JP2000098597A - 樹脂薄膜およびその製造方法 - Google Patents

樹脂薄膜およびその製造方法

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JP2000098597A
JP2000098597A JP20593799A JP20593799A JP2000098597A JP 2000098597 A JP2000098597 A JP 2000098597A JP 20593799 A JP20593799 A JP 20593799A JP 20593799 A JP20593799 A JP 20593799A JP 2000098597 A JP2000098597 A JP 2000098597A
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resin
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English (en)
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Yasuhiko Yamanaka
泰彦 山中
Hisahide Wakita
尚英 脇田
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体を薄膜中に封じ込めてパターニングでき
る樹脂薄膜およびその製造方法を提供するものである。 【解決手段】 基材1上に形成された薄膜3において、
フォトレジストで組成された高分子樹脂相体3aに前記
フォトレジストと異なる材料3bを液滴状に分散保持さ
せる。この構成により、樹脂中に液体の材料を封じ込
め、材料の性質、機能を損なうことなく、薄膜を形成す
ることができ、かつ薄膜をパターニングして使用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂薄膜に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】電子ディスプレイには、2枚のガラス基
板の間に液体材料を挟持し、電界を印加して液体の状態
を変化させて表示させるものがある。液晶パネルはその
代表であり、液晶分子の長軸、短軸の方向を電界で変化
させて光学特性を制御することにより、表示が得られ
る。同様に2枚のガラス基板の間に液体材料を挟んだデ
ィスプレイに電気泳動ディスプレイがある。これは、塗
料、インクなど液体中に微粒子が分散した系では、粒子
と液体の間で電荷の授受が行われて電気二重層が形成さ
れ、粒子が正または負に帯電するため、電界を加えると
帯電粒子が液体中を泳動して電極側に集中することを利
用するものである。例えば黒の分散媒中に白の粒子を分
散させた場合、電界印加によって白の粒子をディスプレ
イの観察者の電極側に集中させると、白表示、逆の電極
に集中させると黒表示を行なうことができる。
【0003】しかし上記のような構成のディスプレイで
は、液体を封止するために2枚のガラス基板(厚み1m
m以上)が必要となる。また、表示部分の周囲には液体
を封止するための領域(幅1〜2mm)が必要となる。
このため、表示部分の大きさが数mm程度のディスプレ
イを形成しようとした場合、厚み、面積が相対的に大き
くなるという欠点がある。また、回路基板や筐体などの
基材に直接ディスプレイを作り込むことはできない。
【0004】そこで、ガラス基板の間に液体を封じ込め
るのではなく、液体を薄膜状に形成することができれ
ば、これらの課題を解決することができる。
【0005】液体の材料を封じ込めたものとしてマイク
ロカプセルが知られている。これは、芯物質の周囲を壁
となる物質で包み込んだもので、大きさは数μmから数
百μmが一般的である。マイクロカプセルは様々な分野
に応用されており、医薬品を芯物質としてマイクロカプ
セル化することで溶け出す速度を遅くして持続的な効き
目を発揮させたものや、染料を内包したマイクロカプセ
ルを圧力で破壊させ、染料による着色で圧力を測定する
感圧紙などの例がある。これらマイクロカプセルの形成
方法としては、親水性の芯物質を水と非混和性の溶液中
