JP2000092612A - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

ハイブリッド駆動装置

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JP2000092612A JP10253121A JP25312198A JP2000092612A JP 2000092612 A JP2000092612 A JP 2000092612A JP 10253121 A JP10253121 A JP 10253121A JP 25312198 A JP25312198 A JP 25312198A JP 2000092612 A JP2000092612 A JP 2000092612A
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伸幸 長島
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光広 梅山
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寛 伊藤
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邦夫 森沢
Hiroyuki Shioiri
広行 塩入
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60KARRANGEMENT OR MOUNTING OF PROPULSION UNITS OR OF TRANSMISSIONS IN VEHICLES; ARRANGEMENT OR MOUNTING OF PLURAL DIVERSE PRIME-MOVERS IN VEHICLES; AUXILIARY DRIVES FOR VEHICLES; INSTRUMENTATION OR DASHBOARDS FOR VEHICLES; ARRANGEMENTS IN CONNECTION WITH COOLING, AIR INTAKE, GAS EXHAUST OR FUEL SUPPLY OF PROPULSION UNITS IN VEHICLES
    • B60K6/00Arrangement or mounting of plural diverse prime-movers for mutual or common propulsion, e.g. hybrid propulsion systems comprising electric motors and internal combustion engines ; Control systems therefor, i.e. systems controlling two or more prime movers, or controlling one of these prime movers and any of the transmission, drive or drive units Informative references: mechanical gearings with secondary electric drive F16H3/72; arrangements for handling mechanical energy structurally associated with the dynamo-electric machine H02K7/00; machines comprising structurally interrelated motor and generator parts H02K51/00; dynamo-electric machines not otherwise provided for in H02K see H02K99/00
    • B60K6/20Arrangement or mounting of plural diverse prime-movers for mutual or common propulsion, e.g. hybrid propulsion systems comprising electric motors and internal combustion engines ; Control systems therefor, i.e. systems controlling two or more prime movers, or controlling one of these prime movers and any of the transmission, drive or drive units Informative references: mechanical gearings with secondary electric drive F16H3/72; arrangements for handling mechanical energy structurally associated with the dynamo-electric machine H02K7/00; machines comprising structurally interrelated motor and generator parts H02K51/00; dynamo-electric machines not otherwise provided for in H02K see H02K99/00 the prime-movers consisting of electric motors and internal combustion engines, e.g. HEVs
    • B60K6/50Architecture of the driveline characterised by arrangement or kind of transmission units
    • B60K6/54Transmission for changing ratio
    • B60K6/543Transmission for changing ratio the transmission being a continuously variable transmission

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充電量が少ない場合であっても充分なトルク
で後進走行の可能なハイブリッド駆動装置を提供する。 【解決手段】 遊星歯車機構における3つの回転要素の
うちのいずれか1つの回転要素5であって固定されるこ
とにより他の2つの回転要素4,8が互いに反対方向に
回転する関係となる回転要素5を選択的に固定するブレ
ーキ手段B1 が設けられるとともに、前記他の2つの回
転要素4,8のいずれか一方の回転要素4に内燃機関1
が常時もしくは選択的に連結され、かつ他方の回転要素
8に電動機2が常時もしくは選択的に連結され、さらに
電動機2が連結された回転要素8を出力部材10に選択
的に連結する第1クラッチ手段C1 と、ブレーキ手段B
1 によって固定される回転要素5に出力部材10を選択
的に連結する第2クラッチ手段C2 とが設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガソリンエンジ
ンやディーゼルエンジンなどの内燃機関とモータやモー
タ・ジェネレータなどの電力によって動作して動力を出
力する電動機とを備えた車両用のハイブリッド駆動装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように内燃機関は、不可避的に排
ガスを生じる。その排ガスの成分や量は、内燃機関の運
転状態に依存し、一般的な傾向としてスロットル開度を
増大した高負荷運転時には排ガスの清浄度が低下しやす
く、また燃費も低下しやすい。これに対して最近では、
内燃機関を搭載した車両の排ガスに対する清浄度の要求
が高くなってきており、このような要望に応えるべくハ
イブリッド駆動装置が開発されている。
【0003】ハイブリッド駆動装置は、内燃機関と電動
機とを動力源として備えた駆動装置であって、基本的に
は、内燃機関は最も効率の良い状態で運転し、それ以外
の走行状態では、電動機を補助的にもしくは動力源とし
て使用するように構成されている。したがってハイブリ
ッド駆動装置は、電流によってトルクを制御できる電動
機を備えているので、内燃機関のみを動力源とした従来
の車両におけるような変速装置は用いられていなかった
が、いわゆるパラレルハイブリッド形式のように、内燃
機関を発電用の動力源のみとしてではなく走行用の動力
源としても使用するハイブリッド駆動装置では、変速装
置を搭載するようになってきている。またさらに、内燃
機関のトルクと電動機のトルクとを遊星歯車機構などの
単一の変速機構に入力し、内燃機関の出力トルクを増幅
して出力するように構成した装置も開発されている。
【0004】その一例が、特開平9−37411号公報
に記載されている。この公報の図11に記載された装置
は、ダブルピニオン型遊星歯車機構を備え、そのリング
ギヤに出力軸が連結されるとともに、サンギヤにモータ
・ジェネレータが連結され、またキャリヤとエンジンと
を選択的に連結する入力クラッチが設けられ、さらにキ
ャリヤを選択的に固定するブレーキと、キャリヤとサン
ギヤとを連結して遊星歯車機構の全体を一体化する一体
化クラッチが設けられている。そしてその出力軸は、無
段変速機に連結することができる。
【0005】したがって上記の公報の図11に記載され
たハイブリッド駆動装置においては、キャリヤにエンジ
ンから動力を入力している状態でサンギヤにモータ・ジ
ェネレータから動力を入力すると、出力部材であるリン
グギヤには、エンジントルクより大きいトルクが出力さ
れ、またモータ・ジェネレータを逆回転させて動力を吸
収すれば、発電をおこなうことができる。また駆動力
は、無段変速機での変速比に応じて連続的に変化させる
ことができる。このような遊星歯車機構におけるトルク
増幅機能と無段変速機の連続的な変速比の変更機能とを
利用して、燃費が最も良好になるように内燃機関を運転
することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したように電動機
を動力源として備えていれば、電流によって電動機の出
力トルクを制御できるので、基本的には変速装置が不要
であり、上述した従来のハイブリッド駆動装置において
も、前記遊星歯車機構や無段変速機は、内燃機関の燃費
が最良になるように運転するための制御手段として使用
している。そのために、上記の遊星歯車機構の構成で
は、内燃機関の出力で走行している場合、出力要素であ
るリングギヤを入力要素であるキャリヤに対して反対方
向に回転させることができない。したがって上記従来の
ハイブリッド装置によって後進走行する場合には、内燃
機関をアイドリング状態とするとともに、キャリヤをブ
レーキで固定し、その状態でモータ・ジェネレータをモ
ータとして機能させることにより、出力要素であるリン
グギヤを内燃機関とは反対方向に回転させている。
【0007】すなわち上記従来のハイブリッド駆動装置
では、後進走行を電動機によっておこなうように構成さ
れている。そのために、蓄電器(バッテリ)の充電量
(SOC)が少ない場合には、後進走行に要求される充
分なトルクを出力できない可能性があった。このような
不都合を解消するためには、内燃機関を起動して充電を
おこない、バッテリの充電量を増大させればよいが、そ
のためには、充電が完了するまで後進走行を待たなけれ
ばならなくなる。特に電動機が発電機を兼ねた形式のパ
ラレルハイブリッド装置では、電動機による走行と発電
とを同時におこなうことができないから、蓄電器での充
電量が低下した場合には、後進走行が直ちに困難になる
不都合があった。
【0008】この発明は、上記の事情を背景にしてなさ
れたものであり、蓄電器の充電量が少ない場合であって
も後進走行のためのトルクを必要十分に確保することの
できるハイブリッド駆動装置を提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の課
題を解決するために、請求項1に記載した発明は、サン
ギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置されたリン
グギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配置さ
れた複数のピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持した
キャリヤとを回転要素とする遊星歯車機構を介して、内
燃機関と電動機とから出力部材に動力を出力するハイブ
リッド駆動装置において、前記3つの回転要素のうちの
いずれか1つの回転要素であって固定されることにより
他の2つの回転要素が互いに反対方向に回転する関係と
なる回転要素を選択的に固定するブレーキ手段が設けら
れるとともに、前記他の2つの回転要素のいずれか一方
の回転要素に前記内燃機関が常時もしくは選択的に連結
され、かつ他方の回転要素に前記電動機が常時もしくは
選択的に連結され、さらに前記電動機が連結された回転
要素を前記出力部材に選択的に連結する第1クラッチ手
段と、前記ブレーキによって固定される回転要素に前記
出力部材を選択的に連結する第2クラッチ手段とが設け
られていることを特徴とするものである。
【0010】したがって請求項1の発明によれば、ブレ
ーキ手段によってこのブレーキ手段に連結されている回
転要素を固定するとともに、第1クラッチ手段によって
電動機の連結された回転要素を出力部材に連結し、さら
に第2クラッチ手段を非動作状態としてブレーキ手段で
固定される回転要素と出力部材との連結を解除すれば、
内燃機関が連結された回転要素と出力部材が連結されて
いる回転要素とが互いに反対方向に回転する関係とな
る。そのため、内燃機関を駆動すれば、出力部材が逆回
転し、後進走行することができる。また、ブレーキ手段
を非動作状態として回転要素の固定を解除し、かつ第1
クラッチ手段を非動作状態として出力部材と電動機が連
結された回転要素との連結を解除し、さらに第2クラッ
チ手段を動作させてブレーキ手段に連結されている回転
要素と出力部材とを連結すれば、内燃機関が連結されて
いる回転要素に対して反力要素となる回転要素に電動機
の動力を入力できるので、出力部材のトルクを電動機の
トルクによって制御でき、また出力部材の回転を、電動
機の出力を制御することにより、内燃機関を運転したま
ま停止させることができる。
【0011】また、請求項2の発明は、請求項1の構成
において、前記遊星歯車機構が、前記サンギヤに噛合し
た第1ピニオンギヤと該第1ピニオンギヤおよび前記リ
ングギヤに噛合した第2ピニオンギヤとを有するダブル
ピニオン型遊星歯車機構からなり、これらのピニオンギ
ヤを保持しているキャリヤに前記電動機が連結され、か
つ前記サンギヤに内燃機関が連結され、さらに前記ブレ
ーキ手段が前記リングギヤとケーシングとの間に配置さ
れ、前記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記キ
ャリヤに連結されるとともに第2クラッチ手段を介して
前記リングギヤに連結されるように構成されていること
を特徴とするものである。
【0012】したがって請求項2の発明によれば、ブレ
ーキ手段によってリングギヤを固定すれば、サンギヤと
キャリヤとが互いに反対方向に回転する関係なるので、
第1クラッチ手段によってキャリヤを出力部材に連結し
た状態で内燃機関を駆動すれば、出力部材が内燃機関と
は反対方向に逆回転し、したがって後進走行をおこなう
ことができる。また、ブレーキ手段によるリングギヤの
固定を解除するとともに、第2クラッチ手段によってリ
ングギヤと出力部材とを連結すれば、サンギヤに対して
反力要素となるキャリヤに電動機の動力が入力されるか
ら、出力部材のトルクを電動機のトルクによって制御で
き、また出力部材の回転を、電動機の出力を制御するこ
とにより、内燃機関を運転したまま停止させることがで
きる。
【0013】請求項3の発明は、請求項1の構成におい
て、前記遊星歯車機構が、前記サンギヤに噛合した第1
ピニオンギヤと該第1ピニオンギヤおよび前記リングギ
ヤに噛合した第2ピニオンギヤとを有するダブルピニオ
ン型遊星歯車機構からなり、これらのピニオンギヤを保
持しているキャリヤに前記内燃機関が連結され、かつ前
記サンギヤに電動機が連結され、さらに前記ブレーキ手
段が前記リングギヤとケーシングとの間に配置され、前
記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記サンギヤ
に連結されるとともに第2クラッチ手段を介して前記リ
ングギヤに連結されるように構成されていることを特徴
とするものである。
【0014】したがって請求項3の発明によれば、ブレ
ーキ手段によってリングギヤを固定するとともに、第1
クラッチ手段によってサンギヤと出力部材とを連結し、
かつ第2クラッチ手段によるリングギヤと出力部材との
連結を解除した状態とすれば、請求項2の発明と同様
に、サンギヤとキャリヤとが互いに反対方向に回転する
関係となるので、キャリヤに内燃機関の動力を入力する
と、サンギヤがキャリヤとは反対方向すなわち内燃機関
に対して逆回転し、その結果、サンギヤと一体の出力部
材が逆回転するために、内燃機関の動力によって後進走
行をおこなうことができる。また、ブレーキ手段による
リングギヤの固定を解除した状態で第1クラッチ手段に
よるサンギヤと出力部材との連結を解除し、かつ第2ク
ラッチ手段によってリングギヤと出力部材とを連結すれ
ば、キャリヤに対して反力要素となるサンギヤに電動機
の動力が入力されるために、出力部材のトルクを、電動
機のトルクによって制御でき、また出力部材の回転を、
電動機の出力を制御することにより、内燃機関を運転し
たまま停止させることができる。
【0015】請求項4の発明は、請求項1の構成におい
て、前記遊星歯車機構が、前記サンギヤとリングギヤと
に噛合した複数のピニオンギヤを有するシングルピニオ
