JP2000117842A - 多孔体の製造方法 - Google Patents

多孔体の製造方法

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JP2000117842A
JP2000117842A JP10298893A JP29889398A JP2000117842A JP 2000117842 A JP2000117842 A JP 2000117842A JP 10298893 A JP10298893 A JP 10298893A JP 29889398 A JP29889398 A JP 29889398A JP 2000117842 A JP2000117842 A JP 2000117842A
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porous body
gel
temperature
polymer
composite gel
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Masaaki Suzuki
正明 鈴木
Taku Hashida
卓 橋田
Yukiyoshi Ono
之良 小野
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形態自由度が高い成形が可能であり、サイズ
の大きな多孔体を容易に形成できると共に連続的な生産
が可能になり、断熱性の優れた低密度の多孔体が得られ
る製造方法を提供する。 【解決手段】 網目構造を有する多孔体の製造方法であ
って、(a)網目骨格材の熱変形温度よりも低い熱分解
温度を有する熱分解性ポリマーが前記網目骨格材の構成
する網目構造の空隙部に充填されてなる複合ゲルを製造
する工程、および(b)前記複合ゲルを前記熱分解性ポ
リマーの熱分解温度以上の温度で加熱処理する工程を含
む多孔体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、断熱材など
に用いられる低密度の多孔体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題である温暖化を防止
することの重要性から、省エネルギー化が望まれてお
り、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われ
ている。特に、温冷熱利用の機器や住宅に関しては、利
用する熱をなるべく逃がさずに効率を挙げるという観点
から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
一般的な断熱材としては、ガラスウールなどの繊維体や
ウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しか
し、これらの断熱材の断熱性を向上するためには、断熱
材の厚さを増す必要があり、断熱材を充填できる空間に
制限があって省スペースや空間の有効利用が必要な場合
には適用することができないという問題がある。
【0003】そこで、例えば特開平9−303945号
公報においては、ガスバリア性の容器に粉体などの芯材
を充填して真空封止した真空断熱パネルが開示されてお
り、真空封止により高い断熱性を得ることが知られてい
る。また、断熱材の有する空孔の孔径を100nm以下
にすることで低密度で高い断熱性をもつ断熱材を得る方
法もある。この方法は、孔のサイズを気体の平均自由工
程程度以下にすると、気体の熱伝導率が低減するという
現象を用いたものである。そのような方法による多孔体
としては、例えば特開平7−138375号公報に記載
されているように、アルコキシシランを原料とするゲル
状化合物を超臨界乾燥して得られるシリカのエアロゲル
などが知られている。
【0004】確かに、上記の技術により得られる断熱材
は、ガラスウールやウレタンフォームなどの汎用断熱材
に比べて低い熱伝導率を有しており、同じ厚さでも高い
断熱性を示す。しかし、以下のような問題点がある。
【0005】真空断熱パネルは、金属ラミネートフィル
ムなどのガスバリア性容器に粉体などの芯材を充填した
後に、真空封止することで得られるパネル状の断熱体で
ある。したがって、その製造においては、真空排気装置
