JP2000103168A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2000103168A
JP2000103168A JP10278337A JP27833798A JP2000103168A JP 2000103168 A JP2000103168 A JP 2000103168A JP 10278337 A JP10278337 A JP 10278337A JP 27833798 A JP27833798 A JP 27833798A JP 2000103168 A JP2000103168 A JP 2000103168A
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JP10278337A
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Masato Harigai
眞人 針谷
Mikio Kinoshita
幹夫 木下
Koji Deguchi
浩司 出口
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録感度が高く、更に繰り返し特性が良好
で、且つ初期結晶化の容易な光記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 記録媒体の記録層を構成する記録材料の
主成分がAg、In、Sb及びTeからなり、その構造
が一般式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表されるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波、特に半導
体レーザー光を照射することにより記録材料の光学定数
を変化させ情報の記録・再生を行う相変化型光記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザービームの照射により情報の記録
再生及び消去可能な光記録媒体の一つとして相変化型光
記録媒体がある。この相変化型光記録媒体は、図1に示
すように一般に基板1上に下部耐熱保護層2、記録層
3、上部耐熱保護層4、反射放熱層5を順次積層して形
成され、前記記録層の材料としてはGeTe、GeTe
Se、GeSbTe、GeSbTeSe等がよく知られ
ている。また、高感度で消去特性の良好なAgInSb
Teが新しい記録層材料として提案されている(特開平
2−37466号、特開平2−171325号、特開平
2−415581号、特開平4−141485号各公報
参照)。
【0003】かかる相変化型光記録媒体はヒートモード
で記録されるため、一般に多数回の記録・消去の繰り返
しによる劣化が認められており、この繰り返し特性の向
上が大きな課題とされている。このような課題に対して
特開平4−16383号公報や特開平8−287515
号公報では、記録層に窒素等を添加することが提案され
ている。また、特開平8−287515号公報では、記
録層の上下に耐熱保護層を設け、さらに上部耐熱保護層
の上に第三の耐熱保護層を配し、この第三の耐熱保護層
の熱膨張率を他の二つの耐熱保護層の熱膨張率よりも小
さくすることにより、変形を防止して物質移動を低減し
繰り返し特性の向上を図ることが提案されている。しか
しながら、上述の窒素の添加は記録材料の結晶化温度を
上昇させるために初期結晶化がし難くなり、初期結晶化
に関する時間が増大するという問題を発生させる。ま
た、上述の第三の耐熱保護層を配置することはコスト面
から得策ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明はこの
ような状況に鑑みてなされたものであって、多数回の繰
り返しに対しても劣化がなく、さらに記録感度の向上を
図るとともに、初期結晶化においても容易に初期化でき
る記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、材料にレーザー等を照射することによってその材料
の光学定数を変化させて情報の記録、再生、消去を行う
光記録媒体において、該記録媒体の記録層を構成する記
録材料の主成分がAg、In、Sb及びTeからなり、
その構造が一般式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表されることを特徴とする光記録媒体が提供される。
第二に、上記第一に記載した光記録媒体において、その
記録層を構成する記録材料の組成が、前記一般式におい
て 0.12≦a≦0.25 0.02≦x≦0.3 0.45≦y≦0.75 0.2≦z≦0.4 x+y+z=1 なる範囲にあることを特徴とする光記録媒体が提供され
る。第三に、上記第一又は第二に記載した光記録媒体に
おいて、その記録層を構成する記録材料に、添加物とし
