JP2000102377A - 水または土壌の浄化方法及び該方法に使用される微生物群 - Google Patents

水または土壌の浄化方法及び該方法に使用される微生物群

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害物質を副生することなく、かつ、短時間
に浄化を行うことのできる水または土壌の微生物による
浄化方法及びその方法に好適に使用される微生物を提供
すること。 【解決手段】 テトラクロロエチレンに汚染された水ま
たは土壌に第1の微生物を接種・混合して、嫌気的条件
下にてテトラクロロエチレンをトリクロロエチレンに変
換する変換工程を含む浄化方法。前記トリクロロエチレ
ンは好気的条件下において第2の微生物によって分解さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難分解性でわが国
の地下水汚染の報告の多いテトラクロロエチレンを微生
物分解する水または土壌の浄化方法に関し、また、その
ために使用される、テトラクロロエチレンを効率良く脱
塩素する微生物群に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体産業等の先端産業において
洗浄剤等として使用される塩素数3のトリクロロエチレ
ンによる地下水及び土壌の汚染が顕在してきているが、
環境庁の調査では、ドライクリーニングなどで使用され
ている、塩素数が1つ多いテトラクロロエチレンによる
地下水及び土壌汚染の報告が多い。
【0003】これらの有機塩素系化合物は発ガン性など
の疑いがあるために、その処理方法が早急に求められて
いる。そして、高濃度の汚染に対しては、これまでに真
空吸引法やエアーストリッピング法などの物理的処理を
行うことによりこれらの有機塩素系化合物を分離する方
法が開発され、一部実施されている。
【0004】しかし、これらの物理的処理方法は、高濃
度の汚染に対しては有効であるが、低濃度の汚染には効
率性の点で問題がある。そこで、近年、これらの有機塩
素系化合物を微生物によって分解し、無害化するいわゆ
る生物浄化法が注目されている。
【0005】そして、上記有機塩素系化合物のうちトリ
クロロエチレンに関しては、好気的条件下における効率
の高い微生物分解が可能であるとされており、微生物を
用いたトリクロロエチレンの分解浄化法は、わが国にお
いても、実証段階にまで研究開発が進展してきている。
【0006】一方、テトラクロロエチレンは、非常に安
定な化学構造を有することから、好気的条件では微生物
分解することはできないが、嫌気的条件下では徐々にで
はあるが脱塩素過程により構造の簡単な化合物に分解し
ていくことが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
完全な嫌気的条件下における、テトラクロロエチレンの
微生物による脱塩素過程では、その過程においてテトラ
クロロエチレンより有害な塩化ビニルが産生する上に、
脱塩素速度が小さい。したがって、嫌気的条件下におけ
る、テトラクロロエチレン汚染水または土壌の直接的な
微生物浄化は困難であった。
【0008】本発明は、上記した問題点を解決すること
をその課題とする。すなわち、本発明の目的は、テトラ
クロロエチレンによって汚染された水又は土壌を微生物
を用いて浄化するにあたって、塩化ビニルなどの有害物
質を副生することがなく、かつ、短時間に浄化を行うこ
とのできる効率的な浄化方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、テトラクロロ
エチレンによって汚染された水又は土壌を微生物を用い
て浄化するにあたり、有害物質を外界に放出して二次汚
染を引き起こすことのない安全な浄化方法を提供するこ
とにある。
【0010】そして、本発明の更に他の目的は、テトラ
クロロエチレンの効率的な分解を可能とする新規な嫌気
性微生物(群)を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の水または土壌の
浄化方法は、テトラクロロエチレンに汚染された水また
は土壌に第1の微生物を接種・混合して、これら水また
は土壌に含まれるテトラクロロエチレンを嫌気的条件下
でトリクロロエチレンに変換する変換工程を含むことを
