JP2000107610A - 光触媒脱臭体用基材及び光触媒脱臭体用基材を備えた光触媒脱臭体 - Google Patents

光触媒脱臭体用基材及び光触媒脱臭体用基材を備えた光触媒脱臭体

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JP2000107610A
JP2000107610A JP11203209A JP20320999A JP2000107610A JP 2000107610 A JP2000107610 A JP 2000107610A JP 11203209 A JP11203209 A JP 11203209A JP 20320999 A JP20320999 A JP 20320999A JP 2000107610 A JP2000107610 A JP 2000107610A
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photocatalyst
deodorant
photocatalytic
nonwoven fabric
substrate
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JP11203209A
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English (en)
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Chihiro Kobayashi
千尋 小林
Tomonori Tokumoto
智憲 徳本
Shoichiro Himuro
正一郎 氷室
Tomoaki Watase
智晃 綿瀬
Katsushi Akamatsu
克志 赤松
Hiroki Tanaka
裕希 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不織布としての剛性、靱性、多孔性を保持し
たまま、光触媒反応により分解されることのない、強度
劣化や有臭のカ゛ス成分の放出のない基材を、安価で提供
することを目的とする。 【解決手段】 光触媒脱臭体用基材において、繊維材料
と有機系バインダーからなる不織布の繊維材料の表面
に、光触媒により分解されることのない材料をコーティ
ングしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒脱臭体用基
材及び光触媒脱臭体用基材を備えた光触媒脱臭体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンをはじめとする光触媒は、その
強力な酸化力を利用して脱臭材料として用いられてい
る。光触媒反応は、固体表面反応であるため、空気中の
成分を触媒表面にいったん吸着する必要があるが、酸化
チタン自体は比表面積が300m2/g程度であってさ
ほど大きくないため、吸着能力が不十分である。そこ
で、特開平1−189322(登録番号257484
0)に開示されるように、吸着剤と光触媒を併用し、吸
着剤表面に光触媒を付加した、あるいは吸着剤に光触媒
を練りこんだ部材として用いている。
【0003】従って、光触媒の優れた酸化分解能力を脱
臭に利用するには、吸着剤との混合体として構成される
脱臭材料を、基材上に十分な量を担持する必要がある。
また最表面だけでなく内部まで光触媒脱臭反応に寄与さ
せるためには、光触媒層内部までカ゛スを拡散させる必要
があり、光触媒層は多孔性を有していることが望まし
い。また光触媒層と基材との十分な結合強度を有してい
ることも必要である。このため光触媒脱臭体の基材とし
ては、繊維状材料をバインダーで固着してなる不織布が
好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記バインダ
ー成分は一般的に有機系材料が用いられており、光触媒
と直接接触した状態で紫外線が照射された場合、酸化分
解され、強度劣化を起こすばかりでなく、分解に伴い有
臭のガス成分が放出されることがあり、脱臭体として使
用する際には致命的な問題となりうる。
【0005】前記課題に対する方策として、基材成分と
して光触媒反応により分解されることのない材料を用い
ることが検討されている。この方策のひとつとして、金
属材料あるいは無機系材料の焼結体を用いる方法が考え
られるが、これらの材料の場合、緻密かつ平滑な表面で
あるため、所望の担持量を得ることが困難であり、また
多孔質の光触媒層を形成することができない。
【0006】また、繊維材料を固着するバインダーとし
てシリカ、アルミナ等の無機系酸化物の微粒子を用いた
場合、基材繊維間の十分な固着強度が得られ難く、不織
布としての剛性、靱性が得られにくいため取り扱いが困
難となり、またコストアップにもつながる。
【0007】さらに、不織布のバインダーとして、光触
媒に対し不活性なフッ素樹脂を用いることも考えられ
る。フッ素系材料は一般に撥水性であるため、これを用
いた不織布も当然親水性は持たない。
【0008】一方、酸化チタンをはじめとする光触媒材
