JP2000104488A - ローラビットの摩耗検知方法 - Google Patents

ローラビットの摩耗検知方法

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JP2000104488A
JP2000104488A JP27475598A JP27475598A JP2000104488A JP 2000104488 A JP2000104488 A JP 2000104488A JP 27475598 A JP27475598 A JP 27475598A JP 27475598 A JP27475598 A JP 27475598A JP 2000104488 A JP2000104488 A JP 2000104488A
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Koji Shirai
耕治 白井
Akiyoshi Chichibu
顕美 秩父
Seiichi Shibayama
誠一 柴山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チャンバ13内に作業員が入り込むことな
く、ローラビット120の摩耗量が許容範囲を超えた場
合にこれを検知してローラビット120の交換時期を的
確に判定し、コストの削減や、危険作業の排除に貢献す
る。 【解決手段】 カッタヘッド12に取り付けられたロー
ラビット120のカッタエッジの内部に、円周方向複数
箇所にそれぞれ刃先から異なる深さで封入室が形成さ
れ、それぞれ蛍光物質1が封入されている。地山の掘削
に伴って、各ローラビット120のカッタエッジが経時
的に摩耗を受け、所定の摩耗量に達すると、封入室内の
蛍光物質1が流出して掘削土砂Gに混入し、この掘削土
砂Gと共にチャンバ13に取り込まれ、スクリュコンベ
ア14からベルトコンベア15上に排出される。ベルト
コンベア15上には蛍光測定器2を配置し、その出力信
号から掘削土砂G中の蛍光物質1の有無を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】礫層や岩盤等からなる地山に
トンネルを掘削するシールドトンネル掘進機やトンネル
ボーリングマシン(TBM)のカッタヘッドに装着されて
いる、岩石圧砕用のローラビット摩耗が所定の許容量に
達したことを検知する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】シールドトンネル掘進機やTBM等のト
ンネル掘削機械の前面で回転して地山を掘削するカッタ
ヘッドに配置された掘削ビットは、地山を構成する礫や
岩盤の切削に伴い経時的に摩耗や損傷を受けるため、あ
る程度掘削ビットが摩耗した場合は、これを交換する必
要がある。例えばシールドトンネル掘進機の場合、地山
内での掘削ビットの交換は作業員が買ったヘッドの背面
のチャンバに入って行うが、チャンバ内でビット交換作
業を行うには、このチャンバに残存する礫などを含む掘
削泥土の除去及び清掃を行わなければならない。また、
ビット交換作業においては、前面の地山の崩壊や出水を
防止するために、事前にカッタヘッドの周辺に薬液注入
による地山の防護工事を施す必要がある。
【0003】このように、掘削ビットの交換には煩雑で
大掛かりな工事を伴い、その間はトンネル掘削工事が中
断されるため、必要以上の頻度で浩瀚作業を行うと、掘
削工事の中断回数が増大することによって工期が長くな
るばかりでなく、薬注工事費の増大や工事の遅延、ロー
ラビット部品費や交換工事費等の増大によってコストも
上昇し、しかも狭い空間での危険作業を伴うため、この
観点からは、掘削ビットの交換頻度はなるべく少ないほ
うが良い。しかし逆に交換頻度が少な過ぎると、掘削ビ
ットが許容範囲を超えて損耗されてしまうことによって
掘進速度や掘削効率が著しく低下し、しかも掘削ビット
ばかりかカッタヘッドの面板も異常摩耗を浮けて、修復
が困難になったり、その後の掘進工事に支障を来すこと
になり、結果的に工事の遅延や大幅なコスト上昇を招来
する。したがって掘削ビットの摩耗状況は地上から常時
把握し、その交換時期を的確に決定する必要がある。
【0004】そこで、カッタヘッドに配置された種々の
掘削ビットのうち、カッタビットのようにビット自体が
回転しない固定型のビットには、超音波等を利用した摩
耗検出方法が実用化されている。しかし、地山の岩盤等
を圧砕するためのローラビットのようにビット自体が回
転する掘削ビットの摩耗検出は技術的に実用化が困難で
あったため、ローラビットの摩耗状況を的確に把握する
には、交換時と同様に作業員がチャンバに入り込んで摩
耗を測定するしか方法がなく、したがって実際にはロー
ラビットの摩耗量や交換時期は、過去の実績や勘により
想定するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