に懸濁(または水と非混和性の芯物資を水溶液中に懸
濁)させ、芯物質と溶液の界面で壁材料を固化させる方
法が代表的である。
【0006】一方、液晶パネルで液晶を固体中に封じ込
めたものに、高分子分散型液晶の例がある。これは、樹
脂中に液晶を分散、保持したものであり、液体である液
晶の性質を損なうことなく樹脂中に液晶を閉じ込めたも
のである。高分子分散型液晶は、樹脂前駆体と液晶の混
合物を2枚のガラス基板の間隙に注入し、紫外線を照射
して樹脂前駆体を重合させることにより、液晶と樹脂と
を相分離させて形成できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、液体材料を封じ込めることは可能であったが、必
要な部分のみを残し、それ以外を除去する、いわゆるパ
ターニングが困難であるという課題を有していた。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、液体を薄膜中に封じ込めてパターニングできる樹
脂薄膜およびその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1記載の発明は、基材上に形成された
薄膜であって、フォトレジストで組成された高分子樹脂
相体に前記フォトレジストと異なる材料が液滴状に分散
保持されたことを特徴とする。
【0010】この構成により、樹脂中に液体の材料を封
じ込め、前記材料の性質、機能を損なうことなく、薄膜
を形成することができ、かつ薄膜をパターニングして使
用することができる。
【0011】また、請求項2記載の発明は、基材上に形
成された薄膜であって、フォトレジストで組成された高
分子樹脂相体に前記フォトレジストと異なる材料が液滴
状に分散保持されており、前記フォトレジストに含まれ
る感光剤は、硬化前のフォトレジストの現像液に対する
溶解性を露光により変化させることを特徴とする。
【0012】フォトレジストの感光剤は、露光により、
レジストの主成分である樹脂を架橋または分解を促進さ
せる反応促進剤として作用するものと、ノボラック系ポ
ジ形レジストのように、露光により、樹脂の現像液に対
する溶解性を変化させるように作用するものとがある。
前者の場合には、感光剤により液滴状に分散保持した材
料に感光剤が作用して材料の性質、機能を損なう場合が
あるが、後者、すなわち請求項2の構成では、フォトレ
ジストの感光剤が、液滴状の材料の性質を損なうことな
いため、分散保持した材料に感光剤が影響を与えること
なく、前記材料が所定の機能を発揮することができる。
【0013】また、請求項4の発明は、フォトレジスト
が、硬化前または硬化時の加熱により溶融性を発現する
ことを特徴とする。
【0014】樹脂薄膜の表面近傍で、分散保持した材料
が表面に露出した箇所では、高分子樹脂が材料を覆わな
いため、材料が飛散して樹脂薄膜の表面に穴が開くこと
があるが、上記構成により、フォトレジストが加熱によ
り溶融し、熱垂れして穴を塞ぐため、樹脂薄膜の表面の
穴を少なくすることができる。
【0015】また、請求項16の発明は、請求項1また
は2記載の樹脂薄膜を製造方法であって、フォトレジス
トと前記材料とを混合して混合物を形成する工程と、前
記混合物を基板上に塗布する工程と、前記基材上の混合
物にフォトマスクを介して前記フォトレジストが感光性
を有する波長を含む光を照射し、現像液で現像する工程
と、を含むことを特徴とする。
【0016】これにより、樹脂中に液体の材料を封じ込
め、前記材料の性質を損なうことなく、薄膜を形成する
ことができ、かつ薄膜をパターニングして使用すること
ができる。
【0017】また、請求項21の発明は、電極が設けら
れた2枚の基板間に液晶を介装した液晶表示素子の基板
の間隙を保持するスペーサであって、フォトレジストで
組成された樹脂相中に前記フォトレジストと異なる組成
からなる、光を吸収する材料が分散保持されたことを特
徴とする。
【0018】この構成により、フォトレジストの高分子
樹脂相に前記材料が分散保持された、遮光層を兼ねるス
ペーサを容易に形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】第1の発明は、基材上に形成され