てAuCl、Na3N、Cu3N及びGe32の少なくと
も1種をスパッタ法により分解させた状態で記録膜中に
ドープしてなることを特徴とする光記録媒体が提供され
る。第四に、上記第一〜第三のいずれかに記載した光記
録媒体において、その記録層を構成する記録材料の融点
が少なくとも1つあり、その1つはAgSbTe2のも
ので535℃から563℃の範囲内にあることを特徴と
する光記録媒体が提供される。第五に、上記第一〜第四
のいずれかに記載した光記録媒体において、その記録層
を構成する記録材料の結晶化温度が少なくとも1つあ
り、該結晶化温度が10℃/分の昇温レートで150℃
から210℃の範囲内にあることを特徴とする光記録媒
体が提供される。第六に、上記第一〜第五のいずれかに
記載した光記録媒体において、その記録層を構成する記
録材料のキッシンジャープロット法により求めた活性化
エネルギーが1.7eVから3.0eVの範囲内にある
ことを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0006】即ち、本発明の第一の光記録媒体において
は、該記録媒体の記録層を構成する記録材料として、A
g、In、Sb及びTeを主成分とし、その構造が一般
式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表される材料を用いることにより、高感度で記録マー
クの良好な記録媒体が実現される。
【0007】また、本発明の第二の光記録媒体において
は、その記録層を構成する記録材料の組成が、前記一般
式において 0.12≦a≦0.25 0.02≦x≦0.3 0.45≦y≦0.75 0.2≦z≦0.4 x+y+z=1 なる範囲にあるものとしたことにより、InxSbyTe
zがその組成により少なくとも1つ、又はそれ以上の相
からなることから、各相が分散した形となるため、結晶
成長を抑制し、さらに高感度で記録マークの良好なもの
となる。
【0008】また、本発明の第三の光記録媒体において
は、その記録層を構成する記録材料に、添加物としてA
uCl、Na3N、Cu3N及びGe32の少なくとも1
種をスパッタ法により分解させた状態で記録母材の中に
導入することにより、繰り返し特性が向上する。
【0009】また、本発明の第四の光記録媒体において
は、その記録層を構成する記録材料の融点が少なくとも
1つあり、その1つはAgSbTe2のもので535℃
から563℃の範囲内にあり、他の少なくとも1つの融
点はInxSbyTezのもので、融点が1つの場合は単
相、2つ以上の場合はInxSbyTezが相分離し、多
相となることにより、初期化及び消去時において微細な
結晶粒となるために、より高感度で記録マークの良好な
ものとなる。
【0010】また、本発明の第五の光記録媒体において
は、その記録層を構成する記録材料の結晶化温度が少な
くとも1つあり、該結晶化温度が10℃/分の昇温レー
トで150℃から210℃の範囲内にあることにより、
初期結晶化が容易なものとなる。
【0011】また、本発明の第六の光記録媒体において
は、その記録層を構成する記録材料のキッシンジャープ
ロット法により求めた活性化エネルギーが1.7eVか
ら3.0eVの範囲内にあることにより、初期結晶化が
容易で保存特性が良好なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。前述したように、本発明の相変化型光記録媒
体は、その記録層を構成する記録材料の主成分がAg、
In、Sb及びTeからなり、その構造が一般式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表され、好ましくはその組成が0.12≦a≦0.2
5、0.02≦x≦0.3、0.45≦y≦0.75、
0.2≦z≦0.4、x+y+z=1であることにあ
る。このとき、InxSbyTezは組成によりIn3Sb
Te2、In4Sb1. 2Te2.8、InSbTe3等の単相
の形をとる場合や、In−Te、In−Sb、Sb−T
e等のいくつかの相に分離する場合もある。しかし、い
くつかの相が混合されていると、各相が結晶化する場
合、互いに、初期化時や消去時の結晶成長が抑制される
ために、微細な結晶となり得る。一方、この様な多相の
場合、融点はいくつか存在することになるが、融点に幅
がでるため、低融点化の可能性が大きくなり、記録感度
の向上につながる。また、前述の様に微細結晶のマーク
周辺がきれいであることから、ジッター値の向上が期待
できる。
【0013】本発明では、融点はAgSbTe2が示す
535℃〜563℃の間にあることが高感度化につなが
っているものと考えられる。また、InxSbyTez
融点は単相の場合と分相した場合でそ値は異なってくる
が、520℃から620℃の間にあるために、AgSb
Te2の融点に近いことが高感度化の原因となってい
る。
