JP2000108610A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2000108610A
JP2000108610A JP10278445A JP27844598A JP2000108610A JP 2000108610 A JP2000108610 A JP 2000108610A JP 10278445 A JP10278445 A JP 10278445A JP 27844598 A JP27844598 A JP 27844598A JP 2000108610 A JP2000108610 A JP 2000108610A
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tire
belt
belt reinforcing
reinforcing layer
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Susumu Ishizaki
進 石崎
Kozo Sasaki
康三 佐々木
Kazuo Oshima
一男 大島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速耐久性を高め、且つ、ロードノイズを大
幅に低減した空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】 一対のビード部と、両ビード部にまたが
って延びるトロイド状のカーカス層と、前記カーカス層
のクラウン部に位置するトレッド部と、前記カーカス層
のクラウン部のベルト層の外周側に少なくとも1枚より
なるベルト補強層7、8をベルト部全体及び/又は両端
部に設置することからなる空気入りタイヤであって、該
ベルト補強層7、8が複数本のポリビニルアルコール繊
維コードを主成分とするコードからなり、該コードがタ
イヤ周方向に実質上平行となるようにラセン状にエンド
レスに巻き付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤに
関し、さらに詳しくは、タイヤ高速耐久性を著しく高
め、且つロードノイズを大幅に低減した空気入りラジア
ルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】車輌の高級化、高品質化に伴い、特に乗
用車においては車輌の低振動化、乗心地性の改良が近年
急激に進みつつある中、タイヤとしての要求特性にも低
騒音化、高乗心地化、高速耐久性向上が求められてい
る。
【0003】特に、車内に生じる騒音の低減が望まれて
おり、かかる騒音の1つとして走行中のタイヤが路面の
凹凸を拾い、その振動が伝達されて車内の空気を振動さ
せることに基づいて発生する、所謂ロードノイズの改良
要求は、近年車輌の高級化、静粛化に伴い極めて高くな
ってきている。
【0004】このロードノイズを低減する手段としてベ
ルト補強層の補強コード(以下補強コードということが
ある)に着目する方法がある。たとえば特開平9―66
705号がその代表例として挙げられ、補強コードに特
定の初期引張抵抗度を付加させることによりタイヤ周方
向の追出しを抑制し、ロードノイズの低減が図れると提
言している。元来ベルト補強層は、タイヤ周方向の追出
しを抑制し、高速耐久性を向上させる目的で配設されて
いたものであり、このような補強コードの初期引張抵抗
度の特定化も該目的を実現化する手段として提言されて
きたのが常であり、ロードノイズ低減の効果について明
確に記載された発明は上記特開平9―66705号によ
って初めて明らかにされたと推定される。
【0005】上記公報には、補強コードの初期引張抵抗
度を更に高くする事によりロードノイズの低減が図れる
事、また単に初期引張抵抗度を高くするとタイヤの成
型、加硫時のタイヤ拡張にベルト補強層のコード拡張率
が追随出来ず、望みのタイヤの接地形状が得られなくな
ってしまうので、加硫高温時の初期引張抵抗度はある程
度以下になることが好ましいと考えられる事、つまり常
温時では初期引張抵抗度が高く、加硫温度では初期引張
抵抗度が低いことが好ましいと記載されている。さら
に、比較的大型の乗用車用タイヤあるいは荷重の大きい
貨物用車輌のタイヤ等で、例えば、200km/時を超
えるような高速時には発熱が大きく、ベルト補強層の温
度は200℃以上に達し、ベルト補強材として従来耐熱
性は良好と考えられている66ナイロンを用いてもベル
ト補強層は熱により溶解する事さえあった。
【0006】そこで、上記特開平9―66705号に
