JP2002012793A - 機能性粒子の製造方法、機能性粒子製造装置および機能性粒子 - Google Patents

機能性粒子の製造方法、機能性粒子製造装置および機能性粒子

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JP2002012793A
JP2002012793A JP2000194772A JP2000194772A JP2002012793A JP 2002012793 A JP2002012793 A JP 2002012793A JP 2000194772 A JP2000194772 A JP 2000194772A JP 2000194772 A JP2000194772 A JP 2000194772A JP 2002012793 A JP2002012793 A JP 2002012793A
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JP2000194772A
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Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを低減できると共に、多機能化も
可能な機能性粒子の製造方法を提供する。 【解決手段】 常温・常圧で固体である、凝集した微粒
子を、機能化剤に懸濁して懸濁液を調製する(ステップ
1)。上記懸濁液を沸騰させることにより、凝集した微
粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂させ、微粒
子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤に基づき
機能化する(ステップ4)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子の表面に対
し、親水性や親油性といった機能性を付加された機能性
粒子の製造方法、機能性粒子製造装置、および上記機能
性粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種粒子の表面に新たな性質
を付与する方法として、乾式の他、液相中において重合
を行わせる方法が広く知られており、具体的には、例え
ば、一般的に粉砕、混練や媒体を理有して攪拌させるこ
とによって、粒子表面に機能化剤の膜を形成する粒子機
能化方法、すなわち粒子表面を機能化剤にて被覆してな
る機能性粒子の製造方法が、種々実施されている。
【0003】上記のような機能性粒子の製造方法は、一
般的によく知られており、例えば、以下の各文献に開示
されている。
【0004】文献1.「微粒子ハンドブック」、編集:
神保元二等、発行所:株式会社朝倉書店(1991年9
月1日初版第一刷)、第383頁〜第394頁、混練粉
砕法、スプレイドライ法など。
【0005】文献2.「微粒子工学−分散の基礎と応
用」、編集:社団法人日本粒子工業技術協会、発行所:
株式会社朝倉書店(1994年6月25日初版第一
刷)、第123頁〜第136頁、ミル法など。
【0006】ところが、上記従来の製造方法では、物理
的に結合させるため処理に非常に長い時間を要する。さ
らに、処理を行う際の操作が煩雑であり、かつ、高価な
装置を用いなければならない問題が生じている。
【0007】また、上記従来の製造方法では、粒子を機
能化剤で処理する際に粒子の凝集が生じ易いため、得ら
れる機能性粒子の形状がいびつになり易く、しかも得ら
れる機能性粒子の粒子径が大きく、かつ、不揃いになり
易い。したがって、上記従来の製造方法では、特に、所
望されている、ナノメートルオーダーの微粒子のような
粒子径の小さい機能性粒子を、上記粒子径をほぼ維持し
ながら、安定して製造することは困難である。
【0008】さらに、上記従来の製造方法においては、
攪拌装置を用いて粒子を攪拌することによって、粒子の
表面に対し機能化剤を処理するので、得られた機能性粒
子が帯電することから、例えば容器に多く付着して、取
り扱いに不便となる。
【0009】その上、上記従来の製造方法においては、
攪拌装置を用いて粒子を攪拌することによって、粒子の
表面に対し機能化剤を処理するので、機能化剤の多くが
攪拌装置や攪拌媒体に付着してしまい、機能化剤等の各
種薬品を粒子の処理に必要な理論量よりも遙に多量に使
用しなければならず、かつ、多量に残存する各種薬品に
関する廃液処理等の後処理に手間取ることから、機能性
粒子の製造コスト(処理コストを含む)が高くなるとい
う問題も生じている。
【0010】このような、上記従来の機能性粒子の製造
方法では、簡便な装置および操作で、かつ、安価に、粒
子径が比較的小さく、かつ揃った機能性粒子を製造する
ことができない。
【0011】そこで、発明者らは、特開2000−70
704号公報にて開示したように、粒子を帯電させるこ
となく、しかも、簡便な操作で短時間でかつ安価に、粒
子径が比較的小さく、かつ揃った表面改質粒子を製造す
ることができる粒子表面改質方法を提案した。
【0012】上記粒子表面改質方法は、疎水性の粒子
を、改質剤を含む液体として硝酸水溶液に懸濁して、懸
濁液を得た後、懸濁液を、搬送しながら加熱して粒子の
表面に対し親水性基を導入する方法である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来公
報の方法では、疎水性を有する粒子に対し、所望されて
いるナノメートルオーダーの粒子を用いると、上記粒子
は凝集しているが、その凝集した粒子に対する、硝酸水
溶液の親和性は小さいため、凝集した各粒子間の空隙に
硝酸水溶液が侵入し難く、上記凝集した各粒子の分散性
を良好に維持することが困難である。このため、上記方
法においては、得られた改質粒子の粒子の大きさが不揃
いとなり易く、粒度分布を揃えるためにはさらに分級工
程を必要とし、製造コストが高くなるという問題を生じ
ている。
【0014】また、上記従来公報の方法においては、硝
酸水溶液の気化熱が高いため、改質できる程度まで加熱
する加熱温度が高くなり、装置や操作コストが高くなる
という問題も生じている。
【0015】さらに、上記従来公報の方法では、表面改
質に用いる硝酸水溶液は腐食性を有するため、装置内を
防蝕構造とする必要があり、やはり装置コストが高くな
ると共に、操作上の取り扱いや廃液処理にも手間取ると
いう問題を備えている。
【0016】よって、上記従来公報に記載の方法は、上
記各問題によって、機能性粒子の製造コストが高くなる
という問題点を有している。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の機能性粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、常温・常圧で
固体である、凝集した微粒子を、機能化剤に懸濁して懸
濁液を調製し、上記懸濁液を沸騰させることにより、凝
集した微粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂さ
せ、微粒子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤
に基づき機能化することを特徴としている。
【0018】上記方法によれば、凝集した微粒子を機能
化剤に懸濁させて懸濁液を調製し、該懸濁液を急激に沸
騰および蒸発させることにより、凝集した微粒子を微細
化することにより新たな微粒化による機能(分散性や流
動性など)を付与すると共に、微粒子表面を機能化剤に
基づいて、例えば、機能化剤分子の開裂により生成した
分裂片によって化学的に修飾して新たに機能化を微粒子
に対して行うことができる。
【0019】よって、上記方法においては、固体膜で固
体粒子を物理的にのみ被覆する従来の方法と比較して、
短時間で簡便な装置および操作で微粒子表面を物理的お
よび化学的に機能化でき、しかも粉体の微細化も同時に
伴うため比較的小さく、かつ、大きさの揃った機能性粒
子を製造することができる。
【0020】また、上記方法によれば、微粒子を機能化
する材料として、沸騰したときに少なくとも一部が開裂
部を形成する機能化剤を使用し、微粒子表面での化学的
な反応を利用して機能化剤に基づき機能化を行うので、
微粒子を機能化する材料として固体を使用して物理的な
機能化処理を行う従来の方法と比較して材料のコストを
低減することができる。
【0021】その上、上記方法では、機能化剤が、沸騰
したときに少なくとも一部が開裂部を形成するものであ
るので、沸騰したときでも開裂部を形成しない従来の硝
酸水溶液等の無機化合物の水溶液と異なり、沸騰したと
きに少なくとも一部が開裂部を形成するメタルール等の
有機化合物を機能化剤として用いることができる。
【0022】よって、上記方法においては、機能化剤と
して、例えばメタノール等の有機化合物を用いて沸騰さ
せるので、硝酸水溶液を用いる従来より、沸騰のための
熱エネルギを低減できる。
【0023】さらに、上記方法では、機能化剤として、
例えば有機化合物を用いることにより、従来より、多様
な性質、例えば微粒子の表面への濡れ性(親和性)を有
するものを選択できることから、凝集した微粒子の間隙
にも上記機能化剤を容易に侵入させることが可能とな
る。
【0024】よって、上記方法においては、間隙に侵入
した上記機能化剤の沸騰により上記凝集した微粒子を、
より確実に解砕して分散させることができるので、上記
微粒子の表面への機能性付与を、より一層、確実化でき
る。
【0025】したがって、上記方法によれば、簡便な装
置および操作で短時間でかつ安価に、粒子径が比較的小
さく微粒子の表面を機能化剤に基づいて機能性を、例え
ば化学反応によって付与することが、前述したような従
来の方法とは全く異なり、非常に簡単な操作で短時間に
製造された数ナノメートルから数十ミクロンの機能性粒
子を、より安定に製造できる。
【0026】また、上記方法においては、機能化剤を急
激に加熱することによって、上記機能化剤の沸騰および
蒸発が生じるため、機能化剤の急激な体積膨張により凝
集した微粒子を一次粒子に近い分散状態までに解砕・分
散によって微細化できる。
【0027】したがって、上記方法では、微粒子の分散
を高めることができることによって流動性や微粒化によ
る機能を付与できると共に、必ずしも懸濁液を液滴状に
して操作する必要がないだけでなく、懸濁液を液滴状に
して操作する場合にも懸濁液中の微粒子濃度についても
特に上限を規定しなくとも分散状態の高い一次粒子とな
った機能性粒子を得ることができる。
【0028】上記機能性粒子の製造方法は繰り返し行う
ことが好ましい。これにより、一度の操作によって十分
な分散状態の向上がみられない場合にも凝集した微粒子
を操作回数が複数回、繰り返すことによって分散状態を
向上できること、および、微粒子の表面に対する機能性
付与についても処理を重ねるに伴い機能性付与を高める
ことができる。
【0029】上記懸濁液の沸騰は、懸濁液を液滴にして
行ってもよい。これにより、懸濁液の沸騰に要する熱量
を軽減できるため、より分散性の高い機能性粒子を製造
できること、および、機能化剤を急激に加熱するための
加熱部を簡素化でき、装置コストをより一層低減でき
る。さらに、加熱部を動作させるための電力等のエネル
ギを削減でき、製造コストを低減できる。