による減圧排気工程が必要である。さらに、真空にする
ためにガスバリア性の高い容器が必要であったり、その
真空を保持するために吸着剤などを必要とするなど、多
くの材料を使用する必要がある。また、真空断熱パネル
は、真空パック状態のため折り曲げなどが難しいため形
態自由度が小さい。さらに、住宅への施工時や、機器へ
の取付の際に穴を開けてしまうと真空が破れて断熱性が
低下してしまうため充分な注意を要するという問題があ
る。
【0006】一方、シリカのエアロゲルを得る場合に
は、アルコキシシランを原料としてゲル状の化合物を形
成し、ついで乾燥させる。しかし、自然乾燥、加熱乾燥
または減圧乾燥により乾燥するとゲルが収縮してしまう
ため、超臨界乾燥を用いて低密度のシリカの多孔体を得
ている。ゲル状化合物においては、ゲル中の網目骨格の
空隙部に溶媒が充填されている。そして、このようなゲ
ルを自然乾燥、加熱乾燥または減圧乾燥により乾燥する
と、気液界面が空隙部に存在するため、気液界面がゲル
内部へ後退する際に、表面張力に起因するメニスカスの
後退応力が働いてゲルが収縮してしまうという問題があ
る。そこで、その収縮を無くすために、溶媒を気体と液
体の区別ができない超臨界状態にし、網目骨格内に気液
界面のない状態で乾燥する超臨界乾燥法が用いられてい
るのである。
【0007】しかし、溶媒を超臨界状態にするために
は、溶媒を臨界点以上の高圧にするための圧力容器が必
要である。そのため、得られる多孔体のサイズは高圧力
容器のサイズに限定され、大きなものを作るのが困難で
あり、また、連続的な処理が難しくバッチ処理となり、
生産性に問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点に鑑み、
本発明の目的は、特別な容器や超臨界乾燥法を用いるこ
となく、大きい形態自由度および断熱性を有する断熱体
を付与しうる多孔体を製造する方法を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、大型の断熱材であっても連
続的に生産することが可能である新しい多孔体の製造方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、網目構造を有
する多孔体の製造方法であって、(a)網目骨格材の熱
変形温度よりも低い熱分解温度を有する熱分解性ポリマ
ーが前記網目骨格材の構成する網目構造の空隙に充填さ
れてなる複合ゲルを製造する工程、および(b)前記複
合ゲルを前記熱分解性ポリマーの熱分解温度以上の温度
で加熱処理する工程を含む多孔体の製造方法に関する。
この場合、加熱処理の温度が、網目骨格材の熱変形温度
よりも低く、熱分解性ポリマーの熱分解温度以上である
のが好ましい。また、複合ゲル中の網目骨格材の占有容
積率が50%以下であるのが好ましい。 また、得られ
る多孔体の平均孔径が0.2〜100nmであり、前記
みかけ密度が10〜800kg/m3であるのが好まし
い。さらに、前記熱分解性ポリマーは線状ポリマーであ
るのが好ましい。また、前記熱分解性ポリマーはフェノ
ール系樹脂であるのが好ましい。前記網目骨格材はシリ
カからなるのが好ましい。また、前記網目骨格材はポリ
イミド系樹脂からなるのが好ましい。また、前記方法に
おいては、工程(a)の後、工程(b)の前に、前記複
合ゲルを乾燥させる工程を含むのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の多孔体の製造方法は、断
熱性に優れた低密度の多孔体を提供するものである。真
空断熱パネルのように構成材として容器を必要とせず、
シリカのエアロゲルのように超臨界乾燥時に高圧容器を
必要としないため、形態自由度の高い成形が可能であ
り、サイズの大きな多孔体を容易に形成できると共に連
続的な生産が可能になる。
【0011】本発明は、網目構造を有する多孔体の製造
方法であって、(a)網目骨格材の熱変形温度よりも低
い熱分解温度を有する熱分解性ポリマーが前記網目骨格
材の構成する網目構造の空隙部に充填されてなる複合ゲ
ルを形成する工程、および(b)前記複合ゲルを前記熱
分解性ポリマーの熱分解温度以上の温度で加熱処理する
工程を含む。
【0012】まず、本発明の多孔体の製造方法につい
て、図1を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法
