JP2000114175A - 半導体膜結晶化方法及び製造方法 - Google Patents

半導体膜結晶化方法及び製造方法

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JP2000114175A
JP2000114175A JP28855298A JP28855298A JP2000114175A JP 2000114175 A JP2000114175 A JP 2000114175A JP 28855298 A JP28855298 A JP 28855298A JP 28855298 A JP28855298 A JP 28855298A JP 2000114175 A JP2000114175 A JP 2000114175A
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film
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Hiroshi Ito
浩 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】結晶化の始めに結晶粒径の大きな結晶粒を生成
し、かつその大きさを小さくすること無く結晶性の良い
多結晶化を行い、優れた特性をもつ薄膜トランジスタを
得るための半導体膜の結晶化方法及び製造方法を提供す
ること。 【解決手段】半導体膜にレーザによる結晶化を施す際、
非結晶性の膜にその微結晶化閾値より幾分低いエネルギ
ーを照射し、更にその後に一回以上、前エネルギと等し
いかあるは低いエネルギー照射を行うことにより、結晶
粒径の大きな多結晶膜を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置、電
子回路等に用いられる多結晶薄膜トランジスタの多結晶
能動層膜の形成方法で半導体膜をレーザアニールして結
晶化する半導体膜の結晶化方法及びその方法を用いた薄
膜トランジスタ製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置等に用いられる薄膜
トランジスタでは、能動層として非晶質シリコン(a−
Si:H)を用いるものや高温プロセスにより作成した
多結晶シリコンを用いるものが主流であった。しかしな
がら前者は非晶質という形態から来る制限として移動度
が小さく、素子性能が低いため使用できる用途が限定さ
れるという欠点を持っている。また後者はその作成プロ
セスに高温(600℃〜1000℃程度)を用いるた
め、基板熔融などの点から用いる基板の選択に制限を受
ける。現状では石英基板が広く用いられているが大きな
面積をもつ石英基板はコストの面で不利で、利用用途が
数インチ対角の液晶シャッタなどに限られているという
欠点を持つ。
【0003】そこで非晶質シリコンや高温プロセスで形
成した多結晶シリコンの欠点を克服し、大きな基板上に
低コストで性能の優れた素子を形成し、液晶表示装置以
外に電子回路等への薄膜トランジスタの応用を実現する
ために、低温プロセスで作成した多結晶シリコンを能動
層として用いた薄膜トランジスタの研究開発及び商品化
が進められている。低温プロセスでは非晶質シリコン膜
にレーザ光を複数回照射し、熔融・凝固を行うことによ
り多結晶化する、いわゆるレーザ結晶化により、能動層
多結晶半導体膜を作成している。具体的には以下のよう
に行う。レーザ結晶化に用いるレーザビームの空間的な
プロファイルは光学系により整形されるが、一方向に極
端に伸びたライン状にする。そしてライン方向(以降長
軸方向と称する)には均一強度分布を持たせるが、それ
に直交する方向(以降短軸方向と称する)には、図7
(A)に示すようにガウシアン状であったり、図7
(B)に示すようにゆるやかな裾野部を持つ台形形状で
あったりする。どちらも中心線に対して鏡映対称な形状
である。このようなビームプロファイルをもつレーザ光
をシリコン膜が堆積された基板に照射する。図8に示す
ように基板30を含む面内にX方向、Y方向を互いに直
交するようにとる。この基板上には通常何らかの下地層
20、非晶質シリコン層10、場合によっては更に別の
層、の順に各層が形成されている。このX方向に前記ラ
インビームの長軸方向を合わせ、ビームと基板が相対的
にY方向に移動するようにレーザ光または基板を移動す
る。現在の研究開発や商品開発ではレーザとして、エキ
シマレーザ系のパルスレーザが用いられている。このパ
ルス照射に同期して、基板とレーザビームが一定の移動
量で移動する(以降、移動ピッチと呼ぶ)。この様な結
晶化工程で、基板上の非晶質半導体膜の一点でレーザ光
の当たり方を考えてみると、ガウシアン形状のビームで
は、図9(A)のaからiのような順番でレーザパワー
が半導体膜に供給される。エネルギーの変化が、1)照
射ごとに順次増加、2)照射ごとに順次減少、のように
なる。また台形ビームの場合図9(B)のaからiのよ
うに変化する。エネルギーの変化が、1)照射ごとに順
次増加、2)一定のパワー、3)照射ごとに順次減少、
のようになる。どちらの照射にも共通することとして、
照射ごとに増加の過程と照射ごとに減少の過程の二つの
過程があることがあげられる。レーザ出射強度、移動ピ
ッチを変えることにより、半導体膜に投入される一パル
スごとの投入エネルギ及び総投入エネルギを変えて、半
導体膜をいろいろな多結晶状態にすることができる。以
上のようにして基板全面にわたってレーザ光を照射する
ことにより、基板上の半導体膜を多結晶化する。この方
法は大面積の半導体膜をスループット良く多結晶化する
のに向いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
レーザアニールでは、ラインビームの短軸方向のエネル
ギー分布から、半導体膜へのエネルギー投入の仕方が、
ガウシアンの場合は、順次強くなり、続いて順次小さく
なり、また台形ビームの場合は、順次強くなり、一定の
強度で数回与えられた後、順次小さくなるというもので
