JP2000092758A - 車両用交流発電機およびそれに用いられる固定子の製造方法 - Google Patents

車両用交流発電機およびそれに用いられる固定子の製造方法

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JP2000092758A
JP2000092758A JP11200049A JP20004999A JP2000092758A JP 2000092758 A JP2000092758 A JP 2000092758A JP 11200049 A JP11200049 A JP 11200049A JP 20004999 A JP20004999 A JP 20004999A JP 2000092758 A JP2000092758 A JP 2000092758A
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志賀  孜
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草瀬  新
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慎一 松原
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義雄 仲
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インシュレータのずれを防止して良好な絶縁
性を確保することができる車両用交流発電機およびそれ
に用いられる固定子の製造方法を提供すること。 【解決手段】 車両用交流発電機の固定子は、固定子鉄
心32のスロット35にインシュレータ34を挿入した
後に、ほぼU字状に形成された導体セグメント33を固
定子鉄心32の打ち抜き方向と逆方向に挿入し、異なる
スロット35に挿入された導体セグメント33の端部同
士を接合して結線することにより形成される。固定子鉄
心32の各鋼板シート36のばりが延びる方向(打ち抜
き方向)と逆向きに導体セグメント33が挿入されるた
め、インシュレータ34のずれが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車、トラック
等に搭載され、内燃機関により駆動される車両用交流発
電機およびそれに用いられる固定子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両用交流発電機に用いられる固定子と
して、複数の導体セグメントを接合することにより形成
された巻線を有するものが従来から知られている。例え
ば、WO92/06527には、U字状の複数の導体セ
グメントを固定子鉄心の一方の端面側から挿入した後
に、反挿入側の端部同士を接合することにより巻線が形
成された固定子が開示されている。この固定子は、連続
した導体巻線を巻いて巻線を構成する場合に比べて、規
則的に配置された巻線が形成しやすい特長がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したW
O92/06527においては、導体セグメントと固定
子鉄心との間に挿入される電気絶縁用のインシュレータ
についての記載がないが、車両用交流発電機の使用環境
等によっては電気絶縁用のインシュレータが必要な場合
があり、固定子鉄心に軸方向に挿入される導体セグメン
トとの組み合わせに適したインシュレータが望まれてい
る。例えば、最も簡単には、1枚の絶縁シートを折り曲
げてインシュレータを形成する場合が考えられるが、こ
のようなインシュレータを固定子鉄心のスロット内に装
着した後に、軸方向に導体セグメントを挿入する場合に
は、インシュレータが軸方向にずれやすいという問題が
あった。特に、インシュレータがずれてスロット内壁が
露出すると、所要の絶縁性が得られないという問題があ
った。また、このずれを防止するために、導体セグメン
トを挿入する前に予め接着剤等によって固定子鉄心にイ
ンシュレータを固着することも考えられるが、工程を追
加することになるためコスト低減の点からは好ましくな
い。
【0004】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、インシュレータのずれを防
止して良好な絶縁性を確保することができる車両用交流
発電機およびそれに用いられる固定子の製造方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の車両用交流発電機は、スロット形状が