の各工程における多孔体の様子を示す模式図である。ま
た、図1中、1は網目骨格材、2は熱分解性ポリマー、
3は空孔である。
【0013】本発明においては、まず工程(a)におい
て、網目骨格材の熱変形温度よりも低い熱分解温度を有
する熱分解性ポリマーが前記網目骨格材の構成する網目
構造の空隙に充填されてなる複合ゲルを形成する。図1
の(1)は、本発明の工程(a)において得られる複合
ゲルの様子を概念的に示している。ついで工程(b)に
おいて、この複合ゲルを熱分解性ポリマー2の熱分解温
度以上で加熱処理し、複合ゲルが網目構造を保ったまま
熱分解性ポリマー2だけが徐々に分解除去して空孔3を
生じる。すなわち、図1の(2)に示すように、熱分解
性ポリマー2の分解が始まり、最終的には図1の(3)
に示すように網目構造の空隙に空孔が存在してなる多孔
体が得られる。この加熱処理のとき、熱分解性ポリマー
2が複合ゲルの網目構造の空隙に存在しているため、多
孔体の収縮を抑制することができ、微小孔径でかつ低密
度の多孔体が得られるのである。
【0014】本発明の多孔体の製造方法について、各工
程ごとに、以下に詳しく説明する。 (a)複合ゲル形成工程 この工程は、網目構造を有してなる多孔体を得るため
に、網目骨格材の前駆体である湿潤ゲルを形成し、つい
で湿潤ゲルが乾燥して構成する網目構造の空隙に熱分解
性ポリマーが充填してなる複合ゲルを得る工程である。
【0015】網目構造中に熱分解性ポリマーを充填する
方法としては、網目骨格材の前駆体である湿潤ゲルを形
成し、その過程で熱分解性ポリマーを充填する方法が適
しており、以下の方法が適用できるが、これらに限られ
るものではない。
【0016】(i)熱分解性ポリマーを溶解した溶液中に
網目骨格材の原料を混合し、その中で湿 潤ゲル形成を
行って複合ゲルを得る方法。 (ii)熱分解性ポリマーのモノマー溶液中に網目骨格材の
原料を混合し、その中で湿潤ゲル形成を行い、その後に
重合を行うことで複合ゲルを得る方法。 (iii)溶媒中で網目骨格材の原料の湿潤ゲル形成を行っ
た後に、その湿潤ゲルを熱 分解性ポリマーを溶解した
溶液で溶媒置換することによって、網目構造に熱分 解
性ポリマーを浸透させ複合ゲルを得る方法。 (iv)溶媒中で網目骨格材の原料の湿潤ゲル形成を行った
後に、その湿潤ゲルを熱分解性ポリマーのモノマー溶液
で溶媒置換することによって、網目構造に熱分解性ポリ
マーを浸透させる。その後に重合を行うことによって複
合ゲルを得る方法。 (v)溶媒中で網目骨格材の原料からゾル溶液を形成し
て、熱分解性ポリマーを溶解 した溶液と混合してか
ら、その後にゲル化させて複合ゲルを得る方法。 (vi)溶媒中で網目骨格材の原料からゾル溶液を形成し
て、熱分解性ポリマーのモノマー溶液と混合してから、
その後にゲル化させて湿潤ゲルを得てから重合を行って
複合ゲルを得る方法。 前記(i)〜(vi)の方法は、複合ゲルにおける網目骨格材
の前駆体である湿潤ゲルの種類、濃度、熱分解性ポリマ
ーの溶液濃度もしくは粘度、または熱分解性ポリマーの
モノマー溶液の粘度などに応じて、適宜選択すればよ
い。
【0017】ここで、本発明の多孔体における網目骨格
材は、工程(b)における加熱処理により分解せず、熱
変形温度が高い材料であるという点から、シリカ、アル
ミナ、チタニア、マグネシアなどの金属酸化物などから
なる無機網目骨格材、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレ
ンベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾリアゾール系
樹脂などの耐熱性樹脂などからなる有機網目骨格材があ
げられる。
【0018】前述した無機網目骨格材の熱変形温度はす
べて500℃以上であり、耐熱性の点からはどの材料を
用いても問題はないが、特に比較的低密度な複合ゲルの
網目骨格を形成させやすいという点から、シリカを網目
骨格材として使用するのが好ましい。
【0019】また、有機網目骨格材としては、耐熱性の
点から、熱変形温度が300℃以上のものを用いるのが
好ましい。なかでも、特に高分子の複合ゲルを形成させ
やすいという点からガラス転移温度が300℃以上であ
るポリイミド系樹脂を網目骨格材として使用するのが好
ましい。
