JP2000109998A - 不溶性陽極に付設した陽極室を用いためっき方法およびめっき装置 - Google Patents

不溶性陽極に付設した陽極室を用いためっき方法およびめっき装置

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JP2000109998A
JP2000109998A JP10281260A JP28126098A JP2000109998A JP 2000109998 A JP2000109998 A JP 2000109998A JP 10281260 A JP10281260 A JP 10281260A JP 28126098 A JP28126098 A JP 28126098A JP 2000109998 A JP2000109998 A JP 2000109998A
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plating
anode
tank
plating solution
anode chamber
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JP10281260A
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Terunori Fujimoto
輝則 藤本
Shinichi Taya
慎一 田屋
Nobuyoshi Shimizu
信義 清水
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Toyo Kohan Co Ltd
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Toyo Kohan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長尺帯状の金属板に不溶性陽極を用いて
連続的に電気めっきを施す場合に、めっきを施す際に消
費されるめっき金属イオンを、簡単な装置を用いて短時
間で大量にめっき液中に補給することにより、高電流密
度で高速にめっきすることを可能とするめっき方法およ
びめっき装置を提供する。 【解決手段】 不溶性陽極をバルクのめっき液から隔膜
3で隔離してなる不溶性陽極に付設した陽極室1をめっ
き槽10内部に設け、めっき槽の外部に溶解槽40を設
け、陽極室1と溶解槽40との間でめっき液を循環さ
せ、陽極室1内において電解によりpHが低下しためっ
き液を溶解槽40に送液し、pH低下により溶解性が向
上しためっき液にめっきする金属を溶解した後、陽極室
1にめっき液を送液して再び陽極電解することからなる
一連の工程を繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不溶性陽極を用いる
めっき方法およびめっき装置に関する。より詳細には、
鋼帯などの長尺帯状の金属板に不溶性陽極を用いて連続
的に電気めっきを施す際に消費されるめっき金属イオン
をめっき液中に補給する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼帯などの長尺帯状の金属板に連
続的にめっきを施す場合、めっきタンクにめっき金属で
ある陽極板を配置し、この陽極板が電解液中に溶解する
ことによりめっき金属イオンが補給される、いわゆる可
溶性陽極方式が行われている。近年、錫めっき鋼板、亜
鉛めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板などのめっき金属板
の需要が増大しており、この需要増加に対応するため高
電流密度でめっきする高速めっき方法が実施されるよう
になっている。高電流密度でめっきする高速めっき方法
においては可溶性陽極が短時間に消耗するので、頻繁に
陽極を交換しなくてはならない。また、可溶性陽極は金
属板に近接して設置することが困難であり、そのため浴
電圧が高くなり電気エネルギーの損失につながる。さら
に、ニッケルめっきの場合は、陽極の溶解を促進させる
ためにニッケル粒をチタンバスケットに充填したものを
アノードバッグで被覆してなる可溶性陽極を使用してお
り、アノードバッグによる浴電圧の上昇や、ニッケル粒
のめっき液中への溶解性が小さく、高電流密度によるめ
っきが極めて困難である、といった問題を抱えている。
【0003】このような状況に鑑みて、可溶性陽極を用
いずに不溶性陽極を用い、めっきタンクとは別系統に設
けた溶解槽でめっき金属イオンを溶解させてめっきタン
クに送り、めっきで消耗した金属イオンを補給する、不
