JP2000103616A - スピネル製造用混合溶液および該混合溶液を用いてスピネルを製造する方法 - Google Patents

スピネル製造用混合溶液および該混合溶液を用いてスピネルを製造する方法

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JP2000103616A JP10278650A JP27865098A JP2000103616A JP 2000103616 A JP2000103616 A JP 2000103616A JP 10278650 A JP10278650 A JP 10278650A JP 27865098 A JP27865098 A JP 27865098A JP 2000103616 A JP2000103616 A JP 2000103616A
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Toshio Yamamoto
敏生 山本
Akihiko Suda
明彦 須田
Masahiro Sugiura
正洽 杉浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MgAl2O4スピネル相以外の結晶相が共存しな
いスピネルを製造するための混合溶液、および、該混合
溶液を用いて上記スピネルを製造する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 (1) ジエチレングリコールのような沸点
が120℃以上の水溶性有機物を共存させたスピネル製造
用混合溶液、(2) クエン酸のようなカルボキシル基を持
つ有機化合物のアルミニウム塩と同マグネシウム塩より
なるスピネル製造用混合溶液であって、この(1)または
(2)の混合溶液を乾燥し、加熱焼成して複合酸化物(スピ
ネル)に転化させること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピネル製造用混
合溶液および該混合溶液を用いてスピネルを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スピネルの製造技術としては、 (1) 水溶性マグネシウム塩および水溶性アルミニウム塩
の混合溶液を高温下の酸化雰囲気中に噴霧し、短時間で
熱分解させてスピネルを合成する方法(噴霧熱分解法)。 (2) 水溶性マグネシウム塩および水溶性アルミニウム塩
の酸性混合溶液をアルカリでpH調整して水酸化物の沈
殿を生成させ、この沈殿物を熱処理してスピネルを合成
する方法(共沈法)。 などが知られている。
【0003】また、上記(2)の共沈法の一例として、特
開昭59-232915号公報には、 (3) 水溶性マグネシウム塩および水溶性アルミニウム塩
の混合水溶液をアルコ−ルの存在下で、アルカリでpH
調整して沈殿物を生成させ、この沈殿物を乾燥し、焼成
してスピネルを合成する方法。 が記載されている。この(3)の方法では、特にアルコ−
ル(メタノ−ル,エタノ−ル,プロパノ−ル,ブタノ−
ルなどの低級アルコ−ル)の存在下でpHを調整して共
沈させることで、凝集性が低く、低結晶化度の微粒状ス
ピネル原料粉体を得ようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術(1)で
は、スピネルを得るための熱処理として噴霧熱分解法を
用いている。即ち、原料溶液を高熱に保った反応容器
(噴霧熱分解装置)に噴霧し、秒単位の短時間に複合酸化
物の状態まで熱分解させる方法を用いている。このた
め、反応容器(噴霧熱分解装置)は、大型で高価なものが
必要になるという問題があった。
【0005】また、原料溶液の供給速度を大きくする
と、該溶液の熱容量が大きいために十分な高温が維持で
きなくなるだけではなく、原料のマグネシウム塩および
アルミニウム塩の分解反応が不十分となり、不純物の混
入を招く恐れがある。従って、単位時間あたりの原料溶
液の供給速度を大きくすることができないため、生産効
率が低く、大量生産に非常に制約が大きいという問題が
あった。
【0006】一方、前記従来技術(2),(3)の共沈法で
は、アルカリによるpH調整で沈殿を生成させるため、
微細な粉末が得やすいという長所がある反面、マグネシ
ウムの水酸化物,アルミニウムの水酸化物が別々の沈殿