打ち抜かれた鋼板シートを積層して固定子鉄心が形成さ
れており、そのスロット内にインシュレータを装着した
後に、導体セグメントを挿入する方向を打ち抜き方向と
逆方向に設定している。固定子鉄心のスロット内壁面の
各鋼板シート端部には打ち抜き方向に沿った鋭利なばり
が形成されるため、打ち抜き方向と逆方向に導体セグメ
ントを挿入した場合には、この挿入方向に摺動しようと
するインシュレータの外周部が鋭利なばりに引っかかっ
てその移動を妨げられるため、導体セグメント挿入時の
インシュレータのずれを防止することができ、固定子鉄
心と導体セグメントとの間の良好な絶縁性を確保するこ
とができる。
【0006】また、上述した導体セグメントを、固定子
鉄心の打ち抜き方向の出口側にターン部を有する形状と
することにより、U字形状のセグメントを用いて固定子
巻線を形成した場合の導体セグメント挿入時のインシュ
レータの軸方向のずれを防止することができる。
【0007】また、固定子を構成する固定子鉄心とし
て、シートのばりが導体セグメントのターン部方向に向
けて延びているものを用いるようにしてもよい。ターン
部を有する導体セグメントを用いる場合には、このター
ン部が配置された側から固定子鉄心のスロット内に導体
セグメントを挿入することになるため、スロット内のシ
ートのばりがターン部側に延びていると、導体セグメン
ト挿入時に導体セグメントとスロット外壁面との間に介
装されたインシュレータの挿入方向に沿った移動が抑制
され、インシュレータの軸方向のずれが防止できる。
【0008】また、固定子鉄心の打ち抜き方向の出口側
に突出したインシュレータの端部が折り返された形状を
採用することで、上述した固定子鉄心のスロット内壁面
のばりの作用と相まって、導体セグメントの挿入時にイ
ンシュレータが軸方向にずれることを確実に防止するこ
とができる。このため、導体セグメントと固定子鉄心と
の間の絶縁性を確保することができる。この構成では、
インシュレータの折り返し部が、いわば位置決め部とし
て機能する。
【0009】また、固定子鉄心の打ち抜き方向の入口側
に突出したインシュレータの端部が折り返された形状を
採用することで、導体セグメントを折り曲げ加工する際
にインシュレータの端部が部分的に破れることが防止さ
れる。例えば、導体セグメントの直線部を固定子鉄心の
一方の端面から挿入し、他方の端面に突き出した導体セ
グメントの端部を折り曲げた構成にあっては、その折り
曲げ加工によりインシュレータが無理に引っ張られた
り、導体セグメントと固定子鉄心との間に挟まれて過剰
に圧迫されることがあっても、インシュレータには折り
曲げ部が形成されているため、インシュレータの部分的
な破れを防止することができる。このため、導体セグメ
ント、すなわち電気導体と固定子鉄心との間の絶縁性を
確保することができる。
【0010】また、固定子鉄心の打ち抜き方向の出口側
に突出したインシュレータの端部がスロットの開口縁よ
り外側に拡がっている形状を採用してもよい。この形状
がインシュレータの位置決めとして機能し、上述した固
定子鉄心のスロット内壁面のばりの作用と相まって、導
体セグメントの挿入時にインシュレータの軸方向のずれ
を防止できる。これにより、導体セグメントと固定子鉄
心との間の絶縁性を確保することができる。
【0011】また、固定子鉄心の打ち抜き方向の入口側
に突出したインシュレータの端部がスロットの開口縁よ
り外側に拡がっている形状を採用してもよい。これによ
り、導体セグメントを折り曲げ加工する際に、インシュ
レータの端部が部分的に破れることが防止される。例え
ば、導体セグメントの直線部を固定子鉄心の一方の端面
から挿入し、他方の端面に突き出した導体セグメントの
端部を折り曲げた構成にあっては、その折り曲げ加工に
おいて、インシュレータはあらかじめ導体セグメントの
折り曲げ方向にもラッパ状に拡げてあるので、インシュ
レータが部分的に過大な引張力を受けて破れることを防
止できる。このため、導体セグメントと固定子鉄心との
間の絶縁性を確保することができる。
【0012】また、導体セグメントは、固定子鉄心のス
ロット内壁面に沿った面を有していることが望ましい。
このような構成にすることにより、スロットの断面積に
対して導体セグメントの断面積が占める割合で示される
占積率を高めることができる。しかも、高占積率化によ
り導体セグメントとスロット内壁面とが広い面積で接触
しやすくなるため、一般にインシュレータがずれやすく
なるが、固定子鉄心の打ち抜き方向と逆方向から導体セ
グメントを挿入する場合には、そのような導体セグメン
トを採用しても、インシュレータのずれを有効に防止す