溶性陽極方式が採用されるようになっている。不溶性陽
極方式は、特に鋼板にニッケルめっきを施す場合におい
て様々な試みが行われている。この場合、めっき液中に
ニッケルイオンを補給する方法としては、水酸化ニッケ
ルや炭酸ニッケルのようなニッケル金属塩を溶解させる
方法、および金属ニッケルをめっき液に直接溶解させる
方法が提案されている。
【0004】しかし、水酸化ニッケルや炭酸ニッケルの
ようなニッケル金属塩を溶解させる方法は、これらの金
属塩が高価であり、この方法を用いて安価なニッケルめ
っき鋼板を製造することは極めて困難である。一方、金
属ニッケルをめっき液に直接溶解させる方法は、金属ニ
ッケルは前記ニッケル金属塩より安価ではあるものの、
通常の濃度のニッケルめっき液中への溶解性が極端に小
さく、短時間で大量に溶解させるためには何らかの手段
を講じなくてはならない。
【0005】金属ニッケルのニッケルめっき液中への溶
解性を向上させる手段として、次のようなものが試みら
れている。すなわち、特開平1−234598号公報
は、溶解槽にめっき液を導き、めっき液中にニッケル粒
を充填した不溶性金属からなるバスケットを陽極として
電解することにより、めっき液中にニッケルイオンを補
給することを開示している。また特開平4−13900
号公報は、金属ニッケルの溶解性を向上させるためにニ
ッケル粒に硫黄を含有させるとともに、ニッケル粒を粒
状、板状、粉状としたものを不溶性金属からなるバスケ
ットに充填し、陽極電解することを開示している。めっ
き液中に電解により金属ニッケルを溶解させてニッケル
イオンを補給するこれらの方法は、電流密度を高めるこ
とが困難であり、ニッケルを大量に溶解させるには数多
くの電解溶解槽が必要となり、設備が大型複雑化し、電
力コストおよび設備コストの点で問題がある。
【0006】電解法を用いずにニッケルをめっき液中に
溶解させる方法としては、次のようなものが試みられて
いる。すなわち、めっき液を75〜100℃に昇温し、
めっき液に一定量以上の金属ニッケルを投入し、溶解を
促進させる方法(特開平7−238400号公報)、め
っき液を75〜100℃に昇温するとともに、硫酸を一
定量以下添加して水素イオン濃度を高めて溶解を促進さ
せる方法(特開平7−268696号公報)、一定粒径
以下に粉砕したニッケル粒を溶解させる方法(特開平7
−258900号公報)、めっき液に溶解助剤として過
酸化水素を添加し、溶解を促進させる方法(特開平8−
92794号公報)、一定量の硫酸を添加しためっき液
にニッケルを溶解させた後、過剰の硫酸を除去する方法
(特開平8−92795号公報)、めっき液を70〜1
00℃に昇温するとともに、めっき液のpHを1〜2に
保持して溶解させる方法(特開平9−59798号公
報)、めっき液を濃縮し、濃縮しためっき液にニッケル
を溶解させた後、希釈する方法(特開平9−67698
号公報)、めっき液に硫酸を添加し、70〜100℃に
昇温してニッケルを溶解させた後、炭酸カルシウムを添
加し、生成した硫酸カルシウムを除去する方法(特開平
9−209200号公報)などがある。
【0007】しかし、上記のこれらの方法はいずれも下
記のような欠点を有しており、必ずしも満足の行くもの
には至っていない。すなわち、特開平7−238400
号公報記載の方法においては、溶解槽に金属ニッケルが
溶解せずに多量に残存しており、めっき液への混入を防
止するために除去設備などの何らかの手段を講じなくて
はならない。特開平7−268696号公報記載の方法
においては、めっき液中に過剰の硫酸根が残存するの
で、これを除去する設備が必要となる。特開平8−92
794号公報公報および特開平8−92795号公報記
載の方法においては、ニッケルを全量溶解させるために
は過大な過酸化水素や硫酸の添加を必要とし、コストア
ップをもたらし、さらにめっき液中に残存する過酸化水
素や硫酸を除去するための設備投資が必要となる。特開
平7−258900号公報記載の方法においては、ニッ
ケル粒子を粉砕させる粉砕機や、微細粉となって作業環
境に飛散するニッケル微粉を除去する排気装置、さらに
微細化されて酸化されやすくなり溶解性が低下すること
を防止するための作業雰囲気の還元性雰囲気化などの余
分な設備投資が必要となる。特開平9−59798号公
報記載の方法においては、めっき液のpHを1〜2の一
定の適正範囲に調整するために、何らかの手段を講じな
くてはならない。特開平9−67698号公報記載の方
法においては、めっき液を濃縮するためのエバポレータ
ーなどの設置が不可避であり、このための設備投資、お
よびランニングコストが必要となる。特開平9−209
200号公報記載の方法においては、溶解助剤として添
