JP2000118372A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

車両用ブレーキシステム

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JP2000118372A
JP2000118372A JP10288195A JP28819598A JP2000118372A JP 2000118372 A JP2000118372 A JP 2000118372A JP 10288195 A JP10288195 A JP 10288195A JP 28819598 A JP28819598 A JP 28819598A JP 2000118372 A JP2000118372 A JP 2000118372A
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mechanical
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JP10288195A
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English (en)
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Takayuki Yamamoto
貴之 山本
Riyouichi Kurasako
涼一 倉迫
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械式ブレーキ装置の作動異常発生を極力回避
するとともに、作動異常を早期に検出する。 【解決手段】車両用ブレーキシステムにおいて、後輪
に、常用ブレーキとしての電動ブレーキ194と、補助
ブレーキとしての機械式ブレーキ173とを備えたドラ
ムインディスクブレーキ19を設ける。機械式ブレーキ
173は、機械式ブレーキ制御装置202を介してブレ
ーキペダル21およびパーキングブレーキレバー203
にそれぞれ機械的に連携させる。機械式ブレーキ173
をパーキングブレーキとして頻繁に作動させれば、機械
式ブレーキ制御装置202等の固着を極力回避すること
ができる。また、車両の挙動に影響を与えない時期に機
械式ブレーキを作動可能とし、ブレーキペダル21を踏
み込んでもケーブル移動検出スイッチ224がON状態
に変化しなければ、機械式ブレーキ制御装置202等に
作動異常が発生したとして運転者に警告する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両を制動するため
に通常使用される常用ブレーキ装置と補助ブレーキ装置
としての機械式ブレーキ装置とが同じブレーキ操作部材
に並列に接続された車両用ブレーキシステムに関するも
のであり、特に信頼性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、常用ブレーキ装置としての
電動ブレーキ装置と補助ブレーキ装置としての機械式ブ
レーキ装置とが同じブレーキ操作部材に並列に接続され
た車両用ブレーキシステム(並列接続式ブレーキシステ
ムと称する)を開発し、特許出願した。未だ公開されて
いない特願平10−205643号がそれである。これ
は、電動ブレーキ装置の故障時に、電動ブレーキ装置と
同じブレーキ操作部材の操作により機械式ブレーキを作
動させて車両を制動するブレーキシステムである。常用
ブレーキの故障時にパーキングブレーキを作動させて車
両を制動することは従来から行われていたが、この場合
には、常用ブレーキ装置のブレーキ操作部材とは別のパ
ーキングブレーキ操作部材を操作する必要があり、最初
のブレーキ操作から実際に制動効果が発生するまでの時
間が長くなる問題があった。それに対し、並列接続式ブ
レーキシステムは、電動ブレーキ装置が正常に作動する
状態では、ブレーキ操作部材の運動が機械式ブレーキ装
置には伝達されず、電動ブレーキ装置が正常に作動しな
い状態になれば伝達されるようにする切換式伝達装置を
備えており、一つのブレーキ操作部材を操作すれば、電
動ブレーキ装置の正常時には電動ブレーキ装置が作動
し、電動ブレーキ装置の故障時には機械式ブレーキ装置
が作動するため、上記効き遅れの問題を解消できる。並
列接続式ブレーキシステムは、上述のように電動ブレー
キ装置の故障時対策として開発されたものではあるが、
常用ブレーキ装置が、液圧により作動するホイールシリ
ンダにより第1摩擦部材を第1ブレーキ回転体に押し付
ける液圧ブレーキ装置等他の形式のブレーキ装置であっ
ても有効である。
【0003】上記機械式ブレーキ装置は常用ブレーキ装
置の故障時にのみ作動するものであるため、作動の機会
が稀であり、可動部材が汚れ,錆等により固定部材に固
着して、機械式ブレーキ装置の主体部が作動不能とな
り、あるいは切換式伝達装置が正常に機能しなくなる可
能性がある。そして、このような機械式ブレーキ装置の
作動異常は、常用ブレーキ装置が故障し、機械式ブレー
キ装置が作動する必要が生じたときに始めて発見される
場合が多い。車両用ブレーキシステムとしては、できる
かぎり信頼性の高いものが望ましく、機械式ブレーキ装
置に作動異常が発生することを極力回避し、また、万一
作動異常が発生した場合にはその事実をできる限り早期
に発見することが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景として、機械式ブレー
キ装置に作動異常が発生することを極力回避すること
と、万一作動異常が発生した場合にはその事実をできる
限り早期に発見することとの少なくとも一方の機能を備
え、信頼性の高い並列接続式ブレーキシステムを得るこ
とを課題としてなされたものである。本発明によれば、
下記各態様の車両用ブレーキシステムが得られる。各態
様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、
必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。
これは、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組
合わせを例示するためであり、本明細書に記載の技術的
特徴やそれらの組合わせが以下のものに限定されると解
釈されるべきではない。 (1)ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩擦部材を
第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車輪の回転
を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレーキ装置
の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力を機械的
に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2ブレーキ
回転体に押し付けることにより前記車輪の回転を抑制す
る機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレーキシステ
ムにおいて、前記常用ブレーキ装置が正常な状態におい
て前記機械式ブレーキ装置の作動異常を検出する作動異
常検出装置を設けたことを特徴とする車両用ブレーキシ
ステム(請求項1)。本態様の車両用ブレーキシステム
においては、常用ブレーキ装置が正常な状態において
も、機械式ブレーキ装置の作動異常が発生すれば、作動
異常検出装置により検出されるため、その検出に応じて
点検,修理等を行うことができ、ブレーキシステムの信
頼性が向上する効果が得られる。本発明は、前述のよう
に、電動ブレーキ装置と機械式ブレーキ装置とが併設さ
れた次項に記載の車両用ブレーキシステムの信頼性を向
上させることを直接の目的としてなされたものである
が、常用ブレーキ装置が液圧ブレーキ装置等他の形式の
ブレーキ装置である車両用ブレーキシステムに本発明を
適用することも可能である。また、第1摩擦部材と第2
摩擦部材、第1ブレーキ回転体と第2ブレーキ回転体と
は、それぞれ別個に設けることが望ましいが、少なくと
もブレーキ回転体を兼用とすることも可能である。常用
ブレーキ装置と機械式ブレーキ装置とで摩擦部材および
ブレーキ回転体が兼用の場合には、機械式ブレーキ装置
の主体部が常用ブレーキ装置の主体部として頻繁に作動
させられることになるため、この部分が作動不能になる
ことは少なく、また、万一作動不能になれば早期に発見
されるが、その主体部にブレーキ操作部材の運動を伝達
する機械式ブレーキ装置の運動伝達部分は頻繁には作動
させられないため、この部分に可動部材の固着等に起因
する作動異常が発生する可能性があり、また、作動異常
の発見が遅れる可能性がある。したがって、この部分に
本発明を適用する意義があるのである。 (2)前記常用ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材
の操作に応じて作動する電動駆動源の駆動力により前記
第1摩擦部材を前記第1ブレーキ回転体に押し付ける電
動ブレーキ装置である (1)項に記載の車両用ブレーキシ
ステム。 (3)前記作動異常検出装置が、前記機械式ブレーキを
作動させても車両の挙動に影響を与えない時期に機械式
ブレーキ装置を作動可能な状態とする検査時作動可能状
態移行装置と、その検査時作動可能状態移行装置により
機械式ブレーキ装置が作動可能状態にされている状態で
前記ブレーキ操作部材が操作された際、前記機械式ブレ
ーキ装置が作動しないことを検出する不作動検出装置と
を含む (1)項または (2)項に記載の車両用ブレーキシス
テム(請求項2)。検査時作動可能状態移行装置は、機
械式ブレーキ装置を作動可能状態にする際に常用ブレー
キ装置を作動可能な状態に保つものとしても、作動しな
い状態にするものとしてもよい。前者の場合には、ブレ
ーキ操作部材の操作に応じて常用ブレーキ装置と機械式
ブレーキ装置とが共に作動し、後者の場合には機械式ブ
レーキ装置のみが作動することとなる。いずれにして
も、検査時作動可能状態移行装置により機械式ブレーキ
装置が作動可能な状態とされている状態で、ブレーキ操
作部材が操作されれば、機械式ブレーキ装置が作動する
はずである。したがって、このときもし不作動検出装置
が機械式ブレーキ装置が作動しないことを検出すれば、
機械式ブレーキ装置が何等かの異常により作動不能状態
に陥っていることが判る。しかも、検査時作動可能状態
移行装置が機械式ブレーキ装置を作動可能な状態とする
のは、機械式ブレーキを作動させても車両の挙動に影響
を与えない時期であるため、機械式ブレーキ装置の作動
が車両の挙動に影響を与えることはなく、運転者に違和
感を与えることなく作動異常の検出を行うことができ
る。 (4)前記検査時作動可能状態移行装置が、当該車両用
ブレーキシステムが設けられた車両が停止状態にあるこ
とを検出する停車検出装置を備え、その停車検出装置に
よる停車状態検出に基づいて、前記機械式ブレーキ装置
を作動可能状態にするものである (3)項に記載の車両用
ブレーキシステム(請求項3)。停車状態において機械
式ブレーキ装置が作動させられても、車両は停止し続け
るのみで、挙動に変化はない。 (5)前記検査時作動可能状態移行装置が、前記ブレー
キ操作部材がブレーキ解除位置からブレーキ作用位置へ
予め定められた初期ストローク以上操作されていること
を検出する初期ストローク以上操作検出装置を備え、前
記停車検出装置が停車状態を検出している状態で、前記
初期ストローク以上操作検出装置が非検出状態から検出
状態に移行するのに応じて前記機械式ブレーキ装置を作
動可能状態にするものである (4)項に記載の車両用ブレ
ーキシステム。本態様においては、車両が停止状態にあ
る状態で、ブレーキ操作部材が制動操作されれば、初期
ストローク以上操作検出装置がその事実を検出し、検査
時作動可能状態移行装置が機械式ブレーキ装置を作動可
能状態にする。したがって、その制動操作が継続されれ
ば機械式ブレーキ装置が作動することとなり、車両が停
止状態にある状態で制動操作が1回行われれば十分であ
ることになる。 (6)前記検査時作動可能状態移行装置が、さらに、前
記車両のシフトレバーがパーキングレンジにあることを
検出するパーキングレンジ検出装置を備え、前記停車装
置が停車状態を検出し、かつ、パーキングレンジ検出装
置がパーキングレンジを検出している状態で、前記機械
式ブレーキ装置を作動可能状態にするものである (4)項
または (5)項に記載の車両用ブレーキシステム。前記
(4)項また (5)項におけるように、停車検出装置による
停車状態検出に基づいて機械式ブレーキ装置が作動可能
な状態とされることは、機械式ブレーキ装置の作動異常
が頻繁にチェックされるという点では望ましいことであ
る。しかし、それほど頻繁にチェックされる必要がない
場合には、本態様が好適である。車両が交差点等で短時
間だけ停車させられる場合には、シフトレバーはドライ
ブレンジのままにされ、駐車される際にパーキングレン
ジにされるのが普通である。したがって、本態様によれ
ば、交差点等で短時間だけ停車させられる場合には、ブ
レーキ操作部材が操作されても機械式ブレーキ装置は作
動させられず、駐車中にブレーキ操作部材が操作されれ
ば機械式ブレーキ装置が作動させられることとなり、機
械式ブレーキ装置の作動頻度が著しく低くなる。しか
し、機械式ブレーキ装置に作動異常が発生しているか否
かの検査は車両が駐車される毎に行われれば十分である
ことが多い。また、駐車状態から車両の運転が開始され
る際には、シフトレバーは通常パーキングレンジにあ
る。シフトレバーがパーキングレンジになければイグニ
ッションスイッチをONにしても、エンジンが始動させ
られないように構成されているのが普通であるからであ
る。また、シフトレバーをパーキングレンジからドライ
ブレンジへシフト操作する際、車両の発進を防止するた
めに、ブレーキ操作部材がブレーキ作用位置へ操作(制
動操作と略称する)されるのが普通であり、本態様の条
件は駐車状態にあった車両が発進させられる際に普通に
満たされるものであって、機械式ブレーキ装置の検査が
確実に実行されることとなる。ブレーキ操作部材が制動
操作されていなければドライブレンジへ操作できないよ
うに、自動的にシフトロックがかけられるものもあり、
この場合には本態様の条件が必ず満たされることとな
り、一層確実に検査が実行される。 (7)前記機械式ブレーキ装置がブレーキケーブルによ
り前記ブレーキ操作部材の操作力を前記第2摩擦部材に
伝達するケーブル式であり、前記作動異常検出装置が、
前記ブレーキケーブルの状態に基づいて作動異常を検出
するケーブル状態依拠異常検出装置を含む (1)項ないし
(6)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム
(請求項4)。機械式ブレーキ装置がケーブル式である
場合には、ブレーキケーブルの緩み,切断等が機械式ブ
レーキ装置の作動不能の原因になる可能性がある。本態
様によれば、そのブレーキケーブルの状態に起因する作
動不能を検出することができる。 (8)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキケーブ
ルの前記第2摩擦部材に接続された末端とは反対側の始
端が接続され、前記ブレーキ操作部材の操作に応じてブ
レーキ解除位置とブレーキ作用位置とに移動し、その運
動を前記始端に伝達する可動部材と、前記ブレーキ操作
部材の運動を前記可動部材に伝達する伝達状態と伝達し
ない不伝達状態とに切換えが可能な切換式伝達装置とを
