JP2000088798A - 二酸化炭素センサおよび二酸化炭素濃度の測定方法 - Google Patents

二酸化炭素センサおよび二酸化炭素濃度の測定方法

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JP2000088798A
JP2000088798A JP10272609A JP27260998A JP2000088798A JP 2000088798 A JP2000088798 A JP 2000088798A JP 10272609 A JP10272609 A JP 10272609A JP 27260998 A JP27260998 A JP 27260998A JP 2000088798 A JP2000088798 A JP 2000088798A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温で作動し、十分な感度と応答性が得ら
れ、選択性が高く、耐湿性にも優れた二酸化炭素センサ
と、この二酸化炭素センサを用いた二酸化炭素濃度の測
定方法とを提供する。 【解決手段】 本発明の二酸化炭素センサは、検知極と
対極とがそれぞれ固体電解質に接して設けられており、
前記固体電解質が金属イオン導電体を含有し、前記検知
極が、導電性金属酸化物を含有する金属酸化物層と、集
電体とを有し、前記検知極が炭酸水素イオンを含有す
る。この二酸化炭素センサは、二酸化炭素を炭酸水素イ
オンの形で前記導電性金属酸化物表面および/または前
記固体電解質表面に吸着して二酸化炭素濃度を測定する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内外の環境制
御、施設園芸等の農工業プロセス、防災、生体表面の代
謝機能の測定などに使用される二酸化炭素センサおよび
二酸化炭素濃度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、空調の普及に伴う室内空気の汚染
の検知、畜産における施設内空気の汚染の検知、園芸施
設における植物の成長制御、各種工業プロセスなどを中
心に、二酸化炭素センサに対するニーズが高まってお
り、種々の方式の二酸化炭素センサが提案されている。
【0003】具体的には、例えば、赤外線吸収方式の二
酸化炭素センサが実用化されている。しかし、この方式
のセンサは、装置が大きいこと、高価であることなどか
ら、普及するには至っていない。また、半導体を用いた
センサも提案されているが、このセンサは二酸化炭素の
選択性に劣るため、二酸化炭素のみの濃度を測定するこ
とが困難である。
【0004】これに対して、小型で安価なセンサとし
て、固体電解質を用いたものがいくつか提案されてい
る。
【0005】丸山ら{第10回固体イオニクス討論会講
演要旨集69(1983)}は、二酸化炭素と解離平衡
を形成する炭酸カリウムなどの固体電解質に一対の電極
を形成し、一方に濃度既知の基準ガスを接触させて、雰
囲気ガスの濃度差による起電力を測定する濃淡分極型セ
ンサを提案している。また、丸山らは、このような濃淡
分極型センサの他、NASICON(ナトリウムスーパ
ーイオン伝導体:Na3Zr2Si2PO12)などのアル
カリ金属イオン伝導性の固体電解質に一対の電極を形成
し、一方に炭酸ナトリウムなどの二酸化炭素と解離平衡
を形成する金属炭酸塩層を設けて検知極とし、他方を二
酸化炭素不感応性電極とした、いわゆる起電力検出型セ
ンサも提案している。
【0006】特公平4−79542号公報では、二酸化
炭素と解離平衡を形成する金属塩の金属イオン導電性を
有する固体電解質に一対の電極を形成し、一方の電極を
上記金属塩で被覆し、もう一方の電極および残余の固体
電解質表面にガス遮断層で被覆している二酸化炭素セン
サが提案されている。
【0007】特開平7−63726号公報では、アルカ
リイオン伝導体からなる固体電解質に、電子および酸素
イオンの伝導体である固体基準極を圧着させた固体基準
極型二酸化炭素センサが提案されている。
【0008】固体電解質を用いた小型で安価な二酸化炭
素センサの問題点としては、まず材料として使用される
金属炭酸塩が湿度の影響を受けやすいことがある。この
問題を解決するためには、センサ素子のガス検知部以外
を密閉したり、センサをヒータにより加熱して作動温度
を高くして、湿度の影響を低減しなければならない。上
記のセンサの作動温度は400〜700℃と高温であ
る。作動温度が高いと、センサ全体の消費電力が大き
く、また、材料の熱劣化が起こる等の問題が生じてく
る。また、数百℃の熱は、たとえ小さなヒータからであ
ってもセンサ周辺を加温し、空気の対流を発生するな
ど、測定環境に微妙な影響を与えてしまうという問題も
ある。
【0009】さらに、金属炭酸塩が湿度の影響を受けや