あった。この方法で作成した多結晶シリコンの結晶粒径
は高々200〜500nm以下であり、それ以上大きな結晶粒を
もつ多結晶半導体膜を得ることができないという問題点
を有している。多結晶シリコンを用いた薄膜トランジス
タではチャネル部が多結晶シリコンでできているため、
結晶粒と結晶粒の境界すなわち結晶粒界が存在する。結
晶粒界ではキャリアである電子または電子ホールが散乱
されたり、捕獲されたりするので、薄膜トランジスタの
特性を著しく悪くする。そのため結晶粒径が大きい方が
結晶粒界の影響が少なく好ましいと考えられている。
【0005】前項で説明したように従来のビーム形状で
は照射ごとに順次増加の過程と照射ごとに順次減少の過
程を持っている。一般に後者の過程は結晶粒内部の欠陥
を減らす効果が認められ有効な工程である。しかしなが
ら前者の過程では以下のような問題がある。レーザ結晶
化では極端に高いレーザエネルギで照射しない限り、レ
ーザを照射したときに出来上がる多結晶半導体膜の状態
がそれ以前の半導体膜の状態に依存することが本願発明
者の検討によりわかっている。それについて説明する。
非常に強いエネルギーを照射した場合、能動層半導体膜
の深さ方向の全体(すなわち能動層半導体膜の下の層と
の境界部まで)が溶融し、自然発生的に結晶核が発生し
凝固する。このようにするとそれまでの膜の状態は失わ
れ、新たな多結晶状態が出現する。しかし生成される結
晶粒の粒径は小さく、それを用いて作成した薄膜トラン
ジスタの性能は低い。一方、膜全体を溶融せしめるに足
らない程度のレーザエネルギを照射した場合は、半導体
膜のほとんどの部分は溶融するが、一部、特に半導体膜
の基板に近い部分或はどこか局所的な部分は溶融せずに
残ると考えられ、冷却過程ではその溶け残った部分を核
として結晶成長をする。そのため、レーザ照射前の状態
(特に結晶粒径)を反映すると考えることができる。レ
ーザ結晶化を用いた低温プロセスの場合、膜全体を溶融
するよりも低いエネルギーでの照射方法が用いられてい
る。その例として、前記照射ごとに順次増加する工程の
みを施した半導体膜では、高いエネルギーを数回照射し
た半導体膜に比べ、結晶粒径は小さい。これは以下のよ
うに説明される。レーザ結晶化では、膜全体が溶融する
直下付近のエネルギを照射する場合が一番大きな結晶粒
径のものが得られる。それよりエネルギが小さくなると
それに従って、生成される結晶粒の粒径は小さくなる。
高いエネルギを数回照射した場合は、結晶粒径の大きな
ものが照射毎に再生成されるので、最終的に大きな結晶
粒径を持つ多結晶半導体膜が得られる。一方、順次増加
する工程のみを施した半導体膜では、最初に低いエネル
ギー照射によって生成された粒径の小さな結晶粒がそれ
以降の照射によってもその情報が残り、最終的に形成さ
れた多結晶膜の結晶粒径は小さくなったと考えられる。
【0006】そこで本発明は、上記を鑑みて成されたも
ので、結晶化の始めに結晶粒径の大きな結晶粒を生成
し、かつその大きさを小さくすること無く結晶性の良い
多結晶化を行うために、レーザエネルギーの投入方法を
うまく選択することにより良好な多結晶半導体薄膜を
得、優れた特性をもつ薄膜トランジスタを得るための半
導体膜の結晶化方法及び製造方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の半導体膜結晶
化方法は基板上に形成した半導体薄膜に対して、前記半
導体膜を結晶粒径の大きな多結晶性半導体膜に変える第
一の結晶化工程と該多結晶性半導体膜内の欠陥を低減す
る第二の結晶化工程からなる結晶性半導体薄膜結晶化方
法において、前記第一の工程は特定のエネルギーで一回
照射する工程からなり、前記第二の工程は該特定のエネ
ルギーと同じあるいはそれよりも低いエネルギーで1回
以上照射する工程と照射エネルギー漸次低くしながら複
数回照射する工程からなることを特徴とする半導体膜結
晶化方法を提供するものである。このようにすることに
より、大きな結晶粒径の多結晶が生成されその欠陥が低
減されることになるので、結晶粒径の大きな欠陥の少な
い多結晶半導体膜を得ることができるという効果を有す
る。
【0008】請求項2記載の薄膜トランジスタ製造方法
は請求項1に記載の工程を有することを特徴とする。請
求項1の結晶化方法を薄膜トランジスタの製造に用いる
ことにより結晶粒径の大きな特性の優れた薄膜トランジ
スタを得られるという効果を有する。
【0009】請求項3の半導体膜結晶化方法は請求項1
の発明の中の第二の工程において、照射エネルギー漸次
低くしながら複数回照射する工程からなることを特徴と
する請求項第一記載の半導体膜結晶化方法を提供するも
のである。これにより作成された膜は請求項1記載の結
晶化方法で作成された膜に比べて若干劣るが従来方法で
得られる薄膜トランジスタに比べると性能が格段に向上
してたものを得られるという効果を有する。
【0010】請求項4記載の薄膜トランジスタ製造方法
は請求項3に記載の工程を有することを特徴とする。請
求項3の結晶化方法を薄膜トランジスタの製造に用いる
ことにより結晶粒径の大きな特性の優れた薄膜トランジ
スタを得られるという効果を有する。
【0011】請求項5の半導体膜結晶化方法は全工程を
強度分布が2種類の異なるフラットな部分とその両サイ
ドがなだらかなすそ野部及び急峻なすそ野部からなるレ
ーザビームを用い、該レーザビーム光と前記基板を相対
的に移動することにより、該基板上の半導体膜に照射し
結晶化することを特徴とするもので、請求項1記載の半
導体膜結晶化方法をもちいて実際の量産などに適用する
手段を提供する。この発明により、レーザビームの基体
上へのラインスキャンが一度のビームスキャンで基体上
に結晶粒径の大きい、結晶性の良好な結晶性半導体膜を
短時間で形成でき、量産性向上が実現出来るという効果
を有する。
【0012】請求項6記載の薄膜トランジスタ製造方法
は請求項5に記載の工程を有することを特徴とする。請
求項5の結晶化方法を薄膜トランジスタの製造に用いる
ことにより結晶粒径の大きな特性の優れた薄膜トランジ