問題に鑑みてなされたものであり、その技術的課題とす
るところは、チャンバ内に作業員が入り込むことなく、
ローラビットの摩耗量が許容範囲を超えた場合にこれを
直ちに検知することができ、これによってローラビット
の交換時期を的確に判定し、コストの削減や、危険作業
の排除に貢献することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題は本発明
よって有効に解決することができる。すなわち本発明に
係るローラビットの摩耗検知方法は、トンネル掘削機械
におけるローラビットのカッタエッジの所定深さに、土
砂や泥水に混入しても変化しない固有の物理的又は化学
的物性を有する物性体を封入し、前記トンネル掘削機械
による地山の掘削に伴って発生した土砂や泥水中におけ
る前記物性体の混入の有無を監視するものである。この
方法によれば、ローラビットのカッタエッジが前記物性
体の封入深さまで摩耗すると、この物性体が掘削による
土砂や泥水中に混入するので、排出されるこの土砂や泥
水中に前記物性体が混入していることが検知されれば、
ローラビットが所定の摩耗量に達したものと判断するこ
とができる。
【0007】本発明においては、各ローラビットに封入
される物性体をローラビット毎に異なる物性を有するも
のとすれば、地山の掘削に伴って排出される土砂や泥水
から検出された物性体の種類によって、複数のローラビ
ットのうちどのローラビットが所定の摩耗量に達したか
を把握することができる。また同様の観点から、物性体
をカッタエッジからの深さの異なる複数の位置に封入す
ることによって、ローラビットの経時的な摩耗の進行状
況を把握することができる。
【0008】また本発明においては、地山の掘削に伴っ
て発生した土砂や泥水中への物性体の混入を物性検知手
段により検知することができる。この場合、物性検知手
段からの出力信号はコンピュータで処理することによっ
て、摩耗の発生したローラビットの特定やその摩耗量等
を判定してディスプレイに出力し、かつ記録することが
可能となる。
【0009】物性体としては、例えばIDチップを採用
することができる。すなわち固有のIDナンバーが書き
込まれカプセル内に封入された非接触式IDチップを、
カッタエッジ内の所定の位置に埋め込み、ローラビット
が所定量摩耗した時点でカッタエッジ内からスプリング
等の力で押し出されて掘削土砂又は泥水中に混入したカ
プセル内のIDチップから、そのIDナンバーをIDナ
ンバー読取装置で読み取るようにすることができる。こ
の場合は、例えば前記読取装置を、掘削土砂を搬送する
ベルトコンベア上、あるいは排泥管の途中などにセット
し、ローラビットが所定量摩耗することによってカッタ
エッジ内から飛び出したカプセルが掘削土砂と共に読取
装置の近傍を通過する時に、前記IDチップのIDナン
バーが読み取られ、これによって、どこにセットしたロ
ーラビットがどの程度摩耗したかを検知できる。
【0010】また、ローラビットに封入する物性体が発
色体である場合は、掘削土砂等の黙視による識別も可能
であるが、見落とすおそれもあるので、好ましくは色識
別センサによって前記土砂等における発色体の混入の有
無を識別する。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るローラビッ
トの摩耗検知方法を、岩盤対応型の泥土圧式シールド掘
進機に適用した第一の実施形態を示すものである。すな
わちこの泥土圧式シールド掘進機10は、略円筒形のシ
ールドフレーム11の掘進方向前端で、円盤状のカッタ
ヘッド12をシールドフレーム11の軸心部を中心に回
転させて前面の地盤あるいは岩盤を掘削し、これによっ
て発生した掘削土砂(ズリ)Gをカッタヘッド12の背面
のチャンバ13内に導入して、このチャンバ13から後
方へ延在されたスクリュコンベア14を介して排出し、
更にベルトコンベア15を介して土砂運搬用鋼車16へ
搬送するようになっている。
【0012】また、シールドフレーム1の掘進方向後端
では、掘削された坑内壁に、図示されていないエレクタ
によって複数のセグメントSを環状に組み立て、土圧に
耐えるための一次覆工を施している。そしてセグメント
Sを例えば1リング分だけ組み立てたら、このセグメン
トSの前端に推進用油圧ジャッキ17を当てて押圧する
ことによって、その反力でシールド掘進機10を前記1
リング分の軸方向長さに相当する一定距離だけ掘進して
から、次の1リング分のセグメントSを組み立てるとい
った行程のサイクルが繰り返される。
【0013】参照符号120はカッタヘッド12に取り
付けられたローラビットである。このローラビット12
0は、カッタヘッド12にその厚さ方向に形成されたロ
ーラビット装着孔12a内に配置されている。各ローラ
ビット120は、図2に拡大して示すように、超硬合金
等からなる円盤状の連続したカッタエッジ121を有す
