JP2000114962A - 直流モータのモータ回転パルス生成回路およびその回路を用いた挟み込み検知装置 - Google Patents

直流モータのモータ回転パルス生成回路およびその回路を用いた挟み込み検知装置

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JP2000114962A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直流モータの回転状態を示す正確なパルスの
生成を行う。また、その回路を用いて直流モータのモー
タ電流を基に挟み込みの検知を行った場合、正確な挟み
込み検知が可能となる装置を提供する。 【解決手段】 クロック入力により遮断周波数fcが決
まり、直流モータ11からの入力信号のノイズを除去す
るスイッチト・キャパシタ・フィルタ3a、スイッチト
・キャパシタ・フィルタ3aの出力に対し波形成形を行
い直流モータ11の回転状態を示すリップルパルスを生
成するパルス成形回路3b、リップルパルスの周波数が
遮断周波数となるパルスをスイッチト・キャパシタ・フ
ィルタ3aのクロック入力に与えるパルス発生回路3c
〜3fとを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラシを有する直流
モータの回転に応じてパルスを生成するモータ回転パル
ス生成回路に関するものであり、モータ回転パルス生成
回路を用いて正確なモータ回転の状態を検出したり、モ
ータ回転により動く可動部材の動作位置を検出する装置
に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、直流モータの回転検出装置は、回
転数から位置制御を行ったり、モータ回転数の変化から
挟み込み等の発生を検出する装置に用いられている。例
えば、このような車両の挟み込み検知装置はセルシオ新
型車解説書(トヨタ自動車株式会社 1994年10月
発行)の4−100頁に示されるようにウインドレギュ
レータやサンルーフ等に適用されており、モータの出力
トルクの変化から挟み込みの発生を検知している。
【0003】モータトルクから挟み込みを検知する方法
は、例えば、モータがロック時にはモータに流れる電流
が急激に上昇することに着目し、モータ電流を一定時間
の間隔でモニタして、電流の時間当たりの変化量が所定
のしきい値をこえた場合に挟み込みと判定するのである
が、挟み込み時のモータ電流の急激な増加により挟み込
みの検知を行う方法は、一定時間の間隔でモータに流れ
る電流を検知するものであるため、挟み込みに直流モー
タを使用した場合には、次のような問題が生じてしま
う。
【0004】つまり、直流モータが回転する場合、整流
子の複数あるセグメントがブラシを通過する際に接続さ
れるコイルの数が回転に伴い変化するため、つながるコ
イルの数が変化し、つながるコイルの数により抵抗値が
変化してコイルに流れる電流が変化する。このため、電
流検知を行うと電流波形にはリップルがのってしまうも
のとなり、リップルがのった電流を基に挟み込みの制御
を行った場合には挟み込みを正確に判定できなくなり、
挟み込みの設定荷重が変化してしまう。
【0005】また、モータの回転数が早い場合と遅い場
合とでは、一定時間にガラス等の進む量に差があるため
に、挟み込みを判定するまでの作動量に差が生じ、安定
した挟み込み荷重とするには難しいものとなる。
【0006】更に、挟み込みによるモータロックをモー
タに流れる電流で判定する場合には、モータを駆動する
電圧や温度特性による機械的なばらつきにより正確に判
定できないものとなってしまう。
【0007】そこで、上記の問題点を解決するため、特
開平10−109534号公報では次のような提案がな
されている。この公報に示される装置は、直流モータを
流れる電流に比例した電圧を制御装置に入力し、A/D
入力の取り込みタイミングをフィルタ回路、第1および
第2微分回路、電圧比較回路により構成される入力タイ
ミング回路からの出力により決定し、入力タイミング回
路から得られた信号のタイミングでA/D入力をして挟
み込みの検知を行うようにしている。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】直流モータを駆動す
るときに流れるモータ電流は、モータトルクに比例する
DC電流と回転数に比例するリップル成分、およびノイ
ズ成分により構成されている。しかしながら、上記に示
す方法ではノイズ成分をフィルタ回路により減衰する
が、フィルタの遮断周波数は変化するモータの回転数に