スタを得られるという効果を有する。
【0013】請求項7の半導体膜結晶化は、全工程を強
度分布がフラットな部分、急峻なすそ野部及びなだらか
なすそ野部からなるレーザビームを用い、該レーザビー
ム光と前記基板を相対的に移動することにより、該基板
上の半導体膜に照射し結晶化することを特徴とする半導
体膜結晶化方法を提供するもので、請求項3記載の半導
体膜結晶化方法をもちいて実際の量産などに適用する手
段を提供する。この発明により、レーザビームの基体上
へのラインスキャンが一度のビームスキャンで基体上に
請求項1に基づく結晶化方法に比べて若干特性が劣ると
はいえ、結晶粒径の大きい、結晶性の良好な結晶性半導
体膜を短時間で形成でき、量産性向上が実現出来るもの
である。
【0014】請求項8記載の薄膜トランジスタ製造方法
は請求項7に記載の工程を有することを特徴とする。請
求項7の結晶化方法を薄膜トランジスタの製造に用いる
ことにより結晶粒径の大きな特性の優れた薄膜トランジ
スタを得られるという効果を有する。
【0015】以上本発明は、非常に高性能な特性を実現
し、液晶表示装置、電子回路等に幅広く用い流事のでき
る多結晶薄膜トランジスタの能動層半導体膜の形成方法
及びそれを用いた製造方法を提供することを目的とす
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、半導体膜にレーザによ
る結晶化を施す際、非結晶性の膜にその微結晶化閾値よ
り幾分低いエネルギーを照射し、更にその後に一回以
上、前エネルギと等しいかあるは低いエネルギー照射を
行うことにより、結晶粒径の大きな多結晶膜を作成する
ことを特徴とする多結晶半導体膜作成方法の提供を骨子
とする。このような作成方法により薄膜トランジスタの
性能の向上を図ることができる。
【0017】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて
説明する。
【0018】〔実施例1〕まず基板上に下地保護膜、非
結晶性半導体膜を形成する。結晶化を目的とする半導体
膜の材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム
(Ge)、テルル(Te)、セレン(Se)等の材料が
あるが、本実施例では現在研究開発が一番勢力的に進め
られているSiを用いた。この一連の形成方法について
説明する。
【0019】(下地保護膜層形成)図1において、25
0℃から300℃に加熱した基板30に、下地保護層2
0としてシリコン酸化膜をECR−CVD法により20
00Å堆積する(図1(A))。堆積はTEOS(Si
−(O−CH2−CH34)を原料としたPECVD
法、あるいはモノシランと酸素ガスを原料ガスとしたA
PCVD法でも特に問題は無い。下地保護層としてはシ
リコン酸化膜に限らず、窒化シリコンその他の膜でもか
まわない。本発明は用途に応じて様々な基板を用いるこ
とができる。例えば、液晶表示装置では、透明な基板が
望まれ、石英硝子、コーニング7059、日本電気ガラ
スOA−2等の耐熱ガラスが上げられ、電子回路用途で
はSi基板等も用いることができる。
【0020】(非結晶性半導体膜形成工程)続いて、非
晶質半導体膜10を形成する。本実施例では、LPCV
D法でジシラン(Si26)を原料ガスとして堆積を行
った。先ず基板1を堆積炉の基板ホルダーにセットし、
反応室の温度を250℃一定にし、平衡状態になるまで
待つ。その後ターボ分子ポンプで炉内を排気後、基板を
均一に成膜温度425℃までゆっくり昇温する。昇温開
始10分後から、純度99.9999%の窒素ガスを3
00SCCMの流量で流す。基板が成膜温度に達したと
ころで、窒素ガス導入を停止し、原料ガスのジシラン
(Si26)200SCCMと希釈用のヘリウムガス
(純度99.9999以上)1000SCCMを導入
し、半導体層の成膜をおこなう(図1(B))。所望の
膜厚に達したところで成膜を止める。本実施例では、膜
厚を40nmから100nm迄、10nmずつ変えたも
のを作成した。続いて先程と同様に200SCCMで窒
素ガスを導入し、基板を300℃まで冷やすと同時に残
ったジシランガスを十分置換した後、内部圧力を大気圧
にした後、基板を取り出す。以降、基板上に下地膜、半
導体膜が形成されたものを基体と称することにする。
【0021】(レーザ結晶化工程)次に本発明の主眼で
ある結晶化方法について述べる。まず結晶化に用いるレ
ーザーついて述べる。レーザ光は非晶質及び多結晶質の
半導体膜表面で強く吸収され、その下の下地層への到達
ができるだけ少ない方が良い。そのためレーザー光とし
ては紫外領域やその近傍の波長をもつエキシマーレーザ
ーやArイオンレーザーが望ましい。さらに非晶質及び
多結晶質の半導体膜を融点以上の温度に加熱し、かつ下
地層へのダメージを低減するためには、照射は短時間に
大出力の得られるパルス発振レーザーが好ましい。これ
らのことからパルス発振時間が10ns〜100ns程
度のエキシマレーザであるキセノン・クロライド(Xe
Cl)レーザ(波長は308nm)、弗化クリプトン
(KrF)レーザ(波長248nm)、弗化アルゴン
(ArF)レーザ(波長198nm)が適している。レ
ーザ照射は基体を室温から400℃位の間に保ち、大気
あるいは水素、酸素、窒素雰囲気中、あるいは10-4
orrから10-9Torr程度の真空中、あるいは水素
と微量のモノシラン(SiH4)やジシラン(Si
26)等を含有している還元雰囲気中、ヘリウムやAr
等の不活性気体雰囲気中で行う。
【0022】一般に膜厚40nm〜100nmの非結晶
性シリコン膜にパルス状レーザを照射エネルギーを照射
した場合、図6に示すように、照射エネルギが低い場合
は、結晶化が起こらず非晶質状態である。図6は横軸に
膜厚を、縦軸に非晶質シリコン膜へのレーザ光照射強度
をとった場合に生成されるシリコン膜の結晶状態をしめ
している。ラマン散乱スペクトルを調べると480cm-1
を中心としたブロードな散乱光が観察され、非結晶性の
状態であることがわかる。照射エネルギを上げていく