ン型遊星歯車機構からなり、これらのピニオンギヤを保
持しているキャリヤとケーシングとの間に前記ブレーキ
手段が配置され、かつ前記サンギヤに電動機が連結さ
れ、さらに前記リングギヤに前記内燃機関が連結され、
前記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記サンギ
ヤに連結されるとともに第2クラッチ手段を介して前記
キャリヤに連結されるように構成されていることを特徴
とするものである。
【0016】したがって請求項4の発明によれば、ブレ
ーキ手段によってキャリヤを固定するとともに、第1ク
ラッチ手段によってサンギヤと出力部材とを連結し、か
つ第2クラッチ手段によるキャリヤと出力部材との連結
を解除した状態とすれば、キャリヤが固定要素であるこ
とにより、内燃機関の連結されているリングギヤと出力
部材に連結されているサンギヤとが互いに反対方向に回
転する関係となり、したがって内燃機関を駆動すれば、
サンギヤおよびこれに連結されている出力部材が逆回転
(すなわち内燃機関の回転方向とは反対方向の回転)す
ることになり、その結果、内燃機関の動力によって後進
走行することができる。また、ブレーキ手段によるキャ
リヤの固定を解除した状態で第1クラッチ手段による出
力部材とサンギヤとの連結を解除する一方、第2クラッ
チ手段によって出力部材とキャリヤとを連結すれば、内
燃機関の連結されているリングギヤに対して反力要素と
なるサンギヤに電動機からの動力を入力することができ
るので、キャリヤに連結されている出力部材のトルク
を、電動機のトルクによって制御でき、また出力部材の
回転を、電動機の出力を制御することにより、内燃機関
を運転したまま停止させることができる。
【0017】請求項5の発明は、サンギヤと、該サンギ
ヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、これら
サンギヤとリングギヤとの間に配置された複数のピニオ
ンギヤを自転かつ公転自在に保持したキャリヤとを回転
要素とする遊星歯車機構を介して、内燃機関と電動機と
から出力部材に動力を出力するハイブリッド駆動装置に
おいて、前記3つの回転要素のうちのいずれか1つの回
転要素であって固定されることにより他の2つの回転要
素が互いに反対方向に回転する関係となる回転要素に、
第1入力クラッチ手段を介して前記電動機が連結される
とともに、前記他の2つの回転要素のいずれか一方の回
転要素に第2入力クラッチ手段を介して前記電動機が連
結され、かつ他方の回転要素に前記内燃機関が常時もし
くは選択的に連結され、さらに前記第2入力クラッチ手
段によって前記電動機が連結された回転要素を前記出力
部材に選択的に連結する第1出力クラッチ手段と、前記
第1入力クラッチ手段によって前記電動機に連結された
回転要素を前記出力部材に選択的に連結する第2出力ク
ラッチ手段とが設けられていることを特徴とするもので
ある。
【0018】したがって請求項5の発明によれば、第1
入力クラッチ手段と第1出力クラッチ手段とを動作状態
としてこれらのクラッチ手段よる前記各回転部材の連結
をおこない、かつ第2入力クラッチ手段と第2出力クラ
ッチ手段とを非動作状態としてこれらのクラッチ手段に
よる連結状態を解除すれば、電動機の出力する動力が第
1入力クラッチ手段によって連結された回転要素に伝達
され、これに対して出力部材が他の回転要素に連結され
る。この状態では、内燃機関の連結されている回転要素
と出力部材が連結されている回転要素とが、相互にいわ
ゆる反力要素となり、したがって電動機によって第1入
力クラッチ手段によって連結されている回転要素を固定
すれば、内燃機関の動力が反転して出力部材に伝達さ
れ、その結果、内燃機関の動力によって後進走行するこ
とができる。その場合、電動機の出力する動力を制御す
れば、出力部材の連結されている回転要素の回転数ある
いはトルクが変化し、したがって電動機によって後進走
行時の駆動力を制御することができる。また、その出力
部材の回転を、電動機の出力を制御することにより、止
めることもできる。これに対して、第2入力クラッチ手
段と第2出力クラッチ手段とを動作させてこれらのクラ
ッチ手段による各回転部材の連結をおこない、かつ第2
入力クラッチ手段と第1出力クラッチ手段とを非動作状
態としてこれらのクラッチ手段による連結動作を解除す
れば、第2出力クラッチ手段によって出力部材の連結さ
れている回転要素が出力要素となるとともに、内燃機関
の連結されている回転要素と第2入力クラッチ手段によ
って電動機が連結されている回転要素とが互いに反力要
素となる。したがって内燃機関を動作させた状態で電動
機の出力する動力を変化させれば、電動機の出力するト
ルクに応じて出力部材のトルクが変化するので、出力部
材のトルクを電動機のトルクによって制御でき、また出
力部材の回転を、電動機の出力を制御することにより、
内燃機関を運転したまま停止させることができる。
【0019】請求項6の発明は、請求項5の構成におい
て、前記第1入力クラッチ手段と前記第2出力クラッチ
手段とに連結されている前記回転要素とケーシングとの
間に一方向クラッチが配置されていることを特徴とする
ものである。
【0020】したがって請求項6の発明によれば、一方
向クラッチによって前記回転要素の回転を止めた状態で
は、内燃機関の連結されている回転要素と電動機が連結
されている回転要素とが互いに反力要素となるので、電
動機を逆回転させることにより、この電動機に第2入力
クラッチ手段によって連結された回転要素が逆回転する
一方、内燃機関の連結されている回転要素が正回転する
ために、電動機の出力トルクが反転されて内燃機関に伝
達される。すなわち電動機によって内燃機関を回転させ
ることができるので、この状態で内燃機関に燃料を供給
するなどのことにより、内燃機関を始動することができ
る。
【0021】請求項7の発明は、内燃機関の出力する動
力と電動機が出力する動力とを、個別にもしくは合成し
て出力部材に伝達するハイブリッド駆動装置において、
第1サンギヤと、該第1サンギヤに対して同心円上に配
置されたリングギヤと、第1サンギヤに噛合した第1ピ
ニオンギヤおよび該第1ピニオンギヤと前記リングギヤ
とに噛合した第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保
持するキャリヤと、第2ピニオンギヤに噛合した第2サ
ンギヤとを有するラビニヨ型遊星歯車機構と、前記内燃
機関を前記第1サンギヤに選択的に連結する第1クラッ
チ手段と、前記内燃機関を前記第2サンギヤに選択的に
連結する第2クラッチ手段と、前記キャリヤを選択的に
固定するブレーキ手段とを有し、前記電動機が前記第2
サンギヤに連結されるとともに、前記出力部材が前記リ
ングギヤに連結されていることを特徴とするものであ
る。
【0022】したがって請求項7の発明によれば、ブレ
ーキ手段によってキャリヤを固定し、かつ第1クラッチ
手段による連結を解除し、さらに第2クラッチ手段によ
って内燃機関を第2サンギヤに連結すれば、その第2サ
ンギヤとリングギヤとが、シングルピニオン型遊星歯車
機構におけるサンギヤとリングギヤとの関係とになるの
で、内燃機関によって第2サンギヤを正回転させること
により、リングギヤおよびこれに連結されている出力部
材が逆回転する。すなわち、内燃機関の動力によって後
進走行をおこなうことができる。また、第1クラッチ手
段によって内燃機関を第1サンギヤに連結するととも
に、第2クラッチ手段とブレーキ手段とを非動作状態と
して各回転部材の連結を解除すれば、互いに反力要素と
なる第1サンギヤと第2サンギヤとに内燃機関と電動機
とが連結された状態となる。したがって出力部材のトル
クを電動機のトルクによって制御でき、また出力部材の
回転を、電動機の出力を制御することにより、内燃機関
を運転したまま停止させることができる。
【0023】請求項8の発明は、内燃機関の出力する動
力と電動機が出力する動力とを、個別にもしくは合成し
て出力部材に伝達するハイブリッド駆動装置において、
第1サンギヤと、該第1サンギヤに対して同心円上に配
置されたリングギヤと、第1サンギヤに噛合した第1ピ
ニオンギヤおよび該第1ピニオンギヤと前記リングギヤ
とに噛合した第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保
持するキャリヤと、第2ピニオンギヤに噛合した第2サ
ンギヤとを有するラビニヨ型遊星歯車機構と、前記内燃
機関を前記第1サンギヤに選択的に連結する第1クラッ
チ手段と、前記電動機を前記キャリヤに選択的に連結す
る第2クラッチ手段と、前記リングギヤを選択的に固定
するブレーキ手段とを有し、前記電動機が前記第2サン
ギヤに連結されるとともに、前記出力部材が前記キャリ
ヤに連結されていることを特徴とするものである。
【0024】したがって請求項8の発明によれば、第1
クラッチ手段によって内燃機関を第1サンギヤに連結
し、かつブレーキ手段によってリングギヤを固定し、さ
らに第2クラッチ手段を非動作状態としてキャリヤと電
動機との連結を解除することにより、第1サンギヤに対
してキャリヤが逆回転する。したがって内燃機関を駆動
して第1サンギヤを正回転させることにより、キャリヤ
およびこれに連結された出力部材が逆回転し、その結
果、内燃機関の動力によって後進走行することができ
る。また、第1クラッチ手段のみを動作させて内燃機関
を第1サンギヤに連結すれば、互いに反力要素となる各
サンギヤに内燃機関と電動機とが連結された状態となる
ので、出力部材のトルクを電動機のトルクによって制御
でき、また出力部材の回転を、電動機の出力を制御する
ことにより、内燃機関を運転したまま停止させることが
できる。
【0025】請求項9の発明は、請求項7もしくは8の
構成において、前記出力部材もしくは出力部材に一体に
連結されている部材の回転を選択的に止める固定手段
が、さらに設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0026】したがって請求項9の発明によれば、固定
手段によって出力部材もしくはこれに一体の部材の回転
を止め、その状態で電動機を動作させれば、電動機の連
結された第2サンギヤに対して反力要素となる第1サン
ギヤが、第2サンギヤに対して反対方向に回転する。し
たがって第1クラッチ手段によって内燃機関を第1サン
ギヤに連結しておき、電動機を逆回転させれば、第1サ
ンギヤおよびこれに連結されている内燃機関が正回転す
る。その状態で、内燃機関に燃料を供給し、また必要に
応じて点火すれば、内燃機関を始動することができる。
【0027】請求項10の発明は、請求項7もしくは8
の構成において、前記第2ピニオンギヤの前記第1ピニ
オンギヤに噛合している部分の歯数と前記第2サンギヤ
に噛合している部分の歯数とが相違していることを特徴
とするものである。
【0028】したがって請求項10の発明によれば、電
動機の動力を出力部材に伝達する際のギヤ比が、請求項
7もしくは8に記載した構成とは相違し、例えば、第2
サンギヤが噛合している部分の歯数を多くすることによ
り、電動機の動力で走行する場合の駆動力を大きくする
ことができる。
【0029】請求項11の発明は、内燃機関の出力する
動力と電動機が出力する動力とを、個別にもしくは合成
して出力部材に伝達するハイブリッド駆動装置におい
て、サンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置さ
れたリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間
に配置されたピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持し
たキャリヤとを回転要素する第1遊星歯車機構および第
2遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構におけるいずれか
1つの回転要素であって固定されることにより他の2つ
の回転要素が互いに反対方向に回転する関係となる回転
要素を選択的に固定するブレーキ手段が設けられるとと
もに、前記他の2つの回転要素のうちのいずれか一方の
回転要素に前記内燃機関を選択的に連結する第2クラッ
チ手段が設けられ、かつ他方の回転要素が前記出力部材
に連結され、前記第1遊星歯車機構におけるいずれか1
つの回転要素であって固定されることにより他の2つの
回転要素が互いに反対方に回転する関係となる回転要素
が、前記出力部材に連結され、かつこの第1遊星歯車機
構における前記他の2つの回転要素のうちのいずれか一
方の回転要素に第1クラッチ手段を介して前記内燃機関
が連結され、さらに前記第1遊星歯車機構における前記
他の2つの回転要素のうちの他方の回転要素に、前記電
動機の動力が伝達されるように構成されていることを特
徴とするものである。
【0030】したがって請求項11の発明によれば、ブ
レーキ手段によって第2遊星歯車機構における所定の回
転要素を固定することにより、他の2つの回転要素が互
いに反対方向に回転する状態となる。そして第2クラッ
チ手段を動作させることにより、これら他の2つの回転
要素のうちの一方に内燃機関が連結され、かつ他方に出
力部材が連結されているので、内燃機関を駆動すること
により、出力部材が内燃機関とは反対方向に回転する。
したがって内燃機関の動力によって後進走行することが
できる。また、第1クラッチ手段によって内燃機関を第
1遊星歯車機構の所定の回転要素に連結し、かつ第2ク
ラッチ手段とブレーキ手段とを非動作状態として各回転
要素の連結を解除した状態で、電動機をおよび内燃機関
を駆動すると、第2遊星歯車機構では、所定の回転要素
に出力部材からの負荷が掛かっている状態で他の回転要
素に内燃機関からトルクが入力されるので、更に他の回
転要素にトルクが生じてこれが第1遊星歯車機構におけ
る前記他の2つの回転要素のいずれか一方に伝達され
る。また、第1遊星歯車機構では、他方の回転要素に内
燃機関の出力するトルクが掛かり、また前記他方の回転
要素に電動機の出力に応じたトルクが作用しているの
で、出力要素である回転要素を挟んで互いに反力要素と
なる2つの回転要素に、内燃機関の動力と電動機の動力
とが作用していることになる。その結果、出力部材のト
ルクを電動機のトルクによって制御でき、また出力部材
の回転を、電動機の出力を制御することにより、内燃機
関を運転したまま停止させることができる。
【0031】請求項12の発明は、請求項11の構成に
おいて、前記第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構
が、サンギヤとリングギヤとに噛合した複数のピニオン
ギヤを前記キャリヤによって自転かつ公転自在に保持し
たシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、
前記ブレーキ手段が、第2遊星歯車機構のキャリヤとケ
ーシングとの間に配置されるとともに、このキャリヤと
前記第1遊星歯車機構のリングギヤとが連結され、前記
第2クラッチ手段が、前記第2遊星歯車機構のサンギヤ
と内燃機関とを連結するように配置されとともにそのサ
ンギヤに前記電動機が連結され、かつ第2遊星歯車機構
のリングギヤが第1遊星歯車機構のキャリヤに連結さ
れ、さらに第1遊星歯車機構のキャリヤが第2遊星歯車
機構のリングギヤおよび出力部材に連結され、かつこの
第1遊星歯車機構のサンギヤが前記第1クラッチ手段を
介して前記内燃機関に連結されていることを特徴とする
ものである。
【0032】したがって請求項12の発明によれば、ブ
レーキ手段によって第2遊星歯車機構におけるキャリヤ
を固定することにより、サンギヤとリングギヤとが互い
に反対方向に回転する関係となる。そして第2クラッチ
手段を動作させることにより、第2遊星歯車機構のサン
ギヤに内燃機関が連結され、かつリングギヤに出力部材
が連結されているので、内燃機関を駆動することによ
り、出力部材が内燃機関とは反対方向に回転する。した
がって内燃機関の動力によって後進走行することができ
る。また、第1クラッチ手段によって内燃機関を第1遊
星歯車機構のサンギヤに連結し、かつ第2クラッチ手段
とブレーキ手段とを非動作状態として各回転部材の連結
を解除した状態で、電動機および内燃機関を駆動する
と、第2遊星歯車機構では、リングギヤに出力部材から
の負荷が掛かっている状態でサンギヤにトルクが入力さ
れるので、キャリヤにトルクが生じてこれが第1遊星歯
車機構のリングギヤに伝達される。また、第1遊星歯車
機構では、サンギヤに内燃機関の出力するトルクが掛か
り、またリングギヤに電動機の出力に応じたトルクが作
用しているので、出力要素であるキャリヤを挟んで互い
に反力要素となるサンギヤとリングギヤとに、内燃機関
の動力と電動機の動力とが作用していることになる。そ
の結果、出力部材のトルクを電動機のトルクによって制
御でき、また出力部材の回転を、電動機の出力を制御す
ることにより、内燃機関を運転したまま停止させること
ができる。
【0033】請求項13の発明は、請求項11の構成に
おいて、前記第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構
が、サンギヤとリングギヤとに噛合した複数のピニオン
ギヤを前記キャリヤによって自転かつ公転自在に保持し
たシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、
第2遊星歯車機構のキャリヤが前記第1遊星歯車機構の
サンギヤに連結されるとともにこれらキャリヤとサンギ
ヤとを選択的に固定するように前記ブレーキ手段が配置
され、前記第2クラッチ手段が、前記第2遊星歯車機構
のサンギヤと内燃機関とを連結するように配置され、か
つ第2遊星歯車機構のリングギヤが第1遊星歯車機構の
キャリヤに連結されるとともにこのキャリヤが前記出力
部材に連結され、かつこの第1遊星歯車機構のリングギ
ヤが前記第1クラッチ手段を介して前記内燃機関に連結
されていることを特徴とするものである。
【0034】したがって請求項13の発明によれば、ブ
レーキ手段によって第2遊星歯車機構におけるキャリヤ