【0020】そして、前記無機網目骨格材は、例えば金
属アルコキシドを用いたゾルゲル法、ケイ酸アルカリを
用いた水ガラス法などにより、当業者であればで形成す
ることができる。
【0021】また、前記有機網目骨格材は、例えば単量
体原料の重合後に架橋剤を用いてゲル化する方法、単量
体原料の重合時に架橋剤を加えてゲル化する方法などに
より形成することができる。
【0022】また、本発明で用いる熱分解性ポリマーと
しては、工程(b)における加熱処理によって熱分解し
うるものであって、前述した網目骨格材の熱変形温度よ
りも低い熱分解温度を持つものであればよい。具体的に
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレ
ン)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリアクリ
ル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドンなどの熱可塑性樹脂、フェノール系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、尿素系樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げら
れる。
【0023】これらのなかでも、比較的低い熱安定を持
っているという点から、例えばポリメチルメタクリレー
ト(283℃)、ポリ(α−メチルスチレン)(287
℃)、ポリプロピレンオキサイド(アタクチック:29
5℃、アイソタクチック:312℃)、ポリイソブレン
(323℃)、ポリメチルアクリレート(328℃)、
ポリエチレンオキサイド(345℃)、ポリイソブチレ
ン(348℃)、ポリスチレン(364℃)、ポリプロ
ピレン(387℃)、ポリエチレン(404℃)、ポリ
ブタジエン(407℃)などの線状ポリマーを用いるの
が好ましい。なお、()内の数値は、熱分解による重量
半減の温度である。これらの線状ポリマーを用いた際の
加熱処理温度は250℃以上が好ましい。
【0024】また、前記熱硬化性樹脂は200℃以上に
おいて徐々に分解して、500℃以上においてほとんど
分解する。ただし、炭化した残分が残りやすいという特
徴がある。この特徴を積極的に使用して、複合ゲルを加
熱処理した後に、多孔体中の網目構造内部に、炭化成分
を残して輻射熱伝導の低減を行うことができる。特に、
この目的には、炭化成分を作りやすいフェノール系樹脂
を熱分解性ポリマーとして用いるのが好ましい。これら
の熱硬化性樹脂を用いた際の、加熱処理温度は、300
℃以上であるのが好ましく、特に500℃以上が適して
いる。
【0025】これらの熱分解性ポリマーは、前述の複合
ゲル形成方法の種類に応じて、そのポリマーとして使用
して良いし、また前述のようにそのモノマーを用いて製
造工程の中で重合して形成しても良い。
【0026】また、複合ゲル形成工程(a)において
は、網目構造への熱分解性ポリマーの充填を促進するた
めに加熱して混合しやすくすることもできる。この場合
の加熱温度としては、室温以上で、かつ用いる溶媒の沸
点以下であればよい。
【0027】複合ゲルを形成する際の、湿潤ゲルと熱分
解性ポリマー(固形分)の組成としては、複合ゲル中の
網目骨格材の占有容積率が50%以下となる範囲であれ
ばよい。網目骨格材の濃度が50%以下でないと、みか
け密度が大きくなるからである。さらに好ましくは、低
密度で、優れた断熱性能を有する多孔体を得るという点
から、1〜30%であるのがよい。
【0028】なお、後述する乾燥工程において溶媒が除
かれる際に収縮が生じない用に、複合ゲルの骨格部を疎
水化処理しておくことも好ましい。複合ゲルが含有する
溶媒が極性である場合には、疎水化により、複合ゲルの
網目骨格材にかかる乾燥応力が緩和されるために収縮が
抑制されるためである。疎水化処理は、複合ゲル形成の
工程(a)において、トリメチルクロロシラン、ジメチ
ルジクロロシラン、トリエチルエトキシシランなどのシ
リル化剤を溶解した溶液に浸漬する方法、ハロゲン化ア
ルキル、脂肪酸クロライドなどのアルキル試薬と反応さ
せる方法などにより行えばよい。
【0029】(b)乾燥工程 この乾燥工程は工程(a)複合ゲルが溶媒を含んでお
り、その溶媒を除いた複合ゲルを得てから加熱処理工程