と、あるエネルギを境目に非結晶質膜の概観の色が変化
する。ラマン散乱スペクトルを調べると480cm-1付近
のブロードなピークと共に520cm-1よりやや低波数側
に比較的鋭いピークが現れはじめており、結晶化が始ま
っていることがわかる。電子顕微鏡等で観察すると粒径
が数十nm以下の非常に小さな結晶粒からなっており、
回折パタンから一部非晶質部分を残しながらも大部分結
晶化していることがわかる。このエネルギを以降結晶化
しきい値エネルギと称する。さらに照射エネルギを高く
していくにつれて480cm-1付近のピークは急速に小さ
くなり、逆に520cm-1付近のピークが急速に大きくな
りかつその半値全幅(以降FWHMと略記する)が小さ
くなっていく。この領域を電子顕微鏡で観察すると、比
較的大きな円形状(直径1μm程度)の結晶粒が見える
がその中心付近は微結晶状態で、周辺部に向かうに従っ
てしっかりとした結晶になる。エネルギーが高まるにつ
れて、中心付近の微結晶領域が狭くなる。さらに照射エ
ネルギを高くしていくと、あるエネルギで急にFWHMの値
が大きくなるしきい値エネルギがある。以降、このエネ
ルギを微結晶化しきい値エネルギと称する。電子顕微鏡
でこの変化を観察すると、1μm位の大きな結晶粒径の
結晶ができているが、この微結晶化しきい値エネルギを
こえると突然生成された結晶粒径はおおむね100nm
以下と小さくなっていることがわかる。以上のことから
微結晶化しきい値より若干低いエネルギを照射すると1
μm以上の大きな結晶性の良い多結晶性膜がえられるこ
とがわかる。本発明ではまず最初の工程でこの微結晶化
エネルギを非結晶性膜を大きな結晶粒をもつ多結晶膜に
変えることを利用する。なお、以上の現象は基板、下地
保護膜層の材質、半導体層の膜厚が異なるとそれに応じ
て微結晶化のしきい値が変わる。
【0023】まずこの微結晶化しきい値以下20〜30
mJ/cm2低い領域までの間で粒径の大きな結晶粒が形成さ
れる。このエネルギを決めるために実験を行う。本実施
例ではパルス発振KrFエキシマレーザ(波長248n
m)を用いた。KrFのエキシマーレーザーの出射光を
光学系によりビーム断面7mm四方のエネルギ一様分布
をもつスポットビームを非結晶性シリコン膜上に集光し
結晶化した。この一様スポットを基体状の一ヶ所に確実
に照射できるようにビーム及び基体を固定する。各膜厚
毎に照射エネルギーを変化させて、結晶性をラマン散乱
の半値幅で評価し、結晶粒径の平均、結晶状態を透過型
電子顕微鏡で観察から求めた。それぞれの半導体膜の膜
厚で実験から得られた微結晶化のしきい値エネルギ及び
微結晶化しきい値直下での結晶粒径及びラマン半値幅を
示す。
【0024】
【表1】
【0025】いずれの膜厚においても1μmを超えるよ
うな大きな結晶粒径の多結晶膜が得られている。ラマン
の半値幅をどれも4.3cm-1前後ではあるが、単結晶
での値約2.6cm-1には及ばない。これは結晶粒界、
内部応力の不均一性、結晶粒内の欠陥に起因しているも
のと考えられる。この実験によりまず第一の工程として
それぞれの半導体膜厚について、最初の照射エネルギが
表のように決定された。なお、この微結晶化のしきい値
エネルギは本実施例記載の膜厚では必ず存在するが、エ
ネルギの値の絶対的な値は種々の条件(例えば、洗浄条
件、非結晶性半導体膜の膜質等)により若干の値の変化
はあるが、ここで本質的なことは、微結晶化しきい値エ
ネルギが存在し、その直下のエネルギで一番大きな粒径
をもつ多結晶薄膜が得られることである。
【0026】次に第二の工程を第一の工程に続けて行う
ことの有効性について述べる。説明の都合上、第一の工
程の特定のエネルギーと同じあるいはそれよりも低いエ
ネルギーで1回以上照射する工程を第二A工程、さら
に、第二の工程の照射エネルギー漸次低くしながら複数
回照射する工程を第二B工程と以降呼ぶことにする。説
明は膜厚半導体膜厚50nmについて説明するが、本願
発明における第一、第二A、B工程を用いることの効果
は半導体膜厚50nmに対する同様な効果を40〜10
0nmについても得られることは当然である。
【0027】従来技術の項で述べたように、半導体膜の
一ヶ所に注目すると、断面が台形形状をもつラインビー
ムを重なりを持ちながら少しずつ移動して照射する場
合、1)照射ごとに順次増加、2)一定のパワー、3)
照射ごとに順次減少のようにエネルギーが変化する。断
面形状がガウシアンの場合は2)一定パワーの部分がな
い。これは、半導体膜の一ヶ所に均一のエネルギー分布
を持つような前出のスポットレーザービームを照射エネ
ルギーを1)照射ごとに順次増加、2)一定のパワー、
3)照射ごとに順次減少のように変化させることにより
同様の効果を実現することができる。そこで本願発明の
請求項1の実施例に対する比較説明のために従来例とし
てはその様に作成した膜を用いることにする。
【0028】そこで従来例と本願発明を比較するため
に、従来例の一例としては以下のような実験をした。先
に述べた理由から、パルス発振のKrFのエキシマーレ
ーザー(波長248nm)の出射光を光学系によりビー
ム断面7mm四方のエネルギー一様分布をもつスポット
ビームを非結晶性半導体上に集光し結晶化した。ガウシ
アンビームとしては強度半値幅(FWHM)100μ
m、ピーク強度320mJ/cm2、幅30cmのものを
ビーム移動距離10μmを想定し、台形ビームとしては
立ち上がり(100μm、平坦部300μm、立ち下が
り100μm、照射エネルギーは平坦部でピーク強度32
0mJ/cm2を20μmのビーム移動距離を想定し、それぞ
れ以下のような照射スケジュールでスポットビームによ
り照射した。なお結晶化しきい値は160mJ/cm2
なのでそれ以上のパワーのみの照射を行った。
【0029】
【表2】
【0030】さらにその結果を次に示す。
【0031】
【表3】
【0032】次にラマン散乱の半値幅からみた結晶性は
良い膜ができているが、結晶粒径が表で述べた微結晶化
しきい値で照射したものより小さくなっている。これは