含み、かつ、前記ケーブル状態依拠異常検出装置が、前
記可動部材の移動を検出する可動部材移動検出装置と、
前記第2摩擦部材の移動を検出する第2摩擦部材移動検
出装置と、前記伝達制御装置が前記伝達状態にある状態
で、前記可動部材移動検出装置が前記可動部材の移動を
検出したにもかかわらず、前記第2摩擦部材移動検出装
置が前記第2摩擦部材の移動を検出しない場合に、前記
ブレーキケーブルが異常であることを表すケーブル異常
情報を作成するケーブル異常情報作成手段とを含む (7)
項に記載の車両用ブレーキシステム。可動部材移動検出
装置と第2摩擦部材移動検出装置とはそれぞれ可動部材
と第2摩擦部材とがブレーキ解除位置から移動したこと
と、ブレーキ作用位置へ移動したこととの少なくとも一
方を検出するものであればよい。本態様によれば、ブレ
ーキ操作部材の制動操作が可動部材までは伝達されてい
るのに、第2摩擦部材には少なくとも十分には伝達され
ていないことが判り、ブレーキケーブルの緩み,切断等
に起因する機械式ブレーキ装置の作動異常が発生したこ
とを確実に検出できる。 (9)前記ケーブル状態依拠異常検出装置が、前記ブレ
ーキケーブル内にそのケーブルと電気的に絶縁された状
態で配設された導線と、その導線の電気的導通状態を検
査し、電気的導通状態が失われたとき前記ケーブルが切
断された可能性があることを表すケーブル切断情報を作
成するケーブル切断情報作成手段とを含む (7)項または
(8)項に記載の車両用ブレーキシステム。ブレーキケー
ブル内に導線を配設しておけば、ブレーキケーブルが切
断されれば導線も切断される。したがって、導線の電気
的導通状態が失われたとき、導線が切断されたと推定
し、ブレーキケーブルが切断された可能性があると推定
することは合理的なことである。ケーブル切断情報は、
ケーブル切断情報作成手段の異常によっても発せられる
ため、本態様の構成のみではブレーキケーブルの切断が
発生したと断定することはできないが、簡単な構成で、
ブレーキケーブル切断発生の可能性があることを検出し
得ることが本態様の特徴である。例えば、ケーブル切断
情報に基づいてケーブル切断警報装置が作動させられる
ようにすれば、その警報に応じて運転者が自分でブレー
キケーブルの状態を検査し、あるいはサービスマンに検
査を依頼することによって、実際にケーブルの切断が発
生しているか否かを確認することができる。また、ケー
ブル切断情報を、他の作動異常発生情報と組み合わせれ
ば、ブレーキ作動異常の検出精度を向上させることがで
きる。 (10)前記ケーブル状態依拠異常検出装置が、前記ブ
レーキケーブルに、ブレーキケーブルの張力の変化に応
じてブレーキケーブルの長手方向に直角な方向の位置が
変わる状態で接続された被検出部材と、常にはその被検
出部材を検出せず、前記ブレーキケーブルの張力が設定
張力以下となった状態では検出する被検出部材検出装置
とを含む (7)項ないし (9)項のいずれか1つに記載の車
両用ブレーキシステム。ブレーキケーブルに切断あるい
は過大な緩みが発生し、ブレーキケーブルの張力が設定
張力以下になれば、被検出部材の位置が変わって被検出
部材検出装置により検出される。ケーブル状態依拠異常
検出装置を、本態様の構成と前記 (9)項の構成とを含む
ものとすれば、両構成の検出状態に基づいて、ケーブル
の緩みが過大となったのか、ケーブルの切断が生じたの
かを判定することができる。前者の場合には、導線の電
気的導通状態は失われないのが普通であるからである。 (11)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作
部材の操作力を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキケ
ーブルと、そのブレーキケーブルの前記第2摩擦部材に
接続された末端とは反対側の始端が接続され、前記ブレ
ーキ操作部材の操作に応じてブレーキ解除位置とブレー
キ作用位置とに移動し、その運動を前記始端に伝達する
可動部材と、前記ブレーキ操作部材の運動を前記可動部
材に伝達する伝達状態と伝達しない不伝達状態とに切換
えが可能な切換式伝達装置とを含み、当該車両用ブレー
キシステムが、パーキングブレーキ操作部材と、そのパ
ーキングブレーキ操作部材の操作を前記ブレーキケーブ
ルに伝達するパーキングブレーキ操作伝達装置とを含
み、かつ、前記作動異常検出装置が、前記ブレーキ操作
部材がブレーキ解除位置からブレーキ作用位置へ予め定
められた初期ストローク以上操作されていることを検出
する初期ストローク以上操作検出装置と、パーキングブ
レーキ操作部材の操作状態を検出するパーキングブレー
キ操作状態検出装置と、前記可動部材の移動を検出する
可動部材移動検出装置と、前記第2摩擦部材の移動を検
出する第2摩擦部材移動検出装置との少なくとも一方と
前記初期ストローク以上操作検出装置、前記パーキング
ブレーキ操作状態検出装置、および前記可動部材移動検
出装置と第2摩擦部材移動検出装置との一方の検出状態
の組合わせが正規の組合わせと異なる場合に、前記機械
式ブレーキ装置が異常であることを表す機械式ブレーキ
装置異常情報を作成する機械式ブレーキ装置異常情報作
成手段とを含む (1)項ないし(10)項のいずれか1つに記
載の車両用ブレーキシステム。可動部材移動検出装置と
第2摩擦部材移動検出装置とはそれぞれ可動部材と第2
摩擦部材とがブレーキ解除位置から移動したことと、ブ
レーキ作用位置へ移動したこととの少なくとも一方を検
出するものであればよい。本態様においては、第2摩擦
部材は機械式ブレーキ装置の摩擦部材とパーキングブレ
ーキ装置の摩擦部材とを兼ねており、常用ブレーキ装置
の故障状態におけるブレーキ操作部材の制動操作によっ
ても、パーキングブレーキ操作部材の制動操作によって
も、ブレーキ解除位置からブレーキ作用位置へ移動させ
られるため、パーキングブレーキ操作部材の操作状態を
考慮せずに機械式ブレーキ装置の作動異常を検出するこ
とができない。そのため、パーキングブレーキ操作状態
検出装置が設けられ、機械式ブレーキ装置異常情報作成
手段がパーキングブレーキ操作状態検出装置の検出状態
にも基づいて機械式ブレーキ装置異常情報を作成するも
のとされる。例えば、パーキングレバー操作状態検出装
置がパーキングレバーの解除状態を検出しており、初期
ストローク以上操作検出装置が初期ストローク以上操作
されていることを検出していない場合には、パーキング
ブレーキ操作部材もブレーキ操作部材も解除状態にある
ことになるため、可動部材移動検出装置と第2摩擦部材
移動検出装置との少なくとも一方も可動部材や第2摩擦
部材の移動を検出しないはずである。しかるに、その一
方が移動を検出すれば、第2摩擦部材または可動部材が
ブレーキ作用位置からブレーキ解除位置へ復帰しなくな
る作動異常が発生したことが判る。あるいは、パーキン
グレバー操作状態検出装置がパーキングレバーの解除状
態を検出していれば、初期ストローク以上操作検出装置
が初期ストローク以上操作されていることを検出してい
ても、可動部材移動検出装置と第2摩擦部材移動検出装
置との少なくとも一方は移動を検出しないはずであるの
に、移動を検出すれば、伝達制御装置の不伝達状態への
切換えに異常が生じたことが判る。さらに、可動部材移
動検出装置が可動部材の移動を検出したにもかかわら
ず、第2摩擦部材移動検出装置が第2摩擦部材の移動を
検出しない場合には、ブレーキケーブルに過大な緩みま
たは切断が生じた可能性があることが判る。 (12)作動異常検出装置が、当該車両用ブレーキシス
テムの制動力減少時における制動力減少状況に基づいて
前記機械式ブレーキ装置の作動異常を検出する制動力減
少状況依拠作動異常検出装置を含む (1)項ないし(11)項
のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム(請求
項5)。常用ブレーキ装置が正常である場合には作動す
べきではない機械式ブレーキ装置が異常作動すれば、車
両用ブレーキシステムの制動力減少時における制動力減
少状況に、下記(13)項,(14)項等に記載の変化が生じ
る。したがって、その変化を検出すれば、機械式ブレー
キ装置の異常作動を検出することができる。 (13)当該車両用ブレーキシステムが、前記常用ブレ
ーキ装置の作用時に、前記車輪のスリップ状態に基づい
て常用ブレーキ装置の作動力を制御することにより、車
輪のスリップ状態を適正状態に制御するアンチロック制
御装置を含み、制動力減少状況依拠作動異常検出装置
が、アンチロック制御装置により前記常用ブレーキ装置
の作動力が減少させられた際の前記車輪の回転速度の回
復状況が通常より悪いことに基づいて、前記機械式ブレ
ーキ装置が無用な異常作動を行う作動異常を表す機械式
ブレーキ装置無用作動情報を作成する機械式ブレーキ装
置無用作動情報作成手段を含む(12)項に記載の車両用ブ
レーキシステム。常用ブレーキ装置が正常な状態で機械
式ブレーキ装置が異常作動させられる作動異常が生ずれ
ば、アンチロック制御装置により常用ブレーキ装置の作
動力が減少させられても、機械式ブレーキ装置の作動力
は減少させられないため、車輪の回転速度の回復状況が
通常より悪くなる。したがって、この事実から機械式ブ
レーキ装置の異常作動を検出することができる。 (14)前記常用ブレーキ装置が、前記車両の前輪と後
輪との両方に設けられる一方、前記機械式ブレーキ装置
が、前輪と後輪との一方に設けられて他方には設けられ
ず、前記制動力減少状況依拠作動異常検出装置が、前記
前輪と前記後輪との各回転速度を検出する車輪回転速度
検出装置と、前記ブレーキ操作部材の解除操作時に車輪
回転速度検出装置により検出される前輪と後輪との回転
速度の増加率が設定条件以上異なることに基づいて、前
記機械式ブレーキ装置の作動異常を検出する回転速度増
加率差依拠作動異常検出装置を含む(12)項または(13)項
に記載の車両用ブレーキシステム。常用ブレーキ装置の
みが作用すべきときに機械式ブレーキ装置も作用すれ
ば、機械式ブレーキ装置が設けられた側の車輪のスリッ
プが機械式ブレーキ装置が作用しない場合に比較して大
きくなる。それに対して、機械式ブレーキ装置が設けら
れていない側の車輪のスリップにはそのような変化は生
じない。そのため、ブレーキ操作部材が解除され、車輪
速度が回復する際の回転速度の増加率が、機械式ブレー
キ装置が設けられた側の車輪と機械式ブレーキ装置が設
けられていない側の車輪とで設定条件以上異なる現象が
生じる。また、機械式ブレーキ装置が作用した状態で解
除不能になっている場合には、ブレーキ操作部材が解除
された際の車輪速度の増加率が、機械式ブレーキ装置が
設けられた側の車輪において小さくなるのに対し、機械
式ブレーキ装置が設けられていない側の車輪においては
そのような変化は生じない。いずれにしても、前輪と後
輪との回転速度の増加率の差の絶対値が大きくなるた
め、その事実に基づいて少なくとも一方の作動異常の発
生を検出することができる。上記「設定条件」は、例え
ば「前輪と後輪との回転速度の増加率の差の絶対値が設
定増加率差より大きいこと」とすることができる。ここ
において、「増加率の差の絶対値」は、実際に回転速度
の増加率の差の絶対値が求められる必要があることを意
味しない。回転速度の増加率の差が正負の符号付きで求
められ、符号付きの設定増加率と比較されるようにして
もよい。後者の場合は、設定増加率を正と負との両方設
定して、実際の回転速度の増加率と比較すれば、上記二
つの作動異常の両方を検出することができ、かつ、いず
れが発生したかも判る。また、正の設定増加率差と負の
設定増加率差との一方のみを設定して、実際の増加率差
と比較すれば、上記二つの作動異常の一方を検出するこ
とができる。さらに、「設定条件」は「前輪と後輪との
回転速度の増加率の比の絶対値が設定増加率比より大き
いこと」とすることもできる。 (15)作動異常検出装置が、前記機械式ブレーキ装置
が無用な作動を行っていることを検出する機械式ブレー
キ装置無用作動検出装置を含む (1)項ないし(10)項のい
ずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。作動異常
検出装置が機械式ブレーキ装置無用作動検出装置を含む
場合には、機械式ブレーキ装置が無用な作動を行ってい
ることを検出することができる。前記(11)項ないし(14)
項の作動異常検出装置は機械式ブレーキ装置無用作動検
出装置の例である。 (16)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作
部材の操作を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキ操作
伝達装置と、前記常用ブレーキ装置の正常作動時にブレ
ーキ操作伝達装置を不伝達状態とし、常用ブレーキ装置
の作動異常時には伝達状態とする伝達状態切換装置とを
含み、前記作動異常検出装置が、前記常用ブレーキ装置
の正常作動時にブレーキ操作伝達装置が前記伝達状態に
あることに基づいて前記伝達状態切換装置の異常を検出
する伝達状態切換装置異常検出装置を含む (1)項ないし
(15)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステ
ム。作動異常検出装置が伝達状態切換装置異常検出装置
を含む場合には、常用ブレーキ装置の正常状態において
ブレーキ操作伝達装置が伝達状態となる作動異常が発生
していることを検出することができる。 (17)前記伝達状態切換装置が、前記ブレーキ操作部
材側の部材である上流側部材と、前記第2摩擦部材側の
部材である下流側部材と、それら下流側部材と上流側部
材との一方に保持され、他方に係合する作用位置と係合
しない非作用位置とに移動可能な係合部材と、その係合
部材を前記作用位置と前記非作用位置とに移動させる係
合部材駆動装置とを含み、前記伝達状態切換装置異常検
出装置が、前記係合部材駆動装置に前記係合部材を前記
非作用位置へ移動させるべき旨の信号が出されているに
もかかわらず、ブレーキ操作伝達装置が前記伝達状態に
あることに基づいて前記伝達状態切換装置の異常を検出
するものである(16)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。伝達状態切換装置が、係合部材と係合部材駆動装置
とを含むものである場合には、係合部材がロック状態に
なって、あるいは係合部材駆動装置が故障して、係合部
材駆動装置に係合部材を非作用位置へ移動させるべき旨
の信号が出されているにもかかわらず係合部材が非作用
位置へ移動せず、伝達状態切換装置が不伝達状態となら
ない異常が発生する可能性がある。本態様によれば、こ
の作動異常の発生を検出することができる。係合部材駆
動装置としてはソレノイド装置が好適である。また、そ
のソレノイド装置は、電流の非供給時に前記係合部材を
前記作用位置に保ち、電流の供給時に前記非作用位置に
移動させるものとすることが望ましい。電流供給装置が
電流供給不能となったときに、ブレーキ操作伝達装置が
伝達状態になることがフェールセーフの観点から望まし
いからである。また、この構成によれば、イグニッショ
ンスイッチがOFFの状態でブレーキ操作部材が制動操
作されれば、機械式ブレーキ装置が作動させられるよう
にできるため、可動部材の固着等により機械式ブレーキ
装置が作動不能となり、あるいは作用状態から解除状態
へ復帰しなくなる等の作動異常の発生を防止する上で有
効である。 (18)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作
部材の操作を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキ操作