対応させるため、最大モータ回転数に設定され、低電圧
駆動時や低温等には挟み込みが発生していない場合でも
モータ回転は遅くなる。このようにモータ回転数が遅く
なったとき、フィルタ回路で十分減衰できない遮断周波
数近傍のノイズ成分の影響により、ノイズが原因で異常
パルス(例えば、パルスが出ない場所でパルスが出てし
まうこと)が生成される場合がある。よって、ノイズに
より発生した異常パルスにより電流変化量を正確に検出
できない場合が起こり、フィルタで減衰しきれないノイ
ズ成分は、モータ回転数が遅くなったとき顕著になるこ
とが実験の結果、判明した。
【0009】そこで、モータ回転数が遅くなったときで
も直流モータの回転パルスが生成される回路を特願平1
0−180981号において提案した。この回路はモー
タ電流に含まれるリップル成分をローパスフィルタ、微
分回路、増幅器、比較器等から成るアナログ回路によっ
てパルス化を図るものであり、低周波フィルタと高周波
フィルタを含むローパスフィルタLPFによりノイズを
除去し、第1微分回路によりローパスフィルタの出力を
微分し直流成分の減衰を行うと共に、第1増幅器により
第1微分回路の出力を増幅し、第2微分回路により第1
増幅器の出力を微分して位相をシフトさせ、比較器によ
り第2微分回路の出力と第1増幅器の出力を比較して、
低周波フィルタと高周波フィルタを切り替えることによ
り、遮断周波数を切り替えるものである。
【0010】しかしながら、低周波および高周波フィル
タ(フィルタ定数)をスイッチにより切り替える固定定
数回路では、モータ回転数よりモータ電流の波形を基に
ローパスフィルタの定数を数段階で切り替え、正確なパ
ルス成形を行う必要がある。例えば、ノイズ成分の大き
なモータを使用した場合には、ノイズ除去のためにフィ
ルタの減衰率をより大きなものにしなければならず、減
衰率を大きくすると、パルス成形の正しく行えるモータ
回転数範囲が狭くなるため、多段化して定数の切り替え
を行わなければならず、このように多段化することは切
り替え回路が複雑になり、切り替え制御が複雑化するも
のとなってしまう。
【0011】よって、本発明は上記の問題点に鑑みてな
されたものであり、簡単な構成で直流モータの回転状態
を示す正確なパルスの生成を行うことを第1の技術的課
題とし、その回路を用いて直流モータのモータ電流を基
に挟み込みの検知を行った場合、正確な挟み込み検知が
可能な装置を提供することを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに講じた第1技術的手段は、クロック入力(入力され
るクロック周波数)により遮断周波数が決まり、直流モ
ータからの入力信号のノイズを除去するスイッチト・キ
ャパシタ・フィルタ、スイッチト・キャパシタ・フィル
タの出力に対し波形成形を行い直流モータの回転状態を
示すリップルパルスを生成するパルス成形回路、リップ
ルパルスの周波数が遮断周波数となるパルスをスイッチ
ト・キャパシタ・フィルタのクロック入力に与えるパル
ス発生回路とを備えたことである。
【0013】上記の構成により、リップルパルスの周波
数が遮断周波数となるパルスをスイッチト・キャパシタ
・フィルタのクロック入力に与えることにより、スイッ
チト・キャパシタ・フィルタの遮断周波数がリップルパ
ルスの変動が発生してもリニアに追従するものとなる。
このことから、リップルの周波数変動にスイッチト・キ
ャパシタ・フィルタの遮断周波数はリニアに追従できる
ものとなり、リップル周波数以上のノイズを常に大きく
減衰することが可能である。また、従来のようにフィル
タ遮断周波数を多段で切り替えるために多段の定数切替
回路をもつ必要がなく、回路構成およびフィルタ定数の
切り替え制御は必要なくなり、モータ回転に基づく正確
なリップルパルスを生成することが可能となる。
【0014】この場合、リップルパルスをフィードバッ
クした信号がスイッチト・キャパシタ・フィルタのクロ
ック入力に入力されるようにすれば、モータ回転により
確実に追従し、リップルパルスに基づくリニアな制御が
し易くなる。
【0015】また、上記の課題を解決するために講じた
第2技術的手段は、固定部材と、固定部材に対し可動自
在な可動部材と、可動部材を駆動する直流モータと、直
流モータに正転または逆転の指示を与えるスイッチ部材
と、スイッチ部材の操作により直流モータを制御すると
共に固定部材と可動部材との間の挟み込みを検知し、挟
み込み検知時には前記直流モータを逆転させる制御手段
とを備えた挟み込み検知装置において、クロック入力に
より遮断周波数が決まり、直流モータからの入力信号の