従来技術の項で述べたように、低い照射エネルギから徐
々に上げることにより、低照射エネルギ照射で作成され
た小さな結晶の影響をひきづったまま結晶化が進むた
め、このような小さな粒径となってしまったことによっ
ている。
【0033】次に本願発明の方法による結晶化について
説明する。次に示すように先程決めた微結晶化のしきい
値近傍に第1の工程での照射エネルギーをきめ、更に第
2Aの工程、第二Bの工程をそれぞれ決め、第一の工
程、第2のAの工程、Bの工程の様々のエネルギ、照射
回数の組み合わせについて結晶化をおこない、ラマン散
乱、透過型電子顕微鏡による粒径、欠陥評価行った。
【0034】
【表4】
【0035】表の説明を若干加える。第一の工程のエネ
ルギは表より微結晶化のしきい値エネルギが330mJ
/cm2なのでそれより低い325mJ/cm2、315
mJ/cm2、305mJ/cm2、295mJ/cm2
に設定した。なお今回は4つの値での結果を示している
が、295〜325mJ/cm2の範囲であれば良いこ
とはいうまでもない。第2のAの工程は325mJ/c
2、315mJ/cm2、305mJ/cm2、295
mJ/cm2について、それぞれ1回〜20回までの照
射を行った(図1(c))。第2のBの工程は第2の工
程Aのエネルギから結晶化のしきい値160mJ/cm
2までを5〜10回でエネルギを下げていったことを意
味する。これらの膜について行った観察より、 1)その膜も従来技術によるものに比べて、結晶粒径は
大きく、結晶粒内欠陥は少なく、ラマン半値幅も良かっ
た。
【0036】2)本発明により作成した膜に関しては、
第一の工程のエネルギが高く、第2のAの工程の回数が
多く、第2のBの工程の回数が多い膜ほど結晶粒径は大
きく、結晶粒内欠陥は少なく、ラマン半値幅も良かっ
た。
【0037】いずれの組み合わせにおいても1μm以上
の結晶粒径をもち、ラマン散乱の半値幅は3.5cm-1
以下の優れた多結晶膜ができている。欠陥については双
晶、積層欠陥等が若干見られる程度で非常に欠陥の少な
いものが形成されている。次に第2工程Aを省略した場
合については、この工程を省略しない場合に比べ若干特
性が劣るものの、従来技術により作成した場合に比べて
明らかに特性の優れたものが得られている。
【0038】以上のようにすべての面で従来のガウシア
ン形状や台形形状に対応するビームで照射、作成した多
結晶シリコン膜のどれよりも膜質として優れており、薄
膜トランジスタを形成した場合、優れた電気特性を有す
ることが期待できる。
【0039】次に本願発明を用いて薄膜トランジスタを
作成する。比較として台形ビーム及びガウシアンビーム
により結晶化した多結晶シリコン膜を用いた薄膜トラン
ジスタを構成した。以下に図2に基づきそのプロセスを
詳細にのべる。なお本発願発明の目的は優れた特性をも
つ多結晶シリコン膜を提供することにあり、従来技術と
はそこが異なるため、それ以外のプロセスは従来と同様
なプロセスを用いる。そこで以下薄膜トランジスタ作製
工程について述べるが、レーザ結晶化工程以外はどちら
も同じ工程を用いて作製する。半導体本発明で用いられ
る基板及び下地保護膜に関しては前述の説明に準ずる。
基板についてはここでは基板の一例として直径4インチ
の円形のOA−2ガラス基板を用いているが、基板形
状、前述基板材料にはよらない。まず基板30に下地保
護膜を20を形成する(図2(A))。基板温度を15
0℃にしてECR−PECVD法で非晶質酸化シリコン
膜を200nm堆積する。次に薄膜トランジスタのキャ
リア通り道でとなる能動層として非晶質半導体シリコン
膜を50nmの厚み堆積する。本実施例では前記(非晶
質半導体膜形成工程)で述べた中のLPCVD法でジシ
ラン(Si26)を原料ガスとする非晶質半導体膜形成
工程をもちいた。先ず下地層まで形成した基板30を堆
積炉の基板ホルダーにセットし、反応室の温度を250
℃一定にし、平衡状態になるまで待つ。その後ターボ分
子ポンプで炉内を排気後、基板を均一に成膜温度425
℃までゆっくり昇温する。昇温開始10分後から、純度
99.9999%の窒素ガスを300SCCMの流量で
流す。この時の圧力は3.0×10-3Torrである。
基板が成膜温度に達したところで、窒素ガス導入を停止
し、原料ガスのジシラン(Si26)200SCCMと
希釈用のヘリウムガス(純度99.9999以上)10
00SCCMを導入し、半導体層の成膜をおこなう。こ
の時の反応室の圧力はおよそ0.85Torrである。
堆積が進むにつれて反応炉内の圧力は徐々に上昇する。
50nmの膜厚に達したところで成膜を止める。その時
点でのガス圧はおよそ1.25Torrである。続いて
先程と同様に200SCCMで窒素ガスを導入し、基体
50を300℃まで冷やすと同時に残ったジシランガス
を十分置換した後、内部圧力を大気圧にした後、基体を
取り出す(図2(A))。
【0040】次に非晶質半導体層のレーザによる多結晶
化をおこなう。この際の結晶化方法は前述のようにKr
Fエキシマレーザを7mm□の照射エネルギ均一ビーム
を用いた。照射条件については表のすべての条件で行
い、基体50は室温のまま、大気中雰囲気で作成した
(図2(B))。
【0041】また比較の従来の条件としてはレーザ照射
方法は2種類用いた。一つは前述よううに7mm□のK
rFレーザスポットを同一場所に照射する方法で照射条
件は表の条件で行い、もう一つは断面がガウシアン及び
台形のビームのラインビームを用いた。ガウシアンビー
ムとしては強度半値幅(FWHM)100μm、ピーク
強度320mJ/cm2、幅30cmのものをビーム移動
距離10μmで、台形ビームとしては立ち上がり100
μm、平坦部300μm、立ち下がり100μm、照射
エネルギーは平坦部でピーク強度320mJ/cm2を20μm
のビーム移動距離で照射をおこなった。
【0042】次に多結晶層シリコン膜10をフォトリソ
グラフィー技術を用いてパターニングし、後に薄膜トラ
ンジスタの能動層となる半導体層をアイランド状に形成
する(図2(C))。本実施例及び従来例の1番目の方