伝達装置と、前記常用ブレーキ装置の正常作動時にブレ
ーキ操作伝達装置を不伝達状態とし、常用ブレーキ装置
の作動異常時には伝達状態とする伝達状態切換装置とを
含み、かつ、前記作動異常検出装置が、前記機械式ブレ
ーキ装置の、前記伝達状態切換装置より前記第2摩擦部
材側の可動部材の移動を検出する可動部材移動検出装置
を備え、前記常用ブレーキ装置の正常作動時に前記可動
部材移動検出装置が前記可動部材の移動を検出した場合
に、前記伝達状態切換装置の作動異常を検出するもので
ある (1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の車両用
ブレーキシステム。常用ブレーキ装置の正常作動時に
は、伝達状態切換装置が不伝達状態にされるべきである
のに、不伝達状態にされなくなれば、移動すべきではな
い可動部材が移動することになる。したがって、この可
動部材の無用の移動を可動部材移動検出装置により検出
すれば、伝達状態切換装置の不伝達状態への切換えが不
能になったこと、あるいは機械式ブレーキ装置が無用に
作動する状態にあることを検出することができる。 (19)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作
部材の操作を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキ操作
伝達装置と、前記常用ブレーキ装置の正常作動時にブレ
ーキ操作伝達装置を不伝達状態とし、常用ブレーキ装置
の作動異常時には伝達状態とする伝達状態切換装置とを
含み、かつ、前記作動異常検出装置が、前記第2摩擦部
材の前記第2ブレーキ回転体への押付力を検出する押付
力検出装置を備え、前記常用ブレーキ装置の正常作動時
に押付力検出装置が設定押付力以上の押付力を検出した
場合に、前記伝達状態切換装置の作動異常を検出するも
のである (1)項ないし(18)項のいずれか1つに記載の車
両用ブレーキシステム。押付力検出装置が設定押付力以
上の押付力を検出したということは、機械式ブレーキ装
置が作動したということであり、それが常用ブレーキ装
置の正常作動時であれば、機械式ブレーキ装置が異常な
作動を行ったということである。なお、押付力の検出
は、例えば、第2摩擦部材を第2ブレーキ回転体に押し
付ける押付部材やその押付部材を作動させる部材の応力
を歪みゲージ等で測定する応力測定装置により行うこと
ができる。 (20)前記常用ブレーキ装置が、前記車両の前輪と後
輪との両方に設けられる一方、前記機械式ブレーキ装置
が、前輪と後輪との一方に設けられて他方には設けられ
ず、かつ、機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部
材の操作を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキ操作伝
達装置と、前記常用ブレーキ装置の正常作動時にブレー
キ操作伝達装置を不伝達状態とし、常用ブレーキ装置の
作動異常時には伝達状態とする伝達状態切換装置を含
み、かつ、前記作動異常検出装置が、前輪と後輪との前
記一方に前記常用ブレーキ装置により発生させられる制
動トルクと前記機械式ブレーキ装置により発生させられ
る制動トルクとの和である制動トルク和を検出する制動
トルク和検出装置と、前輪と後輪との前記他方に前記常
用ブレーキ装置により発生させられる制動トルクである
常用ブレーキ制動トルクを検出する常用ブレーキ制動ト
ルク検出装置と、前記制動トルク和と前記常用ブレーキ
制動トルクとの実際の比率である実制動トルク比率が、
機械式ブレーキ装置の正常時における制動トルク比率で
ある基準制動トルク比率と比較して、設定条件以上異な
る場合に、機械式ブレーキ装置に作動異常が発生したこ
とを表す情報を作成する機械式ブレーキ装置作動異常情
報作成手段とを含む (1)項ないし(19)項のいずれか1つ
に記載の車両用ブレーキシステム。機械式ブレーキ装置
作動異常情報作成手段は、例えば、通常制動時における
前輪,後輪の制動トルク比率に基づいて異常判定を行
う。機械式ブレーキ装置に作動異常がない通常時には、
前輪と後輪との実制動トルクの比率が基準トルク比率と
実質的に等しくなるが、例えば、機械式ブレーキ装置が
常用ブレーキ装置と共に作動する作動異常が生ずれば、
機械式ブレーキ装置が設けられた側の車輪の実制動トル
ク(制動トルク和)が通常時より大きくなるため、前輪
と後輪との実制動トルクの比率が基準制動トルク比率と
明瞭に異なる。この事実を、実制動トルク比率と基準制
動トルク比率との差や商の絶対値が、設定制動トルク比
率差や商より大きくなるか否か等の設定条件が満たされ
るか否かにより検出すれば、機械式ブレーキ装置に作動
異常が発生したことを検出することができる。 (21)ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩擦部材
を第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車輪の回
転を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレーキ装
置の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力を機械
的に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2ブレー
キ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転を抑制
する機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレーキシス
テムにおいて、前記常用ブレーキ装置が正常な状態にお
いて、機械式ブレーキ装置を作動可能な状態とする正常
時作動可能状態移行装置を設けたことを特徴とする車両
用ブレーキシステム(請求項6)。正常時作動可能状態
移行装置を設ければ、常用ブレーキ装置が正常に作動す
る状態においても、機械式ブレーキを作動させることが
でき、機械式ブレーキ装置が長期間にわたって作動させ
られないために可動部材が固定部材に固着する等によ
り、機械式ブレーキ装置が作動不能となり、あるいは作
用状態から解除状態に復帰しなくなる等の作動異常の発
生を良好に回避することができる。正常時作動可能状態
移行装置は、機械式ブレーキ装置の作動が車両の走行状
態に影響を与えない無影響時に機械式ブレーキ装置を作
動可能な状態とするものであることが望ましい。車両の
挙動に影響を与えることなく、機械式ブレーキ装置を作
動させることができるからである。本態様に機械式ブレ
ーキ装置の作動異常を検出する作動異常検出装置を設け
れば、機械式ブレーキ装置の作動異常が発生することの
回避と、作動異常の早期検出との両方の機能を持たせる
ことができる。 (22)前記機械式ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作
部材の操作を前記第2摩擦部材に伝達するブレーキ操作
伝達装置と、前記常用ブレーキ装置の正常作動時にブレ
ーキ操作伝達装置を不伝達状態とし、常用ブレーキ装置
の作動異常時には伝達状態とする伝達状態切換装置を含
み、前記正常時作動可能状態移行装置が、機械式ブレー
キを作動させても車両の挙動に影響を与えない時期に伝
達状態切換装置を前記伝達状態とする伝達状態切換装置
制御装置を含む(21)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。本態様によれば、運転者に違和感を与えることなく
機械式ブレーキ装置を作動させ、作動異常の発生を回避
することができる。 (23)前記伝達状態切換装置制御装置が、当該車両用
ブレーキシステムが設けられた車両が停止状態にあるこ
とを検出する停車検出装置を備え、その停車検出装置に
よる停車状態検出に基づいて、前記伝達状態切換装置を
前記伝達状態にするものである(22)項に記載の車両用ブ
レーキシステム。停車状態において機械式ブレーキ装置
が作動させられても、車両は停止し続けるのみで、挙動
に変化はない。 (24)前記伝達状態切換装置制御装置が、前記車両が
停車状態にあることを検出する停車検出装置と、前記車
両のシフトレバーがパーキングレンジにあることを検出
するパーキングレンジ検出装置とを備え、前記停車状態
検出装置が停車状態を検出し、かつ、パーキングレンジ
検出装置がパーキングレンジを検出している状態で、前
記伝達状態切換装置を前記伝達状態にするものである(2
3)項に記載の車両用ブレーキシステム。前記 (6)項の説
明が本項にも当てはまる。 (25)ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩擦部材
を第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車輪の回
転を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレーキ装
置の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力を機械
的に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2ブレー
キ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転を抑制
する機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレーキシス
テムにおいて、前記機械式ブレーキ装置にパーキングブ
レーキレバーを接続したことを特徴とする車両用ブレー
キシステム(請求項7)。機械式ブレーキ装置がパーキ
ングブレーキ装置として頻繁に作動させられるため、汚
れ,錆つき等により作動不能になることが回避され、ま
た、万一作動不能になればその事実が早期に判明する。
本項の特徴を前記各項の特徴と組み合わせて採用するこ
とも可能である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面に基づいて詳細に説明する。図1には、本発明
の一実施形態であるブレーキシステムが示されている。
このブレーキシステムは、左右前輪FL,FRと左右後
輪RL,RRとを備えた4輪自動車に設けられている。
この車両は、動力源としてのエンジン(内燃機関)10
と、駆動力伝達装置としてのオートマチックトランスミ
ッション(以下、「A/T」と略称する)12とを備え
ており、それらエンジン10とA/T12とにより、左
右前輪と左右後輪との少なくとも一方である駆動車輪が
駆動され、それにより、車両が駆動される。左右前輪に
はそれぞれ、超音波モータ14を駆動源とするとともに
流体圧を使用しない常用ブレーキとしての電動ディスク
ブレーキ16が設けられており、左右後輪にはそれぞ
れ、ドラムインディスクブレーキ19が設けられてい
る。ドラムインディスクブレーキ19は、超音波モータ
14を駆動源とする電動ディスクブレーキアッセンブリ
と、機械式ドラムブレーキアッセンブリとを備えてい
る。これらについては後に詳述するが、電動ディスクブ
レーキアッセンブリは常用ブレーキとして機能し、機械
式ドラムブレーキアッセンブリは、ブレーキ操作部材と
してのブレーキペダル21を駆動源とするとともに流体
圧を使用しない補助ブレーキとして機能する。
【0006】電動ディスクブレーキ16は、図2に示す
ように、車輪と共に回転する回転体としてのディスクロ
ータ17を備えている。ディスクロータ17の両面はそ
れぞれ摩擦面18a,18bとされ、それら摩擦面18
a,18bに対向して一対のブレーキパッド20a,2
0bが配設されている。各ブレーキパッド20a,20
bは、前面において各摩擦面18a,18bと接触する
摩擦材22を備えるとともに、その摩擦材22の背面に
鋼製の裏板24が固着された構造とされている。
【0007】電動ディスクブレーキ16は、パッド支持
機構26とパッド加圧機構28とを備えており、まず、
パッド支持機構26について説明する。パッド支持機構
26はマウンティングブラケット30により構成されて
いる。マウンティングブラケット30は、ディスクロー
タ17を跨ぐ状態で車体に片持ち状にかつ固定的に取り
付けられている。マウンティングブラケット30は、
(a) 一対のブレーキパッド20a,20bをディスクロ
ータ17を両側から挟む位置において各摩擦面18a,
18bと直角な方向Yに移動可能に支持する機能と、
(b) 各ブレーキパッド20a,20bとディスクロータ
17との接触時に各ブレーキパッド20a,20bに発
生する連回りトルクを受ける機能とを果たす。
【0008】次に、パッド加圧機構28について説明す
る。パッド加圧機構28の主体はキャリパ60である。
キャリパ60は、互いに別部材であるキャリパ本体部6
1とモータハウジング80とがボルト等の固定手段によ
り固定されて成っている。キャリパ本体部61は、パッ
ド押圧関連部60aとモータ取付部60bと支持部60
cとが一体化されたものであり、さらに、図示しない一
対のアームを備えている。それら一対のアームの各々
に、パッド移動方向Yに平行に延びる1本ずつのピン
(図示省略)が取り付けられており、それら2本のピン
はマウンティングブラケット30にパッド移動方向Yに
平行に形成されたピン孔に摺動可能に嵌合されている。
キャリパ本体部61は、パッド押圧関連部60aにおい
て、ピンとピン孔とを介してマウンティングブラケット
30にパッド移動方向Yに摺動可能に支持されているの
であり、キャリパ60は浮動式なのである。
【0009】パッド押圧関連部60aは、一対のブレー
キパッド20a,20bのうちのインナパッド20bの
背後に位置する押圧部64と、アウタパッド20aの背
後に位置するリアクション部66と、ディスクロータ1
7を跨ぐ連結部68とが互いに一体化された構造とされ
ている。押圧部64には、加圧部材としての押圧ピスト
ン70がインナパッド20bの背後において摺動可能に
嵌合されている。押圧ピストン70はそれの前面におい
てインナパッド20bの背面に接触させられる。押圧ピ
ストン70の背後には、超音波モータ14が同軸に配置
されている。押圧ピストン70と超音波モータ14と
は、パッド移動方向Yに平行に互いに同軸に配置される
とともに、運動変換機構としてのボールねじ機構74に
より互いに連携させられている。
【0010】超音波モータ(以下、単に「モータ」とい
う)14は、進行波式である。このモータ14は、よく
知られているように、ステータ82に超音波の表面波が
生じさせられることによって、ステータ82とロータ8
4との間に働く摩擦力によりロータ84が回転させられ
るものである。モータ14は、有底円筒状のモータハウ
ジング80にステータ82とロータ84とが同軸に収容
された構造とされている。ステータ82は弾性体90と
圧電体92とが重ね合わせられた構造とされている。モ
ータハウジング80は、底部に貫通穴を有する本体部8
0aとその貫通穴を閉塞する閉塞部80bとがボルト等
の固定手段により固定されて構成されている。モータハ
ウジング80は、それの開口部において前記モータ取付
部60bに固定されている。
【0011】ロータ84は押圧接触機構94によってス
テータ82に押し付けられ、両者の間に必要な摩擦力が
得られるようになっている。ロータ84のうちステータ
82と接触する部分には摩擦材料が接着されている。こ
れにより、ステータ82に発生した進行波振動がロータ
84に伝達されてロータ84が回転させられる。圧電体
92に電圧が印加されない非通電状態(OFF状態)で
も、押圧接触機構94によりステータ82とロータ84
との間には一定の摩擦力が生じさせられ、この摩擦力に