【0030】上記製造方法において懸濁液を液滴にする
場合、懸濁液の液滴を沸騰させる前に、液滴径が大きい
ものを、例えば空力学的に選別して除去することが好ま
しい。これにより、大きい液滴が沸騰に十分な熱量を与
えられない場合に発生する処理不十分な微粒子、すなわ
ち、凝集微粒子および化学的機能化の不十分な微粒子の
発生を防止することができ、比較的小さく大きさの揃っ
た機能性粒子を得ることができる。
【0031】上記製造方法において、懸濁液中に含まれ
る凝集した微粒子を、その一次粒子数が予め、例えば1
0個程度以下に予備分散しておくことが好ましい。これ
により、凝集した微粒子間隙にまで機能化剤が、より安
定に浸透することができ、沸騰時に間隙にまで入った機
能化剤の体積膨張により凝集した各微粒子が一次粒子に
近い状態にまで分散されると共に、凝集した各微粒子を
構成している個々の微粒子の表面全体に対し、より均等
に機能化剤の開裂部が接触するため、より一層、分散お
よび機能化が進んだ機能性粒子を得ることができる。
【0032】上記予備分散としては懸濁液流に生じる外
力によって行うことが好ましい。すなわち、懸濁液流体
の流れ場に生じる外力、例えば、凝集した各微粒子同士
が衝突したり、凝集した各微粒子が壁面に衝突したり、
乱流により凝集した各微粒子に対し剪断力が生じたりし
て生じた外力によって懸濁液中の凝集した各微粒子を、
例えば構成一次粒子数10個以下の比較的小さい凝集微
粒子に予備分散することが好ましい。
【0033】上記方法によれば、懸濁液流体の流れ場に
作用する分裂破壊によって懸濁液中の凝集した各微粒子
を、例えば構成一次粒子数10個以下の比較的小さい凝
集微粒子に分散することができる。したがって、機能性
粒子をなお一層効率的に、かつ、小さく大きさの整った
状態の機能性粒子を製造できる。
【0034】上記予備分散としては、超音波振動による
外力によって行うようにしてもよい。つまり、超音波振
動による外力によって懸濁液中の凝集した各微粒子を、
例えば構成一次粒子数10個以下の比較的小さい凝集微
粒子に予備分散してもよい。
【0035】上記によれば、懸濁液に超音波振動を与え
ることで、浸食破壊により凝集した微粒子が、凝集した
微粒子の表面から構成一次粒子個数が、例えば10個以
下の凝集微粒子に予備分散することができる。
【0036】この結果、凝集した各微粒子表面の全てを
機能化剤に確実に接触させることができると共に、微粒
子間隙が少なくなり凝集微粒子表面のほぼ全域が機能化
剤にさらされるため、微粒子に分散性および化学的機能
の付与を行い易い方法を提供できる。
【0037】上記製造方法において、懸濁液をあらかじ
め沸点よりも低い温度まで加熱しておいてもよい。これ
により、機能化剤の沸騰に要する熱量を軽減でき、より
分散性の高い粒子を製造できること、および、機能付与
部の処理空間部を加熱する加熱部を簡素化できるため、
装置コストをより一層低減できる。さらに、機能付与部
の加熱部を動作させるための電力等のエネルギを節約す
ることができ、製造コストを低減できる。
【0038】上記機能化剤は、沸点での気化熱が、水の
気化熱である2100J/g(500cal/g)以下
であることが好ましい。懸濁液は機能付与部に対し連続
的に供給されるため、機能化剤の気化熱が2100J/
gよりも大きい場合には沸騰を起こすことが困難になる
ため、気化熱が低い機能化剤が好ましい。
【0039】また、気化熱が2100J/gよりも低い
機能化剤を用いることにより、より分散性の高い機能性
粒子を製造できること、および、加熱部を簡素化できる
と共に、装置コストをより一層低減できる。さらに、加
熱部を動作させるための電力等のエネルギを節約するこ
とができ、製造コストを低減できる。
【0040】上記機能化剤は、微粒子の表面と濡れる性
質を有することが好ましい。これにより、凝集状態とな
り易い各微粒子の間隙に機能化剤が容易に浸透すること
ができ、特にこれら各微粒子の間隙に浸透した機能化剤
が沸騰する際に効果的に凝集した各微粒子を、解砕して
分散するから、凝集した微粒子内部に存在する微粒子に
対しても、機能性付与の処理が、より確実に可能とな
る。
【0041】上記機能化剤は、有機化合物であることが
好ましい。これにより、上記方法では、有機化合物が一
般に腐食性を示さないことから、硝酸等(特開平11−
148027号公報)の腐食性を有する無機化合物を機
能性付与のために使用する場合のように製造装置が腐食
することを考慮することが不要になる。
【0042】そのため、上記構成および方法では、製造
装置の構成材料として耐腐食性の材料を用いる必要がな
く、製造装置の構成材を選択する自由度が高くなる。ま
た、硝酸等のような無機化合物の酸水溶液では気化熱
が、例えば水の単体での気化熱より大きくなるため、沸
騰に要する加熱部が複雑かつ高価なものとなる。その
上、上記方法においては、大気汚染を引き起こし易い無
機化合物を選択する従来の場合と比較すると、機能化剤
に有機化合物を用いたことによって、環境負荷を低減す
ることができる。
【0043】また、従来では、硝酸等の無機化合物を使
用するので、粒子表面の酸化により得られた、カルボキ
シル基を有する粒子のように限られた置換基を有する粒
子しか得られない。
【0044】これに対し、有機化合物を使用すると、有
機化合物の種類を適宜選択することにより、目的に応じ
て水酸基等の親水基や炭化水素基等の疎水基等の多種多
様な、所望する置換基を導入した機能性粒子を製造する
ことができる。
【0045】上記有機化合物は、親水基を有する有機化
合物であってもよい。これにより、機能化剤の沸騰およ
び開裂により、親水基を微粒子表面に導入することがで
き、例えば、疎水性の、凝集した微粒子から、機能化し
て機能性粒子を高分散性親水化微粒子として安定に得る
ことができる。
【0046】上記微粒子を懸濁させる有機化合物が、対
称性を有する構造であるビス構造(例えばエチレングリ
コール)を有するものであってもよい。これにより、機
能化剤の沸騰を速やかに引き起こすことができると共
に、構造がビス型であり開裂によって同じ構造の、例え
ば水酸基を含んだ分裂片(開裂部を含む)が生成され、
微粒子に対し安定的に水酸基を付与して機能性粒子を、
より安定に得ることができる。
【0047】上記微粒子を懸濁させる有機化合物は炭素
を1個保有していることが好ましい。炭素を複数含んで
いるもの(ビス構造(例えばエチレングリコール)を除
き)は、開裂する際黒色のススを発生することがある。
したがって、炭素数を1個保有する有機化合物を用いる
ことによって、上記ススの発生を回避できて、不純物の
少ない機能性粒子を安定的に製造することができる。
【0048】上記有機化合物は疎水基を有する有機化合
物であってもよい。これにより、疎水基を微粒子に導入
することができ、例えば分散性の高い疎水性を有する機
能性粒子を製造することができる。
【0049】本発明の機能性粒子製造装置は、前述の課
題を解決するために、常温・常圧で固体である凝集した
微粒子を、機能化剤に懸濁して懸濁液を得る懸濁部と、
上記懸濁液を導入して沸騰させることにより、凝集した
微粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂させ、微
粒子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤に基づ
き機能化した機能性粒子を生成し、ガス化した機能化剤
と共に上記機能性粒子を排出する機能付与部と、上記懸
濁液を急激に沸騰させるために、機能付与部の内部と外
部との間の温度差を設定する加熱部とを備えていること
を特徴としている。
【0050】上記構成によれば、急激な沸騰により機能
化剤の気体への相変化に起因した急激な体積膨張による
外力により凝集した微粒子を一次粒子に近い微粒子にま
で、解砕して分散することによって微粒化による機能付
加を行うことができる。
【0051】また、上記構成によれば、機能化剤分子の
加熱開裂により機能化剤の、例えば分裂片(開裂部を含
む)を生成し、これを微粒子表面に化学的に結合させる
ことによって、機能化剤分子が有する機能性置換基を微
粒子表面に導入することができ、新たな機能性を短時間
に、かつ連続的に微粒子に対し付与して、機能性粒子を
得ることができる。
【0052】上記製造装置は、機能付与部にてガス化に
より急激に体積膨張した機能化剤による機能付与部内の
圧力上昇を調節して、機能化剤の沸点を制御するための
圧力調節部をさらに備えていることが好ましい。
【0053】上記構成によれば、懸濁液の機能化剤(液
状)がガス化により体積膨張することによって急激に装
置内の圧力上昇が引き起こされ、機能化剤の沸点が上昇
し安定的に粒子を製造することが困難になる。したがっ
て、圧力が、所定値を超えないよう圧力調整部を備える
ことにより沸騰開裂状態を安定的に保ち機能性粒子を安
定的に得ることができる。
【0054】上記製造装置は、さらに、懸濁液から液滴
を製造する液滴製造部を含み、上記機能付与部は、上記
液滴中の機能化剤を急激に沸騰させるようになっている
ことが好ましい。
【0055】上記構成によれば、懸濁液の沸騰開裂に要
する熱量を軽減できるため、より分散性の高い機能性粒
子を製造できること、および、加熱部を簡素化できると
共に、装置コストをより一層低減できる。さらに、加熱
部を動作させるための電力等のエネルギを節約すること
ができ、製造コストを低減できる。
【0056】上記製造装置には、液滴製造部で製造され
た液滴をその液滴が大きいものを空気力学的に除去する
機構をさらに備えていることが好ましい。
【0057】上記構成によれば、大きな液滴は、凝集し
た各微粒子および化学的機能化の不十分な粒子、すなわ
ち、処理不十分な粒子の発生を引き起こす可能性が高
く、また、大きな液滴の機能化剤の沸騰によるガス化に
よる体積膨張の変化も大きくなるが、大きな液滴の発生
を連続的に防止することによって、安定に機能性粒子を
得ることができると共に、機能付与部内の急激な圧力上
昇を防止することができる。
【0058】上記懸濁部には、懸濁液中の凝集した微粒
子を予備分散するためのホモジナイザが設けられている
ことが好ましい。
【0059】上記構成によれば、流体の流れ場に作用す
る分裂破壊によって懸濁液中の凝集した各微粒子を、例
えば、構成一次粒子数10個以下の比較的小さい凝集し
た各微粒子に解砕して分散することができる。したがっ
て、上記構成では、機能性粒子をなお一層効率的に、か
つ、粒子径が小さく、大きさの整った状態の機能性粒子
を安定に製造できる。
【0060】上記懸濁部には、懸濁液に超音波振動を付
与する超音波振動部が設けられていることが好ましい。
【0061】上記構成によれば、懸濁液に超音波振動を
与えることで、凝集した各微粒子を、その表面から構成
個数が、例えば数個以下の凝集した各微粒子に浸食破壊
により解砕して分散することができる。
【0062】この結果、凝集した微粒子の構成個数を少
なくでき、微粒子の表面全体に機能化剤を、より確実に
さらすことができるため、微粒子に分散性および化学的
機能性付与を安定的に施すことができる。
【0063】上記加熱部は、機能付与部の出口部での気
流の温度が、機能化剤の沸点より高くなるようになって
いることが望ましい。
【0064】上記構成によれば、ガス化(気化)した機
能化剤が、機能付与部において再液化することを防止で