た薄膜であって、フォトレジストで組成された高分子樹
脂にフォトレジストと異なる材料が液滴状に分散保持さ
れた樹脂薄膜である。
【0020】第2の発明は、基材上に形成された薄膜で
あって、フォトレジストで組成された高分子樹脂にフォ
トレジストと異なる材料が液滴状に分散保持されてお
り、さらに、フォトレジストに含まれる感光剤は、硬化
前のフォトレジストの現像液に対する溶解性を露光によ
り高めることを特徴とする樹脂薄膜である。
【0021】なお、第1の発明に係る樹脂薄膜、あるい
は第2の発明に係る樹脂薄膜において、さらに以下の手
段を講ずることができる。
【0022】(1)フォトレジストの固形分と材料との
重量比率を、9対1から2対8の範囲とする。
【0023】(2)フォトレジストを、硬化前または硬
化時の加熱により溶融性を発現するものとする。
【0024】(3)フォトレジストを、透光性のものと
する。
【0025】(4)環境条件の差異により光の吸収、屈
折に変化を呈するようにする。なお、環境条件には、電
界、磁界、電磁波、温度、または雰囲気中の特定の分子
成分の含有量、等が含まれる。
【0026】(5)液滴状に分散した材料が、液晶を含
むこととする。
【0027】(6)薄膜上に電極を製膜する。
【0028】そして、以上で述べた樹脂薄膜を、ディス
プレイ、センサー、電気回路基板、半導体素子、カラー
フィルタ等といった、樹脂薄膜具有体に適用する。
【0029】第1の発明に係る樹脂薄膜、第2の発明に
係る樹脂薄膜の製造工程は、フォトレジストと材料とを
混合して混合物を形成する工程と、混合物を基材上に塗
布する工程と、基板上の混合物にフォトマスクを介して
フォトレジストが感光性を有する波長を含む光を照射
し、現像液で現像する工程とを有する。
【0030】なお、本発明に係る樹脂薄膜を製造するに
際し、以下の手段を講ずることができる。
【0031】(1)混合物を、フォトレジストと材料を
混合し相溶したものとする。
【0032】(2)混合物中のフォトレジストの固形分
と材料との重量比率を、9対1から2対8の範囲とす
る。
【0033】液体を封じ込めた本発明に係る樹脂薄膜
は、パターニングして必要な部分のみを容易に形成する
ことができる。したがって、本発明に係る樹脂薄膜を適
用したディスプレイ、センサー、電気回路基板、半導体
素子、カラーフィルタ等といった樹脂薄膜具有体は、そ
の製造工程が非常に簡便であり、さらに、筐体や回路素
子などの基材に直接、樹脂薄膜を作り込むことが可能で
ある。
【0034】次に、第3の発明は、基材上に形成された
薄膜であって、フォトレジストで組成された高分子樹脂
にフォトレジストと異なる固体材料が分散保持された薄
膜であって、固体材料は、高分子樹脂に分散保持された
液体状の材料を固体化したものであることを特徴とする
樹脂薄膜である。
【0035】この樹脂薄膜を製造する工程は、フォトレ
ジストと固体材料の前駆体とを混合して混合物を形成す
る工程と、混合物を基材上に塗布する工程と、基材上の
混合物にフォトマスクを介してフォトレジストが感光性
を有する波長を含む光を照射し、現像液で現像する工程
と、前駆体を硬化させる工程とを含む。
【0036】次に第4の発明は、電極が設けられた2枚
の基板間に液晶を介装した液晶表示素子の基板の間隙を
保持するスペーサであって、フォトレジストで組成され
た樹脂中にフォトレジストと異なる組成からなる、光を
吸収する材料が分散保持されたスペーサである。このス
ペーサを液晶表示素子に具備させる。
【0037】(実施の形態1)本発明の実施の形態につ
いて、図面に基づいて説明する。図1は、従来技術に示
した電気泳動の原理に基づくディスプレイを本発明の樹
脂薄膜により形成した実施の形態1の断面図である。図
2は、図1のディスプレイの全体図を示すものであり、
図2中のA−A断面図が図1に相当する。図1、図2に
示すディスプレイは、樹脂製の筐体である基材1上に、
短冊状の下電極2、表示層3、下電極2と直交する方向
に短冊状に形成された上電極4が順に積層されて形成さ
れており、下電極2と上電極4によりマトリクス表示を
する。表示層3は、アクリル系樹脂をベースポリマーと
する透光性のノボラック系のポジ形フォトレジストで組