より静止保持トルクがモータ14に付与される。
【0012】前記ボールねじ機構74は、おねじ部材1
00とめねじ部材102とが複数個のボール(図示しな
い)を介して螺合された構造とされている。おねじ部材
100は回転は阻止されているが軸方向移動は許容され
ており、一方、めねじ部材102は回転は許容されてい
るが軸方向移動は阻止されている。おねじ部材100
は、モータハウジング80にスプライン嵌合部103に
よって回転不能に取り付けられている。そのスプライン
嵌合部103は、モータハウジング80に位置固定に設
けられている。
【0013】めねじ部材102には、ロータ84が押圧
接触機構94と共に相対回転不能に取り付けられてい
る。したがって、ロータ84が正回転すればめねじ部材
102も正回転し、めねじ部材102が正回転すればお
ねじ部材100が前進して(図において右方に移動し
て)押圧ピストン70がインナパッド20bをディスク
ロータ17に接近させる向きに移動する。この移動によ
ってインナパッド20b、ひいてはアウタパッド20a
に押圧力が付与され、一対のブレーキパッド20a,2
0bがディスクロータ17に押圧される。逆に、ロータ
84が逆回転すればめねじ部材102も逆回転し、めね
じ部材102が逆回転すれば、おねじ部材100が後退
して(図において左方に移動して)押圧ピストン70が
インナパッド20bがディスクロータ17から離間する
向きに移動することが許容される。
【0014】めねじ部材102は、それの軸線方向に隔
たったラジアル軸受120とラジアルスラスト軸受12
2とを介してキャリパ本体部61の支持部60cに回転
可能に支持されている。また、めねじ部材102の外周
面に形成された環状溝に固定手段としてのスナップリン
グ134が装着されており、そのスナップリング134
とめねじ部材102の大径軸部135とがラジアル軸受
120とモータ取付部60bとラジアルスラスト軸受1
22とを挟むことにより、めねじ部材102の軸方向移
動が阻止されている。
【0015】おねじ部材100の先端部には荷重センサ
140が同軸に取り付けられており、おねじ部材100
はその荷重センサ140を介して押圧ピストン70に背
後から係合する。したがって、荷重センサ140からの
出力信号に基づき、モータ14によりインナパッド20
bが加圧される際の加圧力が検出可能である。
【0016】電動ディスクブレーキ16は、図3に示す
ステアリングナックル142に支持される。ステアリン
グナックル142は、車輪と共に前記ディスクロータ1
7を支持するナックルスピンドル143と、図示しない
軸を中心に回動可能に車体に取り付けられたナックルア
ーム144とを備えている。ナックルスピンドル143
とナックルアーム144とは一体的に形成されており、
車輪およびディスクロータ17はナックルスピンドル1
43に相対回転可能に取り付けられ、前記マウンティン
グブラケット30はナックルスピンドル143に相対回
転不能に取り付けられる。ナックルアーム144の両側
面には、歪みゲージ146が設けられている。これら歪
みゲージ146は、前記ブレーキパッド20a,bのデ
ィスクロータ17への押圧により車輪に加えられる制動
トルクの反作用として、マウンティングブラケット30
に加えられる連回りトルクによるナックルアーム144
の弾性変形を測定するものであり、図示しない処理回路
と共同して電動ディスクブレーキ制動トルク検出センサ
148(図1参照)を構成している。
【0017】ドラムインディスクブレーキ19を図4に
示す。図4において、150はアクスルハウジングであ
り、このアクスルハウジング150内にはベアリング1
52を介してアクスルシャフト154が回転可能に配設
されている。アクスルシャフト154の端部はアクスル
ハウジング150から突出させられるとともに、その突
出端にはアクスルフランジ156が設けられており、さ
らにアクスルフランジ156の中心には円形断面の嵌合
部158が突設されている。この嵌合部158には、ロ
ータ159およびホイールディスク160が嵌合されて
いる。ロータ159は有底円筒状のブレーキドラム16
1と、このブレーキドラム161の軸方向の中間部から
半径方向外向きに延び出させられた円板状のブレーキデ
ィスク162とから成っており、ブレーキドラム161
は開口部がアクスルハウジング150側に向けられると
ともに、底壁164がアクスルフランジ156に密着し
た状態で固定されている。また、ホイールディスク16
0の外周には、図示しないタイヤを保持するリム166
が固定されており、これらホイールディスク160およ
びリム166によってホイール167が構成されてい
る。
【0018】アクスルハウジング150の端部にはサポ
ートプレート168が固定されており、これに有底円筒
状のバッキングプレート170が固定されている。バッ
キングプレート170の円筒部171はその内径がブレ
ーキドラム161の外径よりも僅かに大きくなるように
形成されており、円板状の底部172がブレーキドラム
161の開口を閉塞するとともに、円筒部171がブレ
ーキドラム161の外側に半径方向に僅かに間隔を隔て
て嵌合されるようになっている。
【0019】このようにしてバッキングプレート170
によって閉塞されたブレーキドラム161内には、バッ
キングプレート170およびサポートプレート168に
よって保持された機械式ブレーキ用とパーキングブレー
キ用とを兼ねるドラムブレーキアッセンブリ173(以
下、「機械式ブレーキ173」と略称する)が設けられ
ている。174はバッキングプレート170に立設され
たアンカピンであり、このアンカピン174を挟んで一
対のブレーキシュー176が配設されている(図におい
ては一方のブレーキシューのみが示されている)。ブレ
ーキシュー176は、バッキングプレート170に平行
に配設された板状のシューウェブ178と、そのシュー
ウェブ178に直角に固着されたシューリム180と、
そのシューリム180の外周面に固着されたライニング
182とから成っており、図示しないシューホールドダ
ウンスプリングによってバッキングプレート170に相
対移動可能に取り付けられている。各ブレーキシュー1
76は、シューウェブ178とアンカピン174との間
に掛け渡されたスプリング184により付勢されて一端
部がアンカピン174と係合させられており、反対側の
端部同士はアジャストスクリュを備えて長さの調節が可
能なリンク188によって連結されている。
【0020】ブレーキシュー176のシューウェブ17
8には、図示しないピンによってブレーキレバー190
が回動可能に取り付けられている。このレバー190の
自由端部側はほぼU字形に曲げられており、この部分に
ブレーキケーブル192の一端が接続されている。ま
た、レバー190の中間部と、このレバー190が取り
付けられているブレーキシュー176とは違う図示しな
い側のブレーキシューとの間にストラット193が掛け
渡されており、ブレーキケーブル192に引張力が加え
られたとき、レバー190が上記ピンを軸として回動さ
せられ、ストラット193を介して図示しない側のブレ
ーキシューをブレーキドラム161に押し付け、さら
に、その反力によって図示のブレーキシュー176をブ
レーキドラム161の内周摩擦面に押しつけるようにな
っている。
【0021】一方、サポートプレート168の外周部に
は電動ディスクブレーキアッセンブリ194(以下、
「電動ブレーキ194」と略称する)が取り付けられて
いる。この電動ブレーキ194は前述の電動ディスクブ
レーキ16と同様のものであるため、電動ディスクブレ
ーキ16の各構成要素に対応する構成要素には同一符号
を使用することとし、図示および説明を省略する。
【0022】マウンティングブラケット30がサポート
プレート168を介して前記アクスルハウジング150
に保持されており、そのアクスルハウジング150の外
周面には、軸方向に隔たった2ヶ所に歪みゲージ196
が設けられている。これら歪みゲージ196は、軸方向
に対して互いに反対向きに45度傾斜して設けられてい
る。これら歪みゲージ196は、後輪において、電動ブ
レーキ194と機械式ブレーキ173との少なくとも一
方が作動させられる際に、それらブレーキ194,17
3によりそれぞれ車輪に加えられる制動トルクの和の反
作用トルクによるアクスルハウジング150の捩じり弾
性変形を測定するものである。歪みゲージ196は、歪
みゲージ146と同様、図示しない処理回路と共同して
制動トルク和検出センサ197(図1参照)を構成して
いる。
【0023】ブレーキレバー190のストラット193
との係合部の近傍には歪みゲージ186が設けられてい
る。これら歪みゲージ186は、ブレーキシュー176
をブレーキドラム161に押し付けるためにブレーキレ
バー190に加えられる力を測定するものであり、図示
しない処理回路と共同して押付力検出センサ187(図
1参照)を構成している。
【0024】前記ブレーキケーブル192は、左右後輪
のドラムインディスクブレーキ19にそれぞれ設けられ
ており、これら2本のケーブル192の各他端部は、イ
コライザ198を介してブレーキケーブル200(図
8,図9参照)に接続されている。ケーブル200は、
図5に示すように、機械式ブレーキ制御装置202を介
してブレーキペダル21に機械的に連携させられるとと
もに、図1および図7に示すように、パーキングブレー
キ操作部材としてのパーキングブレーキレバー203に
も機械的に連携させられている。本実施形態において
は、ブレーキレバー190の自由端部に機械式ブレーキ
用ケーブルおよびパーキングブレーキ用ケーブルを兼ね
るブレーキケーブル192の一端部が連結されるのであ
る。したがって、パーキングブレーキレバー203が操
作され、あるいは電動ブレーキ194の故障時にブレー
キペダル21が操作されれば、ブレーキレバー190が
回動して一対のブレーキシュー176をブレーキドラム
161に押圧し、車輪の回転が抑制される。ブレーキケ
ーブル192,200は、複数本のワイヤをより合わせ
て構成されており、フレキシブルである。ケーブル19
2,200の内部には、図10に概念的に示すように、
ケーブル192,200と電気的に絶縁された状態で導
線204が配設されている。導線204の両端には、直
流電源206,スイッチ208および抵抗器210の直
列回路が接続されており、スイッチ208が閉じられた
状態で抵抗器210の両端に現れる電圧が検出されるよ
うになっている。直流電源206とスイッチ208と
は、専用のものとすることも可能であるが、本実施形態
においては、車両全体の直流電源とイグニッションスイ
ッチとが利用されている。導線204が切断されていな
い状態でスイッチ208が閉じられれば、抵抗器210
の両端に電圧が現れるが、導線204が切断されれば電
圧は現れないため、導線204の切断を検出することが
でき、導線204が切断した場合にはブレーキケーブル
192,200のいずれかが切断した可能性が高いと推
定することができる。なお、ブレーキケーブル192,
200の湾曲部は、図7および図8に示すように、車体
に取り回して配設され、両端が車体に固定されたアウタ
ケーシング206により案内されており、湾曲した状態
でも引張力を伝達し得る。
【0025】本実施形態におけるパーキングブレーキレ
バー203は引き起こしタイプであり、それの操作状況
が、図示しない車体に取り付けられたパーキングブレー
キスイッチ212(図1参照)により検出される。パー
キングブレーキスイッチ212は、パーキングブレーキ
レバー203がパーキングブレーキ装置の解除状態に対
応する原位置にあるときにOFF状態にあり、原位置か
らわずかに操作されればON状態となるようにされてい
る。パーキングブレーキレバー203を含むパーキング
ブレーキ操作装置は通常のものであるため、詳細な図示
および説明を省略するが、パーキングブレーキレバー2
03は、ブレーキケーブル192,200と同様のブレ
ーキケーブル214を介して機械式ブレーキ制御装置2
02に連携させられている。詳細は後に説明するが、パ
ーキングブレーキレバー203が引き起こされれば、ブ
レーキケーブル214が引かれ、前記機械式ブレーキ1
73が作用状態となるようにされているのである。ブレ
ーキケーブル214もアウタケーシング216により案
内されている。
【0026】図5には、ブレーキペダル装置302と機
械式ブレーキ制御装置202とが示されている。ブレー
キペダル装置302は前記ブレーキペダル21を主体と
するものであり、ブレーキペダル21は、基端部におい
て車体に、車両左右方向に延びる一軸線のまわりに回動
可能に取り付けられている。ブレーキペダル21の原位
置である非操作位置がストッパ306により規定される
一方、ブレーキペダル21がリターンスプリング308
によりストッパ306に向かって付勢されている。ブレ
ーキペダル21はクレビス310(回動連結機構の一
例)を介して、車両前後方向に移動可能なプッシュロッ
ド312の後端部(図において右側の端部)に相対回動
可能に係合させられており、それにより、ブレーキペダ
ル21の回動がプッシュロッド312のほぼ軸方向の移
動に変換される。ブレーキペダル21の操作ストローク
を検出するために、操作ストロークセンサ314がブレ
ーキペダル21の回動軸線と同軸に取り付けられてい
る。操作ストロークセンサ314は、ブレーキペダル2
1の回動角に基づいてブレーキペダル21の操作ストロ
ークを検出する。
【0027】機械式ブレーキ制御装置202は、共に筒
状を成す第1ハウジング702と第2ハウジング704
とを備えている。第1ハウジング702は底部706を
有するとともに、その底部706の外面にフランジ70
8が形成されている。第1ハウジング702は、そのフ
ランジ708において図示しないダッシュパネルに取り
付けられる。第2ハウジング704はそれの開口部71
0において、第1ハウジング702に同軸に、複数本の
ボルト711により固定されている。
【0028】第1ハウジング702には、それと同軸に
段付状のシリンダボア712が形成され、そのシリンダ
ボア712に段付状の第1ピストン714が軸方向に摺
動可能に嵌合されている。第1ピストン714は、それ
の小径部716においてプッシュロッド312の先端部
と直接的に係合させられる一方、それの大径部718に
おいてスプリング720を介して第2ハウジング704
の外面722に係合させられている。スプリング720
は第1ピストン714を常時、プッシュロッド312に
接近する向きに付勢しており、第1ピストン714の肩
面724が第1ハウジング702の肩面726に当接す
ることにより、その接近限度が規定されている。第1ピ
ストン714のこの位置をブレーキ解除位置(または原
位置)と称することとする。第1ピストン714の大径
部718の外周面には、それの軸線方向に延びる溝72
8が形成されている。第1ハウジング702の壁部に
は、図6に示すように、ボルト730が貫通させられて
固定され、そのボルト730の先端部がシリンダボア7
12内の空間に臨まされている。ボルト730の先端部
は、溝728に緩く嵌入させられており、それにより、
第1ピストン714の軸方向移動は許容されるが、軸線
回りの回転は阻止される。ボルト730と溝728とに
より、第1ピストン714の回転防止機構が構成されて
いるのである。
【0029】図5に示すように、第1ピストン714の
中央にはシリンダボア734が同軸に形成されており、
そのシリンダボア734に、第1ピストン714より小
径かつ段付状の第2ピストン736が軸方向に摺動可能
に嵌合されている。第2ピストン736は第1ハウジン
グ702内から第2ハウジング704の壁部738を貫
通して第2ハウジング704内に延びている。第2ピス