を固定することにより、サンギヤとリングギヤとが互い
に反対方向に回転する状態となる。そして第2クラッチ
手段を動作させることにより、第2遊星歯車機構のサン
ギヤに内燃機関が連結され、かつリングギヤに出力部材
が連結されているので、内燃機関を駆動することによ
り、出力部材が内燃機関とは反対方向に回転する。した
がって内燃機関の動力によって後進走行することができ
る。また、第1クラッチ手段によって内燃機関を第1遊
星歯車機構のリングギヤに連結し、かつ第2クラッチ手
段とブレーキ手段とを非動作状態として各回転部材の連
結を解除した状態で、電動機をおよび内燃機関を駆動す
ると、第2遊星歯車機構では、リングギヤに出力部材か
らの負荷が掛かっている状態でサンギヤにトルクが入力
されるので、キャリヤにトルクが生じてこれが第1遊星
歯車機構のサンギヤに伝達される。また、第1遊星歯車
機構では、リングギヤに内燃機関の出力するトルクが掛
かり、またサンギヤに電動機の出力に応じたトルクが作
用しているので、出力要素であるキャリヤを挟んで互い
に反力要素となるリングギヤとサンギヤとに、内燃機関
の動力と電動機の動力とが作用していることになる。そ
の結果、出力部材のトルクを電動機のトルクによって制
御でき、また出力部材の回転を、電動機の出力を制御す
ることにより、内燃機関を運転したまま停止させること
ができる。
【0035】そして、請求項14の発明は、請求項11
もしくは13のいずれかの構成において、前記出力部材
もしくは出力部材に一体化されている部材の回転を選択
的に止める固定手段が更に設けられていることを特徴と
するものである。
【0036】したがって請求項14の発明によれば、固
定手段によって出力部材もしくはこれと一体の回転要素
の回転を止めることにより、電動機を連結した回転要素
と内燃機関を連結した回転要素とが、同方向もしくは反
対方向に回転する状態となるので、電動機からこれに連
結されている回転要素に適宜の方向のトルクを入力する
と、内燃機関が正回転方向に回転させられる。したがっ
てその状態で内燃機関に燃料を供給し、また必要に応じ
て点火することにより、内燃機関を始動することができ
る。
【0037】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明をより具体的に
説明する。図1はこの発明に係るハイブリッド駆動装置
の一例を示す模式図であって、内燃機関1および電動機
2の動力を個別にもしくは合成して出力するように構成
されている。その内燃機関1は、ガソリンエンジンやデ
ィーゼルエンジンなどの燃料を燃焼して動力を出力する
動力装置である。以下の説明では、内燃機関をエンジン
(Eng.)1と記す。
【0038】また電動機2は、要は、電流が供給される
ことにより回転して動力を出力する動力装置であって、
同期型などの各種の形式のモータを使用することがで
き、さらには発電機能を備えた電動機を使用することが
できる。以下の説明では、電動機として発電機能を備え
たものを例として示し、電動機をモータ・ジェネレータ
(M/G)2と記す。
【0039】これらエンジン1およびモータ・ジェネレ
ータ2の動力を個別にもしくは合成して出力する機構と
してダブルピニオン型遊星歯車機構3を主体とした機構
が設けられている。この遊星歯車機構3は、外歯歯車で
あるサンギヤ4と、このサンギヤ4と同心円上に配置し
た内歯歯車であるリングギヤ5と、サンギヤ4に噛合す
る第1ピニオンギヤ6およびこの第1ピニオンギヤ6と
リングギヤ5とに噛合した第2ピニオンギヤ7とを自転
かつ公転自在に保持したキャリヤ8とを回転要素とし、
これら3つの回転要素の間で差動作用をおこなう公知の
構成のものである。
【0040】これらの回転要素のうちサンギヤ4にエン
ジン1の出力軸(例えばクランクシャフト)が連結され
ている。エンジン1としてレシプロエンジンを使用した
場合には、燃料の間欠的な燃焼によるトルクの変動すな
わち振動が生じるので、その振動を吸収もしくは緩和す
るために、エンジン1とサンギヤ4との間にダンパ機構
(図示せず)を介在させてもよい。また、キャリヤ8に
モータ・ジェネレータ2のロータ2rが連結されてい
る。
【0041】さらに、リングギヤ5とケーシング9との
間にブレーキB1 が設けられている。このブレーキB1
はリングギヤ5を選択的に固定するためのものであっ
て、ケーシング9 との間に設けた多板ブレーキやバン
ドブレーキなどの摩擦係合式の装置を使用することがで
きる。また、このブレーキB1 は、油圧によって動作す
る形式のもの以外に、電気的に動作する形式のものを使
用することもできる。
【0042】出力部材である出力軸10がエンジン1と
同一軸線上に配置されている。この出力軸10に対して
動力を選択的に伝達するための手段として2つのクラッ
チが設けられている。すなわちキャリヤ8と出力軸10
とを選択的に連結する第1クラッチC1 と、リングギヤ
5と出力軸10とを選択的に連結する第2クラッチC2
とが設けられている。これらのクラッチC1 ,C2 は、
油圧によって係合・解放する多板式のものが最も一般的
であるが、これ以外に噛み合い式のクラッチなど各種の
形式のものを使用することができ、またその係合・解放
のための手段として電気式の手段を備えたものを使用す
ることもできる。
【0043】前記出力軸10が変速機11に連結されて
いる。この変速機11は、変速比を変更して駆動トルク
を増減するためのものであって、遊星歯車機構を主体と
して構成された有段式の変速機や、同期切換機構(シン
クロナイザー)などによって回転部材の連結関係を変更
するタイプの有段式変速機、ベルト式の無段変速機、ト
ロイダル式の無段変速機などの各種の変速機を使用する
ことができる。図1には、ベルト式の無段変速機11を
模式的に示してある。
【0044】この無段変速機11は、公知の構成のもの
であって、溝幅を変更することのできる駆動プーリ12
と従動プーリ13とを平行に配置し、これらのプーリ1
2,13に対するベルト(図示せず)の巻き掛け半径
を、各プーリ12,13の溝幅を変更することにより変
更して変速比を連続的に変化させるように構成されてい
る。
【0045】その従動プーリ13と平行にカウンタ軸1
4が配置され、これら従動プーリ13とカウンタ軸14
とが1対のカウンタギヤ15,16によって連結されて
いる。また、このカウンタ軸14に取り付けられた他の
ギヤ17が出力ギヤ18に噛合している。この出力ギヤ
18は、一例としてディファレンシャル装置のリングギ
ヤである。
【0046】つぎに上述したハイブリッド駆動装置の作
用について説明する。この発明に係る上述した装置で
は、ブレーキB1 および各クラッチC1 ,C2 の係合状
態に応じて各種の走行(運転)モードが可能であって、
これを表に示せば図2のとおりである。なお、図2およ
びこれと同種の他の図において、×印は解放(非動作)
状態を示し、また○印は係合(動作)状態を示す。以
下、各運転モードについて説明する。
【0047】先ず、エンジンの始動モードについて説明
する。このモードは、車両の停止状態でエンジン1を始
動するモードであって、ブレーキB1 を係合させる。す
なわち遊星歯車機構3のリングギヤ5をケーシング9に
対して固定する。なお、これに加えて第2クラッチC2
を係合させて出力軸10を固定してもよい。この状態で
エンジン1の回転方向とは反対方向にモータ・ジェネレ
ータ2を駆動してキャリヤ8を逆回転させると、リング
ギヤ5が固定されていることにより、サンギヤ4が正回
転する。すなわちサンギヤ4に連結されたエンジン1が
正回転させられるので、同時に燃料の供給を開始し、ま
たガソリンエンジンであれば点火をおこなうことによ
り、エンジン1が始動する。
【0048】この状態を図3に共線図として示してあ
る。なお、図3およびこれと同種の他の図において
“S”はサンギヤ4を示し、“R”はリングギヤ5を示
し、“CR”はキャリヤ8を示する。また、矢印はトル
クの方向を示している。さらにρは、サンギヤとリング
ギヤとの歯数の比(ギヤ比)を示す。図3において、リ
ングギヤ5を固定した状態でモータ・ジェネレータ2に
よってキャリヤ8を逆回転方向に回転させると、サンギ
ヤ4が正回転させられ、そのサンギヤ4に連結されたエ
ンジン1が始動させられる。
【0049】つぎに前進走行時のETCモードについて
説明する。このETCモードは、上述した装置をトルク
コンバータとして機能させるモードであり、上記の第2
クラッチC2 のみを係合させて出力軸10をリングギヤ
5に連結する。このモードでは、エンジン1を例えば最
も効率の良い状態で運転し、これに対してモータ・ジェ
ネレータ2は、リングギヤ5に生じるトルクが走行の要
求に沿うものとなるように駆動する。この状態を示す共
線図は、例えば図4のとおりであり、エンジン1が駆動
していることによりサンギヤ4に正のトルクが生じてお
り、これに対して車両を走行させるための負荷によりリ
ングギヤ5には負の方向のトルクが作用しており、さら
にキャリヤ8にはモータ・ジェネレータ2の出力するト
ルクが正方向に作用している。この状態でモータ・ジェ
ネレータ2を逆回転させれば、リングギヤ5の回転数が
低下し、モータ・ジェネレータ2の回転数によっては、
図4に実線で示してあるように、リングギヤ5の回転数
がゼロになり、車両が停止した状態となる。すなわち、
エンジン1を駆動しつつ車両を停止状態に維持すること
ができる。
【0050】また、図4に実線で示す状態からモータ・
ジェネレータ2の正方向の出力トルクを増大させてその
回転数を正回転方向に増大させると(逆回転方向の回転
数を減少させると)、エンジン1およびこれと一体のサ
ンギヤ4の回転数が一定に維持されているので、図4に
破線で示すように、出力要素であるリングギヤ5が正方
向に回転する。そしてそのトルクは、入力したトルク
を、遊星歯車機構3のギヤ比ρに応じて増幅させたトル
クとなる。すなわちトルクの増幅作用が生じる。言い換
えれば、モータ・ジェネレータ2によるアシスト作用が
生じる。
【0051】さらに、モータモードについて説明する。
このモードは、モータ・ジェネレータ2の動力のみによ
って走行するモードであって、第1クラッチC1 のみを
係合させ、その状態でモータ・ジェネレータ2を駆動す
る。この状態では、モータ・ジェネレータ2およびキャ
リヤ8ならびに出力軸10が直結された状態となるの
で、モータ・ジェネレータ2の動力がそのまま出力軸1
0に伝達され、モータ・ジェネレータ2によって走行す
ることができる。
【0052】さらに、エンジン・モータ(Eng+モー
タ)モードについて説明する。このモードは、いわゆる
直結走行モードであって、第1クラッチC1 と第2クラ
ッチC2 とを係合させる。これらのクラッチC1 ,C2
が係合することにより、キャリヤ8とリングギヤ5とが
出力軸10を介して連結されるから、遊星歯車機構3の
全体が一体化される。すなわちエンジン1およびモータ
・ジェネレータ2が出力軸10に直結された状態とな
る。したがってエンジン1およびモータ・ジェネレータ
2から出力された動力がそのまま出力軸10を経て変速
機11に入力される。
【0053】つぎに、後進走行のためのモードについて
説明する。後進走行はエンジン1の動力での走行、モー
タ・ジェネレータ2の動力での走行、ならびにエンジン
1およびモータ・ジェネレータ2の動力での走行が可能
である。先ず、エンジンモードについて説明すると、こ
のモードでは、第1クラッチC1 を係合させてキャリヤ
8に出力軸10を連結するとともに、ブレーキB1 を係
合させてリングギヤ5を固定する。この状態を示す共線
図は図5のとおりであって、エンジン1を駆動すれば、
リングギヤ5を固定した状態でサンギヤ4が正回転する
ことによりキャリヤ8が逆回転する。すなわちエンジン
1の回転方向とは反対方向に出力軸10が回転すること
により、エンジン1の動力によって後進走行する。
【0054】またモータ後進モードは、第1クラッチC
1 のみを係合させる。これは、前述した前進走行でのモ
ータモードと同様であり、モータ・ジェネレータ2が出
力軸10に直結された状態になるので、モータ・ジェネ
レータ2を逆回転させることにより、出力軸10が逆回
転する。すなわちモータ・ジェネレータ2の動力により
後進走行する。
【0055】後進走行でのエンジン・モータ(Eng+
モータ)モードでは、第1クラッチC1 とブレーキB1
とを係合させる。これは、後進走行でのエンジンモード
と同様な状態であり、エンジン1を駆動することによ
り、キャリヤ8およびこれに連結されている出力軸10
が逆回転するが、キャリヤ8にはモータ・ジェネレータ
2が常時連結されているので、モータ・ジェネレータ2
を逆回転方向に駆動することにより、その動力が出力軸
10に伝達され、後進走行のための駆動力が増大する。
すなわちモータ・ジェネレータ2によって駆動力をアシ
ストすることができる。
【0056】このように、図1に示すハイブリッド駆動
装置では、ETCモードにおいて、エンジン1によって
出力したトルクを、遊星歯車機構3にモータ・ジェネレ
ータ2のトルクを入力することにより増幅して出力軸1
0に出力することができる。また、モータ・ジェネレー
タ2の回転数を制御することにより、エンジン1を駆動
したまま、出力軸10の回転を止めることができる。し
たがって遊星歯車機構3をトルクコンバータと同様に機
能させることができる。
【0057】さらに、後進走行する場合、エンジン1の
動力にのみによって走行することができ、したがって変
速機11として、上記のベルト式無段変速機のように後
進段を設定することのできない変速機を採用することが
できる。そしてまた、モータ・ジェネレータ2の動力に
よってエンジン1を回転させてエンジン1を始動するこ
とができる。そのため、上記のハイブリッド駆動装置で
は、従来必要としていたスタータモータを廃止すること
ができる。
【0058】上記のハイブリッド駆動装置では、前進走
行の際のETCモードで第2クラッチC2 によって出力
軸10をリングギヤ5に連結し、またエンジン1の動力
による後進走行の際には第1クラッチC1 によって出力
軸10をキャリヤ8に連結する。このように、出力軸1
0を連結する回転要素を変更することによっていわゆる
ETCモードとエンジン1による後進走行が可能とな
り、したがって上記の各クラッチC1 ,C2 が、いわゆ
る出力切り換えクラッチとなっている。
【0059】上述したハイブリッド駆動装置を具体化し
た例を図6ないし図8に示してある。ここに示すハイブ
リッド駆動装置は、フロントケース20とミッドケース
21とリヤケース22とを有しており、これら三者でケ
ーシング23が形成されている。フロントケース20
は、エンジンに連結されるように構成され、エンジンの
出力軸24と軸線を一致させた貫通孔を有する隔壁部2
5がその内部に形成されている。この隔壁部25を挟ん
でエンジンとは反対側の開口端にカバー26が取り付け
られており、このカバー26と隔壁部25との間にモー
タ室27が形成されている。このモータ室27の内部に
モータ・ジェネレータ28が収容されている。
【0060】前記カバー26には、隔壁部25と同様に
前記出力軸24と軸線を一致させた貫通孔が形成されて
おり、これら隔壁部25の内周部とカバー26の内周部
とに嵌合させた軸受29によってロータ30が回転自在
に保持されている。このロータ30は、軸受29によっ
て支持されたボス部から半径方向で外側に突出したフラ
ンジ部の外周部に永久磁石を取り付けたものであって、
その永久磁石と半径方向で対向する位置に、ステータ3
1が配置されている。このステータ31は、フロントケ
ース20の内周面に固定されている。また、ロータ30
のボス部とカバー26の内壁面との間にレゾルバー32
が配置されている。なお、前記軸受29は、モータ室2
7の液密性を確保するために、シール材を備えた軸受で
あることが好ましい。
【0061】前記モータ室27の外周側には、液密構造
の中空部33が形成されており、この中空部33に冷却
水を流すことにより、モータ・ジェネレータ28を冷却
するように構成されている。すなわちこの中空部33が
ウォータージャケットとなっている。
【0062】前記ロータ30のボス部は、中空軸状に形
成されており、そのボス部の内部に入力軸34が回転自
在に挿入されている。この入力軸34は、前記隔壁部2
5を貫通してエンジン側に突出しており、その突出端が
ドライブプレート35を介してエンジンの出力軸24に
連結されている。すなわちドライブプレート35は、外
周側の質量を大きくした慣性モーメントの大きいプレー
トであって、エンジンの出力軸24に取り付けられてい
る。また、このドライブプレート35は、回転方向に向
けた配置したコイルスプリングなどの弾性体を有するダ
ンパー機構36を備えており、そのダンパー機構36の
ボス部が前記入力軸34の先端部に一体的に嵌合してい
る。
【0063】上記のフロントケース20に連結されたミ
ッドケース21には、入力軸34と軸線を一致させた貫
通孔を有する隔壁部37が、軸線方向での中間部に形成
されている。この隔壁部37と前記カバー26との間に
形成されている中空部に、遊星歯車機構38およびブレ
ーキB1 ならびに2つのクラッチC1 ,C2 が収納され
ている。
【0064】この遊星歯車機構38は、前述したダブル
ピニオン型の遊星歯車機構であって、前記カバー26に
隣接して配置されている。この遊星歯車機構28におけ
るサンギヤ39は、前記入力軸34と一体に形成されて
いる。また前記ロータ30のボス部が入力軸34の外周
面に沿って遊星歯車機構38側に延びており、そのボス
部(すなわち中空軸部)の先端外周部に、キャリヤ40
がスプライン嵌合されている。このキャリヤ40のカバ
ー26側の側面には、半径方向に飛散する潤滑油をピニ
オンギヤ側に導くガイドプレート41が取り付けられて
いる。
【0065】リングギヤ42は、円筒状の部材であっ
て、これを軸線方向および半径方向に支持するリテーナ
43が、リングギヤ42の内周面でかつ軸線方向での一
端部に連結されている。このリテーナ43は、キャリヤ
40とカバー26との間に配置され、これらキャリヤ4
0とカバー26との間に配置したスラスト軸受によって