料を不織布に塗布する際には、これらの粉末やゾルが容
易に分散でき、かつ取り扱いな容易な溶媒として水を用
い、スラリーとして塗布する。従って、フッ素系材料を
用いた不織布は、塗布に先立ち界面活性剤処理等の表面
改質が必要となる。
【0009】あるいは、特開平11−58624に開示
されるように、樹脂材料と光触媒が直接接触することを
防ぐため、光触媒を無機不活性物質で被覆する方法も提
案されている。しかし、脱臭用途に用いる場合は、光触
媒が不活性物質で被覆されると、分解の対象である悪臭
ガスと光触媒の接触効率が低下することがさけられず、
本来の特性を発揮できないばかりでなく、材料の処理工
程が増えることに伴いコストアップとなる。
【0010】そこで、本発明は、不織布としての剛性、
靱性、多孔性を保持したまま、光触媒反応により分解さ
れることのない、強度劣化や有臭のガス成分の放出のな
い基材を、安価で提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた請求項1記載の発明は、光触媒脱臭体用基材
において、繊維材料と有機系バインダーからなる不織布
の繊維材料の表面に、光触媒により分解されることのな
い材料をコーティングしたことを特徴とする。
【0012】本発明においては、不織布の表面に光触媒
により分解されることのない材料をコーティングするこ
とにより、有機系バインダーにより繊維材料を固着して
なる不織布の剛性、靱性、多孔性といった基材としての
好ましい特性を損なうことなく、光触媒反応が原因とな
る強度劣化や有臭のガス成分の放出を防止することがで
きる。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
光触媒脱臭体用基材において、有機系バインダーの成分
が、エポキシ、ポリビニルアルコール、アクリル、ウレ
タン、酢酸ビニル樹脂、ゴム系接着剤、ポリエステル系
接着剤、シリコン系接着剤、ポリサルファイド系接着
剤、シアノシリケート系接着剤、メラミン系接着剤、フ
ェノール系接着剤のうち少なくとも1種、あるいは2種
以上の成分を混合したものであることを特徴とする。
【0014】本発明においては、これらの成分の有機バ
インダーが優れた結合力と材料強度を有するため、剛
性、靱性を不織布に付与することができ、また繊維材料
を固着するに要する配合量を最小限とすることができる
ため基材としての好ましい特性である多孔性といった特
性を損なうことなく、不織布を形成することができる。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1に記載の
光触媒脱臭体用基材において、繊維材料が無機酸化物か
ら選択される1種乃至2種以上の材料からなることを特
徴とする。
【0016】本発明においては、繊維自体についても光
触媒により分解されることのない材料で基材を構成でき
るため、光触媒反応が原因となる強度劣化や有臭のガス
成分の放出を、より確実に防止することができる。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項1に記載の
光触媒脱臭体用基材において、繊維材料の表面にコーテ
ィングする光触媒により分解されることのない材料が、
無機酸化物から選択される1種乃至2種以上の材料から
なることを特徴とする。
【0018】本発明において、これらの材料はコーティ
ング層形成における作業が比較的容易なものである。ま
た不織布と光触媒層の中間層として、両者の十分な固着
強度が得られる。さらに、コーティング材料として無機
酸化物を用いる場合には、不織布の表面が疎水性であっ
て光触媒層の形成の工程における水系スラリーの塗布の
工程が困難である場合に対しても、不織布表面を親水化
することになるため、塗布工程を容易にする効果も得ら
れる。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項4に記載の
光触媒脱臭体用基材において、繊維材料表面にコーティ
ングする光触媒により分解されることのない材料がシリ
カもしくはシリコーンであって、シリカもしくはシリコ
ーンを合成するための出発原料が、加水分解性シラン誘
導体であって、この材料を、繊維材料を有機系バインダ
ーにより固着されてなる不織布の繊維表面において加水
分解反応させ、シリカの薄膜を形成することによりコー
ティング層を形成することを特徴とする。
【0020】本発明においては、上記出発原料を用いる
ことにより、光触媒脱臭体用基材として必要な種々の特
性において、特に多孔性を維持することを確実に行うこ
とができる。出発原料として加水分解性シラン誘導体を
用いた場合、これらの原料は分子レベルサイズのモノマ
ーもしくはオリゴマーが溶解された液体であるため、繊
維間隙部分への固形分の析出が生じず、繊維表面を選択
的にコーティングでき、不織布の多孔性が損なわれるこ
とがない。
【0021】本発明に係るシリカ被膜を形成可能なシリ
カ被膜前駆体の好ましい例としては、平均組成式SiX
qO(4−q)/2(式中、Xはアルコキシ基、又は、
ハロゲン原子であり、qは0<q<4を満足する数であ
