JP2000109721A - 粒子表面酸化方法および粒子表面酸化装置 - Google Patents

粒子表面酸化方法および粒子表面酸化装置

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JP2000109721A
JP2000109721A JP28791098A JP28791098A JP2000109721A JP 2000109721 A JP2000109721 A JP 2000109721A JP 28791098 A JP28791098 A JP 28791098A JP 28791098 A JP28791098 A JP 28791098A JP 2000109721 A JP2000109721 A JP 2000109721A
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suspension
particle
oxidizing
droplets
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JP28791098A
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English (en)
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Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Shiro Narukawa
志郎 成川
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水や水性溶媒等の溶媒に対する分散性や溶解
性を改善できる表面酸化粒子を安定に製造できる粒子表
面酸化方法および粒子表面酸化装置を提供する。 【解決手段】 粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る
混合工程と、上記懸濁液の状態を検知して、得られた検
知結果に基づいて懸濁液の生成を制御する制御工程と、
上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化させる
ことにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付与し
た表面酸化粒子を生成する酸化工程と、混合工程および
酸化工程の状態を検知して、検知結果に基づいて表面酸
化粒子の生成を制御する制御工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用
記録液、ボールペンやマーキングペンに好適に用いられ
る、粒子の表面が改質された表面酸化粒子を製造する粒
子表面酸化方法および粒子表面酸化装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種粒子の表面を改質する方
法として、乾式の他、液相中において重合を行わせる方
法が知られており、具体的には、例えば、疎水性を有す
る粒子(疎水性物質)を、親水性の改質剤で処理するこ
とによって粒子表面に改質剤の膜を形成して親水性を付
与する改質方法、即ち、粒子表面を親水性を有する改質
剤にて被覆する改質方法が、種々実施されている。
【0003】上記改質方法として、例えば「微粒子工学
−分散の基礎と応用−」(社団法人日本粉体工業技術協
会編集;株式会社朝倉書店発行;1994年6月25日初版第
1刷)123頁〜136頁には、高速回転式衝撃粉砕機
や摩砕式ミル、ボールミル、ロールミル、媒体撹拌型粉
砕機、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて、粉体状の
粒子表面に粉体状の異種成分(表面改質剤)を物理的に
結合させることにより、該粒子表面の性質が改質された
被覆型複合粒子を製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
改質方法では、粒子を改質剤で処理する際に、撹拌翼等
の撹拌装置を用いて粒子を撹拌するので、該粒子が摩擦
等によって帯電してしまう。このため、得られた表面酸
化粒子(親水性粒子)は、帯電により収納部材(ホッパ
ー)内壁に吸着し搬送不良となって、取り扱いが困難と
なる。また、上記従来の改質方法では、物理的に結合さ
せるため処理に非常に長時間を要する。さらに、処理を
行う際の操作が煩雑であり、かつ、高価な装置を用いな
ければならないという問題点を有している。
【0005】その上、上記従来の改質方法では、粒子を
改質剤で処理する際に例えば粒子の凝集等が生じるため
に、得られる改質粒子の粒子径が大きくかつ不揃いとな
り易い。さらに、サブミクロンオーダーの微小粒子の処
理を行う際においては、個々の粒子にそれぞれ処理を安
定に行うことは、微小粒子が容易に凝集し易いという欠
点から困難である。
【0006】また、撹拌装置を用いて粒子を撹拌するこ
とによって粒子を改質剤で処理するので、改質剤等の各
種薬品を、粒子の処理に必要な理論量よりも遥かに多量
に使用しなければならず、かつ、多量の残存する各種薬
品に関する廃液処理等の後処理が面倒である。それゆ
え、上記従来の方法では、改質粒子の製造コスト(処理
コスト)が高くなるという問題点を有している。
【0007】このように、上記従来の改質方法、即ち、
上記従来の改質粒子の製造方法では、粒子を帯電させる
ことなく、しかも、簡便な装置および操作で短時間でか
つ安価に、粒子径が比較的小さくかつ揃った改質粒子を
製造することができない。
【0008】それゆえ、従来、粒子を帯電させることな
く、しかも、簡便な装置および操作で短時間でかつ安価
に、粒子径が比較的小さく、かつ揃った改質粒子である
表面酸化粒子を安定に製造することができる製造方法お
よび製造装置が嘱望されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の粒子表面酸化方
法は、以上の課題を解決するために、粒子を、酸性液に
懸濁して懸濁液を得る混合工程と、上記懸濁液の状態を
検知して、得られた検知結果に基づいて懸濁液の生成を
制御する制御工程と、上記懸濁液を搬送しながら加熱し
て酸性液を気化させることにより、粒子の表面に酸化に
よる親水性基を付与した表面酸化粒子を生成する酸化工
程とを含むことを特徴としている。
【0010】本発明の他の粒子表面酸化方法は、粒子
を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程と、上記懸
濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工程と、
上記液滴の生成状態を検知して、得られた検知結果に基
づいて液滴の生成を制御する制御工程と、上記液滴を搬
送しながら加熱して酸性液を気化させることにより、粒
子の表面に酸化による親水性基を付与した表面酸化粒子
を生成する酸化工程とを含むことを特徴としている。
【0011】本発明のさらに他の粒子表面酸化方法は、
粒子を酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程と、上記
懸濁液を輸送して供給する輸送工程と、輸送された懸濁
液を搬送しながら加熱して酸性液を気化させることによ
り、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表面酸
化粒子を生成する酸化工程と、輸送工程において、懸濁
液の状態を検知し、得られた検知結果に基づいて表面酸
化粒子の生成を制御する制御工程と含むことを特徴とし
ている。
【0012】本発明のさらに他の粒子表面酸化方法は、
粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程と、上
記懸濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工程
と、上記液滴を輸送して供給する輸送工程と、輸送され
た液滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化させること
により、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表
面酸化粒子を生成する酸化工程と、輸送工程において、
液滴の状態を検知し、得られた検知結果に基づいて表面
酸化粒子の生成を制御する制御工程と含むことを特徴と
している。
【0013】本発明のさらに他の粒子表面酸化方法は、
粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程と、懸
濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化させることに
より、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表面
酸化粒子を生成する酸化工程と、酸化工程の状態を検知
して、得られた検知結果に基づいて表面酸化粒子の生成
を制御する制御工程と含むことを特徴としている。
【0014】本発明のさらに他の粒子表面酸化方法は、
粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程と、上
記懸濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工程
と、液滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化させるこ
とにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した
表面酸化粒子を生成する酸化工程と、酸化工程の状態を
検知して、得られた検知結果に基づいて、表面酸化粒子
の生成を制御する制御工程と含むことを特徴としてい
る。
【0015】上記の各粒子表面酸化方法によれば、粒子
を酸性液、例えば硫酸に浸漬・懸濁してなる懸濁液を、
搬送しながら加熱、より好ましくは粒子を核として急激
に核沸騰させるように加熱することにより、凝集し易い
粒子を分散させると共に、粒子の表面を酸性液の酸化に
より改質して、親水性基を付与した表面酸化粒子(以
下、親水性粒子という)を生成することができる。
【0016】したがって、上記方法では、凝集した粒子
であっても、加熱による核沸騰に起因する急激な体積膨
張、例えば水が気化するとその体積が約1000倍とな
る体積膨張による外力を利用するため、凝集した各粒子
である二次粒子が一次粒子に分散されるので、粒径が小
さく、かつ、分散性の高い、優れた特性を有する親水性
粒子を得ることができる。
【0017】その上、上記方法では、このような酸化処
理を、各状態の検知に基づいて制御するので、酸化処理
を、より最適化でき、優れた特性を有する親水性粒子
を、より一層安定に製造することができる。
【0018】これにより、上記方法は、撹拌翼等の撹拌
装置を用いて粒子を撹拌しながら酸化する従来の方法と
は異なり、該粒子が摩擦等によって帯電する恐れが回避
されて、従来より、取り扱い性に優れた親水性粒子を得
ることができる。
【0019】また、上記製造方法は、搬送しながら加熱
という簡便な装置および操作で、かつ、加熱による気化
や核沸騰を用いることにより短時間な処理にて粒子の表
面が改質された親水性粒子を得ることができる。
【0020】上記方法によって得られる親水性粒子は、
粒子の表面に対し、例えば親水性基が導入されることに
よって親水性が付与されているので、水に対する濡れ性
が改善されている。具体的には、例えば、親水性粒子
は、上述の酸化処理によって、親水性粒子の表面にカル
ボキシル基(親水性基)が付与されているので、水に対
する濡れ性が向上している。よって、上記親水性粒子
は、安全性の高い水に分散させて用いることができて、
取り扱い性に優れる。
【0021】上記方法によって得られる親水性粒子は、
例えば、原料として用いた粒子が疎水性を有する顔料か
らなる粒子である場合には、分散性や取り扱い性に優れ
ていることから、塗料、印刷インキ(インクジェット記
録用インクや、ボールペンやマーキングペンの記録用イ
ンク)、トナー(現像剤)等の各種用途に好適に用いら
れる。
【0022】上記方法では、検知される状態としては、
懸濁液や液滴中の粒子の分散度や粒子径や個数濃度や流
量や輸送速度、懸濁液や液滴の各液性(pHや温度)、液
滴の粒径や個数濃度、混合工程における懸濁液の残量、
得られた親水性粒子の粒子径や個数濃度や流量、酸化工
程での加熱温度や流量を、それぞれ挙げることができ、
それらを単独あるいは組み合わせて状態検知に用いても
よい。
【0023】上記方法では、検知を、搬送方向に沿っ
て、互いに異なる複数箇所にて、それぞれ行うことが好
ましい。この方法によれば、各検知を比較することによ
り、より正確に検知の状態を判定できて、親水性粒子の
製造工程の制御をより確実化できる。
【0024】上記方法では、複数箇所の検知はそれぞれ
同期させて行うことが望ましい。この方法によれば、搬
送方向の上流側にて検知した粒子を、下流側にて検知で
きるので、酸化処理や搬送により変化する粒子の各状態
をより確実に検知できる。このことから、各検知を比較
することにより、より正確に検知の状態を判定できて、
親水性粒子の製造工程の制御をより確実化できる。
【0025】上記方法では、検知結果が、規定範囲外で
あるとき、規定範囲外となる懸濁液、粒子、表面酸化粒
子である搬送路に振動を付与して、規定範囲外の不良品
を回収することが好ましい。上記方法によれば、搬送路
に付着した不良品も、搬送路に対する振動の付与により
容易に移動させることができて、不良品の回収を容易化
できる。
【0026】上記方法では、不良品の回収は、不良品の
搬送路内に、気体をパルス状に導入して行うことが望ま