特徴とする。前記変換工程に続いて、前記水または土壌
に含まれる前記トリクロロエチレンを好気的条件下で第
2の微生物により分解処理する分解工程を更に含むこと
が好ましい。
【0012】前記嫌気的条件を前記好気的条件へ転換す
るにあたっては、過酸化水素水を水または土壌に添加す
ることが好ましく、また、具体的には、30容量%の過
酸化水素水を、水または土壌及び過酸化水素水の全量に
対する割合が0.5容量%となるように該水または土壌
に添加することがより好ましい。
【0013】前記変換工程において使用される第1の微
生物としては、長桿菌、短桿菌及び球菌からなり、テト
ラクロロエチレンを嫌気的に脱塩素し、トリクロロエチ
レンに変換する微生物群PCE−KS−001(FER
M P−16986)を採用することができ、また、前
記分解工程において使用される第2の微生物としては、
ラルストニア ユートロファ(Ralstonia eutropha;旧
名 アルカリジェネスエウロトロフス(Alcaligenes eu
rtrophus))に属し、トリクロロエチレン分解能を有す
る微生物を採用することができる。
【0014】また、本発明の微生物群は、テトラクロロ
エチレンを嫌気的に脱塩素し、トリクロロエチレンに変
換する微生物群であって、水または土壌の浄化方法にお
いて好適に使用される。そして前記微生物群としては、
長桿菌、短桿菌及び球菌よりなる微生物群PCE−KS
−001(FERM P−16986)が特に好まし
い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の水または土壌の浄化方法は、単独の微生物によ
っては直接分解されにくいテトラクロロエチレンを、第
1の微生物を用いて比較的容易に分解可能なトリクロロ
エチレンに変換することを最大の技術的特徴としてお
り、これにより得られたトリクロロエチレンは公知の分
解スキームに従って、好気的条件下において第2の微生
物によって分解される。これにより、嫌気的条件下での
微生物によるテトラクロロエチレンの直接的な分解にお
いて問題となる塩化ビニルなどの有害副生物の抑制が可
能となり、しかも、分解速度の向上を図ることができ
る。
【0016】また、本発明では、テトラクロロエチレン
をトリクロロエチレンを経由して分解することとしてい
るので、テトラクロロエチレンだけでなく、テトラクロ
ロエチレンとトリクロロエチレンの両者に汚染された水
または土壌を同時に浄化することができる。したがっ
て、複数の汚染物質に汚染された水または土壌を効率よ
く浄化することができる。
【0017】ところで、本発明では、上記変換を効率良
く行うために、テトラクロロエチレンを嫌気的に脱塩素
し、短時間でトリクロロエチレンに変換する能力を有す
る微生物群が第1の微生物として好適に使用される。前
記微生物群としては、特に、長桿菌、短桿菌及び球菌か
らなる微生物群PCE−KS−001(FERM P−
16986)が変換効率の点で望ましい。
【0018】また、トリクロロエチレンの好気的条件下
における分解に使用される微生物としては、公知のトリ
クロロエチレン分解能を有する微生物を適宜使用するこ
とができるが、分解効率の点で、トルエン資化性トリク
ロロエチレン分解菌である、ラルストニア ユートロフ
ァ(Ralstonia eutropha;旧名 アルカリジェネスエウ
ロトロフス(Alcaligenes eurtrophus))に属し、トリ
クロロエチレン分解能を有する微生物が好適であり、特
に、ラルストニア ユートロファKS01が好ましい。
なお、ラルストニア ユートロファKS01は、旧名の
アルカリジェネス エウロトロフKS01として、寄託
番号 FERM P−13761にて工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託されている。
【0019】本発明の浄化方法では、テトラクロロエチ
レンのトリクロロエチレンへの変換は嫌気的条件下にお
いて行われるが、その後の、変換されたトリクロロエチ
レンの分解は好気的条件下において行われるので、浄化
系である水または土壌を嫌気的条件から好気的条件へ転
換する必要がある。前記浄化系の雰囲気の転換方法とし
ては、浄化の対象となる水または土壌を空気中で攪拌す
るなどして酸素ガスに暴露する方法などが挙げられる
