JP2000094127A - 多電極溶接トーチのアークスタート方法及び装置 - Google Patents

多電極溶接トーチのアークスタート方法及び装置

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JP2000094127A
JP2000094127A JP10263243A JP26324398A JP2000094127A JP 2000094127 A JP2000094127 A JP 2000094127A JP 10263243 A JP10263243 A JP 10263243A JP 26324398 A JP26324398 A JP 26324398A JP 2000094127 A JP2000094127 A JP 2000094127A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 母材への溶接時に、高周波を用いずに、2本
の電極から同時にアークを発生させる。 【解決手段】 2本の電極を並列させてなる電極構造体
を有する溶接トーチによる母材への溶接時に、2本の電
極の先端が母材へ同時にタッチするか否かをタッチ検知
器15a,15bで検知する。一方のみがタッチした場
合、両方がタッチするまで、制御指令器22からの指令
で、溶接トーチを母材から一旦離反させた後、電極構造
体を回転させ、更に、溶接トーチを再び母材に接近させ
る工程を繰り返させる。同時にタッチしたとき、電圧制
御器23で2本の電極に同時に電圧を印加し、溶接トー
チを母材から離す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多電極溶接トーチの
アークスタート方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】板材の如き部材を突き合わせて開先溶接
を行う際に用いるTIG溶接トーチにおいて、近年、大
電流を流せるようにして高速溶接を行うことができるよ
うに、電極を多電極構造としたものが開発されている。
【0003】図4(イ)(ロ)は、狭開先溶接用として
開発された多電極構造のTIG溶接トーチ1を示すもの
で、細長平板状の絶縁板2の左右両側面部に、平溝3
a,3bを長手方向に沿い設けると共に、これら平溝3
a,3bに、それぞれ別電源に接続した帯板状の電極
(タングステン電極)4a,4bを嵌入して、これら2
本の電極4a,4bにより絶縁板2を挾持させるように
し、且つ上記絶縁板2の後端面と該後端面に当接配置し
た絶縁体製のワイヤガイド2aとの境界部に溶接ワイヤ
5を挿通させるようにしてなる扁平断面形状の電極構造
体6を構成し、該電極構造体6の上部となる基端部側
を、分割構造の給電コレット7及び該給電コレット7を
保持するコレットボディ8を介してトーチ本体9に挿通
支持させ、更に、上記電極構造体6の下端部となる先端
部を、シールドガス10を噴出させるガスカップ11の
先端から所要長さ突出させるようにした構成としてあ
る。なお、上記給電コレット7は、絶縁板2を挟む位置
で分割し、分割部に絶縁ブロック7aを介在させた構成
としてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記多電極
構造のTIG溶接トーチ1の場合、たとえば、図5
(イ)に示す如き母材12間に形成された開先13を溶
接するに当り、電極構造体6を開先13内に挿入して母
材12との間にアークを発生させるときは、両電極4
a,4bの先端(陰極点)が母材12に同時にタッチさ
せることが必要となるが、開先13形状の微妙なゆがみ
等により、図5(ロ)や(ハ)に示す如く、いずれか一
方の電極4a又は4bしかタッチしないことがあり、ア
ークスタートが円滑に行われないことがある。
【0005】因に、2本の電極から同時にアークを発生
させるやり方として、高周波スタート法があるが、この
場合、マイコン化された制御装置等へのノイズによる誤
動作の原因となる。
【0006】そこで、本発明は、母材への溶接時に、高
周波を用いることなく、2本の電極から同時にアークを
発生させることができるような多電極溶接トーチのアー
クスタート方法及び装置を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、2本の電極を並列させてなる電極構造体
を有する多電極溶接トーチの上記2本の電極の先端が母
材に同時にタッチするまで、母材に対し、上記溶接トー
チを一旦離反させる工程と電極構造体を所要角度だけ回
転させる工程と溶接トーチを再度接近させる工程とを繰
り返して行わせるようにし、上記2本の電極が母材に同
時にタッチしたことを確認した後、2本の電極に電圧を
印加して溶接トーチを母材から所要量離反させることに
より2本の電極から同時にアークを発生させるようにす
る多電極溶接トーチのアークスタート方法とし、又、2
本の電極を並列させてなる電極構造体を有する多電極溶
接トーチに、該電極構造体を回転させる電極構造体回転
機構を設け、且つ上記2本の電極に電圧を印加するため
の電圧設定器と、該電圧設定器による設定電圧に基づい
てトーチ移動ユニットを駆動するようにさせる制御指令
器と、上記2本の電極の母材への接触を個別に検知する
タッチ検知器と、該両タッチ検知器からの出力を同時に
受けたときに上記電圧制御器を作動させる比較演算器と
を備え、更に、上記制御指令器に、該比較演算器が一方
のタッチ検知器からの出力のみしか受けなかったとき
に、溶接トーチを母材から一旦離反させた後、電極構造
体を回転させてから、再び溶接トーチを母材を接近させ
る動作を実行させるようにする機能を具備させた構成を
有する多電極溶接トーチのアークスタート装置とする。
【0008】溶接トーチを母材に接近させると、2本の