しい。上記方法によれば、気体をパルス状に導入するこ
とにより、搬送路に付着した不良品も容易に移動させる
ことができて、不良品の回収を容易化できる。
【0027】上記粒子表面酸化方法では、顔料粒子等の
原料粒子である粒子を酸性液に懸濁して得られた懸濁液
を、酸性液の沸点に対し、10K以上の温度、より好ま
しくは20K以上の温度にて加熱して気化させることが
好ましい。上記方法により、酸性液を、より確実に加熱
または気化させることができて、表面が改質された親水
性粒子を、より効率的に得ることができる。上記方法に
おいては、粒子は疎水性であってもよい。
【0028】また、上記懸濁液においては、揮発性液体
を含むことが好ましい。揮発性液体を含むことにより、
酸性液を迅速に気化できて、凝集した各粒子の分散を、
より確実にできるので、より効率的に表面が改質された
親水性粒子を得ることが可能となる。
【0029】上記方法では、揮発性液体は、酸性液の気
化を促進する気化促進剤であってもよい。気化促進剤と
しては、加熱により、容易に発泡して気化する物質であ
ればよく、例えば、エチルアルコール、クロロフルオロ
カーボン、過酸化水素水、炭酸ガス、液化炭酸ガス、液
体窒素等が挙げられる。
【0030】上記方法によれば、気化促進剤を含むこと
により、酸性液をより迅速に気化できて、凝集した各粒
子の分散を、より確実にできるので、より効率的に親水
性粒子を得ることが可能となる。
【0031】上記方法においては、懸濁液の粒子を、懸
濁液中に対しより均一に分散させることが望ましい。上
記方法によれば、粒子が懸濁液中に、より均一に分散さ
れることにより、凝集した各粒子を低減でき、また、凝
集した各粒子の凝集サイズも小さくできることから、粒
子径が比較的小さく、かつ揃った親水性粒子を、より安
定に製造することができる。
【0032】上記方法では、懸濁液は、予め加熱してお
くことが好ましい。上記方法によれば、懸濁液の酸性液
の核沸騰および気化に必要な上昇温度Δtを小さくでき
るので、核沸騰や気化を迅速化できる。このことから、
上記方法では、核沸騰時や気化時の体積膨張の変化率を
大きくできて、凝集した各粒子の分散を効率化できるの
で、粒子径が比較的小さく、かつ揃った親水性粒子を、
より安定に製造することができる。
【0033】上記方法では、懸濁液を液滴にして用いる
ことが好ましい。上記方法では、液滴とすることによ
り、懸濁液における酸性液の核沸騰や気化を容易化でき
ると共に加熱のための、例えば供給電力を軽減できて、
コストダウンを図ることが可能となる。
【0034】本発明に係る粒子とは、常温・常圧で固体
の微粒子であり、かつ、酸性液に浸漬したときに、分解
や重合等といった、基本構造の変化を生じることのない
安定性を有し、かつ、官能基、例えばカルボキシル基と
いった親水性基の付与が可能な、すなわち親水性基の導
入が可能な粒子である。
【0035】上記粒子としては、特に限定されるもので
はないが、酸化チタン、顔料などの粒子が挙げられ、特
に黒色顔料、例えばカーボンブラック粒子が好適なもの
として挙げられる。本発明において、「常温・常圧」と
は、20℃、1気圧を示すこととする。
【0036】本発明に係る粒子では、平均粒径が10n
m〜20μm、好ましくは20nm〜10μm、さらに
好ましくは40nm〜5μm、の範囲内のものが好まし
く用いられる。
【0037】また、粒子を酸性液に浸漬および懸濁させ
る際には、必要に応じて、ヒーター等により、できれば
酸性液の沸点の近傍まで加熱および/または撹拌翼など
により撹拌して粒子をできるだけ分散しておいてもよ
い。
【0038】上記方法によって得られた親水性粒子は、
捕集した後、必要に応じて、超純水等を用いて洗浄され
ることが好ましい。これにより、不純物が除去された親
水性粒子を製造することができる。水洗された親水性粒
子は、必要に応じて、該親水性粒子同志が凝集すること
を防止できる程度に乾燥させればよい。なお、親水性粒
子から、それに含まれる不純物が除去されたか否かは、
例えば、洗浄液のpHを目安として判断すればよい。親水
性粒子の捕集方法、水洗方法、および乾燥方法について
は、特に限定されるものではない。
【0039】本発明の粒子表面酸化装置は、粒子を、酸
性液に懸濁して懸濁液を生成して送出する懸濁液供給部
と、搬入された上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性
液を気化させることにより、粒子の表面に酸化による親
水性基を付与した表面酸化粒子を搬出する酸化部と、上
記懸濁液供給部および酸化部の少なくとも一つの状態を
検知して、得られた検知結果に基づいて表面酸化粒子の
生成を制御する制御手段とを含むことを特徴としてい
る。
【0040】本発明の他の粒子表面酸化装置は、粒子
を、酸性液に懸濁して懸濁液を生成して搬出する懸濁液
供給部と、搬入された上記懸濁液から液滴を生成して気
体輸送する液滴生成部と、気体輸送により搬入された液
滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化させることによ
り、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表面酸
化粒子を搬出する酸化部と、上記懸濁液供給部、液滴生
成部、および酸化部の少なくとも一つの状態を検知し
て、得られた検知結果に基づいて表面酸化粒子の生成を
制御する制御手段とを含むことを特徴としている。
【0041】上記の各粒子表面酸化装置によれば、前述
の粒子表面酸化方法と同様に、種々な用途に好適に用い
られる、表面が改質された親水性粒子を安定に製造する
ことができる。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
ないし図29に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。本発明に係る粒子表面酸化装置の一例に関し、図1
に基づいて説明すれば以下の通りである。図1に示すよ
うに、上記粒子表面酸化装置(以下、製造装置という)
1は、粒子懸濁部2、粒子供給部3、粒子酸化部4、希
釈気体導入部5、第一液体処理部6、二個の各粒子捕集
部7a、7b、および第二液体処理部9等を備えてお
り、疎水性の粒子を搬送しながら酸性液の存在下にて加
熱することによって、上記粒子の表面に対し酸化による
親水性基が導入された親水性粒子42bを連続的に安定
に製造できるようになっている。
【0043】粒子懸濁部2は、円柱形状または角柱形状
の容器21を備えている。容器21内には、水または水
と水の共沸化合物との混合液(以下、単に水と略す)、
酸性力(例えば硫酸)および粒子を互いに混合して懸濁
させた懸濁液22が収納されている。密閉された容器2
1内に供給される不活性ガス23の圧力および流量が調
節されることにより、粒子懸濁部2から粒子供給部3を
介して粒子酸化部4に供給する懸濁液22の液量を制御
できるようになっている。
【0044】粒子懸濁部2の容器21には、粒子分散装
置24として、例えば、マグネチックスターラー等の撹
拌手段あるいは超音波振動装置等が設置されている。粒
子分散装置24は、撹拌や振動による分散によって、容
器21内の懸濁液22中の粒子の凝集を防止、あるい
は、凝集した粒子の分散をある程度まで行うためのもの
である。撹拌強度が強い程、また、超音波照射強度が強
い程、懸濁液22中の粒子の分散は進行することが予想
されるが、その強度については特に限定されるものでは
ない。粒子懸濁部2は、粒子供給部3を介して粒子酸化
部4に対し、懸濁液22を供給できるように接続されて
いる。
【0045】粒子酸化部4は、懸濁液22が導入される
管41および管41内を加熱するための加熱部材として
の、電気炉(加熱部)44を有している。粒子酸化部4
においては、管41内を下から上に向かって流れる懸濁
液が、電気炉44により予め加熱されていた管41内に
て搬送されながら急激に加熱されると、図2に示すよう
に、予熱流、気泡流、撹乱流、気化流へと急激に変化し
て、懸濁液22の粒子を、酸性液の気化ガスの膨張によ
って図1に示す導入口45から搬出口46に向う上方に
搬送しながら加熱できるようになっている。
【0046】この際、管41内の懸濁液22は、図3に
示すように、酸性液43において、粒子42を核とした
核沸騰が生じる。各粒子42の凝集粒子42aは、核沸
騰時の急激な体積膨張によって、個々の単一の粒子42
に分散すると共に、粒子42の周囲にある酸性液43が
急激に核沸騰・気化する。これによって、粒子42は、
粒子42のまわりの酸性液43によって煮沸され、粒子
42の表面が急速に酸化されて親水性粒子42bが生成
されることになる。
【0047】一方、図1に示す管41の内壁は、図示し
ないが、撥水性(撥液性)材料からなる撥水部を有して
いる。撥水性材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ
スチレン、表面を粗くしたフラッシングガラス等が好適
に使用される。
【0048】さらに、管41の内壁は、その管41の中
心軸が、水平方向に対し角度θで傾斜した、例えば、円
管状に形成されている。このため、このような粒子酸化
部4では、内壁に付着した懸濁液22は下方に設けられ
た貯留部47(液体回収部)に流れ込むことにより、管
41内が懸濁液22によって閉塞することを防止でき
る。
【0049】粒子酸化部4から貯留部47への配管に
は、その配管の導通あるいは非導通を制御するための回
収バルブ37が、通常の酸化処理時においては閉止され
て設けられている。上記回収バルブ37は、管41の内
壁に付着した懸濁液22が一定量に達したとき、あるい
は管41や配管34内に生じた不要な酸性液や粒子であ
る懸濁液22(不良品)を貯留部47に回収する際、上
記回収バルブ37が開となり、不要な懸濁液22が粒子
酸化部4や配管34内から排出されるよう構成されてい
る。
【0050】粒子酸化部4の搬出口46から搬出され
た、粒子酸化部4で生成した親水性粒子42bおよび酸
性液43の気化ガスの混合物は、清浄な不活性気体(例
えば、窒素ガス)によって希釈され、かつ、上記親水性
粒子42bが上記気化ガスおよび不活性気体によって気
体輸送されて第一液体処理部6へと導入される。
【0051】また、上記の粒子の表面を酸化する工程に
おいて、一度の酸化工程では充分な量の親水性基を付与
できない場合がある。そこで、製造装置1において、第
一液体処理部6と第二液体処理部9との間に設けられた
粒子捕集部7の粒子取り出し口の後段に、前述の粒子懸
濁部2、粒子供給部3、粒子酸化部4および第一液体処
理部6を新たに接続し、前段にて得られた親水性粒子4
2bの表面を再び酸化する工程を繰り返してもよい。す
なわち、粒子懸濁部2、粒子供給部3、粒子酸化部4お
よび第一液体処理部6を、複数セット互いに直列に接続
してもよい。
【0052】このとき、後段の工程に用いる酸性液43
の濃度として、前段のものと異なる濃度のものを用いる
こともできる。相異なる濃度の各酸性液43をそれぞれ
用いることにより、親水性粒子42bの表面における親
水性基の量を任意に制御することが可能である。
【0053】また、先に処理した酸性液43と異なる薬
品、例えば硫酸水溶液、過酸化水素水といった酸性化合
物液を用いて粒子の表面を酸化処理してもよい。この場
合、上述したように粒子懸濁部2、粒子供給部3、粒子
酸化部4および第一液体処理部6よりなる製造部を、複
数、直列に互いに接続して用いるが、粒子懸濁部2に仕
込んでいる酸性液43を、予め、所望の酸性化合物液に
代えておく。これによって、相異なる成分の親水性基、
あるいは官能基を表面にそれぞれ付与した親水性粒子4
2bを容易に製造することができる。
【0054】粒子酸化部4で処理されて生成した親水性
粒子42bおよび酸性液43の気化ガスの混合物は、さ
らに、希釈気体導入部5より導入される清浄な希釈気体
により希釈され、第一液体処理部6に搬送される。この
ように混合物を、希釈気体により希釈することにより、
処理された各親水性粒子42bが互いに凝集することを
防止できる。
【0055】希釈気体としては、得られた親水性粒子4
2bや生成した酸性液43の気化ガスに対して、反応性
の低い不活性ガス、例えば窒素ガスが好ましい。清浄な
希釈気体は、不活性ガスをフィルタ(例えばHEPAフ
ィルタ、ULPAフィルタ、バグフィルタ)等の捕獲部
材により塵埃などが除去されて得られる。
【0056】第一液体処理部6は、気体輸送された、親
水性粒子42b、気化ガスおよび不活性ガスの混合体が
順次導入される第一冷却部(冷却部)61および第一乾
燥部62を備えている。第一冷却部61には、上記混合
体が導入される管部61aと管部61aを冷却するため
の冷却部材61bとが配されている。冷却部材61b
は、例えばペルチェ素子を備えており、ペルチェ効果に
よって管部61a内、つまり上記混合体を冷却して上記
気化ガスを第一冷却部61においてほぼ回収できるよう
になっている。
【0057】なお、冷却部材61bは、所望する冷却温
度に対応した構成とすればよく、特に限定されるもので
はない。例えば、液体窒素や水、ドライアイス等により
冷却された有機溶媒(冷媒)や比較的熱伝導のよいヘリ
ウムを用いて、導入された上記混合体を冷却する構成と
してもよい。
【0058】第一液体処理部6では、粒子酸化部4から
の混合物を希釈した混合体を、冷却して気化ガスの飽和
蒸気量の低下を生じさせることにより、相対湿度を下
げ、蒸気化した酸性液43を液化させて回収する。前記
の処理された親水性粒子42bを含む輸送気体雰囲気の
乾燥を促進するために、希釈気体導入部5よりの希釈気
体を乾燥剤を通過させ除湿して用いてもかまわない。
【0059】管部61aの内壁は、粒子酸化部4の内壁
と同様に、撥水性材料で形成されている撥水部19を有
していると共に、水平方向に対し角度θで傾斜した例え
ば円柱管状に形成されている。このため、管部61aの