軸線方向に対して位置決めされ、またキャリヤ40のボ
ス部に回転自在に嵌合することにより半径方向に対して
位置決めされている。
【0066】リングギア42の外周面に円筒状をなすブ
レーキハブ44が一体的に固定されている。このブレー
キハブ44にスプライン嵌合させた複数枚の摩擦板とミ
ッドケース21の内周面にスプライン嵌合させた摩擦板
とが軸線方向において交互に配置されており、これらの
摩擦板によってブレーキB1 が構成されている。
【0067】前記隔壁部37とミッドケース21の内周
面との交差部分にはブレーキB1 側に向けて開口した中
空部が形成されており、この中空部にピストン45が軸
線方向に前後動するように配置されている。このピスト
ン45の先端部が前記ブレーキB1 の近傍にまで延びて
おり、したがってこのピストン45の背面側に油圧を供
給することにより、ピストン45が図6の右方向に移動
して摩擦板を押圧することにより、ブレーキB1 を係合
させるように構成されている。
【0068】ピストン45の内周側には、第2クラッチ
C2 用のクラッチドラム46が配置されている。このク
ラッチドラム46は、前記隔壁部37に沿う側壁部を有
する有形円筒状の中空部材であって隔壁部37のボス部
によって回転自在に保持されている。このクラッチドラ
ム46の円筒部分における内周面に前記ブレーキハブ4
4の先端がスプライン嵌合するとともに、複数枚の摩擦
板がスプライン嵌合させられており、これらの摩擦板の
間に他の摩擦板が交互に配置されている。これら他の摩
擦板はクラッチドラム46の内周側に配置した第1クラ
ッチC1 用のクラッチドラム47の外周面にスプライン
嵌合しており、したがってこれらの摩擦板によって第2
クラッチC2 が構成されている。
【0069】これらの摩擦板を押圧して第2クラッチC
2 を係合させるピストン48が前記クラッチドラム46
の内周部に軸線方向へ前後動するように収納されてい
る。このピストン48の背面側すなわちクラッチドラム
46の内部に対する油圧の供給は、前記隔壁部37に形
成した油路を介しておこなうように構成されている。さ
らに、このピストン48の前面側(図6における右側)
には、リテーナによって保持したリターンスプリング4
9が配置されている。
【0070】隔壁部37の内周側には出力軸50が貫通
して回転自在に保持されておりこの出力軸50の後端部
(図6の右側の端部)は、前記入力軸34の先端部に回
転自在に嵌合している。この出力軸50における入力軸
34側の端部には、半径方向に突出したフランジ部が形
成されており、ここに前記クラッチドラム47が一体的
に連結されている。したがって、第2クラッチC2 によ
って、リングギア42と出力軸50とを選択的に連結す
るように構成されている。
【0071】このクラッチドラム47は第1クラッチC
1 用のものであって、その内周面に複数枚の摩擦板がス
プライン嵌合されており、これらの摩擦板と軸線方向に
おいて交互に配置した摩擦板が前記キャリヤ40に一体
化させたクラッチハブ51の外周面にスプライン嵌合さ
せられている。すなわち、こられの摩擦板によって第1
クラッチC1 が構成されている。この第1クラッチC1
を係合させるピストン52は、出力軸50の半径方向に
伸びるフランジ部によって保持されている。このピスト
ン52を動作させる油圧は、前記隔壁部37から出力軸
50の内部を通ってピストン52の背面側に供給するよ
うに構成されている。このピストン52を復帰動作させ
るリターンスプリング53がピストン52の前面側に配
置されている。
【0072】なお、上述したハイブリッド駆動装置で
は、図6に示すようにロータ30およびステータ31を
可及的に外周側に配置することによりモータ・ジェネレ
ータ28により発生するトルクを大きくする一方、ステ
ータ31の内周側に生じる空間部に遊星歯車機構38の
一部を入り込ませることにより、スペースを有効利用し
て軸線方向での寸法が短縮化されている。
【0073】ミッドケース21に連結されたリヤケース
22と前記隔壁部37との間の中空部に変速機54が配
置されている。この変速機54は前述したようにベルト
式の無段変速機であって、出力軸50と同一軸線上に駆
動プーリ55が配置されている。この駆動プーリ55は
固定シーブ56と可動シーブ57とから構成されてお
り、これらのシーブ56、57の対向する壁面がテーパ
面となっていて、これらのテーパ面によって、ベルト5
8を挟み込む溝部が形成されている。固定シーブ56は
中空状の軸部を備えており、その軸部の一端部の外周側
に嵌合させた軸受59を介して前記隔壁部37によって
回転自在に支持され、かつその中空部に前記出力軸50
の先端部が挿入されてスプライン嵌合されている。可動
シーブ56の他方の端部はリヤケース22の内周部に取
り付けた軸受60によって回転自在に保持されている。
可動シーブ57はこの固定シーブ56における中空軸部
の外周側に軸線方向へスライド可能に嵌合されている。
この可動シーブ57はダブルピストンタイプの油圧サー
ボ機構61によって固定シーブ56側へ移動させられる
ように構成されている。
【0074】上記の駆動プーリ55と平行に従動プーリ
62が設けられている。この従動プーリ62は駆動プー
リ55と同様に固定シーブ63と可動シーブ64とから
構成されており、これらの各シーブ63,64の間の溝
部にベルト58を巻掛けるように構成されている。固定
シーブ63は中空の軸部を有しており、その一方の端部
(図7での左側の端部)が軸受65を介して、リヤケー
ス22によって回転自在に保持されており、また他方の
端部が軸受66を介して隔壁部37によって回転自在に
保持されている。可動シーブ64は、この固定シーブ6
3における中空軸部の外周に軸線方向へ移動し得るよう
嵌合させられている。この可動シーブ64と固定シーブ
63の中空軸部との間には、可動シーブ64を軸線方向
に滑らかに移動させるとともに、固定シーブ63と一体
的に回転させるためにボールスプライン67が設けられ
ている。この可動シーブ64の背面側(図7の右側)に
は可動シーブ64を固定シーブ63側に押圧する油圧サ
ーボ機構68が設けられている。
【0075】この変速機54の変速比の制御は各油圧サ
ーボ機構61,68に油圧を供給することによっておこ
なわれるが、その制御は従来のベルト式無段変速機によ
る制御とほぼ同様である。すなわち、従動プーリ62側
の油圧サーボ機構68に要求トルクに応じた油圧を供給
しておき、これに対して駆動プーリ55側の油圧サーボ
機構61には要求される変速比を設定する油圧を供給す
る。すなわち、従動プーリ62側の油圧によって、ベル
ト58に所定の張力を付与しておく一方、駆動プーリ5
5側の油圧を高くすることにより、駆動プーリ55の溝
幅が狭くなって、ベルト58の巻き掛け半径が大きくな
り、その結果、変速比が小さくなる。これとは反対に駆
動プーリ55側の油圧を低下させると、ベルト58に掛
かっている張力により駆動プーリ55の溝幅が押し広げ
られ、その結果、ベルト58の巻き掛け半径が小さくな
るために、変速比が大きくなるように構成されている。
【0076】前記出力軸50および固定シーブ56の内
部にはその中心軸線に沿って貫通したポンプシャフト6
9が配置されており、そのポンプシャフト69の一方の
端部は入力軸34にスプライン嵌合させられている。こ
のポンプシャフト69の先端部には、チェーンスプロケ
ット70が取り付けられている。このチェーンスプロケ
ット70は図示しないオイルポンプに駆動力を伝達する
ためのものである。また、このチェーン70および図示
しないチェーンはエンドカバー71によって覆われてい
る。また、図7において符号72は、パーキングギアで
あって、従動プーリ62における固定シーブ63にスプ
ライン嵌合されている。
【0077】前記フロントケース20とミッドケース2
1とは、半径方向に突出した部分を備えており、その突
出部分にカウンターシャフト73とディファレンシャル
74とが収納されている。カウンターシャフト73は比
較的短い回転軸であって、その両端部を軸受75によっ
て回転自在に保持されるとともに、前記従動プーリ62
における固定シーブ63の軸部に一対のカウンターギア
76によって連結されている。またこのカウンターシャ
フト73には他の歯車77が一体に形成されており、こ
の歯車77がディファレンシャル74におけるリングギ
ア78(出力ギア)に噛合している。なお、図6におい
て符号79は、シール部材を示し、フロントケース20
における隔壁25と入力軸34との間を液密状態にシー
ルしている。
【0078】上述した図6ないし図8に示す構成であれ
ば、外径の大きいモータ・ジェネレータ28がドライブ
プレート35と隣接して配置され、またブレーキB1 や
クラッチC1 ,C2 が無段変速機54側に配置されてい
るから、外径寸法の近似した部材を互いに隣接させる構
成となっており、その結果、全体としてコンパクトな装
置とすることができる。
【0079】つぎにこの発明の他の例について説明す
る。図9に示す例は、前述した図1に示す構成の配置お
よび連結関係を変更したものである。すなわちエンジン
1がキャリヤ8に常時連結されており、これに対してモ
ータ・ジェネレータ2がサンギヤ4に常時連結されてい
る。このように、エンジン1とモータ・ジェネレータ2
との連結関係を、図1に示す構成から変更したことによ
り、第1クラッチC1 は出力軸10とサンギヤ4とを選
択的に連結するように配置されている。また、モータ・
ジェネレータ2は変速機11を挟んで各クラッチC1 ,
C2 とは反対側に配置されている。したがってモータ・
ジェネレータ2とサンギヤ4とを連結する軸が駆動プー
リ12の中心軸線に沿って貫通している。
【0080】この図9に示す構成のハイブリッド駆動装
置においても図1に示すハイブリッド駆動装置における
と同様な走行モード(運転モード)が可能である。すな
わち、図10に示すようにエンジン始動モードでは、第
2クラッチC2 とブレーキC1 とを係合させる。したが
ってリングギヤ5を固定した状態でサンギヤ4をモータ
・ジェネレータ2によって回転させることになるから、
キャリヤ8がサンギヤ4とは反対方向に回転する。この
状態を図11に共線図によって示してあり、モータ・ジ
ェネレータ2を逆回転させることにより、キャリヤ8お
よびこれに連結してあるエンジン1が正回転する。した
がってこの状態でエンジン1に燃料を供給し、また必要
に応じて点火することにより、エンジン1を始動するこ
とができる。
【0081】前進走行の際のETCモードは、第2クラ
ッチC2 のみを係合させることによって設定する。これ
は、図1に示す例と同様であって、エンジン1あるいは
モータ・ジェネレータ2が連結されていない回転要素を
出力軸10に連結することにより設定される。この状態
では、出力軸10に連結されているリングギヤ5を固定
した場合に互いに反力要素となるサンギヤ4とキャリヤ
8とにモータ・ジェネレータ2およびエンジン1が連結
されているので、エンジン1を例えば最も効率の良い状
態で運転し、その状態でモータ・ジェネレータ2の出力
を制御することにより、リングギヤ5およびこれに連結
してある出力軸10の回転が止まり、またその出力軸1
0にエンジン1の出力トルクを増幅したトルクが生じ、
遊星歯車機構3がトルクコンバータと同様に機能する。
このモードでの共線図を図12に示してある。
【0082】モータ走行モードは、第1クラッチC1 を
係合させて設定する。すなわち、モータ・ジェネレータ
2をサンギヤ4を介して出力軸10に連結する。したが
ってモータ・ジェネレータ2の動力によって走行するこ
とができる。その場合、第2クラッチC2 を係合させれ
ば、遊星歯車機構3の全体が一体回転するので、キャリ
ヤ8に連結してあるエンジン1が正回転する。そのた
め、モータ走行モードでエンジン1を始動させることが
できる。
【0083】エンジン1およびモータ・ジェネレータ2
による走行モード(Eng+モータモード)は、遊星歯
車機構3の全体を一体化させてエンジン1およびモータ
・ジェネレータ2を出力軸10に直結するモードであ
り、これは、第1クラッチC1および第2クラッチC2
を係合させて設定する。図1に示す装置でのエンジン・
モータモードと同様である。
【0084】後進時には、エンジン1およびモータ・ジ
ェネレータ2のいずれかあるいは両方によって走行する
ことができる。すなわちエンジン1の動力で後進走行す
る場合、第1クラッチC1 およびブレーキB1 を係合さ
せ、リングギヤ5を固定するとともにサンギヤ4を出力
軸10に連結した状態でキャリヤ8をエンジン1によっ
て正回転させる。その結果、図13に共線図を示すよう
に、サンギヤ4およびこれに連結してある出力軸10が
逆回転するので、後進走行することになる。
【0085】またモータ・ジェネレータ2によって後進
走行する場合、モータ・ジェネレータ2を出力軸10に
直結すればよいのであるから、第1クラッチC1 を係合
させる。またその場合、第2クラッチC2 も同時に係合
させて遊星歯車機構3における回転要素同士の相対回転
を生じないようにしてもよい。これは、図1に示す装置
においても同様である。
【0086】エンジン1およびモータ・ジェネレータ2
の両方の動力で後進走行する場合には、第1クラッチC
1 とブレーキB1 とを係合させる。これは、後進走行時
のエンジンモードと同様であって、リングギヤ5を固定
した状態でキャリヤ8をエンジン1によって回転させる
ので、サンギヤ4およびこれに連結してある出力軸10
が逆回転し、後進走行状態となる。その場合、モータ・
ジェネレータ2を逆回転させてサンギヤ4に逆回転方向
のトルクを付加することにより、エンジン1とモータ・
ジェネレータ2との動力によって後進走行することがで
きる。
【0087】このように図9に示すように構成したハイ
ブリッド駆動装置においても、エンジン1の動力によっ
て後進走行することができるので、バッテリ(図示せ
ず)の充電容量が低下している場合であっても後進走行
の際の駆動力が不足することはない。また、いわゆるE
TCモードが可能であって、エンジン1の出力するトル
クをモータ・ジェネレータ2によって増幅して出力軸1
0から出力することができるので、エンジン1を最適運
転状態に維持しつつ発進時などに必要十分な駆動トルク
を得ることができる。また特に、図9に示す構成では、
モータ・ジェネレータ2を軸線方向での一端部に配置す
ることができるので、モータ・ジェネレータ2の冷却が
容易になる。
【0088】この図9に示す構成では、上記の説明から
知られるように、キャリヤ8が常時正回転する。これを
利用してオイルポンプOp を内蔵した構成とすることが
できる。その例を図14に示してある。この図14に示
す構成は、図9に示す構成を改良したものであって、キ
ャリヤ8にオイルポンプOp が連結されるとともに、キ
ャリヤ8とエンジン1との間にクラッチC0 が配置さ
れ、さらに、ブレーキB1 と並列に一方向クラッチF1
が配置されている。他の構成は、図9に示す構成と同一
である。
【0089】このような構成であれば、前進および後進
のいずれの走行モードであってもキャリヤ8が正回転す
ることにより、オイルポンプOp が正常に駆動され、必
要な油圧を発生させることができる。
【0090】上述した各例は、出力要素を変更するよう
に構成した例であるが、これに加えて、モータ・ジェネ
レータ2の動力を入力する要素を変更するように構成し
てもよい。図15にその一例を記載してある。この図1
5に示す例は、図1に示す構成を改良したものであっ
て、モータ・ジェネレータ2とリングギヤ5との間に第
1入力クラッチC1 が配置され、またモータ・ジェネレ
ータ2とキャリヤ8との間に第2入力クラッチC2 が配
置され、さらにキャリヤ8と出力軸10との間には、図
1に示す第1クラッチに相当する第1出力クラッチC3
が配置され、そしてリングギヤ5と出力軸10との間に
は、図1に示す第2クラッチに相当する第2出力クラッ
チC4 が配置されている。またさらに、図1に示すブレ
ーキに替えて一方向クラッチF1 がリングギヤ5とケー
シング9との間に配置されている。
【0091】この図15に示すハイブリッド駆動装置の
作用すなわち各走行モードについて説明する。このハイ
ブリッド駆動装置によれば、図16に示す7つのモード
を設定することができ、先ず、エンジン始動モードにつ
いて説明すると、このモードでは、第2入力クラッチC
2 を係合させる。すなわちモータ・ジェネレータ2をキ
ャリヤ8に連結する。この状態の共線図を図17に示し
てある。モータ・ジェネレータ2によってキャリヤ8を
逆回転させると、サンギヤ4にエンジン1の負荷が掛か
っているので、リングギヤ5が逆回転しようとする。こ
のリングギヤ5に連結してある一方向クラッチF1 は逆
回転方向のトルクが回転側の部材(例えばインナーレー
ス)に作用した際に係合するように構成されているの
で、モータ・ジェネレータ2を逆回転することによって
リングギヤ5が固定され、その結果、サンギヤ4および
これに連結してあるエンジン1が正回転する。したがっ
てその状態でエンジン1に燃料を供給し、また必要に応
じて点火することによりエンジン1を始動することがで
きる。なお、このエンジン始動モードでは、第2出力ク
ラッチC4 を係合させて、出力軸10の回転を止めても
よい。
【0092】また、前進走行の際のETCモードは、第
2入力クラッチC2 と第2出力クラッチC4 とを係合さ
せて設定する。すなわちモータ・ジェネレータ2をキャ
リヤ8に連結し、かつ出力軸10をリングギヤ5に連結
する。これは、図1に示すハイブリッド駆動装置での前
進走行の際のETCモードと同じ連結状態および動力の
入出力状態となる。したがって、図18に示す共線図か
らも明らかなように、エンジン1の出力するトルクをモ
ータ・ジェネレータ2によって増幅して出力軸10に出
力することができ、またエンジン1を回転させたまま、
出力軸10の回転を止めることができる。
【0093】またモータ走行モードは、第2入力クラッ
チC2 と第1出力クラッチC3 とを係合させて設定す
る。すなわちモータ・ジェネレータ2をキャリヤ8に連
結するとともに、出力軸10をキャリヤ8に連結するこ
とにより、モータ・ジェネレータ2と出力軸10とをキ