となり易く、均質な複合酸化物を作り難いという問題が
あった。
【0007】本発明は、上記問題点を解消することを目
的とするものであって、特に、噴霧熱分解装置のような
非効率で高コストな熱処理装置を使わず、また、原子レ
ベルで混合した溶液の混合状態を失わずに均質なMgAl2O
4スピネル(複合酸化物)を得ることができる「スピネル
製造用混合溶液」および該混合溶液を用いた「スピネル
の製造方法」を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、均質なス
ピネルを得ることを意図して鋭意研究を重ねた結果、特
定の有機物が共存する原料溶液を調製し、該有機物を酸
化除去すると同時にスピネル(複合酸化物)に転化させる
ことで、上記目的が達成できることを見いだし、本発明
を完成したものである。
【0009】即ち、本発明に係る「スピネル製造用混合
溶液」は、 ・沸点が120℃以上の水溶性有機物を共存させること(請
求項1)、を特徴(発明を特定する事項)とし、また、 ・水溶性無機アルミニウム塩,水溶性無機マグネシウム
塩および沸点が 120℃以上の水溶性有機物を含む溶液か
らなること(請求項2)、 ・水溶性のカルボン酸(カルボキシル基を持つ有機化合
物)のアルミニウム塩と水溶性のカルボン酸(カルボキ
シル基を持つ有機化合物)のマグネシウム塩とよりなる
混合溶液からなること(請求項5)、 を特徴(発明を特定する事項)とする。
【0010】一方、本発明に係る「スピネルの製造方
法」は、 ・本発明に係る上記スピネル製造用混合溶液を用いるも
のであって、該混合溶液を乾燥し、この乾燥物を加熱焼
成して複合酸化物(スピネル)に転化させること(請求項
7,8,11)、を特徴(発明を特定する事項)とする。
【0011】本発明は、スピネル製造用原料であるアル
ミニウム源およびマグネシウム源に沸点が120℃以上の
水溶性有機物を共存させた混合溶液(水溶液)を特徴と
し、また、この混合溶液(水溶液)を乾燥し、該乾燥物を
加熱焼成して複合酸化物(スピネル)に転化させることを
特徴とする。本発明によれば、乾燥物の加熱焼成時に、
該乾燥物に共存する有機物を蒸発ないしは酸化除去する
と同時にスピネルに転化させることができ、この“有機
物の蒸発ないしは酸化(熱分解)”は、スピネル製造用原
料として使用したアルミニウム源およびマグネシウム源
の分解を促進させ、両者の均質な混合状態を損なわずに
複合酸化物の状態(スピネル)に転化させることができ、
MgAl2O4スピネル相以外の結晶相が共存していないスピ
ネルが得られるという作用効果が生じる。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明におい
て、沸点が120℃以上の水溶性有機物を共存させる第1
の実施形態としては、アルミニウム源およびマグネシウ
ム源として、水溶性無機アルミニウム塩および水溶性無
機マグネシウム塩を用い、この混合溶液(水溶液)に沸点
が120℃以上の水溶性有機物を添加して“スピネル製造
用混合溶液(水溶液)”を調製する例である。そして、こ
の混合溶液(水溶液)を乾燥し、該乾燥物を加熱焼成して
上記有機物を蒸発ないしは酸化除去すると同時に、スピ
ネル(複合酸化物)に転化させるものである。
【0013】この第1の実施形態について説明すると、
まず、水溶性無機アルミニウム塩および水溶性無機マグ
ネシウム塩を水に溶解し、これに沸点が120℃以上の水
溶性有機物(又は該有機物を水に溶解させた水溶液)を
添加して、混合溶液(水溶液)を調製する。次に、この混
合溶液(水溶液)を乾燥温度で加熱し、水を蒸発させて有
機物共存乾燥物を得る。続いて、この乾燥物を加熱焼成
し、有機物の分解と共にアルミニウム塩およびマグネシ
ウム塩を熱分解させ、有機物を除去すると同時に複合酸
化物に転化させて、MgAl2O4スピネルを得る。
【0014】混合溶液(水溶液)を乾燥温度で加熱し、水
を蒸発させて得られた上記“有機物共存乾燥物”は、無
機アルミニウム塩およびマグネシウム塩が有機物に溶解
した溶液、ないしは、均一に分散した溶液となる。そし
て、この溶液を加熱焼成することにより、前記したよう
に、アルミニウム塩およびマグネシウム塩の分解を促進
させ、両者の均質な混合状態を損なわずに複合酸化物の
状態(スピネル)に転化させることができ、MgAl2O4スピ
ネル相以外の結晶相が共存していないスピネルが得られ