【0014】さらに、この記録材料には、少なくとも1
種類のAuCl、Na3N、Cu3N、Ge32をスパッ
タ法等により導入することができるので、初期結晶化を
容易にし、繰り返し特性及び記録感度の向上を図ること
ができる。これらの化合物は比較的低温で分解するた
め、スパッタ法等により単元素として入るため、上記の
特性向上が可能になると考えられる。
【0015】また、本記録材料の結晶化温度は、その組
成にもよるが、150℃から210℃の間にあるため、
初期結晶化が容易にでき、初期結晶化ムラによるディス
ク品質の劣化がない。
【0016】また、本記録材料は組成にもよるが、結晶
化の活性化エネルギーが1.7eVから3.0eVの間
にある。これは前記の添加物を導入しない場合であり、
窒素等の添加物がドープされると、その量が多い場合は
3.0eV以上になる場合があるが、その場合結晶化温
度も上昇するために初期化がしにくくなってくる。従っ
て、添加物を導入したときも、望ましくは3.5eV以
下、より望ましくは3.0eV以下、且つ1.7eV以
上にするのがよい。この範囲であれば、初期結晶化が容
易であり、保存特性も良好である。
【0017】次に、本発明の記録媒体の構成を図面を参
照して説明する。図1は、本発明の記録媒体の構成例を
示すもので、基板1上に下部耐熱保護層2、記録層3、
上部耐熱保護層4、反射放熱層5が設けられている。耐
熱保護層は必ずしも記録層の両側に設ける必要はない
が、基板1がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低
い材料の場合には、下部耐熱層を設けることが望まし
い。
【0018】基板1の材料は、通常、ガラス、セラミッ
クス或いは樹脂であり、樹脂基板が成形性、コストの点
で好適である。樹脂の代表例としては、ポリカーボネー
ト樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ
素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、
加工性、光学特性等の点でポリカーボネート樹脂が好ま
しい。また、基板の形状はディスク状、カード状或いは
シート状であってもよい。
【0019】耐熱保護層、即ち誘電体層は(ZnS)80
(SiO2)20を用いてスパッタ法により膜形成を行な
う。本誘電体層は、耐熱保護層としての機能と光干渉層
としての機能も有することから、これらの機能を最大限
に活かすることが必要であり、そのためには、膜厚を2
00〜3000Å、好ましくは350〜2000Åとす
る。200Å以下の場合は耐熱保護層としての機能が失
われ、また、3000Å以上になると界面剥離が生じや
すくなる。
【0020】また、本発明の記録層は、一般的にはスパ
ッタ法により膜形成が行なわれ、その膜厚は100Å〜
1000Å、好ましくは200Å〜350Åがよい。1
00Åより薄いと、光吸収能が低下し記録層としての機
能を失う。一方、1000Åより厚いと、透過光が少な
くなるため干渉効果を期待できなくなる。反射放熱層は
Al合金を用いている。膜形成は、スパッタ法により行
なう。膜厚は500Å〜2000Å、好ましくは700
Å〜1500Åである。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0022】実施例1 トラックピッチ1.6μm、深さ600Åの溝付き厚さ
1.2mm、直径120μmのポリカーボネート基板上
に、表1に示す構成の下部耐熱保護層、記録層、上部耐
熱保護層及び反射放熱層を順次スパッタ法により積層
し、相変化型記録媒体を作成した。ここで耐熱保護層は
(ZnS)0.8(SiO2)0.2、反射放熱層はAl−T
i、また記録層は本発明による(Ag0.25Sb0.25Te
0.5)0.16(In0.04Sb0.71Te0.25)0.84である。な
お、記録層の結晶化温度(昇温速度10℃/分)、融点
及びキッシンジャープロット法により求めた活性エネル
ギーを、後記実施例2〜4の場合とあわせ、表1に示
す。これらの物性評価は、各実施例で用いた記録材料を
ガラス基板上に成膜したものを用いて行った。また、各
実施例の層構成を表2〜8に示す。
【0023】実施例2 記録層材料を(Ag0.25Sb0.25Te0.5)0.15(In0.
08Sb0.68Te0.24)0.85としたこと以外は、実施例1
と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0024】実施例3 記録層材料を(Ag0.25Sb0.25Te0.5)0.25(In0.
07Sb0.73Te0.20)0.75としたこと以外は、実施例1
と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0025】実施例4 記録層材料を(Ag0.25Sb0.25Te0.5)0.14(In0.