すいため、センサの使用停止時には素子を乾燥雰囲気中
で保存する必要がある。さらには、使用時に、停止中に
素子に進入した水分の除去等のためにベーキングが必要
で、センサの出力電圧が安定するまでに長時間要し、作
業性やエネルギー的な問題が存在する。これらはセンサ
を高温で動作させる場合には、不可避な問題であり、よ
り低い温度で動作するセンサが求められている。
【0010】この問題に対して、S.Breikhinら{Applie
d PhysicsA 57, 37-43(1993)}は、固体電解質と半導体
とを接合させた二酸化炭素センサを報告している。この
二酸化炭素センサは、検知極としてSbやVをドープし
たSnO2半導体を用い、これに固体電解質としてナト
リウムイオン導電体であるNASICONを接合させ、
検知極の反対側に参照極としてNaxCoO2を配置して
いる。この二酸化炭素センサは低温(−35℃〜室温)
作動が可能であるが、応答が見られるまで4分以上かか
ってしまうという問題がある。また、耐湿性も悪く、相
対湿度(湿度)によって応答時間や感度が変化してしま
い、安定した性能を得ることが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、室温
で作動し、十分な感度と応答性が得られ、選択性が高
く、耐湿性にも優れた二酸化炭素センサと、この二酸化
炭素センサを用いた二酸化炭素濃度の測定方法とを提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。
【0013】(1) 検知極と対極とがそれぞれ固体電
解質に接して設けられており、前記固体電解質が金属イ
オン導電体を含有し、前記検知極が、導電性金属酸化物
を含有する金属酸化物層と、集電体とを有し、前記検知
極が、少なくとも二酸化炭素存在下で、炭酸水素イオン
を含有する二酸化炭素センサ。 (2) 検知極と対極とがそれぞれ固体電解質に接して
設けられており、前記固体電解質が金属イオン導電体を
含有し、前記検知極が、導電性金属酸化物を含有する金
属酸化物層と、集電体とを有し、前記金属酸化物層が金
属炭酸水素塩を含有する二酸化炭素センサ。 (3) 前記金属酸化物層が金属炭酸水素塩および/ま
たは金属炭酸塩を含有する上記(1)または(2)の二
酸化炭素センサ。 (4) 前記金属酸化物層が、炭酸水素リチウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウ
ム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウムおよび炭
酸水素カルシウムのいずれか一種以上を含有する上記
(2)または(3)の二酸化炭素センサ。 (5) 前記金属酸化物層が、金属炭酸水素塩および/
または金属炭酸塩を前記導電性金属酸化物に対して1〜
99wt%含有する上記(2)〜(4)のいずれかの二酸
化炭素センサ。 (6) 前記金属酸化物層が、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化
鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化
カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イット
リウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウ
ム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リ
チウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウ
ム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいずれか
一種以上を含有する上記(1)〜(5)のいずれかの二
酸化炭素センサ。 (7) 前記金属酸化物層が多孔質である上記(1)〜
(6)のいずれかの二酸化炭素センサ。 (8) 前記炭酸水素イオンが前記導電性金属酸化物表
面に存在する上記(1)、(3)、(4)、(5)、
(6)または(7)のいずれかの二酸化炭素センサ。 (9) 前記炭酸水素イオンが前記固体電解質表面に存
在する上記(1)、(3)、(4)、(5)、(6)ま
たは(7)のいずれかの二酸化炭素センサ。 (10) 前記固体電解質の可動イオン種が前記金属酸
化物層に侵入している上記(1)〜(9)のいずれかの
二酸化炭素センサ。 (11) 前記集電体が多孔質金属である上記(1)〜
(10)のいずれかの二酸化炭素センサ。 (12) 前記集電体が前記金属酸化物層を挟んで固体
電解質に対向して設けられている上記(1)〜(11)
のいずれかの二酸化炭素センサ。 (13) 前記検知極と前記対極とが前記固体電解質の