成され硬化された高分子樹脂相3a中に、表示液3bが
分散保持されている。
【0038】実施の形態1のディスプレイの動作原理
は、従来の電気泳動ディスプレイと同様、次に示す通り
である。表示液3bは、酸化チタンの粒子からなる白色
の電気泳動粒子5と、低粘度のジメチルシリコーンオイ
ル中に青色のアゾ染料を溶解した着色分散媒6とから構
成されており、図3、図4のように、下電極2、上電極
4の間に電圧を印加すると、電気泳動粒子5が正の電圧
が印加された電極側に移動する。このとき、図4のよう
に上電極4が正電圧の場合は、電気泳動粒子で外光を反
射して白表示となり、図5のように下電極2が正電圧の
場合は、着色分散媒に光が吸収されて着色表示すなわち
青色の表示となる。
【0039】実施の形態1のディスプレイの製造方法を
次に説明する。図5〜図8は、本発明の製造工程を示す
説明図である。
【0040】まず、筐体である基材1上に図5のように
下電極2を形成する。下電極2はアルミニウムを蒸着し
たのち、フォトリソグラフィーの工程により電極形状に
パターニングする。
【0041】次に、着色分散媒および電気泳動粒子から
なる表示液と、ジエチレングリコールメチルエチルエー
テルを溶媒とするフォトレジストを、表示液とフォトレ
ジストの固形分との重量比率が4対6となるように混合
し、フォトレジストの溶媒中に、フォトレジストの固形
分と表示液がともに溶解して相溶した混合物を形成す
る。この混合物を基材1上に印刷法で塗布し、摂氏80
度で2分間、プリベークする。プリベークすると、混合
物中でともにフォトレジストの溶媒に溶解していた表示
液とフォトレジストの固形分が相分離し、図6に示すよ
うにフォトレジストで組成された高分子樹脂相体3a’
中に表示液3bが液滴状に分散保持された樹脂薄膜3’
を形成する。
【0042】次に、図7のように樹脂薄膜のうち表示部
分のみの光を遮光するマスク7を介して樹脂薄膜3’に
前記フォトレジストが感光性を有する波長を含む光を照
射する。次にフォトレジストの現像液に浸漬して現像す
ることにより、樹脂薄膜3’のうち光を照射した部分の
みが溶解し、図8に示すように表示部分のみに樹脂薄膜
3をパターニングすることができる。次にフォトレジス
トを摂氏150度、1時間加熱するポストベークを実施
した。ここで、フォトレジストは、硬化前または硬化時
の加熱により溶融性を発現する材料を用いた。樹脂薄膜
表面で表示液の液滴が露出した箇所では、表示液が飛散
して樹脂薄膜の表面に穴が開く場合が見られたが、溶融
性を発現するレジストを用いることにより、硬化時の加
熱でフォトレジストが熱垂れし、穴を塞ぐことができ
た。
【0043】次に樹脂薄膜3上にインジウム錫酸化物
(ITO)の透明導電膜からなる上電極4を形成し、フ
ォトリソグラフィーの工程により電極形状にパターニン
グし、図1に示すディスプレイを形成した。
【0044】以上のように本発明によれば、液体を封じ
込めた樹脂薄膜を容易に形成することができ、さらに、
薄膜をパターニングして必要な部分のみを残す微細加工
を容易に実施することができる。液滴状に分散する材料
としては、フォトレジストの溶媒に溶解する材料を選択
することにより、フォトレジストと分散させる材料とが
相溶した混合物を形成し、この混合物を基材に塗布した
のち前記材料を相分離させて、樹脂薄膜を形成すること
により、レジストの樹脂相中に均一に前記材料を分散さ
せることができる。また、レジストと前記材料を単に混
合し、塗布、ベークする工程により、液滴状の材料がフ
ォトレジストの高分子樹脂相に分散保持された構造を形
成できるため、製造工程が非常に簡便であり、さらに、
筐体や回路基板などの基材に直接、ディスプレイを作り
込むことが可能である。
【0045】また、レジストとして電極のスパッタに対
する耐性を有する材料を使用することにより、スパッタ
により樹脂薄膜上に直接電極を形成することが可能であ
り、ガラス基板を必要としない。
【0046】実施の形態1では、フォトレジストと表示
液との混合物を形成する際、フォトレジストの固形分と
の重量比率が4対6となるように混合した。ここで、フ
ォトレジストの固形分が大きい場合、樹脂薄膜中の表示
液が少なくなるためにコントラストなどの表示性能が低