ャリヤ8を介して直結する。したがってモータ・ジェネ
レータ2の動力によって前進走行することができる。
【0094】エンジン・モータモードでは、前記4つの
クラッチのうちいずれか3つを係合させる。例えば図1
6に示すように、各入力クラッチC1 ,C2 と第1出力
クラッチC3 とを係合させる。したがってモータ・ジェ
ネレータ2が遊星歯車機構3に連結されるとともに、遊
星歯車機構3の全体が一体化され、その一体化された遊
星歯車機構3のキャリヤ8に出力軸10が連結される。
そのため、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の
動力が遊星歯車機構3を介して出力軸10に伝達され、
エンジン1の動力とモータ・ジェネレータ2の動力とに
よって前進走行することができる。
【0095】後進走行のためのモードとしてエンジンモ
ードとモータモードとが可能である。エンジンモードで
は、第1入力クラッチC1 と第1出力クラッチC3 とを
係合させる。すなわちモータ・ジェネレータ2をリング
ギヤ5に連結するとともに、出力軸10をキャリヤ8に
連結する。この状態の共線図を図19に示してある。エ
ンジン1を駆動してサンギヤ5に正回転方向のトルクを
伝達すると、キャリヤ8に出力軸10からの負荷が掛か
っているので、リングギヤ5に正回転方向のトルクが生
じる。これに打ち勝つトルクをモータ・ジェネレータ2
によってリングギヤ5に与えると、リングギヤ5の回転
数が抑制され、それに伴ってキャリヤ8およびこれに連
結してある出力軸10が逆回転する。なお、リングギヤ
5には一方向クラッチF1 が連結してあるので、一方向
クラッチF1 によって回転が止められるまでリングギヤ
5の正回転方向の回転を低下させることが可能である。
すなわちこの後進走行の際のエンジンモードは、モータ
・ジェネレータ2によって後進走行状態を設定すること
になり、またその駆動トルクをモータ・ジェネレータ2
によって制御することになる。
【0096】一方、後進走行のためのモータモードは、
モータ・ジェネレータ2を出力軸10に直結するモード
であり、したがって前進走行の際のモータモードと同様
に、第2入力クラッチC2 と第1出力クラッチC3 とを
係合させる。この状態では、モータ・ジェネレータ2と
出力軸10とが直結状態であるから、モータ・ジェネレ
ータ2を逆回転させることにより出力軸10が逆回転
し、後進走行する。
【0097】なお、上記の図15に示す例は、図1に示
す構成のうち、キャリヤ8とモータ・ジェネレータ2と
の間、およびリングギヤ5とモータ・ジェネレータ2と
の間にクラッチ機構を追加設置し、かつブレーキを一方
向クラッチに変更した例であるが、これと同様な変更を
図9に示す構成についておこなうことができる。すなわ
ちモータ・ジェネレータ2を遊星歯車機構3から切り離
す手段を設けることになるので、エンジン1の動力で走
行し、かつ発電の必要がない場合には、モータ・ジェネ
レータ2を切り離して動力の損失を防止することができ
る。
【0098】つぎに前記ダブルピニオン型遊星歯車機構
に替えてシングルピニオン型遊星歯車機構を使用した例
を説明する。図20はその一例を示しており、エンジン
1およびモータ・ジェネレータ2の動力を出力軸10に
個別にもしくは合成して伝達するシングルピニオン型遊
星歯車機構80は、外歯歯車であるサンギヤ81と、そ
のサンギヤ81に対して同心円上に配置した内歯歯車で
あるリングギヤ82と、これらサンギヤ81とリングギ
ヤ82とに噛合したピニオンギヤ83を自転かつ公転自
在に保持したキャリヤ84とを回転要素とした歯車機構
である。
【0099】そのサンギヤ81にモータ・ジェネレータ
2が連結されるとともに、第1クラッチC1 を介して出
力軸10が連結されている。またリングギヤ82にエン
ジン1が連結されている。さらに、キャリヤ84を選択
的に固定するブレーキB1 が設けられるとともに、この
キャリヤ84と出力軸10との間に第2クラッチC2が
設けられている。すなわちこの図20に示す構成は、前
述した図9に示す構成におけるダブルピニオン型遊星歯
車機構をシングルピニオン型遊星歯車機構に変更し、そ
れに伴ってキャリヤとリングギヤとに対する動力装置や
摩擦係合装置の連結関係を入れ替えたものである。
【0100】したがって図20に示す構成のハイブリッ
ド駆動装置においても、図9に示す構成の装置と同様の
走行モードを設定することができ、また各モードでのク
ラッチC1 ,C2 およびブレーキB1 の係合・解放状態
は、図9に示す装置と同一である。図21に各走行モー
ドを設定するための係合作動表を示してある。なお、図
21では、前進走行および後進走行の際のモータモード
で第2クラッチC2 を解放することとしてあるが、モー
タモードでは遊星歯車機構80の全体が一体化するの
で、図9に示す装置による場合と同様に第2クラッチC
2 を係合させることとしてもよい。
【0101】以下、各走行モードについて説明する。エ
ンジン始動モードでは、第2クラッチC2 とブレーキB
1 とを係合させる。したがってキャリヤ84を固定した
状態でサンギヤ81をモータ・ジェネレータ2によって
回転させることになるから、リングギヤ82がサンギヤ
81とは反対方向に回転する。この状態を図22に共線
図によって示してあり、モータ・ジェネレータ2を逆回
転させることにより、リングギヤ82およびこれに連結
してあるエンジン1が正回転する。したがってこの状態
でエンジン1に燃料を供給し、また必要に応じて点火す
ることにより、エンジン1を始動することができる。
【0102】前進走行の際のETCモードは、第2クラ
ッチC2 のみを係合させることによって設定する。すな
わち、エンジン1あるいはモータ・ジェネレータ2が連
結されていない回転要素を出力軸10に連結する。この
状態では、出力軸10に連結されているキャリヤ84を
固定した場合に互いに反力要素となるサンギヤ81とリ
ングギヤ82とにモータ・ジェネレータ2およびエンジ
ン1が連結されているので、エンジン1を例えば最も効
率の良い状態で運転し、その状態でモータ・ジェネレー
タ2の出力を制御することにより、キャリヤ84および
これに連結してある出力軸10の回転が止まり、またそ
の出力軸10にエンジン1の出力トルクを増幅したトル
クが生じ、遊星歯車機構80がトルクコンバータと同様
に機能する。このモードでの共線図を図23に示してあ
る。
【0103】モータ走行モードは、第1クラッチC1 を
係合させて設定する。すなわち、モータ・ジェネレータ
2を出力軸10に連結する。したがってモータ・ジェネ
レータ2の動力によって走行することができる。
【0104】エンジン1およびモータ・ジェネレータ2
による走行モード(Eng+モータモード)は、遊星歯
車機構80の全体を一体化させてエンジン1およびモー
タ・ジェネレータ2を出力軸10に直結するモードであ
り、これは、第1クラッチC1 および第2クラッチC2
を係合させて設定する。図1あるいは図9に示す装置で
のエンジン・モータモードと同様である。
【0105】後進時には、エンジン1およびモータ・ジ
ェネレータ2のいずれか一方あるいは両方によって走行
することができる。すなわちエンジン1の動力で後進走
行する場合、第1クラッチC1 およびブレーキB1 を係
合させ、キャリヤ84を固定するとともにサンギヤ81
を出力軸10に連結した状態でリングギヤ82をエンジ
ン1によって正回転させる。その結果、図24に共線図
を示してあるように、サンギヤ81およびこれに連結し
てある出力軸10が逆回転するので、後進走行すること
になる。
【0106】またモータ・ジェネレータ2によって後進
走行する場合、モータ・ジェネレータ2を出力軸10に
直結すればよいのであるから、第1クラッチC1 を係合
させる。またその場合、第2クラッチC2 も同時に係合
させて遊星歯車機構80における回転要素同士の相対回
転を生じないようにしてもよい。
【0107】エンジン1およびモータ・ジェネレータ2
の両方の動力で後進走行する場合には、第1クラッチC
1 とブレーキB1 とを係合させる。これは、後進走行時
のエンジンモードと同様であって、キャリヤ84を固定
した状態でリングギヤ82をエンジン1によって回転さ
せるので、サンギヤ81およびこれに連結してある出力
軸10が逆回転し、後進走行状態となる。その場合、モ
ータ・ジェネレータ2を逆回転させてサンギヤ81に逆
回転方向のトルクを付加することにより、エンジン1と
モータ・ジェネレータ2との動力によって後進走行する
ことができる。
【0108】このように図20に示すように構成したハ
イブリッド駆動装置においても、エンジン1の動力によ
って後進走行することができるので、バッテリ(図示せ
ず)の充電容量が低下している場合であっても後進走行
の際の駆動力が不足することはない。また、いわゆるE
TCモードが可能であって、エンジン1の出力するトル
クをモータ・ジェネレータ2によって増幅して出力軸1
0から出力することができるので、エンジン1を最適運
転状態に維持しつつ発進時などに必要十分な駆動トルク
を得ることができる。
【0109】図20に示す構成にオイルポンプOp を付
加した構成を図25に示してある。リングギヤ82とエ
ンジン1のと間にクラッチC0 が配置され、そのエンジ
ン1の出力軸にオイルポンプOp が連結されている。ま
た、ブレーキB1 と並列に一方向クラッチF1 が配置さ
れている。他の構成は、図20に示す構成と同様であ
る。
【0110】なお、図20に示す例では、モータ・ジェ
ネレータ2を軸線方向での中央部に配置し、その両側に
遊星歯車機構3とクラッチC1 ,C2 とを配置した構成
としたが、モータ・ジェネレータ2を変速機11に隣接
して配置し、クラッチC1 ,C2 を遊星歯車機構3より
もエンジン1側に配置する構成としてもよい。
【0111】以上説明した各具体例は、出力軸10を連
結する回転要素をクラッチによって変更することによ
り、エンジン1の動力によって後進走行することが可能
なように構成したものであるが、遊星歯車機構に対する
動力の入力の仕方を変更することによってエンジン1で
の後進走行が可能なように構成することもできる。その
例を以下に説明する。
【0112】図26は、ラビニヨ型遊星歯車機構90を
使用した例であり、このラビニヨ型遊星歯車機構90
は、外歯歯車である第1サンギヤ91と、この第1サン
ギヤ91に対して同心円上に配置した内歯歯車であるリ
ングギヤ92と、これらのサンギヤ91とリングギヤ9
2との間に配置された第1サンギヤ91に噛合するショ
ートピニオンギヤ93およびこのショートピニオンギヤ
93とリングギヤ92とに噛合したロングピニオンギヤ
94を自転および公転自在に保持したキャリヤ95と、
そのロングピニオンギヤ94に噛合した第2サンギヤ9
6とを備えた公知の遊星歯車機構である。その第2サン
ギヤ96にモータ・ジェネレータ2が連結されるととも
に、エンジン1を第1サンギヤ91に選択的に連結する
第1クラッチC1 と、エンジン1を第2サンギヤ96に
選択的に連結する第2クラッチC2とが設けられてい
る。さらにキャリヤ95とケーシング9との間にブレー
キB1が設けられ、このブレーキB1 によってキャリヤ
95を選択的に固定するように構成されている。さらに
リングギヤ92に出力軸10が連結されている。
【0113】一方、従動プーリ13とケーシング9との
間には一方向クラッチF1 と第2ブレーキB2 とが直列
に配列されている。この一方向クラッチF1 は、従動プ
ーリ13に連結してある部材(例えばインナーレース)
が従動プーリ13と共に第2ブレーキB2 側の部材(例
えばアウターレース)に対して後進走行方向に回転(逆
回転)した場合に係合するように構成されており、した
がって第2ブレーキB2 を係合させることにより、従動
プーリ13および駆動プーリ12ならびに出力軸10の
後進走行方向への回転を阻止するように構成されてい
る。他の構成は、図1に示す構成と同様であるから、図
26に図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0114】この図26に示す構成のハイブリッド駆動
装置においても図27に示す各走行モード(運転モー
ド)が可能である。以下、これらの各モードについて説
明する。
【0115】エンジン始動モードでは、第1クラッチC
1 を係合させてエンジン1を第1サンギヤ91に連結す
るとともに、第2ブレーキB2 を係合させて出力軸10
すなわちリングギヤ92の逆回転を阻止した状態とす
る。この状態の共線図を図28に示してある。なお、以
下の共線図においてρ1 は、第1サンギヤとリングギヤ
との歯数の比、ρ2 は、第2サンギヤとリングギヤとの
歯数の比をそれぞれ示し、またS1 は第1サンギヤ、S
2 は第2サンギヤをそれぞれ示す。モータ・ジェネレー
タ2を逆回転させると、リングギヤ92を固定した状態
で第2サンギヤ96を逆回転させることになるから、こ
の第2サンギヤ96に対して第1サンギヤ91が反対方
向に回転する。すなわち第1サンギヤ91に連結された
エンジン1がモータ・ジェネレータ2によって正回転さ
せられるので、エンジン1に燃料を供給し、また必要に
応じて点火をおこなうことによりエンジン1を始動する
ことができる。
【0116】前進走行の際には遊星歯車機構90をトル
クコンバータと同様に機能させるETCモードが可能で
ある。これは、第1クラッチC1 のみを係合させてエン
ジン1を第1サンギヤ91に連結する。この状態は、出
力軸10およびこれに連結した出力要素であるリングギ
ヤ92を固定した場合に、互いに反対方向に回転する回
転要素すなわち第1サンギヤ91と第2サンギヤ96と
にエンジン1およびモータ・ジェネレータ2を連結した
構成となる。この場合の共線図を図29に示してある。
エンジン1を例えば最も効率の良い状態で運転してその
動力を第1サンギヤ91に伝達している状態でモータ・
ジェネレータ2を逆回転方向に駆動して第2サンギヤ9
6を逆回転させると、そのモータ・ジェネレータ2の回
転数に応じてリングギヤ92およびこれと一体の出力軸
10の回転が止まる。図29には、その状態を実線で示
してある。
【0117】この状態からモータ・ジェネレータ2の正
回転方向の出力トルクを増大させると、それに応じて第
2サンギヤ96の回転数(正回転方向の回転数)が次第
に増大し(すなわち逆回転方向の回転数が次第に低下
し)、それに伴ってリングギヤ92およびこれに連結さ
れている出力軸10の正回転方向への回転数が次第に増
大する。その出力軸10の回転数はエンジン1の回転数
に比較して小さいので、その出力トルクはエンジン1の
出力トルクをモータ・ジェネレータ2によって増幅した
トルクとなる。このように図26に示す構成のハイブリ
ッド駆動装置においても、遊星歯車機構90をトルクコ
ンバータとして機能させることができる。
【0118】前進走行でのモータモードは、第1ブレー
キB1 を係合させてキャリヤ95を固定することにより
設定する。この状態では、第2サンギヤ96とリングギ
ヤ92とが互いに反対方向に回転する関係となるから、
モータ・ジェネレータ2を逆回転させると、リングギヤ
92および連結した出力軸10が正回転する。すなわち
モータ・ジェネレータ2の動力によって出力軸10を回
転させ、前進走行することができる。なお、この場合、
従動プーリ13が前進走行方向に回転するから、一方向
クラッチF1 が係合することがなく、したがって第2ブ
レーキB2 を係合させておいてもよい。
【0119】エンジン・モータモードは、エンジン1の
動力モータ・ジェネレータ2の動力とを出力軸10に伝
達するモードであり、したがってこの場合は、第1クラ
ッチC1 と第2クラッチC2 とを係合させる。2つの回
転要素である第1サンギヤ91と第2サンギヤ96とが
クラッチC1 ,C2 とによって連結されるので、遊星歯
車機構90の全体が一体化される。その結果、エンジン
1の動力とモータ・ジェネレータ2の動力とがそのまま
リングギヤ92から出力軸10に出力される。
【0120】後進走行をおこなう際の3つのモードが可
能であって、先ず、エンジンモードについて説明する
と、エンジン1の動力によって後進走行する場合には、
第2クラッチC2 を係合させてエンジン1を第2サンギ
ヤ96に連結する一方、ブレーキB1 を係合させてキャ
リヤ95を固定する。この状態の共線図を図30に示し
てあり、エンジン1と出力軸10とは、シングルピニオ
ン型遊星歯車機構を介して連結された状態になり、した
がってキャリヤ95を固定して第2サンギヤ96をエン
ジン1によって回転させることになるから、リングギヤ
92およびこれに連結してある出力軸10が逆回転し、
後進走行する。なお、この場合、図30に示すように、
リングギヤ92が逆回転するので、従動プーリ13に連
結してある一方向クラッチF1 が係合する。しかしなが
ら、この一方向クラッチF1 と直列の関係にある第2ブ
レーキB2 が解放しているので、装置がロックすること
はない。
【0121】後進走行の際のモータモードは、第1ブレ
ーキB1 のみを係合させて設定する。すなわち、第2サ
ンギヤ96とこれに噛合しているロングピニオンギヤ9
4とキャリヤ95とリングギヤ92とによって遊星歯車
機構90を、シングルピニオン型遊星歯車機構として機
能させる。そのキャリヤ95がブレーキB1 によって固
定されているために、モータ・ジェネレータ2を正回転
させれば、これに連結されている第2サンギヤ96が正
回転することにより、リングギヤ92が逆回転する。し
たがってモータ・ジェネレータ2の動力によって出力軸
10が逆回転するので、後進走行をおこなうことができ
る。なお、その場合、従動プーリ13が後進走行方向に
回転することにより、一方向クラッチF1 が係合する
が、第2ブレーキB2 が解放されているので、装置がロ
ックすることはない。
【0122】後進走行の際のエンジン・モータモード
は、第2クラッチC2 を係合させてエンジン1を第2サ
ンギヤ96に連結するとともに、ブレーキB1 を係合さ
せてキャリヤ95を固定することによって設定する。こ
の状態は上述した後進走行でのモータモードにおいて、
第2サンギヤ96にモータ・ジェネレータ2の動力に加