同一の面上に設けられている上記(1)〜(12)のい
ずれかの二酸化炭素センサ。 (14) 前記対極が金属または金属酸化物のいずれか
一種以上を含有する上記(1)〜(13)のいずれかの
二酸化炭素センサ。 (15) 上記(1)〜(14)のいずれかの二酸化炭
素センサを用い、二酸化炭素が炭酸水素イオンの形で前
記検知極に吸着して二酸化炭素濃度が測定される二酸化
炭素濃度の測定方法。 (16) 前記炭酸水素イオンが前記導電性金属酸化物
表面に吸着する上記(15)の二酸化炭素濃度の測定方
法。 (17) 前記炭酸水素イオンが前記固体電解質表面に
吸着する上記(15)の二酸化炭素濃度の測定方法。
【0014】
【作用】本発明の二酸化炭素センサは、検知極と対極と
がそれぞれ、金属イオン導電体を含有する固体電解質に
接して設けられており、検知極が、導電性金属酸化物を
含有する金属酸化物層と、集電体とを有する。検知極が
接する固体電解質の表面に、金属酸化物層を有すること
が好ましい。そして、この検知極は、少なくとも二酸化
炭素存在下で、炭酸水素イオンを含有する。検知極は、
二酸化炭素存在下において炭酸水素イオンを形成すれば
よいが、予め炭酸水素イオンを含有している方が応答性
がよく、好ましい。
【0015】検知極の金属酸化物層が導電性金属酸化
物、好ましくは酸化インジウム、酸化スズ、酸化コバル
ト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸
化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸
化ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化ア
ンチモン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオ
ジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リチウム、酸化ナト
リウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロン
チウムおよび酸化バリウムのいずれか一種以上を含有
し、さらに、炭酸水素イオンを含有することにより、応
答性が著しく向上し、低温での迅速な測定が可能にな
る。これは、検出する二酸化炭素に由来する炭酸水素イ
オンが固体電解質表面および/または導電性金属酸化物
表面に形成されやすくなるからであると考えられる。予
め検知極に炭酸水素イオンが含有されていると、より二
酸化炭素由来の炭酸水素イオンが形成されやすくなる。
本発明の二酸化炭素センサは、炭酸ガスの分圧の変化に
応じて炭酸水素イオンの解離平衡が生じ、それによって
二酸化炭素濃度を測定するものである。本発明の二酸化
炭素センサは、室温で作動しても、応答速度が速く、高
感度であり、二酸化炭素選択性も高い。
【0016】炭酸水素イオンは、通常、固体電解質表面
および/または導電性金属酸化物表面に結合して存在す
る。より具体的には、固体電解質表面および/または導
電性金属酸化物表面の−OH基と直接またはH2Oを介
して結合して存在する。固体電解質表面に存在する炭酸
水素イオン、導電性金属酸化物表面に存在する炭酸水素
イオンともに、二酸化炭素濃度の測定に関与すると考え
られる。炭酸水素イオンが導電性金属酸化物表面に形成
される場合、金属酸化物が電子伝導性に優れる場合は金
属酸化物が導電体として作用し、イオン伝導性に優れる
場合は固体電解質中の可動イオン種が金属酸化物層中に
侵入することにより、起電力が発生する。
【0017】さらに、金属酸化物層に金属炭酸水素塩お
よび/または金属炭酸塩、好ましくは金属炭酸水素塩を
含有させることにより、固体電解質表面および/または
金属酸化物表面への二酸化炭素由来の炭酸水素イオンの
生成がより促進され、感度、応答速度、選択性などの応
答性がさらに向上する。
【0018】また、金属酸化物層に金属炭酸塩を含有さ
せることにより、よりペーストにしやすくなり、検知極
を形成しやすくなるため、検知極の固体電解質に対する
密着性がよくなり、応答速度が向上する。しかも、検知
極の形成時にスクリーン印刷等の作業が容易になるた
め、生産性が向上する。さらには、電極の強度も強くな
る。
【0019】また、集電体を多孔質としたり、集電体を
金属酸化物層を挟んで固体電解質に対向して設けること
により、検知極自体がガス拡散層として働くために、さ
らに迅速な応答が得られるようになる。
【0020】さらには、対極に金属酸化物を用いること
により、共存ガスの影響が軽減し、高い二酸化炭素選択
性が得られる。また、耐湿性が向上し、特に低温での測
定時の湿度の影響が軽減する。
【0021】本発明のセンサの作動温度は、検知極と対