下する一方、表示液の比率が大きい場合、混合物中のフ
ォトレジストと表示液が相分離する際に表示液が樹脂薄
膜の厚みよりも大きな液滴に凝集して、樹脂薄膜中に分
散保持する形態を形成できなくなるため、混合物中のフ
ォトレジストの固形分と表示液の比率は、適切な範囲が
存在する。表示液の性能を得るためには、表示液の重量
比率が1割以上であることが望ましく、また、樹脂薄膜
としての形態を形成するためには、表示液の重量比率が
およそ8割以下である必要がある。このように、混合物
中のフォトレジストの固形分と前記材料との重量比率は
9対1から2対8の範囲とする。実験結果によれば、よ
り好ましくは、5対5から3対7の範囲である。この比
率は、実施の形態1についてのものであるが、他の材料
を液滴状に分散した樹脂薄膜を形成する場合について
も、材料の機能と樹脂薄膜の形態形成の点から、概ねこ
の範囲であることが望ましい。
【0047】また、実施の形態1では、フォトレジスト
としてノボラック系のポジレジストを使用した。ここ
で、表示液が所定の性能を得るためには、表示液がフォ
トレジストによって影響を受けないようなフォトレジス
トを用いることが必要である。フォトレジストに含まれ
る感光剤には、アクリル系のネガ形レジストのように、
樹脂の重合を促進する反応促進剤として作用するもの
と、ノボラック系ポジ形レジストのように、露光によ
り、樹脂分子の現像液に対する溶解性を変化させるよう
に作用するものとがある。ここで、前者のネガ形レジス
トを使用した場合には、感光剤が表示液に作用して表示
液の性質、機能を損なう場合があった。しかし後者で
は、フォトレジストの感光剤が、分散保持した材料に感
光剤が影響を与えることなく、液滴状の材料の性質を損
なわない。従って、フォトレジストに含まれる感光剤
は、後者のように、露光により、樹脂分子の現像液に対
する溶解性を変化させるものが望ましい。なお、このよ
うな性質を有するレジストであれば、上記の例のように
ポジ形レジストに限定されるものではなく、ネガ形レジ
ストであってもよい。
【0048】(実施の形態2)実施の形態1では表示部
分全体を残したが、複数の色に対応する樹脂薄膜を画素
形状にパターニングする工程を繰り返すことにより、異
なる色の着色分散媒を含有する樹脂薄膜を基材上に並べ
てカラー表示を行うこともできる。図9に、本発明の実
施の形態2の樹脂薄膜を用いたカラー表示が可能なディ
スプレイの製造工程を示す。まず実施の形態1の図5〜
図7と同様の工程により、図9(a)のように、白の電
気泳動粒子と青の着色分散媒とを含む表示液8bが樹脂
相8aに分散保持された樹脂薄膜8を画素形状にパター
ニングして形成する。次に、図9(b)、図9(c)の
ように、樹脂薄膜9、10を画素形状にパターニングし
て形成する。樹脂薄膜9、10は、着色分散媒の色がそ
れぞれ緑、赤であり、それ以外は樹脂薄膜8と同等であ
る。最後に図9(d)のように、樹脂薄膜上に上電極1
0を形成してディスプレイを完成する。樹脂薄膜8、
9、10は、一辺約100μmの大きさにパターニング
し、それぞれの樹脂薄膜の間隔を10μmとする。本発
明の樹脂薄膜のパターニングの精度は、レジストの性能
に依存する。本発明のようにポジ形フォトレジストを使
用することにより、ネガ形フォトレジストに比べて高い
精度のパターニングが可能となり、ノボラック系のポジ
形フォトレジストを使用した場合には、数μm程度の精
度のパターニングも可能となる。
【0049】また、実施の形態1、2では、電気泳動デ
ィスプレイを樹脂薄膜に形成する例を示したが、本発明
の表示液の代わりに液晶を用いることにより、同様に、
樹脂薄膜の液晶ディスプレイを形成することが可能であ
る。この場合、下電極として反射率の高いアルミニウム
などの金属を使用し、液晶として二色性色素を含むゲス
トホスト液晶を用いることにより、電極間に電圧を印加
した場合、液晶が電極に垂直に並んで色素の吸収が小さ
くなり白表示、電圧を印加しない場合、色素の吸収で着
色表示となり、表示を得ることができる。
【0050】また、実施の形態1、2では、機器の筐体
上にディスプレイを形成した例を示したが、例えば半導
体集積回路素子のパッケージ表面に本発明のディスプレ
イを形成し、表示させることも可能である。