ることができる。
【0013】また、本発明の車両用交流発電機の固定子
は、スロット形状が打ち抜かれた鋼板シートを積層して
形成された固定子鉄心のスロットにインシュレータを挿
入し、インシュレータによって包囲された空間にスロッ
トの打ち抜き方向と逆方向に導体セグメントを挿入した
後に、異なるスロットに挿入された導体セグメントの端
部同士を接合することにより製造することが望ましい。
固定子鉄心の打ち抜き方向と逆方向に導体セグメントの
挿入が行われるため、固定子鉄心の鋼板シートのばりに
よってインシュレータの移動が拘束され、軸方向にずれ
ることを防止することができる。このため、固定子を製
造中にスロット内でインシュレータがずれることがな
く、導体セグメント挿入時に導体セグメントと固定子鉄
心とが接触して絶縁不良が発生することもない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した一実施形
態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳
細に説明する。
【0015】図1は、一実施形態の車両用交流発電機の
全体構造を示す断面図である。同図に示すように、本実
施形態の車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、
フレーム4、整流器5等を含んで構成されている。
【0016】固定子2は、固定子鉄心32と、固定子巻
線を構成する複数の導体セグメント33と、固定子鉄心
32と導体セグメント33との間を電気絶縁するインシ
ュレータ34とを備えている。固定子鉄心32は、薄い
鋼板シートを重ね合わせて形成されており、その内周面
には多数のスロットが形成されている。また、この固定
子鉄心32から露出している導体セグメント33によっ
て固定子巻線のコイルエンド31が形成されている。固
定子2の詳細構造については後述する。
【0017】回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状
かつ同心状に巻き回した界磁コイル8を、それぞれが6
個の爪部を有するポールコア7によって、シャフト6を
通して両側から挟み込んだ構成を有している。また、フ
ロント側のポールコア7の端面には、フロント側から吸
い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために
軸流式の冷却ファン11が溶接等によって取り付けられ
ている。同様に、リヤ側のポールコア7の端面には、リ
ヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠
心式の冷却ファン12が溶接等によって取り付けられて
いる。
【0018】フレーム4は、固定子2および回転子3を
収容しており、回転子3がシャフト6を中心に回転可能
な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコ
ア7の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2
が固定されている。また、フレーム4は、固定子2のコ
イルエンド31に対向した部分に冷却風の吐出孔42
が、軸方向端面に吸入孔41がそれぞれ設けられてい
る。
【0019】上述した構造を有する車両用交流発電機1
は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せ
ず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に
回転する。この状態で回転子3の界磁コイル8に外部か
ら励磁電圧を印加することにより、ポールコア7のそれ
ぞれの爪部が励磁され、固定子巻線に3相交流電圧を発
生させることができ、整流器5の出力端子からは所定の
直流電流が取り出される。
【0020】次に、固定子2の詳細について説明する。
図2は、固定子巻線を構成する導体セグメント33の斜
視図であり、固定子鉄心32に組み付ける前の状態が示
されている。図2に示すように、導体セグメン33は、
棒状あるいは板状の金属材料(例えば銅)をターン部3
3cで折り曲げたほぼU字状に形成されており、ターン
部33cよりスロットの内周側に配置される内層側導体
部33aと、ターン部33cよりスロットの外周側に配
置される外層側導体部33bとを含んで構成される。ま
た、これらの内層側導体部33aと外層側導体部33b
のそれぞれは、固定子2のスロット内に収容される直線
部としての内部導体と、スロットの外部に露出する外部