極との組み合わせにより、今までの固体電解質を用いた
二酸化炭素センサよりも低温で作動させることができ、
熱による測定環境の変化が小さく、消費電力の低減が可
能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の二酸化炭素センサは、検
知極と対極とがそれぞれ固体電解質に接して設けられて
おり、前記固体電解質が金属イオン導電体を含有し、前
記検知極が、導電性金属酸化物を含有する金属酸化物層
と、集電体とを有し、前記検知極が、さらに、炭酸水素
イオンを含有する。
【0023】<固体電解質>本発明の二酸化炭素センサ
では、固体電解質に金属イオン導電体を用いる。金属イ
オン導電体としては、例えば、Na−β″アルミナ、N
a−βアルミナ、Na3Zr2PSi212、Na3Zr2
Si2PO12(NASICON)、Na−βGa23
Na−Fe23、Na3Zr2PSi2212、Li−β
アルミナ、Li14Zn(CeO4)、Li5AlO4、L
1.4Ti1.6In0.4312、K−βアルミナ、K1.6
Al0.8Ti7.216、K2MgTi716、CaS等が挙
げられる。中でも、NASICONが好ましい。これら
は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。
【0024】固体電解質の作製法としては、通常用いら
れている固相法、ゾルゲル法、共沈法等のいずれでもよ
く、好ましくは固相法が用いられる。
【0025】固体電解質には、金属イオン導電体以外
に、イオン導電性を妨げない程度の補強剤として、酸化
アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭化ケイ素(Si
C)、窒化ケイ素(Si34)、酸化鉄(Fe23)等
が50wt%以下含有されていてもよい。これらは化学量
論組成から多少偏倚していてもよい。
【0026】<検知極>本発明の二酸化炭素センサで
は、検知極は、導電性金属酸化物を含有する金属酸化物
層と、集電体とから成る。検知極は、さらに、通常、固
体電解質表面および/または導電性金属酸化物表面に炭
酸水素イオン(HCO3 -)を有する。検知極に導電性金
属酸化物と炭酸水素イオンとを含有することにより、低
温での迅速な測定が可能になる。
【0027】<検知極の金属酸化物層>金属酸化物層
は、導電性金属酸化物として、酸化インジウム(In2
3)、酸化スズ(SnO2)、酸化コバルト(Co
34)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化鉛(PbO)、酸化銅(CuO)、酸化鉄
(Fe23、FeO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化
クロム(Cr23)、酸化カドミウム(CdO)、酸化
ビスマス(Bi23)、酸化マンガン(MnO2、Mn2
3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化アンチモン
(Sb23)、酸化ランタン(La23)、酸化セリウ
ム(CeO2)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化
ネオジム(Nd23)、酸化銀(Ag2O)、酸化リチ
ウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カ
リウム(K2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化セ
シウム(Cs2O)、酸化マグネシウム(MgO)、酸
化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(Sr
O)および酸化バリウム(BaO)のいずれか一種以上
を含有することが好ましい。これらは化学量論組成から
多少偏倚していてもよい。
【0028】導電性金属酸化物としては、他に、以下の
ようなNaCl型酸化物、スピネル型酸化物、ペロブスカイ
ト型酸化物、層状ペロブスカイト型酸化物、パイロクロ
ア型酸化物、その他の酸化物も用いることができる。な
お、これらも化学量論組成から多少偏倚していてもよ
い。
【0029】NaCl型酸化物:TiO,VO,Nb
O,RO1-x( ここで、R:一種類以上の希土類(Sc
およびYを含む)、0≦x <1),LiVO2 等。
【0030】スピネル型酸化物:LiTi24 ,Li
xTi2-x4 (ここで、M=Li,Al,Cr,0<
x<2),Li1-xxTi24 (ここで、M=Mg,
Mn,0<x<1),LiV24 ,Fe34 等。
【0031】ペロブスカイト型酸化物:ReO3 ,WO
3 ,MxReO3 (ここで、M金属,0<x<0.
5),MxWO3 (ここで、M=金属,0<x<0.