加された硫酸は炭酸カルシウムの添加により硫酸カルシ
ウムとして除去されるが、多量に生成した不溶性の硫酸
カルシウムを除去するためには遠心分離器などの大がか
りな除去装置の設置が不可避であり、このための設備投
資、およびランニングコストが必要となる。このよう
に、金属ニッケルをめっき液に直接溶解させる方法は、
いずれも複雑で大がかりな設備を必要とし、安価なニッ
ケルめっき鋼板を得ることが極めて困難な状況にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に
照らし合わせて、長尺帯状の金属板に不溶性陽極を用い
て連続的に電気めっきを施す場合に、めっきを施す際に
消費されるめっき金属イオンを、簡単な装置を用いて短
時間で大量にめっき液中に補給することにより、高電流
密度で高速にめっきすることを可能とするめっき方法お
よびめっき装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、不溶性陽極を
バルクのめっき液から隔膜で隔離してなる不溶性陽極に
付設した陽極室をめっき槽内部に配設し、めっき槽の外
部に溶解槽を配設し、陽極室と溶解槽の間でめっき液を
循環させ、陽極室内において電解によりめっき金属イオ
ン、および酸素として水酸イオンが消費し、水素イオン
が増加しpHが低下しためっき液を溶解槽に送液し、p
H低下により溶解性が向上しためっき液にめっきする金
属粒または金属粉を投入して溶解した後、陽極室にめっ
き液を送液して再び陽極電解することからなる一連の工
程を繰り返すことを特徴とする、不溶性陽極に付設した
陽極室を用いためっき方法であり、また、前記めっき槽
内部に配設する前記不溶性陽極に付設した陽極室に充填
されるめっき液の水位を、前記陽極室の外部の前記めっ
き槽に充填されるめっき液の水位よりも低く保持させる
ことを特徴とする。また本発明の不溶性陽極に付設した
陽極室を用いためっき方法は、前記めっきする金属がニ
ッケルであるか、または前記めっきする金属がニッケル
合金であり、前記溶解槽で前記溶解槽で溶解させる金属
粒または金属粉がニッケルであり、さらに前記ニッケル
合金がニッケル−亜鉛合金であることを特徴とする。
【0010】さらに本発明は不溶性陽極に付設した陽極
室を用いためっき装置であって、不溶性金属板からなる
陽極板と前記陽極板と平行に一定距離を隔てて設けられ
た、めっき液中に溶解しているイオンの全部または一部
は自由に通過可能であるがめっき液は殆ど通過しない隔
膜と、その両端が前記陽極板と前記隔膜とに密着しかつ
互いに平行に設けられた2個の側壁と、前記陽極板と前
記隔膜とに密着して設けられた底板からなる陽極室と、
前記陽極室内の不溶性陽極と相対するように被めっき金
属板が前記陽極室外に配置されてなるめっき槽と、前記
めっき槽外部に設けられた溶解槽と、前記めっき槽内部
に設けられた陽極室と前記溶解槽の中間に設けられ、前
記陽極室と前記溶解槽の間でめっき液を送液する送液手
段と、前記陽極室と前記溶解槽、および前記溶解槽と前
記陽極室を連結する配管とからなり、前記溶解槽から前
記送液手段により前記陽極室内にめっき液を供給しなが
ら通電して電解し、供給されためっき液のpHが電解に
よって低下した前記陽極室内のめっき液を前記送液手段
により前記溶解槽に導き、前記pHが低下しためっき液
中にめっきする金属粒または金属粉を投入して溶解させ
た後、前記送液手段により前記陽極室に再循環すること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、鋼帯などの長尺帯状の
金属板に不溶性陽極を用いて連続的に電気めっきを施す
際に消費されるめっき金属イオンを、簡単な装置を用い
てめっき金属を短時間で多量にめっき液中に溶解させる
ことにより補給する方法および装置に関するものであ
る。本発明の方法および装置は好ましくは鋼帯に各種の
金属、例えばニッケル、およびニッケル−コバルト、ニ
ッケル−錫などのニッケル合金、特にニッケル−亜鉛合
金を不溶性陽極を用いて電気めっきする場合に好適に適
用することができる。上記のめっき金属のうち、ニッケ
ルは、ニッケル板を陽極として電気めっきした場合、溶
解性に乏しく、高電流密度でめっきすることが極めて困
難であり、本発明の方法および装置が効果的に適用され
るので、以下めっき金属がニッケルである場合を例とし
て、本発明を詳細に説明する。
【0012】不溶性陽極を用いてニッケルをめっきする
場合、陽極においては下記の式(1)に示す反応が生じ
る。 H2O → H+ + 1/4O2↑ + 1/2H2O + e ・・・(1) すなわち、陽極においては酸素が発生し、水酸イオンが
