、分散安定
剤(1)の中和物溶液に代えて、分散安定剤(2)の中
和物溶液(製造例2で得られた重合体の溶液6.7部に
25%アンモニア水溶液1.5部を加えて中和したも
の)を用いた以外は、実施例1と同様の操作・処理を行
って平均粒子径0.30μmの分散液滴混合物(3)を
調整した。
【0098】続いて、実施例1において、分散液滴混合
物(1)に代えて上記分散液滴混合物(3)を用いた以
外は、実施例1と同様の反応・操作を行って不揮発分3
9.9%、平均粒子径0.32μmのワックス分散体
(3)を得た。このワックス分散体(3)に水を添加
し、不揮発分10.0%とすることで、本発明にかかる
不燃性潤滑剤(3)を得た。得られた不燃性潤滑剤
(3)の分散安定性および耐摩擦性を上述した方法によ
り評価した。この結果を表1に示す。
【0099】〔実施例4〕実施例2において、分散安定
剤(1)の中和物溶液に代えて、分散安定剤(2)の中
和物溶液(製造例2で得られた重合体の溶液6.7部に
25%アンモニア水溶液1.5部を加えて中和したも
の)を用いた以外は、実施例2と同様の操作・処理を行
って平均粒子径0.30μmの分散液滴混合物(4)を
調整した。
【0100】続いて、実施例1において、分散液滴混合
物(1)に代えて上記分散液滴混合物(4)を用いた以
外は、実施例1と同様の反応・操作を行って不揮発分3
9.8%、平均粒子径0.31μmのワックス分散体
(4)を得た。このワックス分散体(4)に水を添加
し、不揮発分10.0%とすることで、本発明にかかる
不燃性潤滑剤(4)を得た。得られた不燃性潤滑剤
(4)の分散安定性および耐摩擦性を上述した方法によ
り評価した。この結果を表1に示す。
【0101】〔実施例5〕実施例1で得られたワックス
分散体(1)を濃縮し、不揮発分56.3%にすること
で、本発明にかかる不燃性潤滑剤(5)を得た。得られ
た不燃性潤滑剤(5)の分散安定性および耐摩擦性を上
述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0102】〔実施例6〕不揮発分23.2%の結晶ポ
リエチレンワックスエマルジョン(E−103N;東邦
化学工業株式会社製)に水を加え、不揮発分10.0%
にすることで、本発明にかかる不燃性潤滑剤(6)を得
た。分散相粒子の平均粒子径は0.43μmであった。
また、得られた不燃性潤滑剤(6)の分散安定性および
耐摩擦性を上述した方法により評価した。この結果を表
1に示す。
【0103】〔実施例7〕不揮発分30.2%の結晶ポ
リプロピレン系ワックスエマルジョン(E−433N;
東邦化学工業株式会社製)に水を加え、不揮発分10.
0%にすることで、本発明にかかる不燃性潤滑剤(7)
を得た。分散相粒子の平均粒子径は0.38μmであっ
た。また、得られた不燃性潤滑剤(7)の分散安定性お
よび耐摩擦性を上述した方法により評価した。この結果
を表1に示す。
【0104】〔実施例8〕不揮発分34.8%のエチレ
ン共重合系ワックスエマルジョン(S−3127;東邦
化学工業株式会社製)に水を加え、不揮発分10.0%
にすることで、本発明にかかる不燃性潤滑剤(8)を得
た。分散相粒子の平均粒子径は0.79μmであった。
また、得られた不燃性潤滑剤(8)の分散安定性および
耐摩擦性を上述した方法により評価した。この結果を表
1に示す。
【0105】〔比較例1〕実施例1で得られたワックス
分散体(1)を濃縮し、不揮発分63.9%にすること
で、比較用不燃性潤滑剤(1)を得た。得られた比較用
不燃性潤滑剤(1)の分散安定性および耐摩擦性を上述
した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0106】〔比較例2〕イオン交換水を比較用不燃性
潤滑剤(2)とした。該比較用不燃性潤滑剤(2)の耐
摩擦性を上述した方法により評価した。この結果を表1
に示す。
【0107】
【表1】
【0108】上記表1の結果から明らかなように、本発
明にかかる不燃性潤滑剤は、分散安定性および耐摩擦性
に共に優れていることが判る。一方、ワックス粒子の含
有量が1重量%未満あるいは60重量%を越える不燃性
潤滑剤は、耐摩擦性が低いことが判る。
【0109】
【発明の効果】本発明にかかる不燃性潤滑剤は、ワック
スが水性媒体中に分散されてなる不燃性の潤滑剤であ
り、優れた分散安定性および耐摩擦性を有している。上
記不燃性潤滑剤におけるワックスの含有量が1重量%未
満あるいは60重量%を越えると耐摩擦性に優れた不燃
性潤滑剤を得ることができない。また、本発明にかかる
不燃性潤滑剤は、安価であり、かつ、粒状のワックスを
使用していることから、廃棄あるいは再利用に際し、濾
過等により、容易に水性媒体から分離することができ
る。また、リン等を用いておらず、しかも、ワックスの
分散媒として水性溶媒を用いていることから、処理が容
易であり、従来のような廃液処理に伴う問題を招来する
こともない。しかも、本発明にかかる不燃性潤滑剤は、
ワックスの分散媒として水性溶媒を用いていることか
ら、例えば製鉄所等、発火源の多い場所でも安全に用い
ることができる。従って、本発明によれば、耐摩擦性に
優れると共に、分散安定性に優れ、製品の分離を招来す
ることがなく、また、処理が容易で安価な不燃性潤滑剤
を提供することができるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H104 AA01A CA01C CA02C DA05C EA08C LA04 PA05 QA02 4J002 AE031 AE051 BB021 BB031 BB121 BF011 BG011 BG041 BG051 BH021 CD191 DE026 FA081 FD310 GT00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワックスが水性媒体中に分散してなる不燃
    性潤滑剤であって、 上記ワックスが粒子状であり、かつ、ワックスの含有量
    が1〜60重量%の範囲内であることを特徴とする不燃
    性潤滑剤。
  2. 【請求項2】ワックスが水性媒体中に分散してなる不燃
    性潤滑剤であって、 上記ワックスが粒子状であり、かつ、振り子II型式摩擦
    試験により算出される動摩擦係数が0.2以下であるこ
    とを特徴とする不燃性潤滑剤。
  3. 【請求項3】上記ワックスが高分子ワックスであること
    を特徴とする請求項1または2記載の不燃性潤滑剤。
  4. 【請求項4】上記ワックスが分散安定剤の存在下で水性
    媒体中に分散してなるものであることを特徴とする請求
    項1〜3の何れか1項に記載の不燃性潤滑剤。
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