きる。この結果、再液化に伴って生じる機能性粒子の損
失を防止できるとともに、機能性粒子の凝集を抑制でき
るため、効率的な機能性粒子を得ることができる。
【0065】本発明に係る機能性粒子は、上記の何れか
に記載の機能性粒子の製造方法により得られたものであ
ることを特徴としている。
【0066】上記構成によれば、得られた機能性粒子が
ナノメートルオーダーの微細なものであっても、凝集の
抑制されて粒度分布が狭いことによる流動性や分散性に
優れるので、例えば、塗料、印刷インク、トナー(現像
剤)等の各種用途に好適に用いることができる。
【0067】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0068】本発明に係る機能性粒子の製造方法は、常
温・常圧で固体である、凝集した微粒子を機能化剤に懸
濁させ、この機能化剤を急激に沸騰させることによって
機能化剤の気体への相変化による急激な体積膨張を利用
して凝集した微粒子を一次粒子に近い微粒子まで解砕・
分散することによって微粒化による機能性付加を行うと
共に、機能化剤分子の加熱開裂により生成した分裂片
(開裂部)を微粒子表面に化学的に結合させることによ
り、機能化剤分子が有する置換基を固体の微粒子表面に
導入することによって、新たな機能性を短時間に、安定
的に、かつ、連続的に付与する方法である。
【0069】なお、上記の機能化剤は、常温・常圧で、
液状であるものが、通常、選択されるが、上記に限定さ
れることはなく、例えばワックス状物質のように、室温
を超え、凝集した微粒子を搬送するときに加温されて液
状となり、凝集した微粒子を懸濁させることができるも
のであればよい。
【0070】また、機能化剤を急激に沸騰させるため
に、加熱温度(つまり機能付与部での設定温度)は、6
00K〜1773K(327℃〜1500℃)、より好
ましくは、650K〜1400K(377℃〜1127
℃)、さらに好ましくは700K〜1100K(427
℃〜827℃)である。
【0071】また、上記微粒子としては、用途に応じて
選定したものを用いればよく、特に限定されないが、上
記加熱温度にて変性しないものが望ましく、例えばカー
ボンブラック粒子や顔料粒子が挙げられる。
【0072】さらに、微粒子を機能化剤により確実に懸
濁させるために、機能化剤と微粒子との比重の比は、
0.3〜10、より好ましくは0.5〜6.0、さらに
好ましくは、0.8〜4.0である。
【0073】本発明に係る機能性粒子の製造方法は、少
なくとも上記粒子に親水性あるい親油性といった性質を
新たな機能性として付与すべく該粒子を機能化剤に浸漬
し懸濁させる粒子懸濁工程と、供給された粒子を含む懸
濁液を急激に沸騰させる機能付与工程とを備えている方
法である。
【0074】本発明に係る機能性粒子の製造方法では、
上記懸濁液の沸騰は懸濁液を液滴にして行うことがより
好ましい。言い換えると、本発明に係る機能性粒子の製
造方法のより好ましい形態は、粒子を機能化剤に懸濁さ
せて、懸濁液を得る粒子懸濁工程と、上記懸濁液から液
滴を形成する液滴形成工程と、液滴を沸騰させる沸騰工
程とを含む方法である。このように懸濁液を液滴にする
ことにより、懸濁液の沸騰が急激に起こりやすくなるの
で粒子の機能化を効率よく行える。
【0075】また、粒子を機能化剤に浸漬および懸濁さ
せる工程では、必要に応じて、攪拌翼等により懸濁液を
攪拌してもよい。また、攪拌の強度が強いほど、凝集し
た微粒子の解砕・分散は進行することが予想されるが、
攪拌の強度については特に限定されるものではない。
【0076】また、上記粒子懸濁工程では、微粒子と機
能化剤とを必要に応じて攪拌する際、微粒子を均一に分
散させるための分散処理を行うことが好ましい。これに
より、微粒子を懸濁液中に対し、より均一に分散させる
ことができる。
【0077】上記分散処理としては、微粒子を均一に分
散させることができる処理であれば特に限定されるもの
ではないが、ホモジナイザによる機械的攪拌および超音
波振動の付与による攪拌が特に好ましく、ホモジナイザ
による機械的攪拌と超音波振動による攪拌とを併用する
ことが、より一層好ましい。これにより、微粒子をより
均一に分散させることができ、懸濁液中の微粒子の凝集
の程度をより確実に低減することができる。
【0078】上記液滴形成工程において液滴を得る方法
は、特に限定されるものではないが、懸濁液を噴霧する
方法が簡便である。液滴の粒子径は、所望する機能性粒
子の粒子径に応じて設定すればよく、特に限定されるも
のではないが、0.02μm〜30μmの範囲が特に好
ましい。
【0079】上記液滴形成工程では、生成される液滴の
径を調整して小さく、かつ、その液滴径分布を狭く設定
することが好ましい。生成した液滴径が大きい場合沸騰
が生じ難く、分散性および化学的性質(機能性付与)が
低くくなってしまう。
【0080】これに対し、生成される液滴の径を調整し
て小さくそろえることによって一定温度で多くの液滴
が、ほぼ同時に沸騰することになり処理条件を制御し易
くなると共に、微細で化学的性質の優れた機能性粒子を
製造することができる。
【0081】また、上記液滴形成工程において、気体を
用いて懸濁液を噴霧する場合、噴霧用の気体として除湿
された気体を用いることが好ましい。湿度の高い場合、
熱量が輸送気体中の水分の気化により浪費されるため、
十分な沸騰を起こすことができない場合がある。したが
って、除湿された気体を用いることにより液滴の沸騰を
効率的に起こすことができる。
【0082】上記液滴搬送には、液滴の搬送に用いる気
体としては、機能性粒子の安定した製造が可能になるこ
とから、不活性気体が好ましい。上記不活性気体として
は、アルゴン等の希ガスまたは窒素ガスを使用すること
ができる。また、不活性気体は、粉塵等の不純物を容易
に除去できるものであるから、粉塵等の不純物による機
能性粒子の汚染を簡便に防止することができる。
【0083】また、本発明に係る機能性粒子の製造方法
は、機能化された機能性粒子に気体を導入して希釈する
気体希釈工程を含むことが好ましい。これにより、機能
化処理が施された機能性粒子の再凝集を阻止することが
できる。上記機能性粒子の希釈に用いる気体としては、
不活性気体が好ましい。これにより機能性粒子の安定し
た製造が可能になる。上記不活性気体としては、アルゴ
ン等の希ガスまたは窒素ガスを使用することができる。
【0084】さらに、不活性気体は、粉塵等の不純物が
除去された浄化気体であることが好ましい。これによ
り、気体中に含まれる不純物による機能性粒子の汚染を
防止することができる。
【0085】また、本発明に係る機能性粒子の製造方法
は、機能化された機能性粒子を捕集する粒子捕集工程を
さらに含むことが好ましい。これにより、製造周囲の環
境中に、機能性粒子が飛散して、上記環境が汚染される
ことを防止できる。なお、機能性粒子の捕集方法は、特
に限定されるものではない。
【0086】上記方法では、上記機能化処理を、複数回
行うことが好ましい。これにより、機能化処理をより効
果的に行うことができる。上記複数回の機能化処理にお
いては、同じ機能化剤を用いてもよく、互いに異なる種
類の機能化剤を用いてもよいが、それぞれに利点がある
ので、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0087】同じ機能化剤を用いる方法には、微粒子表
面の機能化処理の度合いを制御することができるという
利点がある。一方、複数回の機能化処理に異なる種類の
機能化剤を用いる方法では、各機能化剤を適宜選択する
ことで目的に応じた種々の機能化処理を複数種類、微粒
子表面に施すことができる。したがって、例えば、目的
に応じた種々の官能基を複数種類、微粒子表面に導入す
ることができる。
【0088】また、互いに異なる種類の機能化剤を混合
して用いる方法では、機能化剤同士の反応性が高いと、
機能化剤同士で反応が起こってしまうこともあり得る。
これに対し、上記方法では、複数回の処理を繰り返すこ
とによって、目的に応じた種々の官能基を微粒子表面に
導入することができる。
【0089】本発明に係る微粒子は、機能化剤に浸漬で
き、機能性付与の処理時に変性せず、かつ、親水性基あ
るいは疎水性基の導入が可能な物質であればよく、特に
限定されるものではないが、カーボンブラック粒子等の
顔料粒子が最適である。例えば、本発明に係る製造方法
および製造装置によれば、親水性基を備えた顔料粒子
(親水性粒子)あるいは疎水性基を備えた顔料粒子(疎
水性粒子)を製造することができる。
【0090】また、本発明に係る機能化剤は、有機化合
物、特に有機溶媒が好ましいが、特に限定されるもので
はない。例えば微粒子が疎水性顔料である場合には、有
機溶媒として、メタノール、エタノール、エチレングリ
コール、ギ酸等などを用いることができる。本発明に係
る製造方法および製造装置によれば、親水性基が、疎水
性を有する微粒子に対し導入されることにより親水性を
示す親水性粒子を製造することができる。
【0091】また、有機溶媒として、炭化水素等、例え
ば、ベンゼン、ヘキサンなどを用いることにより、疎水
性基が導入され、疎水性が付与された、または疎水性が
さらに付与された疎水性粒子を製造することができる。
【0092】上記機能化剤は、常圧下において、室温か
ら、処理される温度までの間の温度以上において、不純
物が除去された液体状であることが好ましい。上記機能
化剤中に粉塵等の不純物が含まれていると、微粒子が、
さらに凝集し易くなるので、正常な機能性粒子を製造で
きなくなる。
【0093】これに対し、機能化剤中の粉塵等の不純物
を除去した清浄機能化剤を用いると不純物粒子の混入を
回避できる。なお、粉塵等の不純物を含む機能化剤から
粉塵等の不純物を除去するためには、例えば、機能化剤
をフィルタに通せばよい。
【0094】次に、本発明に係る機能性粒子の製造方法
の好ましい実施の形態について、図1のフローチャート
に基づいて説明する。本実施の形態の製造方法では、ま
ず、図1に示すように、凝集している各微粒子に機能化
剤を浸漬し、攪拌装置により攪拌して懸濁した(S1)
後、得られた懸濁液に超音波発生装置で超音波振動を与
え、微粒子をより均一に予備分散させる(S2)。この
後、懸濁液(必要に応じて噴霧して液滴状)を予め規定
温度(機能化剤の沸点以上)に加熱部により加熱した
(S3)機能付与部に導入し、懸濁液の機能化剤を急激
に沸騰および蒸発させることによって微粒子に対し、機
能化剤に基づく新たな機能を付与する(S4)。これに
より、機能性粒子が得られる。
【0095】ここで、微粒子表面に新たな性質が付与さ
れるメカニズムについて図2を用いて説明する。まず、
懸濁液10が急激に沸騰すると、凝集した各微粒子5の
間隙に含まれていた機能化剤4が、特に急激に沸騰し、
機能化剤4の体積が気化により急速に膨張することによ
って、凝集した各微粒子5はばらばら(互いに離間し)
になり、凝集した各微粒子5の少なくとも一部は単一粒
子にまで、解砕・分散されると共に、上記各微粒子5
は、その表面に機能性が付与されて機能性粒子5aとな
る。
【0096】以下に、上記の機能性付与のメカニズムに
ついて図3に基づき説明すると、まず、機能化剤4が蒸
気になった機能化剤分子4a(図中ではメタノール分
子)は、機能付与部12にてさらなる熱エネルギを与え
られる。分子の結合エネルギ、例えば、原子間の結合エ
ネルギとしては、C−C:347kJ/mol(82.