導体とによって構成されている。
【0021】図3は、固定子2の部分的な外観図であ
る。図3に示すように、固定子巻線を構成する各導体セ
グメント33は、固定子鉄心32の軸方向側面の一方に
ターン部33cが、他方にターン部33cと反対側の端
部33dが配置されている。固定子2の一方のコイルエ
ンド31を構成する導体セグメント33の斜行部33e
は、外層と内層とで逆方向に傾斜しており、各層内では
同一方向に傾斜している。また、各導体セグメント33
の端部33d同士の結線は、超音波溶着、アーク溶接、
ろう付け等の電気的接合による場合の他に、かしめなど
の機械加工手段を用いてもよい。
【0022】図4は、固定子2の部分的な断面図であ
る。固定子2の固定子巻線は、固定子鉄心32の各スロ
ット35に2本の導体セグメント33を挿入し、異なる
スロット35に挿入された導体セグメント33の端部3
3d同士を互いに結線することにより構成されている。
図4に示すように、この導体セグメント33の内層側導
体部33aおよび外層側導体部33bのそれぞれの断面
形状は、周方向よりも径方向に長い長方形を有してお
り、この長方形の長辺が径方向に沿って配置されてい
る。この導体セグメント33は、その表面に絶縁皮膜が
形成されており、隣接する導体セグメント33同士の絶
縁はそれぞれの表面に形成された絶縁皮膜によって行わ
れる。また、各導体セグメント33とスロット35の内
壁面との間の電気的絶縁は、インシュレータ34によっ
て行われる。
【0023】図5は、図4のV−V線断面図であり、ス
ロット35内部の状態が示されている。固定子鉄心32
は、複数の鋼板シート36を積層することにより形成さ
れている。例えば、図6に示すように、スロットに対応
する凹部37がプレス型を用いて打ち抜かれた帯状の鋼
板を螺旋状に巻き取ることにより固定子32が形成され
る。このように、鋼板シート36を打ち抜くことによっ
て固定子鉄心32が形成されるため、スロット35の内
壁面には、鋼板シート36のそれぞれの端部に鋭利なば
りが形成される。本実施形態の固定子2では、スロット
35の内壁面に形成された各鋼板シート36のばりの向
きを整列させるとともに、ばりの延びる方向(固定子鉄
心32の打ち抜き方向の出口側)に導体セグメント33
のターン部33cが配置されている。また、導体セグメ
ント33は、スロット35の内壁面に沿った面を有して
おり、高い占積率が実現されている。
【0024】図7は、インシュレータ34の詳細形状と
組み付け方向を示す図である。図7に示すように、イン
シュレータ34は、1枚のシートをスロット35の断面
形状に合わせて折り曲げた形状を有している。固定子鉄
心32のスロット35にインシュレータ34を挿入する
場合には、固定子鉄心32の各鋼板シート36のばりが
延びる方向と反対側から、スロット35に対して軸方向
に沿って挿入を行うことが望ましい。スロット35の打
ち抜き方向に沿ってインシュレータ34を挿入すること
により、ばりにインシュレータ34が引っかからずにす
むため、インシュレータ34の組み付け作業が容易とな
る。
【0025】次に、固定子の製造工程を以下に説明す
る。まず、スロット35の内壁面にばりの形成方向が整
列した固定子鉄心32を用意し、図7に示すように、固
定子鉄心32の各スロット35にインシュレータ34を
挿入する(第1の工程)。次に、図2に示す外層側導体
部33bと内層側導体部33aとターン部33cとで構
成されたほぼ同一形状のU字状の導体セグメント33
を、スロット35の内壁面のばりが延びる方向であって
固定子鉄心32の軸方向側面の同一側にターン部33c
が揃うように重ね、図4に示すように外層側導体部33
bがスロット35の奥側に、内層側導体部33aがスロ
ット35の開口側に位置するように、各導体セグメント
33をスロット35に先に挿入されたインシュレータ3
4内に挿入する(第2の工程)。この導体セグメント3
3は、銅平板を折り曲げ、プレス等でほぼU字型形状に
整形することにより製作され、ほぼ平行のスロット側面
に外層側導体部33bおよび内層側導体部33aの両側
面がインシュレータ34を介して当接するように圧入さ
れる。次に、図8に示すように、ターン部33cによっ
て形成されるコイルエンド31とは反対側に位置する端
部33dを互いに反対の周方向に折り曲げた後、異層の
他の導体セグメント33の端部33d同士が接合されて
結線される(第3の工程)。
【0026】このように、固定子鉄心32のスロット3
5の内壁面には、鋼板シート36をプレス型で打ち抜い
たときに鋭利なばりがでるため、導体セグメント33の