消費されると同時に、水素イオン濃度が増加し、めっき
液全体のpHが低下する。めっき液(正確には被めっき
金属である陰極近傍のめっき液)のpHが低下すると、
めっき製品の外観が劣化し好ましくない。
【0013】一方、図1に示すように、ニッケルは溶解
させる溶液のpHが低くなるほど溶解性(溶解速度)が
向上することが知られている。従ってめっき槽において
陽極近傍と陰極近傍のめっき液を、めっき液中に溶解し
ているイオンの全部または一部は自由に通過可能である
がめっき液は殆ど通過しない隔膜で遮断して電解するこ
とにより、陰極においてはめっき液のpHが低下せずに
良好なめっき外観が得られる。そして同時に、陽極近傍
のpHが低下してニッケルの溶解性が向上しためっき液
をめっきタンク外部に設けた溶解槽に導き、この中にニ
ッケルを投入することにより、ニッケルが容易に溶解
し、ニッケルイオンがめっき液に補給される。このニッ
ケルイオンが補給されためっき液を陽極室に再循環し電
解すると、めっき液のpHはさらに低下し、ニッケルの
溶解性は一層向上する。このめっき液を溶解槽に導き、
ニッケルを投入することにより、ニッケルはさらに容易
に溶解するようになる。この一連の工程を繰り返すこと
により、極めてpHが低下したしめっき液に、容易にニ
ッケルイオンを溶解させることができるようになる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳
細に説明する。図2に本発明の不溶性陽極に付設した陽
極室の概略図を、図3に本発明の不溶性陽極に付設した
陽極室室を用いためっき装置の概略図を示す。1は陽極
室、2は不溶性陽極板、2aはブスバー、3は隔膜、4
は側壁、5は底板、6aは溶解槽と陽極室を連結する配
管、6bは陽極室と溶解槽を連結する配管、6cはめっ
き槽とバルクのめっき液の貯液槽を連結する配管、7a
は溶解槽から陽極室へめっき液を送液する送液手段、7
bは陽極室から溶解槽へめっき液を送液する送液手段、
7cはバルクのめっき液の貯液槽からめっき槽へバルク
のめっき液を送液する送液手段、10はめっき槽、20
は帯状の被めっき金属板、30は帯状の被めっき金属板
の進行方向を変えるシンクロール、40は溶解槽、40
aはホッパー、40bはめっき液加熱手段、80はバル
クのめっき液の貯液槽である。
【0015】めっき槽10の内部には、イリジウム合
金、鉛合金、白金合金、チタン合金などの合金、または
チタンやタンタルに白金をめっきしたり、酸化白金や酸
化イリジウムを被覆してなり、外部電源に接続されたブ
スバー2aから吊り下げられた不溶性の陽極板2と、陽
極板2と平行に一定距離を隔てて帯状の被めっき金属板
20と相対する側にのみ設けられた隔膜3と、両端が陽
極板2と隔膜3とに密着しかつ互いに平行に設けられた
2個の側壁4と、陽極板2と3隔膜、および側壁4とに
密着して設けられた底板5からなる陽極室1が設けられ
ている。隔膜3は、めっき液中に溶解しているイオンの
全部または一部は自由に通過可能であるがめっき液は殆
ど通過しない膜、例えばポリプロピレンやポリエチレン
などの高分子化合物の繊維を編んでなる布、または不織
布などが好ましい。側壁4および底板5はFRPなどの
絶縁性物質から構成されていることが好ましい。帯状の
被めっき金属板20は外部よりめっき槽10の内部に導
かれ、不溶性陽極板2に平行に進行し、めっき槽10の
下部に設けられたシンクロール30で進行方向が変えら
れて、めっき槽10の外部に出て行く。
【0016】めっき液としては硫酸塩浴、塩化物浴、ワ
ット浴、スルファミン酸浴など、いずれのめっき浴組成
のものも適用可能である。めっき液はめっき槽10の外
部に配設された溶解槽40からポンプなどの送液手段6
aにより、配管6aを経て陽極室1に供給される。バル
クのめっき液はめっき槽10の外部に配設された貯液槽
80から送液手段7cにより、めっき槽10に供給され
る。陽極室1およびめっき槽10がめっき液およびバル
クのめっき液で満たされ、帯状の被めっき金属板20を
連続的に進行させながら帯状の被めっき金属板20と不
溶性陽極板2の間に電流を通して電解すると、バルクの
めっき液中のニッケルイオンは陰極である帯状の被めっ
き金属板20の表面に析出し、めっき液中のニッケルイ
オンが消費される。陽極室1の内部においては上記の式
(1)に示した反応により酸素が発生して水酸イオンが
消費されるとともに水素イオン濃度が増加し、めっき液
のpHが低下する。めっき槽10のバルクのめっき液と
陽極室1のめっき液は隔膜3で隔てられおり、殆ど混合
されることはない。また、めっき液の送液手段7aおよ
び7b、バルクのめっき液の送液手段7cの送液量を調