6kcal/mol)、C=C:613kJ/mol
(146kcal/mol)、C≡C:840kJ/m
ol(200kcal/mol)、C−H:415kJ
/mol(98.7kcal/mol)、C−O:35
7kJ/mol(85kcal/mol)、C=0:3
57kJ/mol(85kcal/mol)が挙げられ
る。
【0097】機能化剤分子4aに対し、上記結合エネル
ギよりも大きいエネルキが熱エネルギとして加わると、
機能化剤分子4aの少なくとも一部は、開裂し疎水性や
親水性を有する、機能化剤分子4aに基づく分裂片4b
を生じる。
【0098】同様に、微粒子5の表面に存在する化学基
についても熱エネルギにより、開裂し、微粒子5の表面
が活性化された活性化微粒子5bが生じる。その結果、
機能化剤分子4aの分子の結合が切れることによって生
成された分裂片4bが官能基として、活性化微粒子5b
の活性化された表面に容易に結合し、表面が化学的に上
記分裂片4bに基づき機能化された、新たな機能性を有
する機能性粒子5aが得られる。
【0099】このように、機能化剤4が、特に急激に沸
騰し、機能化剤4の体積が気化により急速に膨張するこ
とによって、凝集した各微粒子5が解砕・分散するとき
に同時に、微粒子5の表面に機能性が付与されて機能性
粒子5aが得られる。
【0100】なお、上記では、図3に基づいて、機能化
剤4としてメタノールを用い、微粒子5の表面にヒドロ
キシメチル基が付与されることにより、新たに親水性が
付与された機能性粒子5aについて説明したが、上記メ
タノール以外の機能化剤4の分子であっても同様にして
微粒子5の表面に対し、化学的に機能性を付与できる。
例えば、機能化剤4の分子がヘキサンであれば、図3と
同様のメカニズムにより、微粒子5の表面にメチル基が
結合した、疎水性が付与された機能性粒子5aが得られ
る。
【0101】その後、得られた機能性粒子5aと機能化
剤4の蒸気とを含む混合流体に希釈用の気体(希釈気
体)を導入することにより希釈し(S5)、機能性粒子
5aと機能化剤4の蒸気とを含む希釈混合流体を冷却し
て機能化剤蒸気を液化し(S6)、機能化剤4を液化に
より回収した(S7)後、機能性粒子5aを捕集する
(S8)。
【0102】以上のように、本発明に係る機能性粒子の
製造方法の好ましい形態は、凝集した各微粒子を機能化
剤に懸濁してなる懸濁液を作成し、この懸濁液を急激に
沸騰させることによって、凝集した各微粒子の少なくと
も一部を一次粒子の状態にまで解砕して分散すると共
に、沸騰した機能化剤の少なくとも一部に開裂部が形成
され、上記開裂部を利用して、機能化剤に基づく新たな
化学的な性質を微粒子に付与することによって機能性粒
子を製造する方法である。
【0103】したがって、上記方法では、攪拌翼等の攪
拌装置を用いて粒子を攪拌することによって粒子表面を
改質する従来の表面改質粒子の製造方法とは異なり、得
られた機能性粒子が摩擦によって帯電する恐れがなく、
また、機能性粒子が処理後凝集、あるいは、膜厚増加に
よる巨大化することを防止することができる。
【0104】これにより、上記方法においては、簡便な
装置および操作で短時間でかつ安価に、粒子径が比較的
小さくかつ揃った機能性粒子を製造することができる。
上記製造方法によって、得られる機能性粒子は塗料、印
刷インキ、トナー(現像剤)等の各種用途に好適に用い
ることができる。
【0105】次に、本発明に係る機能性粒子製造装置に
ついて説明する。本発明に係る機能性粒子製造装置は図
4に示すように、常温・常圧で、固体である微粒子を機
能化剤に懸濁させて懸濁液10を得る粒子懸濁部11
と、上記粒子懸濁部11からの懸濁液10を急激に沸騰
させて微粒子に対し新たな機能性を付与するための機能
付与部12とを備えている。
【0106】また、本発明の他の機能性粒子製造装置と
しては、図5に示すように、上記懸濁液10から液滴を
製造する液滴製造部20をさらに含み、懸濁液10が、
より一層急激に沸騰し易くなっていることが好ましい。
【0107】これにより、上記製造装置では、懸濁液1
0の沸騰に必要な熱量を低くでき、懸濁液10が急激に
沸騰し易くなり、機能性粒子の製造が効率よく行える。
したがって、上記構成では、機能性粒子を効率的に製造
可能な機能性粒子の製造装置を提供できる。
【0108】上記粒子懸濁部11には、大きな粒径とな
った凝集した各微粒子を、多くとも一次粒子10個程度
からなる微小凝集粒子の状態にまで解砕・分散させるた
めの粒子分散装置11bを設けることが好ましい。これ
により、強固に凝集した各微粒子による不十分な粒子お
よび処理不十分な粒子の発生を防止することができる。
その結果、安定して機能化処理が行われて、均質な機能
性粒子を得ることができる。
【0109】上記粒子分散装置11bは、図6に示すよ
うに、懸濁液10に振動を付与する超音波振動発生装置
等の振動手段と懸濁液10を急激に攪拌するホモジナイ
ザ等の攪拌手段とを備えることが好ましい。
【0110】上記液滴製造部20には、液滴の大きなも
のを除去して液滴の径を小さく、液滴の径の分布を狭く
するように調整する液滴径調整手段23aを備えること
が好ましい。これにより、機能化剤を沸騰させるための
機能付与部12の加熱温度を低くできると共に、すべて
の液滴に同じ条件で沸騰させることができるため、処理
された機能性粒子を安定的に発生させることができる。
【0111】上記製造装置では、上記の粒子懸濁部1
1、機能付与部12をそれぞれ複数設けて、複数回の機
能化処理を行うことができるようにしてもよい。したが
って、同じ有機化合物を機能化剤として用いて複数回の
機能化処理を行う場合には、微粒子表面に導入される官
能基の数を制御することができる。また、異なる有機化
合物を機能化剤として用いて複数回の機能化処理を行う
場合には、多種の官能基を微粒子表面に導入することが
できる。
【0112】また、本発明に係る機能性粒子製造装置は
機能付与部12の後段に、気体供給装置(図示せず)か
らの、希釈のための気体を導入する希釈気体導入部15
を備えることが好ましい。これにより、機能付与部12
において得られた分散性の高い機能性粒子の再凝集を防
止することができる。また、機能性粒子の乾燥を促進す
ることができる。
【0113】上記希釈気体導入部15は、気体供給装置
から、ミストや粉塵等の粒状の不純物を除去する不純物
除去手段15aを介して気体を供給する構成を備えてい
ることが好ましい。これにより、ミストや粉塵等の粒状
の不純物による汚染を防止し、効率よく機能性粒子を製
造することができる。
【0114】また、上記気体供給装置は、不活性気体を
供給するものであることが好ましい。反応性の低い不活
性気体を用いることで、安定した機能性粒子の搬送およ
び製造を行うことができる。
【0115】また、本発明に係る機能性粒子製造装置
は、気化させた機能化剤を液化により回収して除去する
ための機能化剤除去部16をさらに備えることが好まし
い。これにより、機能化剤を回収して再利用することが
できる。また、本発明に係る機能性粒子製造装置は、機
能化処理された機能性粒子を捕集する粒子捕集部17を
さらに備えていることが好ましい。
【0116】したがって、本発明に係る機能性粒子製造
装置の、さらに好ましい形態は、凝集した微粒子を機能
化剤に懸濁して懸濁液10を調製する粒子懸濁部11
と、上記懸濁液10を噴霧させることにより液滴を生成
する液滴製造部20と、液滴中の機能化剤を急激に沸騰
および蒸発させて、分散させた微粒子に対し機能化処理
を行う機能付与部12と、機能化剤を除去する機能化剤
除去部16と、処理された機能性粒子を捕集する粒子捕
集部17とを備えている構成である。
【0117】これにより、上記構成では、簡便な操作で
短時間に連続して、常温・常圧にて固体である微粒子表
面を機能性付加処理することが安定的に可能な機能性粒
子製造装置を提供することができる。
【0118】次に、本発明に係る機能性粒子製造装置の
好ましい実施の形態について、図4および図5に基づい
て説明する。機能性粒子製造装置1(以下、製造装置1
と略記する)は、図4に示すように、微粒子を機能化剤
に懸濁させて懸濁液10を調製する粒子懸濁部11、粒
子懸濁部11で調製した懸濁液10を急激に沸騰および
蒸発させ、さらに機能化剤分子を熱によって開裂させる
ことにより微粒子表面に化学基を付与し機能化する機能
付与部12、機能付与部12から排出される機能性粒子
を希釈するための気体を導入する希釈気体導入部15、
気化された機能化剤を除去するための機能化剤除去部1
6、得られた機能性粒子を捕集するための粒子捕集部1
7を備えており、優れた機能を有する機能性粒子を連続
的に安定に製造することができる。
【0119】続いて、本発明に係る機能性粒子製造装置
の好ましい実施の他の形態について、図5に基づいて説
明する。まず、機能性粒子製造装置2(以下、製造装置
2と略記する)は、図5に示すように、微粒子を機能化
剤に懸濁させて懸濁液を調製する粒子懸濁部11、懸濁
液を液滴状にする液滴製造部20と共に該懸濁液から液
滴を生成して機能付与部12に供給し、懸濁された液滴
中の機能化剤を効率的に急激に沸騰および蒸発させ、さ
らに機能化剤分子を開裂させることにより微粒子表面に
官能基(化学基)を付与し機能化する機能付与部12、
機能付与部12から排出される機能性粒子を希釈するた
めの気体を導入する希釈気体導入部15、気化された機
能化剤を除去するための機能化剤除去部16、得られた
機能性粒子を捕集するための粒子捕集部17を備えてお
り、機能性粒子を連続的に製造することができる。
【0120】液滴製造部20は、図6に示すように、微
粒子を機能化剤に混合してなる懸濁液10を収容するた
めの懸濁液容器(粒子懸濁部)11a、および懸濁液1
0中の凝集した微粒子を分散させるための粒子分散装置
11bを備えており、懸濁液10から液滴を生成するも
のである。懸濁液容器11aは、円柱形状または角状形
状の容器である。
【0121】懸濁液容器11aには疎水性顔料等の微粒
子を機能化剤に混合してなる懸濁液10は所定量、投入
されている。微粒子の1次粒子の幾何平均径は、微粒子
が顔料粒子である場合には10nm〜2μm程度、好ま
しくは20nm〜1μm、さらに好ましくは30nm〜
0.5μmであるが、用途等に応じて適宜選択すればよ
く特に限定されるものではない。
【0122】上記機能化剤としては、例えば、0.2μ
mのフィルタを通すことにより粉塵等の不純物が除去さ
れた清浄な機能化剤を使用することが好ましい。このよ
うにフィルタを等して不純物を除去した清浄な機能化剤
を用いることにより、不純物が微粒子の表面に付着し正
常な機能化処理ができなくなるのを防止することができ
る。
【0123】粒子分散装置11bは、懸濁液容器11a
内の懸濁液10中の微粒子の凝集を低減すると共に、懸
濁液容器11a内の懸濁液10中の凝集した各微粒子
を、例えば10個程度の一次粒子で構成されている凝集
微粒子にまで予備分散させるものである。粒子分散装置
11bとしては、凝集した各微粒子を予備分散できるも
のであれば特に限定されるものではないが、懸濁液10
を機械的に攪拌させるホモジナイザ、および、凝集した