ノイズを除去するスイッチト・キャパシタ・フィルタ、
スイッチト・キャパシタ・フィルタの出力に対し波形成
形を行い直流モータの回転状態を示すリップルパルスを
生成するパルス成形回路、リップルパルスをフィードバ
ックし、リップルパルスの周波数が遮断周波数となるパ
ルスをスイッチト・キャパシタ・フィルタのクロック入
力に与えるパルス発生回路とを備えた直流モータのモー
タ回転パルス生成回路を用い、モータ回転パルス生成回
路の出力するパルスに基づき挟み込み検知を行うように
したことである。
【0016】これによれば、パルス成形回路より得られ
たリップルパルスをフィードバックし、リップルパルス
の周波数が遮断周波数となるパルスをスイッチト・キャ
パシタ・フィルタのクロック入力に与えることにより遮
断周波数がリニアに変化することから、リップルの周波
数変動に遮断周波数はリニアに追従でき、フィルタの減
衰率はノイズに合わせて大きくすることが可能となる。
また、従来のような多段化されたフィルタ定数切替回路
をもつ必要がなく、しかもフィルタ定数の切り替え制御
は必要なくなり、モータ回転に基づく正確なリップルパ
ルスを生成することが可能となるため、挟み込み検知装
置にこの回路を用いた場合、正確な挟み込み検知が行え
るものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0018】図1は、直流モータ11の回転数に応じて
パルス出力(リップルパルスを生成)するモータ回転パ
ルス生成回路3を示している。この回路3は内部にスイ
ッチト・キャパシタ・フィルタ(SCF)3a、リップ
ルパルス成形回路3b、パルス発生回路から構成されて
おり、パルス発生回路はPLL(フェーズ・ロックト・
ループ)3c、分周回路3d、ローパスフィルタ(LP
F)3e、加減算回路3fから成り立っている。
【0019】スイッチト・キャパシタ・フィルタ3a
は、基本的には図2の(a)に示されるようにアナログ
スイッチとコンデンサで構成された回路(スイッチト・
キャパシタ回路)をフィルタに応用したものであり、図
2の動作説明図に示すように基本的には2個のスイッチ
とコンデンサから構成されており、スイッチS1,S2
を周期Tで交互にオン/オフすることにより、電流i
が、i=V/(1/fC)で流れる。
【0020】このことから、スイッチト・キャパシタは
抵抗と等価であるとみなせる。これを応用した抵抗とコ
ンデンサより成るCRフィルタの場合((b)参照)に
は、その回路の遮断周波数fcは2つのスイッチをオン
/オフする周波数(スイッチト・キャパシタ・フィルタ
の場合にはクロック入力)により可変となり、遮断周波
数fcは(b)のように表わされる。尚、ここではノイ
ズを除去するスイッチト・キャパシタ・フィルタには市
販のIC(MF6−50)を使用しており、このICの
遮断周波数fcはfc=fCLK(クロック入力周波数)
/N(定数、例えば、定数:50)で表わされるものと
する。
【0021】リップルパルス成形回路3bは、図3に示
される回路構成から成り立っている。この回路3bは内
部に高周波アクティブフィルタ(フィルタ)FL2、第
1および第2微分回路DC1,DC2、増幅器AP1、
比較器(電圧比較器)CMを備えている。
【0022】高周波アクティブフィルタFL2は、抵抗
R3,R4がオペアンプOP1の非反転入力端子に入力
され、反転入力端子には更に抵抗R3,R4の接続点に
接続されたコンデンサC2が接続される。また、反転入
力端子と抵抗R3,R4の接続点にはコンデンサC3が
接続され、出力に対してフィードバックがかけられてい
る。このフィルタFL2は高周波成分の除去を行うもの
で、例えば、モータ11の最高回転数(例えば、600
0rpm)以上のノイズ成分を減衰量を大きくして確実
に除去することができ、フィルタFL2により、直流モ
ータの回転信号(リップル周波数)にのるノイズが除去
できるローパスフィルタLPFとして機能する。
【0023】第1微分回路DC1は、ローパスフィルタ
LPFの出力(b)に接続されており、入力信号を微分
して直流成分の減衰を行うものである。第1微分回路D
C1はオペアンプOP2の反転入力端子に、抵抗R7と
カップリングコンデンサC5が直列接続されている。一
方、非反転入力端子には抵抗R5とR6の分圧された電
圧が印加され、分圧点にはバイパスコンデンサC4が接
続されている。また、反転入力端子とオペアンプOP2
の出力との間には抵抗R8とコンデンサC6が並列接続
されている。
【0024】増幅器AP1は、第1微分回路DC1の出
力(c)を増幅するものであり、オペアンプOP3の非
