JP2000094683A - インクジェットプリンタ用ヘッド装置 - Google Patents

インクジェットプリンタ用ヘッド装置

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JP2000094683A
JP2000094683A JP26699098A JP26699098A JP2000094683A JP 2000094683 A JP2000094683 A JP 2000094683A JP 26699098 A JP26699098 A JP 26699098A JP 26699098 A JP26699098 A JP 26699098A JP 2000094683 A JP2000094683 A JP 2000094683A
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piezoelectric
head device
piezoelectric plate
piezoelectric element
ink
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Hiroto Kawaguchi
裕人 川口
Yoshito Ikeda
義人 池田
Yasuharu Koike
康晴 小池
Tomio Ito
富夫 伊藤
Kazuo Goto
一夫 後藤
Shinji Takahashi
伸司 高橋
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Sony Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各圧電板が充分な機械的強度を有するととも
に振動板を効率的に駆動して周波数応答特性の向上を図
る。 【解決手段】 圧電セラミックと電極材とを交互に積層
してなる短冊状の圧電板11を、一端側を固定端とする
とともに他端側を自由端として所定のピッチを以って配
列し、自由端をノズル孔2に連設されたインク圧力室5
を密閉する振動板8に対向位置させる。各振動板11
は、固定端側の幅寸法Wcと自由端側の幅寸法Wdとが
Wc>Wdとされて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタ用のヘッド装置に関し、さらに詳しくは圧電セラ
ミックと電極材とを交互に積層してなる圧電板の圧電歪
みにより振動板を介してインク圧力室に容積変動を生じ
させてインク滴を飛翔させるようにしたインクジェット
プリンタ用ヘッド装置(本明細書においては、単にヘッ
ド装置と称する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド型インクジェットプリンタ
は、記録画像等の解像度や画質の飛躍的な向上を可能と
するプリンタとして実用化されている。オンデマンド型
インクジェットプリンタは、そのヘッド装置により所定
のインク滴が所定の場所、時間の制御が行われて紙やフ
ィルム等の適宜の記録媒体に飛翔されて着弾することに
よって画像等の記録が行われる。ヘッド装置には、イン
ク滴を飛翔させる方法として、バブルジェット方式や圧
電方式が採用されている。
【0003】バブルジェット方式は、インク滴を飛翔さ
せるノズル孔の近傍に位置してインクを瞬間的に気化さ
せるヒータが設けられ、このヒータによってインクが気
化する際の膨張圧力によりインク滴を飛翔させる方式で
ある。また、圧電方式は、ノズル孔の近傍に設けられた
インキ溜まり部に圧電素子を設置し、この圧電素子に発
生する歪み変形によりインク溜まり部に発生する容積変
化に伴う圧力によりインク滴を飛翔させる方式である。
【0004】ヘッド装置には、種々の特性が要求される
が、最も基本的な特性としてインク滴の大きさを精度良
くコントロール可能であること、インク滴をできるだけ
短い時間の間隔で連続的に飛翔させるための周波数応答
特性が挙げられる。また、ヘッド装置は、最近の傾向と
して、印字速度を上げるためにインク滴を飛翔させるた
めの一色あたりのノズル数を増やす対応が図られるとと
もに、特に色再現性を改善する目的で色数も増える傾向
になっている。さらに、ヘッド装置は、インク滴の大き
さについて、そのサイズを小さくして単位面積当たりの
インク滴数を増やすことによって記録画像等の解像度を
上げる対応が図られている。
【0005】ところで、圧電型ヘッド装置においても、
上述した基本特性の向上を図るために種々の対策が講じ
られている。圧電型ヘッド装置には、例えば圧電素子と
して、印加された電界と同方向に発生する歪み変形を利
用してインク滴を飛翔させるようにした圧電素子や、印
加された電界と直交する方向に発生する歪み変形を利用
してインク滴を飛翔させるようにした圧電素子等が用い
られている。例えば特開平4−1052号公報には、印
加された電界と直交する方向に発生する歪み変形を利用
してインク滴を飛翔させる圧電素子を備えた圧電型ヘッ
ド装置が開示されている。
【0006】すなわち、この先願圧電型ヘッド装置10
0は、図20及び図21に示すように、インク滴を飛翔
させる多数個のノズル孔101が形成されたノズルプレ
ート102と、各ノズル孔101に対応して多数個のイ
ンク圧力室103が形成されたインク溜めプレート10
4と、振動板105とが積層構成されてなるヘッド構体
106と、このヘッド構体106に組み合わされた基台
107と、多数個の圧電板108等を備えて構成され
る。
【0007】各圧電板108は、詳細を省略するが圧電
セラミックと電極材とを交互に積層してなる圧電素子構
体を基台107に接合した状態でダイヤモンドカッタ等
によって所定幅に分割することにより形成される。各圧
電板108は、図21に示すように、それぞれその一方
側面の基端部を基台107に接着固定してなる。各圧電
板108は、基台107に接着される領域が、この基台
107との間にせん断歪みの発生を防止するように圧電
歪みを発生しないような内部電極構造となっている。各
圧電板108は、基台107に固定された状態におい
て、自由端が振動板105にそれぞれ接合される。
【0008】以上のように構成された圧電型ヘッド装置
100には、プリンタ本体より記録画像等に基づく制御
信号が所定の圧電板108に印加される。圧電型ヘッド
装置100は、制御信号に基づいて圧電板108が選択
的に駆動されて歪み変形動作が生じる。圧電型ヘッド装
置100は、この選択された圧電板108の歪み変形動
作によって振動板105が駆動されて、対応するインク
圧力室103に圧力を加える。圧電型ヘッド装置100
は、この圧力によってインク圧力室103からインクが