るという作用効果が生じる。このような水溶性有機物が
共存しない場合、無機アルミニウム塩またはマグネシウ
ム塩の一方が先に分解し、両者の混合水溶液における原
子レベルでの均質な混合状態から、どちらか一方の偏析
が生じてしまい、その結果として、スピネル相以外の酸
化物の結晶相が混入することになる。
【0015】第1の実施形態において、沸点が120℃未
満の水溶性有機物の共存では、加熱焼成に先立つ乾燥工
程で、水の蒸発と共にこの有機物が蒸発し、共存させる
ことができ難くなり、前記“有機物共存乾燥物”が得ら
れ難いので好ましくない。特に、この第1の実施形態に
おいて、一価アルコ−ルを使用する場合、例えば沸点が
117.3℃の1-ブタノ−ル(共沸温度:92.7℃)を使用する
と、水との間に低い共沸温度をもつため、乾燥時に水と
共に蒸発し、共存させることができないので、使用する
ことができない。
【0016】第1の実施形態において、沸点が120℃以
上の水溶性有機物の添加量は、使用する水溶性有機物の
種類によって異なり、その好ましい範囲を特定すること
ができないが、おおよその目安として、水溶性無機アル
ミニウム塩およびマグネシウム塩の合計量に対し1〜5
0重量%が好ましい。1重量%未満では、乾燥物中の共
存有機物の量が少なく、所望の作用効果が生じ難いので
好ましくなく、逆に、50重量%を超えると、有機物の
燃焼による発熱が大きく焼成温度が上がり過ぎるので、
また、最終製品に寄与しない原料の増加によるコストア
ップなどの不利益を招くので、同じく好ましくない。
【0017】第1の実施形態において使用可能な水溶性
有機物としては、沸点が120℃以上の一価アルコール、
多価アルコールのモノマー,ダイマー,トリマー,オリ
ゴマー、または、沸点が120℃以上の上記多価アルコー
ルのポリマーを含む水溶性高分子化合物,単糖類,二糖
類,多糖類,炭水化物,カルボン酸類およびその塩,界
面活性剤を用いることができる。これらを具体的に列挙
すると、次のとおりである。
【0018】[一価アルコ−ルの具体例]:1-ペンタノ
ール(沸点138.3℃),1-ヘキサノール(沸点157.9℃),1-
ヘプタノール(沸点175.8℃),1-オクタノール(沸点183
℃),2-オクタノール(沸点179.5℃),モノエタノールア
ミン(沸点171℃),ジエチレングリコール・モノエチル
エーテル(沸点218℃)。その他、炭素数が10までのア
ルキルアルコール,アミノアルキルアルコール、およ
び、その異性体,誘導体。
【0019】[多価アルコ−ルのモノマ−の具体例]:
ジエタノールアミン(沸点217℃),トリエタノールアミ
ン(沸点277℃),エチレングリコール(沸点197.5℃),プ
ロピレングリコール(沸点188.2℃),グリセリン(沸点29
0℃),1,5-ペンタンジオール(沸点238℃)。その他、炭
素数が10までのアルキル基に水酸基(-OH)が2個以上
結合して成る多価アルコール。 [多価アルコールのダイマーの具体例]:ジエチレング
リコール(沸点245℃),エチレンプロピレングリコー
ル,それらの誘導体、および、その他の2価アルコール
が縮合して得られたダイマー。 [多価アルコールのトリマーの具体例]:トリエチレン
グリコール(沸点278.3℃),トリプロピレングリコー
ル,それらの誘導体、および、その他の2価アルコール
が縮合して得られたトリマー。
【0020】[水溶性高分子化合物の具体例]:ポリエ
チレングリコール,ポリアクリル酸およびその誘導体,
ポリビニルアルコールおよびその誘導体,セルロースお
よびその誘導体。 [単糖類,二糖類,多糖類,炭水化物の具体例]:ソル
ビトール,デキストリン,澱粉,グリコーゲン,ペント
ース,グルコース,フルクトース,ガラクトース,マル
トース,サッカロース,ラクトース,マンノース。 [カルボン酸類およびその塩の具体例]:クエン酸,コ
ハク酸,酒石酸,リンゴ酸,マロン酸,マンノン酸、お
よび、それらの塩。
【0021】[界面活性剤の具体例]: ・アルキレンオキサイド系,ポリエーテル系,ポリエス
テル系の非イオン性界面活性剤。 ・脂肪酸系,アルファスルホ脂肪酸エステル塩系,直鎖
アルキルベンゼン系,アルキルベンゼンスルホン酸塩
系,高級アルコール系,硫酸アルキル塩系,硫酸アルキ
ルポリオキシエチレン塩系,モノアルキルリン酸エステ
ル塩系,α−オレフィン系,α−オレフィンスルホン酸