反転入力端子には抵抗R9,R10が直列接続され、更
に非反転入力端子にはコンデンサC9が接続されてい
る。また、反転入力端子と、抵抗R9,R10の接続点
にはコンデンサC7が抵抗R11を介して接地された状
態で接続されており、オペアンプOP3の出力との間に
コンデンサC8および抵抗R12が並列接続されてい
る。
【0025】第2微分回路DC2は、増幅器AP1の出
力(d)を微分して位相を90°シフトさせるものであ
り、オペアンプOP4の非反転入力端子には増幅器AP
1の出力(d)が抵抗R14とコンデンサC11のフィ
ルタを介して接続されている。一方、反転入力端子には
抵抗R13とコンデンサC10が直列接続され、更にオ
ペアンプOP4の出力(e)と非反転入力端子の間に抵
抗R15とコンデンサC12が並列接続されている。
【0026】比較器CMは、第2微分回路DC2の出力
(e)と増幅回路AP1の出力(d)を比較するもので
あり、オペアンプOP5の反転入力には抵抗R17を介
して増幅回路AP1の出力(d)が接続されており、非
反転入力端子には抵抗R16を介して第2微分回路DC
2の出力(e)が接続され、更にオペアンプOP5の出
力(f)との間には抵抗R18が接続され、出力(f)
からリップル周波数に合致した矩形状のパルス出力(リ
ップルパルス)が出力され、このパルス出力(f)が、
制御装置1のCPU2に入力されている。
【0027】上記した、リップルパルス成形回路3bの
各部における出力波形を、図4を参照に簡単に説明する
と、まず最初、図1に示すモータ11に流れる電流は電
流に比例した電圧信号(モータ回転信号)に換えられ
る。この信号には直流モータ特有のリップルがノイズと
共にのっている(a波形)。リップルは直流モータ11
を用いた場合に発生するもので、その原因は整流子の複
数あるセグメントがブラシを通過する際に接続されるコ
イルの数が回転に伴い変化するために、並列につながる
コイルの数が変化し、モータ回転時の抵抗値の変化によ
ってコイルに流れる電流が変化することで発生する。
【0028】このリップルがのった信号をスイッチト・
キャパシタ・フィルタ3aを通すことにより、リップル
ノイズは除去されるが、スイッチト・キャパシタ・フィ
ルタ3aのクロック入力(クロック周波数fCLK)によ
るノイズが出力に表れ、ローパスフィルタLPFを通す
ことにより、平滑化されb波形のようにノイズ成分が除
去される。次に、ローパスフィルタLPFを通過した信
号(b波形)を第1微分回路DC1に通すと、信号は微
分され直流成分の減衰を行いリプル成分のみのc波形に
なる。更に、c波形に対して増幅器AP1を通すと、c
波形の振幅が増幅されてdの波形になり、その後、第2
微分回路DC2を通すとc波形に対して位相が90°遅
れ、第2微分回路DC2後の波形がe波形となる。次
に、増幅器AP1の出力(d波形)と第2微分回路の出
力(e波形)を比較器CMで比較することによって、パ
ルス出力(f波形)が得られる。
【0029】本発明ではパルス出力(リップルパルス)
の波形をフィードバックし、リップルパルスの周波数が
スイッチト・キャパシタ・フィルタ3aの遮断周波数f
cとなるような回路構成としている。つまり、PLL3
cに入力されるリップルパルス(f波形)の周波数fp
に対し、スイッチト・キャパシタ・フィルタ3aの出力
の遮断周波数の関係式(fc=fCLK/N)の定数N
(=50)に基づく周波数(50fp)をPLL3cは
出力するようにしている。PLL3cの出力(周波数:
50fp)は、入力周波数fpに対して分周回路3dに
より50分周され、分周回路3dはPLL3cに対して
周波数fpを出力する。つまり、PLL3cに入力され
たリップルパルスの周波数fpに一致するように発振が
制御され、分周回路3dの出力信号の位相制御がなされ
る。このことから、スイッチト・キャパシタ・フィルタ
3aの遮断周波数fcはパルス出力(リップルパルス)
の状態に基づきリニアに変化するものとなる。
【0030】更に、PLL3cにはパルス発生回路の起
動時にPLL3cからの出力を安定化させるため、LP
F3e,加減算回路3fが付加されている。パルス発生
回路の起動時に加減算回路3fにモータ11を駆動する
バッテリー電圧Vbを外部信号として与えることで、P
LL3cの発振を初期状態で一定の電圧レベルに保持
し、発振が安定となった定常時にはPLL3cに入力さ
れるリップルパルスに依存する発振を行う構成をとって
いる。
【0031】これを各位置の波形(分周回路3dの出力
波形j、PLL3cからLPF3eへの出力波形g、L
PFからの出力波形h,パルス出力波形f)で見てみる