微粒子に超音波振動を付与する超音波振動発生装置が特
に好ましく、ホモジナイザと超音波発生装置とを併用す
ることがもっとも好ましい。
【0124】これにより、懸濁液10中に含まれている
凝集した各微粒子が、ホモジナイザによる分裂破壊およ
び超音波振動による浸食破壊によって10個程度までの
一次粒子から構成されている凝集微粒子にまで予備分散
させることができ、懸濁液10中の微粒子の凝集をより
確実に低減することができる。
【0125】懸濁液10を噴霧して液滴を生成させる構
成を備える液滴製造部20の一例を図6に示す。この構
成例の液滴製造部20は、図6に示すように、懸濁液1
0を収容するための懸濁液容器11a、液滴搬送等の輸
送気体を供給するためのノズル21、懸濁液を液滴にし
て供給するための懸濁液供給管22、液滴の粒子径を調
節するためのバッフル23、生成した液滴を供給する液
滴供給管24を備えている。
【0126】懸濁液供給管22は、懸濁液容器11aの
底面に垂直な方向に延びる円筒形状の管であり、支持部
材(図示せず)によってノズル21に支持されている。
懸濁液供給管22は、その下部が懸濁液に浸漬されてお
り、浸漬されている下部の側面に細孔(図示しない)を
有している。懸濁液供給管22は、その上端22aにノ
ズル21から輸送気体がおおよそ水平に吹き付けられる
ことで内部が減圧状態となり、これによって、懸濁液供
給管22の下部の側面に穿設されている細孔から上端2
2aまで吸い上げられるようになっている。
【0127】ノズル21には清浄な輸送気体を供給する
ために、不活性ガスを供給する気体供給装置(図示せ
ず)、ミスト除去部25a、エアフィルタ25bを有す
る清浄気体供給部25が接続されている。上記気体供給
装置は、ミスト除去部25aおよびエアフィルタ25b
を介してノズル21に輸送気体を供給するようになって
いる。ミスト除去部25aおよびエアフィルタ25b
は、懸濁液容器11aに清浄な輸送気体が供給されるよ
うに輸送気体に含まれる不純物を除去するものであり、
ミスト除去部25aが輸送気体に含まれる水滴(ミス
ト)除去した後、エアフィルタ25bが粉塵を除去する
ようになっている。
【0128】上記輸送気体としては、機能化処理に悪影
響を及ぼさない気体であればよいが、特に反応性が低い
ことから、不活性気体、すなわち、アルゴン等の希ガス
または窒素ガスであることが好ましい。
【0129】懸濁液10を噴霧するに際して噴霧に使用
する輸送気体は十分に除湿されていることが好ましい。
なぜなら、本発明に係る機能化粒子の製造方法では、液
滴を沸騰および蒸発させることにより、微粒子の表面を
機能化することから、噴霧する輸送気体に水分が含まれ
ていると、液滴の沸騰に必要な熱量が大きくなることが
懸念される。
【0130】そこで、図6に示すように、ミスト除去部
25aの後段に、エアフィルタ25bを介して供給され
た輸送気体の湿度を検知する湿度検知器29を設けても
よい。湿度検知器29としては、たとえば高分子抵抗変
化型センサやセラミックの湿度センサが使用できる。
【0131】ノズル21は、その先端部21aの中心軸
と懸濁液供給管22の上端22aとが水平な直線上に揃
うように配置されている。これにより、ノズル21は、
その先端部21aから、懸濁液供給管22の上端22a
に対して輸送気体を水平に吹き付けることによって、懸
濁液10を懸濁液供給管22の上端22aまで吸い上
げ、かつ該懸濁液10を噴霧して、霧状の液滴にするよ
うになっている。
【0132】なお、噴霧により生成される液滴の粒径
は、気体供給装置(図示せず)から供給する気体の圧力
又は流速を変化させることによって調整することができ
る。したがって、この構成の液滴製造部20において、
気体供給装置から供給する気体の圧力を調整する手段、
あるいは、気体供給装置から供給する気体の圧力を調整
する手段(図示しない)が液滴調整手段として使用でき
る。
【0133】ノズル21は、その先端部21aの中心軸
と液滴供給管24の中心軸とが水平な直線上に揃うよう
に配置されており、懸濁液供給管22の上端22aで形
成された液滴は、輸送気体によって液滴供給管24へ搬
送される。
【0134】バッフル23は、懸濁液供給管22に固定
されており、球状の先端部23aを有している。バッフ
ルはその先端部23aがノズル21の先端部21aが中
心軸と液滴供給管24の中心軸とを結ぶ直線上である。
【0135】バッフル23は、その先端部23aに、懸
濁液供給管22の上端22aにて造粒された液滴が輸送
気体との流線から慣性によってはずれることにより粒径
の比較的大きな液滴を除去するようになっている。バッ
フル23によって液滴の粒子径を調節することによっ
て、粒子径が比較的小さくかつ揃った液滴を液滴供給管
24を通して機能付与部12に供給できるようになって
いる。
【0136】すなわち、バッフル23は、所定の粒子径
以下の粒子径を有する液滴を選択的に機能付与部12に
供給し、所定の粒子径より大きい粒子径を有する液滴を
除去する液滴径選別手段としての機能を有している。
【0137】ところで、機能付与部12に供給される液
滴に大きい液滴が含まれていると、液滴の沸騰に必要な
熱量が多くなり、すべての液滴が同条件で沸騰しない場
合が生じ安定的に機能性粒子を製造できない懸念が生じ
る。
【0138】これに対し、上記構成の液滴製造部20で
はバッフル23で大きい粒子径を有する液滴を除去でき
るので、安定的に機能性粒子を製造することができる。
上記の微粒子や液滴粒子の個数濃度および粒子径は光学
測定装置100(図7参照)によって計測されることが
好ましい。
【0139】これにより、機能付与部12に対し、不必
要に高い温度や低い温度の加熱温度を設定することが回
避できると共に、発生した液滴の希釈濃度を設定するこ
とができる。光学測定装置100(図7参照)は、筐体
3hの内部に、光源100a、レンズ100b、透光板
100e・100f、光検出部100g等が配設される
ことによって構成されている。
【0140】光源100aから出射された光は、粒子に
よって散乱および減光することにより、その光量が変化
する。これにより、光学測定装置100は、入射された
光量に応じて光検出部100gから出力される信号に基
づいて、微粒子や液滴の粒径および個数濃度を測定する
ようになっている。光学測定装置100を用いて粒子径
および粒子個数濃度を測定することにより、機能性粒子
の製造工程を制御することができる。
【0141】なお、上記の光学測定装置100は、光透
析・散乱法を採用して粒子径を測定する構成となってい
るが、測定法は特に限定されるものではなく、例えば、
X線透過法、沈降法、レーザ回折・散乱法、動的散乱を
利用した光子相関法等を採用することもできる。また、
光学的に測定する方法以外に、光学顕微鏡や電子顕微鏡
を使用する画像処理解析法等を採用することもできる。
個数濃度に関しては、例えば光透過法により求めること
ができる。
【0142】さらに、液滴製造部20にて懸濁液10を
噴霧することにより生成された液滴は、直ちに気体、好
ましくは除湿された不活性気体によって希釈するように
してもよい。これは、生成された液滴が気体によって輸
送される際に、液滴が高濃度で存在していれば液敵同士
の衝突により複数の液滴が一体化し巨大な液滴が発生す
るからである。このような巨大液滴は、沸騰に要する熱
量が大きく安定的に沸騰および機能化することができな
いのではないかと懸念される。したがって、懸濁液10
を噴霧することにより生成された液滴は、直ちに希釈さ
れることが好ましい。
【0143】液滴の希釈は、供給管34に気体、好まし
くは、除湿された不活性気体を導入する液滴希釈気体導
入部(図示せず)を接続することにより行えばよい。液
滴希釈気体導入部は、例えば、前述のエアフィルタ25
bと液滴製造部20との間の配管から分岐させた管によ
っても構成できる。
【0144】これにより、気体供給装置からミスト除去
部25aおよびエアフィルタ25bを介して供給された
清浄な輸送気体を、液滴製造部20における懸濁液10
の噴霧と、その後の液滴の希釈の双方に利用できる。し
たがって、この構成の液滴希釈気体導入部は、構成が簡
素化できるという利点がある。なお、気体供給装置とは
別に希釈用の気体を供給する気体供給装置を設け、上記
気体供給装置からミスト除去部25aおよびエアフィル
タ25bを介して供給するようにしてもかまわない。
【0145】機能付与部12は、懸濁液10中の微粒子
に対し機能化剤に基づく機能性付与の処理を行うための
管12aを備えており、懸濁液10(あるいは懸濁液
滴)を輸送気体中に分散させた状態で導入口12bから
搬出口12cに搬送することにより、管12a内にて、
懸濁液10中の機能化剤を急激に沸騰するようになって
いる。
【0146】図2に示すように、懸濁液10や、懸濁液
10の液滴が急激に沸騰すると、懸濁液10中に存在す
る凝集した各微粒子5の微粒子間の間隙に存在する機能
化剤4も沸騰し、微粒子間隙に存在する機能化剤4の急
激な体積膨張による外力が凝集した各微粒子5に対し外
方に向かって作用し、各微粒子5の少なくとも一部は一
次粒子にまで解砕して分散することになる。
【0147】また、図3に示すように沸騰し、蒸気化し
た機能化剤分子4aにさらに熱が加わり、分子間に作用
する結合エネルギよりも大きいエネルギが加わると、機
能化剤分子4aの少なくとも一部は開裂し、機能化剤分
子の分裂片(開裂部を含む)4bや機能化剤分子の活性
化分子が生成される。
【0148】一方、分散された微粒子5の表面において
も、熱が加わり表面に存在する化学基に熱エネルギが加
わり、表面に存在する化学基の結合エネルギよりも大き
いエネルギが加わった場合に微粒子5の表面が、例えば
開裂によって活性化された、活性化微粒子5bが発生す
る。この結果、機能化剤分子の分裂片4bと活性化され
た活性化微粒子5bの表面とが化学的に結合し、活性化
微粒子5bの表面に対し、上記機能化剤4に基づく機能
性が急速に付加されて機能性粒子5aが生成する。
【0149】このとき、前述したように、機能付与部1
2の手前にて、液滴製造部20からの管24に接続し、
液滴を清浄な輸送気体で希釈することにより、凝集微粒
子の発生液滴が凝集一体化することを防止するようにし
てもよい。
【0150】管12aは、例えば、円柱管の形状に形成
されている。管12aの内壁は、機能化剤が親水性であ
る場合には、疎水性を有する撥水性材料で構成されてい
ることが好ましく、機能化剤が疎水性である場合には親
水性材料からなる親水部を形成することが好ましい。
【0151】これにより、管12aの内壁への懸濁液1
0の付着を防止することができると共に、管12aの内
壁に付着した懸濁液10の除去を効率的に行うことがで
きる。上記の、例えば、親水性材料としては、ガラス、
ステンレス鋼等が、また、疎水性材料としてはこれらの
フッ素加工、フラッシング加工処理されたガラス等が使
用できる。
【0152】また、機能付与部12の外壁には電気炉、
マイクロウェーブ発生器等の加熱部12dが備えられ、
前述の加熱温度により機能化剤の沸騰および蒸発に必要
な熱量を供給できるようになっている。さらに、機能付
与部12には、機能付与部12内の入口付近および出口