内壁に凝縮により付着した酸性液43は、貯留部(液体
回収部)61cに流れ込み回収される。これにより、管
部61aの内部の閉塞を防止して連続運転を可能にす
る。
【0060】前記混合体は、上記冷却処理を行った後、
必要に応じて第一乾燥部62に導入して、上記混合体か
らさらに酸性液43を回収してもよい。第一乾燥部62
は、その粒子輸送管を乾燥剤が充填された処理空間に曝
される構造に設定しており、さらなる親水性粒子42b
の乾燥、および、酸性液43の除去を行うことができ
る。
【0061】第一液体処理部6から搬出された親水性粒
子42bは、第一粒子捕集部7aにて回収(捕集)され
る。捕集方法としては、バグフィルター等を用いる濾布
集じん法が挙げられる。回収された親水性粒子42b
は、必要に応じて、図示しない洗浄装置にて超純水等を
用いて水洗される。これにより、不純物が除去された親
水性粒子42bが得られる。水洗された親水性粒子42
bは、必要に応じて、該親水性粒子42bが凝集しない
程度に乾燥させる。
【0062】親水性粒子42bをほぼ除去した輸送気体
については、さらに第二液体処理部9に導入され、第二
液体処理部9の第二冷却部91により極低温(250K
程度)にまで冷却し、飽和蒸気量を低下させることによ
って、残存している酸性液43を液化させて回収(捕
集)し、さらに、第二乾燥部92を通過させることによ
り除湿されて排気処理される。
【0063】第二冷却部91および第二乾燥部92に関
しては、前述の第一冷却部61および第一乾燥部62と
同様に構成されている。第一液体処理部6および第二液
体処理部9には、冷却部および乾燥部の一方が配置され
ていればよいが、両者を備えている方がより好ましい。
【0064】また、第二冷却部91と第二乾燥部92と
の間には、第二粒子捕集部7bが設けられている。第二
粒子捕集部7bにおいては、前述と同様な捕集方法によ
って、再度、親水性粒子42bの回収(捕集)を行って
いる。第二粒子捕集部7bを配することにより、表面が
酸化されて親水性基を有する親水性粒子42bの捕集効
率を向上させ、より確実に親水性粒子42bを回収する
ことができる。
【0065】このような構成とすることにより、得られ
た親水性粒子42bが周囲の環境に飛散することを抑制
でき、使用後の輸送気体をより安全な状態に処理して排
出することができる。なお、第一粒子捕集部7aおよび
第二粒子捕集部7bは、必要に応じて、さらに複数ずつ
設けてもかまわない。
【0066】さらに、粒子酸化部4、第一液体処理部
6、および第二液体処理部9における各管状の処理部
は、その中心軸が水平方向に対して角度θ(0°<θ≦
90°、より好ましくは70°≦θ≦90°)で傾斜
し、互いに並列に配置されていることが好ましい。
【0067】このように配置することにより、粒子酸化
部4における酸性液43の気化による膨張を親水性粒子
42bの製造および輸送に有効に利用でき、かつ、処理
部の管部の閉塞を防止でき、その上、装置構成が簡素化
されると共に、必要な床面積を低減できるので装置構成
を小型化つまり省スペース化することができる。
【0068】以上のように、本発明に係る粒子表面酸化
方法および粒子表面酸化装置は、10nm〜20μmの
範囲内の平均粒径を有するといった、小粒径で凝集し易
い疎水性の粒子42に対し、親水性を付与すべく、上記
粒子42を酸性液43に浸漬し分散してなる懸濁液22
を、直線または曲線上に沿って一方向に搬送しながら、
急激に加熱して沸騰(気化)させることにより、粒子4
2が凝集した凝集粒子42aを分散させながら、粒子4
2の表面を酸性液43にて酸化して、酸化による親水性
基を粒子42の表面に付与して親水性粒子42bを製造
し、それら各製造工程における粒子42や懸濁液22
や、後述する液滴22aの各状態を検知して、その検知
結果から上記各製造工程を制御する方法および装置であ
る。
【0069】したがって、本願発明では、撹拌翼等の撹
拌装置を用いて粒子を分散しながら酸化する従来の方法
とは異なり、該粒子42が撹拌時の摩擦等によって帯電
する恐れが回避される。また、本願発明では、酸性液4
3の気化ガスによる膨張を利用して得られた親水性粒子
42bを搬送(輸送)できることから、装置および操作
の簡素化および短時間で処理でき、コストを低減でき
る。さらに、上記構成および方法では、凝集粒子42a
であっても体積膨張による外力を利用するため、凝集が
抑制されて分散性の高い、小粒径の親水性粒子42bを
安定に得ることができる。
【0070】これにより、本願発明では、得られた親水
性粒子42bを帯電させることなく、しかも、簡素な装
置および操作にて短時間でかつ安価に、その上、粒子径
が比較的小さくかつ揃った親水性粒子42bを安定に製
造することができる。
【0071】ここで、粒子酸化部4に対する粒子42の
供給に際し、粒子42が均一に供給されなければ、粒子
42の表面を均一に酸化することが困難になる。そこ
で、本発明では、粒子供給部3から粒子42を供給する
にあたり、粒子42を酸性液43に懸濁させて懸濁液を
調製し、その懸濁液に粒子42を均一に分散させた状
態、あるいは、上記懸濁液を噴霧等により液滴22aと
した状態にて粒子酸化部4に供給する方式を採用してい
る。粒子42は、酸性液43に均一に分散された状態、
あるいは液滴22a、どちらで供給されてもよく、特に
限定されないが、粒子酸化部4での供給エネルギーを低
減できる後者(液滴22a)の形態の方が好ましい。
【0072】上記したように、懸濁液22に粒子42を
均一に分散させた状態、あるいは、上記懸濁液22を噴
霧等により液滴22aとした状態により粒子酸化部4に
供給する場合でも、やはり条件によっては、粒子42が
充分に分散せず凝集するおそれがある。
【0073】図4は、粒子42を液滴22aにて供給す
る場合の粒子42の形態を示したものである。図では示
していないが、粒子42を酸性液43中に分散させて供
給する場合も同様の現象が起こりうる。図4(a)およ
び(b)が示すように、一つの液滴22aに粒子42が
一つから数10個含まれている状態が好ましい。
【0074】本発明の粒子表面酸化方法は、酸性液43
中の粒子42を核として核沸騰させ、そのときの相変化
による体積の急激な膨張を、凝集粒子42aを分散させ
る外力として利用することにより、液滴中に数10個の
粒子42が含まれていても酸化処理は可能である。
【0075】しかしながら、図4(c)に示すように、
凝集が著しい場合、あるいは図4(d)に示すように、
粒子42が液滴22a中に全く含まれていない場合が有
り得る。粒子42の凝集が著しくなると、全ての粒子4
2を均一に酸化することが困難になり、各粒子42の少
なくとも一部については充分に酸化されないことが起こ
り得る。
【0076】よって、所望する親水性粒子42bを安定
に製造するためには、粒子酸化部4に供給される懸濁液
22における、流量、粒子42の濃度、粒子42の分散
度、液滴22aの粒子径、流量、粒子42の濃度、液滴
22aの濃度、および粒子42の分散度などの諸条件
(諸状態)を厳密に制御する必要がある。
【0077】図11に、粒子懸濁部2において、粒子4
2を懸濁液22の状態で粒子酸化部4に供給する構成の
一例を示す。まず、粒子懸濁部2について説明すると、
粒子懸濁部2には、図5に示すように、粒子懸濁部2の
容器21に収納された懸濁液22を分散させる前述の粒
子分散装置24や、懸濁液22の温度を加熱により制御
する加熱部材25が配置されている。
【0078】さらに、粒子懸濁部2には、懸濁液22に
おける粒子42の分散度をモニターする懸濁液22の懸
濁液状態検知器26、pH等の検知するための液性検知器
27、温度検知器28および残量検知器29が設けられ
ている。以下、それぞれの検知器について説明する。
【0079】懸濁液状態検知器26は、懸濁液22中の
粒子42の分散度合いや、個数濃度をモニターするもの
であり、後述の光学測定器と同様のものが使用される。
モニター結果は、予め定められた基準値と比較され比較
結果は粒子分散装置24や粉体供給源51の供給バルブ
51aにおける開閉制御にフィードバックされる。
【0080】懸濁液22における粒子42の分散度合い
を検知する際の制御を図6を用いて説明する。まず、ス
テップ1(以下、ステップをSと略す)として、懸濁液
22中の粒子42の分散度の検知を行う。次に、S2と
して、検知結果を基準値と比較し、上記検知結果が基準
値の範囲内にあるか否か判定する。なお、検知結果と基
準値との比較方法としては、S2に示すように、検知結
果と基準値との差の絶対値を算出し、この差が規定の範
囲内であるか否かを判断する方法などが挙げられるが、
特に限定されるものではない。
【0081】上記検知結果が、規定の範囲内であれば、
分散度の検知を継続して行うが、範囲外であれは、S3
として、撹拌手段および/または分散部材である粒子分
散装置24の出力を調節する。
【0082】次に、S4として、懸濁液22の分散度を
複数回検知する(X=n:nは2以上の整数)。これら
複数回の各検知結果を基準値と比較し(S5)、これら
の検知結果が基準値からの差が規定の範囲内であれば、
懸濁液22を粒子酸化部4に供給するプロセスは続行し
分散度の検知を継続するが、基準値との差が規定の範囲
外の状態(例えば、複数の検知結果において、粒子42
の分散が正常であると見なせない範囲にあるとき)であ
れば、粒子分散装置24あるいは分散度を検知している
懸濁液状態検知器26に異常が発生していると判断し、
粒子分散装置24や懸濁液状態検知器26の点検を行う
ような表示や、警報の発令を行う(S6)。なお、上記
の表示および警報は同時になされてもよいし、一方のみ
であってもよい。
【0083】また、懸濁液状態検知器26において、懸
濁液22中の粒子42の個数濃度を検知する場合は、上
記のS3にて、粒子分散装置24、あるいは粉体供給源
51の供給バルブ51aにフィードバック制御を行い、
S6にて、粉体供給源51や供給バルブ51a、粒子分
散装置24、状態検知器26について点検を行うように
指示する表示や、異常を通知する警報の発令を行えばよ
い。
【0084】次に、液性検知器27について説明する。
本発明では、懸濁液22として、共沸組成物(例えば
水)53と、硝酸等の酸性液体52とを混合した酸性液
43中に、酸化処理を行う粒子42を分散させたものを
用いており、該粒子42を効率よく、安定して酸化処理
を行うには、上記懸濁液22の液性(pH、この場合、酸
性度)が一定となるように制御する必要がある。懸濁液
22の酸性度が低い(中性に近い)と、粒子42の表面
を均一に酸化するのが難しく、酸性度が高い場合は、酸
化処理を行う上では問題はないが、必要以上に酸性液4
3を消費しコスト上好ましくない。
【0085】上記液性検知器27としては、pH測定用の
ガラス電極などを用いることができる。ガラス電極は、
pH受感部としてリチウム系ガラス薄膜が用いられてお
り、測定する懸濁液22と内部の緩衝液(pH7の液体)
がガラス薄膜に接したときに、両液のpHの差に比例した
電圧が発生することを利用したものである。液性検知器
27の検知結果は、酸性液体52および共沸組成物53
の各供給バルブ52a、53aの制御にフィードバック
され、懸濁液22の液性を一定に保持するように制御さ
れる。その様子を図7に示す。処理方法は懸濁液22に
関する前述の状態検知を行う場合と同様であるので、そ
の詳細な説明については省略する。
【0086】一般に、顔料等の樹脂材料のガラス転移温
度は60℃程度とさほど高くなく、また、粒子酸化部4
で酸化処理を行うと共に核沸騰により分散性のよい改質
粒子である親水性粒子42bを形成するには、粒子42
を懸濁液22の状態にて、あるいは懸濁液22を液滴2
2aにて粒子酸化部4に供給するときに、粒子42を適
切な量の酸性液43で被覆しておく必要がある。
【0087】粒子42を含む懸濁液22の温度が所定値
よりも高くなると、粒子42が溶けて互いに融着して凝
集したり、粒子酸化部4に供給された粒子42に付着し
ている酸性液43が少なく充分な酸化や分散が行われな
くなったりという不都合が生じる。
【0088】そこで、懸濁液22の温度を検知する前記
の温度検知器28を設け、その検知結果に基づき温度制
御手段(図示せず)により懸濁液22の温度を規定範囲
内に収まるよう制御する必要がある。温度検知器28と
しては、例えば、熱電対や抵抗温度計等が使用される。
本発明では、懸濁液22に酸性液43を使用しているた
め、温度検知器28の腐食を防止するために耐酸性の保
護管を設けたものを用いればよい。その温度制御の様子
を図8のフローチャートに示す。処理方法は図6と同様
であるので、その詳細な説明については省略する。
【0089】残量検知器29は、容器21内における懸
濁液22の残量を検知するものであり、図9(a)に示
すように、レーザ81からレーザ光をビームエキスパン
ダー82を用いて水平方向に広げ、一定の領域で垂直方
向にポリゴンミラー83を用いてスキャンし、スキャン
されたレーザ光を検知した検知器84の検知結果を、レ
ーザ81からレーザ光をビームスプリッター85で分岐
した比較用レーザ光を検知する参照光用検知器86の比
較用検知結果で規格化し、基準点から懸濁液22の上面
が検知されるまでの距離より求める方法や、図9(b)
に示すように、アース電極87に対して長さの相異なる
二本の各電極88a、88bにより懸濁液22の上面・
下面を検知する方法が適用されているものである。
【0090】残量検知器29の検知結果は、酸性液体5
2および共沸組成物53の各供給バルブ52a、53a
の制御にフィードバックされる。すなわち、下面を検知
した際には、酸性液体52および共沸組成物53が自動
的に粒子懸濁部2の容器21内に供給され、上面が検知
されると供給が停止するように構成されている。図10
に上記制御のフローチャートを示す。処理内容は図6と
同様であるので、ここでは省略する。
【0091】なお、上記酸性液体52および共沸組成物