るものであって、軸122にベアリング123を介して
回転自在に設けられた環状の保持部材124の外周面に
一体的に保持されている。
【0014】カッタエッジ121の内部には、円周方向
複数箇所にそれぞれ刃先から異なる深さで封入室125
a〜125cが形成されている。この封入室125a〜
125cは、カッタエッジ121にその内周面から形成
した孔126と、この孔126の開口部を塞いでいるプ
ラグ127とからなる。
【0015】封入室125a〜125c内には発色材と
して、微量でも識別しやすい蛍光物質1が封入されてい
る。また、この蛍光物質1の蛍光色及びスペクトルはカ
ッタヘッド12における個々のローラビット120毎に
異なるものとする。強い蛍光を発する物質としては、例
えば次のようなものが知られている。なお、括弧内は適
合する溶液を示す。 ローダミンB (エタノール) フルオレッセン ( 0.1N−NaOH) インドール (水) クロロフィル (エーテル) アンスラセン (エタノール) リボフラビン (水溶液,pH7) エオシン ( 0.1N−NaOH) ナフタレン (エタノール)
【0016】カッタヘッド12が例えば図1における矢
印R方向に回転する場合、地山に接触しているローラ
ビット120はそれぞれ矢印R方向に回転しながら前
記地山を掘削して行く。掘削によって発生した掘削土砂
Gは、カッタヘッド12に開口したスリットやローラビ
ット装着孔12aを通じてチャンバ13に導入される。
【0017】地山の掘削に伴って、各ローラビット12
0のカッタエッジ121は経時的に摩耗を受ける。そし
て摩耗がカッタエッジ121における最も外周側の封入
室125aの端部位置まで進行すると、この封入室12
5a内の蛍光物質1が流出して掘削土砂Gに混入し、こ
の掘削土砂Gと共にチャンバ13に取り込まれ、スクリ
ュコンベア14からベルトコンベア15上に排出され
る。この場合、ベルトコンベア15上を連続的に搬送さ
れて行く掘削土砂Gが蛍光物質1で着色されたことを目
視によって監視することは可能であるが、より確実な監
視を行うには、ベルトコンベア15上に色識別センサと
して蛍光測定器2を配置し、その出力信号をパーソナル
コンピュータ3で処理して掘削土砂G中の蛍光物質1の
有無を判定する。
【0018】更に詳しくは、図3に示すように、蛍光測
定器2は、ベルトコンベア15上の掘削土砂Gを照射す
る水銀灯21と、この水銀灯21からの励起光Lを受
けて掘削土砂Gから発せられる蛍光L中から、蛍光物
質1からの蛍光Lのみを分光して取り出す蛍光分光器
22と、この蛍光Lのエネルギを検出する蛍光検出器
23とを備えるものである。すなわち、水銀灯21から
の励起光Lを照射された掘削土砂Gには、もともと様
々な蛍光を発する物質が含まれているので、まず蛍光分
光器21によって、スペクトルピークの波長が各ローラ
ビット120のカッタエッジ121に封入されている蛍
光物質1に適合した蛍光スペクトルを選別し(数種類の
波長を選別することができる)、選別した蛍光Lのみ
を蛍光検出器23に与えるものである。
【0019】検出された蛍光Lのエネルギは蛍光検出
器23で電気信号に置き換えられ、インターフェースを
介してパーソナルコンピュータ3に送られる。パーソナ
ルコンピュータ3に送られた信号は信号処理により蛍光
スペクトルの分析が行われ、これによって、蛍光検出器
23で検出された蛍光Lがどのカッタエッジ121に
封入された蛍光物質1からのものであるかが特定され、
ディスプレイに出力表示される。
【0020】したがって、オペレータはシールド掘進機
10の操作室(図示省略)あるいは地上の制御室で、パー
ソナルコンピュータ3のディスプレイに出力表示された
画像データを監視することによって、ローラビット12
0のカッタエッジ121の摩耗進行状態を把握し、ロー
ラビット120の交換時期を的確に判定することができ
る。
【0021】カッタエッジ121の摩耗が更に進行して
封入室125bの端部位置まで摩耗した場合も、この封
入室125bから蛍光物質1が掘削土砂Gに混入するこ
とによって同様の検出が行われる。そして前記摩耗が最
も内周側の封入室125cまで進行した場合は、パーソ
ナルコンピュータ3は、同一のローラビット120につ
いて上記検出動作の回数から摩耗が封入室125cまで
進行したことを判定し、画面への出力表示あるいは警報
出力を行う。
【0022】次に図4は、本発明に係るローラビットの
摩耗検知方法を、泥水加圧式シールド掘進機に適用した
第二の実施形態を示すものである。この泥水加圧式シー
ルド掘進機10’は、カッタヘッド12の背面のチャン
バ13内に、図示されていない作泥部から送泥管18を
介して泥水を加圧供給して、掘削により取り込んだ掘削
土砂をこのチャンバ13内で前記泥水と攪拌し、排泥管
19を介して排出するようになっている。
【0023】すなわち、泥水加圧式シールド掘進機1