5),A2832112 (ここで、A=K,Rb,T
l),NaxTay1-y3 (ここで、0≦x<1,0
<y<1),RNbO3 (ここで、R:一種類以上の希
土類(ScおよびYを含む)),Na1-xSrxNbO3
(ここで、0≦x≦1),RTiO3 (ここで、R:一
種類以上の希土類(ScおよびYを含む)),Can+1
Tin3n+1-y (ここで、n=2,3,...,y>
0),CaVO3,SrVO3,R1-xSrxVO3 (ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)、
0≦x≦1),R1-xBaxVO3 (ここで、R:一種類
以上の希土類(ScおよびYを含む)、0≦x≦1),
Srn+1n3n+1-y (ここで、n=1,2,
3....,y>0),Ban+1n3n+1-y (ここ
で、n=1,2,3....,y>0),R4BaCu5
13-y (ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよ
びYを含む)、0≦y),R5SrCu615(ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)),R
2SrCu262(ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む)),R1-xSrxVO3 (ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),CaCrO3,SrCrO3,RMnO3(ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),R1-xSrxMnO3 (ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびYを含む),0≦x≦1),R
1-xBaxMnO3 (ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む),0≦x≦1),Ca1-xx
nO3-y (ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよ
びYを含む),0≦x≦1,0≦y),CaFeO3
SrFeO3,BaFeO3 ,SrCoO3 ,BaCo
3 ,RCoO3 (ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む)),R1-xSrxCoO3 (ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含む),
0≦x≦1),R1xBaxCoO3 (ここで、R:一
種類以上の希土類(ScおよびYを含む),0≦x≦
1),RNiO3 (ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびYを含む)),RCuO3 (ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびYを含む)),RNb
3 (ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY
を含む)),Nb1229,CaRuO3 ,Ca1-xx
1-yMny3 (ここで、R:一種類以上の希土類(S
cおよびYを含む),0≦x≦1,0≦y≦1),Sr
RuO3,Ca1-xMgxRuO3 (ここで、0≦x≦
1),Ca1-xSrxRuO3(ここで、0<x<1),
BaRuO3 ,Ca1-xBaxRuO3 (ここで、0<x
<1),(Ba,Sr)RuO3 ,Ba1-xxRuO3
(ここで、0<x≦1),(R,Na)RuO3 (ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),(R,M)RhO3 (ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびYを含む),M=Ca,Sr,B
a),SrIrO3,BaPbO3 ,(Ba,Sr)P
bO3-y( ここで、0≦y<1),BaPb1-xBix
3 (ここで、0<x≦1),Ba1-xxBiO3 (ここ
で、0<x≦1),Sr(Pb,Sb)O3-y (ここ
で、0≦y<1),Sr(Pb,Bi)O3-y (ここ
で、0≦y<1),Ba(Pb,Sb)O3-y (ここ
で、0≦y<1), Ba(Pb,Bi)O3-y(ここ
で、0≦y<1),MMoO3 (ここで、M=Ca,S
r,Ba),(Ba,Ca,Sr)TiO3-x (ここ
で、0≦x)等。
【0032】層状ペロブスカイト型酸化物(K2NiF4
型を含む):Rn+1Nin3n+1 (ここで、R:Ba,
Sr,希土類(ScおよびYを含む)のうち一種類以
上,n=1〜5の整数),Rn+1Cun3n+1 (ここ
で、R:Ba,Sr,希土類(ScおよびYを含む)の
うち一種類以上,n=1〜5の整数),Sr2RuO
4 ,Sr2RhO4 ,Ba2RuO4 ,Ba2RhO4
等。
【0033】パイロクロア型酸化物:R227-y(こ
こで、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む),0≦y<1),Tl2Mn27-y (ここで、0≦
y<1),R2Mo27-y (ここで、R:一種類以上の
希土類(ScおよびYを含む),0≦y<1),R2