組み付け時の挿入方向をこのばりが延びた方向と逆方
向、すなわち打ち抜き方向と逆方向に設定することによ
り、導体セグメント33とスロット35の内壁面との間
に介装されたインシュレータ34が導体セグメント33
の挿入時に軸方向にずれることを防止することができ
る。したがって、固定子鉄心32と導体セグメント33
との間の良好な絶縁性を確保することができる。
【0027】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形実施が
可能である。例えば、上述した実施形態では、軸方向端
部が折り返されていないインシュレータ34を用いた
が、いずれか一方の軸方向端部が折り返されているイン
シュレータを用いるようにしてもよい。図9は、導体セ
グメント33のターン部33cが配置された側(固定子
鉄心32の打ち抜き方向の出口側)が折り返されたイン
シュレータ34Aを用いた固定子の部分的な断面図であ
る。この折り返し部38が固定子鉄心32Aの一方の端
面に当接するようにインシュレータ34Aを組み付けた
後に、導体セグメント33が軸方向に挿入されるため、
インシュレータ34Aの軸方向位置のずれがさらに防止
される。また、この折り返し部38は、インシュレータ
34Aの位置決め用にも用いられるため、インシュレー
タ34Aの軸方向の位置決めが容易になる。
【0028】また、図10は導体セグメント33の端部
33dが配置された側(固定子鉄心32の打ち抜き方向
の入口側)が折り返されたインシュレータ34Bを用い
た固定子の部分的な断面図である。導体セグメント33
の反挿入方向に対応するインシュレータ34Bの端部に
折り返し部39が形成されているため、インシュレータ
34Bが部分的に補強され、導体セグメント33を固定
子鉄心32のスロット35内に挿入した後に端部33d
側を折り曲げる際に、この折り曲げ時の圧迫によって生
じるインシュレータ34Bの部分的な破れを防止するこ
とができる。
【0029】また、上述した実施形態では、1スロット
当たりの導体数が2本の場合を説明したが、1スロット
当たりの導体数を増やすようにしてもよい。例えば、図
11に示すように、固定子鉄心32に形成された各スロ
ット135内に、4本の導体セグメント133をスロッ
ト135の深さ方向に関してのみ配列して収容するよう
にしてもよい。このような構造においては、図12に示
すような接合構造が採用できる。1つのスロット135
に収容された4本の導体セグメント133は、周方向に
向けて交互に延び出している。図12では、手前に図示
された最外周が時計回り方向に延びており、最も奥に位
置する最内周が反時計回り方向に延びている。そして、
各導体セグメント133の端部133dは、所定ピッチ
離れた別のスロット135から延びる他の導体セグメン
ト133の端部133dと接合されている。図12で
は、最内周の導体セグメント133と第2層の導体セグ
メント133とが接合され、第3層の導体セグメント1
33と最外層の導体セグメント133とが接合されてい
る。
【0030】また、上述した実施形態では、固定子鉄心
32の一方の側面側にターン部33cを有するほぼU字
状の導体セグメント33を用いたが、このターン部33
cで分離した折り返しのない導体セグメントを用い、こ
の導体セグメントの両端部を接合するようにしてもよ
い。図13は、I字状あるいはJ字状と呼びうる導体セ
グメントの形状を示す斜視図である。同図に示す導体セ
グメント233は、固定子鉄心32のスロット35内に
挿入される直線部である内部導体233hと、この内部
導体233hの両端において固定子鉄心32の軸方向両
側に延びる外部導体233iとによって構成されてい
る。2つの外部導体233iの少なくとも一方は、スロ
ット内への挿入後に破線形状から曲げられる。そして、
図14に示すように、端部233dが異なるスロットに
挿入された他の導体セグメント233の端部233dと
接合されて結線がなされることにより、全体として固定
子巻線が形成される。この導体セグメント233はシン
プルな形状を有しているため、製造が容易になる利点が
ある。また、各導体セグメント233とインシュレータ
34とを1対1に対応させることができるため、スロッ
ト35内にインシュレータ34を挿入し、さらにその中
に導体セグメント233を挿入する場合の作業が容易と
なる。
【0031】また、図15に示すように、いずれか一方
の軸方向端部340aがスロット開口縁よりも拡がって
いるインシュレータ340を用いてもよい。なお、イン
シュレータ340の端部のラッパ状の成形は、筒状にさ
れたインシュレータを、スロット35の打ち抜き方向に