【0051】また、本発明の樹脂薄膜を使用することに
より、ガラス基板を用いずに液体を基材上に固定するこ
とができるため、機器や装置を軽量化、小型化を実現す
ることができる。このように、本発明により得られる効
果は、樹脂薄膜とその基材だけでなく、樹脂薄膜を具備
する製造物にも及ぶものであり、本発明の範囲は樹脂薄
膜そのものに限定されるものではなく、前記製造物も含
む。
【0052】また、実施の形態1、2では、ディスプレ
イの例を示したが、ディスプレイ以外にも本発明の樹脂
薄膜を応用することも可能である。例えば、温度によっ
て呈色を示すコレステリック液晶を樹脂相中に分散させ
た樹脂薄膜を半導体集積回路素子の表面に形成すると、
樹脂薄膜を素子の温度モニターに利用することができ
る。また、同様にして電気回路基板上に形成して、温度
モニターに利用することもできる。このように、フォト
レジストに分散保持させる材料として、電界、磁界、放
射線などの電磁波、温度、または雰囲気中の特定分子、
例えば水分子の含有量(湿度)によって、光の吸収、屈
折に変化をもたらすものを使用することにより、本発明
の樹脂薄膜を、環境条件の変化を検知するセンサーとし
て使用することができる。
【0053】また、フォトレジストに染料を含む溶液を
分散、保持させることにより、液晶パネルなどに用いる
カラーフィルタとして使用することができる。
【0054】また、局所的な接着に本発明の樹脂薄膜を
応用することもできる。材料Aと材料Bからなる二液反
応性接着剤のうち材料Aを本発明の樹脂薄膜の樹脂相中
に分散させて基材Aにパターニングし、基材Bに材料B
を塗布して基材A、Bを位置合わせし、圧力を加えて樹
脂薄膜から材料Aを放出させると、材料Aが材料Bと反
応し、数μmの微細箇所で基材Aと基材Bの接着が可能
となる。
【0055】また、従来技術に示すマイクロカプセルの
例のように、感圧紙などに応用することも可能である。
【0056】このように、本発明は実施の形態1,2の
ようなディスプレイに限るものではなく、他の分野にも
応用することができる。
【0057】(実施の形態3)実施の形態1、2では、
フォトレジストに液滴状に材料を分散保持させたもので
あるが、この材料は、液滴状に分散保持させたのちに固
体化した構成でもよい。実施の形態3は、材料を固体化
させた例を示すものである。具体的には、液晶パネルの
画素周辺の光抜けを抑えるための黒色レジスト(ブラッ
クマトリクス)として本発明の樹脂薄膜を用い、スペー
サを兼用させた構成である。黒色レジストは、遮光のた
めに黒いカーボン粒子を含んでおり、光を吸収する。膜
厚を厚くするとパターニング時に層の下方まで露光され
ないため、黒色レジストの膜厚は1μm程度が一般的
で、3〜4μmの膜を形成することはできなかった。液
晶パネルの対向する基板間のギャップを維持するための
スペーサとしては、3〜4μmの厚みが必要であり、従
来は、黒色レジストがスペーサを兼用することは困難で
あった。本発明の樹脂薄膜を用いると、黒色レジストと
スペーサの形成を同一工程で実施でき、工程が簡略化で
きる。
【0058】実施の形態3の樹脂薄膜の例を図10に示
す。図10は、実施の形態3の樹脂薄膜のスペーサを形
成した液晶パネルの一画素の断面を模式的に示したもの
である。駆動素子(図示せず)と画素電極15を形成し
た基板11と、カラーフィルタ13および共通電極14
が形成された対向基板12の間には、液晶17が介装さ
れており、4μmのギャップを形成している。このギャ
ップは、黒色レジストを兼ねるスペーサ16により維持
されている。スペーサ16は、フォトレジストから組成
される高分子樹脂相16bに黒色のエポキシ樹脂16a
とからなる。
【0059】スペーサ16の製造方法について説明す
る。実施の形態1と同様に、フォトレジストと、分散媒
であるエポキシ樹脂の前駆体とを相溶させた透明な混合
物を形成する。エポキシ樹脂は、200度程度の加熱に
より固体化する性質を有するものであり、また、同様の
加熱により黒色に着色する成分を含有させておく。この
混合物を基板11上に4μmの厚みに塗布し、露光、現
像を実施して、画素境界で遮光が必要な部分にのみスペ
ーサ16を形成する。このとき、スペーサ16は、フォ