えてエンジン1の動力を入力するモードとなり、したが
ったこれらエンジン1とモータ・ジェネレータ2との動
力によって第2サンギヤ96が正回転させられ、それに
応じたトルクでリングギヤ92が逆回転させられ、その
結果、出力軸10が逆回転して後進走行状態となる。な
お、この場合においても一方向クラッチF1 が係合す
る。
【0123】このように後進走行する場合、モータ・ジ
ェネレータ2とエンジン1とを連結することができるの
で、モータ・ジェネレータ2によって後進走行を開始し
た後、エンジン1を連結してエンジン1を始動し、ある
いは後進走行を開始する以前にいずれかの摩擦係合装置
をスリップさせて停車状態を維持しつつモータ・ジェネ
レータ2によってエンジン1を始動し、その後に摩擦係
合装置を完全に係合させて後進走行を開始する。
【0124】図26には示すハイブリッド駆動装置にお
いても、前進走行の際に遊星歯車機構90をトルクコン
バータと同様に機能させて、出力トルクの増幅を図るこ
とができるとともに、エンジン1を運転したまま出力軸
10の回転を止めて停車することができる。また、遊星
歯車機構90に対するエンジン1からの入力の仕方を変
えることにより、エンジン1の動力により後進走行する
ことができ、そのためバッテリ(図示せず)の充電容量
が低下している場合であっても必要十分な駆動力で後進
走行することができる。さらに図26に示す構成のハイ
ブリッド駆動装置では、各クラッチC1 ,C2 がエンジ
ン1の動力をサンギヤ91,96に伝達するためのもの
であるから、そのクラッチC1 ,C2 に要求される伝達
トルク容量はエンジン1が出力するトルクを上回ること
がなく、したがってこれらのC1,C2 を小容量のもの
として装置全体を小型化することができる。
【0125】つぎにロングピニオンの形状を変えたラビ
ニヨ型遊星歯車機構を使用した例について説明する。図
31はその例を示しており、ここに示すラビニヨ型遊星
歯車機構100におけるロングピニオンの歯数が第2サ
ンギヤに噛合する部分で多くなっている。すなわちこの
ラビニヨ型遊星歯車機構100は、前述した図26に示
すものと同様に,第1サンギヤ101と、リングギヤ1
02と、第1サンギヤ101に噛合するショートピニオ
ンギヤ103およびこのショートピニオンギヤ103と
リングギヤ102とに噛合するロングピニオンギヤ10
4とを自転かつ公転自在に保持したキャリヤ105と、
そのロングピニオンギヤ104に噛合した第2サンギヤ
106とを備えている。そして、ロングピニオンギヤ1
04のうち第2サンギヤ106が噛合している箇所の外
径が、リングギヤ102と噛合している部分の外径より
も大きく、この部分の歯数が多くなっている。
【0126】そして第1サンギヤ101に対してエンジ
ン1を選択的に連結する第1クラッチC1 が設けられる
とともに、第2サンギヤ106にモータ・ジェネレータ
2が連結され、かつこの第2サンギヤ106とキャリヤ
105との間に第2クラッチC2 が配置されている。さ
らにキャリヤ105に出力軸10が連結されており、こ
のキャリヤ105を選択的に固定する第1ブレーキB1
とリングギヤ102を選択的に固定する第2ブレーキB
2 とが設けられている。他の構成は図1に示す構成と同
様であるから、図31に図1と同一の符号を付してその
説明を省略する。
【0127】この図31に示すハイブリッド駆動装置で
設定可能な走行モード(運転モード)は、図32に示す
とおりである。先ず、エンジン始動モードについて説明
すると、エンジン1を始動する場合には、第1クラッチ
C1 を係合させてエンジン1を第1サンギヤ101に連
結するとともに、第1ブレーキB1 を係合させてキャリ
ヤ105を固定する。この状態の共線図は図33に示す
とおりである。なお、以下の共線図でρ3 は、前記第2
ピニオンギヤ104の前記第1ピニオンギヤ103に噛
合している部分の歯数と、前記第2サンギヤ106に噛
合している部分の歯数との比である。キャリヤ105を
固定した状態でモータ・ジェネレータ2によって第2サ
ンギヤ106を逆回転させると、エンジン1を連結して
ある第1サンギヤ101が正回転する。すなわちエンジ
ン1が正回転させられるので、この状態でエンジン1に
燃料を供給し、また必要に応じて点火することによりエ
ンジン1を始動することができる。
【0128】前進走行する際には、前述した図26に示
す装置と同様に、3つの走行モードが可能である。先
ず、遊星歯車機構100をトルクコンバータと同様に機
能させるETCモードについて説明すると、この場合
は、第1クラッチC1 のみを係合させる。その状態の共
線図を図34に示してある。すなわち、出力軸10と一
体のキャリヤ105を固定した場合に互いに反対方向に
回転する関係となる第1サンギヤ101と第2サンギヤ
106とにエンジン1とモータ・ジェネレータ2とが連
結された状態となり、したがってエンジン1を例えば最
も効率の良い状態で運転し、その状態でモータ・ジェネ
レータ2を所定の回転数で逆回転させれば、図34に実
線で示すように出力軸10の回転が止まり、エンジン1
を運転したまま停車状態を維持することができる。この
状態からモータ・ジェネレータ2の回転数を正回転方向
に変化させれば、すなわち逆回転方向の回転数を減少さ
せて次第に正回転させれば、出力軸10に正回転方向の
トルクが生じてその回転数が次第に増大する。その場
合、出力軸10のトルクは、エンジン1の出力トルクよ
りも増幅されたトルクとなる。すなわちエンジン1を駆
動しつつモータ・ジェネレータ2の出力する動力によっ
て駆動トルクを増幅させる。したがってモータアシスト
モードとなる。
【0129】前進走行時のモータモードは、第2クラッ
チC2 を係合させてモータ・ジェネレータ2をキャリヤ
105を介して出力軸10に直結した状態として設定す
る。したがってモータ・ジェネレータ2の動力がそのま
ま出力軸10に伝達されるので、モータ・ジェネレータ
2の動力によって走行することができる。
【0130】前進走行の際のエンジン・モータモード
は、第1クラッチC1 と第2クラッチC2 とを係合させ
て設定する。すなわち、第2クラッチC2 を係合させる
ことにより、第2サンギヤ106とキャリヤ105とが
連結されるので、遊星歯車機構100の全体が一体化さ
れる。さらに第1クラッチC1 が係合していてエンジン
1が、一体化されて遊星歯車機構100の第1サンギヤ
101に連結されているから、エンジン1とモータ・ジ
ェネレータ2とが出力軸10に直結された状態となる。
したがってエンジン1とモータ・ジェネレータ2との動
力を、そのまま出力軸10に伝達して前進走行すること
ができる。
【0131】後進走行する場合にも3つの走行モード
(運転モード)が可能である。先ず、エンジンモードに
ついて説明すると、後進走行をエンジン1の動力でおこ
なう場合には、第1クラッチC1 と第2ブレーキB2 と
を係合させる。すなわちエンジン1を第1サンギヤ10
1に連結するとともに、リングギヤ102を固定する。
この状態の共線図を図35に示してあり、リングギヤ1
02を固定した状態で第1サンギヤ101をエンジン1
によって正回転させると、キャリヤ105およびこれに
連結してある出力軸10が逆回転し、したがってエンジ
ン1の動力によって後進走行することができる。
【0132】後進走行の際のモータモードは、第2ブレ
ーキB2 のみを係合させて設定する。このモードでは第
2サンギヤ106にのみモータ・ジェネレータ2から動
力が入力され、かつその状態でリングギヤ102が固定
されているから、キャリヤ105およびこれに連結され
ている出力軸10が逆回転する。その場合、第2サンギ
ヤ106とリングギヤ102との歯数の比(すなわちギ
ヤ比)ρ2 に応じてキャリヤ105の回転数が減少させ
られるから、出力軸10に生じる出力トルクがそのギヤ
比に応じて増大させられ、したがってモータモードでの
後進時の変速比を大きい値に設定することができる。
【0133】エンジン1およびモータ・ジェネレータ2
とで後進走行するエンジン・モータモードは、第1クラ
ッチC1 と第2ブレーキB2 とを係合させて設定する。
すなわちエンジン1を第1サンギヤ101に連結すると
ともに、リングギヤ102を固定する。この状態では、
第1サンギヤ101に入力された動力によってキャリヤ
105に逆回転方向のトルクが作用し、これと同様に第
2サンギヤ106に正回転方向の動力を入力するとキャ
リヤ105が逆回転するので、エンジン1とモータ・ジ
ェネレータ2との動力を遊星歯車機構100によって合
成して出力軸10に伝達することができる。すなわち、
エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の動力によっ
て出力軸10を逆回転させて後進走行することができ
る。
【0134】上述したように図31に示すハイブリット
駆動装置においても、エンジン1の出力トルクを増幅さ
せて出力軸10に出力するいわゆるトルクコンバータと
しての機能を達成することができると同時に、エンジン
1によって後進走行することができ、したがってバッテ
リ(図示せず)の充電容量が低下している場合であって
も、必要十分な駆動力によって後進走行することが可能
である。
【0135】さらに、この図31に示す構成のハイブリ
ッド駆動装置においても、各クラッチC1 ,C2 は、エ
ンジン1あるいはモータ・ジェネレータ2が出力する動
力を伝達するように配置されていて、歯車機構などによ
って増幅されたトルクを伝達するものではないから、そ
の伝達トルク容量が小さくてよく、その結果、装置の全
体を小型軽量化することができる。
【0136】以上説明した各具体例は1組の遊星歯車機
構を使用した例であるが、この発明の装置では、複数組
の遊星歯車機構を使用することができる。以下、その例
について説明する。
【0137】図36に示すハイブリッド駆動装置は、2
つの回転要素を互いに連結した2組のシングルピニオン
型遊星歯車機構110,111を使用した例であり、こ
れらの遊星歯車機構110,111は、それぞれサンギ
ヤ112,113と、サンギヤ112,113に対して
同心円上に配置したリングギヤ114,115と、サン
ギヤ112,113およびリングギヤ114,115に
噛合したピニオンギヤを自転および公転自在に保持した
キャリヤ116,117とを回転要素とするものであ
る。そして第1遊星歯車機構110のキャリヤ116と
第2遊星歯車機構111のリングギヤ115とが一体的
に連結され、また第1遊星歯車機構110のリングギヤ
114と第2遊星歯車機構111のキャリヤ117とが
一体的に連結されている。
【0138】その第2遊星歯車機構111のサンギヤ1
12にモータ・ジェネレータ2が連結されるとともに、
このサンギヤ113と第1遊星歯車機構110のサンギ
ヤ112との間には、第2遊星歯車機構111側から第
1遊星歯車機構110側に正回転方向にトルクを伝達す
る際に係合する第1一方向クラッチF1 と、多板式の第
1クラッチC1 とが直列に配置されている。また、エン
ジン1と第1クラッチC1 との間には、エンジン1から
トルクを伝達する場合に係合する第2一方向クラッチF
2 が配置されている。したがってエンジン1から第1遊
星歯車機構のサンギヤ112には、第2一方向クラッチ
F2 と第1クラッチC1 とを介してトルクが伝達される
ようになっている。さらにエンジン1と第2遊星歯車機
構111のサンギヤ113との間には多板式の第2クラ
ッチC2 が配置されている。
【0139】互いに連結されている第1遊星歯車機構1
10のリングギヤ114と第2遊星歯車機構111のキ
ャリヤ117とを選択的に固定する第1ブレーキB1 が
設けられている。また、第1遊星歯車機構110のキャ
リヤ116が出力軸10に連結されている。
【0140】また一方、変速機11における従動プーリ
13とケーシング9との間には、第3一方向クラッチF
3 と多板式の第2ブレーキB2 とが、その順序に配置さ
れている。この一方向クラッチF3 は従動プーリ13が
逆回転しようとする場合、すなわ後進走行する方向にト
ルクを受けた場合に係合するように構成されている。さ
らに、この従動プーリ13とカウンタギヤ15との間に
は、両者を選択的に連結する第3クラッチC3 が設けら
れている。
【0141】なお、駆動プーリ12の中心軸線に沿って
ポンプ軸118が貫通して配置されている。このポンプ
軸118の一方の端部は、エンジン1もしくはエンジン
1に連結された軸に一体回転するように連結され、また
他方の端部は、チェーン機構119を介してオイルポン
プOp に連結されている。なお、符号120はドライブ
プレート、121はダンパー機構をそれぞれ示す。
【0142】上述した図36に示すハイブリッド駆動装
置においても前述した各具体例と同様に各種の走行モー
ド(運転モード)を設定することができる。すなわち車
両が停止している状態でエンジン1を始動する始動モー
ドでは、第2クラッチC2 のみを係合させる。第2クラ
ッチC2 が係合することによってエンジン1が第2遊星
歯車機構111のサンギヤ113に連結され、またこの
サンギヤ113にはモータ・ジェネレータ2が常時連結
されているので、モータ・ジェネレータ2とエンジン1
とが直結状態となる。したがってモータ・ジェネレータ
2を正回転方向に駆動すれば、エンジン1が回転させら
れ、その状態で燃料を供給し、また必要に応じて点火す
ることにより、エンジン1を始動することができる。
【0143】また、前進走行時にエンジン1の出力トル
クをモータ・ジェネレータ2によって増幅して出力軸1
0に出力することのできるETCモードは、第1クラッ
チC1 および第3クラッチC3 を係合させて設定する。
すなわち出力軸10に連結されている第1遊星歯車機構
110のキャリヤ116と第2遊星歯車機構111のリ
ングギヤ115とを固定した場合に、第1遊星歯車機構
110のサンギヤ112と第2遊星歯車機構111のサ
ンギヤ113とが互いに反対方向に回転する関係とな
り、これら互いに反対方向に回転する回転要素にエンジ
ン1とモータ・ジェネレータ2とが連結されることにな
る。
【0144】この状態を図37に共線図で示してある。
すなわちエンジン1を例えば最も効率の良い状態で運転
し、その状態でモータ・ジェネレータ2を所定の回転数
で逆回転させれば、図37に実線で示すように、出力軸
10の回転が止まり、停車状態を維持することができ
る。この状態からモータ・ジェネレータ2の正回転方向
のトルクを増大させると、その回転数が増大し(逆回転
方向の回転数が減少し)、それに伴って出力要素である
第1遊星歯車機構110のキャリヤ116および第2遊
星歯車機構111のリングギヤ115ならびにこれらに
連結されている出力軸10が、図37に破線で示すよう
に、正回転する。そしてその出力軸10に生じるトルク
は、エンジン1の出力トルクより大きくなる。したがっ
てトルクコンバータと同様にトルクの増幅作用が生じ
る。なお、エンジン1から第1サンギヤ112へのトル
クの伝達は一方向クラッチF2 を介しておこなわれるか
ら、パワーオフ状態ではこの一方向クラッチF1 が解放
する。したがってパワーオフ状態では、エンジン1を停
止することができる。
【0145】前進走行時のモータモードは、モータ・ジ
ェネレータ2を出力軸10にいわゆる直結した状態とす
るモードであるから、第1ないし第3の各クラッチC1
,C2 ,C3 を係合させる。第2クラッチC2 を係合
させることにより第2一方向クラッチF2 にはエンジン
1側から正回転方向のトルクが入力することになるの
で、この一方向クラッチF1 が係合する。またこの第2
一方向クラッチF2 と直列の関係にある第1クラッチC
1 が係合することにより、第1一方向クラッチF2が第
1クラッチC1 を介して第1遊星歯車機構110のサン
ギヤ112に連結される。その結果、モータ・ジェネレ
ータ2が第1遊星歯車機構110のサンギヤ112に連
結される。またこのモータ・ジェネレータ2は第2遊星
歯車機構111のサンギヤ113に常時連結されている
から、結局、各サンギヤ112,113が一体的に連結
されることになる。そのために第1遊星歯車機構110
と第2遊星歯車機構111との全体が一体化され、モー
タ・ジェネレータ2の動力がそのまま出力軸10に伝達
され、モータ・ジェネレータ2の動力によって前進走行
することができる。
【0146】なおこの場合、第2一方向クラッチF2 と
第1クラッチC1 とが係合することにより、エンジン1
が第1遊星歯車機構110のサンギヤ112に連結さ
れ、モータ・ジェネレータ2の動力によって回転させら
れることになる。いわゆるエンジン1を引きずる状態に
なる。したがってエンジン1のスロットルバルブ(図示
せず)を全開にしたり、あるいは吸気バルブと排気バル
ブとを共に開いておくなどのことによりエンジン1を空
転させることに伴う抵抗を可及的に低減することが好ま
しい。また、走行中にエンジン1を回転させ続けること
になるので、走行中におけるエンジン1の始動が容易に
なる。
【0147】上述したように第1ないし第3の各クラッ
チC1 ,C2 ,C3 を係合させると、エンジン1および
モータ・ジェネレータ2が出力軸10に対して直結され
た状態となるので、モータ・ジェネレータ2のみなら
ず、エンジン1からも出力すれば、エンジン1およびモ
ータ・ジェネレータ2の動力によって前進走行すること
ができる。すなわち、エンジン・モータモードとなる。
【0148】つぎに後進走行時のモードについて説明す
ると、エンジン1の動力によって後進走行するエンジン
モードは、第2クラッチC2 と第3クラッチC3 と第1
ブレーキB1 とを係合させる。すなわちエンジン1を第
2遊星歯車機構111のサンギヤ113に連結するとと
もに、そのキャリヤ117を固定する。したがってエン
ジン1によってサンギヤ113を正回転させれば、リン
グギヤ115およびこれに連結されている出力軸10が
逆回転し、その動力が変速機11および第3クラッチC
3 を介して出力されて後進状態となる。この状態を図3
8に共線図として示してある。
【0149】また、この場合、第2遊星歯車機構111
のサンギヤ113にはモータ・ジェネレータ2が常時連
結されているので、エンジン1のみならずモータ・ジェ