と、図5の(a)では起動時の波形を示し、(b)では
定常時の波形を示している。この場合、PLL3cのL
PF3eに対する信号はリップルパルスと分周回路3d
からの信号の位相差に比例した信号が表れ、リップルパ
ルスfに分周回路3dからの出力を合わせ込むように、
位相制御が行われる。
【0032】図6ではモータ回転信号のモータノイズを
除去するローパスフィルタLPFのフィルタ定数の切り
替えを行い、LPFのフィルタ遮断周波数の切り替えを
行った場合と、スイッチト・キャパシタ・フィルタ3a
を用い、リップルパルスに基づきスイッチト・キャパシ
タ・フィルタ3aの遮断周波数を変化させた場合を示し
ている。尚、図6では遮断周波数を変化させる回路以外
は両者同じもので比較したものであり、図3の(e)お
よび(f)位置における波形の比較図である。従来のよ
うにフィルタ切り替えを行う方法(例えば、図3のロー
パスフィルタのフィルタ定数をスイッチ等により切り替
える方法)では、パルス出力(リップルパルス)にパル
ス減(パルス飛び)やパルス増が発生してしまうものと
なり、モータ回転に正確に同期した信号を得ることがで
きなくなってしまう。
【0033】そこで、図1に示すパルス出力(リップル
パルス)をフィードバックし、スイッチト・キャパシタ
・フィルタ3aの遮断周波数fcをリニアに変化させる
ことで、パルス出力(f波形)は、リップルがのった電
流波形に対して誤差成分が含まれないところで正確に切
り換わり、誤差成分ののらない安定した波形を得ること
ができる。つまり、パルス出力(f波形)は整流子の動
きに同期しているものとなり、直流モータ11を用いて
もリップルによる誤差成分がA/D入力時に影響しない
ものとなる。このようにして得られるモータ回転に同期
した正確なリップルパルスを基に制御がなされるように
する。具体的に、CPU2ではこの入力されたリップル
パルスの切り換わるタイミングでCPU2に取り込まれ
るようにすることで、正確な制御が可能となる。つま
り、上記した構成のモータ回転パルス生成回路3は、直
流モータ11の回転に同期して、正確にパルス出力を行
う装置に用いることができる。例えば、車両等において
はサンルーフのルーフへの挟み込みを検知したり、ウォ
ンドレギュレータ装置において窓ガラスへの挟み込みを
検知したりする挟み込み検知装置や、運転者の体型や態
様に応じて正確なシート位置、ルームミラー位置、バッ
クミラー位置、ステアリング位置等を記憶する車両等の
メモリ装置にも適用が可能であるが、ここでは、一実施
形態として挟み込み検知装置に適用した場合について説
明する。
【0034】図7はサンルーフSRの動作時に挟み込み
を検知する挟み込み検知装置のシステム構成図を示し、
図8はその制御装置1の挟み込み検知の処理を示すフロ
ーチャートである。この挟み込み検知の制御を行う制御
装置1には、バッテリー12のプラス端子がIG1に接
続され、マイナス端子がGNDに接続されている。バッ
テリー12のプラス端子はイグニッションスイッチ(I
Gスイッチ)13を介してIG2に接続されており、I
Gスイッチ13をオンすることにより、制御装置1に電
源が供給されるようになっている。制御装置1に入力さ
れた電圧は内部の電源回路4に入力され、電源回路4に
より安定化された電圧がCPU(コントローラ)2に入
力される。IGスイッチ13がオンになった場合、IG
2に入力されたバッテリー12からの電圧は電源回路4
に入力されると共にCPU2に入力される。
【0035】図2に示すサンルーフ(可動部材)SR
は、ルーフ(固定部材)に対して上下及びスライド方向
に可動するものであり、直流モータであるサンルーフモ
ータ(以下、モータと称す)11によりチルトアップ/
ダウン、スライド動作がなされるように制御装置1によ
り制御される。尚、モータ11によりサンルーフSRを
チルトアップ/ダウン及びスライド動作させて可動させ
る構造は公知であり、また、サンルーフSRのチルトア
ップ/ダウンに関しては、ここでは説明を省略する。
【0036】サンルーフSRを駆動するモータ11は、
制御装置1のMT+とMT−に接続されている。MT+
の端子はリレー9の切替端子に接続され、MT−はリレ
ー10の切替え端子に接続されている。このリレー9は
CPU2により制御され、リレー9のコイルに電流を流
すことにより、リレー接点が切り換わりモータ11に電
流が流れることによって正転または逆転し、その結果、
回転してサンルーフSRがルーフRFの開口部に対して
駆動される。また、リレー9から、モータ駆動時、モー
タ11に流れる電流(モータ電流)を検知するよう、モ