は、補強コードとしてポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、ナイロ
ン等が用いられると記載されており、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート、ポリエチレンテレフタレートが
特に好ましいとされている。
【0007】しかしながら、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート等は、そのポ
リマーの特性として官能基を有しないためにゴムとの接
着性が悪く、通常はエポキシ、イソシアネート等をコー
ドに塗布した後、ゴムとの接着性を確保するためにレゾ
ルシン・ホルマリン・ラテックスの3成分からなる、所
謂RFL樹脂を塗布してゴム〜コード間の接着性を確保
することが行われている。
【0008】しかし、このような処理を施してもナイロ
ンやレーヨンのように官能基を有するポリマーよりなる
コードの方がゴムとの接着性に優れており、さらにこの
ようなポリマーの差による接着性の差は加硫初期より
も、高温下である時間以上の熱履歴を受けた場合に、よ
り顕著に現れる。
【0009】即ち、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート等はタイヤ高速走行時
にベルト補強層は非常に高温となり、その接着性に問題
があるということは、タイヤへの適用に非常な制約があ
り、特に高速耐久性を要求される速度記号Vまたは,速
度カテゴリーZRのタイヤへの適用は不可能という不具
合を有していた。
【0010】以上述べたように、ベルト補強材としての
本来の機能を有するためには高温融点を有し、且つ高温
下での接着性も低下しない材質が求められる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の事実に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、高
速耐久性を高度に維持しながら、ロードノイズを大幅に
低減した空気入りタイヤを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、ベルト補強層に用いる繊維コードについ
て鋭意検討した結果、ポリビニルアルコール繊維、特に
有機溶媒を用い湿式紡糸により得られたポリビニルアル
コール繊維をベルト補強層のコードに用いる等の下記の
手段により、ロードノイズを大幅に改良し且つ、タイヤ
の高速耐久性を大幅に向上できるタイヤが得られる事を
見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、(1)本発明の空気入りタイヤ
は、一対のビード部と、両ビード部にまたがって延びる
トロイド状のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン
部に位置するトレッド部と、前記カーカス層のクラウン
部のベルト層の外周側に少なくとも1枚よりなるベルト
補強層をベルト部全体及び/又は両端部に設置すること
からなる空気入りタイヤであって、該ベルト補強層が複
数本のポリビニルアルコール繊維コードを主成分とする
コードからなり、該コードがタイヤ周方向に実質上平行
になるようにラセン状にエンドレスに巻き付けられるこ
とより形成されることを特徴とする。
【0014】(2)前(1)項において、前記ベルト補
強層コードは総表示デニール数の40%以上がポリビニ
ルアルコール繊維で構成され、且つ、2.5g/デシテ
ックス(dtex)荷重下の伸度が0.8〜3.5%で
あり、170±5℃において0.78g/dtex荷重
下の伸度が1.5〜6.0%であることが好ましい。
【0015】(3)前(1)項又は(2)項において、
前記ベルト補強層コードの強力は6.7g/dtex以
上であり、2.5g/dtex荷重下の伸度が2.5%
以下であることが好ましい。
【0016】(4)前(1)項、(2)項又は(3)項
において、前記ベルト補強層コードは、有機溶媒を用い
湿式紡糸により得られたポリビニルアルコール繊維から
なることが好ましい。
【0017】(5)前(1)項、(2)項、(3)項又
は(4)項において、前記ベルト補強層コードを構成す
るフィラメントの断面形状はほぼ円形であることが好ま
しい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の最大の目的は空気入りタ
イヤのロードノイズ低減とベルト補強層コード〜ゴム間
の接着性向上の両立であるが、前者のロードノイズ改良
には、ベルト補強層コードは総表示デニール数の40%
以上がポリビニルアルコール繊維で構成され、且つ2.