によって多孔体を形成する際に実施する。本発明で用い
る複合ゲルは溶媒を含んでいない乾燥体でも溶媒を含ん
でいる湿潤体でも良い。しかし、加熱処理工程の際の収
縮を少なくするには乾燥体が良い。この複合ゲルの乾燥
体を得る際に、本工程を経るのが好ましい。
【0030】この乾燥工程では、複合ゲルの湿潤体から
溶媒が除かれる際に、網目構造に熱分解性ポリマーが充
填されているため乾燥応力を熱分解性ポリマーが支えと
なって吸収するために収縮しにくい。しかし、網目構造
に充填されている熱分解性ポリマーの含んでいる溶媒量
が多い場合には収縮が生じることがある。この場合で
も、網目構造の内部には熱分解性ポリマーが充填されて
いるために、ゲルの固体成分の網目構造の収縮は固体状
のポリマーによって抑制することができる。したがっ
て、複合ゲル形成工程において、予めこの収縮分を見込
んで各原料濃度を設定しておく必要がある。工程(b)
における乾燥は、具体的には、自然乾燥、加熱乾燥また
は減圧乾燥などの通常の方法で行う。
【0031】自然乾燥の場合は、常温、常圧で放置して
溶媒を除去するという条件で行えばよい。加熱乾燥の場
合は、溶媒のみを除くために熱分解性ポリマーの熱分解
温度以下で実施するのが重要である。また、溶媒の沸点
以上で行えば効率的であるが、複合ゲルの構造が壊れな
いように、当業者であれば昇温条件を適宜設定すること
ができる。減圧乾燥の場合は、常温で減圧して溶媒を除
去するという条件で行えばよいが、効率的に速く乾燥を
行うため、加熱するのも好ましい。
【0032】なお、この乾燥工程は、加熱処理工程と一
貫して実行されても良い。すなわち、加熱処理工程にお
いて、熱分解性ポリマーの熱分解温度以下で溶媒を除い
てから、熱分解温度以上に設定して熱分解性ポリマーの
除去を行うことができる。また、溶媒の含有量が少ない
ときには、熱分解性ポリマーの熱分解温度以上の加熱に
よって、乾燥と分解除去を同時に行っても良好な多孔体
ができる。
【0033】(c)加熱処理工程 加熱処理工程は、複合ゲルの網目構造に充填されている
熱分解性ポリマーを網目構造から除去して複合ゲルの網
目骨格だけが残った多孔体を形成する工程である。本発
明の加熱処理工程において、加熱処理温度は熱分解性ポ
リマーの熱分解温度以上で行う。さらに、網目骨格材の
熱変形温度以下、熱分解温度以上の場合には、網目構造
の収縮の程度が少なくて効果が高い。加熱処理は一般的
な電気炉、乾留炉などによる処理で行うことができる。
そのため、多孔体は比較的大きなサイズまで製造するこ
とができるし、連続的に生産することも可能になる。
【0034】処理雰囲気としては、空気中、不活性ガス
中、または真空中においても行うことができる。さら
に、網目骨格材の強度を強くするための2次処理をかね
て行うこともできる。例えば、金属酸化物の網目骨格材
であれば、窒化処理をかねて行うことができる。
【0035】以上のようにして得られる多孔体の形状
は、ボード状、ブロック状、粉状、ビーズ状、器状、そ
のほか所望するいずれの形状であってよい。加熱処理工
程前の工程で、任意の形状に成形しておいても良いし、
加熱処理工程の後に任意の形状に成形しても良い。ま
た、ビーズ状の多孔体を任意の断熱容器の中にコア材と
して充填することもできる。
【0036】本発明の多孔体の製造方法においては、複
合ゲル中の網目骨格材の占有容積率が50%以下である
のが好ましい。網目骨格材の濃度がこれ以下でないと、
得られる多孔体の平均孔径が100nm以下で、多孔体
のみかけ密度が800kg/m3以下とすることが難し
いためである。これらの物性値を満たすことで、高い断
熱性を生じるようになる。
【0037】すなわち、本発明の多孔体の有する空孔の
平均孔径は、気体の分子サイズよりも大きく、優れた断
熱性能を得るという点から、0.2〜100nmである
のが好ましく、さらに優れた断熱性能を得るという点か
ら、1〜50nmであるのが特に好ましい。また、みか
け密度は、多孔体としての強度および断熱性という点か
ら、10〜800kg/m3であるのが好ましく、さら
に、低密度にして断熱性能を向上させるという点から、
10〜300kg/m3であるのが特に好ましい。
【0038】このようにして得られる本発明の多孔体
は、断熱性、成形性に優れ、断熱体に好適に用いること
ができる。