る)で表されるシリケ−トが挙げられる。
【0022】また、シリカ被膜を形成可能なシリカ被膜
前駆体の別の好ましい例としては、一般式SiX4(式
中、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である)で
表される4官能加水分解性シラン誘導体が挙げられる。
【0023】上記4官能加水分解性シラン誘導体の好ま
しい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキ
シシラン、ジエトキシジメトキシシラン、シラノ−ル、
テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等が挙げられ
る。また、上記シリケ−トの好ましい具体例としては、
上記4官能加水分解性シラン誘導体の部分加水分解物及
び脱水縮重合物などが挙げられる。
【0024】また、本発明に係るシリコ−ン被膜を形成
可能なシリコ−ン被膜前駆体の好ましい例としては、平
均組成式RpSiXqO(4−p−q)/2(式中、R
は一価の有機基の1種若しくは2種以上の基からなる群
から選択される基であり、Xはアルコキシ基またはハロ
ゲン原子であり、pは0<p<2を、qは0<q<4を
それぞれ満足する数である)で表されるシロキサンが挙
げられる。
【0025】また、本発明に係るシリコ−ン被膜を形成
可能なシリコ−ン被膜前駆体の別の好ましい例として
は、一般式RpSiX4−p(式中、Rは一価の有機基
の1種若しくは2種以上からなる基であり、Xはアルコ
キシ基又はハロゲン原子であり、pは1または2であ
る)で表される加水分解性シラン誘導体が挙げられる。
【0026】上記加水分解性シラン誘導体の好ましい具
体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチル
トリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、
エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポ
キシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル
ジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
エチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラ
ン、フェニルメチルジブトキシシラン、n−プロピルト
リメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリ
ブトキシシラン、γ−グリコキシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン等が挙げられる。
【0027】また上記シロキサンとしては、上記の加水
分解性シラン誘導体の部分加水分解物及び脱水縮重合
物、又は上記加水分解性シラン誘導体の部分加水分解物
と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエト
キシジメトキシシラン等の部分加水分解物との脱水縮重
合等により調製したものを利用できる。
【0028】請求項6記載の発明は、請求項4に記載の
光触媒脱臭体用基材において、繊維材料表面にコーティ
ングする光触媒により分解されることのない材料が無機
系酸化物であって、コーティングのための出発原料が無
機系酸化物の微粒子を溶媒に懸濁させてなるゾルである
ことを特徴とする。
【0029】本発明においては、上記原料を用いること
により、加水分解性シラン誘導体を出発原料としてシリ
カもしくはシリコーンのコーティングを行った場合と同
様に、光触媒脱臭体用基材として必要な種々の特性にお
いて、特に多孔性を維持することを確実に行うことがで
きる。
【0030】本発明に係る無機系酸化物微粒子を原料と
するコ−ティング層は、光触媒粒子を効率よく表面に固
定化する効果もある。無機系酸化物微粒子の平均粒径は
1〜100nmが好ましく、より好ましくは5〜50n
mであり、最も好ましくは8〜20nmである。無機系
酸化物微粒子の平均粒径は例えば動的レ−ザ−散乱法に
よって求めることができる。
【0031】請求項7記載の発明は、光触媒脱臭体にお
いて、請求項1乃至請求項6に記載の光触媒脱臭体用基
材を備えたことを特徴とする。
【0032】本発明においては、請求項1乃至請求項6
に記載の光触媒脱臭体用基材を備えたことにより、強度
劣化や有臭のガス成分の放出のない光触媒脱臭体を提供
できる。
【0033】請求項8記載の発明は、光触媒脱臭体にお
いて、繊維材料と有機系バインダーからなる不織布に光
触媒を塗布してなる脱臭体において、上記有機バインダ
ーが耐熱性、耐候性及び親水性を具備することを特徴と
する。
【0034】光触媒に紫外線が照射される際、その表面
に吸着した水分から生じるヒドロキシラジカルの強力な
酸化作用により、フッ素樹脂等を除くほぼ全ての有機化
合物の結合は分断されるが、この反応はあくまで光触媒