53が供給されている際には、前記の液性検知器27に
て液性が検知されており、所定値となるよう両者の供給
量が調整される。また、このとき、両者を均一に混合す
るために、撹拌手段や分散部材である粒子分散装置24
により容器21内を撹拌および分散させるのが好まし
い。
【0092】次に、懸濁液22を液滴22aにして粒子
酸化部4に供給する際の制御について説明する。液滴2
2aにて供給する場合は、粒子懸濁部2の後段に、図1
1に示すように、懸濁液22から、噴霧等により液滴2
2aを形成する噴霧部材32を設け、さらに後段に上記
液滴22aの状態を検知する第1の状態検知手段31を
設けている。具体的には、懸濁液22を調製する上述し
た粒子懸濁部2と、懸濁液22から噴霧等によって粒子
42を含む液滴22aを生成する噴霧部材32とを備
え、噴霧部材32から得られ、気体輸送される液滴22
aの生成状態を検知する第1の状態検知手段31と、こ
の第1の状態検知手段31の後段に、さらに、第1の状
態検知手段31と同様の構成である後述する第2の状態
検知手段33とがさらに設けられている。
【0093】このような第1の状態検知手段31には、
光学測定器が好適に用いられ、筐体31hの内部に、光
源31a、レンズ31b、透光板31e・31f、光検
知部31g等が配設されることによって構成されてい
る。光源31aから出射された光は、筐体31hの内部
に導入された粒子42(液滴22a)によって散乱およ
び減光することにより、その光量が変化する。これによ
り、第1の状態検知手段31は、入射された光量に応じ
て光検知部31gから出力される信号に基づいて、粒子
42や液滴22aの粒子径および個数濃度をそれぞれ測
定できるようになっている。
【0094】なお、上記の第1の状態検知手段31は、
光透析・散乱法を採用して粒子径を測定する構成となっ
ているが、測定法は特に限定されるものではなく、例え
ば、X線透過法、沈降法、レーザ回折・散乱法、動的散
乱を利用した光子相関法等を採用することもできる。ま
た、光学的に測定する方法以外に、光学顕微鏡や電子顕
微鏡を使用する画像処理解析法等を採用することもでき
る。また、個数濃度に関しては、例えば光透過法により
求めることもできる。
【0095】第1の状態検知手段31を設けていること
により、噴霧部材32から供給される粒子42(液滴2
2a)の状態が常に確認できる。そのため、粒子42が
必要以上に互いに凝集することにより、粒子42の酸化
処理に悪影響を及ぼすことが回避される。また、供給さ
れる粒子42の数量を常に検知することができるため、
酸化処理の制御を容易化できる。
【0096】本発明に係る粒子表面酸化方法では、第1
の状態検知手段31は、液滴22aの粒子径を検知する
ものである。前述のように、液滴22aに核となる粒子
42が理想的に含まれている状態〔図4(a)、図4
(b)〕、核となる粒子42の凝集が著しい状態〔図4
(c)〕、核となる粒子42が含まれていない状態〔図
4(d)〕では、それぞれ、液滴22aの粒子径が互い
に異なっている。それゆえ、液滴22aが理想的な状態
に形成されているか否かは、該液滴22aの粒子径を検
知することにより判定することが可能となる。
【0097】粒子径検知器である第1の状態検知手段3
1によって検知された液滴22aの粒子径(検知結果)
は、粒子懸濁部2および噴霧部材32に対し、図中破線
矢印にて示したように、フィードバックされ、この検知
結果に基づいて、粒子懸濁部2および噴霧部材32は、
液滴22aの生成を調節することになる。
【0098】このフィードバック制御について説明する
と、図12に示すように、まず、S101として、第1
の状態検知手段31により、1回目の粒子径の検知を行
う(X=1)。次に、S102として、この検知結果
(液滴22aの実際の粒子径)と基準値(液滴22aの
理想的な粒子径)とを比較して、上記検知結果が、規定
の範囲内にあるか否か判定する。
【0099】上記検知結果が規定の範囲内であれば、粒
子径の検知を継続して行うが、規定の範囲外であれば、
これらの粒子42は酸化処理を行っても充分な処理が行
われない可能性があるため、S103として、不適切な
ものであることにより不要な液滴22aを貯留部47に
回収し(方法については後述)、S104として粒子懸
濁部2および噴霧部材32について調節する。
【0100】例えば、検知結果が規定範囲よりも大きけ
れば、図4(c)に示すように、液滴22aに多くの粒
子42が凝集した凝集粒子42aが生成していることに
なるため、核となる粒子42の個数(つまり個数濃度)
を減少させるように、粉体供給源51の供給バルブ51
aを調節する。一方、検知結果が規定範囲よりも小さけ
れば、図4(d)に示すように、液滴22a中に粒子4
2が含まれていないことになるため、核となる粒子42
の個数(つまり個数濃度)を増加させるように、粉体供
給源51の供給バルブ51aを調節する。
【0101】粒子42の凝集度合いが著しくなる場合
は、上記したように粒子懸濁部2中の個数濃度(粒子濃
度)が適切でないこと以外に、懸濁液22中にて粒子4
2が均一に分散していないことが考えられる。そのとき
は、撹拌手段や分散部材である粒子分散装置24の出力
を調整し、適切な分散状態となるようにすればよい。
【0102】また、粒子懸濁部2中にて粒子42が均一
に分散されていたとしても、液滴22aの生成条件が適
切でなく、液滴22a同志が凝集していたり、液滴22
a中に粒子42が含まれていなかったりすることが考え
られる。この場合は、液滴22aの生成条件(噴霧部材
32の出力)を調整すればよい。
【0103】次に、S105として、液滴22aの粒子
径を複数回検知する(X=n:nは2以上の整数)。こ
れら複数回の各検知結果を基準値と比較し(S10
6)、これらの検知結果が規定範囲内であれば、酸化処
理のプロセスは続行し、粒子径の検知を継続するが、規
定範囲外の状態(例えば、複数の検知結果が正常な液滴
22aが形成されていると見なされない範囲にあると
き)であれば、粒子懸濁部2、噴霧部材32、第1の状
態検知手段31に異常が発生していると判断し、粒子懸
濁部2、噴霧部材32、第1の状態検知手段31の点検
を行うように指示する表示や、警報の発令を行う(S1
07)。なお、表示および警報は同時になされていても
よいし、一方のみであってもよい。
【0104】第1の状態検知手段31における粒子径の
検知方法としては、前述の光学測定部と同様な方法を用
いることができるが、特に限定されるべきものではな
く、液滴22aの径を測定できるものであればよい。ま
た、前述したこれら方法は適宜組み合わせることができ
る。
【0105】噴霧部材32の出力調整方法は、噴霧部材
32の構成に基づいて適宜選定されるものであり、特に
限定されるものではない。例えば図13(a)〜(d)
に示すように、懸濁液22の噴霧により液滴22aにし
て粒子42を供給する場合では、バッフルの径を変える
ことによる調整方法が挙げられる、また、遠心力法によ
り粒子42を液滴22aにて供給する場合では、回転数
を可変させる調整方法が挙げられる。ジェットに振動を
与えることにより粒子42を液滴22aにて供給する場
合では、振動周波数を可変することによる調整方法が挙
げられる。超音波振動法により粒子42を液滴22aに
て供給する場合では、超音波の周波数を可変することに
よる調整方法が挙げられる。
【0106】図11に示す第1の状態検知手段31や第
2の状態検知手段33は、液滴22aの粒子径を検知す
る粒子径検知器以外に、例えば、粒子42の個数濃度を
検知する個数濃度検知器であってもよい。
【0107】上述のように、液滴22aに核となる粒子
42が理想的に含まれている状態〔図4(a)、図4
(b)〕、核となる粒子42の凝集が著しい状態〔図4
(c)〕、および、核となる粒子42が含まれていない
状態〔図4(d)〕では、それぞれ、一定の空間内にお
いての液滴22aの個数(個数濃度)が互いに異なるこ
とになる。
【0108】そこで、第1の状態検知手段31を個数濃
度検知器として用いて、所定空間内に存在する液滴22
aの個数(すなわち個数濃度)を検知してやれば、前記
の粒子径を検知する場合と同様に、液滴22aの状態を
判定することが可能となる。この個数濃度を検知するこ
とで得られた検知結果も、粒子径の検知結果と同様に、
粉体供給源51の供給バルブ51a、粒子懸濁部2、噴
霧部材32にフィードバックされて懸濁液22やその液
滴22aの生成の制御に用いられる。これによって、得
られる液滴22aの状態を常に良好状態に保つことがで
きる。
【0109】このときのフィードバック制御は、基本的
に前記粒子径を検知して制御する場合と同様であり(図
14に示す)、その詳しい説明は省略する。なお、上述
した粒子径の検知と、個数濃度の検知とは、第1の状態
検知手段31として、それぞれ1種類ずつ用いられてい
てもよいが、それらを組み合わせて用いれば、より正確
な液滴22aの生成状態が確認できるため好ましい。ま
た、粒子径の検知と、個数濃度の検知とを、一つの検知
器で構成し、得られる信号より、粒子径と、個数濃度と
を検知する構成を用いてもよい。
【0110】本発明に係る粒子表面酸化方法では、上述
した第1の状態検知手段31を設けた場合に、この第1
の状態検知手段31における下流側、かつ、粒子酸化部
4の前段となる配管に対し、第2の状態検知手段33を
設けることが好ましい。第1の状態検知手段31および
第2の状態検知手段33との双方から得られる結果を比
較して、生成した液滴22aの分散状態や供給状態など
の異常をより正確に検知することができ、その検知結果
に基づき、供給バルブ51a、粒子懸濁部2の粒子分散
装置24や加熱部材25の出力を調整したり、噴霧部材
32からの液滴22aの個数濃度を調整したりすること
によって、液滴22aを、より一層安定して生成、供給
することが可能となる。
【0111】具体的には、例えば図15に示すように、
粒子径と個数濃度の双方を検知できる第1の状態検知手
段31を粒子供給部3の配管34に設けた場合、その配
管34の下流側に粒子径と個数濃度の双方を検知できる
第2の状態検知手段33を設け、さらに、第1の状態検
知手段31と第2の状態検知手段33との間の配管34
において、上記配管34に対し振動を付与するための振
動手段35を設けることが好ましい。
【0112】この第2の状態検知手段33で得られた検
知結果は、上述したように、第1の状態検知手段31の
検知結果と比較して液滴22aの形成条件や、図15に
おいて、破線矢印で示すように、振動手段35に関する
制御に対してフィードバックされる。
【0113】ここで、振動手段35について説明する。
本発明において、上記したように表面酸化を行う粒子4
2や酸性液43が粒子懸濁部2や噴霧部材32で生成し
た直後に、配管34の管壁に付着するような場合があ
る。そこで、配管34を振動させる振動手段35を設け
たことによって、粒子42や酸性液43の付着を防止す
る。これによって、付着した酸性液43や粒子42によ
り配管34が閉塞するようなことが回避され、良好、か
つ効率的で、安定な液滴22aの製造および搬送(気体
輸送)が可能となる。
【0114】上記振動手段35としては、配管34に対
して機械的な振動を加えることが可能であるものであれ
ば、特に限定されるものではないが、例えば、超音波振
動によるものや、ハンマー等により振動を与えるものな
どが挙げられる。
【0115】上記振動手段35は、粒子供給部3におけ
る配管34部分の全般にわたって設けることによって、
配管34の閉塞を効果的に防止することができる。な
お、配管34を製造するに当たっての製造コストや配管
34の稼働させる際のランニングコスト状の問題を考慮
した上で、上記振動手段35は、特に閉塞し易い部位の
みに設けてもよい。
【0116】上記振動手段35は、前記したように、第
1の状態検知手段31および第2の状態検知手段33の
検知結果に応じて稼働するようにしてもよい。なお、上
記振動手段35による振動の周波数は特に限定されるも
のではなく、配管34内が閉塞しない程度の振動を与え
ることができればよい。
【0117】上記配管34は、振動手段35による閉塞
の防止以外に、前述したように、配管34の材質の選定
によっても閉塞を防止することができる。具体的には、
配管34の材質を、液滴22aの主成分との親和性の低
い材質とすることが挙げられる。配管34の材質が、液
滴22aの主成分と親和性が低いものであれば、すなわ
ち、液滴22aを形成する懸濁液22と配管34の材質
とが馴染み難いものであれば、配管34の閉塞をより一
層効果的に防止することができる。
【0118】懸濁液22(すなわち液滴22a)に水系
のものを用いる場合は、配管34は疎水性の材質であれ
ばよい。上記配管34における内壁の材質としては、フ
ッ素樹脂やポリスチレン、表面を粗くしたフラッシング
ガラス等が挙げられる。しかしながら、上記配管34の
具体的な材質としては、上述した液滴22aの主成分と
の親和性が低く、かつ、配管34としての所定の強度や
耐久性が得られるものであれば、特に限定されるもので
はない。
【0119】上記第1の状態検知手段31および第2の
状態検知手段33にて粒子径を検知し、両者の検知結果
を比較して得られた結果が所定の範囲外であれば、液滴
22aが凝集しているものと考えられ、液滴22aの粒
子径や個数濃度が適切でない(例えば、粒子径:大きす
ぎる、個数濃度:高すぎる)と判断される。よって、こ
れらの値を適切に制御するために、懸濁液22中の個数
濃度や上記した液滴22aの生成条件の調整が行われ
る。
【0120】このように不適切に形成された液滴22a
については、酸化処理を行っても、十分な処理が行われ
ない可能性があるため、供給バルブ36を閉止し、回収
バルブ37を開き、上記液滴22aの酸性液43や粒子
42を貯留部47に回収すればよい。
【0121】上記第1の状態検知手段31および第2の