塩系の陰イオン系界面活性剤。 ・モノアルキルアンモニウム,ジアルキルアンモニウ
ム,トリアルキルアンモニウムのクロライド、または、
アセテートからなる陽イオン界面活性剤。
【0022】なお、第1の実施形態において、水溶性無
機アルミニウム塩,水溶性無機マグネシウム塩として
は、硝酸塩や塩酸塩,硫酸塩など、一般的な水溶性無機
塩を任意に使用することができる。
【0023】(第2の実施形態)本発明において、沸点
が120℃以上の水溶性有機物を共存させる他の実施の形
態(第2の実施形態)としては、アルミニウム源およびマ
グネシウム源として、水溶性のカルボン酸(カルボキシ
ル基を持つ有機化合物:以下同じ)のアルミニウム塩お
よび水溶性のカルボン酸のマグネシウム塩を用いて“ス
ピネル製造用混合溶液(水溶液)”とする例である。そし
て、この混合溶液(水溶液)を、前記第1の実施形態と同
様、乾燥し、該乾燥物を加熱焼成して上記カルボン酸を
酸化除去すると同時に、スピネル(複合酸化物)に転化さ
せるものである。
【0024】この第2の実施形態について説明すると、
まず、水溶性のカルボン酸のアルミニウム塩および水溶
性のカルボン酸のマグネシウム塩とを水に溶解し、混合
溶液とする。次に、この混合溶液を乾燥し、水を除去し
て“有機物共存乾燥物”を得る。続いて、この乾燥物を
加熱焼成することにより、カルボン酸を酸化除去すると
同時にアルミニウム塩およびマグネシウム塩を熱分解さ
せて複合酸化物に転化させ、MgAl2O4スピネルを得る。
【0025】この第2の実施形態においても、前記第1
の実施形態の場合と同様、有機物共存乾燥物の加熱焼成
時に、この乾燥物中のカルボン酸(カルボキシル基を持
つ有機化合物)の酸化除去によりアルミニウム塩および
マグネシウム塩の分解を促進させ、両者の均質な混合状
態を損なわずに複合酸化物の状態(スピネル)に転化させ
ることができ、MgAl2O4スピネル相以外の結晶相が共存
していないスピネルが得られるという作用効果が生じ
る。
【0026】第2の実施形態において、カルボン酸(カ
ルボキシル基を持つ有機化合物)としては、一価のカル
ボン酸である「R1COOH」の構造を持ちアルキル基R1の炭
素量が0〜10のもの、二価のカルボン酸である「R2(COO
H)2」の構造を持ちアルキル基R2 の炭素量が0〜10のも
の、三価の脂肪酸である「R3(COOH)3」の構造を持ちア
ルキル基R3の炭素量が1〜10のものが使用できる。これ
らを具体的に列挙すると、次のカルボン酸の使用が好ま
しい。 ・R1COOH :蟻酸,酢酸,プロピオン酸,マンノン
酸。 ・R2(COOH)2:蓚酸,コハク酸,酒石酸,リンゴ酸,マ
ロン酸。 ・R3(COOH)3:クエン酸。 (特に、三価のカルボン酸であるクエン酸の使用が好適
である。)
【0027】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を具体的に説明する。
【0028】<実施例1〉硝酸アルミニウムを0.2molと
硝酸マグネシウム0.1molとをガラスビ−カ−中で1リッ
トルの水に溶解し、マグネチックホットスタ−ラ−で攪
拌しながらジエチレングリコール(沸点:245℃)を11.7
g添加し、さらに攪拌してスピネル製造用混合溶液を調
製した。
【0029】次に、ヒ−タ−のスィッチを入れ、ビ−カ
−中の上記混合溶液を水が蒸発するまで加熱しながらス
タ−ラ−で攪拌した。続いて、ビ−カ−からスタ−ラ−
の攪拌子を取り出した後、400℃で焼成して白色粉末を
得た。この白色粉末をアルミナ坩堝に移し、さらに850
℃で5時間焼成して、MgとAlの比が1対2のMgAl2O
4スピネルを得た。このスピネル粉末の比表面積は68m2
/gであり、X線回折の結果では、MgAl2O4スピネル相以
外の結晶相は共存していなかった。
【0030】<実施例2>クエン酸アルミニウムを0.2m
olとクエン酸マグネシウム0.1molとをガラスビ−カ−中
で1リットルの水に溶解してスピネル製造用混合溶液を
調製した。このスピネル製造用混合溶液を、マグネチッ
クホットスタ−ラ−で攪拌しながら、水が蒸発するまで
加熱した。続いて、ビ−カ−からスタ−ラ−の攪拌子を
取り出した後、400℃で焼成して白色粉末を得た。この
白色粉末をアルミナ坩堝に移し、さらに850℃で5時間
焼成して、MgとAlの比が1対2のMgAl2O4スピネル
を得た。このスピネル粉末の比表面積は55m2/gであ