トレジスト16b中に、液滴状のエポキシ樹脂の前駆体
16aが分散保持されている。またエポキシ樹脂の前駆
体は、透明であるため、4μmの高さのパターニングが
可能である。
【0060】次に、フォトレジストのポストベーク(オ
ーブン中摂氏200度1時間)を実施した。これによ
り、フォトレジストが硬化するのと同時に、エポキシ樹
脂が固体化し、さらに黒色に変色する。このようにし
て、黒色のスペーサ16を4μmの厚みで形成すること
ができた。対向基板14を貼り合わせて、間に液晶を充
填することにより、図10の液晶表示素子を完成した。
以上のように、本発明により、黒色レジストとスペーサ
を兼ねた樹脂薄膜を形成することができ、スペーサ形成
工程の簡略化を実現できた。
【0061】なお、レジストに分散保持させる黒色材料
は液滴状でもよいが、スペーサとして使用するために
は、基板の貼り合わせ圧力により押しつぶされない強度
が必要であり、固体であるほうが好適である。このた
め、実施の形態3では、エポキシ樹脂を分散させ固体化
させた。
【0062】このように、本発明の樹脂薄膜に分散保持
させる材料は、実施の形態3のように必ずしも液体であ
る必要はなく、固体であってもよい。この場合、フォト
レジストに液滴状に材料を分散させたのち、材料を固体
化させる。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、液体を封
じ込めた樹脂薄膜をパターニングして必要な部分のみを
容易に形成することができる。また、製造工程が非常に
簡便であり、さらに、筐体や回路素子などの基材に直
接、樹脂薄膜を作り込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の断面図
【図2】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の概略図
【図3】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の動作原理を示す説明図
【図4】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の動作原理を示す説明図
【図5】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の製造工程を示す説明図
【図6】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の製造工程を示す説明図
【図7】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の製造工程を示す説明図
【図8】実施の形態1の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の製造工程を示す説明図
【図9】実施の形態2の樹脂薄膜を用いたディスプレイ
の製造工程を示す説明図
【図10】実施の形態3の樹脂薄膜を用いた液晶表示素
子の概略図
【符号の説明】
1 基材 2 下電極 3 樹脂薄膜 3a 高分子樹脂相 3b 表示液 4 上電極 5 電気泳動粒子 6 着色分散媒 7 マスク

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に形成された薄膜であって、フォト
    レジストで組成された高分子樹脂相に前記フォトレジス
    トと異なる材料が液滴状に分散保持された樹脂薄膜。
  2. 【請求項2】基材上に形成された薄膜であって、フォト
    レジストで組成された高分子樹脂相に前記フォトレジス
    トと異なる材料が液滴状に分散保持されており、前記フ
    ォトレジストに含まれる感光剤は、硬化前のフォトレジ
    ストの現像液に対する溶解性を露光により高めることを
    特徴とする樹脂薄膜。
  3. 【請求項3】前記フォトレジストの固形分と前記材料と
    の重量比率が9対1から2対8の範囲であることを特徴
    とする請求項1または2記載の樹脂薄膜。
  4. 【請求項4】フォトレジストが、硬化前または硬化時の
    加熱により溶融性を発現することを特徴とする請求項1
    または2記載の樹脂薄膜。