状態検知手段33により、正常な液滴22aが形成され
ていると判断されると、供給バルブ36を開き、回収バ
ルブ37を閉止して、上記液滴22aの粒子42に対し
酸化処理が施される。
【0122】また、上記第1の状態検知手段31および
第2の状態検知手段33により、液滴22aの個数濃度
に異常(後段の個数濃度が極端に低下した)を検知した
場合は、配管34の管壁に液滴22aの酸性液43や粒
子42が付着し、配管34が閉塞していると判断される
ので、酸化処理を停止し、前記振動手段35を稼働させ
るように設定されていることが好ましい。その際、粒子
42は凝集していることが有り得るため、各供給バルブ
36、38を閉止し、回収バルブ37およびガス供給バ
ルブ39を開いて、第1気体導入口57より清浄気体を
配管34内に導入し、上記と同様に不適切な液滴22a
(配管34に管壁に付着したり、粒子42が凝集したり
した)を貯留部47に回収すればよい。このとき、導入
される清浄気体は、液滴22aの酸性液43や粒子42
を効率よく回収するために、パルス状つまり断続的に供
給することが好ましい。
【0123】上記の回収処理を一定時間行った後、各供
給バルブ36、38をそれぞれ開くと共に、回収バルブ
37およびガス供給バルブ39を閉止して、再度、酸化
処理を行えばよい。上記清浄気体の導入は、粒子懸濁部
2に供給される清浄気体の配管ラインから分岐して設け
ることができ、新たな配管系や気体供給源を配置する必
要はない。
【0124】前記の第2の状態検知手段33をさらに粒
子径検知器および個数濃度検知器として設けた場合にお
けるフィードバック制御については、図16および図1
7に示すように、前述した第1の状態検知手段31のフ
ィードバック制御系とほぼ同一であるので、それらの詳
しい説明は省略する。
【0125】なお、第1の状態検知手段31のみの場合
では、第1の状態検知手段31の検知結果と基準値とを
互いに比較していたが、図16および図17に示すフロ
ーチャートに記載のS122およびS132において
は、第2の状態検知手段33をさらに設けている場合で
あるので、第1の状態検知手段31と第2の状態検知手
段33との各検知結果を互いに比較して、これらの検知
結果の差が規定値の範囲外であるか否かを判定するよう
に設定されている点が第1の状態検知手段31のみの場
合と異なっている。
【0126】上記は液滴22aの粒子径や個数濃度を検
知し、フィードバック制御する方法について説明した
が、粒子42を酸性液43に分散させた状態、つまり懸
濁液22の状態で供給する場合も同様の手法にて制御す
ることが可能である。その際は、液滴22aではなく、
懸濁液22中の粒子42の径や個数濃度を検知し、粒子
懸濁部2における懸濁液22の調製制御にフィードバッ
クさせればよい。
【0127】以上説明したように、本発明の粒子表面酸
化方法においては、粒子懸濁部2および粒子供給部3に
おいて、各種検知手段を設け、それらの検知結果をもと
に供給源や制御系にフィードバック制御をかける構成に
なっている。このことにより、上記方法では、粒子42
の酸化処理を行うに当たり、処理された親水性粒子42
bを制御よく安定して形成することができる。
【0128】また、各検知手段により同じ供給源や制御
系にフィードバック制御がかけられることがあるが、そ
の際は、例えば、現象を直接検知するものを主とし、現
象を間接的に検知するものを従、すなわち、現象の検知
の直接的または間接的を確認するようにして構成するこ
とも可能である。あるいは、複数の検知結果を組み合わ
せてフィードバックをかけたり、問題発生の要因を特定
したりするように設定しても構わない。
【0129】さらに、粒子径が揃い、より均一に分散さ
れた親水性粒子42bを製造するには、粒子酸化部4に
輸送される懸濁液22や液滴22aの流量や温度などを
検知して、常に一定となるように制御し、また、異常な
どが生じた場合には速やかに対処することが必要であ
る。次に、それらの制御および異常時の回収処理につい
て説明する。
【0130】まず、流量検知手段について説明する。例
えば図15に示すように、流量検知手段34bとして
は、耐酸性の保護管等を設けた熱線風速計などを用いる
ことができ、例えば粒子酸化部4に対し、輸送方向の上
流側、すなわち手前近傍に設置される。流量を制御する
には、粒子供給部3の処理空間において、例えば、開閉
可能な供給バルブ36を設けておき、供給バルブ36の
開閉度合いにより流量を調整すればよい。粒子42を液
滴22aにより供給する際には、供給バルブ36により
液滴22aが遮断されることが生じるが、これらは、鉛
直方向の下方に設けられた貯留部47にて回収される。
【0131】この流量検知手段34bを用いたフィード
バック制御について説明する。図18に示すように、ま
ず、S201として、粒子供給部3における処理空間の
輸送気体または、輸送液体の流量を検知する。次に、S
202として、検知結果と予め設定されている基準値と
を比較し、この比較結果(ここでは検知結果と基準値と
の差)が規定範囲内であるか否かを判定する。
【0132】規定範囲内であれば、再び、処理空間の流
量の検知を行う(すなわち、S201に戻る。このと
き、上記比較結果が規定範囲内であったとしても、その
差を補正するように制御装置(上記のバルブの開閉等)
の出力は可変される。)。
【0133】一方、上記比較結果が規定範囲外のとき、
流量が変動する要因として、気体供給源(図示せず)、
粉体(粒子)供給源51、酸性液体供給源52や、粒子
懸濁部2(酸性液43に含まれる粒子42の量や液滴2
2aの生成状態、すなわち、粒子懸濁部2の個数濃度や
分散度あるいは噴霧部材32の出力)が変化しているこ
とが考えられる。
【0134】この場合は、S203として、気体供給源
(図示せず)、粉体(粒子)供給源51、酸性液体供給
源52や、粒子懸濁部2の出力を調整し、S204とし
て、上記出力調整後、処理空間の流量の検知を所定回数
行い、S205として、検知結果と予め設定されている
基準値と比較し、この比較結果が規定範囲内であるか否
かを判定する。
【0135】規定範囲内であれば、再び、処理空間の流
量の検知を行う。一方、規定範囲外であれば、流量検知
手段、流量を制御する制御手段、気体供給源、粉体(粒
子)供給源51、酸性液体供給源52、あるいは粒子懸
濁部2に異常があるものと見なし、S206として、こ
れらの点検を行う指示を表示したり、警報を発令したり
する。
【0136】また、上記比較結果が規定範囲外のとき、
流量が変動する原因として、配管34内の閉塞が考えら
れる。そのときは、図19に示すように、S213とし
て、前述の振動手段35を稼働させて不要な酸性液43
や粒子42を回収し(S214)、その後、S215と
して、処理空間の流量の検知を所定回数行い、S216
として、検知結果と予め設定されている基準値とを比較
し、この比較結果が規定範囲内であるか否かを判定す
る。
【0137】規定範囲内であれば、再び、処理空間の流
量の検知を行う。一方、規定範囲外であれば、流量検知
手段、流量を制御する制御手段、気体供給源、あるいは
配管34に異常があるものと見なし、S217として、
これらの点検をおこなう指示を表示したり、警報を発令
したりするように設定すればよい。この場合、さらに、
流量検知手段34bの上流側にさらに、第2の流量検知
手段34dを設けることにより、配管34の領域で閉塞
が生じているのか(配管の水平部の領域か、鉛直方向の
領域か)を把握することができるので、その結果を基
に、閉塞を生じた箇所に振動を付与するようにすれば
い。
【0138】配管34の閉塞が水平部にて生じているな
らば、各供給バルブ36、38をそれぞれ閉止すると共
に、回収バルブ37およびガス供給バルブ39を開い
て、第1気体導入口57より清浄気体をパルス状にて導
入すればよく、配管34の鉛直部分で生じた際には、搬
入用バルブ40およびバルブ54を閉止する共に回収バ
ルブ37、供給バルブ36およびガス供給バルブ55を
開いて、第2気体導入口56より清浄気体をパルス状に
て導入し、不要な酸性液43や粒子42を回収すればよ
い。
【0139】次に、温度検知手段について説明する。図
15に示すように、温度検知手段34aとしては具体的
には、前述の温度検知器28と同様のものを用いること
ができ、流量検知手段34bに近接して配置されてい
る。粒子酸化部4に導入される直前にて、粒子42を含
む酸性液43、あるいは液滴22aの系全体の温度を検
知することにより、供給されるされる粒子42の状態
(融着や凝集といった現象)を把握することができ、ま
た、本結果を基に、粒子酸化部4にて供給する必要なエ
ネルギー(温度)を設定することが可能である。
【0140】上記温度検知手段34aを状態検知手段と
して用いた場合のフィードバック制御を図20を用いて
説明する。S221およびS222の処理は流量検知の
場合におけるS211およびS212と同様であるの
で、その説明を省略する。
【0141】粒子供給部3の処理空間にて、温度検知手
段の結果が規定範囲外のとき、粒子懸濁部2から温度検
知手段までの配管34中にて異常が生じている可能性が
高いと判断される。なぜなら、粒子懸濁部2内における
懸濁液22の異常も有り得るが、上記懸濁液22は、前
述の図5にて示したように、別途温度検知がなされてお
り、異常が生じたならば、その際に検知されるからであ
る。
【0142】粒子懸濁部2からの温度検知手段34aま
での配管34部分で異常が生じる要因としては、配管3
4に設けられている加熱手段34eの動作不良、粒子4
2を含む懸濁液22や液滴22aを輸送する輸送気体の
流量が所定量から外れており、規定量の粒子42を含む
懸濁液22や液滴22aが供給されていない、あるい
は、前記粒子42を含む懸濁液22や液滴22aの出力
が適切でないこと等が考えられる。
【0143】そこで、S223として、気体供給源、粒
子懸濁部2(粉体供給源51、酸性液供給源52等の各
供給バルブ51a、52a、撹拌手段や分散部材を含む
粒子分散装置24、噴霧部材32)や、配管34内の各
加熱手段34eの出力を調整し、S224として、上記
出力調整後、処理空間の温度の検知を所定回数行い、S
225として、検知結果と予め設定されている基準値と
を比較し、この比較結果が規定範囲内であるか否かを判
定する。
【0144】規定範囲内であれば、再び、処理空間の温
度の検知を行う。一方、規定範囲外であれば、気体供給
源(図示せず)からの不活性ガス23、粒子懸濁部2、
配管34の加熱手段34e、温度の制御手段(図示せ
ず)、あるいは温度検知手段34aに異常があるものと
見なし、S226として、これらの点検を行う指示を表
示したり、警報を発令したりするように設定されてい
る。
【0145】また、粒子酸化部4の直前の温度を検知す
る場合も、流量検知の場合と同様に、温度検知手段34
aの上流側に、第2の温度検知手段34cを設けること
により、温度異常の発生領域を特定することができるの
で、その結果を基に、速やかに対応することが可能とな
る。なお、当処理空間での温度検知結果を粒子酸化部4
にフィードバックする制御に関しては以下の粒子酸化部
4の制御でまとめて説明する。
【0146】また、粒子供給部3の処理空間には、粒子
酸化部4に供給される直前の、懸濁液22中の粒子42
や液滴22aの状態を検知する第3の状態検知手段48
が上記処理空間の下流側に設けられている。
【0147】上記第3の状態検知手段48を設けている
ことにより、粒子酸化部4に供給される直前の粒子42
の状態が常に確認できる。すなわち、供給される粒子4
2の数量を常に検知することができるため、粒子42に
対する酸化処理の制御を容易化することができる。以下
では、液滴22aの状態で粒子42を供給する場合を例
にとって説明する。
【0148】本発明に係る粒子表面酸化方法では、第3
の状態検知手段48が、液滴22aの粒子径を検知する
するものである。前述のように、液滴22aに核となる
粒子42が理想的に含まれている状態〔図4(a)、図
4(b)〕、核となる粒子42の凝集が著しい状態〔図
4(c)〕、核となる粒子42が含まれていない状態
〔図4(d)〕では、それぞれ、液滴22aの粒子径が
互いに異なっている。それゆえ、液滴22aが理想的な
状態に形成されているか否かは、該液滴22aの粒子径
を検知することにより判定することが可能となる。
【0149】粒子径検知器である第3の状態検知手段4
8によって検知された液滴22aの粒子径(検知結果)
は、粒子懸濁部2および噴霧部材32にフィードバック
され、この検知結果に基づいて、粒子懸濁部2および噴
霧部材32は、液滴22aの生成を調節することにな
る。このフィードバック制御については、前述の図12
に示した制御方法と同様であるので、それらの詳細な説
明を省く。
【0150】第3の状態検知手段48における粒子径の
検知方法としては、前述の光学測定部と同様な方法を用
いることができるが、特に限定されるべきものではな
く、液滴22aの径を測定できるものであればよい。ま
た、前述したこれら方法は適宜組み合わせることができ
る。
【0151】上記の第3の状態検知手段48は、液滴2
2aの粒子径を検知する粒子径検知器以外に、例えば、
粒子42の個数濃度を検知する個数濃度検知器として用
いることもできる。
【0152】上述のように、液滴22aに核となる粒子
42が理想的に含まれている状態〔図4(a)、図4
(b)〕、核となる粒子42の凝集が著しい状態〔図4
(c)〕、および、核となる粒子42が含まれていない
状態〔図4(d)〕では、それぞれ、一定の空間内にお
いての液滴22aの個数(個数濃度)が互いに異なるこ
とになる。
【0153】具体的には、1つの液滴22aに粒子42
が著しく凝集して含まれているような状態では、液滴2
2aの数量は、基本的に核となる粒子42の数量に依存
するため、液滴22aに粒子42が理想的に含まれてい
る状態を基準とすると、この液滴22aの数量は少なく
なる。一方、粒子42が液滴22aに含まれていないよ