り、X線回折の結果では、MgAl2O4スピネル相以外の結
晶相は共存していなかった。
【0031】<比較例1>この比較例1では、前記実施
例1で用いたジエチレングリコールを添加しない例であ
る。即ち、硝酸アルミニウムを0.2molと硝酸マグネシウ
ム0.1molとをガラスビ−カ中で1リットルの水に溶解
し、マグネチックホットスタ−ラ−で攪拌してスピネル
製造用混合溶液を調製した。
【0032】この混合溶液に対して、前記実施例1と同
様、水が蒸発するまで加熱し、続いて、400℃で焼成し
て粉末を得た。この粉末をアルミナ坩堝に移し、さらに
850℃で5時間焼成した。得られた粉末の比表面積を測
定し、また、X線回折を行った。その結果、比表面積は
60m2/gであり、X線回折の結果では、MgAl2O4スピネ
ル以外にMgOが混入していた。
【0033】<比較例2>比較例2では、前記実施例1
で配合した“ジエチレングリコール(沸点:245℃)” に
かえて、沸点が120℃未満の“1-ブタノ−ル(沸点:117.
3℃)”を配合した例である。即ち、硝酸アルミニウムを
0.2molと硝酸マグネシウム0.1molとをガラスビ−カ中で
1リットルの水に溶解し、マグネチックホットスタ−ラ
−で攪拌しながら1-ブタノ−ル(沸点:117.3℃)を11.7
g添加し、さらに攪拌してスピネル製造用混合溶液を調
製した。
【0034】この混合溶液に対して、前記実施例1と同
様、水が蒸発するまで加熱し、続いて、400℃で焼成し
て粉末を得た。この粉末をアルミナ坩堝に移し、さらに
850℃で5時間焼成した。得られた粉末の比表面積を測
定し、また、X線回折を行った。その結果、比表面積は
62m2/gであり、X線回折の結果では、MgAl2O4スピネ
ル以外にMgOが混入していた。
【0035】<比較例3>この比較例3では、前記比較
例2の混合溶液を用い、これを従来の共沈法によってス
ピネルを製造した例である。すなわち、前記比較例2と
同様、硝酸アルミニウムを0.2molと硝酸マグネシウム0.
1molとをガラスビ−カ中で1リットルの水に溶解し、プ
ロペラ攪拌器で攪拌しながらエタノール(沸点:78.3℃)
を100g添加し、さらに攪拌し混合溶液とした。
【0036】この混合溶液にアンモニア0.85molを含む2
5%のアンモニア水57.8gを加えて沈殿を生成させた。
この沈殿物を含む液を150℃の乾燥機で10時間乾燥させ
て水とエタノールを除去した後、400℃で5時間焼成
し、アルミナ坩堝に移し、さらに850℃で5時間焼成し
て粉末を得た。この粉末の比表面積は72m2/gであり、
X線回折の結果では、主たる結晶相はMgAl2O4スピネル
であったが、MgOが共存していた。
【0037】前記実施例1および実施例2では、MgAl2O
4スピネル相以外の結晶相が共存しないスピネルが得ら
れたが、比較例1(有機物を添加しない例),比較例2(1
-ブタノ−ル(沸点:117.3℃)を添加した例),比較例3
(従来の共沈法による例)は、いずれもMgOが共存して
いた。
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、沸点が
120℃以上の水溶性有機物共存のスピネル製造用混合溶
液を特徴とし、そして、この混合溶液を乾燥した後加熱
焼成して、該有機物を酸化除去すると同時に複合酸化物
(スピネル)に転化させることを特徴とし、これにより、
MgAl2O4スピネル相以外の結晶相が共存していないスピ
ネルが得られるという効果が生じる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 正洽 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G031 AA03 AA29 BA27 CA01 GA05 4G069 AA01 BB06A BB06B BC10A BC10B BC16A BC16B EC02Y EC24 4G076 AA02 AA18 AB07 AC02 BA39 BC01 BC08 CA14 CA28 CA30 DA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピネル製造用混合溶液として、沸点が
    120℃以上の水溶性有機物が共存してなることを特徴と
    するスピネル製造用混合溶液。
  2. 【請求項2】 スピネル製造用混合溶液として、水溶性