【0039】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。 《実施例1》金属アルコキシドとしてテトラメトキシシ
ラン、溶媒としてエタノール、触媒として0.01Nの
アンモニア水をそれぞれモル比で1:5:4の割合で混
合してシリカゾルの溶液を調製した。これを60℃で1
2時間かけてゲル化して湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲル
をアセトン、メチルエチルケトンで順次溶媒置換した後
に、50重量%のポリスチレンのメチルエチルケトン溶
液でさらに置換した。メチルエチルケトンを室温で徐々
に乾燥した後に網目骨格材の占有容積率が約10%の複
合ゲルを得た。この複合ゲルを400℃で2時間、45
0℃で2時間、順次加熱処理したところ、網目骨格材が
シリカからなる多孔体が得られた。
【0040】得られたシリカの多孔体の平均孔径を、窒
素吸着法により測定した。平均孔径は約50nmであっ
た。また、多孔体のみかけ密度を、幾何容積とその重量
を測定するという方法により測定した。みかけ密度は約
350kg/m3であった。
【0041】この多孔体を20cm×20cm×1cm
サイズの成形した後に、平行平板方式にて加熱部38
℃、冷却部10℃の平均温度24℃で熱伝導率を測定し
たところ、0.020W/mKであった。なお、汎用の
断熱材であるガラスウールの同サイズのサンプルを用い
て、熱伝導率を測定したところ0.037W/mKであ
り、得られた多孔体は約1.9倍断熱性に優れることが
わかった。
【0042】《実施例2》金属アルコキシドとしてテト
ラメトキシシラン、溶媒としてエタノール、触媒として
0.01Nのアンモニア水をそれぞれモル比で1:5:
4の割合で混合してシリカゾルの溶液を調製した。次
に、ノボラック型フェノール樹脂原料を水とメタノール
1:1(重量比)の溶媒に50重量%溶解した溶液をシ
リカゾルの溶液に等容積量で混合した。なお、この溶液
には過剰量のホルムアルデヒドを触媒として溶解させ
た。60℃で24時間かけてシリカゾルのゲル化とフェ
ノール樹脂の硬化を行ない、湿の複合ゲルを得た。この
湿潤複合ゲルをイソプロピルアルコールで置換した。乾
燥処理工程において、湿潤複合ゲルを60℃で3時間か
けてイソプロピルアルコールを除き、乾燥後の複合ゲル
における網目骨格材の占有容積率は約8%となった。さ
らに300℃で1時間、450℃で1時間順次加熱処理
したところ、網目骨格材がシリカの多孔体が得られた。
【0043】得られたシリカの多孔体の平均孔径は約5
0nmであり、多孔体のみかけ密度は約400kg/m
3であった。
【0044】《実施例3》ポリイミドの原料として4,
4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(フタル酸
無水物)と、4,4’−ジアミノ−4’−ヒドロキシト
リフェニルメタンを用いて、両者が1:1(モル比)に
なる組成で脱水したDMAcに混合してポリイミド前駆
体を室温で合成した。この溶液をメタノールに再沈澱し
たのちに乾燥してポリイミド前駆体を得た。このポリイ
ミド前駆体8gを50ccのm−クレゾールに溶解して
ポリイミド前駆体溶液を得た。この溶液に架橋剤として
スクシンジアルデヒドを4g加え、160℃で1日間加
熱して、架橋とイミド化を同時に行ってポリイミド湿潤
ゲルを得た。このポリイミド湿潤ゲルをアセトンで溶媒
置換した後に、さらに、アクリル酸メチルエステル40
重量%と触媒の過酸化ベンゾイルを溶解したアセトン溶
液で置換した。これを50℃で重合させた。ポリアクリ
ル酸メチルエステルの溶液が充填した湿潤ゲルが得られ
た。これを、減圧乾燥して網目骨格材の占有容積率が約
25%の複合ゲルを得た。ポリイミド樹脂成分のガラス
転移温度が350℃以上であるので、この複合ゲルを3
00℃で5時間加熱処理して、網目骨格材がポリイミド
の多孔体が得られた。
【0045】得られた多孔体の平均孔直径は約30nm
であり、多孔体のみかけ密度は約430kg/m3であ
った。この多孔体を20cm×20cm×1cmサイズ
の成形した後に、平行平板方式にて加熱部38℃、冷却
部10℃の平均温度24℃で熱伝導率を測定したとこ
ろ、0.025W/mKであった。なお、汎用の断熱材
であるガラスウールの同サイズのサンプルを用いて、熱