挿入した後に行われる。
【0032】図16は、導体セグメント33のターン部
33cが配置された側(固定子鉄心32の打ち抜き方向
の出口側)にインシュレータ340のラッパ状端部を3
40aを配置した固定子の部分的な断面図である。この
場合、ラッパ状端部340aがスロット35にインシュ
レータ340を挿入するときの軸方向の位置決めとして
作用し、導体セグメント33が軸方向に挿入されるとき
に、インシュレータ340の軸方向のずれがさらに防止
される。
【0033】なお、インシュレータの軸方向のずれを防
止するための端部形状は、折り返し部38若しくはラッ
パ状端部340aに限られるものではない。すなわち、
導体セグメント33のターン部33cが配置された側
(固定子鉄心32の打ち抜き方向の入口側)に、スロッ
ト35の軸方向開口縁よりも拡がったいわゆる位置決め
部若しくは位置ずれ防止部と呼べる部分形成されていれ
ば、インシュレータの軸方向のずれを防止することが可
能となる。
【0034】また、図17は、導体セグメント33の端
部33dが配置された側(固定子鉄心32の打ち抜き方
向の入口側)に、インシュレータ340のラッパ状端部
340aを配置した固定子の部分的な断面図である。こ
の場合、導体セグメント33を固定子鉄心32のスロッ
ト35内に挿入した後に端部33d側を折り曲げる際
に、インシュレータ340はあらかじめ導体セグメント
の端部33dの折り曲げ方向にもラッパ状の端部340
aを有しているので、インシュレータ340の部分的な
破れを防止できる。
【0035】なお、インシュレータの部分的な破れを防
止するための端部形状は、折り返し部38若しくはラッ
パ状端部340aに限られるものではない。すなわち、
導体セグメント33の端部33dが配置された側(固定
子鉄心32の打ち抜き方向の出口側)に、折り曲げ部が
形成されていてば、インシュレータの部分的な破れを防
止することが可能となる。
【0036】なお、図17のように、インシュレータ3
40のラッパ状端部が打ち抜き方向の入口側に形成され
る場合には、インシュレータ340挿入時にラッパ状端
部がスロット35内を通過することがなく、インシュレ
ータ340の挿入の妨げとならない。そのため、ラッパ
状端部が打ち抜き方向の入口側に形成される場合には、
インシュレータ340の端部のラッパ状成形は、インシ
ュレータ340のスロット挿入前に行ってもよい。
【0037】さらに、図18に示すように、インシュレ
ータ341がスロット35の内壁を周回する方向にオー
バーラップ部341bを、スロット35の内周側の開口
部351以外に持つようにしてもよい。これにより、開
口部351側から水等の侵入を防止して、導体セグメン
ト33の被膜劣化を防ぎ、固定子鉄心32との絶縁性を
向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示
す断面図である。
【図2】固定子巻線を構成する導体セグメントの斜視図
である。
【図3】固定子の部分的な外観図である。
【図4】固定子の部分的な断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】鋼板シートを積層して形成される固定子鉄心の
説明図である。
【図7】インシュレータの詳細形状を示す斜視図であ
る。
【図8】固定子の両端面のコイルエンドの詳細を示す斜
視図である。
【図9】インシュレータの一方の端部を折り返した固定
子の部分的な断面図である。
【図10】インシュレータの他方の端部を折り返した固
定子の部分的な断面図である。
【図11】各スロットに4本の導体セグメントが挿入さ
れた固定子の部分的な断面図である。
【図12】各スロットに4本の導体セグメントが挿入さ
れた固定子の部分的な斜視図である。
【図13】折り返しのない導体セグメントの形状を示す
斜視図である。
【図14】図13に示した導体セグメントを用いて構成
した固定子の部分的な外観図である。
【図15】他の実施形態のインシュレータの詳細を示す
斜視図である。
【図16】インシュレータの一方の端部を拡げた固定子
の部分的な断面図である。
【図17】インシュレータの一方の端部を拡げた固定子
の部分的な断面図である。
【図18】オーバーラップ部を持つインシュレータの詳