トン736の小径部740は第1ハウジング702内、
大径部742は第2ハウジング704内にそれぞれ位置
させられている。第2ピストン736と第2ハウジング
704との間には、図示は省略するが、第2ピストン7
36の軸方向移動は許容する一方、軸線回りの回転は阻
止する機構(図示は省略するが、例えば、スプライン嵌
合部)が設けられている。
【0030】第2ピストン736の大径部742の先端
部は、第2ハウジング704の内面744にスプリング
746を介して係合させられている。スプリング746
は第2ピストン736を常時、第1ピストン714に接
近する向きに付勢しているが、第2ピストン736の肩
面748が第2ハウジング704の内面750に当接す
ることにより、その接近限度が規定されている。第2ピ
ストン736のこの位置をブレーキ解除位置(または原
位置)と称することとする。
【0031】第2ハウジング704内には、筒状の回転
部材754が第2ピストン736と同軸に設けられてい
る。回転部材754はそれの軸方向に隔たった一対のベ
アリング756,758によって回転可能に支持されて
いる。回転部材754の内周面は第2ピストン736の
大径部742の外周面と隙間を隔てて対向させられてお
り、その隙間内にボールねじ機構760が配設されてい
る。ボールねじ機構760は、ねじ軸としての大径部7
42が複数個のボール762を介してナット764に螺
合された構造を有しており、大径部742の軸方向運動
を回転部材754の回転運動に変換する。ナット764
は回転部材754に固定されており、回転部材754と
一体的に回転する。
【0032】したがって、第1ピストン714から第2
ピストン736に前進力が付与され、第2ピストン73
6が図示の原位置から前進(スプリング746が圧縮さ
れる向きに移動)すれば、回転部材754が回転させら
れる。これに対して、第1ピストン714から第2ピス
トン736に前進力が付与されなくなると、第2ピスト
ン736はスプリング746の弾性力によって後退させ
られる。この際、回転部材754が逆回転させられる。
【0033】第2ハウジング704の壁部768には、
回転部材754の直径方向に隔たった2ヵ所において、
アウタケーシング206,216の先端部が固定され、
各先端部からブレーキケーブル200,214が延び出
させられている。ケーブル200,214の先端はそれ
ぞれ回転部材754に固定されている。図7には、それ
らケーブル200,214と回転部材754との位置関
係が概念的に示されている。回転部材754が正方向
(図7に矢印で示す方向)に回転させられれば、ブレー
キケーブル200が回転部材754(ドラム)に巻き付
けられ、それにより機械式ブレーキ173が作動させら
れる。このとき、ケーブル214は可撓性を有するた
め、撓まされる。したがって、回転部材754の回転が
ケーブル214によって妨げられることが防止される。
これに対して、回転部材754が逆方向に回転させられ
れば、ケーブル200の引張力が弱められ、その結果、
機械式ブレーキ173の作動力が減少させられる。ま
た、パーキングブレーキレバー203が引き起こされる
ことにより、ケーブル214に図7に矢印で示す方向の
引張力が付与されれば、回転部材754が正方向に回転
させられ、機械式ブレーキ173がパーキングブレーキ
として作動させられる。このようにして駐車時に機械式
ブレーキ173がパーキングブレーキとして頻繁に作動
させられれば、機械式ブレーキ制御装置202の錆びつ
き等による作動不能が回避され、また、故障が生じれ
ば、機械式ブレーキ173が補助ブレーキとして作動さ
せられる前に発見される。
【0034】図5に戻って、第1ピストン714はプッ
シュロッド312に押され、常にプッシュロッド312
と共に前進するが、第2ピストン736は、第1ピスト
ン714と共に前進する状態と第1ピストン714が前
進しても前進しない状態とに切り換えられる。その切換
えを行うために係合ピン770が設けられている。第1
ピストン714の壁部には、第1ピストン714の半径
方向に貫通する穴772が形成されており、その穴77
2に係合ピン770が軸方向に摺動可能に嵌合されてい
るのである。係合ピン770は常時、第1ピストン71
4と共に移動する。
【0035】係合ピン770は先端部がシリンダボア7
34の内周面から突出する作用位置と、突出しない非作
用位置とに移動可能であり、駆動装置776により移動
させられる。駆動装置776は、第1ピストン714に
固定の駆動装置ハウジング778と、その駆動装置ハウ
ジング778に軸方向摺動可能に嵌合されたプランジャ
780とを備えている。駆動装置ハウジング778と第
1ピストン714との位置関係が図6に正面図で示され
ている。プランジャ780は係合ピン770を同軸に保
持している。駆動装置776は、さらに、ソレノイド7
82,コア784およびスプリング786を備えてい
る。スプリング786は、プランジャ780を常時、係
合ピン770がシリンダボア734内の空間に突出する
位置に向かって付勢する。ソレノイド782が励磁され
て磁気力が発生させられれば、プランジャ780がスプ
リング786の弾性力に抗してコア784に吸引される
ことにより、係合ピン770が図示の突出位置から後退
させられて(図において上方に移動させられて)シリン
ダボア734内から退避させられる。第1ピストン71
4と第2ピストン736とが共にブレーキ解除位置にあ
る状態では、第2ピストン736の後端と係合ピン77
0との間には一定の隙間が残るように、係合ピン770
の配設位置が決定されている。この理由は後に説明す
る。
【0036】第1ハウジング702には、駆動装置77
6を覆うカバー788が固定されている。カバー788
には、第1ピストン714の移動に伴う駆動装置776
の移動を許容するための空間が形成されている。カバー
788には、外部との接続のためのコネクタ790が設
けられ、そのコネクタ790とソレノイド782のター
ミナル791とを互いに接続するワイヤ792が十分な
可撓性と十分な長さとを付与されていて、駆動装置77
6の移動によってワイヤ792が断線することがないよ
うにされている。
【0037】駆動装置776は、ソレノイド782がO
FFである状態で、係合ピン770をシリンダボア73
4内に突出させる。そのため、第1ピストン714が前
進しようとすれば、その前進力が係合ピン770を介し
て第2ピストン736に伝達され、その結果、第1ピス
トン714が第2ピストン736と一緒に前進させられ
る。第2ピストン736が前進させられれば、それの運
動がボールねじ機構760によって回転部材754の回
転運動に変換され、ケーブル200が巻き取られる。ソ
レノイド782がOFFである状態が、機械式ブレーキ
制御装置202の伝達状態なのである。それに対して、
ソレノイド782がONである状態では、係合ピン77
0がシリンダボア734内の空間から退避させられるた
め、第1ピストン714が前進しても第2ピストン73
6は前進しない。ソレノイド782のON状態が、機械
式ブレーキ制御装置202の非伝達状態なのである。上
記のように第1ピストン714のみが前進する場合で
も、第1ピストン714にはスプリング720の弾性力
が付与され、ブレーキペダル21に反力が付与される。
ブレーキペダル21への反力は、それの操作ストローク
の増大に従って大きくなる。
【0038】図8および図9に示すように、イコライザ
198には、引張コイルスプリング220の一端が繋が
れ、スプリング220の他端は車体に固定されている。
このスプリング220の付勢力により、ブレーキケーブ
ル200には常に一定の張力が付与されている。イコラ
イザ198の下方には、図9に示すように、イコライザ
198に対向する状態で、イコライザ検出スイッチ22
6が車体に固定して設けられている。ケーブル200に
過大な緩みが発生し、あるいはケーブル200が切れ、
ケーブル200に付与される張力が設定値以下になれ
ば、イコライザ198が自重により下方に移動してイコ
ライザ検出スイッチ226に接触し、イコライザ検出ス
イッチ226がON信号を出力する。
【0039】また、イコライザ198のブレーキケーブ
ル200との接続部近傍には、平板状の接触部222が
設けられ、この接触部222に近接して対向する状態で
ケーブル移動検出スイッチ224が車体に固定して設け
られている。機械式ブレーキ173のブレーキシュー1
76をブレーキドラム161の内周摩擦面に押しつける
方向にブレーキケーブル200,192が引っ張られれ
ば、接触部222がケーブル移動検出スイッチ224に
接触し、ON信号を出力させる。ブレーキケーブル20
0にはまた、ケーブル移動検出検出スイッチ224と同
様の構成を有するケーブル移動検出スイッチ225(図
11参照)が設けられるとともに、接触部222と同様
にスイッチ225と接触する接触部材がブレーキケーブ
ル200に取り付けられている。ケーブル移動検出スイ
ッチ224,225は誤作動防止のために重複して設け
られているのである。
【0040】以上のように構成されたブレーキシステム
は図1に示すECU330により制御される。ECU3
30はCPU332,ROM334およびRAM336
を含むコンピュータ338を主体として構成されてい
る。このECU330の入力側には既述のセンサおよび
スイッチを含む多数のセンサおよびスイッチが接続され
ている。パーキングブレーキスイッチ212,ケーブル
移動検出スイッチ224,225,イコライザ検出スイ
ッチ226,イグニションスイッチ340,第1ピスト
ン移動検出スイッチ342,第2ピストン移動検出スイ
ッチ344,ブレーキペダルスイッチ350,アクセル
ペダルスイッチ352,操作ストロークセンサ314,
シフトポジションセンサ346,アクセルペダル操作量
センサ353,舵角センサ354,ヨーレイトセンサ3
55,前後加速度センサ356,横加速度センサ35
8,車両速度センサ359,4輪分の車輪速センサ36
0,4輪分のモータ回転位置センサ362,4輪分のモ
ータ電流センサ364,制動トルク検出センサ148,
制動トルク和検出センサ197および押付力検出センサ
187等が接続されているのである。
【0041】図11には、本実施形態のブレーキシステ
ムにおける機械式ブレーキ制御装置202およびその関
連部分の構成が概略的に示されている。上述のスイッチ
のうち、本構成に関連するものを図に基づいて説明す
る。なお、図11においては、スイッチが単純な三角形
で示されている。ブレーキペダルスイッチ350は、主
ブレーキ操作センサの一例であり、ブレーキペダル21
が原位置であるブレーキ解除位置(非操作位置)にある
状態でOFF信号、ブレーキ解除位置からブレーキ作用
位置に向かって小さい初期ストローク以上操作された状
態ではON信号を出力する。第1ピストン移動検出スイ
ッチ342は、可動部材移動検出装置の一例であり、第
1ピストン714がブレーキ解除位置にある状態ではO
FF信号、ブレーキ解除位置からブレーキ作用位置に向
かって初期ストローク以上移動した状態ではON信号を
出力する。第2ピストン移動検出スイッチ344は、第
2ピストン736がブレーキ解除位置にある状態ではO
FF信号、ブレーキ解除位置からブレーキ作用位置に向
かって初期ストローク以上移動した状態ではON信号を
出力する。この第2ピストン移動検出スイッチ344
は、可動部材移動検出装置の一例であり、これに代え
て、例えば、回転部材754がブレーキ解除位置にある
状態でOFF信号、ブレーキ解除位置からブレーキ作用
位置に向かって小さい初期回転角度以上回転させられた
状態でON信号を出力する回転部材移動検出スイッチを
設けることも可能である。なお、可動部材移動検出装置
は、本実施形態のように接触型スイッチとすることも可
能であるし、光電スイッチ等の非接触型スイッチとする
ことも可能である。ケーブル移動検出スイッチ224,
225は、摩擦部材移動検出装置の一例であり、前述の
ように、機械式ブレーキの解除状態ではOFF信号、ブ
レーキケーブル200がブレーキ作用位置に向かって小
さい距離以上移動した状態ではON信号を出力する。パ
ーキングブレーキスイッチ212は、パーキングレバー
操作状態検出装置の一例であり、前述のように、パーキ
ングレバー203の解除時にはOFF信号、操作時には
ON信号を出力する。
【0042】イグニションスイッチ340は、エンジン
10を作動させるために操作され、非操作時にはOFF
信号、操作時にはON信号を出力する。操作ストローク
センサ314は、操作量検出装置の一例であり、ブレー
キペダル21の回動角に応じた電圧信号を出力する。シ
フトポジションセンサ346は、シフトポジション検出
装置の一例であり、シフトレバー348がいずれのレン
ジに位置するかを検出し、それを表す信号を出力する。
アクセルペダルスイッチ352は、加速操作センサの一
例であり、アクセルペダル363の非操作時にはOFF
信号、操作時にはON信号を出力する。アクセルペダル
操作量センサ353は、加速操作量センサの一例であ
り、アクセルペダル363の操作量を検出し、その操作
量を表す信号を出力する。舵角センサ354は、車両旋
回量センサの一例であり、ステアリングホイール365
の回転操作角を検出し、その大きさを表す信号を出力す
る。ヨーレイトセンサ355は、車両のヨーレイトを検
出し、それを表す信号を出力する。前後加速度センサ3
56は、車体の前後方向における加速度GFRを検出し、
それを表す信号を出力する。横加速度センサ358は、
車体の横方向における減速度GLRを検出し、それを表す
信号を出力する。車両速度センサ359は、車両の前後
速度を検出し、それを表す信号を出力する。各車輪速セ
ンサ360は、各輪の車輪速を検出し、それを表す信号
を出力する。各モータ回転位置センサ362は、各輪の
モータ14の回転位置を検出し、その回転位置を表す信
号を出力する。各モータ電流センサ364は、各輪のモ
ータ14のコイルに実際に供給されている電流を検出
し、その実供給電流値を表す信号を出力する。制動トル
ク検出センサ148は、常用ブレーキ制動トルク検出装
置の一例であり、前述のように、電動ディスクブレーキ
16の制動トルクを検出し、それを表す信号を出力す
る。制動トルク和検出センサ197は、制動トルク和検
出装置の一例であり、前述のように、電動ブレーキ19
4と機械式ブレーキ173との制動トルク和を検出し、
それを表す信号を出力する。押付力検出センサ187
は、前述のように、ブレーキシュー176のブレーキド
ラム161内周面への押付力を検出する押付力検出装置
の一例であり、その押付力を表す信号を出力する。
【0043】一方、ECU330の出力側には、第1お
よび第2ドライバ366,368が接続されている。第
1ドライバ366は、電源としての第1バッテリ370
と左右前輪の電動ディスクブレーキ16のモータ14と
の間に設けられている。一方、第2ドライバ368は、
電源としての第2バッテリ372と左右後輪のドラムイ
ンディスクブレーキ19のモータ14との間に設けられ
ている。ブレーキペダル21の操作時には、ECU33
0から各ドライバ366,368に指令が供給され、そ
の指令に応じて各ドライバ366,368が電流を各バ
ッテリ370,372から各モータ14に供給する。
【0044】本実施形態においては、電源として主バッ
テリ374も設けられている。この主バッテリ374
は、第1および第2バッテリ370,372から独立し
ている。そして、この主バッテリ374により、車両の
電気部品のうちモータ14を除くものが作動させられ
る。したがって、ECU330は、第1および第2バッ
テリ370,372によってではなく、主バッテリ37
4により作動させられることになる。ただし、主バッテ
リ374と第1バッテリ370,第2バッテリ372の