が、その場合は、浄化対象となるテトラクロロエチレン
及びトリクロロエチレンが空気中へ揮散し、二次汚染を
引き起こすおそれがある。したがって、浄化系である水
または土壌に過酸化水素水を添加することによって嫌気
的条件を好気的条件に転換することが好ましい。この場
合は、浄化系を外界から隔離した状態としたまま雰囲気
を転換できるので、二次汚染の恐れがない。
【0020】嫌気的条件から好気的条件への転換に過酸
化水素水を使用する場合は、トリクロロエチレンの分解
効率の向上のために、汚染された水または土壌に対する
過酸化水素水の添加量を調整することが好ましく、具体
的には、30容量%の過酸化水素水を、前記水または土
壌及び過酸化水素水の全混合物中の割合が0.5容量%
となるように添加するが好ましい。このように過酸化水
素水の添加量を制御すると、分解効率が著しく向上する
場合がある。
【0021】本発明において、テトラクロロエチレンを
嫌気的条件下においてトリクロロエチレンへ変換する第
1の微生物として好適に使用される、長桿菌、短桿菌及
び球菌よりなる微生物群PCE−KS−001は、以下
のようにして創製することができる。
【0022】すなわち、本発明に係る微生物群PCE−
KS−001は、人工的に調整したテトラクロロエチレ
ンを含有する汚染水に富士見市産黒ボク土を長時間曝露
させ、土壌の一部をバイアル瓶に入れ、これに下記組成
(蒸留水1リットルあたり)の無機培地を添加し、テフ
ロンコートブチルゴムで栓をした後アルミキャップでシ
ールし、気相を脱気、窒素置換し、所定量のテトラクロ
ロエチレンを添加し、30℃で振盪培養し、一定時間経
過後バイアル瓶内の気相をガスクロマトグラフで分析
し、テトラクロロエチレンからトリクロロエチレンに変
換している試験系について、馴養を繰り返すことで単離
したものである。なお、微生物群の培養は、前記無機培
地を使用し、気相を窒素置換することにより行うことが
可能である。
【0023】 K2HPO4 1g, KH2PO4 2g NH4NO3 1g, MgSO4・7H2O 0.1g C65Na37 0.5g, 酵母エキス 2g pH 7.2
【0024】この微生物群PCE−KS−001は、
0.6μm×8μmの長桿菌、0.5μm×2μmの短
桿菌、及び、直径0.7μmの球菌の混合微生物群であ
り、それぞれの存在比率は、長桿菌18%、短桿菌77
%、球菌5%である。PCE−KS−001はテトラク
ロロエチレンを嫌気的条件下において脱塩素し、トリク
ロロエチレンに変換する能力を有しており、上記した長
桿菌、短桿菌及び球菌の存在比率及び変換能力をもって
特定され、寄託番号 FERM−16986として工業
技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
【0025】
【実施例】以下、上記微生物群PCE−KS−001を
用いた、本発明の実施例を下記の実験例によりさらに詳
しく説明する。 実験例1:容積68mlのバイアル瓶に、下記の組成
(蒸留水1リットル当たり)の無機培地を15ml入れ
て培養液とし、テフロンコートブチルゴム栓をし、アル
ミキャップでシールし、瓶中の気相を真空脱気した後、
窒素ガスを充填した。 K2HPO4 1g, KH2PO4 2g NH4NO3 1g, MgSO4・7H2O 0.1g C65Na37 0.5g, 酵母エキス 2g pH 7.2 そして、これに別途無機培地で培養し、遠沈洗浄した本
発明に係る微生物群PCE−KS−001を吸光度(波
長660nm)0.5になるように接種した。さらに、
瓶中の液相中の濃度が1mg/l〜160mg/lとな
るようにテトラクロロエチレンを前記培養液に添加し、
30℃で振盪培養しつつ、定期的に気相をECD検出器
付きガスクロマトグラフィー装置により分析した。
【0026】この結果を図1に示す。同図から明らかな
ように、1mg/l〜160mg/lの初期濃度で液相
中に存在していたテトラクロロエチレンは、ほぼ6日間
以内に脱塩素されており、本発明の微生物群がテトラク
ロロエチレンを効率良く他の物質に変換できることが確
認された。
【0027】この際のガスクロマトグラフの例を図2に
示す。同図において矢印(a)及び(b)は、それぞ
れ、シス−1,2−ジクロロエチレン及びトリクロロエ
チレンのピークを示す。図2から明らかなように、振盪