5g/dtex荷重下の伸度が0.8〜3.5%である
ことが望ましい。すなわち、これはトレッド部全体及び
/又はトレッド部の両端のサイド部に近い位置に、ベル
ト補強層をラセン状に巻き付け、更にこのベルト補強層
に初期引張抵抗度の高いコードを用いることによって、
タイヤ周方向の張力を高め、タイヤ走行中に路面の凹凸
の振動をトレッド部で吸収し、且つタイヤサイド部―リ
ム部―ホイールへと伝達されて車内に伝わる振動を減少
させることを意図したものである。しかしながら、この
ように初期引張抵抗度の高いコードであればロードノイ
ズの低減に有効であるとは必ずしも言えない。例えば、
芳香族ポリアミド繊維やレーヨン繊維のように高温時の
初期引張抵抗度が常温時とさほど変化しない繊維コード
では、当初の目的は得られない。その理由として以下の
製造上の問題がある。
【0019】通常のタイヤ加工工程においては、タイヤ
は、まず、成型ドラム上で成型される。次に、このよう
に成型された未加硫タイヤは径方向外側へ数パーセント
拡張される。
【0020】従って、タイヤの拡張を計算に入れて未加
硫タイヤを成型しなければ、タイヤの拡張率が大きい場
合には、ゴム中の部材が動いたり、タイヤの均一性が損
なわれ、ひいてはユニフォミティーの低下をもたらすと
いう不具合いが生じる。また、未加硫タイヤの外周と加
硫モールドの内周が同等の場合には、未加硫タイヤが加
硫モールドからはみ出してしまったり、加硫モールドが
閉じる際に所謂モールド噛みと呼ばれる不具合が発生す
る。このため、未加硫タイヤの外周は加硫モールドの内
周よりも約2%小さく設計されている。
【0021】しかしながら、未加硫タイヤの外周を小さ
く設計した場合、未加硫タイヤのベルト補強層に、全く
伸長しない初期引張抵抗度の高いコードを用いると、初
期引張抵抗度の高いコードはタイヤの拡張に追随するこ
とができず、タイヤ接地形状に大きく悪影響を及ぼす。
【0022】たとえば、ほとんど伸長しない、初期引張
抵抗度の高いコードとして、スチールコードやアラミド
コードが挙げられるが、これらのコードをベルト補強層
に用いると、加硫中に伸長されないためベルト補強層が
ベルト層に食い込み、ベルトが変形したり、ベルトとベ
ルト補強層の間にゴムが介在しないという不具合が生じ
る。さらには、ベルト補強層がベルト層内部に食い込ん
だ結果、タイヤ内圧充填時にトレッド部のタイヤ径方向
の曲率が小さくなり、ショルダー部近傍の接地長さが著
しく短くなるために、タイヤに要求される操縦安定性、
耐摩耗性が大幅に低下してしまうという不具合が生じ
る。
【0023】かかる問題を解決するためには、ベルト補
強層の補強コードは加硫中の初期引張抵抗度が低く、且
つ、タイヤ加硫後には初期引張抵抗度が高いことが求め
られるのである。
【0024】そこでベルト補強層の繊維コードは170
±5℃において0.78g/dtex荷重下の伸度が
1.5〜6.0%であることが好ましい。
【0025】更に、本発明の目的である、タイヤの高速
耐久性向上を達成するためにはコード〜ゴム間の接着性
確保、特に耐熱接着性の確保が求められる。前述したよ
うにコードと接着剤層との接着力を強固に発現させるた
めには、分子中に官能基を有するポリマー繊維コードが
好ましい。このようなポリマー繊維を鋭意検討した結
果、ポリビニルアルコール繊維が好ましく、中でも有機
溶剤を溶媒とした、所謂乾湿式紡糸によって得られたポ
リビニルアルコール繊維が特に好適である。
【0026】ポリビニルアルコール繊維は、たとえば、
水を溶媒として、あるいは、有機溶媒中で、湿式紡糸法
により製造することができるが、水を溶媒とすると、得
られる繊維の断面は偏平形状になり易く、有機溶剤を溶
媒とすると、その繊維断面はほぼ真円形状となる。これ
は、水を溶媒として湿式紡糸すると、水分子はフィラメ
ントの表面から徐々に抜けていくため、すでに乾燥し、
形状が定まってしまった外側の分子は、内側の分子が乾
燥する際のフィラメント内部の収縮に追従できずよれる
ためと考えられている。
【0027】ここで、ポリビニルアルコールは、その主
鎖が官能基として水酸基を有しているためにゴムとの接
着はよいのであるが、水酸基が原因と推定される繊維フ
ィラメント同士の融着現象が起こり易く、特に、走行時
のタイヤ中のような湿熱条件下においては、周囲の僅か
な水分と熱により、コードの中に多数存在るすフィラメ
ント同士が融着することがある。従って、ポリビニルア
ルコールコードを、コード垂直方向に入力を受けるベル
ト補強層の補強コード等に用いると、フィラメント同士
の融着が発生した際に、歪み入力が各フィラメントに均
一に分散されなくなり、その結果、耐疲労性が著しく低
下し、強力が低下し時にはコード破断さえ発生すること
がある。
【0028】しかしながら、有機溶剤を溶媒として湿式