13Sb0.64Te0.23)0.86としたこと以外は、実施例1
と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0026】実施例5 記録層材料として実施例1で使用した記録材料と共にC
3Nチップを利用して記録膜を作成したこと以外は、
実施例1と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0027】実施例6 記録層材料として実施例1で使用した記録材料と共にN
3Nチップを利用して記録膜を作成したこと以外は、
実施例1と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0028】実施例7 記録層材料として実施例1で使用した記録材料と共にA
uClチップを利用して記録膜を作成したこと以外は、
実施例1と同様にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0029】比較例1 記録層材料として実施例1で使用した記録材料に窒素を
添加して記録膜を作成したこと以外は、実施例1と同様
にして相変化型光記録媒体を作成した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】〈評価〉以上の様にして得られた記録媒体
のディスク特性を評価した。先ず、各媒体の初期結晶化
の最適条件を求め、初期化後の状態を反射率変動として
評価した。次に、線速1.4m/sでEFMランダムパ
ターンによるオーバーライトの繰り返し記録を行ない、
その時の3T信号のジッターの記録パワー依存性で評価
した。なお、初期化も含めたこれらの特性を表9〜表1
6に示す。
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
【表14】
【0045】
【表15】
【0046】
【表16】
【0047】表1は、実施例1〜4に用いられた記録材
料の融点、結晶化温度及び活性化エネルギーを示したも
のであり、組成によりそれらの値は異なっている。融点
の場合、組成によりその値と数は異なってきているが、
その1つは538℃から562℃の間にあるものと、5
76℃から600℃の間にあるものの2つに分離され、
前者はAgSbTe2の融点と考えられる。これはAg
SbTe2のバルクの融点は556℃前後であることが
知られていることからと、X線回折でAgSbTe2
検出されているためである。また、後者の576℃から
600℃の融点はInxSbyTezのものと考えられ
る。組成により融点がAgSbTeのみしか現われてい
ないものもあるが、検出感度の問題と考えられる。その
理由は、組成から考えてAgSbTe2単独はあり得
ず、X線回折からもIn3SbTe2と思われるものが観
測されているためである。この様に基本的には、本発明
の(AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-aの形になっ
ていると考えられる。
【0048】一方、結晶化温度はIn量が増大すると高
くなる傾向があるが、本発明では、その範囲は150℃
から210℃の範囲にある。但し、添加物をドープした
時の結晶化温度は、AuClは低下、Cu3NとNa3
は大きな変化はせず、Ge32は高くなるものと考えら
れるが、本発明の150℃から210℃を超えることは
ない。即ち、150℃より結晶化温度が低いと保存特性
が低化し、210℃より高いと初期結晶化がしにくくな
り、初期化の反射率分布が大きくなり、ジッター値が低
下する。
【0049】また、活性化エネルギーは1.7eVから
3.0eVの間にあり、保存特性も問題はない。但し、
AuCl、Cu3N、Na3N、Ge32等の添加物を導
入してない時の値である。
【0050】以上の様に本発明の記録材料組成により、
融点、結晶化温度、活性化エネルギーは変化するが、前
記範囲内にあることにより、ディスク特性は表9〜15
に示されているように良好な特性を示す。即ち、実施例
1の記録媒体に関する表9によれば、その特性は記録パ
ワー8mWから13mWの範囲において繰り返し300
0回までジッター値は良好である。また、初期化も容易
であり、初期化後の均一性もよい。
【0051】実施例2の記録媒体に関する表10によれ
ば、実施例1に比較して記録感度が向上している。これ
は融点が低下しているためと思われる。繰り返し特性も
3000回まで良好である。初期化は初期化時のパワー
が高くなっているが、初期化後の均一性は良好である。
【0052】実施例3の記録媒体に関する表11によれ
ば、記録感度は実施例1と2の中間程度である。繰り返
し特性も3000回までは良好である。初期化も容易で
あり、均一性も良好である。
【0053】実施例4の記録媒体に関する表12によれ
ば、記録感度は実施例1と同等で良好である。繰り返し
特性も3000回まで良好である。初期化はパワーが8
00mWと大きくなっているのが、これは本実施例の場
合、結晶化温度が高くなっているためと思われる。但
し、初期化後の均一性に問題はない。
【0054】実施例5の記録媒体に関する表13によれ
ば、これはCu3Nが添加されたものであるが、これを
表16の比較例と比較すると、記録感度が向上してい
る。また、繰り返し特性は比較例とほぼ同等であるが、
実施例1、2、3、4と比較すると5000回まで向上
している。これは添加物のCu3Nの効果と考えられ
る。また、初期化は実施例1、2、3、4とは同等であ
るが、比較例より容易であり、初期化後の反射率の変動
も少ない。これは、Nのみの添加は初期化をしにくくし
ているが、Cu3Nの場合は、これが改善されているこ
とを示す。
【0055】実施例6の記録媒体に関する表14によれ
ば、これはNa3Nが添加されたものであるが、この場
合は比較例とくらべ、感度と初期化特性が向上してい
る。
【0056】実施例7の記録媒体に関する表15によれ
ば、これはAuClが添加されたものであり、比較例と
くらべると感度が大幅に向上している。また、初期化も