整し、陽極室1に充填されるめっき液の水位を、陽極室
1の外側のめっき槽10に充填されるバルクのめっき液
の水位よりも低く保持させることにより、めっき槽10
側から陽極室1側に水圧が負荷することにより、めっき
槽10のバルクのめっき液と陽極室1のめっき液の混合
を防止することができる。電解後、めっき液は送液手段
7bにより配管系統6bを経て溶解槽40に供給され、
バルクのめっき液は配管6cを経て貯液槽80に供給さ
れる。ちなみにめっき液としてワット浴を用いた場合、
バルクのめっき液のpHは電解の前後で 4〜4.5程度
に保たれるが、陽極室のめっき液のpHは0.5〜2.5
程度まで低下する。
【0017】溶解槽40に供給されたpHが低下しため
っき液に、ホッパー40aから金属ニッケルを投入し溶
解させる。金属ニッケルは粒状、板状、粉末状などいず
れの形状でもよいが、粒径が小さいものほど溶解性に優
れる。しかし、微粉化するためには粉砕機を長時間運転
する必要があり、設備コストおよびランニングコストが
上昇する。また微粉化したニッケル粉が作業環境に飛散
するために排気装置が必要となる。好ましい粒径の範囲
は 0.1μm〜1mmである。
【0018】金属ニッケルの溶解性は、溶解槽40に電
気ヒーターなどのめっき液加熱手段40bを設け、めっ
き液を加温することによってさらに向上する。好ましい
めっき液の温度範囲は70〜100℃である。70℃未
満では溶解性の向上効果は小さい。まためっき液の加熱
の上限は、溶解槽を構成する材料の耐熱性や、めっき液
の沸騰の危険性から100℃とする。さらに溶解槽40
に撹拌装置を設け撹拌することにより、金属ニッケルの
溶解性を一層向上させることができる。
【0019】上記のようにして金属ニッケルを溶解させ
ためっき液は、送液手段7aにより、配管6aを経て陽
極室1に供給される。一方、バルクのめっき液は配管6
cを経て貯液槽80に供給される。この貯液槽80の入
側および出側に、めっき金属イオン濃度およびまたは水
素イオン濃度検出手段を設け、両側におけるめっき液の
めっき金属イオン濃度およびまたは水素イオン濃度を検
出して、適正な金属イオン濃度および適正なpHに調整
される。次いでめっき液はめっき液濾過手段を通過し、
スライムや未溶解のニッケル粉などが除去された後、送
液手段7cにより、めっき槽10に再循環される。
【0020】以上、めっきされる金属がニッケルの場合
を例として、本発明を説明したが、前述したように、本
発明の方法および装置はめっき液中への溶解性に乏しい
ニッケルをめっきする場合のみに限定されるものではな
く、ニッケル−コバルト、ニッケル−錫などのニッケル
合金、特にニッケル−亜鉛合金などのめっきに適用して
溶解性を向上させることにより、より高電流密度でめっ
きすることが可能となるので、これらの金属をめっきし
た金属板の生産性を大幅に向上させることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明は、長尺帯状の金属板に不溶性陽
極を用いて連続的に電気めっきを施す場合に、不溶性陽
極をバルクのめっき液から隔膜で隔離してなる不溶性陽
極に付設した陽極室をめっき槽内部に設け、めっき槽の
外部に溶解槽を設け、陽極室と溶解槽の間でめっき液を
循環させ、陽極室内において電解によりpHが低下した
めっき液を溶解槽に送液し、pH低下により溶解性が向
上しためっき液にめっきする金属を溶解した後、陽極室
にめっき液を送液して再び陽極電解することからなる一
連の工程を繰り返すものであり、めっき金属イオンを短
時間で大量に補給できるので、より高電流密度でめっき
することが可能となり、これらの金属をめっきした金属
板の生産性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液のpHとニッケルの溶解性の関係を示すダ
イヤグラムである。
【図2】本発明のめっき装置の陽極室を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明のめっき装置の1例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 :陽極室 2 :陽極板 2a :ブスバー 3 :隔膜 4 :側壁 5 :底板 6a :溶解槽と陽極室を連結する配管 6b :陽極室と溶解槽を連結する配管 6c :めっき槽とバルクのめっき液の貯液槽を連結す
る配管 7a :溶解槽から陽極室へめっき液を送液する送液手
段 7b :陽極室から溶解槽へめっき液を送液する送液手
段 7c :バルクのめっき液の貯液槽からめっき槽へバル