培養スタート時にバイアル瓶中に存在していたテトラク
ロロエチレン(PCE)は、最終的には、トリクロロエ
チレン(TCE)に変換されている。
【0028】なお、図2にはシス−1,2−ジクロロエ
チレンに対応するピークが現れないことから、バイアル
瓶中のテトラクロロエチレンはトリクロロエチレンにま
で変換されるが、従来の嫌気性条件下での微生物分解に
よる生成が報告されているシス−1,2−ジクロロエチ
レンまでは変換されないことが判明した。したがって、
嫌気条件下の分解で有害な塩化ビニルが産生する可能性
を低下させることができる。
【0029】実験例2:内容量2リットルのリアクター
を用い、本発明の微生物群が安定してテトラクロロエチ
レンをトリクロロエチレンへ変換することの確認実験を
行った。すなわち、まず、実験例1において使用した無
機培地2リットルをリアクターに入れ培養液とし、本発
明の嫌気性微生物群PCE−KS−001を接種し窒素
ガスで通気撹拌培養を行った。そして、リアクター内の
液相中の濃度が10mg/lとなるようにテトラクロロ
エチレンを添加し、該リアクター内のテトラクロロエチ
レン及びトリクロロエチレン濃度を定期的にガスクロマ
トグラフで測定した。なお、前記リアクター内のテトラ
クロロエチレン濃度が環境基準(0.01mg/l)以
下になった時点でリアクター内の培養液の半分量を引き
抜き、新たに上記無機培地を1リットル及びテトラクロ
ロエチレンを10mg/lの濃度まで再添加することを
繰り返し、測定を継続した。
【0030】図3は、この結果を示したものである。同
図に示されるように、リアクター内の10mg/lの濃
度のテトラクロロエチレンは数日で環境基準以下にな
り、また、微生物群は初期接種のみで、テトラクロロエ
チレンのトリクロロエチレンへの変換を安定して行うこ
とが確認された。
【0031】したがって、テトラクロロエチレンによっ
て汚染された水または土壌の浄化システムにおけるトリ
クロロエチレンの変換工程は、本発明に係る微生物群を
培養液と共にリアクター内へ導入して窒素ガスによる通
気撹拌培養を初期段階のみ行い、次いでテトラクロロエ
チレン汚染水または土壌をリアクター内に供給し、該水
または土壌内のテトラクロロエチレンのトリクロロエチ
レンへの変換が完了後、リアクター内の液量の半分量を
引き抜き、新たに培養液と共に汚染水または土壌をリア
クター内に供給して液量を回復する半回分法を採用して
実施することが可能である。
【0032】実験例3:前述の2リットル容量のリアク
ターを用い、テトラクロロエチレン由来のトリクロロエ
チレンの分解条件、並びに、それに必要な好気性条件へ
の転換に好適に使用される過酸化水素水の添加条件につ
いて、好気性トルエン資化性トリクロロエチレン分解菌
(FERM P−13761)を用いて検討した。
【0033】まず、上記微生物群PCE−KS−001
によりテトラクロロエチレンから変換されたトリクロロ
エチレンを含む培養液(トリクロロエチレン濃度2mg
/l)に対して、30容量%の過酸化水素水を該培養液
に対して0.5容量%となるように添加した。次いで、
バイアル瓶内の液量と同量の好気性トルエン資化性トリ
クロロエチレン分解菌(ラルストニア ユートロファK
S01)含有無機培地を、バイアル瓶中において、瓶中
の気相及び液相の体積が1:1となるように混合した。
前記無機培地としては実験例1において使用したものと
同一の組成のものを用いた。そして、トルエンをバイア
ル瓶内の最終液量に対して100mg/lの濃度となる
ように添加して振盪培養を行い、2日後にバイアル瓶中
の気相に含有されるトリクロロエチレンの濃度を測定し
た。また、前記過酸化水素水の添加量及び前記好気性ト
ルエン資化性トリクロロエチレン分解菌含有無機培地の
濃度を変更して同様の測定を行った。
【0034】図4は、この結果を示したものであり、同
図に示すようにトリクロロエチレン分解菌用無機培地濃
度が実験例1において使用した培地と同一の濃度(培地
濃度1/1)であり、かつ、過酸化水素水添加量を前記
培養液に対して0.5容量%となるように添加した場合
に、トリクロロエチレンの分解がきわめて効率良く行わ
れることが確認された。なお、図4において、「培地濃
度1/2」とは、実験例1において使用した培地の1/
2の濃度のものを使用したことを示す。