ータ電流信号(抵抗により分圧された電圧)はモータ回
転パルス生成回路3に入力され、モータ回転パルス生成
回路3の出力はCPU2に入力されている。
【0037】この制御装置1においてスイッチ7(7
a,7b),8は2組存在し、サンルーフ位置検出スイ
ッチ7とサンルーフ操作スイッチ8を備える。サンルー
フ位置検出スイッチ7はそれぞれ2つのリミットスイッ
チから成り立っており、サンルーフSRの全閉位置から
4mm(不感帯領域)および200mm(挟み込み発生
時にモータ11が逆転した後、モータ動作を停める位
置)下がった位置の検出を行えるように形成されたもの
であり、米国規定のFMVSSの規定を満足させるよう
に設けられたものである。これは、モータ11と一体と
なった図示しない減速機構に取り付けられ、入力インタ
ーフェース(入力I/F)6を介してCPU2に入力さ
れ、サンルーフSRの全閉位置からの所定位置(4m
m,200mm)を検知するものである。また、サンル
ーフ操作スイッチ8は、サンルーフSRの状態を操作す
るスイッチであり、同じく入力I/F6を介してCPU
2に入力され、バッテリ電圧も入力I/F6を介してC
PU2に入力されている。
【0038】次に、挟み込み検知の処理について、図8
を参照して説明する。車両において車両キー(図示せ
ず)をキーシリンダ(図示せず)に差し込み車両キーを
回すとイグニッションスイッチ13がオンされ、バッテ
リ12から制御装置1に電源が供給される。その後、電
源が供給され始めると制御装置1はCPU2のROMの
中に記憶されたプログラム(メインルーチン 2mse
c毎)を実行する。
【0039】メインルーチンではまず最初にイニシャル
が行われる。このイニシャルではROMおよびRAMの
チェック、必要な定数のメモリ設定、およびシステムが
正常に動作するかのチェックがなされる。その後、スイ
ッチ類7,8の入力を行い、サンルーフ制御を一定周期
で行う。そこで、このサンルーフ制御について図8を参
照して説明する。
【0040】ステップS101では手動のサンルーフ操
作スイッチ(ここでは、閉操作スイッチ)8が操作さ
れ、オンされたかが判定される。ここで、閉操作スイッ
チ8がオンされていない場合(ルーフ開要求無)には以
下の処理を行わないが、閉操作スイッチがオンされた場
合(つまり、サンルーフSRを閉める要求有)、ステッ
プS102においてサンルーフSRを閉める信号をリレ
ー9に対して出力し、モータ11を駆動してサンルーフ
SRを開口部に対して閉める動作を行う。
【0041】次のステップS103ではサンルーフ位置
検出スイッチ(リミットスイッチ1)7aがオンである
かが判定される。ここで、オンである場合(全閉から4
mm以内にサンルーフSRがある場合)、ステップS1
04において次にモータ11が全閉したかが判定され
る。全閉状態の検出は、リッミットスイッチ1がオン
(全閉から4mm開いた位置)になってから、モータ回
転パルスがどれだけ入ったかにより検出することができ
る。ここで、全閉していない場合には前の処理状態を維
持するが、全閉状態である場合にはステップS105に
おいてサンルーフSRが全閉位置まで閉じきったものと
してサンルーフ制御(サンルーフ閉動作)を停止する。
【0042】一方、ステップS103において、位置検
出スイッチ(リミットスイッチ1)7aがオンの場合に
はモータ回転パルス生成回路3からのリップルパルス
(f波形)の入力があるかが判定される。この場合、パ
ルスエッジ(立ち上がりまたは立ち下がりエッジ)の入
力はCPU内の割り込み処理によりなされ、パルスエッ
ジが入力されない場合には以下の処理を行わないが、割
り込み処理によりパルスエッジが入力された場合にはス
テップS107において、モータ電流をモータ駆動ライ
ンから信号をもらい、A/Dポートより入力して読み込
み所定のメモリに記憶して、ステップS108において
モータ電流差演算を行う。ここでは、比較電流値(数パ
ルス前(例えば、100パルス前)の電流値)から現在
電流値の差をとったものをモータ電流変化量としてメモ
リ記憶する。この場合、比較電流値として電流値の所定
パルス前の状態が記憶されるようメモリの更新がなされ
る。次に、ステップS109により算出したモータ電流
変化量と所定のしきい値との比較がなさる。このしきい
値はモータを駆動するモータ駆動電圧Vbにより可変さ
れるものであり、Vbが高い場合にはモータ11は回転
が速くなることからしきい値を下げ、Vbが低い場合に
はしきい値を上げることによりモータ11の駆動電圧V
bに基づくしきい値の設定が行えるようになっている。