表面でのみ進行する。本発明の構成においては、脱臭体
の基材である不織布に含まれる有機系バインダー成分の
中で、実際に光触媒に接する部分はわずかである。
【0035】従って、一般的に不織布に用いられている
有機バインダーを適用しても、大幅な強度劣化にはつな
がらない。ただし、微小量であっても有機物が光触媒に
より分解され、最終的な酸化分解生成物である二酸化炭
素と水に至る前の中間生成物の段階で脱臭体表面から脱
離すると、気相中に有臭のガス成分として放出される場
合がある。
【0036】光触媒と吸着剤を混合してなる脱臭剤の場
合、有機物と光触媒の部分的接触により生じる化学変化
は、比較的低温の加熱、具体的には約200℃の加熱の
際に生じる現象とほぼ同等である。従って、本発明の構
成における不織布のバインダー材料としては、この温度
領域において影響を受けない、すなわち変色や強度劣化
や有臭ガスの発生などが生じない材料であることが必要
であり、耐熱性としてはこれ以上である必要はない。
【0037】同時に、光触媒反応を生じせしめるために
は脱臭体の表面に紫外線が照射されることが必要である
ため、紫外線により極端な強度劣化や化学変化が生じる
材料は、耐熱性に劣る材料と同様、脱臭体の成分として
は好ましくない。
【0038】本発明においては、不織布に含有される有
機バインダーを、耐熱性及び耐候性を有する材料とする
ことにより、光触媒反応が原因となる基材の強度劣化や
有臭のガス成分の放出を防ぐことができる。
【0039】請求項9記載の発明は、請求項8に記載の光
触媒脱臭体において、繊維材料を固着し不織布を形成す
るための有機系バインダーの成分が、尿素樹脂を含有す
ることを特徴とする。
【0040】一般的に不織布に用いられている有機系バ
インダーとしては、エポキシ樹脂、酢酸ビニール樹脂、
アクリル樹脂、尿素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が
挙げられる。不織布の主要用途は、プリント配線基板用
基材や電気絶縁材であって、これらに対しては主にエポ
キシ系樹脂を配合したものが用いられる。
【0041】エポキシ系樹脂配合不織布は、耐湿性や電
気絶縁性に優れる一方、耐熱性には難があり、160℃
の加熱下において強度が約60%に劣化する。従って、
本発明の目的とする脱臭体の基材としては好ましくな
い。
【0042】上記各種有機系バインダーの中で最も耐熱
性及び耐候性に優れた特性を有しているのは尿素樹脂で
あり、尿素樹脂を配合した不織布は200℃の加熱に対
して強度劣化を生じることがない。従って、本発明の目
的とする脱臭体の基材として好適であり、またこの材料
はルーフィング用基材やFRP用基材等の建材用途に用
いられるものであるため、安価に得ることが可能であ
る。
【0043】請求項10記載の発明は、請求項8に記載の
光触媒脱臭体において、有機系バインダーの成分が尿素
樹脂を含有し、さらにメラミン、ポリビニルアルコール
から選択される1種または2種の成分を含有することを
特徴とする。
【0044】本発明においては、耐熱性、耐候性、親水
性に富んだ材料である尿素系樹脂に、メラミンあるいは
ポリビニルアルコールを配合したバインダー系とするこ
とにより、より強度の向上を図ることができる。またポ
リビニルアルコールを配合した場合、不織布製造時に尿
素系樹脂の硬化のため配合するホルマリンのうち未反応
のためフリーで残留する分が、不織布の切断加工等の際
放出され発臭するのを防ぐ効果もある。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の態様を添
付図面を参照しつつ説明する。図1は繊維材料を有機系
バインダーにて固着してなる不織布の概略構成図、図2
は不織布の繊維材料の表面にシリカの薄膜をコーティン
グした状態を示す概略構成図、図3は繊維材料の表面に
シリカの薄膜をコーティングした不織布に光触媒材料を
担持した状態を示す概略構成図である。
【0046】
【実施例1】本実施例においては、シリカの薄膜を形成
する出発原料として、エチルシリケートオリゴマーの溶
液を用いる。この材料は下に示すような化学構造を持つ
無色透明の液体である。 C2H5O−(Si(OC2H5)2−O)n−C2H5 (n=5) エチルシリケートは、硝酸を触媒として水と反応し、加
水分解反応を生じてエチル基の結合が外れ、エタノールとして遊
離し、珪素と酸素とからなるシリカの3次元構造を形成
する。
【0047】
【化1】
【0048】この時、反応条件に応じてエチル基が残存
し、珪素1に対しエチル基が2結合して残る2官能、珪
素1に対しエチル基が1結合して残る3官能の構造を取
る場合があるが、本実施例においては、エチル基の残存
がなく結合の最も強力な4官能の構造とする。
【0049】上式に示すようにエチルシリケートオリゴ
マーと水と硝酸を混合し、この混合液をメチルアルコー
ルに希釈した溶液として、20℃乃至50℃、好ましく
は30℃乃至40℃の一定温度に保った状態で3乃至5時
間の攪拌を行う。この操作により加水分解反応を進行さ
せ、図1の不織布基材をディッピングし、余剰の材料を
除いた上で、80℃乃至180℃、好ましくは120℃