付近、並びに、機能付与部12外の出口付近に流れる、
各流体の温度をそれぞれ測定する温度測定部12eが設
けられている。
【0153】機能付与部12で表面に機能を付与された
微粒子は、機能付与部12の搬出口12cから搬出され
るが、機能化剤の沸騰による体積増加にともなう機能付
与部12内の圧力上昇により沸騰が起こり難くなるた
め、搬出口12c出口近傍には圧力調整部26が備えら
れている。圧力調整部26は圧力計とバルブとを有して
おり、圧力が上昇した際にはバルブが開き圧力上昇を緩
和する仕組みになっている。これにより、安定した機能
付与処理を行うことができる。
【0154】機能付与部12から排出された、機能性粒
子とガス化した機能化剤との混合流体は、希釈気体導入
部15から供給された清浄な輸送気体によって希釈され
て、希釈混合流体となった後に、機能化剤除去部16に
搬送される。
【0155】このようにして機能化処理後の機能性粒子
を清浄な不活性気体で希釈することにより、機能化処理
後の、微細な機能性粒子が再凝集することを防止するこ
とができる。
【0156】希釈気体導入部15は、前述した清浄気体
供給部と同様の構成を備えている。すなわち、希釈気体
導入部15は、図示しないが、気体供給装置、ミスト除
去部およびエアフィルタを備えており、機能化剤除去部
16に対し清浄な不活性気体が供給されるように不活性
気体に含まれる不純物を除去するものであり、ミスト除
去部が不活性気体に含まれる水滴等のミストを除去した
後、エアフィルタが粉塵を除去するようになっている。
【0157】なお、上記希釈用の輸送気体は、前述の気
体供給装置から供給される輸送気体と同じであることが
好ましく、したがって不活性気体であることが好まし
い。また、上記希釈用の輸送気体として、機能化処理さ
れた機能性粒子を含む混合流体雰囲気の乾燥を促進する
ために乾燥剤を通過させて除湿した気体を用いてもかま
わない。
【0158】機能化剤除去部16は気化した機能化剤中
に機能性粒子が分散された希釈混合流体が連続的に導入
される冷却部16aと乾燥部とを備えている。冷却部1
6aは、希釈混合流体が通過する管16bと、上記希釈
混合流体を冷却することにより、希釈混合流体中の機能
化剤蒸気を液化するための冷却部材(図示せず)と、液
化した機能化剤を回収するための貯留部16cとを備え
ている。
【0159】冷却部16aでは、機能付与部12から搬
出された混合流体を、希釈気体導入部15により希釈し
た希釈混合流体を、管16bに導入し、冷却部16aに
より冷却することによって、上記希釈混合流体に含まれ
る機能化剤の飽和蒸気量を低下させることにより、気化
した機能化剤を、管16にて液化させて貯留部16cに
回収し、上記希釈混合流体から除去するものである。
【0160】冷却部16aの冷却部材は、管16bを冷
却することにより、機能性粒子分散気体を冷却するもの
であり、たとえば、ペルチエ効果によって管16bを冷
却するペルチエ素子を備えている。なお、上記冷却部材
は所望する冷却温度に応じた構成とすればよく、特に限
定されるものではない。たとえば、液体窒素、ドライア
イス、氷等によって冷却された有機溶媒などでもよい。
また、冷却部材は、水や氷水等の冷媒が流入されること
により管16bを冷却するリービッヒ冷却管であっても
よい。
【0161】管16bは、例えば円柱管で形成されてお
り、その中心軸が水平方向に対してなす角度が1〜90
度の範囲内であることが好ましく、特に70〜90度の
範囲であることがさらに好ましい。
【0162】これにより、管16bの内壁に付着した機
能化剤が、重力と不活性気体流によって生じる流体抵抗
力とによって、管16bの下方に設けられた貯留部16
cに流れ込む。それゆえ、管16b内が機能化剤によっ
て閉塞することを防止でき、製造装置1および製造装置
2の連続運転が、より確実に可能となる。
【0163】また、管16b内の内壁には、管12aの
内壁と同様に、機能化剤が親水性である場合には疎水性
材料からなる撥水部を形成することが好ましく、機能化
剤が疎水性である場合には親水性材料からなる親水部を
形成することが好ましい。これにより、管16bの内壁
への機能化剤の付着を防止すると共に、管16bの内壁
に付着した機能化剤を効率的に除去することができる。
上記の撥水性材料および親水性材料としては管12aの
内壁と同様の材料が使用できる。
【0164】上記冷却処理により機能化剤が除去された
機能性粒子分散気体は、機能化剤除去部16から搬出さ
れた後、乾燥部(図示せず)に導入され、機能性粒子が
乾燥される。乾燥部は粒子輸送管66内の乾燥剤が充填
された処理空間に機能性粒子分散気体がさらされる構造
になっている。なお、乾燥部は必要に応じて設けられる
ものであり省略することも可能である。
【0165】前述の粒子捕集部17で捕集された機能性
粒子は必要に応じて図示しない洗浄装置にて超純水やメ
タノール等の洗浄用液体を用いて洗浄するとよい。これ
により、機能性粒子表面に残留した液体等の不純物がさ
らに除去され、純度の高い機能性粒子が得られる。上記
洗浄用液体としては、機能付与用の機能化剤が親水基を
有する場合には超純水を用いることが好ましく、機能付
与用の機能化剤が疎水基のみを有する場合にはテトラヒ
ドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、メタノール等の有機溶媒の純度の高いものを用い
ることが好ましい。なお、機能性粒子の洗浄方法は特に
限定されるものではない。
【0166】また、洗浄された機能性粒子は、必要に応
じて、該機能性粒子に残留した洗浄用溶媒を除去するこ
とができる。なお、機能性粒子の乾燥方法は特に限定さ
れるものではない。
【0167】なお、上記説明においては、図4および図
5に示す、各製造装置1、2を例に挙げて説明したが、
本発明に係る機能性粒子製造装置の具体的な構成は、上
記例示の各製造装置1、2のみに限定されるものではな
い。
【0168】例えば、図4および図5に示す製造装置1
または製造装置2を複数、互いに直列に接続してもよ
い。このとき、製造装置1または製造装置2における微
粒子表面の機能性付与処理には、同じ機能化剤を用いて
もよく、また、互いに異なる機能化剤を用いてもよい。
【0169】異なる機能化剤を用いる場合、上述したよ
うに製造装置1または製造装置2を複数、直列に接続す
ると共に、製造装置1または製造装置2の粒子懸濁部1
1に仕込む機能化剤を異なる機能化剤に代えればよい。
これによって、複数の異なる種類の機能性処理を施した
機能性粒子、例えば複数の異なる官能基を表面に導入し
た機能性粒子を製造することが容易に可能となる。
【0170】なお、複数の異なる種類の機能化処理を行
う方法としては、異なる機能化剤が互いに反応する場合
には上記のような製造装置1または製造装置2を互いに
複数接続する方法が好ましいが、異なる機能化剤が互い
に反応しない場合には、一度に複数種類の機能化剤を混
合して機能化処理を行ってもよい。この方法では、一度
に異なる複数種類の機能化処理を行うことができるた
め、機能性粒子製造装置を複数、直列に接続する必要が
ない。
【0171】また、上記例示の製造装置は機能性粒子を
連続的に製造することができる構成を備えていたが、本
発明に係る機能性粒子製造装置はバッチ式で機能性粒子
を製造することができる構成をも備えるものであっても
よい。
【0172】以上のように、本実施の形態に係る機能性
粒子製造装置は、微粒子を機能化剤に懸濁させて懸濁液
を得るための粒子懸濁部と、上記粒子懸濁部からの懸濁
液を急激に沸騰および蒸発させ微粒子の分散性を付与さ
せると共に、機能化剤分子を開裂することによって微粒
子表面に新たな機能を付与する機能付与部とを備える構
成である。
【0173】上記構成によれば、より簡便な装置および
操作で短時間でかつ安価に、粒子径が比較的小さくかつ
揃った機能性粒子を製造することができる。
【0174】さらに、本発明者らは、既に、固体粒子を
液体に懸濁させて懸濁液を調製し、上記懸濁液を噴霧
し、帯電させることにより、固体粒子の表面を液体で改
質する発明(特願2000−23175号)を出願して
いるが、本願発明に上記発明に対し次の有利点を有して
いる。
【0175】まず、上記機能化剤を急激に加熱すること
によって、沸騰および蒸発を起こすため、機能化剤の急
激な体積膨張により凝集粒子を一次粒子に近い分散状態
まで微細化できる。したがって、粒子の分散を高めるこ
とができることにより、流動性や、微粒化による機能を
付与できると共に、必ずしも懸濁液を液滴状にして操作
する必要がないだけでなく、懸濁液を液滴状にして操作
する場合にも、懸濁液中の粒子濃度についても特に上限
を規定しなくとも分散状態の高い一次粒子を得ることが
できる。また、帯電装置が不要となるので、噴霧部(液
滴製造部)の構成が簡便になり製造装置の構造を簡素化
できる。
【0176】
【実施例】本発明の各実施例について説明すれば、以下
の通りである。以下、各実施例において、本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定さ
れるものでない。
【0177】〔実施例1〕前述した製造装置1を用いて
本発明に係る機能性粒子の製造方法を実施した一例を図
8のフローチャートに基づいて説明する。まず、懸濁液
容器11aにおいて、黒色顔料であるカーボンブラック
微粒子(粒子径0.075μm)をメタノール(機能化
剤)中に懸濁させることにより、粒子個数濃度が1016
個/m3 のカーボンブラック微粒子懸濁液10を調製し
た(S11)。次に、カーボンブラック微粒子懸濁液1
0に対して粒子分散装置11bとしての超音波発生装置
によって超音波振動を与えることによって、凝集してい
るカーボンブラック微粒子を予備分散した(S12)。
このとき、機能付与部12の温度を900Kに加熱した
(S13)。
【0178】その後、このカーボンブラック微粒子懸濁
液10を100ml/minの割合(流量)で機能付与
部12内の管12dに導入し懸濁液10を急激に沸騰/
蒸発させて(機能付与部12の出口温度900K(62
7℃))、カーボンブラック微粒子の表面にメタノール
の分裂片に基づく水酸基が導入された機能性粒子を製造
した(S14)。
【0179】続いて、上記機能性粒子と、ガス化したメ
タノールとを含む混合流体を機能付与部12から排出し
た。上記混合流体を、希釈気体導入部15より清浄窒素
ガスを導入して希釈して希釈混合流体を得た(S1
4)。その後、上記希釈混合流体を、機能化剤除去部1
6における冷却部内の273K(0℃)に冷却された管
16bに導入して冷却した(S16)。これにより、上
記希釈混合流体から、メタノールを液化により回収した
(S17)。
【0180】次に、希釈混合流体からメタノールが除去
された輸送流体を、乾燥部で、さらに除液・乾燥させ、
上記輸送流体から、粒子捕集部17において機能性付与
処理された機能性粒子を捕集した(S18)。捕集した
機能性粒子は、超純水で洗浄処理した。これにより、機
能性粒子として分散性および親水性の機能を付与された
カーボンブラック微粒子(以下、機能性カーボンブラッ
ク微粒子と称する)が得られた。