電極の先端が母材に同時タッチしたか否かがタッチ検知
器にて検知され、同時にタッチしない場合、比較演算器
からの出力に基づく制御指令器からの指令で、トーチ移
動ユニットが駆動されることにより溶接トーチが母材か
ら一旦離反させられた後、電極構造体回転機構が駆動さ
れることにより電極構造体が所要角度だけ回転させら
れ、更にトーチ移動ユニットが駆動されることにより溶
接トーチが母材に対し接近させられる工程が繰り返され
る。
【0009】タッチ検知器の信号により2本の電極の先
端が母材に同時にタッチしたことが確認されると、比較
演算器からの指令で電圧制御器が作動させられることに
より2本の電極に同時に電圧が印加され、続いて、制御
指令器からの指令でトーチ移動ユニットが駆動され、溶
接トーチが母材から所要距離だけ離反させられることに
よって、2本の電極の先端から同時アークが発生する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0011】図1及び図2は本発明の多電極溶接トーチ
のアークスタート装置の実施の一形態を示すもので、図
4(イ)(ロ)に示したと同様な構成としてあるTIG
溶接トーチ1において、電極構造体6を給電コレット7
を介して保持するコレットボディ8を、トーチ本体9に
対し回転自在に支持させるようにした構成とし、且つ上
記トーチ本体9の上端面に突出位置するコレットボディ
8の上端部外周に、大径のリングギヤ16を取り付ける
と共に、該リングギヤ16にピニオン17を噛合させ、
該ピニオン17を、トーチ本体9の外側部に設置したモ
ータ18の駆動軸18aに取り付けて、モータ18の駆
動力をピニオン17、リングギヤ16を介しコレットボ
ディ8に伝えて電極構造体6を回転できるようにした電
極構造体回転機構19を構成し、更に、上記モータ18
に回転角度検出器20を取り付けて、該回転角度検出器
20の信号を後述するアークスタート制御装置21の制
御指令器22へフィードバックできるようにする。
【0012】上記アークスタート制御装置21は、図2
に示す如く、2本の電極へ電圧を印加するための電圧制
御器23と、該電圧制御器23による設定電圧に基づい
てトーチ移動ユニット24を駆動して母材に対するTI
G溶接トーチ1の距離を保つようにさせる制御指令器2
2とを備え、且つ電極構造体6の各電極4a,4bの母
材への接触を個別に検知するタッチ検知器15a,15
bと、該両タッチ検知器15a,15bからの出力を同
時に受けたときに上記電圧制御器23を作動させるよう
にする比較演算器14とを備え、更に、上記制御指令器
22に、該比較演算器14がいずれか一方のタッチ検知
器15a又は15bの出力しか受けなかったときにトー
チ移動ユニット24を母材に対し離反方向へ駆動した
後、モータ18を一定角度だけ回転させてから、トーチ
移動ユニット24を母材に対し接近方向に駆動するよう
にさせる機能をもたせた構成としてある。
【0013】なお、上記タッチ検知器15a,15b
は、電極4a,4bのパワーケーブルとアースとの間に
微小電圧を掛けておき、電極4a,4bが母材にタッチ
すると、微小電圧が零になることによって検知できるよ
うにしたものである。
【0014】図5に示す如き母材12間に形成された開
先13を溶接する場合は、電極構造体6の2本の電極4
a,4bの先端が開先13の底部に同時にタッチするま
で、開先13の底部に対し、TIG溶接トーチ1を一旦
離反させる工程と、電極構造体6を回転させる工程と、
TIG溶接トーチ1を再び接近させる工程とを繰り返さ
せるようにし、上記2本の電極4a,4bが開先13の
底部に同時にタッチしたことを確認した後、2本の電極
4a,4bに電圧を印加してTIG溶接トーチ1を所要
量離反させることにより、2本の電極4a,4bから同
時にアークを発生させるようにし、以後、AVC(ar
c voltage control)を行わせるよう
にする。
【0015】図1、図2及び図3のフローを参照して詳
述すると、先ず、制御指令器22からの指令でトーチ移
動ユニット24を駆動してTIG溶接トーチ1を母材に
接近させると、2本の電極4a,4bが母材に同時にタ
ッチしたか否かがタッチ検知器15a,15bにて検知
され、同時にタッチしない場合は、いずれか一方のタッ
チ検知器15a又は15bの出力信号のみが比較演算器
14に入力される。この場合、比較演算器14の出力に
基づき、制御指令器22では、トーチ移動ユニット24
を駆動してTIG溶接トーチ1を一旦母材から遠避けた
後、電極構造体回転機構19のモータ18を駆動して電
極構造体6を一定角度だけ回転させ、更に、トーチ移動
ユニット24を駆動してTIG溶接トーチ1を母材に再
度近付けるような指令を出し、同時タッチを検出するま
で、上記工程を繰り返して行わせるようにする。
【0016】一方、タッチ検知器15a,15bの出力
信号により2本の電極4a,4bの先端が母材に同時に
タッチしたことが検知されると、比較演算器14の出力
信号で電圧制御器23が作動させられることにより、2
本の電極4a,4bに同時に電圧が印加され、続いて、
電圧制御器23による設定電圧に基づく制御指令器22
からの指令でトーチ移動ユニット24が駆動されること
により、TIG溶接トーチ1が母材から所要距離だけ離
される。これによって、2本の電極4a,4bの先端か
ら同時にアークが発生させられ、以後、AVCが実行さ
れる。
【0017】なお、上記実施の形態では、TIG溶接ト
ーチについて示したが、2本の消耗電極を並列させて電
極構造体としてなるMIG溶接トーチであってもよいこ
と、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種
々変更を加え得ることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の多電極溶接ト