紡糸されたポリビニルアルコール繊維は、ポリマー鎖が
均一に分散し且つ脱溶媒の過程で繊維内部構造が均質化
され、更に繊維中の分子鎖が直鎖状に配列し、所謂伸び
切り鎖結晶に近くなるため、分子構造が緻密になり、そ
の結果、水分を吸湿し難く、フィラメント同士の融着も
起こらず耐疲労性が著しく向上するという特徴を有して
いる。また、分子構造の緻密性により高い初期引張り抵
抗度を得易く、且つ、水分や熱に対してもより安定性が
高いという特徴も有している。従って、このようなポリ
ビニルアルコール繊維を用いたコードは、強力が向上す
るばかりでなく、耐疲労性も格段に向上出来るという特
徴を有している。
【0029】熱履歴を受けると、通常ゴム−コード間の
接着力は低下する。一般に熱履歴を受けるとコード、接
着剤、ゴム共に劣化するのであるが、熱履歴によりコー
ド及び接着層は劣化し接着力は低下する。一方ゴムは熱
履歴を受けると一般に硬化するためにコード、接着剤の
熱劣化がないとすると破壊部分がゴム側に移行しゴムが
硬化する分だけ見かけ上の接着力は向上する。このよう
な現象はあくまで接着層及びコード自体の劣化がなく、
ゴムのみが熱履歴を受ける場合に見られる現象である。
一方、たとえば、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート等の接着界面では、接
着界面での剥離がゴム破壊に先行して起きるために接着
力が低下する。接着破壊したコード側界面にゴムが殆ど
付着していないのでタイヤ破壊面からも明らかに接着界
面破壊が発生していることが判る。
【0030】このようにゴム劣化より先行して接着界面
の剥離が起きるとタイヤの高速耐久性の十分な向上は望
めない。
【0031】従って、本発明の目的とするところの、タ
イヤの高速耐久性を向上させるためには、タイヤ構造面
からの対策のみならず、如何に接着界面での破壊をゴム
側での破壊に移行させるかという事が重要となる。
【0032】以上の観点から熱劣化しても接着剤層、コ
ード材質自体が劣化し難い接着界面が求められ、水酸基
によって接着力を発現できるポリビニルアルコール繊
維、レーヨン繊維等が特に好ましい。
【0033】前述もしたが、ベルト補強層に用いられる
コードはタイヤ常用温度域では初期引張抵抗度が高く、
タイヤ加硫温度域ではある程度初期引張抵抗度が低いこ
とが必要であり、これらを満たすコード材質としてはポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
一方、高温時の接着性の確保にはポリエチレン−2,6
−ナフタレート、ポリエチレンテレフタレートは難があ
り、ポリビニルアルコールが最適である。
【0034】しかしながら、ポリビニルアルコールは一
般に、耐疲労性が劣る、また水分を含むと接着性が低下
するというような欠点がある。このような欠点を全て解
消するコード材質を鋭意検討した結果、所謂ゲル紡糸法
すなわち、有機溶媒による湿式紡糸法を用いたポリビニ
ルアルコール繊維が好適であることを見出した(特開平
6−25909号、特開平6−235117号)。
【0035】上記特許のような、ゲル紡糸法によって作
成された高強力ポリビニルアルコール繊維はその原料ポ
リマーの分子量を大きくし高強力化しているが、本発明
に用いるポリビニルアルコール繊維では特に強力の規定
は不必要であるが通常6.7g/dtex以上であり、
通常の分子量、または強力であれば本発明の目的を十分
達成できる。即ち、本発明では水系溶媒から作成される
従来の三日月状断面を有するポリビニルアルコール繊維
に比べ、フィラメント間の融着を起こさない、結晶構造
の緻密な、有機溶剤を溶媒とするゲル紡糸法によって作
成されたポリビニルアルコール繊維を用いる。また、単
に断面が円形のポリビニルアルコール繊維は水系溶媒を
乾式紡糸することによっても入手する事ができるが、本
発明に用いられる有機溶剤を溶媒とするゲル紡糸法によ
って作成されたポリビニルアルコール繊維に対し、耐疲
労性、接着性ともに不満足なレベルであることは言うま
でもない。
【0036】さらに、このような有機溶媒を用いて得ら
れるポリビニルアルコール繊維はその結晶構造も緻密で
あり、さらにその断面が真円状になっているため、フィ
ラメント間に融着が生じ難いのであるが、通常の水溶媒
から作成されたポリビニルアルコール繊維に比べ、10
0℃以下のタイヤ温度域においての初期引張抵抗度が高
いという特徴を有する。さらに本発明においては、これ
にディップ液を塗布して接着処理をした後、一定以上の
テンションで熱処理を施した初期引張抵抗度の高いコー
ドが要求され、このような初期引張抵抗度の高いコード
によって初めて本発明の目的とするロードノイズの大幅
低下が可能となる。本発明のコードは2.5g/dte