【0181】上記の機能性カーボンブラック微粒子と、
比較のための機能付与処理されていないカーボンブラッ
ク微粒子とを、それぞれ超純水に投入して各粒子の濡れ
性をそれぞれ調べた。
【0182】この結果、機能化処理を行っていないカー
ボンブラック微粒子は、水より比重が大きい(2倍程
度)にもかかわらず水面上に留まったことから、超純水
に対し濡れ性を有していないことが判った。これに対
し、機能性カーボンブラック微粒子は、水中に分散・浮
遊したことから、超純水に対し濡れ性を有することが判
った。これにより、本発明に係る機能性粒子の製造方法
により得られた機能性カーボンブラック微粒子は濡れ性
が向上する、つまり親水性を備えていることが認められ
た。
【0183】〔実施例2〕前述した製造装置2を用いて
本発明に係る機能性粒子の製造方法を実施した他の例を
図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、懸濁
液容器11aにおいて、顔料であるカーボンブラック微
粒子(粒子径0.075μm)をメタノール(機能化
剤)中に懸濁させることにより、粒子個数濃度が1016
個/m3 のカーボンブラック微粒子懸濁液10を調製し
た(S21)。次に、カーボンブラック微粒子懸濁液1
0に対して粒子分散装置11bとしての超音波発生装置
によっり超音波振動を与えて、凝集しているカーボンブ
ラック微粒子を予備分散した(S22)。このとき、機
能付与部12の温度を800Kに加熱した(S23)。
【0184】続いて、このカーボンブラック微粒子懸濁
液10を清浄な加圧窒素ガス(2kgf/cm2 )によ
りノズル21に送ることによって噴霧し、上記懸濁液1
0から液滴を作製した(S24)。
【0185】その後、液滴製造部20から機能付与部1
2に向かって、カーボンブラック微粒子懸濁液10を、
カーボンブラック微粒子懸濁液流量を10ml/min
の割合により供給した。このときの液滴の大きさはバッ
フル23によって大きな液滴が除去されたため、液滴径
約0.3μm、幾何標準偏差2の比較的大きさの整った
液滴が得られることが判った。
【0186】その次に、この液滴を機能付与部12内の
管12dに導入し、液滴の懸濁液10を急激に沸騰/蒸
発させて(機能付与部出口温度800K(527
℃))、機能性粒子を製造した(S25)。
【0187】続いて、上記機能性粒子およびガス化した
メタノールを含む混合流体を機能付与部12から排出
し、上記混合流体を、希釈気体導入部15から清浄窒素
ガスを導入して希釈した(S26)。その後、上記希釈
混合流体を、冷却部内の273K(0℃)に冷却された
管16bに導入して冷却した(S27)。これにより、
上記希釈混合流体から、機能化剤としてのメタノールを
回収した(S28)。
【0188】次に、メタノールがほぼ除去された、機能
性粒子を含む輸送流体を、乾燥部で除液・乾燥させ、上
記輸送流体から粒子捕集部17において機能付与処理を
行った機能性粒子を捕集した(S29)。捕集した機能
性粒子は、超純水で洗浄処理した。これにより、機能性
粒子として分散性および親水性の機能を付与されたカー
ボンブラック微粒子(機能性カーボンブラック微粒子と
称する)が得られた。
【0189】上記の機能性カーボンブラック微粒子と、
機能付与処理されていないカーボンブラック微粒子と
を、それぞれ超純水に投入して粒子の濡れ性を調べた。
この結果、機能化処理を行っていない粒子は、水より比
重が大きい(2倍程度)にもかかわらず水面上に留まっ
たことから、超純水に対し濡れ性を有していないことが
判った。これに対し、機能性カーボンブラック微粒子
は、水中に分散・浮遊したことから、超純水に対し濡れ
性を有することが判った。これにより、本発明に係る機
能性粒子の製造方法により得られた機能性カーボンブラ
ック微粒子は濡れ性が向上する、つまり親水性を備えて
いることが認められた。
【0190】〔各実施例3〜8〕各実施例3〜8では実
施例2におけるメタノールに代えて、それぞれ水(気化
熱:2267J/g(539.8cal/g))、エタ
ノール(気化熱:840J/g(200cal/
g))、エチレングリコール(気化熱:920J/g
(219cal/g))、ギ酸(気化熱:504J/g
(120cal/g))、酢酸(気化熱:407J/g
(97cal/g)、およびメタノールとエチレングリ
コールの混合溶媒(混合容量比1:1)を用いる以外は
実施例2と同様にしてカーボンブラック微粒子に対し機
能性付与処理し、機能性カーボンブラック微粒子を得
た。
【0191】そして、各実施例3〜8にて得られた機能
性カーボンブラック微粒子の水への濡れ性を比較するこ
とにより、機能化剤の種類によって得られる機能性粒子
の親水性がどのように変化するのかについて調べた。
【0192】実験のいずれの場合(水を除く)にも、得
られた機能性カーボンブラック微粒子には機能性付与処
理されていないカーボンブラック微粒子(比較例として
示す)に対する分散性および親水性の向上が見られた。
【0193】とりわけ、メタノール、エチレングリコー
ル、ギ酸、メタノールとエチレングリコールの混合溶媒
を用いた場合に、機能性カーボンブラック微粒子の親水
性が向上し、さらにその中でも、メタノールとエチレン
グリコールの混合溶媒を用いた場合に最も顕著に機能性
カーボンブラック微粒子の親水性が向上することが判っ
た。
【0194】〔実施例9〕実施例2と同様のメタノール
を用いる機能付与処理を行った後、メタノールの代わり
にエチレングリコールを用いる以外は実施例2と同様の
機能付与処理を行い、機能性カーボンブラック微粒子を
得た。その結果、得られた機能性カーボンブラック微粒
子は、メタノールを単独に用いて処理した場合、およ
び、エチレングリコールを単独に用いて処理した場合よ
りも、機能性カーボンブラック微粒子の親水性が向上し
た。
【0195】〔実施例10〕実施例9の機能付与処理を
3回繰り返して行い、機能性カーボンブラック微粒子を
得た。その結果、得られた機能性カーボンブラック微粒
子は実施例9の機能付与処理を1回行った場合に得られ
た機能性カーボンブラック微粒子よりも親水性が向上し
た。
【0196】実施例1〜10で得られた機能性カーボン
ブラック微粒子の分散性、水への濡れ性、炭化物(ス
ス)の発生を比較した結果を、以下の表1にまとめて示
す。なお、表1において、分散性については、「◎」
は、ほとんど一次粒子に近い状態にまで分散しているこ
とを示し、「△」は処理前よりも分散状態が向上してい
ることを示し、「○」は◎と△のあいだの良好な分散状
態を示し、「×」は分散性に改善が認められなかったこ
とを示している。
【0197】また、表1において、水への濡れ性につい
ては、「◎◎」は水への濡れ性が非常に優れていること
(水に投入すると直ちに分散した)を示し、「◎」は水
への濡れ性が優れていること(水に投入し軽く攪拌する
と水中で分散した)を示し、「○」は水への濡れ性が良
好であること(水に投入し強く攪拌すると水中で分散し
た)を示し、「△」は水への濡れ性が部分的に不良であ
ること(水に投入し2時間強く攪拌すると水中に分散し
た)を示し、「×」は水への濡れ性が不良であること
(水に投入し1日間強く攪拌しても水面上に留まった)
を示している。
【0198】最後に、表1において、炭化物発生なしの
欄では、「○」は炭化物の発生がないこと、「×」は炭
化物が発生したことを示している。
【0199】
【表1】
【0200】上記表1中の*1は、メタルールとエチレ
ングリコールとの混合液での処理を示し、*2は、メタ
ノール処理を3回繰り返したことを示し、*3は、メタ
ノール処理と、エチレングリコール処理を別々に繰り返
したことを示し、*4は、メタノール処理と、エチレン
グリコール処理を別々に3回ずつ繰り返したことを示
す。
【0201】〔実施例11〕本発明に係る機能性粒子の
製造方法に基づいて、所定の条件下で疎水化機能性付与
処理を行ったさらに他の例を図10のフローチャートに
基づいて説明する。まず、懸濁液容器11aにおいて、
顔料であるカーボンブラック微粒子を、機能化剤として
のベンゼンに懸濁させることにより、粒子径0.075
μm、粒子個数濃度が1016個/m3 のカーボンブラッ
ク微粒子懸濁液10を得た(S31)。その後、上記懸
濁液10の凝集しているカーボンブラック微粒子を粒子
分散装置11bとしてのホモジナイザによって予備分散
した(S32)。このとき、機能付与部12の温度を8
00Kに加熱した(S33)。
【0202】そして、懸濁液容器11a内のカーボンブ
ラック微粒子懸濁液10を、清浄な加圧窒素ガス(2k
gf/cm2 )によりノズル21に送ることによって噴
霧し、液滴を生成した(S34)。続いて、液滴製造部
20から機能付与部12に向かって、懸濁液10がカー
ボンブラック微粒子懸濁液流量を10ml/minとな
るように供給した。
【0203】その後、この懸濁液滴を機能付与部12内
の管12dに導入し、ベンゼンを沸騰/蒸発させること
によりカーボンブラック微粒子に対する機能性付与処理
を行って(機能付与部出口温度800K(527
℃))、機能性粒子を製造した(S35)。
【0204】次に、得られた機能性粒子を含む混合流体
は、希釈気体導入部15から清浄な窒素ガスを導入する
ことにより希釈した(S36)。その後、上記希釈混合
流体を、273K(0℃)に冷却された管16bに導入
して希釈混合流体を冷却し(S37)、ベンゼン蒸気を
液化させた。そして、液化させたベンゼンを回収して除
去した(S38)。続いて、上記希釈混合流体よりベン
ゼンが除去された輸送流体から、機能性粒子を粒子捕集
部17にて捕集した(S39)。捕集された機能性粒子
をメタノールで洗浄処理した。
【0205】これにより、疎水性という機能を付与され
た機能性粒子としてのカーボンブラック微粒子(以下、
疎水化機能性カーボンブラック微粒子と称する)が得ら
れた。上記疎水化機能性カーボンブラック微粒子と機能
性付与処理を行っていないカーボンブラック微粒子とを
それぞれ超純水に投入し攪拌して、上記各微粒子の濡れ
性を調べた。
【0206】この結果、超純水に投入して攪拌した直後
は、何れのカーボンブラック微粒子も超純水に濡れずに
水面上にとどまったが、機能付与処理を行っていないカ
ーボンブラック微粒子は、1日経過後、水中に沈降し
た。これに対し、疎水化機能性カーボンブラック微粒子
は、1週間、経過しても超純水に濡れず、水面上にとど
まった。
【0207】また、上記疎水化機能性カーボンブラック
微粒子と機能付与処理を行っていないカーボンブラック
微粒子とをヘキシルアルコール中に投入した。その結
果、疎水化機能性カーボンブラックの方が速やかにヘキ
シルアルコール中に濡れることが観察された。この結果
から、ベンゼンを用いる機能付与処理によって、用いた
カーボンブラック微粒子に対し、疎水性がさらに付与さ
れた、すなわち、得られた疎水化機能性カーボンブラッ
ク微粒子の親油性が向上したことが判明した。
【0208】
【発明の効果】本発明の機能性粒子の製造方法は、以上
のように、凝集した微粒子を、機能化剤に懸濁して懸濁
液を調製し、上記懸濁液を沸騰させることにより、凝集