押し出されて、ノズル孔101から飛翔させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】圧電型ヘッド装置10
0においては、上述したように各インク圧力室103に
対応位置してそれぞれ多数個の圧電板108が設けられ
ており、これら圧電板108に制御信号を印加してその
印加方向と直交する方向の歪み変形を生じさせて振動板
105を駆動するようにしている。したがって、圧電型
ヘッド装置100は、機械的強度を保持するために各圧
電板108がある程度の幅寸法を以って構成されてい
る。圧電型ヘッド装置100においては、このように各
圧電板108がその幅寸法を大きく形成されることによ
って横振動の固有振動数が下がり、駆動振動数内での横
振動が発生して振動板105の駆動効率が低下するとい
った問題が生じる。
【0010】また、圧電型ヘッド装置100において
は、動作インク滴が安定した状態でノズル孔101から
飛翔されるために、振動板105が各圧電板108によ
って均一な状態で駆動される必要がある。圧電型ヘッド
装置100は、各圧電板108がその自由端部108a
を平坦に形成されて振動板105と接触されている。し
たがって、圧電型ヘッド装置100は、圧電板108と
振動板105とが接触面において互いに均一な状態で接
触するためにそれぞれ高精度に形成されなければならな
い。
【0011】さらに、圧電型ヘッド装置100は、上述
したように各圧電板108が基台107との接着領域1
08bにおいて圧電歪みを発生することができないため
に、その長さに対する発生変位の効率が悪いといった問
題がある。さらにまた、圧電型ヘッド装置100は、基
台107に接合した状態においてダイヤモンドカッタ等
によって圧電板108を横方向に1個ずつ分割形成する
ために、その加工時間が長くなって生産効率が悪くなる
とともに、各圧電板108がそれぞれ矩形の短冊状にし
か形成することができないといった制約がある。
【0012】ところで、圧電型ヘッド装置100におい
ては、各圧電板108の振動板105に対する接触面積
が分断後の幅×圧電素子厚みで決定されている。圧電型
ヘッド装置100は、振動板105の効率的な駆動或い
はインク滴の吐出量の調整等を目的として各圧電板10
8の振動板105に対する接触面積を減らす場合に、各
圧電板108の幅寸法を小さくして分断する必要があ
る。圧電型ヘッド装置100は、このように各圧電板1
08を小幅に分断して構成した場合に機械的強度が劣化
することから、分断幅に制約があるといった問題があ
る。
【0013】したがって、本発明は、各圧電板が充分な
機械的強度を有するとともに振動板を効率的に駆動して
周波数応答特性の向上を図ったインクジェットプリンタ
用ヘッド装置を提供することを目的に提案されたもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明にかかるインクジェットプリンタ用ヘッド装置は、圧
電セラミックと電極材とを交互に積層してなる圧電板
を、それぞれその一端側を固定端とするとともに他端側
を自由端として所定のピッチを以って配列し、自由端を
ノズル孔に連設されたインク圧力室を密閉する振動板に
それぞれ対向位置させてなる。インクジェットプリンタ
用ヘッド装置は、各圧電板が固定端側に対して自由端側
の幅寸法が小さく構成されてなる。
【0015】また、インクジェットプリンタ用ヘッド装
置は、圧電板が、圧電セラミックと電極材とを交互に積
層してなる圧電素子構体に分割溝形成加工を施こすこと
によりそれぞれ所定のピッチを以って固定部側が連結部
を介して一体化された多数個の短冊状圧電板部によって
構成されてなる。圧電素子構体は、連結部と、これに一
体化された多数個の圧電板部とにより全体略櫛歯状を呈
しており、連結部の下端面を基台に固定される。
【0016】以上のように構成された本発明にかかるイ
ンクジェットプリンタ用ヘッド装置によれば、各圧電板
がその自由端部側を幅狭とされることで横振動の固有振
動数が上がって駆動振動数内での横振動が抑制されるこ
とから、インク圧力室に容積変動を生じさせる振動板を
効率的に駆動する。したがって、インクジェットプリン
タ用ヘッド装置は、周波数応答性の向上が図られ、イン
ク滴を極めて短時間間隔でかつ連続的に飛翔させて画像
等を高精度に記録する。また、インクジェットプリンタ
用ヘッド装置は、各圧電板がその自由端部側を幅狭とさ
れることにより所定のピッチと大きさで形成された各イ
ンク圧力室に対して容易かつ正確に位置合わせが行われ
るとともに、固定端部側を幅広とされることで機械的強
度が保持される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。本発明を適用した実
施の形態として図面に示したヘッド装置1は、詳細を後
述するが上述した従来の圧電型ヘッド装置100と同様
に、印加された電界と直交する方向に歪み動作が発生す
る多数個の圧電板部11によって振動板8を駆動してイ
ンク滴をノズル孔2から飛翔させて紙やフィルム等の適
宜の記録媒体に着弾させ画像等の記録を行う圧電型ヘッ
ド装置である。
【0018】ヘッド装置1は、図1及び図2に示すよう
に、インク滴を飛翔させる多数個のノズル孔2が形成さ
れたノズルプレート3と、このノズルプレート3を一方
主面に接合するとともに各ノズル孔2に連通するインク
孔4、インク圧力室5及びインク溜め室6等が形成され
たインク溜めプレート7と、このインク溜めプレート7
の他方主面に接合された振動板8等とによって構成され
たヘッド構体9を備える。また、圧電型ヘッド装置1
は、基台10と、この基台10に支持されるとともに後
述するように多数個の圧電板部11を分割形成した圧電
素子構体12とによって、上述したヘッド構体9の振動
板8を駆動する圧電駆動部が構成されている。また、圧
電型ヘッド装置1には、ノズルプレート3に数個乃至数
百個のノズル孔2が設けられるとともに、これらノズル
孔2に対応してインク溜めプレート7に数個乃至数百個
のインク圧力室5が形成され、また圧電素子構体12に
数個乃至数百個の圧電板部11が分割形成されてなる。
【0019】圧電型ヘッド装置1は、インク溜め室6に
供給されたインキが、このインク溜め室6から流路6a
を介してインク圧力室5内に供給されて溜められる。圧
電型ヘッド装置1は、プリンタ本体より記録画像等に基
づく制御信号が所定の圧電板部11に印加されると、詳
細を後述するようにこの圧電板部11に歪み変形動作が
生じて対応するインク圧力室5に圧力を加える。圧電型
ヘッド装置1は、この圧力によってインク圧力室5内に
容積変動が生じてインク圧力室5から流路5aを介して