少なくとも1つとを共通化することも可能である。
【0045】ECU330の出力側には、さらに、エン
ジン10の図示しないエンジン出力制御装置(スロット
ル制御装置,燃料供給制御装置,点火時期制御装置等)
と、A/T12の変速制御装置(変速ソレノイド等を含
む)とが接続されている。ECU330は、車両のスピ
ンを抑制すべく、それらエンジン出力制御装置および変
速制御装置に駆動力を抑制することを要求する信号を出
力する。すなわち、ECU330は、トラクション制御
も実行するようになっているのである。
【0046】さらにまた、ECU330の出力側には、
ブレーキ警告器としてのブレーキ警告ランプ376が設
けられている。ブレーキ警告ランプ376は、電動ディ
スクブレーキ16または電動ブレーキ194に電気的な
故障が発生したときや、機械式ブレーキ173の作動異
常が検出されたとき等に点灯されて故障発生の事実を運
転者に警告する。なお、運転者に視覚的に警告するブレ
ーキ警告ランプ376と共に、あるいはそれに代えて、
聴覚的に警告するブレーキ警告ブザーを設けてもよい。
ECU330の出力側にはさらに、作動異常の内容を表
示するディスプレイ378が設けられている。
【0047】コンピュータ338のROM334には、
ブレーキ制御ルーチン,電動ブレーキ故障検出ルーチ
ン,ブレーキ切換制御ルーチン,機械式ブレーキ作動異
常検出ルーチン等各種制御プログラムが記憶されてい
る。ブレーキ制御ルーチンは、基本制御,アンチロック
制御,トラクション制御,車両安定性制御(以下、「V
SC」という)等各種のブレーキ制御を実行するための
制御プログラムである。「基本制御」は、操作ストロー
クセンサ314,ブレーキペダルスイッチ350,モー
タ回転位置センサ362およびモータ電流センサ364
からの出力信号に基づき、車両の制動力前後配分を考慮
するとともに、モータ回転位置およびモータ電流のそれ
ぞれの実際値を監視しつつ、操作力Fに対応する車体減
速度が実現されるようにモータ14を制御することであ
る。「アンチロック制御」は、ブレーキペダルスイッチ
350,車両速度センサ359,車輪速センサ360,
モータ回転位置センサ362およびモータ電流センサ3
64からの出力信号に基づき、車両制動時に各輪のロッ
ク傾向(スリップ率)が過大にならないように各モータ
14による各輪の制動トルクを制御することである。
「トラクション制御」は、アクセルペダルスイッチ35
2,アクセルペダル操作量センサ353,車両速度セン
サ359,車輪速センサ360,モータ回転位置センサ
362およびモータ電流センサ364からの出力信号に
基づき、車両駆動時に駆動車輪のスリップ率が過大にな
らないように、各駆動車輪の駆動トルクを各モータ14
により制御することである。「VSC」は、舵角センサ
354,ヨーレイトセンサ355,横加速度センサ35
8,車両速度センサ359,車輪速センサ360,モー
タ回転位置センサ362およびモータ電流センサ364
からの出力信号に基づき、車両のドリフトアウト傾向お
よびスピン傾向が過大にならないように、左右輪間の制
動力差により車両のヨーモーメントを制御することであ
る。
【0048】上記ブレーキ制御ルーチンは図12のフロ
ーチャートで表される。本ルーチンは車両のイグニショ
ンスイッチ340がONに操作されている間、繰り返し
実行される。本ルーチンの各回の実行時にはまず、ステ
ップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップに
ついても同じとする)において、ブレーキペダルスイッ
チ350(図においては「ブレーキペダルSW」で表
す。他のスイッチについても同じとする)がONである
か否か、すなわち、ブレーキ操作中であるか否かが判定
される。ONであれば判定がYESとなり、S2におい
て、基本制御が行われる。その後、S3において、アン
チロック制御が必要であるか否か、すなわち、車輪に過
大なスリップ状態が発生したか否かが判定される。その
必要がないと仮定すれば判定がNOとなり、本ルーチン
の一回の実行が直ちに終了するが、その必要があると仮
定すれば判定がYESとなり、S4において、アンチロ
ック制御が実行される。続いて、S5において、そのア
ンチロック制御の継続的実行が不要となったか否かが判
定される。不要とならない限り判定がNOとなってS4
に戻る。不要となれば判定がYESとなり、本ルーチン
の一回の実行が終了する。
【0049】それに対して、ブレーキペダルスイッチ3
50がOFFである場合には、S1の判定がNOとな
り、S6において、トラクション制御が必要であるか否
か、すなわち、駆動車輪に過大なスリップが発生したか
否かが判定される。その必要がある場合には判定がYE
Sとなり、S7において、トラクション制御が実行され
る。続いて、S8において、そのトラクション制御の継
続的実行が不要となったか否かが判定される。不要とな
らない限り判定がNOとなってS7に戻る。不要となれ
ば判定がYESとなり、本ルーチンの一回の実行が終了
する。
【0050】また、ブレーキペダルスイッチ350がO
FFであり、かつ、トラクション制御が必要でない場合
には、S1の判定がNO、S6の判定もNOとなり、S
9において、VSCが必要であるか否か、すなわち、車
両に過大なドリフトアウト傾向またはスピン傾向が発生
したか否かが判定される。VSCの必要がある場合には
判定がYESとなり、S10において、VSCが実行さ
れる。続いて、S11において、そのVSCの継続的実
行が不要となったか否かが判定される。不要とならない
限り判定がNOとなってS10に戻る。不要となれば判
定がYESとなり、本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0051】電動ブレーキ故障検出ルーチンは、電動ブ
レーキが正常に作動し得る状態にあるか否かを診断する
ルーチンであり、図13のフローチャートで表される。
本ルーチンは、右後輪RRと左後輪RLとに関して順に
かつ繰返し実行され、S101において、常用ブレーキ
である左右後輪用のドラムインディスクブレーキ19の
電動ブレーキ194の少なくとも一方が故障しているか
否かが判定される。電動ブレーキ194およびそれに関
連する電気系統に断線,短絡等の故障が発生していれ
ば、電動ブレーキ194が故障していると判定される。
また、図示しないバッテリ電圧センサにより第2バッテ
リ372(左右後輪用の電動ブレーキ194のモータ1
4に電力を供給する電源)の電圧が検出され、検出され
たバッテリ電圧が基準値以下である場合、すなわち、バ
ッテリ電圧が不足している場合にも、電動ブレーキ19
4が故障していると判定される。電動ブレーキ194が
故障している場合には判定がYESとなり、S102に
おいて、RAM336に設けられた故障フラグが1にさ
れる。この故障フラグは、左右後輪のいずれにおいても
電動ブレーキ194が故障していないことを「0」で示
し、左右後輪の少なくとも一方において電動ブレーキ1
94が故障していることを「1」で示す。電動ブレーキ
194が故障していない場合にはS101の判定がNO
となり、S103において、故障フラグが「0」とされ
る。本実施形態においては、本ルーチンも、イグニショ
ンスイッチ340がON状態にある間、他のルーチンと
同じ回数だけ繰り返し実行されるが、実行に要する時間
が長い等の理由で無理な場合には、他のルーチンとは別
個に時分割で実行されるようにしたり、あるいは他のル
ーチンとは別のコンピュータにより実行されるようにす
ればよい。
【0052】ブレーキ切換制御ルーチンは機械式ブレー
キ制御装置202のソレノイド782のON/OFF状
態を制御するルーチンであり、図14のフローチャート
で表される。本ルーチンも上記ルーチンと同様に、右後
輪RRと左後輪RLとに関して順にかつ繰返し実行され
る。まず、S111において、ブレーキペダルスイッチ
350(図において「ブレーキペダルSW」で表す。)
がOFFであるか否かが判定される。判定がYESとな
れば、S112において、ソレノイド782がOFFに
され、係合ピン770が第2ピストン736に係合する
伝達状態とされる。ブレーキペダル21がブレーキ解除
位置にある非操作状態においては、ソレノイド782に
電流は供給されないのであり、電力消費が少なくて済
む。
【0053】S111の判定時に、ブレーキペダルスイ
ッチ350がONであれば、判定がNOとなり、S11
3において、故障フラグが1であるか否かが判定され
る。左右後輪の少なくとも一方において電動ブレーキ1
94が故障していると判定されたか否かが判定されるの
である。故障フラグが1であれば、判定がYESとな
り、S112に移行して機械式ブレーキ173が選択さ
れる。このブレーキシステムにおいては、イグニション
スイッチ340がON状態にあり、かつ、電動ブレーキ
194が故障している状態で、運転者がブレーキペダル
21を踏み込めば、機械式ブレーキ173によって車両
が制動される。
【0054】それに対し、S113の判定時に、故障フ
ラグが0であれば、判定がNOとなり、S114におい
て、ソレノイド782がONにされ、それにより、係合
ピン770が第2ピストン736に係合しない非伝達状
態とされる。それにより、第1ピストン714が単独で
前進可能とされ、その結果、ブレーキペダル21が踏み
込まれても、左右後輪用の機械式ブレーキ173は作動
しない。補助ブレーキではなく常用ブレーキが選択され
るのである。本ブレーキシステムにおいては、イグニシ
ョンスイッチ340のON状態にあり、かつ、電動ブレ
ーキ194が故障していない状態では、運転者がブレー
キペダル21を踏み込めば、電動ブレーキ194によっ
て車両が制動される。ブレーキペダル21の非操作状態
においては作用位置にある係合ピン770が、ブレーキ
ペダル21が踏み込まれる度に非作用位置に移動させら
れるのであり、係合ピン770が頻繁に移動させられる
ため、錆付き,汚れ等により固着状態となることが良好
に回避される。
【0055】上記のように、電動ブレーキ194が正常
な状態において、ブレーキペダル21が踏み込まれた場
合には機械式ブレーキ173が作動しないようにするた
めには、ブレーキペダル21の踏込みに伴って係合ピン
770が第2ピストン736の後端の位置に到達するよ
り前に、係合ピン770が非作用位置へ退避させられる
ことが必要である。前述のように、第1ピストン714
と第2ピストン736とが共にブレーキ解除位置にある
状態で、第2ピストン736の後端と係合ピン770と
の間に隙間が残るようにされているのは、この条件を満
たすためである。
【0056】上記説明から明らかなように、ソレノイド
782に励磁電流が供給されない状態では、ブレーキペ
ダル21が踏み込まれれば、機械式ブレーキ173が作
動する。また、ソレノイド782には、前述のように、
主バッテリ374から電流が供給されるが、この電流供
給はイグニションスイッチ340がONにされている状
態でのみ可能である。したがって、本ブレーキシステム
においては、イグニションスイッチ340がOFFの状
態で運転者がブレーキペダル21を踏み込めば、電動ブ
レーキ194が故障しているか否かを問わず、左右後輪
用の機械式ブレーキ173が作動する。機械式ブレーキ
173が比較的頻繁に作動させられるのであり、機械式
ブレーキ173の可動部材が錆付き,汚れ等により移動
不能となることが良好に回避される。
【0057】本実施形態のコンピュータ338のROM
334にはさらに、機械式ブレーキ173の作動異常検
出のための作動異常検出ルーチンが記憶されている。以
下に、種々の態様の作動異常検出ルーチンを説明する
が、これらルーチンの1つ以上を適宜の組合わせで採用
することができる。これらの作動異常検出ルーチンは、
特にことわらない限り、イグニションスイッチ340が
ON状態にある間、繰り返し実行されるものとする。た
だし、繰返しのサイクルタイムは必ずしも同じである必
要はない。
【0058】図15のフローチャートで表される作動異
常検出ルーチンは、電動ブレーキ194が正常であるに
もかかわらず、車両の運転開始当初に機械式ブレーキ1
73を意図的に作動可能状態とし、運転者のブレーキペ
ダル21の踏込操作を利用して、機械式ブレーキ173
が正常に作動するか否かを診断するルーチンである。本
ルーチンの各回の実行時にはまず、S200において、
車両が停止状態にあり、車両のシフトレバー348がパ
ーキングレンジにあり、パーキングブレーキレバー20
3が解除されており、ブレーキペダル21が初期ストロ
ーク以上操作されてブレーキペダルスイッチ350がO
N状態になっているという4つの条件が満たされている
か否かが判定される。車両の走行速度が0であるか否か
は、車両速度センサ359により出力される信号に基づ
いて判定され、シフトレバー348がパーキングレンジ
にあるか否かは、シフトポジションセンサ346からの
出力信号に基づいて判定される。パーキングブレーキレ
バー203の解除は、パーキングブレーキスイッチ21
2がOFF状態となることにより検出される。全ての条
件が満たされてS200の判定がYESとなれば、S2
02以降が実行されるが、NOであれば、S201にお
いて、ソレノイド782がONにされ、機械式ブレーキ
173が非作動状態(電動ブレーキ194のみが作動可
能な状態)とされて、本ルーチンの今回の実行が終了す
る。また、S200の判定がYESであれば、S202
で機械式ブレーキ173が作動可能な状態に移行させら
れる。
【0059】機械式ブレーキ173が作動可能な状態に
移行させられた後、S203において、ブレーキペダル
21の操作ストロークが設定値以上であるか否かが操作
ストロークセンサ314の出力信号に基づいて判定され
る。上記設定値は、ケーブル移動検出スイッチ224が
ONとなるに十分な大きさに設定される。したがって、
S203の判定がYESとなってS204が実行される
時期には、ケーブル移動検出スイッチ224がONとな
っているはずである。そこで、S204の判定時にケー
ブル移動検出スイッチ224がONとなっていれば、S
205において、機械式ブレーキ173が作動可能であ
る旨の正常情報が作成され、ONとなっていなければ、
S206において、機械式ブレーキ173が作動不能で
ある旨の異常情報が作成される。この異常情報に基づい
てブレーキ警告ランプ376によって運転者に警告が発
せられるとともに、ディスプレイ378に作動異常の内
容が表示されて(以下のすべての異常情報作成時にもい
ちいち記載はしないが、同様な警告および表示がなされ
る)本ルーチンの1回の実行が終了する。それに対し、
S203の判定がNOであれば、S204以降が実行さ
れることなく、本ルーチンの1回の実行が終了する。S
203の判定がYESになるのが待たれるのである。
【0060】車両の運転開始当初に、シフトレバー34
8がパーキングレンジからドライブレンジへシフト操作
される前には、パーキングブレーキが解除される一方、
車両の発進を防止するためにブレーキペダル21が操作
されるのが普通であり、その際、ブレーキペダルスイッ
チ350がOFF状態からON状態へ変化する瞬間に上
記4つの条件が満たされ、その後も、ブレーキペダル2
1が操作され続ける限り満たされ続ける。したがって、
本ルーチンによれば、駐車状態から車両の運転が開始さ
れる運転開始当初に機械式ブレーキ173の作動不能を
検出することができ、作動不能の検出を早期に行うこと
ができる。また、本作動異常検出ルーチンは、ケーブル
移動検出スイッチ224の状況に基づいて機械式ブレー
キ173の作動が検出されるため、ブレーキケーブル2
00の状態に基づいて作動異常を検出するケーブル状態
依拠異常検出の一形態でもある。