【0035】
【発明の効果】本発明の浄化方法によれば、テトラクロ
ロエチレンによって汚染された水又は土壌を微生物を用
いて浄化するにあたって、有害物質を副生することがな
く、かつ、短時間に浄化を行うことができる。しかも、
テトラクロロエチレンのみならずトリクロロエチレンに
よっても汚染された水または土壌を同時に浄化すること
ができる。
【0036】また、本発明の嫌気性条件下で作用する第
1の微生物、特に、長桿菌、短桿菌及び球菌よりなる微
生物群PCE−KS−001(FERM P−1698
6)によれば、水または土壌に含まれるテトラクロロエ
チレンを数日以内で好気的微生物分解が可能なトリクロ
ロエチレンに効率良く変換することができる。
【0037】そして、嫌気的条件下においてテトラクロ
ロエチレンから変換されたトリクロロエチレンを好気的
条件下において第2の微生物によって分解するにあた
り、過酸化水素水を用いて嫌気的条件から好気的条件に
転換することとした場合には、汚染物質を外界に放出し
て二次汚染を引き起こす恐れがない安全な浄化を行うこ
とができる。しかも、特定の濃度の過酸化水素水を用い
ることにより、トリクロロエチレンの分解速度を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験例1における各種初期濃度のテトラクロ
ロエチレンの残存率変化を示す図。
【図2】 実験例1におけるテトラクロロエチレンのト
リクロロエチレンへの変換状況を示すガスクロマトグラ
フィー測定図。
【図3】 実験例2におけるテトラクロロエチレンのト
リクロロエチレンへの変換状況を示す図。
【図4】 実験例3における各種の分解条件におけるト
リクロロエチレンの分解状況を示す図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラクロロエチレンに汚染された水ま
    たは土壌に第1の微生物を接種・混合して、これら水ま
    たは土壌に含まれるテトラクロロエチレンを嫌気的条件
    下でトリクロロエチレンに変換する変換工程を含む水又
    は土壌の浄化方法。
  2. 【請求項2】 前記変換工程に続いて、前記水または土
    壌に含まれる前記トリクロロエチレンを好気的条件下で
    第2の微生物により分解処理する分解工程を更に含む請
    求項1記載の水または土壌の浄化方法。
  3. 【請求項3】 過酸化水素水を前記水または土壌に添加
    することにより、前記嫌気的条件を前記好気的条件へ転
    換することを特徴とする請求項2記載の水または土壌の
    浄化方法。
  4. 【請求項4】 30容量%の過酸化水素水を、前記水ま
    たは土壌及び過酸化水素水の全量に対する割合が0.5
    容量%となるように前記水または土壌に添加することを
    特徴とする請求項3記載の水または土壌の浄化方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の微生物として、長桿菌、短桿
    菌及び球菌からなり、テトラクロロエチレンを嫌気的に
    脱塩素し、トリクロロエチレンに変換する微生物群PC
    E−KS−001(FERM P−16986)を使用
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    水または土壌の浄化方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の微生物として、ラルストニア
    ユートロファ(Ralstonia eutropha)に属し、トリク
    ロロエチレン分解能を有する微生物を使用することを特
    徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の水または土壌
    の浄化方法。
  7. 【請求項7】 テトラクロロエチレンを嫌気的に脱塩素
    し、トリクロロエチレンに変換する微生物群。
  8. 【請求項8】 前記微生物群が、長桿菌、短桿菌及び球
    菌よりなる微生物群PCE−KS−001(FERM
    P−16986)である請求項7に記載の微生物群。
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