インクが押し出され、ノズル孔2からインク滴を飛翔さ
せる。
【0020】ノズルプレート3は、多数個の精密なノズ
ル孔2の加工を可能とするとともにインク液に対する化
学的な耐久性を有する適宜の金属或いはプラスチック材
料によって形成されている。ノズルプレート3には、例
えばレーザ加工、エッチング加工或いはプレス等の機械
加工を施して、インク滴を飛翔させる多数個のノズル孔
2が形成される。ノズル孔2は、インク滴の飛翔状態に
大きな影響が生じることから精密に加工形成され、一般
に数μm乃至数十μmの内径を有する丸孔によって構成
される。勿論、ノズル孔2は、丸孔に限定されるもので
はなく、インク滴の飛翔に適した形状であるとともに形
成することが可能な形状であればよく、例えば楕円形、
多角形、三日月形或いはハート形等の精密な加工が可能
な適宜の形状に形成してもよい。
【0021】インク溜めプレート7は、上述したように
インク溜め室6に対して流路6aを介して各ノズル孔2
に対応する多数個のインク圧力室5が連通して形成され
ており、さらにこれらインク圧力室5が流路5aを介し
て各ノズル孔2に連通されている。インク溜めプレート
7は、インク滴を精密かつ正確に飛翔させるために、イ
ンク圧力室5や各流路5a、6aがその形状や位置を精
密に形成される。したがって、インク溜めプレート7
は、精密な機械加工を可能とするとともにインク液に対
する化学的な耐久性を有する適宜の金属或いはセラミッ
ク材、プラスチック材料等によって形成されている。
【0022】インク溜めプレート7は、図2に示すよう
にノズルプレート3が接合される一方主面7aに複数個
のインク溜め室6が凹設されるとともに、これらインク
溜め室6が一方の主面7aに接合したノズルプレート3
によって閉塞されてなる。また、インク溜めプレート7
は、同図に示すように他方の主面7bに多数個のインク
圧力室5が凹設されるとともに、これらインク圧力室5
が他方の主面7bに接合された振動板8によって閉塞さ
れてなる。
【0023】振動板8は、図2に示すようにインク溜め
プレート7の他方主面7bにインク圧力室5を密閉する
ようにして接合される。振動板8は、後述するように圧
電板部11の歪み変形動作に基づいて振動動作してイン
ク圧力室5内に容積変動を生じさせる。振動板8は、圧
電板部11の歪み変形動作に対して減衰をできるだけ小
さくして振動動作するとともにインク液に対する化学的
な耐久性を有する適宜の材料、例えばポリイミド系のフ
ィルム材によって形成されている。
【0024】ヘッド装置1は、上述したヘッド構体9に
対して基台10の主面10a上に片持ち支持された圧電
素子構体12が組み合わされる。基台10は、図示しな
いヘッドシャーシに支持されており、図2に示すように
支持部10bを介してヘッド構体9をその主面10aと
平行な状態で支持している。基台10は、ヘッド構体9
の支持部材を構成するとともに、後述するように電極部
が形成されることによって圧電素子構体12に対する給
電部材としても機能する。
【0025】圧電素子構体12は、例えばチタン酸ジル
コン酸鉛系の材料からなるペースト状圧電材料と、例え
ば銀パラジウムペーストからなる導電材料とを所定の厚
みで交互に積層してこれを焼成することによって製作さ
れる。勿論、圧電素子構体12は、他の適宜の圧電材料
と導電材料とを用いて製作してもよい。また、圧電素子
構体12には、図2に示すように、スクリーン印刷法等
によって第1の電極13と第2の電極14とが所定の部
分に交互に積み重ねられるようにして成膜形成されてい
る。第1の電極13と第2の電極14とは、互いに向か
い合う電極間でそれぞれ絶縁を保持されている。
【0026】第1の電極13は、詳細を後述するが、図
3及び図4に示すようにその下方部が圧電素子構体12
の下端面12aまで延長されるとともにその上方部が圧
電板部11の上端面11aに露呈されないようにしてそ
れぞれ形成されている。第1の電極13は、圧電素子構
体12の下端面12aに形成される共通電極13aによ
って互いに共通接続されている。第1の電極13は、圧
電素子構体12が基台10に固定された状態において、
共通電極13aがこの基台10の主面10a上に形成し
た共通表面電極15と電気的に接続されて共通電極を構
成する。第2の電極14は、詳細を後述するが、図3及
び図4に示すようにその上方部が圧電板部11の上端面
11aに露呈されて詳細を省略する個別電極16と接続
されている。また、第2の電極14は、その下方部が連
結部18とほぼ同一高さ位置とされてそれぞれ形成され
ている。第2の電極14は、後述するフレキシブル基板
17に接続されて各圧電板部11に対応する個別電極を
構成する。
【0027】圧電素子構体12は、第1の電極13と第
2の電極14とに所定の温度条件下で所定の向きの電圧
を印加することによって、所定の向きに分極されて圧電
特性が生成される。圧電素子構体12は、電圧が印加さ
れると、この電圧の向きと大きさに応じた所定の方向に
振動変位が発生する。圧電素子構体12においては、図
2において向かい合う第1の電極13と第2の電極14
とに直交する高さ方向の振動変位が発生する。
【0028】圧電素子構体12は、各インク圧力室5に
対して個別に容積変動を生じさせるために、詳細を後述
するように所定のピッチと幅寸法を有する高さ方向の多
数個の分割溝18を形成する分割溝形成加工が施されて
多数個の圧電板部11が分割形成されてなる。分割溝1
8は、それぞれ圧電素子構体12の上端面12aから所
定の深さを以って形成されており、図3に示すように各
圧電板部11の基端部を連結部19によって互いに一体
的に連結する。したがって、圧電素子構体12は、全体
が櫛歯状を呈して形成されてなる。
【0029】圧電素子構体12は、連結部19の下端面
を構成する下端面12aを基台10の主面10a上に接
合することによって、この基台10上に高さ方向に一体
的に立設された状態で固定される。圧電素子構体12
は、この状態において、図2に示すように、各圧電板部
11の上端面11aが各インク圧力室5にそれぞれ対応
して振動板8の底面に当接される。
【0030】圧電素子構体12には、詳細を後述するよ
うに、各圧電板部11の上端面11aに段形成加工が施
されることによって、図3に示すように幅方向の凸部2
0がそれぞれ形成されている。また、圧電素子構体12
は、各圧電板部11が有る程度の断面寸法を以って形成
されることによって機械的強度を付与されて構成されて
いる。換言すれば、圧電素子構体12は、各圧電板部1
1が、充分な機械的強度を有するとともに振動板8を直
接駆動する部位がそれぞれ小さな外形寸法を以って構成
されている。