乃至140℃に加熱した状態で1乃至2時間保持する。
この操作により、完全に加水分解反応を終了させ、4官
能のシリカの3次元構造を形成し、基材表面にコーティ
ング層が構成される。図4は上記反応により不織布表面
にシリカのコーティングを施した場合の電子顕微鏡写真
である。不織布の多孔性を維持したまま、不織布表面へ
のシリカのコーティング形成した構造を示している。
【0050】図5は、実施例に示す方法でシリカコーテ
ィングを行った不織布、ならびにコーティングを行って
いない未処理の不織布に対し、それぞれ酸化チタンを担
持して構成される光触媒脱臭体に、図6に示す装置を用
い、紫外線照射及び空気流通を行った場合に、出口側に
放出される成分の分析を行った結果である。
【0051】ここでは、極低濃度のアセトアルデヒドの
定量分析を行うため、捕集機器としてウォーターズ゛社
製・セップパックDNPHを用いてアセトアルデヒドの
濃縮捕集を行い、アセトニトリルに抽出後、ウォーター
ズ゛社製・高速液体クロマトグラフALLIANCE2
690を用いた。この方法によりppbオーダーのアセ
トアルデヒド濃度の測定が可能となる。アセトアルデヒ
ド以外のガス成分については、別途同様の極低濃度ガス
の分析手法を用い評価しているが、いずれの光触媒脱臭
体からも、問題となる濃度レベルの臭気成分放出が無い
ことが確認されている。
【0052】図5の結果より、有機バインダーにより結
合された不織布を用いた場合でも、シリカコーティング
を光触媒の下地層として形成することにより、有機成分
の分解に起因する有臭ガス成分の放出が明らかに抑制さ
れていることが確認された。
【0053】(実施例2)光触媒としてアナターゼ型酸
化チタン粉末(石原産業製ST01)を20wt%、吸
着剤としてハイシリカゼオライト粉末(東ソー製ZSM
5、HSZ890HOA)を80wt%配合したものを
脱臭剤とし、ここに純水130重量部、無機結合材とし
てアルミナゾル(日産化学製 アルミナゾル100)を
固形分重量比で3%添加し、ボールミル混合により触媒
スラリーとした。得られた触媒スラリーを所定寸法に切
断した各種不織布に湿式塗布し、110℃×2時間の熱
風循環式乾燥を行うことにより触媒塗布シートを作製し
た。この触媒塗布シートを図7に示す一定間隔の隙間を
設けた通風可能な積層構造とし、脱臭体サンプルを作製
した。
【0054】光触媒反応に対し不安定な素材の有機系バ
インダーを配合した不織布を基材として用いた場合、紫
外線照射し光触媒を活性化するとバインダー成分が酸化
分解され、ガス状の有機成分の放出による発臭が認めら
れる。従って、図7の形状の脱臭体に対し図6に示す装置
にて空気を送風し、出口側から有機系ガスが放出される
か否かにより、脱臭剤の基材として適切な不織布である
か判断することができる。
【0055】アセトアルデヒドの定量は、実施例1と同
様、ウォーターズ社製セップパックDNPHによる濃縮
捕集と、ウォーターズ社製高速液体クロマトグラフAL
LIANCE2690を用いた。
【0056】図8は、各種有機バインダー配合の不織布
不織布に対し、それぞれ酸化チタンとハイシリカゼオラ
イトからなる脱臭剤を塗布して構成される光触媒脱臭体
に、図6に示すワンパス評価装置にて、紫外線照射及び
空気流通を行った場合に、出口側に放出される成分とし
てアセトアルデヒドの定量分析を行った結果である。
【0057】図8の結果より、有機系バインダーにより
結合された不織布でも、耐熱性、耐候性を有する尿素系
バインダーを用いた場合には、エポキシ系やポリビニル
アルコール等の上記特性に劣るバインダーを用いた基材
と比較し、有機成分の分解に起因する有臭ガス成分の放
出が明らかに微小であり、脱臭体として実用するにあた
り問題ない範囲に抑制されていることが確認された。
【0058】なおアセトアルデヒド以外のガス成分につ
いては、別途同様の極低濃度ガスの分析手法を用い評価
しているが、いずれの光触媒脱臭体からも、問題となる
濃度レベルの臭気成分放出が無いことが確認されてい
る。
【0059】
【発明の効果】本発明においては、不織布表面に光触媒
により分解されることのない材料をコーティングするこ
とにより、有機系バインダーにより繊維材料を固着して
なる不織布の剛性、靱性、多孔性といった基材としての
好ましい特性を損なうことなく、光触媒反応が原因とな
る強度劣化や有臭のガス成分の放出を防止することがで
きる。
【0060】また、光触媒脱臭体の基材として耐熱性、
耐候性、親水性に優れた有機バインダーを配合した不織
布を用いることにより、基材として表面に光触媒により
分解されることのない材料をコーティングすることによ
り、不織布としての剛性、靱性、多孔性を保持し、水系
スラリーとして分散された光触媒材料の塗布が容易であ
り、かつ光触媒反応により分解されず強度劣化や有臭の
ガス成分の放出のない基材を用いた脱臭体を、光触媒材
料及び基材の表面などに特殊な加工を行うことなく安価
にて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 不織布の概略構成図