うな場合では、液滴22aの数量が核となる粒子42の
数量に依存しなくなるため、いくらでも液滴22aが形
成される可能性があり、結果として液滴22aの数量が
多くなることになる。
【0154】そこで、個数濃度検知器としての第3の状
態検知手段48によって、所定空間内に存在する液滴2
2aの個数(すなわち個数濃度)を検知してやれば、前
記の粒子径を検知する場合と同様に、液滴22aの状態
を判定することができる。この個数濃度を検知すること
で得られた検知結果も、粒子径の検知結果と同様に、粉
体供給源51の供給バルブ51a、粒子懸濁部2、噴霧
部材32にフィードバックされて懸濁液22やその液滴
22aの生成の制御に用いられる。これによって、得ら
れる液滴22aの状態を常に良好状態に保つことができ
る。
【0155】このときのフィードバック制御は、基本的
に前記粒子径を検知して制御する場合と同様であり(図
14に示す)、その詳しい説明は省略する。なお、上述
した粒子径の検知と、個数濃度の検知とは、第3の状態
検知手段48として、それぞれ1種類ずつ用いられてい
てもよいが、それらを組み合わせて用いれば、より正確
な液滴22aの生成状態が確認できるため好ましい。ま
た、粒子径の検知と、個数濃度の検知とを、一つの検知
器で構成し、得られる信号より、粒子径と、個数濃度と
を検知する構成を用いてもよい。
【0156】本発明に係る粒子表面酸化方法では、上述
した第3の状態検知手段48の上流側に、さらに状態検
知手段を設けることが好ましい。上記では、例えば図1
5に示したように、粒子供給部3に設けられた第2の状
態検知手段33を用いることができる。第3の状態検知
手段48および第2の状態検知手段33との双方から得
られる結果を比較して、生成した液滴22aの分散状態
や供給状態などの異常をより正確に検知することがで
き、その検知結果に基づき、供給バルブ51a、粒子懸
濁部2の粒子分散装置24や加熱部材25の出力を調整
したり、噴霧部材32からの液滴22aの個数濃度を調
整したりすることによって、液滴22aをより一層安定
して生成、供給することが可能となる。
【0157】具体的には、粒子径と個数濃度の双方を検
知できる第3の状態検知手段48を設けた場合、その第
3の状態検知手段48の上流側に粒子径と個数濃度の双
方を検知できる第2の状態検知手段33を設け、さら
に、第3の状態検知手段48と第2の状態検知手段33
との間の配管34において、上記配管34に対し振動を
付与するための前述と同様な振動手段35を設けること
が好ましい。この第3の状態検知手段48で得られた検
知結果は、上述したように、第2の状態検知手段33の
検知結果と比較して液滴22aの形成条件や、図15に
おいて、破線矢印で示すように、振動手段35の制御に
対してフィードバックされる。
【0158】上記第3の状態検知手段48および第2の
状態検知手段33にて粒子径を検知し、両者の検知結果
を比較して得られた結果が所定の範囲外であれば、液滴
22aが凝集しているものと考えられ、液滴22aの粒
子径や個数濃度が適切でない(例えば、粒子径:大きす
ぎる、個数濃度:高すぎる)と判断される。よって、こ
れらの値を適切に制御するために、懸濁液22中の個数
濃度や上記した液滴22aの生成条件の調整が行われ
る。
【0159】このように不適切に形成された液滴22a
については、酸化処理を行っても、十分な処理が行われ
ない可能性があるため、前述と同様に、搬入用バルブ4
0およびバルブ54を閉止する共に回収バルブ37、供
給バルブ36およびガス供給バルブ55を開いて、第2
気体導入口56より清浄気体をパルス状にて導入し、不
要な酸性液43や粒子42を貯留部47に回収すればよ
い。
【0160】また、上記第3の状態検知手段48および
第2の状態検知手段33により、液滴22aの個数濃度
に異常(後段の個数濃度が極端に低下した)を検知した
場合は、配管34の管壁に液滴22aの酸性液43や粒
子42が付着し、配管34が閉塞していると判断される
ので、酸化処理を停止し、前記振動手段35を稼働させ
るように設定されていることが好ましい。その際、振動
手段35を稼働後は、上述と同様にして、不適切な液滴
22a(配管34に管壁に付着したり、粒子42が凝集
したりした)を貯留部47に回収すればよい。
【0161】上記の回収処理を一定時間行った後、搬送
バルブ40、バルブ54をそれぞれ開くと共に、回収バ
ルブ37およびガス供給バルブ55を閉止して、再度、
第3の状態検知手段48および第2の状態検知手段33
により、液滴22aの個数濃度を検知し、両者の比較結
果が規定範囲内に入っている場合、酸化処理を行えばよ
い。上記清浄気体の導入は、粒子懸濁部2に供給される
清浄気体の配管ラインから分岐して設けることができ、
新たな配管系や気体供給源を配置する必要はない。
【0162】第3の状態検知手段48および第2の状態
検知手段33を設けた場合におけるフィードバック制御
については、図21および図22に示すように、前述し
た第3の状態検知手段48のフィードバック制御系とほ
ぼ同一であるので、それらの詳しい説明は省略する。
【0163】図21および図22に示すフローチャート
に記載のS232およびS242は、第3の状態検知手
段48のみの場合では、第3の状態検知手段48の検知
結果と基準値とを互いに比較していたが、第2の状態検
知手段33をさらに設けている場合は、第3の状態検知
手段48と第2の状態検知手段33との各検知結果を互
いに比較して、これらの検知結果の差が規定値の範囲外
であるか否かを判定するように設定されている点が異な
っている。
【0164】上記は液滴22aの粒子径や個数濃度を検
知し、フィードバック制御する方法について説明した
が、粒子42を酸性液43に分散させた状態、つまり懸
濁液22の状態で供給する場合も同様の手法にて制御す
ることが可能である。その際は、液滴22aではなく、
懸濁液22中の粒子42の径や個数濃度を検知し、粒子
懸濁部2における懸濁液22の調製制御にフィードバッ
クさせればよい。
【0165】さらに、粒子酸化部4には、図23に示す
ように、管41の温度を検知するための温度検知手段4
4aが、搬送方向に沿って、例えば、3ヵ所、それぞ
れ、設けられている。また、粒子酸化部4の搬出口46
の近傍となる、下流側の配管41aには、搬送方向に沿
って、振動手段49a、流量検知手段49b、第4の状
態検知手段49がそれぞれ設けられている。
【0166】まず、第4の状態検知手段49について説
明する。第4の状態検知手段49は、酸化処理された親
水性粒子42bの状態を常にモニターするものであり、
異常な親水性粒子42bが形成されていることが検知さ
れると、その要因を除去するよう発生源にフィードバッ
クをかけることができる。
【0167】上記の酸化処理された親水性粒子42bの
状態検知として、得られた親水性粒子42bの粒子径が
挙げられる。本発明は、酸性液43中の粒子42を核と
して核沸騰させ、そのときの相変化による体積の急激な
膨張を、凝集粒子42aを分散させる外力として利用す
ることにより、粒子42表面の酸化処理を行うと共に均
一に分散した親水性粒子42bを得るものである。よっ
て、正常な処理がなされていれば、処理後の親水性粒子
42bは凝集することなく分散していることから、第4
の状態検知手段49では、粒子42における1個ずつの
粒子径が検知される。
【0168】しかしながら、何らかの異常により、粒子
径が大きくなったり、場合によっては何も観測されなか
ったりすることが有り得る。粒子径が大きくなる、すな
わち、得られた親水性粒子42bが凝集する要因として
は、前述したように、粒子懸濁部2での撹拌や分散が充
分でなく、懸濁液22中で粒子42が凝集している、あ
るいは液滴22aの生成条件が不適切であることが挙げ
られる。
【0169】また、粒子懸濁部2で粒子42を含む懸濁
液22や噴霧部材32において液滴22aが正常に形成
されていたとしても、粒子酸化部4での加熱温度が充分
でなく、粒子42の分散が不十分であることが考えられ
る。一方、懸濁液22での撹拌や分散が充分でなかった
り、噴霧部材32での液滴22aの生成条件が不適切
で、懸濁液22や液滴22a中に粒子42が含まれてい
ない時には、粒子径としては何も観測されなくなる。
【0170】これらのことから、粒子径の検知結果を基
に、上記供給源や制御系にフィードバック制御をかける
ことにより、要因を速やかに抽出し安定して粒子42の
酸化処理を行うことが可能になる。
【0171】上記の処理を図24のフローチャートに示
す。なお、処理方法は図12に示した液滴22aにおけ
る粒子径の検知に基づく制御方法と同様であるので、そ
の詳細は省略する。また、規定範囲外の親水性粒子は、
第3の気体導入口58より清浄気体を導入し、下方の貯
留部47に回収すればよい。その詳細方法については別
途後述する。
【0172】第4の状態検知手段49は、酸化処理後の
親水性粒子42bの粒子径を検知する粒子径検知器以外
に、例えば、得られた親水性粒子42bの個数濃度を検
知する個数濃度検知器であってもよい。粒子供給部3を
介して粒子酸化部4に供給された粒子42は、酸化処理
と共に分散されるため、酸化処理後の親水性粒子42b
の数は処理前と比較して増加する。よって、第4の状態
検知手段49にて個数濃度を検知する場合は、粒子供給
部3の処理空間に設けられた第3の状態検知手段48と
組み合わせて用いるのが好ましい。
【0173】その様子を図25および図26に示す。ま
ず、S261として、第4の状態検知手段49にて酸化
処理された親水性粒子42bの個数濃度を検知する。次
に、S262として、その検知結果を、第3の状態検知
手段48の検知結果と比較し、親水性粒子42bの個数
濃度が増加しているか否かを判定する。増加していれ
ば、再び、個数濃度の検知を行う(すなわち、S251
に戻る)。
【0174】一方、上記比較結果が増加していない時
は、S263として、第4の状態検知手段49の検知結
果と、第3の状態検知手段48の検知結果を比較し、親
水性粒子42bの個数濃度が、ほぼ同等か、または減少
しているかを判定する。
【0175】その結果、ほぼ同等、すなわち、酸化処理
が正常に行われていないと判断された場合、その要因と
して、上記で示したように懸濁液22中で粒子42が凝
集している、あるいは、噴霧部材32での液滴22aの
生成条件が不適切であることが挙げられる。また、粒子
懸濁部2で粒子42を含む懸濁液22や、噴霧部材32
にて液滴22aが正常に形成されていたとしても、粒子
酸化部4での加熱温度が充分でなく粒子42の分散が不
十分であることが考えられる。
【0176】この場合、S264として、粒子懸濁部2
の粒子分散装置24や加熱部材25の出力や、噴霧部材
32を調整したり、さらに、粒子酸化部4の加熱手段で
ある電気炉44の出力を調整したりし、続いて、S26
5として、上記出力調整後、前述の個数濃度の検知を所
定回数行い、S266として、第4の状態検知手段49
および第3の状態検知手段48の検知結果を比較し、個
数濃度が増加しているか否かは判定する。増加していれ
ば、再び、個数濃度の検知を行い、酸化処理を続行す
る。
【0177】一方、個数濃度がほとんど増加しておら
ず、ほぼ同等のレベルと見なされれば、粒子懸濁部2の
粒子分散装置2や加熱部材25、噴霧部材32、さら
に、粒子酸化部4における、電気炉44、温度検知手段
44a、図示しない温度制御手段に異常が有るものと見
なし、S267として、これらの点検を行う指示を表示
したり、警報を発令したりするように設定されている。
【0178】一方、S263にて、第4の状態検知手段
49の検知結果と第3の状態検知手段48の検知結果を
比較し、親水性粒子42bの個数濃度が減少していると
判定された場合は、粒子酸化部4の管41内の閉塞が、
不良の要因と考えられる。
【0179】そこで、まず、清掃回数としてY=1を設
定し(S268)とし、続いて、各振動手段48a、4
9aを稼働させて粒子酸化部4を振動させ(S26
9)、図23に示した第3の清浄気体導入口58より清
浄気体をパルス状で導入して管41内の清掃を行う(S
270)。
【0180】このような清掃のとき、ガス供給バルブ6
3を開き、搬出バルブ64を閉じ、図15に示す搬入用
バルブ40、回収バルブ37、および供給バルブ36を
開いて、ガス供給バルブ55およびバルブ54を閉じて
おき、粒子懸濁部2、噴霧部材32および気体供給源
(図示せず)に対し悪影響が及ばないように設定され、
管41内の不良品は、貯留部47に回収されるようにな
っている。
【0181】また、導入される清浄気体は、前記したよ
うにパルス状に供給するのが好ましい。第3の清浄気体
導入口58も他の場合と同様に粒子懸濁部2に輸送用の
気体を供給する配管系より分岐して設ければよい。
【0182】一定時間、清掃を行った後、再度、S27
1として、酸化処理を再開して、複数回、第4の状態検
知手段49と第3の状態検知手段48とで、それぞれ個
数濃度を検知し、続いて、S272として、それらの検
知結果を比較し、前者の結果が後者より減少していなけ
れば、再開した酸化処理を続行する(S261に戻
る)。
【0183】一方、依然として、減少していれば、前述
の設定値Yがm(1以上の正の整数)に達しているか否
かを判定し(S273)、設定値Yがmに達していない
場合には、管41への振動付与および清浄気体による清
掃を、前述の設定値Yの値を、例えば1ずつ増加させな
がら(S274)行う(すなわちS268に戻り、この
ループを繰り返す)。
【0184】さらに、上記清掃を所定回数繰り返し、つ
まり、前述の設定値Yがmに達した場合(S273)、
つまり所定回数の清掃を行っても異常が回復しないとき
は管41内に異常が生じている、あるいは、第4の状態
検知手段49や第3の状態検知手段48が正常に動作し
ていないと判定されて、これらの点検を行う指示を表示
したり、警報を発令したりするように設定されている