ここで、モータ電流変化量が所定のしきい値より小さい
場合には、挟み込みによるモータ電流の増加がないもの
としてこの処理を終了するが、モータ電流変化量がしき
い値以上である場合には、ステップS110において今
度は起動マスク中であるかが判定される。
【0043】この起動マスク中というのは電源投入初期
において入力されるパルスの状態が安定するまで一定の
時間のパルス入力に対して不感帯を設けるものであり、
電源投入初期(起動マスク中)では挟み込み制御を行わ
ないが、起動マスク中でない場合にはステップS111
を行う。このステップS111においてサンルーフSR
の開口動作を行う。
【0044】次のステップS112において、今度は位
置検出スイッチ(リミットスイッチ2)7bがオンされ
たかが判定される。このスイッチはサンルーフSRの開
動作を行うとき全閉から200mm開いた位置でスイッ
チの状態がオンに切り換わるものである。ここで、スイ
ッチ7bがオンしていない場合(全閉から200mm以
内で動作しているとき)にはステップS113において
今度はモータロックしたかが判定される。モータロック
していない場合にはステップS111に戻り、サンルー
フSRの開口を続けるがモータロックした場合にはステ
ップS114に移り、ステップS114においてサンル
ーフ制御を停止する。
【0045】つまり、サンルーフSRを閉めているとき
挟み込みが発生しモータ11の回転動作を反転させ開口
させるが、ルーフ開口後、ルーフ位置が全閉状態から2
00mmになったときにルーフの動作を停止する。この
ように、モータ回転パルス生成回路3によりサンルーフ
制御はリップルの周波数変動に遮断周波数はリニアに追
従できることから、モータ回転に基づく正確なリップル
パルスを生成することが可能となるため、正確な挟み込
み検知が行えるものとなる。
【0046】尚、ここではサンルーフSRの挟み込みに
適用したもので説明を行ったが、これに限定されず、モ
ータ回転パルス生成回路3を用いて正確なモータ回転の
状態を検出したり、モータ回転により動く可動部材の動
作位置を検出する装置に適用が可能である。
【0047】
【効果】第1の発明によれば、リップルパルスの周波数
が遮断周波数となるパルスをスイッチト・キャパシタ・
フィルタのクロック入力に与えることによりスイッチト
・キャパシタ・フィルタの遮断周波数がリップルパルス
の変動が発生してもリニアに追従することから、リップ
ルの周波数変動にスイッチト・キャパシタ・フィルタの
遮断周波数はリニアに追従できるものとなる。この場
合、フィルタの減衰率はノイズに合わせて大きくするこ
とが可能となり、従来のようにフィルタ遮断周波数を多
段で切り替えるために多段の定数切替回路をもつ必要が
なく、回路構成およびフィルタ定数の切り替え制御は必
要なくなり、モータ回転に基づく正確なリップルパルス
を生成することができる。
【0048】この場合、リップルパルスをフィードバッ
クした信号がスイッチト・キャパシタ・フィルタのクロ
ック入力に入力されるようにすれば、モータ回転により
確実に追従し、リップルパルスに基づくリニアな制御が
し易くなる。
【0049】また、第2の発明によれば、固定部材と、
固定部材に対し可動自在な可動部材と、可動部材を駆動
する直流モータと、直流モータに正転または逆転の指示
を与えるスイッチ部材と、スイッチ部材の操作により直
流モータを制御すると共に固定部材と可動部材との間の
挟み込みを検知し、挟み込み検知時には前記直流モータ
を逆転させる制御手段とを備えた挟み込み検知装置にお
いて、クロック入力により遮断周波数が決まり、直流モ
ータからの入力信号のノイズを除去するスイッチト・キ
ャパシタ・フィルタ、スイッチト・キャパシタ・フィル
タの出力に対し波形成形を行い直流モータの回転状態を
示すリップルパルスを生成するパルス成形回路、リップ
ルパルスをフィードバックし、リップルパルスの周波数
が遮断周波数となるパルスをスイッチト・キャパシタ・
フィルタのクロック入力に与えるパルス発生回路とを備
えた直流モータのモータ回転パルス生成回路を用い、モ
ータ回転パルス生成回路の出力するパルスに基づき挟み
込み検知を行うようにしたことにより、パルス成形回路
より得られたリップルパルスをフィードバックし、リッ
プルパルスの周波数が遮断周波数となるパルスをスイッ
チト・キャパシタ・フィルタのクロック入力に与えるこ
とにより遮断周波数がリニアに変化する。このことか
ら、リップルの周波数変動に遮断周波数はリニアに追従
でき、フィルタの減衰率はノイズに合わせて大きくする
ことが可能となり、従来のような多段化されたフィルタ