した微粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂さ
せ、微粒子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤
に基づき機能化する方法である。
【0209】それゆえ、上記方法では、沸騰したときに
少なくとも一部が開裂部を形成する機能化剤を使用し、
その開裂部を用いて機能化剤に基づき機能化するので、
従来のような、例えば硝酸水溶液の硝酸の酸化力による
機能化と異なり、硝酸水溶液より、気化熱が小さく、沸
騰し易い、多様な機能化剤を選択できる。
【0210】この結果、上記方法では、多様な機能化剤
による、多機能化を図れると共に、硝酸水溶液より気化
熱が小さい、例えば有機化合物を機能化剤として選択で
きることから、加熱コストや廃液処理コストを低減でき
て、製造コストを抑制できるという効果を奏する。
【0211】本発明の機能性粒子製造装置は、凝集した
微粒子を、機能化剤に懸濁して懸濁液を得る懸濁部と、
上記懸濁液を導入して沸騰させることにより、凝集した
微粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂させ、微
粒子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤に基づ
き機能化した機能性粒子を生成し、ガス化した機能化剤
と共に上記機能性粒子を排出する機能付与部と、上記懸
濁液の機能化剤を急激に沸騰させるために、機能付与部
の内部と外部との間の温度差を設定する加熱部とを備え
ている構成である。
【0212】それゆえ、上記構成では、機能付与部の内
部と外部との間の温度差を、懸濁液を急激に沸騰させる
ように設定する加熱部を有することにより、製造コスト
を抑制できる機能化剤を用いて、多様な機能性が付与さ
れた機能性粒子を安定に得ることができるという効果を
奏する。
【0213】本発明の機能性粒子は、以上のように、上
記機能性粒子の製造方法により得られた構成である。そ
れゆえ、上記構成は、得られた機能性粒子の粒径が、ナ
ノメートルオーダーといった小さいものであっても、分
散性に優れたものとなり、かつ、製造コストも低減され
たものとなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能性粒子の製造方法の概要を説明す
るフローチャートである。
【図2】本発明の機能性粒子の製造方法において、機能
化剤を含む懸濁液を急激に加熱した時、懸濁液が変化す
る様子を示した説明図である。
【図3】本発明の機能性粒子の製造方法において、機能
化剤分子が開裂し、微粒子に機能性が付与させる様子を
示した説明図であり、(a)は、懸濁液が沸騰する前、
(b)は、懸濁液が沸騰したとき、(c)は、懸濁液が
沸騰した後、機能化剤に基づき機能性が付与された機能
性粒子を示す。
【図4】本発明の機能性粒子製造装置の一例を示した概
略構成図である。
【図5】本発明の機能性粒子製造装置の他の例を示した
概略構成図である。
【図6】上記図5に示す機能性粒子製造装置における、
液滴を製造する液滴製造部の説明図であり、(a)は概
略構成図、(b)は要部拡大構成図である。
【図7】上記機能性粒子製造装置に用いる粒子径や粒子
濃度を測定する光学測定装置の概略構成図である。
【図8】本発明の機能性粒子の製造方法において、メタ
ノールおよびカーボンブラック微粒子を用いた実施例1
における各形成工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の機能性粒子の製造方法において、メタ
ノールおよびカーボンブラック微粒子懸濁液を液滴状に
した実施例2における各形成工程を示すフローチャート
である。
【図10】本発明の機能性粒子の製造方法において、ベ
ンゼンおよびカーボンブラック微粒子を用いた実施例1
1における各形成工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
4 機能化剤 4a 機能化剤分子 4b 機能化剤の分裂片(開裂部) 5 微粒子 5a 機能性粒子 5b 活性化微粒子 10 懸濁液 11 懸濁部 12 機能付与部 12d 加熱部

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常温・常圧で固体である、凝集した微粒子
    を、機能化剤に懸濁して懸濁液を調製し、 上記懸濁液を沸騰させることにより、凝集した微粒子を
    解砕すると共に機能化剤の分子を開裂させ、微粒子の表
    面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤に基づき機能化
    することを特徴とする機能性粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】懸濁液を液滴にして沸騰させることを特徴
    とする請求項1記載の機能性粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】液滴の粒径を制御することを特徴とする請
    求項2記載の機能性粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】懸濁液中の凝集した微粒子を予備分散する
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の機能性粒
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】予備分散を、懸濁液流に生じる外力によっ
    て行うことを特徴とする請求項4記載の機能性粒子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】予備分散を、超音波振動による外力によっ
    て行うことを特徴とする請求項4記載の機能性粒子の製
    造方法。
  7. 【請求項7】懸濁液を、機能化剤の沸点よりも低い温度
    まで予備加熱することを特徴とする請求項1ないし6の
    何れかに記載の機能性粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】機能化剤の気化熱が2100J/g以下で
    あることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載
    の機能性粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】機能化剤が、機能化する前の微粒子に対
    し、ぬれる性質を有していることを特徴とする請求項1
    ないし8の何れかに記載の機能性粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】機能化剤が、有機化合物であることを特
    徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の機能性粒子
    の製造方法。
  11. 【請求項11】有機化合物が、親水基を有するものであ
    ることを特徴とする請求項10記載の機能性粒子の製造
    方法。
  12. 【請求項12】有機化合物が、ビス構造を有するもので
    あることを特徴とする請求項11記載の機能性粒子の製
    造方法。
  13. 【請求項13】有機化合物が、炭素を1個有しているこ
    とを特徴とする請求項11記載の機能性粒子の製造方
    法。
  14. 【請求項14】有機化合物が、疎水基を有するものであ
    ることを特徴とする請求項10記載の機能性粒子の製造
    方法。
  15. 【請求項15】微粒子が、10nm〜2μmの範囲内の
    1次粒子での平均粒径を有するものであることを特徴と
    する請求項1ないし14の何れかに記載の機能性粒子の
    製造方法。
  16. 【請求項16】常温・常圧で固体である、凝集した微粒
    子を、機能化剤に懸濁して懸濁液を得る懸濁部と、 上記懸濁液を導入して沸騰させることにより、凝集した
    微粒子を解砕すると共に機能化剤の分子を開裂させ、微
    粒子の表面を機能化剤の開裂部を用いて機能化剤に基づ
    き機能化した機能性粒子を生成し、ガス化した機能化剤
    と共に上記機能性粒子を排出する機能付与部と、 上記懸濁液の機能化剤を急激に沸騰させるために、機能
    付与部の内部と外部との間の温度差を設定する加熱部と
    を備えていることを特徴とする機能性粒子製造装置。
  17. 【請求項17】機能付与部にてガス化により急激に体積
    膨張した機能化剤による機能付与部内の圧力上昇を調節
    して、機能化剤の沸点を制御するための圧力調節部をさ
    らに備えていることを特徴とする請求項16記載の機能
    性粒子製造装置。
  18. 【請求項18】さらに、懸濁液から液滴を製造する液滴
    製造部を含み、 機能付与部は、上記液滴中の機能化剤を急激に沸騰させ
    るようになっていることを特徴とする請求項16または
    17記載の機能性粒子製造装置。
  19. 【請求項19】液滴製造部で製造された液滴の粒径を、
    空気力学的な選別により制御する粒径制御手段を備えて
    いることを特徴とする請求項16ないし18の何れかに
    記載の機能性粒子製造装置。
  20. 【請求項20】懸濁部に、懸濁液中の凝集した微粒子を
    予備分散するためのホモジナイザを備えていることを特
    徴とする請求項16ないし19の何れかに記載の機能性
    粒子製造装置。
  21. 【請求項21】懸濁部に、懸濁液中の凝集した微粒子を
    予備分散するための超音波振動部を備えていることを特
    徴とする請求項16ないし20の何れかに記載の機能性
    粒子製造装置。
  22. 【請求項22】加熱部は、機能付与部の出口部での気流
    の温度が、機能化剤の沸点より高くなるように加熱する
    ものであることを特徴とする請求項16ないし21の何
    れかに記載の機能性粒子製造装置。
  23. 【請求項23】機能化剤の気化熱が2100J/g以下
    であることを特徴とする請求項16ないし22の何れか
    に記載の機能性粒子製造装置。
  24. 【請求項24】請求項1ないし15の何れかに記載の機
    能性粒子の製造方法により得られたものであることを特
    徴とする機能性粒子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011515569A (ja) * 2008-03-28 2011-05-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 粒子の表面改質のための方法
JP2011528054A (ja) * 2008-07-15 2011-11-10 シュテファン・バルチコウスキー 金属含有有機化合物の製造のための方法および装置

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