(S275)。
【0185】ここで、第4の状態検知手段49および第
3の状態検知手段48にて、それぞれ、個数濃度を検知
するとき、そのタイミングが問題となる。
【0186】粒子42を含む懸濁液22や液滴22a
は、通常時、ほぼ一定の速度で輸送されているので、ど
のタイミングで個数濃度を検知しても、粒子42と親水
性粒子42bとの間での個数濃度に関する増加の有無は
凡そ検知することはできる。しかしながら、懸濁液22
や液滴22aの供給速度つまり輸送速度が変動しないと
はいいきれないし、異常時には供給速度は大きく変動す
る。
【0187】そこで、第4の状態検知手段49および第
3の状態検知手段48での各検知を、より正確に行うた
めに、それらの各検知を同期させて、つまり、第3の状
態検知手段48にて検知され、上記第3の状態検知手段
48を通過した各粒子42が、搬送されながら粒子酸化
部4にて酸化処理されて各親水性粒子42bとなり、そ
の各親水性粒子42bの状態(例えば個数濃度や粒子
径)を第4の状態検知手段49において検知することが
好ましい。
【0188】上記第3の状態検知手段48および第4の
状態検知手段49間で同期をとるには、まず、第3の状
態検知手段48で検知開始する際にトリガーパルスを発
生し、次に個数濃度を検知する毎にパルスを生成し、第
4の状態検知手段49および第3の状態検知手段48間
の距離および粒子42の供給速度(輸送速度)より決定
される経過時間だけ遅延させて、上記パルスを第4の状
態検知手段49に入力し、第4の状態検知手段49で
は、上記パルスを検知した際に、そのときに通過した親
水性粒子42bのデータを取り込み、そのデータを出力
するように設定すればよい。
【0189】個数濃度の検知では、粒子42の増加に関
しての情報は得られるが、分散度に関しては不明なの
で、粒子径を検知する際に、上記と同様に第4の状態検
知手段49および第3の状態検知手段48での検知結果
を比較し、制御を行っても構わない。そのフローチャー
トを図27に示す。処理方法については、個数濃度の場
合の図25に示すS261〜S267(S263を除
く)と同様なので、その詳細な説明は省略する。
【0190】得られた親水性粒子42bに対し、酸化処
理が適切に行われているかを判定するには、第4の状態
検知手段49にて親水性粒子42bの粒子径をモニター
するのが確実な方法である。しかしながら、上記のよう
に第4の状態検知手段49および第3の状態検知手段4
8の検知結果を組み合わせることにより、粒子酸化部4
内での状態をより的確に把握することができ、また、不
良を生じる要因の特定がより確実に可能である。
【0191】上記では、第4の状態検知手段49および
第3の状態検知手段48の各検知結果を比較した際、不
適切である判定されたときの要因として、粒子懸濁部2
の粒子分散装置24や加熱部材25、噴霧部材32、粒
子酸化部4の電気炉44であることを示した。上記の
内、粒子分散装置24や加熱部材25、噴霧部材32に
関しては、粒子懸濁部2や粒子供給部3での各検知結果
を基にして判定することができる。
【0192】よって、不適切と判定された際に、粒子分
散装置24や加熱部材25、噴霧部材32については異
常が検知されない場合では、粒子酸化部4の温度制御系
に問題つまり要因があると判定できる。また、粒子径と
個数濃度の検知結果を組み合わせることにより、要因特
定の確実性を増すことができる。
【0193】次に、温度検知手段44aについて説明す
る。粒子酸化部4内の温度は、前述したように、供給さ
れる粒子42の量と密接な関係にあり、供給される粒子
42を均一に酸化処理し、かつ、凝集粒子42aを均一
に分散させるだけのエネルギーを与えるよう設定する必
要がある。よって、上記の条件を充たす上で、ある温度
以上に設定されていればよいが、必要以上に高くする必
要はない。
【0194】本発明では、前述したように、粒子酸化部
4に搬入される懸濁液22が加熱されていてもよく、よ
って、図23に示した、粒子酸化部4の直前の粒子供給
部3の処理空間での温度の測定結果を基に設定するのが
効率的である。すなわち、上記酸化処理に必要な温度T
pに対して、粒子供給部3の処理空間での温度Toとの
差Δtを粒子酸化部4にて供給すればよい。
【0195】粒子酸化部4での温度検知手段44aは、
もちろん、粒子酸化部4内の温度が一定になるよう制御
されるが、温度検知結果を基に粒子懸濁部2や噴霧部材
32等の粒子供給源側にフィードバックをかけることも
可能である。その様子を図28のフローチャートに示
す。
【0196】粒子酸化部4で異常が生じる要因として
は、粒子酸化部4に設けられている電気炉44や制御手
段の動作不良、懸濁液22や液滴22aを輸送する気体
の流量が所定量から外れており、規定量の懸濁液22や
液滴22aが供給されていない(粒子42を含まない液
滴22aや、粒子42の凝集が著しい等)、あるいは、
懸濁液22や液滴22aの出力が不適切であること等が
考えられ、これらに対して、それぞれフィードバック制
御を行えばよい。処理方法については、図20に示した
粒子供給部3における処理空間内の温度検知に基づく制
御方法の場合と同様であるので、ここでは省略する。
【0197】流量検知手段49bは、前記したように粒
子酸化部4の出口側に設けられており、粒子供給部3の
処理空間に設けられた各流量検知手段34b、34dで
の検知結果と比較し、粒子酸化部4内での閉塞の有無を
検知するのに用いられる。このときの処理方法に関する
フローチャートを図29に示す。その処理は、図25お
よび図26に示した第4の状態検知手段49および第3
の状態検知手段48にて粒子酸化部4内の閉塞を検知
し、それを除去する際の方法と同様に行うことができ
る。
【0198】なお、図29に示したS306として、粒
子酸化部4の出口側、および粒子供給部3の処理空間に
て、それぞれ、複数回流量の検知を行うとき、例えば図
15に示した第1気体導入口57より清浄気体を導入す
ればよく、液滴22a等を形成してそれらを導入する必
要はない。また、粒子酸化部4内の閉塞の有無を検知す
るにあたっては、前記第4の状態検知手段49および第
3の状態検知手段48と組み合わせて使用してもよい。
【0199】以上説明したように、本発明の粒子表面酸
化方法においては、粒子供給部3および粒子酸化部4に
おいて、各種検知手段を設け、その検知結果を基に、供
給源や制御系にフィードバックをかける構成となってい
ることにより、粒子42の酸化処理を精度よく効率的に
処理することができる。
【0200】各部での検知手段により同じ供給源や制御
系にフィードバックがかけられることがあるが、その際
は、例えば現象を直接検知するものを主とし、現象を間
接的に検知するものを従、すなわち、それら検知される
現象の主、従の確認を行うようにして構成することも可
能である。あるいは、複数の検知結果を組み合わせて相
互にフィードバックをかけたり、問題発生の要因を特定
するよう設定しても構わない。
【0201】次に、図13に示した各噴霧部材32の構
成の各例について以下に説明すると、まず、図13
(a)に示す噴霧部材32は、容器10a、ノズル1
1、懸濁液供給管15、バッフル(液滴径調節部)1
6、液滴供給管18などを備えている。ノズル11の先
端部11a、懸濁液供給管15の上端部15a、バッフ
ル16の先端部16aは、ほぼ一直線上にかつ水平とな
るように配置されている。
【0202】容器10aには、顔料等の疎水性の粒子、
例えばカーボンブラック粒子を酸性液43に懸濁してな
る懸濁溶液22が所定量、仕込まれている。尚、疎水性
の粒子が顔料である場合における該顔料の粒子径は、通
常10nm〜20μmの範囲内程度であるが、特に限定
されるものではない。
【0203】懸濁液供給管15は、支持部材17によっ
てノズル11に固定されている。懸濁液供給管15は、
その下端部が懸濁液22に浸漬されて開口しており、上
端部15aに対し不活性ガスが水平に吹き付けられて内
部が減圧状態となることにより、懸濁液22を該上端部
15aまで吸い上げるようになっている。
【0204】ノズル11は、容器10aにおける液滴供
給管18に対向する位置に接続されており、不活性ガス
(キャリア)を容器10a内部に供給する。ノズル11
は、エアーフィルタ(不純物除去装置)13およびミス
ト除去部(不純物除去装置)12を介して図示しない不
活性ガス供給装置に接続されている。
【0205】そして、ノズル11は、その先端部11a
から懸濁液供給管15の上端部15aに不活性ガスを水
平に吹き付けて懸濁液22を噴霧することによって、該
懸濁液22を液滴状(霧状)にするようになっている。
上記のミスト除去部12およびエアーフィルタ13は、
容器10aに清浄な不活性ガスが供給されるように、不
活性ガスに含まれる不純物を除去するようになってい
る。
【0206】バッフル16は、懸濁液供給管15に固定
されており、球状の先端部16aを有している。バッフ
ル16は、その先端部16aに、懸濁液供給管15の上
端部15aにて造粒された液滴が不活性ガスと共に衝突
することにより、径の比較的大きな液滴を除去するよう
になっている。つまり、バッフル16によって液滴の液
滴径を調節することによって、上記噴霧部材32は、粒
径が比較的小さくかつ揃った液滴を粒子酸化部4内部に
供給するようになっている。
【0207】粒子酸化部4の内部に供給すべき液滴の最
大粒径は、バッフル16の先端部16aの大きさを適宜
調節することによって、任意に制御することができる。
また、液滴の単位時間当たりの供給量は、懸濁液供給管
15の管径、不活性ガスの流量および圧力等の噴霧条件
を調節することによって、任意に制御することができ
る。尚、バッフル16によって除去された液滴は、バッ
フル16を伝って流れ落ち、懸濁液22として再利用さ
れる。
【0208】なお、上記では、噴霧部材32の構造とし
て、噴霧する構造を挙げたが、特に上記の構造に限定さ
れるものではなく、例えば図13(b)に示すように、
懸濁液22を遠心力を利用して液膜を振り切り微小な粒
子42を含む液滴22aを形成するアトマイザー式の噴
霧部材32を用いることができる。このようなアトマイ
ザー式の噴霧部材32は、懸濁液22が高濃度で粘度が
大きい場合でも、小粒径の液滴を製造することができ
る。
【0209】このような噴霧部材32では、筒状のケー
シング119の中央部に液滴生成部としての回転部16
0が円板状に設けられ、この回転部160の中央真上に
懸濁液22を供給するノズル111が設けられている。
また、回転部160の上方側におけるケーシング119
の端部開口を覆うスクリーン112を通して不活性ガス
を回転部160に対し吹き付けるように設置されてい
る。
【0210】回転部160の周囲には、懸濁液22から
生成した、微小な粒子42を含む液滴22aにおける、
所望する径を有する液滴のみを粒子酸化部4に導入する
ための通路113が設けられている。さらに、回転部1
60の下方側には、懸濁液22の振り切りにより生じる
所望の大きさより小さな径を有する液滴を回収して排出
する排出路114が設けられている。
【0211】次に、このような噴霧部材32の動作につ
いて説明すると、まず、粒子42が酸性液43中に懸濁
している懸濁液22は、導入管(図示せず)を介してノ
ズル111により高速回転している回転部160上に供
給され、回転部160上にて液膜となった懸濁液22が
遠心力により回転部160の外縁部から外方に振り切ら
れて液滴(ミスト状)22aとなる。液滴22aは、ス
クリーン112からの不活性ガス(キャリア)により通
路113を介して粒子酸化部4に搬送される。また、例
えば粒径が小さすぎる、不要な液滴は、分別されて排出
路114により排出される。
【0212】さらに、噴霧部材32としては、図13
(c)に示すように、オリフィス161から吹き出る懸
濁液22のジェット噴流に対し、さらに超音波振動を与
えることにより、上記懸濁液22から、液滴を発生する
ものでもよい。
【0213】このような噴霧部材32では、懸濁液22
は導入管150によりオリフィス161に導入され、こ
のオリフィス161から外部にジェット状に噴出する懸
濁液22に対し、ピエゾ素子などの振動部材170によ
り超音波振動がオリフィス161を介して付与されて液
滴状となる。液滴22aの生成率は、振動部材170の
振動周波数で制御される。形成された液滴22aは、オ
リフィス161等を収納する空間部116の下方側に接
続されたガス供給管117から供給される不活性ガス
(キャリア)の気体輸送により粒子酸化部4に対し搬送
される。
【0214】最後に、噴霧部材32としては、図13
(d)に示すように、超音波振動により液滴を発生する
ものであってもよい。このような噴霧部材32では、懸
濁液22が導入管(図示せず)を介して導入される槽状
の供給部163がケーシング119内の下方に設けら
れ、この供給部163の下方には、ピエゾ素子などの超
音波振動を発生する振動部材170が配置されており、
供給部163と振動部材170との間に、振動部材17
0からの超音波振動を供給部163に伝達する媒体18
0が充填されている。
【0215】また、供給部163の底部は、下方に凸に
湾曲したわん曲板162となっていて、振動部材170
より発生する超音波振動を、供給部163内の懸濁液2
2の液面に対し、上記の上記わん曲板162によって集
中させ、懸濁液22の液面部分において上記懸濁液22
の液滴化の生成を促進するようになっている。また、ケ
ーシング119の上方からは不活性ガス(キャリア)が
ケーシング119内に供給されており、発生した液滴は
不活性ガス(キャリア)の気体輸送により粒子酸化部4
に対し排出口118を介して搬送されるようになってい
る。
【0216】なお、上記実施の形態では、硝酸を改質剤
として含む液体を、酸性液として、粒子表面にカルボキ
シル基を導入した例を挙げたが、特に上記に限定される
ものではなく、小粒径の各粒子42の表面に対し、加熱