x荷重下の伸度は3.5%以下が好ましく、さらには
2.5%以下がより好ましい。
【0037】また、一般に、実施例で定義する矩形率は
大きい方が操縦安定性が良好であり、タイヤ製造時に
は、この矩形率が最適値となるよう、構造などを規定す
る。ここで、単純にベルト補強層の補強コードの引張り
抵抗度を上げると、ショルダー部が締められるために矩
形率は小さくなる。従って、本発明では操縦安定性を確
保するため高強力のコードを用いても、通常のコード
(たとえばナイロンコード)を用いたタイヤと同等の矩
形率を有することが重要となる。
【0038】本発明に係わるベルト補強層に使用される
ゴム成分は特に限定されないが、例えば、天然ゴム(N
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)を挙げること
ができ、中でも天然ゴム、ブタジエンゴムが好ましい。
また、これらのゴム成分は単独で用いてもよいし、二種
以上併用してもよい。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は、その主旨を超えない限り、本実
施例に限定されるものではない。
【0040】本発明の空気入りタイヤの概略断面図の例
を図lに示す。
【0041】図1における空気入りタイヤ10はコード
方向がタイヤのラジアル方向に向く1プライのポリエス
テルコード使用カーカスプライ4の両端末が左右一対の
ビードワイヤ6の周りに巻回されて折り返され、折返し
部の高さhはカーカスプライ4の高さHの60%であ
り、ビードフィラーゴム9の高さh’はHの50%であ
り、該カーカスプライ4のタイヤ半径方向の上部に2層
のベルト5がリング状に配置されている。更にその上部
のタイヤ踏面部にはトレッドゴム3が配置されている。
また、トレッドゴム3の両サイドのカーカス層上にはサ
イドウォール部2及びビード部1が配置されている。さ
らに2層のベルト5の外周側に2枚のベルト補強層7
(ベルト部の全体)及び8(ベルト部の両端部)が配設
されている。なお、図示しないがベルト補強層を、ベル
ト部の両端部に1層、ベルト部の両端部に2層、ベルト
部の全体に1層と両端部に2層、ベルト部の全体に1
層、ベルト部の全体に2層と両端部に1層等の構造で配
置することもできる。
【0042】供されるタイヤは図1の構造を有し、サイ
ズが195/65R14のチューブレス構造である。
【0043】また、カーカスプライコードは従来タイヤ
に使用されてきた通常のポリエステルマルチフィラメン
トであり、1670dtexのマルチヤーン収束体2本
を下撚り、上撚りをおのおの長さ10cm当たり40回
の撚り数で撚り合わせた(即ち、1670dtex/
2)ポリエステルマルチヤーンを使用している。このポ
リエステル撚りコードを通常のポリエステル用デイップ
液であるエポキシ液に浸漬し、160℃でのドライゾー
ンで1.2kg/本のテンション下で60秒間、240
℃のホットゾーンで0.7kg/本のテンション下で6
0秒間処理した後、再度デイップ張力200gでRFL
よりなるデイップ液に浸漬し、再度1.2kg/本のテ
ンション下、240℃のドライゾーンで60秒間、0.
7〜0.9kg/本のホットゾーンテンション下で60
秒間、計240秒間の熱処理を施し、接着剤を塗布した
コード゛を作成した。
【0044】なお、該コードの2.5g/dtex時の
中間伸度は3.7%になるようにデイップ処理工程最後
のホットゾーンのテンションを500から700gの間
で微調整し、2.5g/dtex時の中間伸度を3.7
%になるように調整した。このように作成したコードを
打込数50本/5cmになるようにゴム引き布を作成し
た。
【0045】さらに、ベルト層は各比較例、実施例とも
に、1×5×0.23構造のスチールベルトを2枚配置
し、打込み角度は、周方向に対して左右夫々26度、打
込み数は36本/5cmを用いた。
【0046】本発明の比較例、実施例のベルト補強層の
各コードは表2に示されるが、これらのコードはタイヤ
周方向に対して0〜5度の角度でベルト最外層にラセン
状に巻き付けた。ベルト補強層は図1に示す配置である
が、この際、ベルト補強層はトレッド部全体に1層をベ
ルト層の径方向外側両端で5mm広く巻き付けられた。
さらに、その外周側の両端部にベルト補強層を1層30
mm幅になるように巻き付けた。この補強層は5〜20
mmの狭幅のストリップを用いて、前記方法によりベル
ト層状に形成された。なお、ベルト補強層のコード打ち
込み数は各比較例、実施例ともに25本/25mm幅で
全て同一打ち込み数である。
【0047】ベルト補強層に使用するゴム組成物の配合
は表1に示される。
【0048】タイヤの製造は加硫条件170℃x13
分、ポストキュアインフレーション(PCI)内圧2.