【0031】ヘッド装置1は、圧電素子構体12の下端
面12aが基台10に固定されるとともに、この基台1
0の支持部10bにヘッド構体9が固定されている。し
たがって、ヘッド装置1は、インク溜めプレート7や圧
電素子構体12の寸法精度とともに、各部材の組立精度
のバラツキによって各圧電板部11と各インク圧力室5
とに位置ズレが生じることがある。ヘッド装置1は、所
定のピッチと大きさで形成された各インク圧力室5に対
して各圧電板部11が正確に位置合わせされなければな
らない。
【0032】ヘッド装置1においては、上述したように
圧電素子構体12に分割溝形成加工を施して形成した各
圧電板部11の上端面11aに段部形成加工を施してそ
れぞれ凸部20を形成したことによって、多少の位置ズ
レがあった場合でもこの凸部20が各インク圧力室5に
対応した領域に正確に位置されて振動板8に接触される
ようになる。また、ヘッド装置1は、振動板8に対して
各圧電板部11が、上端面11aの全体による接触では
無く実質的に幅狭とされた凸部20の端面によるより小
さな接触面を以って接触することから安定した接触状態
に保持されるようになる。ヘッド装置1は、かかる構成
によって各圧電板部11の振動変位が振動板8を介して
対応する各インク圧力室5に安定かつ確実に伝達される
ことから、画像等の正確かつ精密な記録が行われるよう
になる。
【0033】圧電素子構体12には、上述したように第
2の電極14に電圧を供給するためのフレキシブル基板
17が接合されている。フレキシブル基板17には、詳
細を省略するが分割溝形成加工を施して圧電素子構体1
2に分割形成された多数個の各圧電板部11の間隔と等
しい間隔を以って露出導体部17aが印刷形成されてい
る。フレキシブル基板17は、図1に示すように圧電素
子構体12の側面にあてがわれ、各露出導体部17aが
対応する各圧電板部11と位置決めされた状態で例えば
異方性導電膜等を介して第2の電極14と接続される。
【0034】圧電素子構体12は、上述したようにその
内部に第1の電極13と第2の電極14とが交互に積層
された状態で形成されており、これら第1の電極13と
第2の電極14とに電界を発生させると、圧電効果によ
って高さ方向にΔhの変位が発生する。この変位量Δh
は、圧電素子構体12を形成する圧電材料の圧電常数が
それぞれ等しくかつ第1の電極13と第2の電極14と
の間の距離が等しくさらに電界の大きさが等しい条件下
において、これら第1の電極13と第2の電極14の相
対向する部位の長さ寸法Ldに比例する。したがって、
圧電素子構体12は、必要な変位量Δhをできるだけ少
ない電界によって得るためには、相対向する第1の電極
13と第2の電極14との長さ寸法Ld(図4参照)を
できるだけ長くする必要がある。
【0035】圧電素子構体12は、上述したように基台
10に対してその連結部19の下端面12aを接合され
て片持ち状態で支持されることから、図4に示すように
変位方向の全長L、換言すれば高さ寸法L分に対して拘
束される部位を持たない構成となっている。したがっ
て、圧電素子構体12は、その高さ寸法Lのほぼ全域に
おいて振動変位が可能となり、効率のよい電極長を得る
ことができる構成となっている。
【0036】圧電素子構体12は、図4に示すように、
全体の長さ(高さ)寸法をLとされるとともに、その上
端面12bから多数個の分割溝18を形成することによ
って長さ寸法がLaの多数個の圧電板部11が形成され
る。各圧電板部11は、全長がLaであり、その上端面
11aにそれぞれ高さ寸法がLbの凸部20が形成され
てなる。圧電素子構体12は、各圧電板部11の基端部
を連結する高さ寸法Lcの連結部19が形成されてな
る。したがって、連結部19の高さ寸法Lcは、Lc=
L−(La+Lb)となり、圧電素子構体12の非分割
長さになる。
【0037】一方、第1の電極13と第2の電極14電
極とは、上述したように相対向する長さ寸法がLdであ
る。第1の電極13は、凸部20が形成された圧電板部
11の上端面11aに露呈されておらずまた共通表面電
極15とそれぞれ接続されることから、連結部18の下
端面18、換言すれば圧電素子構体12の下端面12a
からの高さ寸法Ld1が、Ld1<L−Lbとなってい
る。また、第2の電極14電極は、圧電板部11の表面
に露呈されて個別電極16と接続されるとともに共通表
面電極15と接続されないことから、圧電板部11の上
端面11aからの高さ寸法Ld2が、Ld2<La+L
bとなっている。したがって、圧電素子構体12は、実
際の振動変位領域が第1の電極13と第2の電極14と
の長さ寸法の和から圧電素子構体12の高さ寸法を差し
引いた(Ld1+Ld2)−Lとなって、変位量Δhを
生成する。
【0038】上述した圧電素子構体12は、図5に示し
た段形成加工と分割溝形成加工とが施されて製作され
る。圧電素子構体12は、同図Aー1及びAー2に示す
ように上述した圧電材料と導電材料とが積層されて全体
薄板形状を呈している。圧電素子構体12には、基台1
0の主面10aに固定される下端面12aに第1の電極
13の一端部がそれぞれ露呈されるとともに上端面12
bに第2の電極14の一端部がそれぞれ露呈されてい
る。
【0039】圧電素子構体12には、図5(B)に示す
ように、上端面12bに対して段形成加工が施されて、
所定のピッチ、幅及び深さを以って段部形成凹部21が
形成される。段形成加工は、例えば適宜の砥石を用いた
研削加工によって行われ、凸部20の高さ寸法と等しい
深さ寸法と、圧電板部11のピッチと幅寸法とに等しい
段部形成凹部21を形成する。圧電素子構体12は、こ
れら段部形成凹部21によって上端面12aに露呈され
た第2の電極14がそれぞれ分割される。
【0040】圧電素子構体12には、図5(C)に示す
ように、上述した段形成加工によって形成された段部形
成溝21を対称として分割溝形成加工が施されることに
より、分割溝18を介して分割された多数個の圧電板部
11が形成される。この分割溝形成加工も、例えば適宜
の砥石を用いた研削加工によって行われる。分割溝18
は、その中心軸が段部形成溝21の中心軸に一致され、
左右に所定の幅寸法を有する圧電板部11を分割形成す
る。分割溝18は、圧電素子構体12を厚み方向に対し
て貫通するとともに、高さ方向に対して各圧電板部11
を連結する連結部19を構成する底付き溝とされる。圧
電素子構体12は、分割溝18によって各圧電板部11
に対応して第1の電極13と第2の電極14とがそれぞ
れ分割される。
【0041】圧電素子構体12は、図5(D)に示すよ
うに、その側面にフレキシブル基板17が接合される基
板接合工程が施されて個別電極の外部取り出しが行われ