  5. 【請求項5】フォトレジストが透光性であることを特徴
    とする請求項1または2記載の樹脂薄膜。
  6. 【請求項6】環境条件の差異により光の吸収、屈折に変
    化を呈することを特徴とする請求項1または2記載の樹
    脂薄膜。
  7. 【請求項7】環境条件が、電界、磁界、電磁波、温度、
    または雰囲気中の特定の分子成分の含有量、のうちいず
    れかであることを特徴とする請求項6記載の樹脂薄膜。
  8. 【請求項8】液滴状に分散した材料が、液晶を含むこと
    を特徴とする請求項1または2記載の樹脂薄膜。
  9. 【請求項9】薄膜上に電極が製膜されていることを特徴
    とする請求項1または2記載の樹脂薄膜。
  10. 【請求項10】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    するディスプレイ。
  11. 【請求項11】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    するセンサー。
  12. 【請求項12】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    する電気回路基板。
  13. 【請求項13】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    する半導体素子。
  14. 【請求項14】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    するカラーフィルタ。
  15. 【請求項15】請求項1または2記載の樹脂薄膜を具備
    する製造物。
  16. 【請求項16】請求項1または2記載の樹脂薄膜を製造
    する方法であって、 フォトレジストと前記材料とを混合して混合物を形成す
    る工程と、 前記混合物を基材上に塗布する工程と、 前記基板上の混合物にフォトマスクを介して前記フォト
    レジストが感光性を有する波長を含む光を照射し、現像
    液で現像する工程と、 を含むことを特徴とする樹脂薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項16記載の製造方法において、 前記混合物が、前記フォトレジストと前記材料を混合し
    相溶したものであることを特徴とする樹脂薄膜の製造方
    法。
  18. 【請求項18】請求項16記載の製造方法において、 前記混合物中のフォトレジストの固形分と前記材料との
    重量比率が9対1から2対8の範囲であることを特徴と
    する樹脂薄膜の製造方法。
  19. 【請求項19】基材上に形成された薄膜であって、フォ
    トレジストで組成された高分子樹脂相に前記フォトレジ
    ストと異なる固体材料が分散保持された薄膜であって、
    前記固体材料は、前記高分子樹脂相に分散保持された液
    体状の材料を固体化したものであることを特徴とする樹
    脂薄膜。
  20. 【請求項20】請求項19記載の樹脂薄膜の製造方法で
    あって、 フォトレジストと前記固体材料の前駆体とを混合して混
    合物を形成する工程と、 前記混合物を基材上に塗布する工程と、 前記基材上の混合物にフォトマスクを介して前記フォト
    レジストが感光性を有する波長を含む光を照射し、現像
    液で現像する工程と、 前記前駆体を硬化させる工程と、 を含むことを特徴とする樹脂薄膜の製造方法。
  21. 【請求項21】電極が設けられた2枚の基板間に液晶を
    介装した液晶表示素子の基板の間隙を保持するスペーサ
    であって、フォトレジストで組成された樹脂相中に前記
    フォトレジストと異なる組成からなる、光を吸収する材
    料が分散保持されたスペーサ。
  22. 【請求項22】請求項21のスペーサを具備することを
    特徴とする液晶表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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