その均一性が良好となっている。但し、繰り返し特性は
3000回までである。
【0057】以上本発明によれば、実施例1、2、3、
4のように添加物が導入されていない場合は記録感度が
高く、また繰り返し特性も3000回までは良好であ
り、初期化後の均一性もよい。これは本発明の記録材料
が(AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-aの構成にな
っているためと考えられる。また、Cu3N、Na3Nの
添加は、記録感度や初期化の特性を保持しつつ、繰り返
し特性をさらに向上させている。一方、AuClの添加
は、記録感度を大幅に向上させることができる。
【0058】
【発明の効果】請求項1の光記録媒体は、その記録層を
構成する記録材料として、Ag、In、Sb及びTeを
主成分とし、その構造が一般式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表される材料を用いることにより、高感度で記録マー
クの良好な記録媒体が実現される。
【0059】請求項2の光記録媒体は、その記録層を構
成する記録材料の組成が、前記一般式において 0.12≦a≦0.25 0.02≦x≦0.3 0.45≦y≦0.75 0.2≦z≦0.4 x+y+z=1 なる範囲にあるものとしたことにより、InxSbyTe
zがその組成により少なくとも1つの相からなることか
ら、結晶生長を抑制し、さらに高感度で記録マークの良
好なものとなる。
【0060】請求項3の光記録媒体は、その記録層を構
成する記録材料に、添加物としてAuCl、Na3N、
Cu3N及びGe32の少なくとも1種をスパッタ法に
より分解させた状態で記録母材の中に導入することによ
り、繰り返し特性が向上する。
【0061】請求項4の光記録媒体は、その記録層を構
成する記録材料の融点が少なくとも1つあり、その1つ
はAgSbTe2のもので535℃から563℃の範囲
内にあるものとしたことから、初期化及び消去時におい
て微細な結晶粒となるために、より高感度で記録マーク
の良好なものとなる。
【0062】請求項5の光記録媒体は、その記録層を構
成する記録材料の結晶化温度が少なくとも1つあり、該
結晶化温度が10℃/分の昇温レートで150℃から2
10℃の範囲内にあるものとしたことから、初期結晶化
が容易なものとなる。
【0063】請求項6の光記録媒体は、その記録層を構
成する記録材料のキッシンジャープロット法により求め
た活性化エネルギーが1.7eVから3.0eVの範囲
内にあるものとしたことから、初期結晶化が容易で保存
特性が良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一実施例を示す概略断面
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部耐熱保護層 3 記録層 4 上部耐熱保護層 5 反射放熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出口 浩司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA31 EA33 EA35 FA01 FB05 FB09 FB12 FB17 FB21 FB24 FB26 FB30 GA03 5D029 JA01 JA10 JB35 JC11 JC18 JC20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 材料にレーザー等を照射することによっ
    てその材料の光学定数を変化させて情報の記録、再生、
    消去を行う光記録媒体において、該記録媒体の記録層を
    構成する記録材料の主成分がAg、In、Sb及びTe
    からなり、その構造が一般式 (AgSbTe2)a(InxSbyTez)1-a で表されることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光記録媒体において、そ
    の記録層を構成する記録材料の組成が、前記一般式にお
    いて 0.12≦a≦0.25 0.02≦x≦0.3 0.45≦y≦0.75 0.2≦z≦0.4 x+y+z=1 なる範囲にあることを特徴とする光記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の光記録媒体におい
    て、その記録層を構成する記録材料に、添加物としてA
    uCl、Na3N、Cu3N及びGe32の少なくとも1
    種をスパッタ法により分解させた状態で記録膜中にドー
    プしてなることを特徴とする光記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光記録
    媒体において、その記録層を構成する記録材料の融点が
    少なくとも1つあり、その1つはAgSbTe2のもの
    で535℃から563℃の範囲内にあることを特徴とす
    る光記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光記録
    媒体において、その記録層を構成する記録材料の結晶化
    温度が少なくとも1つあり、該結晶化温度が10℃/分
    の昇温レートで150℃から210℃の範囲内にあるこ
    とを特徴とする光記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光記録
    媒体において、その記録層を構成する記録材料のキッシ
    ンジャープロット法により求めた活性化エネルギーが
    1.7eVから3.0eVの範囲内にあることを特徴と
    する光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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