    無機アルミニウム塩,水溶性無機マグネシウム塩および
    沸点が120℃以上の水溶性有機物を含む溶液からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のスピネル製造用混合溶
    液。
  3. 【請求項3】 前記水溶性有機物が、沸点が120℃以上
    の一価アルコール、多価アルコールのモノマー,ダイマ
    ー,トリマー,オリゴマー、または、沸点が120℃以上
    の上記多価アルコールのポリマーを含む水溶性高分子化
    合物,単糖類,二糖類,多糖類,炭水化物,カルボン酸
    類およびその塩,界面活性剤であることを特徴とする請
    求項1または2に記載のスピネル製造用混合溶液。
  4. 【請求項4】 前記水溶性高分子化合物が、ポリエチレ
    ングリコール,ポリアクリル酸およびその誘導体,ポリ
    ビニルアルコールおよびその誘導体,セルロースおよび
    その誘導体であることを特徴とする請求項3に記載のス
    ピネル製造用混合溶液。
  5. 【請求項5】 スピネル製造用混合溶液として、水溶性
    のカルボン酸(カルボキシル基を持つ有機化合物)のア
    ルミニウム塩と、水溶性のカルボン酸(カルボキシル基
    を持つ有機化合物)のマグネシウム塩とを含むことを特
    徴とする請求項1に記載のスピネル製造用混合溶液。
  6. 【請求項6】 前記カルボン酸(カルボキシル基を持つ
    有機化合物)が、R1COOH,R2(COOH)2,R3(COOH)3のいず
    れかであることを特徴とする請求項5に記載のスピネル
    製造用混合溶液。[但し、R1は炭素数が0〜10のアルキ
    ル基,R2は炭素数が0〜10のアルキル基,R3は炭素数が1
    〜10のアルキル基を示す。]
  7. 【請求項7】 沸点が120℃以上の水溶性有機物を含む
    スピネル製造用混合溶液を乾燥し、該乾燥物を加熱して
    複合酸化物に転化させることを特徴とするスピネルの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 水溶性無機アルミニウム塩,水溶性無機
    マグネシウム塩及び沸点が120℃以上の水溶性有機物を
    含む溶液を乾燥し、該乾燥物を加熱して複合酸化物に転
    化させることを特徴とする請求項7に記載のスピネルの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記水溶性有機物が、沸点が120℃以上
    の一価アルコール、多価アルコールのモノマー,ダイマ
    ー,トリマー,オリゴマー、または、沸点が120℃以上
    の上記多価アルコールのポリマーを含む水溶性高分子化
    合物,単糖類,二糖類,多糖類,炭水化物,カルボン酸
    類およびその塩,界面活性剤であることを特徴とする請
    求項7または8に記載のスピネルの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記水溶性高分子化合物が、ポリエチ
    レングリコール,ポリアクリル酸およびその誘導体,ポ
    リビニルアルコールおよびその誘導体,セルロースおよ
    びその誘導体であることを特徴とする請求項9に記載の
    スピネルの製造方法。
  11. 【請求項11】 水溶性のカルボン酸(カルボキシル基
    を持つ有機化合物)のアルミニウム塩と、水溶性のカル
    ボン酸(カルボキシル基を持つ有機化合物)のマグネシ
    ウム塩とを含む溶液を乾燥し、該乾燥物を加熱して複合
    酸化物に転化させることを特徴とする請求項7に記載の
    スピネルの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記カルボン酸(カルボキシル基を持
    つ有機化合物)が、R1COOH,R2(COOH)2,R3(COOH)3のい
    ずれかであることを特徴とする請求項11に記載のスピ
    ネルの製造方法。[但し、R1は炭素数が0〜10のアルキ
    ル基,R2は炭素数が0〜10のアルキル基,R3は炭素数が1
    〜10のアルキル基を示す。]
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