により、官能基、例えば、水酸基、アミノ基、ニトロ
基、アンモニウム基等を導入できる改質剤を用いて表面
改質する場合においても、同様に本願発明の方法および
装置を用いることができる。
【0217】また、上記実施の形態では、酸性物質(改
質剤)は常温で液体のものを用いたが、溶媒としての水
や揮発性液体に溶解するものであればよく、例えば、酸
性物質としては、酢酸、クエン酸、酒石酸などを用いる
こともできる。
【0218】
【発明の効果】本発明の粒子表面酸化方法は、以上のよ
うに、粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合工程
と、上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化さ
せることにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付
与した表面酸化粒子を生成する酸化工程と、上記混合工
程および酸化工程における各状態の少なくとも一つの状
態を検知し、その検知結果に基づいて表面酸化粒子の生
成を制御する制御工程とを含む方法である。
【0219】それゆえ、上記方法では、凝集した粒子で
あっても、加熱による核沸騰に起因する急激な体積膨
張、例えば水が気化するとその体積が約1000倍とな
る体積膨張による外力を利用するため、凝集した各粒子
である二次粒子が一次粒子に分散されるので、粒径が小
さく、かつ、分散性の高い、優れた特性を有する親水性
粒子を得ることができる。
【0220】その上、上記方法では、このような酸化処
理を、各状態の検知に基づいて制御するので、酸化処理
を、より最適化できることから、優れた特性を有する親
水性粒子を、より一層安定に製造することができる。
【0221】この結果、上記方法は、分散性や取り扱い
性に優れていることから、例えば、塗料、印刷インキ
(インクジェット記録用インクや、ボールペンやマーキ
ングペンの記録用インク)、トナー(現像剤)等の各種
用途に好適に用いられる親水性粒子を安定に製造できる
という効果を奏する。
【0222】本発明の粒子表面酸化装置は、粒子を、酸
性液に懸濁して懸濁液を生成して送出する懸濁液供給部
と、搬入された上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性
液を気化させることにより、粒子の表面に酸化による親
水性基を付与した表面酸化粒子を搬出する酸化部と、上
記懸濁液供給部および酸化部の少なくとも一つの状態を
検知して、得られた検知結果に基づいて表面酸化粒子の
生成を制御する制御手段とを含む構成である。
【0223】それゆえ、上記構成では、得られる親水性
粒子は、分散性や取り扱い性に優れていることから、例
えば、塗料、印刷インキ(インクジェット記録用インク
や、ボールペンやマーキングペンの記録用インク)、ト
ナー(現像剤)等の各種用途に好適なものとなるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粒子表面酸化装置における実施の
形態を示す概略図である。
【図2】上記粒子表面酸化装置の粒子酸化部において、
搬送されながら懸濁液が相変化する様子を示す説明図で
ある。
【図3】上記懸濁液における核沸騰の様子を示す説明図
であって、(a)は核沸騰時に4個の粒子からなる凝集
粒子が分散する様子を示す説明であり、(b)は核沸騰
時に3個の粒子からなる凝集粒子が分散する様子を示す
説明であり、(c)は核沸騰時に2個の粒子からなる凝
集粒子が分散する様子を示す説明である。
【図4】上記懸濁液からの液滴の各状態を示す説明図で
あって、(a)および(b)は正常な液滴に関する、
(c)および(d)は異常な液滴に関するものである。
【図5】上記粒子表面酸化装置における粒子懸濁部のブ
ロック図である。
【図6】上記懸濁液の分散度の検知に基づく制御工程を
示すフローチャートである。
【図7】上記懸濁液の液性の検知に基づく制御工程を示
すフローチャートである。
【図8】上記懸濁液の温度の検知に基づく制御工程を示
すフローチャートである。
【図9】上記粒子表面酸化装置における残量検知器の説
明図であり、(a)は、レーザ光を用いた残量検知器、
(b)は電極を用いた残量検知器を示す。
【図10】上記懸濁液の残量の検知に基づく制御工程を
示すフローチャートである。
【図11】上記粒子表面酸化装置における粒子懸濁部、
噴霧部材および粒子供給部を示すブロック図である。
【図12】上記噴霧部材により生成された液滴に関する
粒子径の検知に基づく制御工程を示すフローチャートで
ある。
【図13】上記噴霧部材の概略説明図であり、(a)は
噴霧による液滴形成を示し、(b)は遠心力による液滴
形成を示し、(c)はジェット噴射に対する超音波振動
の付与による液滴形成を示し、(d)は超音波振動の付
与による液滴形成を示すものである。
【図14】上記噴霧部材により生成された液滴に関する
個数濃度の検知に基づく制御工程を示すフローチャート
である。
【図15】第1、第2および第3の状態検知手段を配管
上に備えた上記粒子供給部の概略図である。
【図16】上記第1および第2の状態検知手段における
液滴の粒子径の検知に基づく制御工程を示すフローチャ
ートである。
【図17】上記第1および第2の状態検知手段における
液滴の個数濃度の検知に基づく制御工程を示すフローチ
ャートである。
【図18】上記粒子供給部の処理空間における流量の検
知に基づく制御工程を示すフローチャートである。
【図19】上記粒子供給部の処理空間における流量の検
知に基づく他の制御工程を示すフローチャートである。
【図20】上記粒子供給部の処理空間における温度の検
知に基づく制御工程を示すフローチャートである。
【図21】上記第2および第3の状態検知手段における
液滴の粒子径の検知に基づく制御工程を示すフローチャ
ートである。
【図22】上記第2および第3の状態検知手段における
液滴の個数濃度の検知に基づく制御工程を示すフローチ
ャートである。
【図23】上記粒子表面酸化装置における粒子酸化部お
よび第4の状態検知手段に関する概略説明図である。
【図24】上記粒子酸化部において得られた親水性粒子
の粒子径の検知に基づく制御工程を示すフローチャート
である。
【図25】上記粒子酸化部において得られた親水性粒子
の個数濃度の検知に基づく制御工程を示すフローチャー
トの前半部分である。
【図26】上記フローチャートの後半部分である。
【図27】上記第3および第4の状態検知手段における
液滴または懸濁液中の粒子と酸化処理された親水性粒子
の粒子径の検知に基づく制御工程を示すフローチャート
である。
【図28】上記粒子酸化部の処理空間の温度の検知に基
づく制御工程を示すフローチャートである。
【図29】上記粒子酸化部の出口側での流量の検知に基
づく制御工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 粒子懸濁部 3 粒子供給部 4 粒子酸化部 22 懸濁液 42 粒子 42b 親水性粒子(表面酸化粒子) 43 酸性液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成川 志郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 4J037 AA02 AA22 DD05 DD20 EE02 EE19 EE25 EE28 EE43 FF15 4J039 BA04 BA13 BA35 BE01 CA06 EA44 GA24 GA26 GA27

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混
    合工程と、 上記懸濁液の状態を検知して、得られた検知結果に基づ
    いて懸濁液の生成を制御する制御工程と、 上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化させる
    ことにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付与し
    た表面酸化粒子を生成する酸化工程とを含むことを特徴
    とする粒子表面酸化方法。
  2. 【請求項2】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混
    合工程と、 上記懸濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工
    程と、 上記液滴の生成状態を検知して、得られた検知結果に基
    づいて液滴の生成を制御する制御工程と、 上記液滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化させるこ
    とにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した
    表面酸化粒子を生成する酸化工程とを含むことを特徴と
    する粒子表面酸化方法。
  3. 【請求項3】粒子を酸性液に懸濁して懸濁液を得る混合
    工程と、 上記懸濁液を輸送して供給する輸送工程と、 輸送された懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化
    させることにより、粒子の表面に酸化による親水性基を
    付与した表面酸化粒子を生成する酸化工程と、 輸送工程において、懸濁液の状態を検知し、得られた検
    知結果に基づいて表面酸化粒子の生成を制御する制御工
    程と含むことを特徴とする粒子表面酸化方法。
  4. 【請求項4】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混
    合工程と、 上記懸濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工
    程と、 上記液滴を輸送して供給する輸送工程と、 輸送された液滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化さ
    せることにより、粒子の表面に酸化による親水性基を付
    与した表面酸化粒子を生成する酸化工程と、 輸送工程において、液滴の状態を検知し、得られた検知
    結果に基づいて表面酸化粒子の生成を制御する制御工程
    と含むことを特徴とする粒子表面酸化方法。
  5. 【請求項5】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混
    合工程と、 懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を気化させること
    により、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表
    面酸化粒子を生成する酸化工程と、 酸化工程の状態を検知して、得られた検知結果に基づい
    て表面酸化粒子の生成を制御する制御工程と含むことを
    特徴とする粒子表面酸化方法。
  6. 【請求項6】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を得る混
    合工程と、 上記懸濁液から、粒子を含む液滴を生成する液滴生成工
    程と、 液滴を搬送しながら加熱して酸性液を気化させることに
    より、粒子の表面に酸化による親水性基を付与した表面
    酸化粒子を生成する酸化工程と、 酸化工程の状態を検知して、得られた検知結果に基づい
    て、表面酸化粒子の生成を制御する制御工程と含むこと
    を特徴とする粒子表面酸化方法。
  7. 【請求項7】検知を、搬送方向に沿って、互いに異なる
    複数箇所にて、それぞれ行うことを特徴とする請求項1
    ないし6の何れか一つに記載の粒子表面酸化方法。
  8. 【請求項8】複数箇所の検知は、それぞれ同期させて行
    うことを特徴とする請求項7記載の粒子表面酸化方法。
  9. 【請求項9】検知結果が、規定範囲外であるとき、規定
    範囲外となる懸濁液、粒子、表面酸化粒子である不良品
    の搬送路に振動を付与して、規定範囲外の不良品を回収
    することを特徴とする請求項1ないし8の何れか一つに
    記載の粒子表面酸化方法。
  10. 【請求項10】不良品の回収は、不良品の搬送路内に、
    気体をパルス状に導入して行うことを特徴とする請求項
    9記載の粒子表面酸化方法。
  11. 【請求項11】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を生成
    して送出する懸濁液供給部と、 搬入された上記懸濁液を搬送しながら加熱して酸性液を
    気化させることにより粒子の表面に酸化による親水性基
    を付与した表面酸化粒子を搬出する酸化部と、 上記懸濁液供給部および酸化部の少なくとも一つの状態
    を検知して、得られた検知結果に基づいて表面酸化粒子
    の生成を制御する制御手段とを含むことを特徴とする粒
    子表面酸化装置。
  12. 【請求項12】粒子を、酸性液に懸濁して懸濁液を生成
    して搬出する懸濁液供給部と、 搬入された上記懸濁液から液滴を生成して気体輸送する
    液滴生成部と、 気体輸送により搬入された液滴を搬送しながら加熱して
    酸性液を気化させることにより、粒子の表面に酸化によ
    る親水性基を付与した表面酸化粒子を搬出する酸化部
    と、 上記懸濁液供給部、液滴生成部、および酸化部の少なく
    とも一つの状態を検知して、得られた検知結果に基づい
    て表面酸化粒子の生成を制御する制御手段とを含むこと
    を特徴とする粒子表面酸化装置。
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