細を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機 2 固定子 3 回転子 4 フレーム 32 固定子鉄心 33 導体セグメント 33d 端部 34 インシュレータ 35 スロット 36 鋼板シート 38、39 折り返し部分 41 吸入孔 42 吐出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 草瀬 新 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 松原 慎一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 仲 義雄 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子と、前記回転子の外周に対向配置
    した固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフ
    レームとを有する車両用交流発電機において、 前記固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と、
    前記スロットに収納され固定子巻線を形成する複数の導
    体セグメントと、前記スロットの内壁面と前記導体セグ
    メントとの間に介装されたインシュレータとを有し、 前記固定子鉄心は、前記スロット形状が打ち抜かれた鋼
    板シートが積層され、前記導体セグメントの前記スロッ
    トへの挿入方向と、前記打ち抜き方向とが逆方向である
    ことを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記導体セグメントは、前記固定子鉄心の打ち抜き方向
    の出口側にターン部を有することを特徴とする車両用交
    流発電機。
  3. 【請求項3】 回転子と、前記回転子の外周に対向配置
    した固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフ
    レームとを有する車両用交流発電機において、 前記固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と、
    前記スロットに収納され固定子巻線を形成するターン部
    を有する複数の導体セグメントと、前記スロットの内壁
    面と前記導体セグメントとの間に介装されたインシュレ
    ータとを有し、 前記固定子鉄心は、前記スロット形状が打ち抜かれた鋼
    板シートが積層されて形成されており、 前記固定子鉄心のシートのばりが、前記導体セグメント
    の前記ターン部方向に向けて延びていることを特徴とす
    る車両用交流発電機。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記インシュレータは、前記固定子鉄心の打ち抜き方向
    の出口側に突出した端部が折り返されていることを特徴
    とする車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記インシュレータは、前記固定子鉄心の打ち抜き方向
    の入口側に突出した端部が折り返されていることを特徴
    とする車両用交流発電機。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記インシュレータは、前記固定子鉄心の打ち抜き方向
    の出口側に突出した端部が、前記スロットの開口縁より
    外側に拡がっていることを特徴とする車両用交流発電
    機。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記インシュレータは、前記固定子鉄心の打ち抜き方向
    の入口側に突出した端部が、前記スロットの開口縁より
    外側に拡がっていることを特徴とする車両用交流発電
    機。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかにおいて、 前記導体セグメントは、前記スロットの内壁面に沿った
    面を有していることを特徴とする車両用交流発電機。
  9. 【請求項9】 スロット形状が打ち抜かれた鋼板シート
    を積層して形成された固定子鉄心の前記スロットにイン
    シュレータを挿入する第1の工程と、 前記インシュレータによって包囲された前記スロット内
    の空間に、前記スロットの打ち抜き方向と逆方向に導体
    セグメントを挿入する第2の工程と、 異なる前記スロットに挿入された前記導体セグメントの
    端部同士を接合する第3の工程と、 を備えることを特徴とする車両用交流発電機に用いられ
    る固定子の製造方法。
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