る。フレキシブル基板17は、上述したように各圧電板
部11のピッチとほぼ等しいピッチを有する露出導体部
17aが印刷形成されており、位置決めされた状態で分
割形成された各圧電板部11の側面に異方性導電膜等を
介して接合される。
【0042】圧電素子構体12は、上述したフレキシブ
ル基板17を用いた個別電極の外部取り出しに代えて、
例えば図6に示した外部取出し端子部材22を用いて個
別電極の外部取り出しを行うようにしてもよい。外部取
出し端子部材22は、多数個の端子板23と、これらを
各圧電板部11のピッチと等しいピッチで保持する支持
板24とからなる。外部取出し端子部材22は、各端子
板23が対応する各圧電板部11に対して位置合わせさ
れた状態で、異方性導電膜等を介して接合される。
【0043】以上の工程を経て製作された圧電素子構体
12は、連結部19の下端面12aを基台10の主面1
0上に接合されることによって組み合わされる。圧電素
子構体12は、下端面12aに形成した共通表面電極と
電気的に接続される。
【0044】ところで、上述したヘッド装置1において
は、圧電素子構体12が、単体の状態で段形成加工及び
分割溝形成加工を施こされて多数個の圧電板部11が形
成された後に基台10に固定される。ヘッド装置1は、
基台10が圧電素子構体12を固定するとともに支持部
10bを介してヘッド構体9を組み立てている。本発明
は、かかるヘッド装置1の構成に限定されるものではな
く、例えば圧電素子構体12が予め基台10に固定され
た状態で上述した段形成加工及び分割溝形成加工を施す
ようにしてもよい。
【0045】すなわち、本発明の他の実施の形態として
図7に示したヘッド装置30は、基台31が圧電素子構
体12を支持する全体板状の圧電素子構体支持部材32
と、ヘッド構体9を支持するヘッド構体支持部材33と
によって構成されてなる。なお、ヘッド装置30は、そ
の他の構成が上述したヘッド装置1と同等とされること
から、対応する部材については同一符号を付すことによ
ってその説明を省略する。
【0046】圧電素子構体12は、予め圧電素子構体支
持部材32の主面32a上に接合された状態で、上述し
た段形成加工及び分割溝形成加工が施される。これら段
形成加工及び分割溝形成加工は、圧電素子構体12が板
状の圧電素子構体支持部材32に接合された構成によっ
て可能とされる。圧電素子構体12は、凸部20或いは
各圧電板部11が形成された後に例えばフレキシブル基
板17を用いた個別電極の外部取り出し等の工程が施さ
れる。
【0047】ヘッド構体支持部材33は、ヘッド構体9
を支持する柱部33aと、この柱部33aの下端部に一
体に形成されて圧電素子構体支持部材32の側面に接合
固定される基台部33bとからなる略L字状を呈してい
る。ヘッド構体支持部材33は、上述した各加工を施さ
れた圧電素子構体支持部材32に対して接合固定される
とともにヘッド構体9が固定される。
【0048】ヘッド装置30は、柱部33aと基台部3
3bとを組み合わせてヘッド構体支持部材33を構成す
ることから、圧電素子構体支持部材32に接合された圧
電素子構体12の各圧電板部11とヘッド構体9のイン
ク溜めプレート7に形成されたインク圧力室5とに位置
ズレが生じることがある。ヘッド装置30は、かかる位
置ズレがあった場合でも、上述したように上端面にそれ
ぞれ凸部20が形成されていることによって各圧電板部
11が各インク圧力室5に対応した領域に正確に位置さ
れて振動板8に接触されるようになる。
【0049】圧電素子構体12の製作工程については、
上述したように図5を参照して説明した。この製作工程
では、1個の圧電素子構体12を対象として1列に配列
されてなる多数個の圧電板部11が形成される。ヘッド
装置1は、マトリックス状に配列された多数個のノズル
孔2に対応して圧電素子構体12にそれぞれ圧電板部1
1が分割形成されてなる。したがって、圧電素子構体1
2の製造工程においては、図8(A)に示すように、多
数個の圧電素子構体12n1乃至12nnが厚み方向に
対して対して互いに密着された状態で積層されて供給さ
れる。圧電素子構体12の積層体には、この状態で同図
(B)に示すように一括して段形成加工と分割溝形成加
工とが施されて凸部20と圧電板部11を構成する分割
溝18が形成される。
【0050】圧電素子構体12は、その厚み寸法が全長
Lに対して小さく構成されている。したがって、圧電素
子構体12の製作工程においては、図8に示すように各
圧電素子構体12n1乃至12nnを厚み方向に積層し
た状態で上述した段形成加工及び分割溝形成加工とを施
すことによって、各圧電素子構体12を長さ方向に並べ
てこれら加工を施す場合と比較して単位時間当たりの加
工数を増やすことが可能となり、生産性の向上が図られ
る。また、圧電素子構体12の製作工程においては、分
割溝18や凸部20が砥石を用いた研削加工によって形
成される。圧電素子構体12は、例えば形状の異なる数
種類の砥石により加工する方法や所定形状の砥石を用い
ることによって適宜の形状を呈する分割溝18や凸部2
0が形成される。
【0051】圧電素子構体12の製作工程においては、
例えば図9(A)に示すように予め多数個の基台10m
1乃至10mm上に所定のピッチを以って多数個の圧電
素子構体12m1乃至12mmをそれぞれ接合し、この
組立体を供給するようにしてもよい。圧電素子構体12
には、上述した工程と同様に段形成加工及び分割溝形成
加工が施されて、同図(B)に示すように一括して分割
溝18や凸部20が形成されて圧電板部11が分割形成
される。なお、圧電素子構体12は、同図に示すように
1個の基台10に対してそれぞれ幅方向に離間して2個
が接合されているが、ノズル孔2の配列状態に応じて基
台10に対する接合状態が適宜変更されることは勿論で
ある。
【0052】圧電素子構体12は、上述したように各圧
電板部11の上端面11aに凸字状の凸部20が突設さ
れている。圧電素子構体12は、かかる圧電板部11の
構成に限定されるものではなく、適宜の砥石を用いるこ
とによって分割溝18や凸部20の形状を異にした圧電
板部11を分割形成するようにしてもよい。また、圧電
素子構体12は、分割溝18によって分割形成される圧
電板部11の全体の幅寸法Waに対して凸部20の幅寸
法Wbを異にして形成してもよい。
【0053】図10に示した圧電板部11は、圧電素子
構体12に分割溝形成加工を施してして分割形成される
が、その上端面に幅方向の両側縁に沿って面取り研削を
施すことにより中央部に台形形状の凸部20を形成して
なる。圧電板部11は、全体の幅寸法Waに対してやや
小幅とされた幅寸法Wbの凸部20がその上端面に形成
される。
【0054】図11に示した圧電板部11は、上述した