27-y (ここで、R:Tl,Pb,Bi,希土類
(ScおよびYを含む)のうち一種類以上,0≦y<
1),Bi2-xPbxPt2-x Rux7-y (ここで、0
≦x≦2,0≦y<1),Pb2(Ru,Pb)O7-y
(ここで、0≦y<1),R2Rh27-y (ここで、
R:Tl,Pb,Bi,Cd,希土類(ScおよびYを
含む)のうち一種類以上,0≦y<1),R2Pd27-
y (ここで、R:Tl,Pb,Bi,Cd,希土類(S
cおよびYを含む)のうち一種類以上,0≦y<1),
2Re27-y (ここで、R:Tl,Pb,Bi,C
d,希土類(ScおよびYを含む)のうち一種類以上,
0≦y<1),R2Os27y (ここで、R:Tl,
Pb,Bi,Cd,希土類(ScおよびYを含む)のう
ち一種類以上,0≦y<1),R2Ir27-y (ここ
で、R:Tl,Pb,Bi,Cd,希土類(Scおよび
Yを含む)のうち一種類以上,0≦y<1),R2Pt2
7-y (ここで、R:Tl,Pb,Bi,Cd,希土類
(ScおよびYを含む)のうち一種類以上,0≦y<
1)等。
【0034】その他の酸化物:R4Re619 (ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびYを含
む)),R4Ru619 (ここで、R:一種類以上の希
土類(ScおよびYを含む)),Bi3Ru311 ,V2
3 ,Ti23 ,Rh23 ,VO2,CrO2 ,Nb
2 ,MoO2 ,WO2 ,ReO2 ,RuO2 ,RhO
2 ,OsO2 ,IrO2 ,PtO2 ,PdO2 ,V35
,Vn2n-1 (n=4から9の整数),SnO2-x
(ここで、0≦x<1),La2Mo27, ,(M,M
o)O(ここで、M=Na,K,Rb,Tl),Mon
3n-1 (n=4,8,9,10),Mo1747 ,Pd
1-xLixO(ここで、x≦0.1)等。Inを含む酸化
物。
【0035】導電性金属酸化物は、1種を用いても、2
種以上を併用してもよい。
【0036】導電性金属酸化物としては、これらの中で
も、酸化インジウム、酸化スズ、酸化コバルト、酸化タ
ングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化
ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ビスマス
が好ましく、特に、酸化インジウム、酸化スズ、酸化
銅、酸化亜鉛が好ましい。酸化リチウム、酸化ナトリウ
ム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸
化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウ
ム、酸化バリウムを用いると応答がよくなるが、湿度の
影響を受けやすいので、他の金属酸化物と組み合わせて
用いることが好ましい。
【0037】また、金属酸化物層は、金属酸化物の他
に、金属炭酸水素塩および/または金属炭酸塩を含有す
ることが好ましい。これによって、二酸化炭素の検出に
必須の炭酸水素イオンの生成がさらに促進され、感度、
応答速度、選択性などの応答性が向上する。
【0038】金属酸化物層は、金属炭酸塩よりも金属炭
酸水素塩を含有する方が、応答速度、感度ともによいの
で、好ましい。金属炭酸塩は、二酸化炭素、水分と反応
して金属炭酸水素塩となり、二酸化炭素に由来する炭酸
水素イオンの生成を促進すると考えられる。
【0039】金属炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水
素リチウム(LiHCO3)、炭酸水素ナトリウム(N
aHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸水
素ルビジウム(RbHCO3)、炭酸水素セシウム(C
sHCO3)、炭酸水素マグネシウム(Mg(HCO3
2)、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO32)等が挙
げられる。これらは1種を用いても2種以上を併用して
もかまわない。中でも、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム、特に炭酸水素ナトリウム
を用いることが好ましい。
【0040】また、金属炭酸塩としては、例えば、炭酸
リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2
3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ルビジウム
(Rb2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、炭酸マ
グネシウム(MgCO3)、炭酸カルシウム(CaC
3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸バリウ
ム(BaCO3)、炭酸マンガン(Mn(CO32、M
2(CO33)、炭酸鉄(Fe2(CO33、FeCO
3)、炭酸ニッケル(NiCO3)、炭酸銅(CuC
3)、炭酸コバルト(Co2(CO33)、炭酸クロム
(Cr2(CO33)、炭酸亜鉛(ZnCO3)、炭酸銀
(Ag2CO3)、炭酸カドミウム(CdCO3)、炭酸
インジウム(In2(CO33)、炭酸イットリウム
(Y2(CO33)、炭酸鉛(PbCO3)、炭酸ビスマ