【0061】なお、S200におけるブレーキペダルス
イッチ350のON状態の検出に代えて、第1ピストン
移動検出スイッチ342のON状態を検出することも可
能であり、ブレーキペダルスイッチ350と第1ピスト
ン移動検出スイッチ342とのうちON状態への変化の
速い方に基づいてS200の判定を行うことも可能であ
る。また、ブレーキペダル21が初期ストローク以上操
作されたか否かの判定を行うこと自体を省略することも
可能である。この場合には、車両の停止中に、パーキン
グブレーキレバー203が解除されており、かつ、シフ
トレバー348がパーキングレンジにあれば、機械式ブ
レーキ173が作動可能状態とされることとなる。した
がって、その状態でブレーキペダル21が踏込操作され
れば、機械式ブレーキ173が作動可能か否かの診断が
行われる。さらに、信号待ち等の車両の停車状態におい
て上記作動異常検出を行うことも可能であり、その場合
には、S200におけるシフトレバー348のパーキン
グレンジの検出を省略すればよい。
【0062】図16のフローチャートで表される作動異
常検出ルーチンは、電動ブレーキの故障時に、ブレーキ
ペダルスイッチ350,第1ピストン移動検出スイッチ
340,第2ピストン移動検出スイッチ342およびケ
ーブル移動検出スイッチ224の出力信号の不一致に基
づいて作動異常を検出するものである。本ルーチンの各
回の実行時にはまず、S300において、電動ブレーキ
194が作動不能状態(つまり、ソレノイド782がO
FF状態)にあり、パーキングブレーキレバー203が
解除されているか否かが判定される。電動ブレーキ19
4が故障して機械式ブレーキ173が作動すべき状態に
あり、かつ、機械式ブレーキ173がパーキングブレー
キとして作用させられていないことが確認されるのであ
る。S300の判定がNOであれば、実質的に何も行わ
れないで本作動異常検出ルーチンの実行が終了するが、
YESであれば、S301においてブレーキペダル21
が踏込操作されているか否かが判定される。判定がYE
Sであれば、S302において、第1ピストン移動検出
スイッチ340がON状態にあるか否かが検出され、判
定がNOであれば、S303において、第1ピストン7
14が移動不能である旨の異常情報が作成される。S3
02の判定がYESであれば、S304において、第2
ピストン移動検出スイッチ342がON状態にあるか否
かが判定され、判定がNOであれば、S305におい
て、係合ピン770が作用位置にない旨の異常情報が作
成される。S304の判定がYESであれば、S306
において、ケーブル移動検出スイッチ224がON状態
にあるか否かが判定される。判定がNOであれば、S3
08において、ブレーキケーブル200に緩みまたは切
断が発生している旨の異常情報が作成され、判定がYE
Sであれば、S307において、機械式ブレーキ173
が正常である旨の正常情報が作成される。本作動異常検
出ルーチンは、ケーブル状態依拠異常検出の一形態なの
である。
【0063】一方、ブレーキペダル21が操作されてお
らず、S301の判定がNOであれば、S309におい
て、ケーブル移動検出スイッチ224がOFF状態にあ
るか否かが判定される。判定がYESであれば、S31
0で機械式ブレーキ173の作動が正常である旨の正常
情報が作成され、NOであれば、S311において機械
式ブレーキ173が作用状態から解除状態に復帰しない
旨の異常情報が作成される。本ルーチンにおいて、S3
02,S304,S306,S309の1つ以上の任意
の判定を省略することができる。また、イコライザ19
8の移動を検出するケーブル移動検出スイッチ224と
共に、あるいはそれに代えて、ブレーキレバー190等
機械式ブレーキ173の可動部材の移動を検出するケー
ブル移動検出スイッチを設ければ、ブレーキケーブル2
00,192の異常を検出することが可能になる。
【0064】図17に示す作動異常検出ルーチンは、ケ
ーブル状態依拠異常検出の一形態であり、ケーブルの状
態に基づいて機械式ブレーキの作動異常を検出するもの
であるが、さらに、ケーブルの異常が切断によるもの
か、緩みによるものかの判定も行われる。まず、S32
0において、導線204に接続された直列回路において
スイッチ208が閉じられた状態で抵抗器210の両端
に電圧が現れるか否かを検出することにより、導線20
4が切断されているか否かが判定される。YESと判定
されれば、ケーブル192,200のいずれかが切断し
ていると推定され、S321においてブレーキケーブル
切断の異常情報が作成される。S320の判定がNOと
なれば、S322が実行され、イコライザ検出スイッチ
226がONであるか否かが判定される。NOと判定さ
れれば、S323において機械式ブレーキ173は正常
である旨の正常情報が作成される。S322の判定がY
ESであれば、ケーブル200に過大な緩みが発生して
いると推定され、S324においてブレーキケーブル2
00の緩みにより機械式ブレーキ173が作動しない作
動異常が発生している旨の異常情報が作成される。な
お、本ルーチンにおけるS320とS322とはそれぞ
れ別個のルーチンとして構成することも可能である。
【0065】図18に示す作動異常検出ルーチンは、図
14に示すブレーキ切換制御ルーチンにおいて電動ブレ
ーキ194が選択されている間、繰り返し実行される。
まずS330において、パーキングブレーキレバー20
3が解除されているか否かとともに、アンチロック制御
の実行指令が出されているか否かが判定される。つま
り、パーキングブレーキレバー203が解除位置にあ
り、機械式ブレーキ173が作用していないはずのとき
に、図12に示すブレーキ制御ルーチンのS3において
アンチロック制御が必要と判定され、S4においてアン
チロック制御が行われているかが判定されるのである。
判定がNOであれば、本ルーチンの実行が終了し、YE
Sであれば、S331が実行される。S331におい
て、車輪速センサ360からの出力信号に基づいて、ア
ンチロック制御中の左右前輪の一定時間内における平均
車輪速度VFRと左右後輪の一定時間内における平均車輪
速度VRRとが算出され、それら前後輪の平均車輪速度の
差が設定値より大きいか否かと、左右後輪の平均車輪速
度VRRが0である状態が設定時間以上継続したか否かが
判定される。電動ブレーキ194のみが作動させられて
いるはずのアンチロック制御中において、ソレノイド7
82の作動異常等により機械式ブレーキ173も作動さ
せられれば、アンチロック制御指令により電動ブレーキ
194の作動力が減少させられているにもかかわらず、
機械式ブレーキ173の作動力は減少させられないた
め、後輪の回転速度が前輪のそれに比較して小さくな
る。上記設定値は、電動ブレーキ194のみが作動させ
られている正常なアンチロック制御中における前輪の平
均車輪速度VFRと後輪の平均車輪速度VRRとの差の上限
値よりやや大きい値とされ、一定時間は、アンチロック
制御実行中における車輪速度の変動を平滑化するに十分
な時間とされる。また、後輪の平均車輪速度VRRが0状
態である時間および上記一定時間は、コンピュータ33
8内のタイマにより検出される。ただし、平均車輪速度
を取得するために、上記一定時間内の車輪速度が現実に
加算され、一定時間で割られることは不可欠ではなく、
車輪速度を平滑化するデジタルフィルタ等のフィルタを
利用することも可能であり、その場合には、一定時間を
計測するタイマは不要である。
【0066】上記S331の少なくともいずれか一方の
条件が満たされて判定がYESになるということは、機
械式ブレーキ173の作動により後輪のスリップが過大
となっているということであり、S332において機械
式ブレーキ173が無用に作動させられる作動異常が発
生している旨の異常情報が作成される。S331の判定
がNOであれば、アンチロック制御が適正に行われてお
り、機械式ブレーキが無用に作動させられてはいないと
推定されて、S333において正常情報が作成され、本
ルーチンの実行が終了する。本ルーチンは、制動力減少
量依拠作動異常検出の一形態である。
【0067】図19に示す作動異常検出ルーチンは、図
14に示すブレーキ切換制御ルーチンにおいて電動ブレ
ーキ194が選択させられている間、繰り返し実行され
る。S340において、パーキングブレーキレバー20
3が解除されているとともに、ブレーキペダル21の踏
込解除操作が行われたか否かが判定される。後者の判定
は、操作ストロークセンサ314の検出値が設定値以上
減少したこと、あるいはブレーキペダルスイッチ350
がON状態からOFF状態に変化したことに基づいて判
定される。ブレーキペダルスイッチ350に代えて第1
ピストン移動検出スイッチ342のONからOFFへの
変化を判定することも可能である。S340の判定がN
Oであれば、本ルーチンの実行は終了する。S340の
判定がYESであれば、S341が実行されて、車輪速
センサ360からの出力信号に基づいて、ブレーキペダ
ル解除後の前輪の回転速度の増加率と後輪の回転速度の
増加率との差が算出され、その差が正の設定値より大き
いか否かが判定される。判定がNOであれば、S342
が実行されて上記差が負の設定値より小さいか否かが判
定される。これもNOと判定されれば、S343におい
て、ブレーキペダル21の踏込中、機械式ブレーキ17
3は作用せず、電動ブレーキ194のみが作用していた
と推定され、正常情報が作成される。電動ブレーキ19
4のみが作用させられている場合、ブレーキペダル解除
時の前輪と後輪との回転速度の増加率は実質的に等しく
なるはずである。ところが、ソレノイド782の作動異
常等により機械式ブレーキ173が無用に作動すれば前
後輪の制動力配分が正規の配分から外れ、制動中におけ
る後輪のスリップが前輪のスリップに比較して大きくな
るため、ブレーキペダル21の解除時に電動ブレーキ1
94と機械式ブレーキ173とが共に解除されれば、後
輪の回転速度の増加率が前輪の回転速度の増加率より大
きくなる。一方、機械式ブレーキ制御装置202の作動
異常等により、ブレーキペダル21が解除されても機械
式ブレーキ173が作用状態から解除状態へ復帰しない
場合には、後輪の回転速度の増加率が前輪の回転速度の
増加率より小さくなる。したがって、それぞれの状況に
応じて、S344とS345とにおいて、それぞれの作
動異常を表す異常情報が作成される。本ルーチンは、回
転速度増加率差依拠作動異常検出の一形態である。
【0068】図20に示す作動異常検出ルーチンは、図
14に示すブレーキ切換制御ルーチンにおいて電動ブレ
ーキ194が選択されている間、繰り返し実行される。
S350において、ブレーキペダル21の操作ストロー
クが設定値以上であるか否かが、操作ストロークセンサ
314の出力信号に基づいて判定される。上記設定値
は、ケーブル移動検出スイッチ224,225がONと
なるに十分な値に設定される。S350の判定がNOで
あれば、本ルーチンの今回の実行が終了し、YESであ
れば、S351に移行する。S351では、ケーブル移
動検出スイッチ224(図において「ケーブル移動検出
SW1」と表す)とケーブル移動検出スイッチ225
(図において「ケーブル移動検出SW2」と表す)とが
共にON状態であるか否かが判定される。つまり、ケー
ブル192,200が引っ張られて機械式ブレーキ17
3が作動させられたか否かが判定されるのである。NO
であれば、S352において電動ブレーキ194のみが
作動させられている正常状態である旨の正常情報が作成
される。ケーブル移動検出スイッチ224,225がO
N状態であり、S351の判定がYESとなれば、電動
ブレーキ194のみが作動すべきであるにもかかわら
ず、機械式ブレーキ173が無用に作動させられている
ことになり、S353においてその旨の異常情報が作成
される。本ルーチンによれば、ソレノイド782がON
となり、係合ピン770が第2ピストン736に係合し
ない非作用位置に移動すべき信号が発せられているにも
かかわらず、係合ピン770が移動不能となる作動異常
を検出できる。なお、本ルーチンのS351において、
ケーブル移動検出スイッチ224,225のいずれか一
方のみのON状態により判定することも可能である。ま
た、ケーブル移動検出スイッチ224,225に代え
て、第2ピストン移動検出スイッチ344により判定す
ることも可能である。
【0069】図21に示す作動異常検出ルーチンは、図
14に示すブレーキ切換制御ルーチンにおいて電動ブレ
ーキ194が選択され、通常の制動が行われている間、
繰り返し実行される。S360において、パーキングブ
レーキレバー203が解除されているか否かが判定さ
れ、NOであれば、本ルーチンの今回の実行が終了す
る。S360の判定がYESであれば、S361におい
て、通常の制動時において制動トルク和検出センサ19
7により検出された電動ブレーキ194と機械式ブレー
キ173との制動トルク和を、制動トルク検出センサ1
48により検出された電動ディスクブレーキ16の制動
トルクで割った実制動トルク比率と、機械式ブレーキ1
73が作動しない通常時における上記制動トルク和と上
記制動トルクとの比率である基準制動トルク比率との差
が算出され、その差の絶対値が設定値より大きいか否か
が判定される。電動ブレーキ194のみが作動されてい
る正常な制動状態であれば、上記実制動トルク比率と基
準制動トルク比率とは実質的に等しくなり、S361の
判定がNOとなって、S362において機械式ブレーキ
173が作動していない正常状態である旨の正常情報が
作成される。しかし、機械式ブレーキ173が電動ブレ
ーキ196と共に作動していれば、検出された実際の制
動トルク和が通常の制動の場合よりも大きくなり、した
がって、実制動トルク比率と基準制動トルク比率との差
の絶対値が設定値よりも大きくなるため、S361の判
定がYESとなり、S363において機械式ブレーキが
無用に作動させられている旨の異常情報が作成される。
なお、上記設定値は、正常な制動状態における実制動ト
ルク比率と基準制動トルク比率との差の絶対値の上限値
よりやや大きく設定される。
【0070】図22に示す作動異常検出ルーチンは、図
14に示すブレーキ切換制御ルーチンにおいて電動ブレ
ーキ194が選択され、通常の制動が行われている間、
繰り返し実行される。まず、S370において、パーキ
ングブレーキレバー203が解除されているか否かが判
定され、NOであれば、本ルーチンの今回の実行が終了
する。S370の判定がYESであれば、S371にお
いて、押付力検出センサ187の出力信号に基づいて、
機械式ブレーキ173におけるブレーキシュー176の
ブレーキドラム161への押付力が設定押付力以上であ
るか否かが判定される。つまり、機械式ブレーキ173
が無用に作動させられて、ブレーキシュー176に押付
力が発生させられているかが判定されるのである。判定
がNOであれば、S372において機械式ブレーキ17
3が作動していない正常状態である旨の正常情報が作成
される。S371の判定がYESと判定されれば、S3
73において、機械式ブレーキ173が無用に作動して
いる旨の異常情報が作成される。なお、本ルーチンが機
械式ブレーキ173が作用しているべき時期に繰り返さ
れるようにし、設定押付力を十分大きな値に設定して、
S371の判定がYESの場合に正常情報が作成され、
NOの場合に異常情報が作成されるようにすれば、機械
式ブレーキ173の作動不能もしくは作動不足を検出す
ることができる。
【0071】図23に示すように、図5に示す機械式ブ
レーキ制御装置202の駆動装置776の作動異常を光
電スイッチ400により検出することも可能である。光
電スイッチ400は、駆動装置ハウジング778に図示
しないブラケットを介して固定されており、駆動装置ハ