ネレータ2からも出力すれば、エンジン1およびモータ
・ジェネレータ2の動力が出力軸10に伝達されるの
で、後進走行でのエンジン・モータモードとなる。
【0150】さらに、第1ブレーキB1 を係合させて第
2遊星歯車機構111のサンギヤ113に正回転方向の
トルクを入力すると、リングギヤ115およびこれに連
結した出力軸10が逆回転して後進走行状態となるの
で、第2クラッチC2 を解放してエンジン1を第2遊星
歯車機構111のサンギヤ113から遮断し、その状態
でモータ・ジェネレータ2を正回転方向に駆動すれば、
モータ・ジェネレータ2の動力によって後進走行するこ
とができる。すなわち後進走行時のモータモードとな
る。
【0151】上述のように、第1ブレーキB1 によって
第2遊星歯車機構111のキャリヤ117を固定した状
態でそのサンギヤ113を正回転させれば、出力軸10
に連結してあるリングギヤ115が逆回転するから、こ
れとは反対にリングギヤ115を正回転させれば、サン
ギヤ113が逆回転する。これを利用して前進走行時の
回生制動をおこなうことができる。例えば前述したET
Cモードで前進走行している際の制動要求により、第1
クラッチC1 に替えて第1ブレーキB1 を係合させる
と、図39に共線図を示してあるように、第2遊星歯車
機構111のキャリヤ117を固定した状態でそのリン
グギヤ115が、出力軸10から入力されるトルクによ
って正回転し、その結果、サンギヤ113が逆回転す
る。このサンギヤ113に作用するトルクがモータ・ジ
ェネレータ2に伝達されてモータ・ジェネレータ2が強
制的に逆回転させられるので、モータ・ジェネレータ2
で起電力が生じる。すなわち、出力軸10から入力され
る動力が電気エネルギに変換されて消費されるので、そ
の際の抵抗力が制動力として作用する。
【0152】また上記の図36に示すハイブリッド駆動
装置では、ヒルホールドモードを設定することができ
る。ヒルホールドモードとは、登坂路での発進時に車両
が後退しないように保持するモードであり、これは、前
述した第2ブレーキB2 およびこれと直列の第3一方向
クラッチによって達成される。すなわち第3一方向クラ
ッチF3 は従動プーリ13が後進走行方向に回転しよう
とする際に係合するから、第2ブレーキB2 および第3
クラッチC3 を係合させた状態で登坂路に停止し、かつ
制動作用を解除すると、車両にはその自重により後退移
動する荷重が作用する。すなわち従動プーリ13には、
これを逆回転させるトルクが作用するので、第3一方向
クラッチF3 が係合し、その回転が阻止される。すなわ
ち登坂路で発進する際に制動操作を解除して発進操作を
おこなっても車両の後退移動が阻止され、停止状態から
のスムースな発進をおこなうことができる。
【0153】このように図36に示す構成のハイブリッ
ド駆動装置であっても、前進走行時にエンジントルクを
増幅して出力することにより、発進時などの大きい駆動
力を必要とする走行を円滑におこなうことができるとと
もに、エンジン1の動力によって後進走行することがで
きる。また、図36に示す構成であっても、第1クラッ
チC1 および第2クラッチC2 はエンジン1の出力トル
クをそのまま伝達するから、その伝達トルク容量が特に
大きい必要はなく、したがってこれらのクラッチC1 ,
C2 を小型化してハイブリッド駆動装置を全体として小
型軽量化することができる。
【0154】2組の遊星歯車機構を使用した他の例を次
に説明する。図40に示す例は、前述した図36に示す
例と同様に、2組のシングルピニオン型遊星歯車機構を
使用し、その回転要素の連結状態およびエンジン1や摩
擦係合装置の連結状態を図36の構成とは異ならせたも
のである。すなわち第1遊星歯車機構110のキャリヤ
116が第2遊星歯車機構111のリングギヤ115に
一体的に連結され、また第1遊星歯車機構110のサン
ギヤ112が第2遊星歯車機構111のキャリヤ117
に一体的に連結されている。
【0155】また、第1遊星歯車機構110のリングギ
ヤ114とエンジン1との間に第1クラッチC1 が配置
され、また第2遊星歯車機構111のサンギヤ113と
エンジン1との間に第2クラッチC2 が配置されてい
る。さらに、第1遊星歯車機構110のサンギヤ112
の回転を選択的に固定するように第1ブレーキB1 が配
置されている。他の構成は、図36に示す構成と同様で
あるから、図40に図36と同一の符号を付してその説
明を省略する。
【0156】このハイブリッド駆動装置で設定可能な走
行モード(運転モード)について説明すると、エンジン
始動モードは、第1クラッチC1 と第2ブレーキB2 と
を係合させて設定する。この状態の共線図を図41に示
してある。第2ブレーキB2を係合させると、従動プー
リ13すなわち出力軸10の逆回転が、第3一方向クラ
ッチF3 によって阻止される。したがってモータ・ジェ
ネレータ2を逆回転させて第1遊星歯車機構110のサ
ンギヤ112に逆回転方向のトルクを与えると、出力軸
10と一体の第1遊星歯車機構110のキャリヤ116
が固定されるので、リングギヤ114が正回転する。エ
ンジン1はこのリングギヤ114に連結されているの
で、結局、エンジン1がモータ・ジェネレータ2の動力
によって正回転させられ、その状態で燃料を供給し、ま
た必要に応じて点火することによりエンジン1を始動す
ることができる。
【0157】その場合、固定要素となっている第1遊星
歯車機構110のキャリヤ116は、前記第3一方向ク
ラッチF3 によって逆回転しないように保持されている
のであって、正回転することは可能である。したがって
エンジン1を始動した後、エンジン1を例えば最も効率
の良い状態で運転し、その状態でモータ・ジェネレータ
2の正回転方向の出力トルクを次第に増大させると、キ
ャリヤ116およびこれと一体の出力軸10が正回転し
始める。すなわち第3一方向クラッチF3 の係合が解除
される。そしてその場合の駆動トルクは、エンジン1の
出力トルクをモータ・ジェネレータ2によって増幅した
トルクとなる。これは、トルクコンバータによるトルク
の増幅機能と同様であり、したがって図40に示す構成
のハイブリッド駆動装置では、第1クラッチC1 および
第3クラッチC3 を係合させることにより、いわゆるE
TCモードを設定することができる。言い換えれば、こ
のモードは、出力軸10と一体の回転要素を固定した場
合に、互いに反対方向に回転する関係となる2つの回転
要素にエンジン1とモータ・ジェネレータ2とを連結し
て設定されるモードである。
【0158】このようにして車両を発進させる場合、第
2ブレーキB2 および第3一方向クラッチF3 が係合し
ていて車両の後退移動が阻止されているので、前述した
ヒルホールド機能を得ることができる。
【0159】つぎに、先進走行時のモータモードについ
て説明する。このモータモードは、モータ・ジェネレー
タ2を出力軸10に直結してモータ・ジェネレータ2の
動力で走行するモードであり、したがって第1ないし第
3のクラッチC1 ,C2 ,C3 を係合させる。第1およ
び第2のクラッチC1 ,C2 を係合させると、第1遊星
歯車機構110のリングギヤ114と第2遊星歯車機構
111のサンギヤ113とが一体的に連結されるので、
各遊星歯車機構110,111の全体が一体化される。
したがってモータ・ジェネレータ2が出力軸10に直結
され、モータ・ジェネレータ2の動力がそのまま出力さ
れる。その場合、エンジン1も遊星歯車機構110,1
11を介して出力軸10に直結されるので、エンジン1
を空転させることになる。このようにエンジン1を空転
させるための動力の損失を防止するためには、エンジン
1を一体化された遊星歯車機構110,111から切り
離すための適宜のクラッチ機構を設けることが好まし
い。またエンジン1を空転させるとすれば、走行中での
エンジン1の始動やエアコンなどの補機類の運転が容易
になる。
【0160】モータモードでは、上記のようにエンジン
1も出力軸10に直結されるので、モータ・ジェネレー
タ2のみならず、エンジン1も駆動すれば、エンジン1
およびモータ・ジェネレータ2の動力によって前進走行
することができる。すなわちエンジン・モータモードと
なる。
【0161】上記の図40に示す構成においてもエンジ
ン1の出力で後進走行することができる。このエンジン
モードは、第2クラッチC2 と第3クラッチC3 と第1
ブレーキB1 とを係合させて設定する。この状態を図4
2に共線図として示してある。第1ブレーキB1 によっ
て第1遊星歯車機構110のサンギヤ112および第2
遊星歯車機構111のキャリヤ117を固定した状態
で、エンジン1から第2クラッチC2 を介して第2遊星
歯車機構111のサンギヤ113に正回転方向のトルク
を伝達すると、そのリングギヤ115およびこれに連結
してある出力軸10が逆回転し、エンジン1の動力が逆
回転方向の動力として出力される。すなわち後進走行す
る。
【0162】このモードでは、後進走行のための反力を
第1ブレーキB1 によって与えているが、第1ブレーキ
B1 が連結されている第1遊星歯車機構110のサンギ
ヤ112にはモータ・ジェネレータ2が連結されている
ので、モータ・ジェネレータ2によって反力を与えるこ
とができる。このようにした場合、モータ・ジェネレー
タ2による反力を次第に小さくすれば、第1遊星歯車機
構110のサンギヤ112およびこれと一体の第2遊星
歯車機構111のキャリヤ117が次第に正回転し始
め、これと同時にリングギヤ115およびこれと一体の
出力軸10の回転数が低下する。そしてついには、出力
軸10の回転が止まる。また、これとは反対にモータ・
ジェネレータ2による反力(逆回転方向のトルク)を増
大させれば、出力軸10の逆回転方向の回転数が増大す
る。すなわち、モータ・ジェネレータ2の出力によって
後進走行のための駆動トルクを制御でき、しかもその駆
動トルクはエンジントルクをモータ・ジェネレータ2に
よって増幅したトルクとなる。これは、前進走行時のE
TCモードと同様に、トルクの増幅機能であり、図40
に示す構成では、後進走行時にもETCモードを設定す
ることができる。
【0163】なお、前述したように、モータ・ジェネレ
ータ2を出力軸10に直結したモータモードでは、エン
ジン1も出力軸10に直結されるので、図40に示す構
成のままでは、後進走行のためのモータモードを設定す
ることができないが、前述したように、一体化した遊星
歯車機構110,111からエンジン1を切り離す適宜
のクラッチ手段を設けた場合には、モータ・ジェネレー
タ2の動力のみによって後進走行することができる。
【0164】このように、図40に示す構成のハイブリ
ッド駆動装置においても、エンジントルクを増幅して出
力するトルクコンバータとしての機能を得ることができ
るとともに、エンジン1の動力によって後進走行できる
ので、バッテリ(図示せず)の充電容量が低下している
場合であっても、後進走行のための充分な駆動力を得る
ことができる。また、遊星歯車機構110,111に隣
接して配置されるクラッチC1 ,C2 には、エンジン
1の出力トルクが増幅されないまま伝達されるから、こ
れらのクラッチC1 ,C2 に要求される伝達トルク容量
が小さく、したがって装置の小型軽量化を図ることでき
る。さらに図40に示すように、モータ・ジェネレータ
2に隣接して遊星歯車機構110,111を配置するこ
とができるので、このような構成とすることにより、モ
ータ・ジェネレータ2のロータの内周側に遊星歯車機構
110,111の一部を入り込ませることが可能にな
り、その結果、装置の全体としての軸長を短くして小型
軽量化を図ることができる。
【0165】ここで、この発明と上述した各具体例との
関係を説明すると、図1および図6ないし図8に示す例
が請求項1および請求項2の発明の具体例であり、また
図9に示す例が、請求項1および請求項3の発明の具体
例である。さらに図15に示す例が、請求項5および請
求項6の発明の具体例であり、図20に示す例が、請求
項1および請求項4の発明の具体例である。図26に示
す例が、請求項7ないし9の発明の具体例であり、図3
1に示す例が、請求項7および請求庫10の発明の具体
例である。図36に示す例が請求項11および請求項1
2ならびに請求項14の発明の具体例である。そして図
40に示す例が、請求項11および請求項13ならびに
請求項14の発明の具体例である。
【0166】なお、上記の具体例では、変速機としてベ
ルト式の無段変速機を示したが、この発明では、これに
替えてトロイダル式の無段変速機を使用してもよく、ま
た有段式の変速機を使用してもよい。さらに、クラッチ
手段やブレーキ手段は、湿式多板式の摩擦係合装置以外
にベルト式や噛み合い式など、適宜の構成のものを使用
することができる。
【0167】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるハ
イブリッド駆動装置によれば、内燃機関の出力する動力
によって後進走行することができるので、電動機の動力
源であるバッテリの充電量が低下している場合であって
も、内燃機関による大きい駆動力で後進走行することが
できる。また、前進走行の際には、内燃機関の出力する
トルクを電動機の出力する動力で増幅して出力部材に出
力できるので、発進時などの大きいトルクを要求される
際にも円滑な走行をおこなうことができる。さらに内燃
機関を一定状態で運転している状態で電動機の出力によ
って出力部材の回転数および出力トルクを制御できるの
で、発進時の制御が容易になる。そしてまた、電動機に
よって内燃機関を回転させて内燃機関を始動することで
きるので、従来一般の車両に搭載されていたスタータモ
ータを廃止して小型軽量化を図ることができる。
【0168】そして特に請求項5の発明によれば、内燃
機関の動力で後進走行する際にも、内燃機関の出力する
トルクを電動機の出力で増幅することができ、後進走行
する際の発進制御が容易になる。
【0169】また請求項10の発明によれば、後進走行
するための変速比を大きくし、要求に即した駆動力を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一例を示すスケルトン図である。
【図2】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置で各
運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・解放
状態を示す図表である。
【図3】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置によ
るエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状態を
説明するための共線図である。
【図4】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置によ
るETCモードにおける各回転要素の回転状態を説明す
るための共線図である。
【図5】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置によ
る後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素の回
転状態を説明するための共線図である。
【図6】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置を具
体化した例を示す部分断面図である。
【図7】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置を具
体化した例の他の部分を示す部分断面図である。
【図8】 図1に示す構成のハイブリッド駆動装置を具
体化した例の更に他の部分を示す部分断面図である。
【図9】 この発明の他の例を示すスケルトン図であ
る。
【図10】 図9に示す構成のハイブリッド駆動装置で
各運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・解
放状態を示す図表である。
【図11】 図9に示す構成のハイブリッド駆動装置に
よるエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状態
を説明するための共線図である。
【図12】 図9に示す構成のハイブリッド駆動装置に
よるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説明
するための共線図である。
【図13】 図9に示す構成のハイブリッド駆動装置に
よる後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素の
回転状態を説明するための共線図である。
【図14】 図9に示す構成のハイブリッド駆動装置に
オイルポンプを加えた構成を示すスケルトン図である。
【図15】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図16】 図15に示す構成のハイブリッド駆動装置
で各運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・
解放状態を示す図表である。
【図17】 図15に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状
態を説明するための共線図である。
【図18】 図15に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図19】 図15に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【図20】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図21】 図20に示す構成のハイブリッド駆動装置
で各運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・
解放状態を示す図表である。
【図22】 図20に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状