ーチのアークスタート方法及び装置によれば、2本の電
極を並列させてなる電極構造体を有する多電極溶接トー
チの上記2本の電極の先端が同時に母材に同時にタッチ
するか否かをタッチ検知器で検知して、同時にタッチす
るまで、制御指令器からの指令でトーチ移動ユニットを
駆動することにより、上記溶接トーチを母材から一旦離
反させる工程と、電極構造体回転機構を駆動することに
より上記電極構造体を回転させる工程と、トーチ移動ユ
ニットを駆動することにより溶接トーチを再び母材に接
近させる工程を繰り返して行わせるようにし、上記2本
の電極が母材に同時にタッチしたことを確認した後、電
圧制御器を作動させることにより2本の電極に同時に電
圧を印加して溶接トーチを母材から離反させ、2本の電
極から同時にアークを発生させるようにしてあるので、
高周波スタート法の如く制御装置等へのノイズによる誤
動作発生を防止でき、信頼性を向上させることができ
る、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多電極溶接トーチのアークスタート装
置の実施の一形態を示すもので、TIG溶接トーチの概
略側面図である。
【図2】アークスタート制御装置のブロック図である。
【図3】図2のブロック図に基づくフローである。
【図4】TIG溶接トーチの一例を示すもので、(イ)
は概略側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向拡大矢視図
である。
【図5】TIG溶接トーチのアークスタートを示すもの
で、(イ)は2本の電極の先端が母材に同時にタッチし
ている状態の概略図、(ロ)は一方の電極の先端のみが
母材にタッチしている状態の概略図、(ハ)は他方の電
極の先端のみが母材にタッチしている状態の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 TIG溶接トーチ(溶接トーチ) 4a,4b 電極 6 電極構造体 12 母材 14 比較演算器 15a,15b タッチ検知器 19 電極構造体回転機構 22 制御指令器 23 電圧制御器 24 トーチ移動ユニット
フロントページの続き (72)発明者 田上 稔 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 藤島 公 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 中谷 秀人 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E001 DB01 4E082 EA02 EB01 EC16 EE03 EE08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本の電極を並列させてなる電極構造体
    を有する多電極溶接トーチの上記2本の電極の先端が母
    材に同時にタッチするまで、母材に対し、上記溶接トー
    チを一旦離反させる工程と電極構造体を所要角度だけ回
    転させる工程と溶接トーチを再度接近させる工程とを繰
    り返して行わせるようにし、上記2本の電極が母材に同
    時にタッチしたことを確認した後、2本の電極に電圧を
    印加して溶接トーチを母材から所要量離反させることに
    より2本の電極から同時にアークを発生させるようにす
    ることを特徴とする多電極溶接トーチのアークスタート
    方法。
  2. 【請求項2】 2本の電極を並列させてなる電極構造体
    を有する多電極溶接トーチに、該電極構造体を回転させ
    る電極構造体回転機構を設け、且つ上記2本の電極に電
    圧を印加するための電圧設定器と、該電圧設定器による
    設定電圧に基づいてトーチ移動ユニットを駆動するよう
    にさせる制御指令器と、上記2本の電極の母材への接触
    を個別に検知するタッチ検知器と、該両タッチ検知器か
    らの出力を同時に受けたときに上記電圧制御器を作動さ
    せる比較演算器とを備え、更に、上記制御指令器に、該
    比較演算器が一方のタッチ検知器からの出力のみしか受
    けなかったときに、溶接トーチを母材から一旦離反させ
    た後、電極構造体を回転させてから、再び溶接トーチを
    母材を接近させる動作を実行させるようにする機能を具
    備させた構成を有することを特徴とする多電極溶接トー
    チのアークスタート装置。
JP26324398A 1998-09-17 1998-09-17 多電極溶接トーチのアークスタート方法及び装置 Expired - Lifetime JP3697909B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014087819A (ja) * 2012-10-30 2014-05-15 Miyachi Technos Corp 端子部材溶接方法
JP2015202505A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社アマダミヤチ Tig溶接方法及びtig溶接装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014087819A (ja) * 2012-10-30 2014-05-15 Miyachi Technos Corp 端子部材溶接方法
JP2015202505A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社アマダミヤチ Tig溶接方法及びtig溶接装置

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