伝導率を測定したところ0.037W/mKであり、得
られた多孔体は約1.5倍断熱性能が高い値であること
がわかった。
【0046】なお、本発明の製造方法において、多孔体
の平均孔径0.2nm未満のものは作ることができなか
った。また、多孔体の平均孔径が100nmを超えるも
のでは、100nm以下の多孔体に比して断熱性能が低
下する傾向にあった。また、本発明の製造方法におい
て、みかけ密度が10kg/m3未満の多孔体は作るこ
とができなかった。さらに、みかけ密度が800kg/
3を超える多孔体は良好な断熱性能を得ることができ
なかった。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明の多孔体の製造方法
は、断熱性に優れた低密度の多孔体を提供することがで
きる。この多孔体の製造方法においてはシリカのエアロ
ゲルのように超臨界乾燥時に高圧容器を必要としないた
め、形態自由度が高い成形が可能であり、サイズの大き
な多孔体を容易に形成できると共に連続的な生産が可能
になる。さらに、得られる多孔体は真空断熱パネルのよ
うに構成材として容器を必要しないで、高性能な断熱材
を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の各工程における多孔体の様
子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 網目骨格材 2 熱分解性ポリマー 3 空孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 (72)発明者 小野 之良 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F201 AA40 AB03 AB17 AC06 AE02 AG20 AH47 BA04 BC01 BC37 BD10 BN50 4F212 AA40 AB03 AB17 AC06 AE02 AG20 AH47 UA17 UC05 UC06 UF01 UF06 UG07 UN29

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 網目構造を有する多孔体の製造方法であ
    って、(a)網目骨格材の熱変形温度よりも低い熱分解
    温度を有する熱分解性ポリマーが前記網目骨格材の構成
    する網目構造の空隙に充填されてなる複合ゲルを製造す
    る工程、および(b)前記複合ゲルを前記熱分解性ポリ
    マーの熱分解温度以上の温度で加熱処理する工程を含む
    多孔体の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理の温度が、網目骨格材の熱変形
    温度よりも低く、熱分解性ポリマーの熱分解温度以上で
    ある請求項1記載の多孔体の製造方法。
  3. 【請求項3】 複合ゲル中の網目骨格材の占有容積率が
    50%以下である請求項1または2記載の多孔体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 得られる多孔体の平均孔径が0.2〜1
    00nmであり、前記みかけ密度が10〜800kg/
    3である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 熱分解性ポリマーが線状ポリマーである
    請求項1〜4のいずれかに記載の多孔体の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱分解性ポリマーがフェノール系樹脂で
    ある請求項1〜4のいずれかにに記載の多孔体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 網目骨格材がシリカからなる請求項1〜
    4のいずれかに記載の多孔体の製造方法。
  8. 【請求項8】 網目骨格材がポリイミド系樹脂からなる
    請求項1〜4のいずれかに記載の多孔体の製造方法。
  9. 【請求項9】 工程(a)の後、工程(b)の前に、前
    記複合ゲルを乾燥させる工程を含む請求項1記載の多孔
    体の製造方法。
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