態を説明するための共線図である。
【図23】 図20に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図24】 図20に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【図25】 図20に示す構成のハイブリッド駆動装置
にオイルポンプを加えた構成を示すスケルトン図であ
る。
【図26】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図27】 図26に示す構成のハイブリッド駆動装置
で各運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・
解放状態を示す図表である。
【図28】 図26に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状
態を説明するための共線図である。
【図29】 図26に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図30】 図26に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【図31】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図32】 図31に示す構成のハイブリッド駆動装置
で各運転モードを設定するための摩擦係合装置の係合・
解放状態を示す図表である。
【図33】 図31に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるエンジン始動モードにおける各回転要素の回転状
態を説明するための共線図である。
【図34】 図31に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図35】 図31に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【図36】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図37】 図36に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図38】 図36に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【図39】 図36に示す構成のハイブリッド駆動装置
による回生制動時における各回転要素の回転状態を説明
するための共線図である。
【図40】 この発明の更に他の例を示すスケルトン図
である。
【図41】 図40に示す構成のハイブリッド駆動装置
によるETCモードにおける各回転要素の回転状態を説
明するための共線図である。
【図42】 図40に示す構成のハイブリッド駆動装置
による後進走行時のエンジンモードにおける各回転要素
の回転状態を説明するための共線図である。
【符号の説明】
1…内燃機関(エンジン)、 2…電動機(モータ・ジ
ェネレータ)、 3…ダブルピニオン型遊星歯車機構、
4…サンギヤ、 5…リングギヤ、 6…第1ピニオ
ンギヤ、 7…第2ピニオンギヤ、 8…キャリヤ、
9…ケーシング、 B1 …ブレーキ、 10…出力軸、
C1 …第1クラッチ、 C2 …第2クラッチ、 11
…変速機、 28…モータ・ジェネレータ、 38…遊
星歯車機構、 39…サンギヤ、 40…キャリヤ、
42…リングギヤ、 50…出力軸、 54…変速機、
80…シングルピニオン型遊星歯車機構、 81…サ
ンギヤ、 82…リングギヤ、 83…ピニオンギヤ、
84…キャリヤ、 90…ラビニヨ型遊星歯車機構、
91…第1サンギヤ、 92…リングギヤ、 93…
ショートピニオンギヤ、 94…ロングピニオンギヤ、
95…キャリヤ、96…第2サンギヤ、 100…ラ
ビニヨ型遊星歯車機構、 101…第1サンギヤ、 1
02…リングギヤ、 103…ショートピニオンギヤ、
104…ロングピニオンギヤ、 105…キャリヤ、
106…第2サンギヤ、 110,111…シングル
ピニオン型遊星歯車機構、 112,113…サンギ
ヤ、114,115…リングギヤ、 116,117…
キャリヤ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 寛 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 森沢 邦夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 塩入 広行 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岩瀬 雄二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D039 AA02 AA03 AA04 AB27 AC03 AC04 AC07 AC34 AC39 AC45 AC54 AC74 AC77 AD02 AD11 AD23 3D041 AA09 AA30 AA31 AB01 AC15 AC19 AC20 AD33 AE00 AE30 3G093 AA06 AA07 AA16 BA14 CB05 EB03 EC01 EC04 3J028 EA25 EA30 EB18 EB33 EB35 EB43 EB62 EB63 EB66 FB13 FC16 FC23 FC63 GA01 GA20 HA13 HA22 HA29 HA32 HC02 5H115 PA00 PA01 PC06 PG04 PI16 PI29 PI30 PU10 PU22 PU23 PU25 QA01 QE01 QE02 QE03 QE10 QE13 QH08 QI04 RE01 RE02 RE13 SE04 SE07 SE08 SE09 TI02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンギヤと、該サンギヤに対して同心円
    上に配置されたリングギヤと、これらサンギヤとリング
    ギヤとの間に配置された複数のピニオンギヤを自転かつ
    公転自在に保持したキャリヤとを回転要素とする遊星歯
    車機構を介して、内燃機関と電動機とから出力部材に動
    力を出力するハイブリッド駆動装置において、 前記3つの回転要素のうちのいずれか1つの回転要素で
    あって固定されることにより他の2つの回転要素が互い
    に反対方向に回転する関係となる回転要素を選択的に固
    定するブレーキ手段が設けられるとともに、 前記他の2つの回転要素のいずれか一方の回転要素に前
    記内燃機関が常時もしくは選択的に連結され、 かつ他方の回転要素に前記電動機が常時もしくは選択的
    に連結され、 さらに前記電動機が連結された回転要素を前記出力部材
    に選択的に連結する第1クラッチ手段と、 前記ブレーキ手段によって固定される回転要素に前記出
    力部材を選択的に連結する第2クラッチ手段とが設けら
    れていることを特徴とするハイブリッド駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記遊星歯車機構が、前記サンギヤに噛
    合した第1ピニオンギヤと該第1ピニオンギヤおよび前
    記リングギヤに噛合した第2ピニオンギヤとを有するダ
    ブルピニオン型遊星歯車機構からなり、 これらのピニオンギヤを保持しているキャリヤに前記電
    動機が連結され、 かつ前記サンギヤに内燃機関が連結され、 さらに前記ブレーキ手段が前記リングギヤとケーシング
    との間に配置され、 前記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記キャリ
    ヤに連結されるとともに第2クラッチ手段を介して前記
    リングギヤに連結されるように構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記遊星歯車機構が、前記サンギヤに噛
    合した第1ピニオンギヤと該第1ピニオンギヤおよび前
    記リングギヤに噛合した第2ピニオンギヤとを有するダ
    ブルピニオン型遊星歯車機構からなり、 これらのピニオンギヤを保持しているキャリヤに前記内
    燃機関が連結され、 かつ前記サンギヤに電動機が連結され、 さらに前記ブレーキ手段が前記リングギヤとケーシング
    との間に配置され、 前記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記サンギ
    ヤに連結されるとともに第2クラッチ手段を介して前記
    リングギヤに連結されるように構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記遊星歯車機構が、前記サンギヤとリ
    ングギヤとに噛合した複数のピニオンギヤを有するシン
    グルピニオン型遊星歯車機構からなり、 これらのピニオンギヤを保持しているキャリヤとケーシ
    ングとの間に前記ブレーキ手段が配置され、 かつ前記サンギヤに電動機が連結され、 さらに前記リングギヤに前記内燃機関が連結され、 前記出力部材が、第1クラッチ手段を介して前記サンギ
    ヤに連結されるとともに第2クラッチ手段を介して前記
    キャリヤに連結されるように構成されていることを特徴
    とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  5. 【請求項5】 サンギヤと、該サンギヤに対して同心円
    上に配置されたリングギヤと、これらサンギヤとリング
    ギヤとの間に配置された複数のピニオンギヤを自転かつ
    公転自在に保持したキャリヤとを回転要素とする遊星歯
    車機構を介して、内燃機関と電動機とから出力部材に動
    力を出力するハイブリッド駆動装置において、 前記3つの回転要素のうちのいずれか1つの回転要素で
    あって固定されることにより他の2つの回転要素が互い
    に反対方向に回転する関係となる回転要素に、第1入力
    クラッチ手段を介して前記電動機が連結されるととも
    に、 前記他の2つの回転要素のいずれか一方の回転要素に第
    2入力クラッチ手段を介して前記電動機が連結され、 かつ他方の回転要素に前記内燃機関が常時もしくは選択
    的に連結され、 さらに前記第2入力クラッチ手段によって前記電動機が
    連結された回転要素を前記出力部材に選択的に連結する
    第1出力クラッチ手段と、 前記第1入力クラッチ手段によって前記電動機に連結さ
    れた回転要素を前記出力部材に選択的に連結する第2出
    力クラッチ手段とが設けられていることを特徴とするハ
    イブリッド駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記第1入力クラッチ手段と前記第2出
    力クラッチ手段とに連結されている前記回転要素とケー
    シングとの間に一方向クラッチが配置されていることを
    特徴とする請求項5のハイブリッド駆動装置。
  7. 【請求項7】 内燃機関の出力する動力と電動機が出力
    する動力とを、個別にもしくは合成して出力部材に伝達
    するハイブリッド駆動装置において、 第1サンギヤと、該第1サンギヤに対して同心円上に配
    置されたリングギヤと、第1サンギヤに噛合した第1ピ
    ニオンギヤおよび該第1ピニオンギヤと前記リングギヤ
    とに噛合した第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保
    持するキャリヤと、第2ピニオンギヤに噛合した第2サ
    ンギヤとを有するラビニヨ型遊星歯車機構と、 前記内燃機関を前記第1サンギヤに選択的に連結する第
    1クラッチ手段と、 前記内燃機関を前記第2サンギヤに選択的に連結する第
    2クラッチ手段と、 前記キャリヤを選択的に固定するブレーキ手段とを有
    し、 前記電動機が前記第2サンギヤに連結されるとともに、
    前記出力部材が前記リングギヤに連結されていることを
    特徴とするハイブリッド駆動装置。
  8. 【請求項8】 内燃機関の出力する動力と電動機が出力
    する動力とを、個別にもしくは合成して出力部材に伝達
    するハイブリッド駆動装置において、 第1サンギヤと、該第1サンギヤに対して同心円上に配
    置されたリングギヤと、第1サンギヤに噛合した第1ピ
    ニオンギヤおよび該第1ピニオンギヤと前記リングギヤ
    とに噛合した第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保
    持するキャリヤと、第2ピニオンギヤに噛合した第2サ
    ンギヤとを有するラビニヨ型遊星歯車機構と、 前記内燃機関を前記第1サンギヤに選択的に連結する第
    1クラッチ手段と、 前記電動機を前記キャリヤに選択的に連結する第2クラ
    ッチ手段と、 前記リングギヤを選択的に固定するブレーキ手段とを有
    し、 前記電動機が前記第2サンギヤに連結されるとともに、
    前記出力部材が前記キャリヤに連結されていることを特
    徴とするハイブリッド駆動装置。
  9. 【請求項9】 前記出力部材もしくは出力部材に一体に
    連結されている部材の回転を選択的に止める固定手段
    が、更に設けられていることを特徴とする請求項7もし
    くは8に記載のハイブリッド駆動装置。
  10. 【請求項10】 前記第2ピニオンギヤの前記第1ピニ
    オンギヤに噛合している部分の歯数と前記第2サンギヤ
    に噛合している部分の歯数とが相違していることを特徴
    とする請求項7もしくは8に記載のハイブリッド駆動装
    置。
  11. 【請求項11】 内燃機関の出力する動力と電動機が出
    力する動力とを、個別にもしくは合成して出力部材に伝
    達するハイブリッド駆動装置において、 サンギヤと、該サンギヤに対して同心円上に配置された
    リングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配
    置されたピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持したキ
    ャリヤとを回転要素する第1遊星歯車機構および第2遊
    星歯車機構と、 第2遊星歯車機構におけるいずれか1つの回転要素であ
    って固定されることにより他の2つの回転要素が互いに
    反対方向に回転する関係となる回転要素を選択的に固定
    するブレーキ手段が設けられるとともに、 前記他の2つの回転要素のうちのいずれか一方の回転要
    素に前記内燃機関を選択的に連結する第2クラッチ手段
    が設けられ、 かつ他方の回転要素が前記出力部材に連結され、 前記第1遊星歯車機構におけるいずれか1つの回転要素
    であって固定されることにより他の2つの回転要素が互
    いに反対方に回転する関係となる回転要素が、前記出力
    部材に連結され、 かつこの第1遊星歯車機構における前記他の2つの回転
    要素のうちのいずれか一方の回転要素に第1クラッチ手
    段を介して前記内燃機関が連結され、 さらに前記第1遊星歯車機構における前記他の2つの回
    転要素のうちの他方の回転要素に、前記電動機の動力が
    伝達されるように構成されていることを特徴とするハイ
    ブリッド駆動装置。
  12. 【請求項12】 前記第1遊星歯車機構および第2遊星
    歯車機構が、サンギヤとリングギヤとに噛合した複数の
    ピニオンギヤを前記キャリヤによって自転かつ公転自在
    に保持したシングルピニオン型遊星歯車機構によって構
    成され、 前記ブレーキ手段が、第2遊星歯車機構のキャリヤとケ
    ーシングとの間に配置されるとともに、このキャリヤと
    前記第1遊星歯車機構のリングギヤとが連結され、 前記第2クラッチ手段が、前記第2遊星歯車機構のサン
    ギヤと内燃機関とを連結するように配置されとともにそ
    のサンギヤに前記電動機が連結され、 かつ第2遊星歯車機構のリングギヤが第1遊星歯車機構
    のキャリヤに連結され、 さらに第1遊星歯車機構のキャリヤが第2遊星歯車機構
    のリングギヤおよび出力部材に連結され、 かつこの第1遊星歯車機構のサンギヤが前記第1クラッ
    チ手段を介して前記内燃機関に連結されていることを特
    徴とする請求項11のハイブリッド駆動装置。
  13. 【請求項13】 前記第1遊星歯車機構および第2遊星
    歯車機構が、サンギヤとリングギヤとに噛合した複数の
    ピニオンギヤを前記キャリヤによって自転かつ公転自在
    に保持したシングルピニオン型遊星歯車機構によって構
    成され、 第2遊星歯車機構のキャリヤが前記第1遊星歯車機構の
    サンギヤに連結されるとともにこれらキャリヤとサンギ
    ヤとを選択的に固定するように前記ブレーキ手段が配置
    され、 前記第2クラッチ手段が、前記第2遊星歯車機構のサン
    ギヤと内燃機関とを連結するように配置され、 かつ第2遊星歯車機構のリングギヤが第1遊星歯車機構
    のキャリヤに連結されるとともにこのキャリヤが前記出
    力部材に連結され、 かつこの第1遊星歯車機構のリングギヤが前記第1クラ
    ッチ手段を介して前記内燃機関に連結されていることを
    特徴とする請求項11のハイブリッド駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記出力部材もしくは出力部材に一体
    化されている部材の回転を選択的に止める固定手段が更
    に設けられていることを特徴とする請求項11ないし1
    3のいずれかに記載のハイブリッド駆動装置。
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