【図2】 シリカをコーティングした状態を示す概略構
成図
【図3】 シリカをコーティングした不織布に光触媒材
料を担持した状態を示す概略構成図
【図4】 エチルシリケートを出発原料としたシリカの
不織布へのコーティングの電子顕微鏡写真
【図5】 光触媒脱臭体評価結果
【図6】 光触媒脱臭体評価装置
【図7】 脱臭体の構造
【図8】 光触媒反応により脱臭体から放出されるアセ
トアルデヒド濃度
【符号の説明】
1…不織布繊維 2…シリカコーティング層 3…光触媒層 4…光触媒脱臭体 5…紫外線ランプ 6…送風ファン 7…触媒シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 綿瀬 智晃 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 赤松 克志 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 田中 裕希 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維材料と有機系バインダーからなる不織
    布の繊維材料の表面に、光触媒により分解されることの
    ない材料をコーティングしたことを特徴とする光触媒脱
    臭体用基材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の光触媒脱臭体用基材にお
    いて、有機系バインダーの成分が、エポキシ、ポリビニ
    ルアルコール、アクリル、ウレタン、酢酸ビニル樹脂、
    ゴム系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコン系接着
    剤、ポリサルファイド系接着剤、シアノシリケート系接
    着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤のうち少
    なくとも1種、あるいは2種以上の成分を混合したもの
    であることを特徴とする光触媒脱臭体用基材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の光触媒脱臭体用基材にお
    いて、繊維材料が無機酸化物から選択される1種乃至2
    種以上の材料からなることを特徴とする光触媒脱臭体用
    基材。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の光触媒脱臭体用基材にお
    いて、繊維材料の表面にコーティングする光触媒により
    分解されることのない材料が、無機酸化物から選択され
    る1種乃至2種以上の材料からなることを特徴とする光
    触媒脱臭体用基材。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の光触媒脱臭体用基材にお
    いて、繊維材料表面にコーティングする光触媒により分
    解されることのない材料が、シリカもしくはシリコーン
    であって、シリカもしくはシリコーンを合成するための
    出発原料が、加水分解性シラン誘導体であって、この材
    料を、繊維材料を有機系バインダーにより固着されてな
    る不織布の繊維表面において加水分解反応させ、シリカ
    の薄膜を形成することによりコーティング層を形成する
    ことを特徴とする光触媒脱臭体用基材。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の光触媒脱臭体用基材にお
    いて、繊維材料表面にコーティングする光触媒により分
    解されることのない材料が、無機系酸化物であって、コ
    ーティングのための出発原料が無機系酸化物の微粒子を
    溶媒に懸濁させてなるゾルであることを特徴とする光触
    媒脱臭体用基材。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6に記載の光触媒脱臭
    体用基材を備えたことを特徴とする光触媒脱臭体。
  8. 【請求項8】繊維材料と有機系バインダーからなる不織
    布に、光触媒及び吸着剤を混合してなる脱臭剤を塗布し
    てなる脱臭体において、上記有機バインダーが耐熱性、
    耐候性及び親水性を具備することを特徴とする光触媒脱
    臭体。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の光触媒脱臭体において、
    有機系バインダーの成分が尿素樹脂を含有することを特
    徴とする光触媒脱臭体用基材。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の光触媒脱臭体におい
    て、有機系バインダーの成分が尿素樹脂を含有し、さら
    にメラミン、ポリビニルアルコールから選択される1種
    または2種の成分を含有することを特徴とする光触媒脱
    臭体。
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