法においては、7mm□の領域のみが多結晶半導体膜が
形成されているので、その部分に対してのみ本工程及び
これ以降の工程がなされることはいうまでもない。
【0043】次にゲート絶縁膜形成を行う。ゲート絶縁
膜形成方法はECRプラズマCVD法、平面平板プラズ
マCVD法が方法がある。本実施例ではECRプラズマ
CVD法により、基板温度100℃で120nmの酸化
シリコンからなるゲート絶縁膜60を形成した。
【0044】引き続いてゲート電極70となる薄膜をP
VD法またはCVD法で作製する(図2(D))。本実
施例では膜厚が600nmのタンタル薄膜をスパッタ法
により形成する。タンタル薄膜を形成する際の基板温度
は180℃、スパッタガスとしては窒素ガスを6から7
%含むアルゴンガスを用いる。ゲート電極パターニング
の後、多結晶性半導体膜10に不純物イオン注入を行い
ソース領域11とドレイン領域12を形成する(図2
(D))。イオン・ドーピング法のガスとしては水素希
釈された濃度0.1%から10%程度のホスフィン(P
3)やジボラン(B26)等の注入不純物元素の水素
化物を用いる。本実施例ではイオン・ドーピング装置を
用い、水素中に希釈されたホスフィン(PH3)を加速
電圧100keVで注入する。注入量は1×1016cm
ー2である。
【0045】次に層間絶縁膜80をCVD法或はPVD
法で形成する(図2(E))。本実施例ではTEOS
(Si−(O−CH2−Ch34)と酸素及びH2Oを原
料ガス、アルゴンを希釈ガスとして基板温度300℃で
500nm形成する。この後注入された不純物イオンを
活性化するためと、層間絶縁膜の稠密化のために、温度
を300℃以上に上げ、数十分から数時間熱処理をおこ
なう。不純物活性化を行う目的は以下の理由からであ
る。打ち込まれた不純物は格子位置にいるシリコン原子
と入れ代わるらないとキャリアを発生できない。打ち込
まれたばかりの不純物の多くはシリコン格子間等に入っ
てしまう。そこでシリコンの格子位置に打ち込んだ不純
物原子をきちんと置き、有効に伝導キャリアを発生する
ためにこの処理をおこなうのである。本実施例では露点
が80℃の水蒸気を含んだ酸素雰囲気1気圧下にて30
0℃1時間の熱処理を施した。このようにただ温度上昇
だけでなく、水蒸気を含む酸素雰囲気で処理を行うこと
で酸化珪素の膜質が向上も行っている。
【0046】最後にソースドレイン上に配線用のコンタ
クトホール61を開孔し、ソースドレインを取り出し電
極71と配線をPVD法やCVD法等形成して薄膜トラ
ンジスタが完成する(図2(E))。
【0047】作成した薄膜トランジスタについて基本特
性を測定した。その特性は薄膜トランジスタ特性は従来
方法により作成したもの比べて特に移動度、しきい値電
圧、Ion電流においてすぐれている。これらは結晶性の
良い多結晶シリコン層を用いたことにより得られた結果
である。
【0048】[実施例2]本実施例では請求項5〜8に
関する実施例について述べる。本実施例は実施例1にお
いて示した本発明の結晶化方法をラインビームで実現し
た点が実施例1とことなる点である。
【0049】(薄膜トランジスタ作成工程)図3に基づ
きそのプロセスを詳細にのべる。なお本発願発明の目的
は優れた特性をもつ多結晶シリコン膜を提供することに
あり、従来技術とはそこが異なるため、それ以外のプロ
セスは従来と同様なプロセスを用いる。そこで以下薄膜
トランジスタ作成工程について述べるが、非晶質半導体
作成工程以外はどちらも同じ工程を用いて作製する。本
発明で用いられる基板及び下地保護膜に関しては前述の
説明に準ずる。基板についてはここでは基板の一例とし
て直径4インチの円形のOA−2ガラス基板を用いてい
るが、基板形状、前述基板材料にはよらない(図3
(A))。具体的には液晶表示体に用いられている大型
の硝子基板でも特に制限はない。まず基板30に下地保
護膜を20を形成する(図3(A))。基板温度を15
0℃にしてECR−PECVD法で非晶質酸化シリコン
膜を200nm堆積する。次に薄膜トランジスタの能動
層となる非晶質半導体シリコン膜を50nmの厚み堆積
する。本実施例では前記(非晶質半導体膜形成工程)で
述べた中のLPCVD法でジシラン(Si26)を原料
ガスとする非晶質半導体膜形成工程をもちいた。先ず下
地層まで形成した基板30を堆積炉の基板ホルダーにセ
ットし、反応室の温度を250℃一定にし、平衡状態に
なるまで待つ。その後ターボ分子ポンプで炉内を排気
後、基板を均一に成膜温度425℃までゆっくり昇温す
る。昇温開始10分後から、純度99.9999%の窒
素ガスを300SCCMの流量で流す。この時の圧力は
3.0×10-3Torrである。基板が成膜温度に達し
たところで、窒素ガス導入を停止し、原料ガスのジシラ
ン(Si26)200SCCMと希釈用のヘリウムガス
(純度99.9999以上)1000SCCMを導入
し、半導体層の成膜をおこなう。この時の反応室の圧力
はおよそ0.85Torrである。堆積が進むにつれて
反応炉内の圧力は徐々に上昇する。所望の膜厚に達した
ところで成膜を止める。本実施例では膜厚50nmで説
明する。その時点でのガス圧はおよそ1.25Torr
である。続いて先程と同様に200SCCMで窒素ガス
を導入し、基板30を300℃まで冷やすと同時に残っ
たジシランガスを十分置換した後、内部圧力を大気圧に
した後、基板を取り出す。
【0050】(レーザ結晶化工程)次にレーザ結晶化過
程について述べる。本実施例ではライン状のビームを用
いて結晶化を行う。その結晶方法は断面形状が従来と異
なる以外は実施例1の中で述べた従来からのラインビー
ムによる結晶化方法とほぼ同一であるが、本発明の主要
部分なので以下により詳細に説明する。レーザー光は非
晶質及び多結晶質の半導体膜表面で強く吸収され、その
下の下地層への到達ができるだけ少ない方が良い。その
ためレーザー光としては紫外領域やその近傍の波長をも
つエキシマーレーザーやArイオンレーザーが望まし
い。さらに非晶質及び多結晶質の半導体膜を融点以上の
温度に加熱し、かつ下地層への熱ダメージを低減するた