5kg/cm2 、26分で行った。
【0049】この現行品同等のタイヤ(比較例1)をコ
ントロールタイヤとした。
【0050】各種特性の評価方法は次の通りである。 (1)ロードノイズの測定 195/65R14の供試タイヤを内圧2.0kgf/
cm2 、リムサイズ6J−14にて2000ccの排気
量セダンタイプの乗用車に4輪とも装着し、2名乗車し
てロードノイズ評価路のテストコースで、60km/時
の速度で走行し、運転席の背もたれ部分の中央部に集音
マイクを取り付け、100〜500Hzの周波数の全音圧
(デシベル)を測定した。この測定値から比較例1のコ
ントロールタイヤのデシベル値からの低下のデシベル値
を各タイヤについて求めた。数値は低下のデシベルを表
す。低下のデシベル値が大きいほど、ロードノイズは低
下し、好ましいと評価する。 (2)高速耐久性の測定 195/65R14の供試タイヤを米国FMVSS N0.1
09のテスト方法に準じ、ステップロード方式にて行
い、即ち30分毎にスピードを増して故障するまで行
い、故障した時の速度(km/時)及びその速度での経
過時間(分)を測定した。高速耐久性はこの速度及び経
過時間が大であるほど、良好である。 (3)コード残強力の測定 コード疲労性の指標としてコード残強力を用いた。
【0051】最大空気圧2.5kg/cm2 の内圧とし
た各供試タイヤを25±2℃の室内中に24時間放置
後、内圧を最大空気圧に再調整し、JATMA最大負荷
能力の2倍1160kgの荷重下で周速度60km/時
で回転するドラムに押し当て2万km走行させ、走行後
タイヤのトレッド部を剥ぎ取り、ベルト補強層コードの
コード残強力を測定した。タイヤの新品時と走行後のベ
ルト補強層コードの強力を測定し下記式によりコードの
強力低下率を求め、その逆数をとり、比較例1を100
として指数表示した。指数が大きいほどコード残強力が
大きく、すなわちコード強力低下が少なく、耐疲労性が
良好な事を示す。
【0052】
【数1】 (4)高速走行後のコード剥離界面のゴム付度合の測定 故障はタイヤショルダー部のベルト端近傍のタイヤトレ
ッドゴムとベルト補強層の界面でのセパレーションであ
るが、該故障位置の剥離界面を観察し、剥離界面のコー
ドのゴム付き状態を観察した。具体的には、上記(3)
項に記載の走行後タイヤのトレッド部を剥ぎ取り、ベル
ト補強層コードのゴム付度合を観察した。目視により、
全面にゴム付の場合をゴム付度合100%とし、全面に
ゴム付がない場合をゴム付度合0%とし、その中間状態
をゴム付度合に応じて、数値化した。ゴム付度合100
%が最も良いと評価する。 (5)矩形率の測定 接地幅の80%幅位置での接地長さL2の、トレッドセン
ター部での接地長さL1に対する比率{(L2/L1)
×100}を矩形率とした。矩形率は比較例1に近い方
が、設定値に近い操縦安定性が得られるため好ましい。
【0053】本発明でベルト補強層に用いた実施例、比
較例のコードを表2に示す。
【0054】これらのコードは所定の接着剤塗布、熱処
理を施した後、各タイヤ製造に供した。また、下記実施
例、比較例の各種タイヤ特性を測定した結果を表2に示
す。 〔比較例1〕ベルト補強層に66ナイロン(コードN
o.1)を用いた。タイヤ構造、各コード材質ともに市
販のタイヤと同一構造、同一材質のタイヤをコントロー
ルとして用いた。
【0055】高速ドラム走行後にはトレッドーベルト補
強層間でのセパレーションであったが、ベルト補強層コ
ードにはゴムが十分ついており、ゴム破壊によるセパレ
ーションであった。 〔比較例2〕ベルト補強層にポリエチレン−2,6−ナ
フタレートコード(コードNo.2)を用いた。その他
は比較例1と同一である。
【0056】高速ドラム走行後にはトレッドーベルト補
強層間でのセパレーションであったが、セパレーション
はコード−ゴム界面で発生しており、比較例1よりはベ
ルト補強層コードのゴム付きは劣り、セパレーションは
コード−ゴム界面で発生している。ドラム高速耐久性は
比較例1の66ナイロンより若干劣るレベルであった
が、接着が改良されゴム破壊になれば、さらにドラム高
速耐久性は向上するものと思われる。しかしながら、ロ
ードノイズは良好であった。 〔実施例1〕ベルト補強層に有機溶媒(DMSO;ジメ
チルスルホキシド)から作成されたポリビニルアルコー
ルコード(コードNo.3)を用いた。その他は比較例
1と同一である。高速ドラム走行後にはトレッドーベル
ト補強層間でのセパレーションであったが、ベルト補強