定数切替回路をもつ必要がなく、しかもフィルタ定数の
切り替え制御は必要なくなり、モータ回転に基づく正確
なリップルパルスを生成することが可能となるため、挟
み込み検知装置にこの回路を用いた場合、正確な挟み込
み検知が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態におけるモータ回転パル
ス生成回路の回路ブロック図ある。
【図2】 本発明の一実施形態におけるモータ回転パル
ス生成回路のスイッチト・キャパシタ・フィルタの動作
説明する説明図である。
【図3】 図1に示すリップルパルス成形回路の電気回
路図である。
【図4】 図3に示すパルス成形回路の各点における波
形を示したタイミングチャートである。
【図5】 図1に示すパルス発生回路のタイミングチャ
ートであり、(a)は起動時、(b)は定常時の波形を
示す。
【図6】 フィルタ切り替えを行い遮断周波数を切り替
えたときと、スイッチト・キャパシタ・フィルタで遮断
周波数を切り替えたときのパルス出力を示す図である。
【図7】 モータ回転パルス生成回路を挟み込み検知に
用いた場合の構成図である。
【図8】 図7に示す制御装置の処理を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1 制御装置 2 CPU(制御手段) 3 モータ回転パルス生成回路 3a スイッチト・キャパシタ・フィルタ 3b リップルパルス成形回路(パルス成形回路) 3c PLL(パルス発生回路) 3d 分周回路(パルス発生回路) 3e LPF(パルス発生回路) 3f 加減算回路(パルス発生回路) 7 ルーフ位置検出スイッチ(スイッチ部材) 8 サンルーフ操作スイッチ(スイッチ部材) 11 直流モータ(モータ) RF ルーフ(固定部材) SR サンルーフ(可動部材) fCLK クロック入力の周波数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 仁司 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D127 AA02 BB01 CB02 CC05 CC08 DF04 FF06 5J106 AA03 BB06 CC38 CC52 DD03 DD05 DD06 DD08 DD13 KK29

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロック入力により遮断周波数が決ま
    り、直流モータからの入力信号のノイズを除去するスイ
    ッチト・キャパシタ・フィルタ、 該スイッチト・キャパシタ・フィルタの出力に対し波形
    成形を行い直流モータの回転状態を示すリップルパルス
    を生成するパルス成形回路、 リップルパルスの周波数が遮断周波数となるパルスを前
    記スイッチト・キャパシタ・フィルタのクロック入力に
    与えるパルス発生回路とを備えたことを特徴とする直流
    モータのモータ回転パルス生成回路。
  2. 【請求項2】 リップルパルスをフィードバックした信
    号が前記スイッチト・キャパシタ・フィルタのクロック
    入力に入力される請求項1に記載の直流モータのモータ
    回転パルス生成回路。
  3. 【請求項3】 固定部材と、該固定部材に対し可動自在
    な可動部材と、該可動部材を駆動する直流モータと、該
    直流モータに正転または逆転の指示を与えるスイッチ部
    材と、該スイッチ部材の操作により前記直流モータを制
    御すると共に前記固定部材と前記可動部材との間の挟み
    込みを検知し、挟み込み検知時には前記直流モータを逆
    転させる制御手段とを備えた挟み込み検知装置におい
    て、 クロック入力により遮断周波数が決まり、直流モータか
    らの入力信号のノイズを除去するスイッチト・キャパシ
    タ・フィルタ、該スイッチト・キャパシタ・フィルタの
    出力に対し波形成形を行い直流モータの回転状態を示す
    リップルパルスを生成するパルス成形回路、リップルパ
    ルスをフィードバックし、リップルパルスの周波数が遮
    断周波数となるパルスを前記スイッチト・キャパシタ・
    フィルタのクロック入力に与えるパルス発生回路とを備
    えた直流モータのモータ回転パルス生成回路を用い、該
    モータ回転パルス生成回路の出力するパルスに基づき挟
    み込み検知を行うことを特徴とする挟み込み検知装置。
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