めには、照射は短時間に大出力の得られるパルス発振レ
ーザーが好ましい。これらのことからパルス発振時間が
10ns〜100ns程度のエキシマレーザであるキセ
ノン・クロライド(XeCl)レーザ(波長は308n
m)、弗化クリプトン(KrF)レーザ(波長248n
m)、弗化アルゴン(ArF)レーザ(波長198n
m)が適している。レーザ照射は基板を室温から400
℃位の間に保ち、大気あるいは水素、酸素、窒素雰囲気
中、あるいは10-4Torrから10ー9Torr程度の
真空中、或は水素と微量のモノシラン(SiH4)やジ
シラン(Si26)等を含有している還元雰囲気中、ヘ
リウムやAr等の不活性気体雰囲気中で行う。これらの
レーザ光を光学系をもちいて幅の狭いライン状ビームに
整形して用いる。本実施例では用いるレーザビームの断
面形状は、図4に示す形状を用いる。図の横軸は短軸方
向の空間位置を表わし、縦軸は照射エネルギを表わす。
またY1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ、照射エネルギ
の急峻な裾野部の幅、第一番目のフラットな部分の幅、
第二番目のフラットな部分の幅、ゆるやかな裾野部の幅
をしめす。Y3=0とすることにより請求項7及び8を
実現できる。またH1、H2はそれぞれ第一の工程での
レーザパワー、第二のAの工程でのレーザパワーを表わ
す。図中の矢印は基板に対するビームの相対的なX方向
の移動方向を表わす。ここでY1〜Y4及び移動ピッチ
について述べる。なお移動ピッチとは後述するレーザパ
ルス一照射ごとのレーザのY方向へ移動量である。Y1
は理想的には零が望ましい。しかしながら実際問題とし
てはレーザ光の波長が有限であるため光学的な手段を用
いて零にすることは不可能である。そこでY1について
はレーザビームの移動ピッチ幅に比べてできうる限り小
さくすることが望ましい。Y2については移動ピッチに
等しくとる。Y3については0または移動ピッチの整数
倍にとる。このように照射することにより基板上すべて
の場所で同一のレーザビーム照射を与えることができ
る。さらにY4については移動ピッチに対してできうる
限り大きくことにより場所による条件の相違を少なくす
ることができる。しかしながら、Y2、Y3、Y4につ
いてはあまり大きくできない。半導体膜の任意の一ヶ所
について見た場合、Y2の区間での照射回数とY3での
照射回数と更にY4の中で結晶化のしきい値よりも高い
エネルギが照射された回数がおおむね300回以下望ま
しくは100回以下にする必要がある。もしこの範囲を
超えて照射した場合、この半導体膜を用いて作成した薄
膜トランジスタの特性はあまり良好ではない。この原因
についてはまだわかっていないが経験的には知られてい
ることである。またレーザからの出射光を光学系を用い
て空間的な分布を持たせるため、空間的に前記の3つの
照射回数の和が多い場合は、所望の出射強度を確保でき
なくなるということからの制限も生じる。更に、移動ピ
ッチを小さくすると基板全面の結晶化を行うのに時間が
かかり生産性に影響がでる。このように、移動ピッチ、
Y1、Y2、Y3、Y4は、薄膜トランジスタの性能、
レーザエネルギ出射能力、生産性を考慮して決定する。
【0051】以上のように決めた断面をもつラインビー
ムを基板に照射する。レーザビーム図8に示すように基
板30を含む面内にX方向、Y方向を直交するようにと
る。このX方向に前記ラインビームの長軸方向を合わ
せ、ビームと基板が相対的にY方向に移動するようにレ
ーザビームまたは基板を移動する。本実施例では基板を
ステージに載せ移動を実現した。このようにすることに
より連続的にシリコン膜10を溶融結晶化が行える。一
定の最適な送りピッチで送り膜全面を均一に結晶化する
ことが可能である。このように移動することにより、図
5の断面形状のものではa〜gまで順に照射され、特許
請求範囲請求項1の結晶化方法が実現できる。また図4
でY3=0にすることにより特許請求範囲請求項3の結
晶化方法が実現でき、ラインビームを用いていることで
大面積の結晶化を実現でき量産に適用が可能となる(図
3(B))。H1、H2、Y1〜Y4を適当に選ぶこと
により実施例1でのべた、請求項1及び3に基づく結晶
化方法を同等の結晶化を行うことができる。
【0052】次に多結晶層シリコン膜10をフォトリソ
グラフィー技術を用いてパターニングし、後に薄膜トラ
ンジスタの能動層となる半導体層をアイランド状に形成
する(図3(C))。
【0053】次にゲート絶縁膜形成を行う。ゲート絶縁
膜形成方法はECRプラズマCVD法、平面平板プラズ
マCVD法が方法がある。本実施例ではECRプラズマ
CVD法により、基板温度100℃で120nmの酸化
シリコンからなるゲート絶縁膜60を形成した(図3
(D))。
【0054】引き続いてゲート電極70となる薄膜をP
VD法またはCVD法で作製する(図3(D))。本実
施例では膜厚が600nmのタンタル薄膜をスパッタ法
により形成する。タンタル薄膜を形成する際の基板温度
は180℃、スパッタガスとしては窒素ガスを6から7
%含むアルゴンガスを用いる。ゲート電極パターニング
の後、多結晶性半導体膜402に不純物イオン注入を行
いソース領域11とドレイン領域12を形成する(図3
(D))。イオン・ドーピング法のガスとしては水素希
釈された濃度0.1%から10%程度のホスフィン(P
3)やジボラン(B26)等の注入不純物元素の水素
化物を用いる。本実施例ではイオン・ドーピング装置を
用い、水素中に希釈されたホスフィン(PH3)を加速
電圧100keVで注入する。注入量は1×1016cm
ー2である。
【0055】次に層間絶縁膜80をCVD法或はPVD
法で形成する(図3(E))。本実施例ではTEOS
(Si−(O−CH2−Ch34)と酸素及びH2Oを原
料ガス、アルゴンを希釈ガスとして基板温度300℃で
500nm形成する。この後注入された不純物イオンを
活性化するためと、層間絶縁膜の稠密化のために、温度
を300℃以上に上げ、数十分から数時間熱処理をおこ