層コードにはゴムが十分ついており、比較例1と同様な
ゴム破壊であった。ドラム高速耐久性は比較例1の66
ナイロンより大幅に向上し、ベルト補強層の初期引張抵
抗度を高くすることによる効果が認められる。また、ロ
ードノイズも比較例1より大幅に向上している。また、
耐久ドラムでは周速度60km/時で、2万kmを完走
し、完走後のコード残強力も高レベルであった。 〔実施例2〕ベルト補強層に有機溶媒(DMSO)から
作成されたポリビニルアルコールコード(コードNo.
4)を用いた。その他は比較例1と同一である。
【0057】高速ドラム走行後にはトレッドーベルト補
強層間でのセパレーションであったが、ベルト補強層コ
ードにはゴムが十分ついており、比較例1と同様なゴム
破壊であった。ドラム高速耐久性は比較例1の66ナイ
ロンより大幅に向上し、ベルト補強層の初期引張抵抗度
を高くすることによる効果が認められるが実施例1より
さらに初期引張抵抗度を高くしたため、さらにタイヤ高
速耐久性が向上し、且つ、ロードノイズも実施例1より
向上した。また、耐久ドラムでは周速度60km/時
で、2万kmを完走し、完走後のコード残強力も高レベ
ルであった。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の空気
入りタイヤにおいては、ポリビニルアルコール繊維コー
ドをベルト補強層に用いることにより、タイヤ高速耐久
性を著しく高め、且つロードノイズを大幅に低減できる
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の例示の空気入りタイヤの概略断面図で
ある。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ l ビード部 2 サイドウォール部 3 トレッドゴム 4 カーカスプライ 5 ベルト 6 ビートワイヤー 7 ベルト補強層 8 ベルト補強層 9 ビードフィラーゴム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部と、両ビード部にまたが
    って延びるトロイド状のカーカス層と、前記カーカス層
    のクラウン部に位置するトレッド部と、前記カーカス層
    のクラウン部のベルト層の外周側に少なくとも1枚より
    なるベルト補強層をベルト部全体及び/又は両端部に設
    置することからなる空気入りタイヤであって、 該ベルト補強層が複数本のポリビニルアルコール繊維コ
    ードを主成分とするコードからなり、 該コードがタイヤ周方向に実質上平行になるようにラセ
    ン状にエンドレスに巻き付けられることより形成される
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記ベルト補強層コードが総表示デニー
    ル数の40%以上がポリビニルアルコール繊維で構成さ
    れ、且つ、2.5g/dtex荷重下の伸度が0.8〜
    3.5%であり、170±5℃において0.78g/d
    tex荷重下の伸度が1.5〜6.0%であることを特
    徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記ベルト補強層コードの強力が6.7
    g/dtex以上であり、2.5g/dtex荷重下の
    伸度が2.5%以下であることを特徴とする請求項1又
    は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記ベルト補強層コードが、有機溶媒を
    用い湿式紡糸により得られたポリビニルアルコール繊維
    からなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の空
    気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記ベルト補強層コードを構成するフィ
    ラメントの断面形状がほぼ円形であることを特徴とする
    請求項1、2、3又は4記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005212524A (ja) * 2004-01-27 2005-08-11 Sumitomo Rubber Ind Ltd 空気入りタイヤとリムとの組立体

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