図10の圧電板部11と同様にその上端面に幅方向の両
側縁に沿って面取り研削を施して凸部20を形成する
が、同図に示すように円弧状の面取りを施してなる。圧
電板部11は、全体の幅寸法Waに対してやや小幅とさ
れた幅寸法Wbの凸部20がその上端面に形成される。
圧電板部11は、図10の圧電板部11の加工に用いる
砥石に対して例えば小径の砥石が用いられる。
【0055】圧電素子構体12は、各圧電板部11が分
割溝18によってそれぞれ矩形形状を以って分割形成さ
れるが、かかる形状に限定されるものではない。圧電素
子構体12は、上述した分割溝形成加工を施す際に適宜
の砥石を用いて分割溝18を形成することによって、各
圧電板部11がその固定部側の幅寸法Wcに対して自由
端側の幅寸法Wdを変えた適宜の短冊形状として構成す
るようにしてもよい。圧電素子構体12は、各圧電板部
11が固定部側の幅寸法Wcと自由端側の幅寸法Wdに
ついて、Wc>Wdとなるように構成される。圧電素子
構体12は、かかる構成を採用することによって、各圧
電板部11の機械的強度の向上を図るとともにそれぞれ
の横振動の固有振動数を上げて駆動周波数内での横振動
が抑制されるようになる。
【0056】圧電素子構体12には、例えば図12に示
すように開口幅寸法を次第に大ならしめた略逆台形状の
分割溝18、換言すれば溝幅寸法が直線的に変化する分
割溝18を形成する分割溝形成加工を施すようにしても
よい。圧電素子構体12は、かかる分割溝18によって
同図に示すように連結部19から一体に立ち上がり形成
される各圧電板部11が、その基端部から上端面11a
側に向かって次第に幅寸法を小ならしめた略台形の短冊
形状を以って形成される。各圧電板部11は、同図に示
すように、固定部側の幅寸法Wcと自由端側の幅寸法W
dとがWc>Wdとなるように構成される。勿論、各圧
電板部11には、上端面11aに凸部20が一体に形成
される。
【0057】また、圧電素子構体12には、例えば図1
3に示すように開口幅寸法を次第に大ならしめた略半楕
円形状の分割溝18、換言すれば溝幅寸法が曲線的に変
化する分割溝18を形成する分割溝形成加工を施すよう
にしてもよい。圧電素子構体12は、かかる分割溝18
によって同図に示すように連結部19から一体に立ち上
がり形成される各圧電板部11が、その両側縁部を基端
部から上端面11a側に向かって次第に幅寸法を小なら
しめる円弧状とされた短冊形状を以って分割形成され
る。各圧電板部11は、同図に示すように、固定部側の
幅寸法Wcと自由端側の幅寸法WdとがWc>Wdとな
るように構成される。勿論、各圧電板部11には、上端
面11aに凸部20が一体に形成される。
【0058】さらに、圧電素子構体12には、例えば図
14に示すように固定部側を幅狭とした縦長の第1の分
割溝部18aとこの第1の分割溝部18aに連続する自
由端部側の幅広の第2の分割溝部18bとからなる略逆
凸字状の分割溝18、換言すれば溝幅が段階的に大きく
なる分割溝18を形成する分割溝形成加工を施すように
してもよい。なお、圧電素子構体12は、溝幅寸法が上
端側に向かって多段に幅広に変化される多段の分割溝1
8によって多段圧電板部11を分割形成するようにして
もよい。
【0059】圧電素子構体12は、かかる分割溝18に
よって、同図に示すように各圧電板部11が固定部側の
幅広の部位と自由端部側の幅狭の部位とからなる略凸字
状の段付き形状の短冊形状を以って分割形成される。す
なわち、各圧電板部11は、連結部19から一体に立ち
上がり形成される固定部側が第1の分割溝部18aを介
して幅広とされるとともに、所定の高さ位置から上端側
が第2の分割溝部18bによって幅狭とされてなる。各
圧電板部11は、同図に示すように、固定部側の幅寸法
Wcと自由端側の幅寸法WdとがWc>Wdとなるよう
に構成される。勿論、各圧電板部11には、上端面11
aに凸部20が一体に形成される。
【0060】圧電素子構体12には、上述したように種
々の形状の分割溝18によって各圧電板部11がその幅
寸法を固定部側の幅寸法Wcと自由端側の幅寸法Wdに
ついてWc>Wdとなるような適宜の分割溝形成加工が
施される。この場合、圧電素子構体12は、多数個が互
いに厚み方向に並べられて適宜の形状の砥石が用いられ
て分割溝18が形成される。
【0061】圧電素子構体12には、分割溝18を形成
する分割溝形成加工が施されて、基端部を連結部19に
よって連結した多数個の圧電板部11が分割形成され
る。各分割溝18は、砥石の磨耗によって図15に示す
ようにその底部18aがR面を呈しており、精密な直角
を以って各圧電板部11を立ち上がり形成していない状
態となっている。したがって、圧電素子構体12におい
ては、各分割溝18によって分割形成される圧電板部1
1が、両側に形成される圧電板部11bと内側に形成さ
れる圧電板部11cとで連結部19からの立ち上がり部
位の形状が異なった状態を呈している。換言すれば、両
側の圧電板部11bは、同図に示すように根本部位にお
いて左右方向の対称性が崩れて左右方向にΔxの傾きが
生じる。
【0062】圧電素子構体12は、圧電板部11bに傾
きが生じた場合に、各圧電板部11のピッチpに対して
この圧電板部11bと内側の圧電板部11との間隔がp
+Δxとなって対応するインク圧力室5との間に位置ズ
レが生じてしまう。したがって、圧電素子構体12にお
いては、両側の圧電板部11bを形成する際に、これら
圧電板部11bが図16に示すように連結部19の端面
からΔpの内側位置において立ち上がり形成されるよう
にする。圧電素子構体12は、かかる構成によって両側
の圧電板部11bと内側の各圧電板部11cとがそれぞ
れ根本部位における左右方向の対称性が保持され、両側
の圧電板部11bの傾きが抑制される。
【0063】なお、圧電素子構体12は、上述した各形
状の圧電板部11に対しても、その両側の圧電板部11
bをかかる構成によって形成してもよい。圧電素子構体
12は、両側の圧電板部11bと内側の各圧電板部11
cとのピッチが精密に保持され、各圧電板部11が各イ
ンク圧力室5にそれぞれ対応位置されるようになる。
【0064】ヘッド装置1は、上述したように基台10
に対してヘッド構体9のインク圧力室5と圧電素子構体
12の各圧電板部11とが互いに精密に位置決めされた
状態で組み合わされてなる。圧電素子構体12は、各圧
電板部11の凸部20が、ヘッド構体9を構成するイン
ク溜めプレート7の各インク圧力室5に対応して振動板
8に接触されてなる。ヘッド装置1は、図17に示すよ
うに振動板8が各インク圧力室5を閉塞するようにして
インク溜めプレート7に接合されてなる。各インク圧力