クのめっき液を送液する送液手段 10 :めっき槽 20 :帯状の被めっき金属板 30 :シンクロール 40 :溶解槽 40a:ホッパー 40b:めっき液加熱手段 80 :バルクのめっき液の貯液槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 信義 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋鋼 鈑株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K023 AA12 AB15 AB21 BA06 BA08 BA15 DA06 DA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不溶性陽極をバルクのめっき液から隔膜
    で隔離してなる不溶性陽極に付設した陽極室をめっき槽
    内部に配設し、めっき槽の外部に溶解槽を配設し、陽極
    室と溶解槽の間でめっき液を循環させ、陽極室内におい
    て電解によりめっき金属イオン、および酸素として水酸
    イオンが消費し、水素イオンが増加しpHが低下しため
    っき液を溶解槽に送液し、pH低下により溶解性が向上
    しためっき液にめっきする金属粒または金属粉を投入し
    て溶解した後、陽極室にめっき液を送液して再び陽極電
    解することからなる一連の工程を繰り返すことを特徴と
    する、不溶性陽極に付設した陽極室を用いためっき方
    法。
  2. 【請求項2】 前記めっき槽内部に配設する前記不溶性
    陽極に付設した陽極室に充填されるめっき液の水位を、
    前記陽極室の外部の前記めっき槽に充填されるめっき液
    の水位よりも低く保持させることを特徴とする、請求項
    1に記載の不溶性陽極に付設した陽極室を用いためっき
    方法。
  3. 【請求項3】 前記めっきする金属がニッケルである請
    求項1に記載の不溶性陽極に付設した陽極室を用いため
    っき方法。
  4. 【請求項4】 前記めっきする金属がニッケル合金であ
    り、前記溶解槽で溶解させる金属粒または金属粉がニッ
    ケルである請求項1に記載の不溶性陽極に付設した陽極
    室を用いためっき方法。
  5. 【請求項5】 前記ニッケル合金がニッケル−亜鉛合金
    である請求項4に記載の不溶性陽極に付設した陽極室を
    用いためっき方法。
  6. 【請求項6】 不溶性金属板からなる陽極板と前記陽極
    板と平行に一定距離を隔てて設けられた、めっき液中に
    溶解しているイオンの全部または一部は自由に通過可能
    であるがめっき液は殆ど通過しない隔膜と、その両端が
    前記陽極板と前記隔膜とに密着しかつ互いに平行に設け
    られた2個の側壁と、前記陽極板と前記隔膜とに密着し
    て設けられた底板からなる陽極室と、前記陽極室内の不
    溶性陽極と相対するように被めっき金属板が前記陽極室
    外に配置されてなるめっき槽と、前記めっき槽外部に設
    けられた溶解槽と、前記めっき槽内部に設けられた陽極
    室と前記溶解槽の中間に設けられ、前記陽極室と前記溶
    解槽の間でめっき液を送液する送液手段と、前記陽極室
    と前記溶解槽、および前記溶解槽と前記陽極室を連結す
    る配管とからなり、前記溶解槽から前記送液手段により
    前記陽極室内にめっき液を供給しながら通電して電解
    し、供給されためっき液のpHが電解によって低下した
    前記陽極室内のめっき液を前記送液手段により前記溶解
    槽に導き、前記pHが低下しためっき液中にめっきする
    金属粒または金属粉を投入して溶解させた後、前記送液
    手段により前記陽極室に再循環することを特徴とする、
    不溶性陽極に付設した陽極室を用いためっき装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT413037B (de) * 2003-07-25 2005-10-15 Andritz Ag Maschf Vorrichtung zum elektrolytischen beschichten eines metallischen gegenstandes mit zinn oder einer zinnlegierung
US8801912B2 (en) 2008-03-11 2014-08-12 C. Uyemura & Co., Ltd. Continuous copper electroplating method

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