なう。本実施例では露点が80℃の水蒸気を含んだ酸素
雰囲気1気圧下にて300℃1時間の熱処理を施した。
このようにただ温度上昇だけでなく、水蒸気を含む酸素
雰囲気で処理を行うことで酸化珪素の膜質が向上も行っ
ている。
【0056】最後にソースドレイン上に配線用のコンタ
クトホール61を開孔し、ソースドレインを取り出し電
極71と配線をPVD法やCVD法等形成して薄膜トラ
ンジスタが完成する(図3(E))。
【0057】これら作成した薄膜トランジスタは実施例
1で作成したTFTと同等の性能がえられた。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の半導体結晶
化方法によれば、結晶粒径の大きな欠陥の少ない多結晶
半導体膜が得られるため、従来技術を用いた場合に比べ
性能の優れた薄膜トランジスタを作成することが可能と
なる。
【0059】さらに全工程を強度分布が2種類のことな
る強度のフラットな部分とその両サイドがなだらかなす
そ野部及び急峻なすそ野部からなるレーザビームを用
い、該レーザビーム光と前記基板を相対的に移動するこ
とならびに全工程を強度分布がフラットな部分と急峻な
すそ野部及びなだらかなすそ野部からなるレーザビーム
を用い、該レーザビーム光と前記基板を相対的に移動す
ることにより、従来技術を用いた場合に比べ性能の優れ
た薄膜トランジスタを大きな面積の基板に対して効率良
く作成することできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における結晶化までの工程
図。
【図2】本発明の実施例1における薄膜トランジスタ製
造工程図。
【図3】本発明の実施例2における薄膜トランジスタ製
造工程図。
【図4】本発明の実施例2におけるラインビーム断面プ
ロファイルを示す図。
【図5】本発明の実施例1におけるレーザ照射エネルギ
の順番を説明するための図。
【図6】本発明の実施例1を説明するための半導体膜厚
と照射エネルギによって現れる結晶相の状態を表わす相
図。
【図7】(A)は従来例のガウシアンラインビーム断面
プロファイルを示す図。(B)は従来例の台形ラインビ
ーム断面プロファイルを示す図。
【図8】ラインビームによる結晶化の方法を説明するた
めの図。
【図9】(A)は従来例におけるガウシアンビームによ
るレーザ照射の場合の照射されるエネルギの順番を説明
するための図。(B)は従来例における台形ビームによ
るレーザ照射の場合の照射されるエネルギの順番を説明
するための図。
【符号の説明】
10.シリコン膜 13.島状シリコン膜 11.ソース領域 12.ドレイン領域 20.下地層 30.基板 60.ゲート絶縁膜 61.コンタクトホール 70.ゲート電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H092 JA24 JA34 KA04 KA05 KA10 MA03 MA05 MA06 MA07 MA13 MA25 MA27 MA29 MA30 NA21 NA27 PA01 5F052 AA02 AA11 BA04 BA07 BB01 BB07 CA04 DA02 DB02 EA11 HA01 JA01 5F110 AA30 BB01 CC02 DD02 DD13 EE04 EE44 FF02 FF31 GG02 GG06 GG13 GG16 GG47 GG58 HJ01 HJ04 HJ07 HJ13 HL23 HL24 NN02 NN23 NN35 PP04 PP06 PP10 PP23 PP29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成した半導体薄膜に対して、該
    半導体膜を結晶粒径の大きな多結晶性半導体膜に変える
    第一の結晶化工程と該多結晶性半導体膜内の欠陥を低減
    する第二の結晶化工程からなる半導体膜結晶化方法にお
    いて、前記第一の工程は特定のエネルギーで一回照射す
    る工程からなり、前記第二の工程は該特定のエネルギー
    と同じあるいはそれよりも低いエネルギーで1回以上照
    射する工程と照射エネルギー漸次低くしながら複数回照
    射する工程からなることを特徴とする半導体膜結晶化方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の結晶化工程を有すること
    を特徴とする薄膜トランジスタ製造方法。
  3. 【請求項3】前記第二の工程が、照射エネルギー順次低
    くしながら複数回照射する工程からなることを特徴とす
    る半導体膜結晶化方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の結晶化工程を有すること
    を特徴とする薄膜トランジスタ製造方法。
  5. 【請求項5】全工程を強度分布が2種類の異なる強度の
    フラットな部分とその両サイドが急峻なすそ野部及びな
    だらかなすそ野部からなるレーザビームを用い、該レー
    ザビーム光と前記基板を相対的に移動することにより該
    基板上の半導体膜に照射し結晶化することを特徴とする
    請求項1記載の半導体膜結晶化方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の結晶化工程を有すること
    を特徴とする薄膜トランジスタ製造方法。
  7. 【請求項7】全工程を強度分布がフラットな部分と急峻
    なすそ野部及びなだらかなすそ野部からなるレーザビー
    ムを用い、該レーザビーム光と前記基板を相対的に移動
    することにより、該基板上の半導体膜に照射し結晶化す
    ることを特徴とする請求項3記載の半導体膜結晶化方
    法。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の工程を有することを特徴
    とする薄膜トランジスタ製造方法。
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