ウジング778と共に移動可能である。本実施形態にお
いては、コア784および駆動装置ハウジング778の
各中央に軸方向に貫通する貫通穴402,404が形成
され、それら貫通穴402,404を係合ピン770の
後端部が軸方向に移動可能に貫通している。上記光電ス
イッチ400は、断面形状がコの字形を成し、駆動装置
ハウジング778の上方であって貫通穴404に対応す
る位置に、コの字が下向きとなる姿勢で設けられてい
る。光電スイッチ400の凹部は係合ピン770を収容
可能であり、その両側壁には、発光部406と受光部4
08とがそれぞれ設けられている。係合ピン770が前
記作用位置にあるときには、その後端部が光電スイッチ
400内に位置せず、前記非作用位置にあるときには、
後端部が光電スイッチ400内に位置して発光部406
から受光部408への光を遮るように、それぞれの相対
位置関係が設定されている。光電スイッチ400は、受
光部408が受光状態にあるときには、OFF信号を出
力し、遮光状態にあるときにはON信号を出力する。つ
まり、係合ピン770が作用位置にあるときにはOFF
信号が出力され、非作用位置にあるときには光電スイッ
チ400からON信号が出力されるのである。
【0072】図23に示す光電スイッチ400による機
械式ブレーキ制御装置202の駆動装置776の作動異
常検出は、例えば、図24に示すフローチャートで表さ
れるルーチンの実行により行われる。S380におい
て、ソレノイド782をONとする指令が出されている
か否かが判定され、NOであれば本ルーチンの今回の実
行が終了する。S380がYESであれば、S381に
おいて光電スイッチ400がON状態であるか否かが判
定され、YESであれば、S382において駆動装置7
76が正常に作動している旨の正常情報が作成される。
S381の判定がNOであれば、S383において、係
合ピン770が非作用位置に移動させられるべきである
のに、移動させられない旨の異常情報が作成される。コ
ンピュータ338の図24のルーチンを実行する部分と
光電スイッチ400とにより、伝達状態切換装置異常検
出装置が構成されているのである。
【0073】以上の説明から明らかなように、電動ブレ
ーキ194のブレーキパッド20a,bが第1摩擦部材
を、ブレーキディスク162が第1ブレーキ回転体をそ
れぞれ構成し、また、ブレーキシュー176が第2摩擦
部材を、ブレーキドラム161が第2ブレーキ回転体を
それぞれ構成している。車両速度センサ359および図
15に示す作動異常検出ルーチンのS200を実行する
部分が停車検出装置を構成しており、ブレーキペダルス
イッチ350,シフトポジションセンサ346およびパ
ーキングブレーキスイッチ212と図15に示す作動異
常検出ルーチンのS200およびS202を実行する部
分とが、機械式ブレーキ制御装置202および上記停車
検出装置とともに検査時作動可能状態移行装置を構成し
ている。この検査時作動可能状態移行装置は、無影響時
作動可能状態移行装置とも言い得る。操作ストローク
センサ314およびケーブル移動検出スイッチ224
(またはケーブル移動検出スイッチ225)と図15に
示す作動異常検出ルーチンのS203〜S206を実行
する部分と、ブレーキペダルスイッチ350,第1,
第2ピストン移動検出スイッチ342,344,ケーブ
ル移動検出スイッチ224,225と図16に示す作動
異常検出ルーチンの各ステップを実行する部分と、イ
コライザ検出スイッチ226,導線204および図17
に示す作動異常検出ルーチンの各ステップを実行する部
分とが、それぞれケーブル状態依拠異常検出装置を構成
している。車輪速センサ360および図18に示す作動
異常検出ルーチンの各ステップを記憶し実行する部分が
制動力減少量依拠作動異常検出装置を構成している。さ
らに、車輪速センサ360および図19に示す作動異
常検出ルーチンを実行する部分と、ケーブル移動検出
スイッチ224,225と図20に示す作動異常検出ル
ーチンを実行する部分と、制動トルク検出センサ14
8,制動トルク和検出センサ197および図21の作動
異常検出ルーチンを実行する部分と、押付力検出セン
サ187および図22の作動異常検出ルーチンを実行す
る部分とが、それぞれ作動異常検出装置の一形態を構成
している。
【0074】なお、上記実施形態のブレーキシステム
を、電動ブレーキ194が故障していない状態では、ブ
レーキペダル21がブレーキ解除位置にある状態でも、
係合ピン770が前記非作用位置に保たれるものとする
ことも可能である。また、機械式ブレーキ制御装置を、
上記実施形態におけるとは逆に、ソレノイドがOFFで
ある状態で、係合部材が非作用位置にあり、ソレノイド
がONとされることにより、係合部材が作用位置に移動
させられる形態のものとすることも可能である。
【0075】本発明を、図4に示す電動ディスクブレー
キと機械式ドラムブレーキとを備えるドラムインディス
クブレーキのように、第1摩擦部材と第2摩擦部材、第
1ブレーキ回転体と第2ブレーキ回転体をそれぞれ専用
に備えるブレーキシステム以外に、例えば、第1摩擦部
材と第2摩擦部材、第1ブレーキ回転体と第2ブレーキ
回転体がそれぞれ兼用とされる形態のブレーキシステム
に適用することも可能である。例えば、常用ブレーキと
しての電動ドラムブレーキ装置と、補助ブレーキとして
の機械式ドラムブレーキ装置とが摩擦部材を共用する形
態のブレーキ装置である。また、常用ブレーキは、モー
タ等を駆動源とする電動式に限らず、ブレーキ操作に応
じて発生させられる液圧により作動する液圧式ブレーキ
等他の形式のブレーキとすることができる。以上本発明
の各実施形態をそれぞれ詳細に説明したが、これは文字
通り例示であり、本発明は、これら以外にも当業者の知
識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用ブレーキシス
テムの全体構成を示す系統図である。
【図2】上記ブレーキシステムにおける電動ディスクブ
レーキを示す側面断面図である。
【図3】上記電動ディスクブレーキが設けられるステア
リングナックルを示す側面図である。
【図4】上記ブレーキシステムにおけるドラムインディ
スクブレーキを示す側面(一部断面)図である。
【図5】上記ブレーキシステムにおける機械式ブレーキ
制御装置を示す側面断面図である。
【図6】上記機械式ブレーキ制御装置における第1ピス
トンと第2ピストンとの連携を説明するための正面断面
図である。
【図7】上記機械式ブレーキ制御装置において機械式ブ
レーキ用ケーブルおよびパーキングブレーキ用ケーブル
の回転部材への接続を示す正面断面図である。
【図8】上記ブレーキシステムにおける機械式ブレーキ
用ケーブルの一部を示す平面図である。
【図9】図8の側面(一部断面)図である。
【図10】上記機械式ブレーキ用ケーブルの一部を概念
的に示す正面断面図である。
【図11】上記ブレーキシステムの構成の一部を概略的
に示す系統図である。
【図12】上記ブレーキシステムのコンピュータのRO
Mに記憶されているブレーキ制御ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図13】上記ブレーキシステムにおける電動ブレーキ
故障検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】上記機械式ブレーキ制御装置の駆動装置にお
けるソレノイドを制御するためのブレーキ切換制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図15】上記ブレーキシステムのコンピュータのRO
Mに記憶されている機械式ブレーキ作動異常検出ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図16】別の機械式ブレーキ作動異常検出ルーチンを
示すフローチャートである。
【図17】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図18】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図19】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図20】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図21】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図22】さらに別の機械式ブレーキ作動異常検出ルー
チンのフローチャートである。
【図23】本発明のさらに別の実施形態である車両用ブ
レーキシステムにおける機械式ブレーキ制御装置の一部
を示す側面断面図である。
【図24】上記ブレーキシテムのコンピュータのROM
に記憶されている機械式ブレーキ作動異常検出ルーチン
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
17:ディスクロータ 19:ドラムインディスクブ
レーキ 20a,b:ブレーキパッド 161:ブ
レーキドラム 162:ブレーキディスク 173:ドラムブレーキアッセンブリ 176:ブレ
ーキシュー 192:ブレーキケーブル 194:
電動ディスクブレーキアッセンブリ 200:ブレー
キケーブル 202:機械式ブレーキ制御装置 2
03:パーキングブレーキレバー 204:導線
224,225:ケーブル移動検出スイッチ 22
6:イコライザ検出スイッチ 314:操作ストロー
クセンサ 330:ECU 334:ROM 338:コンピ
ュータ 342:第1ピストン移動検出スイッチ
344:第2ピストン移動検出スイッチ 346:シ
フトポジションセンサ 350:ブレーキペダルスイ
ッチ 359:車両速度センサ 360:車輪速セ
ンサ 400:光電スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB01 BB17 CC01 CC06 EE01 EE02 LL14 MM03 MM04 MM08 MM13 MM24 3D049 BB06 BB14 CC01 CC07 HH39 HH40 HH44 HH45 HH52 QQ01 RR08 3J058 AA90 BA13 BA60 CC08 CC15 CC19 CD24 CD27 DB18 FA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩
    擦部材を第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車
    輪の回転を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレ
    ーキ装置の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力
    を機械的に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2
    ブレーキ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転
    を抑制する機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレー
    キシステムにおいて、 前記常用ブレーキ装置が正常な状態において前記機械式
    ブレーキ装置の作動異常を検出する作動異常検出装置を
    設けたことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 【請求項2】 前記作動異常検出装置が、 前記機械式ブレーキを作動させても車両の挙動に影響を
    与えない時期に機械式ブレーキ装置を作動可能な状態と
    する検査時作動可能状態移行装置と、 その検査時作動可能状態移行装置により機械式ブレーキ
    装置が作動可能状態にされている状態で前記ブレーキ操
    作部材が操作された際、前記機械式ブレーキ装置が作動
    しないことを検出する不作動検出装置とを含む請求項1
    に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 【請求項3】 前記検査時作動可能状態移行装置が、当
    該車両用ブレーキシステムが設けられた車両が停止状態
    にあることを検出する停車検出装置を備え、その停車検
    出装置による停車状態検出に基づいて、前記機械式ブレ
    ーキ装置を作動可能状態にするものである請求項2に記
    載の車両用ブレーキシステム。
  4. 【請求項4】 前記機械式ブレーキ装置がブレーキケー
    ブルにより前記ブレーキ操作部材の操作力を前記第2摩
    擦部材に伝達するケーブル式であり、前記作動異常検出
    装置が、前記ブレーキケーブルの状態に基づいて作動異
    常を検出するケーブル状態依拠異常検出装置を含む請求
    項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシ
    ステム。
  5. 【請求項5】 前記作動異常検出装置が、当該車両用ブ
    レーキシステムの制動力減少時における制動力減少状況
    に基づいて前記機械式ブレーキ装置の作動異常を検出す
    る制動力減少状況依拠作動異常検出装置を含む請求項1
    ないし4のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステ
    ム。
  6. 【請求項6】 ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩
    擦部材を第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車
    輪の回転を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレ
    ーキ装置の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力
    を機械的に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2
    ブレーキ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転
    を抑制する機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレー
    キシステムにおいて、 前記常用ブレーキ装置が正常な状態において、機械式ブ
    レーキ装置を作動可能な状態とする正常時作動可能状態
    移行装置を設けたことを特徴とする車両用ブレーキシス
    テム。
  7. 【請求項7】 ブレーキ操作部材の操作に応じて第1摩
    擦部材を第1ブレーキ回転体に押し付けることにより車
    輪の回転を抑制する常用ブレーキ装置と、その常用ブレ
    ーキ装置の作動異常時に前記ブレーキ操作部材の操作力
    を機械的に第2摩擦部材に伝達し、第2摩擦部材を第2
    ブレーキ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転
    を抑制する機械式ブレーキ装置とを備えた車両用ブレー
    キシステムにおいて、 前記機械式ブレーキ装置にパーキングブレーキレバーを
    接続したことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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