0’においては、掘削土砂がチャンバ13から排泥管1
9内を通って排出されるので、ベルトコンベアで運ばれ
る場合のように目視によって、あるいは色覚センサ等に
よって物性体の混入の有無を識別することはできない。
したがってこの場合は、例えばローラビット120のカ
ッタエッジ121に封入する物性体として固有のIDナ
ンバーが書き込まれカプセル内に封入された非接触式I
Dチップを採用し、IDチップが排泥管19内を掘削土
砂と共に通過する時に、この排泥管19の途中に設けら
れた読取装置で前記IDナンバーを読み取り、これによ
って、どのローラビットがどこまで摩耗したかを検知す
る方法が採用される。
【0024】なお、上記実施形態はいずれも本発明をシ
ールド掘進機に適用した場合について説明したが、例え
ばTBMなど、ローラビットを使用する他のトンネル掘
削機械にも実施することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るロー
ラビットの摩耗検知方法によれば、作業員がチャンバに
入り込むことなく、どこに配置されたどのローラービッ
トがどの程度の摩耗状態かを安価に把握でき、ローラー
ビットの交換時期を過去の実績や勘による推定に依存す
ることなく的確に把握することができるので、工期の短
縮、工事コストの削減及び危険作業の排除が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るローラビットの摩耗検知方法を泥
土圧式シールド掘進機に適用した第一の実施形態を示す
説明図である。
【図2】上記シールド掘進機におけるローラビットの構
造を示すもので、(A)はこのローラビットの軸心を通る
平面で切断した断面図、(B)は軸心と直交する平面で切
断した断面図である。
【図3】蛍光測定による検出システムを概略的に示す説
明図である。
【図4】本発明に係るローラビットの摩耗検知方法を泥
水加圧式シールド掘進機に適用した第二の実施形態を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 蛍光物質(物性体) 2 蛍光測定器 3 パーソナルコンピュータ 10 泥土圧式シールド掘進機 10’ 泥水加圧式シールド掘進機 12 カッタヘッド 120 ローラビット 121 カッタエッジ 125a〜125c 封入室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴山 誠一 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 Fターム(参考) 2D054 BA06 BB06 GA06 GA17 GA82 GA95

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カッタヘッドに、このカッタヘッドの円
    周方向に対して直交する方向に延びる軸心を中心として
    回転可能に取り付けられたローラビット有するトンネル
    掘削機械において、 前記ローラビットのカッタエッジの所定深さに、土砂や
    泥水に混入しても変化しない固有の物理的又は化学的物
    性を有する物性体を封入し、 前記トンネル掘削機械による地山の掘削に伴って発生し
    た土砂や泥水中における前記物性体の混入の有無を監視
    することを特徴とするローラビットの摩耗検知方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 ローラビット毎に異なる物性を有する物性体が封入され
    ることを特徴とするローラビットの摩耗検知方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の記載において、 物性体がカッタエッジからの深さの異なる複数の位置に
    封入されることを特徴とするローラビットの摩耗検知方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの記載におい
    て、 地山の掘削に伴って発生した土砂や泥水中への物性体の
    混入を物性検知手段により検知することを特徴とするロ
    ーラビットの摩耗検知方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の記載において、 物性体が発色体であり、物性検知手段が色識別センサで
    あることを特徴とするローラビットの摩耗検知方法。
  6. 【請求項6】 請求項4の記載において、 物性体が、カプセル内に封入され固有のIDナンバーが
    書き込まれた非接触式IDチップであり、物性検知手段
    がIDナンバー読取装置であることを特徴とするローラ
    ビットの摩耗検知方法。
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