室5は、インク溜めプレート7の他方主面7bに各隔壁
7cによって互いに等間隔を以って区割りされて凹設さ
れている。ところが、最外側に凹設されたインク圧力室
5b1は、同図に示すようにインク溜めプレート7の外
周部位7c1と隔壁7c2とによって区割りされる。
【0065】したがって、振動板8は、図17に示すよ
うに内側に凹設された各インク圧力室5b2乃至5bn
に対応する部位が各隔壁7c2乃至7cnによって支え
られるのに対して、最外側に凹設されたインク圧力室5
b1に対応する部位が隔壁7c2とインク溜めプレート
7の外周部位7c1とによって支えられる。振動板8
は、各隔壁7c2乃至7cnに対して外周部位7c1の
剛性が大きいことから、最外側に凹設されたインク圧力
室5b1に対応する部位の剛性が他のインク圧力室5b
2乃至5bnに対応する部位の剛性よりも大きくなる。
【0066】ヘッド装置1においては、所定の圧電板部
11が駆動されて発生する振動変位により対応するイン
ク圧力室5に容積変動を生じさせてノズル孔2からイン
ク滴が飛翔する。したがって、ヘッド装置1は、各圧電
板部11が同一の駆動力で駆動される場合に、最外側に
凹設されたインク圧力室5b1の容積変動が他のインク
圧力室5b2乃至5bnの容積変動に対して小さくな
る。ヘッド装置1においては、これによってノズル孔2
から飛翔するインク滴の大きさが変わって記録画像等の
記録精度が多少劣化するといった問題を生じさせる。
【0067】したがって、図18に示したヘッド装置4
0は、最外側に凹設されたインク圧力室5b1に生じる
容積変動と他のインク圧力室5b2乃至5bnに生じる
容積変動とがほぼ同等となるように構成されてなる。ヘ
ッド装置40は、このためにインク溜めプレート7の最
外側に凹設されたインク圧力室5b1に対応する圧電板
部41が、その幅寸法Weを他のインク圧力室5b2乃
至5bnに対応する圧電板部42の幅寸法Wfに対して
大ならしめてなる圧電素子構体43が備えられる。な
お、ヘッド装置40は、その他の構成について、上述し
たヘッド装置1と同様とすることから対応する部材等に
対して同一符号を付すことによってその詳細な説明を省
略する。
【0068】すなわち、圧電素子構体43は、両側の圧
電板部41がその幅寸法Weを他の圧電板部42の幅寸
法Wfに対して大ならしめられることで、より大きな振
動変位が生じて振動板8を駆動するように構成される。
勿論、圧電素子構体43は、圧電板部41の幅寸法We
と圧電板部42の幅寸法Wfとの差が、振動板8の振動
抵抗の差を補正するに足るように設定されてなる。した
がって、ヘッド装置40においては、最外側に凹設され
たインク圧力室5b1と他のインク圧力室5b2乃至5
bnにおいて生じる容積変動とがほぼ同等となり、ノズ
ル孔2からほぼ均一な大きさのインク滴が飛翔されて記
録画像等の精密な記録が行われるようになる。勿論、か
かるヘッド装置40の構成は、上述した各種の圧電板部
11を有する圧電素子構体12を用いた場合にも適用さ
れるものである。
【0069】ヘッド装置1においては、上述したように
凸部形成加工と分割溝形成加工とを施して種々の形状の
圧電板部11を分割形成した圧電素子構体12が、図5
或いは図6に示すようにフレキシブル基板17や外部取
出し端子部材22と端子板23を用いるとともに異方性
導電接着材によって基台10側の共通表面電極15と接
続するように構成してなる。これに対して図19に他の
実施の形態として示したヘッド装置50においては、圧
電素子構体12の各圧電板部11に形成された個別電極
との接続が、振動板41に形成された電極導体部42と
によって行われるように構成したことを特徴とする。な
お、ヘッド装置50は、電極導体部42が形成された振
動板41以外の基本的な構成を上述したヘッド装置1と
ほぼ同等とすることから、同一部材については同一符号
を付すことによってその詳細な説明を省略する。
【0070】すなわち、ヘッド装置50には、振動板4
1の基台10と対向する主面41aに、各インク圧力室
5にそれぞれ対応位置して、換言すれば各圧電板部11
にそれぞれ対応位置して多数個の電極導体部42が形成
されてなる。各電極導体部42は、例えば振動板8がベ
ース材としてポリイミドやポリエステルを用いる場合に
はこれに銅箔を接合して所定のパターンにエッチング処
理を施して形成する。
【0071】各電極導体部42は、同時にエッチング処
理を施して形成したリード部43を介して振動板8の外
方へと引き出されてプリンタ本体側の制御部と接続され
る。なお、リード部43は、ヘッド装置50のサイズや
振動板41の主面41a上における引き回し経路、数等
によって適宜に設計される。振動板41には、各圧電板
部11が対応する電極導体部42に対して、その上端面
11aに形成した凸部20の端面を接着樹脂や導電接着
剤等によって接合固定されてなる。
【0072】なお、圧電素子構体12は、その第1の電
極13と第2の電極14とが上述したヘッド装置1或い
はヘッド装置40の構成による接続に限定されるもので
はない。圧電素子構体12は、振動板8と基台10との
両部材において第1の電極13と第2の電極14の接続
が適宜行われるように構成してもよい。
【0073】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かるインクジェットプリンタ用ヘッド装置によれば、各
圧電板がその自由端部側を幅狭とされることで横振動の
固有振動数が上がって駆動振動数内での横振動が抑制さ
れるようになることから、周波数応答性の向上が図ら
れ、振動板を効率的に駆動してインク圧力室に容積変動
を生じさせてインク滴を極めて短時間間隔でかつ連続的
に飛翔させて画像等の高精度の記録が可能となる。ま
た、インクジェットプリンタ用ヘッド装置は、各圧電板
がその固定端部側を幅広とされることで機械的強度が保
持されるとともにその自由端部側を幅狭とされることに
より所定のピッチと大きさで形成された各インク圧力室
に対して容易かつ正確に位置合わせが行われるようにな
り、各圧電板部が振動板に対して安定した状態で接触し
てこれを駆動する。したがって、インクジェットプリン
タ用ヘッド装置は、信頼性の向上が図られるとともによ
り高精度に画像等の記録を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるインクジェットプリンタ用ヘッ
ド装置の実施の形態として示す要部斜視図である。
【図2】同インクジェットプリンタ用ヘッド装置の要部
縦断面図である。
【図3】同インクジェットプリンタ用ヘッド装置に備え
られる圧電駆動部の構成を説明する要部斜視図である。
【図4】同インクジェットプリンタ用ヘッド装置におけ
る各部の構成説明図である。
【図5】同インクジェットプリンタ用ヘッド装置に備え
られる圧電素子構体の製作工程の説明図である。
【図6】他の圧電素子構体の説明図である。
【図7】本発明にかかるインクジェットプリンタ用ヘッ
ド装置の他の実施の形態として示す要部縦断面図であ
る。
【図8】他の圧電素子構体の製作工程の説明図である。
【図9】他の圧電素子構体の製作工程の説明図である。
【図10】他の圧電体の構成を説明する要部側面図であ
る。
【図11】他の圧電体の構成を説明する要部側面図であ
る。
【図12】他の圧電素子構体の構成を説明する要部側面
図である。
【図13】他の圧電素子構体の構成を説明する要部側面
図である。
【図14】他の圧電素子構体の構成を説明する要部側面
図である。
【図15】圧電素子構体の構成を説明する要部側面図で
ある。
【図16】他の圧電素子構体の構成を説明する要部側面
図である。
【図17】インクジェットプリンタ用ヘッド装置の要部
縦断面図である。
【図18】他のインクジェットプリンタ用ヘッド装置の
要部縦断面図である。
【図19】他のインクジェットプリンタ用ヘッド装置の
要部斜視図である。
【図20】従来のインクジェットプリンタ用ヘッド装置
の要部斜視図である。
【図21】同インクジェットプリンタ用ヘッド装置に備
えられる圧電駆動部の構成を説明する要部斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ用ヘッド装置(ヘッド装
置)、2 ノズル孔、3ノズルプレート、5 インク圧
力室、7 インク溜めプレート、8 振動板、9 ヘッ
ド構体、10 基台、11 圧電板部、12 圧電素子
構体、13 第1の電極、14 第2の電極、15 共
通表面電極、16 個別表面電極、17フレキシブル基
板、18 分割溝、19 連結部、20 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 康晴 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 伊藤 富夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 後藤 一夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 高橋 伸司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF52 AF65 AG14 AG44 AG48 AG52 BA04 BA14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックと電極材とを交互に積層
    してなる圧電板を、それぞれその一端側を固定端とする
    とともに他端側を自由端として所定のピッチを以って配
    列し、上記自由端をノズル孔に連設されたインク圧力室
    を密閉する振動板にそれぞれ対向位置させてなり、 上記各圧電板は、固定端側に対して自由端側の幅寸法が
    小さな短冊状に構成されていることを特徴とするインク
    ジェットプリンタ用ヘッド装置。
  2. 【請求項2】 上記圧電板は、固定端側を底辺とし自由
    端側を上辺とした略台形を呈する短冊状に構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプ
    リンタ用ヘッド装置。
  3. 【請求項3】 上記圧電板は、固定端側から自由端側に
    向かってその幅寸法が段階的に小さくされた短冊状に構
    成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク
    ジェットプリンタ用ヘッド装置。
  4. 【請求項4】 上記圧電板は、上記振動板と対向位置す
    る自由端が、段部形成加工を施して幅方向の凸部を形成
    することによって他の部位よりも幅狭に構成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項
    に記載のインクジェットプリンタ用ヘッド装置。
  5. 【請求項5】 上記圧電板は、圧電セラミックと電極材
    とを交互に積層してなる圧電素子構体に分割溝形成加工
    を施こすことによりそれぞれ所定のピッチを以って固定
    部側が連結部を介して一体化された多数個の短冊状圧電
    板部によって構成されてなり、 上記圧電素子構体は、上記連結部と、この連結部に一体
    化された多数個の圧電板部とによって全体略櫛歯状を呈
    しており、上記連結部の下端面を上記基台に固定された
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項
    に記載のインクジェットプリンタ用ヘッド装置。
  6. 【請求項6】 上記各圧電板部は、底部側に対して開口
    部側の溝幅が大ならしめられた分割溝によって分割形成
    されることにより、固定端側に対して自由端側の幅寸法
    が小さくされた短冊状に構成されていることを特徴とす
    る請求項5に記載のインクジェットプリンタ用ヘッド装
    置。
  7. 【請求項7】 上記各圧電板部は、固定端側を底辺とし
    自由端側を上辺とした略台形を呈する短冊状に構成され
    ていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェッ
    トプリンタ用ヘッド装置。
  8. 【請求項8】 上記各圧電板部は、底部側から開口部側
    に向かって溝幅が段階的に大きくなる分割溝によって分
    割形成されることにより、固定端側から自由端側に向か
    ってその幅寸法が段階的に小さくされた短冊状に構成さ
    れていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェ
    ットプリンタ用ヘッド装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002127422A (ja) * 2000-05-17 2002-05-08 Konica Corp インクジェットヘッド
JP2007090521A (ja) * 2005-09-26 2007-04-12 Fuji Xerox Co Ltd 振動板、振動板組立体、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置

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