ス(Bi2(CO33)、炭酸ランタン(La2(C
33)、炭酸セリウム(Ce(CO33)、炭酸プラ
セオジム(Pr6(CO311)、炭酸ネオジム(Nd2
(CO33)等が挙げられる。金属炭酸塩は1種を用い
ても2種以上を併用してもよい。中でも、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることが好ま
しい。また、金属炭酸水素塩と併用する場合、用いる金
属炭酸水素塩と同じ金属の炭酸塩を用いることが好まし
い。
【0041】特に、固体電解質の可動イオン種と同じ金
属の炭酸水素塩、炭酸塩を用いることが好ましい。
【0042】金属炭酸水素塩および/または金属炭酸塩
は、金属酸化物に対して1〜99wt%、特に5〜50wt
%加えることが好ましい。金属炭酸水素塩および/また
は金属炭酸塩を2種以上を併用する場合でも、添加量の
合計は上記の範囲であることが好ましい。
【0043】金属酸化物、金属炭酸水素塩および金属炭
酸塩を2種以上用いる場合、それらを混合して用いても
よいし、用いる金属酸化物、金属炭酸水素塩、炭酸塩の
融点、または分解点以下の温度で熱処理し、複合化させ
て用いてもよい。
【0044】検知極の金属酸化物層の形成方法は特に限
定されないが、通常、金属酸化物粉末、金属炭酸水素塩
粉末および金属炭酸塩粉末のペーストを固体電解質に塗
布し、用いる金属酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩の融点、
または分解点以下の温度で2時間程度加熱処理して乾燥
させて形成することが好ましい。炭酸水素リチウムを用
いる場合は、分解しないように注意する。用いる金属酸
化物、金属炭酸水素塩、金属炭酸塩の平均粒径は10nm
〜100μm が好ましい。ペーストの溶媒としては、金
属酸化物、金属炭酸水素塩および金属炭酸塩が溶解した
り、反応したりしない有機溶媒で、室温蒸気圧が比較的
低く、作業性がよいものであればよい。特に、α−テル
ピネオール、エチレングリコール、グリセリン等が好ま
しい。スラリーの粘度は0.1〜100,000poise
が好ましい。
【0045】また、検知極に金属炭酸水素塩および/ま
たは金属炭酸塩を含有させるには、金属酸化物のペース
トを固体電解質に塗布し、乾燥した後で、その上から金
属炭酸水素塩および/または金属炭酸塩の水溶液を塗布
し、金属酸化物層に含浸させることが好ましい。特に、
金属炭酸水素塩は熱分解しやすいので、水溶液を金属酸
化物層形成後に金属酸化物層に含浸させることが好まし
い。このようにすることで容易に金属炭酸水素塩および
/または金属炭酸塩を含有する金属酸化物層が形成でき
る。また、金属炭酸水素塩および/または金属炭酸塩の
水溶液を塗布した後で乾燥させる際に、あまり熱をかけ
なくてよいので好ましい。水溶液の濃度は0.1wt%以
上であることが好ましい。濃度の上限は特になく、飽和
水溶液まで好ましく用いることができる。ペーストを用
いると、ほとんどが炭酸水素塩、炭酸塩として存在し、
水溶液を用いると、炭酸水素イオンと炭酸水素塩、また
は、炭酸イオンと炭酸塩が存在する。このようにして検
知極に炭酸水素イオンが含有されることになるが、この
他、さらに、金属酸化物層に、炭酸水素イオンを含む水
溶液、例えば、炭酸水溶液や炭酸水素水溶液を検知極に
塗布したり、検知極を二酸化炭素を含む、好ましくは高
湿雰囲気に曝すことにより、炭酸水素イオンが検知極に
含有されることになる。
【0046】また、金属酸化物層は薄膜プロセスにより
多孔質に形成させてもよい。金属酸化物層は多孔質であ
ることが好ましく、細孔径は0.01〜100μm が好
ましい。
【0047】<二酸化炭素濃度の測定方法>本発明のセ
ンサは、二酸化炭素存在下では、二酸化炭素と水分とに
由来する炭酸水素イオン(HCO3 -)が固体電解質表面
および/または金属酸化物表面に形成されると考えられ
る。そして、この炭酸水素イオンの解離平衡を電解質の
可動イオンの活量に変換して、二酸化炭素濃度の変化を
起電力として検出する。固体電解質にNASICONを
用いた場合、HCO3 -が固体電解質表面、金属酸化物表
面どちらに形成されても、電解質中の可動イオンである
Na+が、HCO3 -に引き寄せられ、検知極近傍に移動
する。また、イオン伝導性に優れる金属酸化物表面にH
CO3 -が形成されると、電解質中の可動イオンであるN
+が金属酸化物層中に侵入する。このとき、NaHC
3が生成する場合もある。
【0048】炭酸水素イオンが電子伝導性に優れる金属
酸化物表面に形成される場合、金属酸化物が導電体とし
て作用し、起電力が発生する。電子伝導性に優れる金属
酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、
酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、
酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム等が挙げら
れる。
【0049】炭酸水素イオンがイオン伝導性に優れる金
属酸化物表面に形成される場合、前述の通り、固体電解
質中の可動イオン種が金属酸化物中に侵入することによ
り、起電力が発生する。イオン伝導性に優れる金属酸化
物としては、例えば、酸化ビスマス、酸化セリウム等が
挙げられる。
【0050】本発明のセンサは、二酸化炭素存在下で放
置した後、固体電解質、金属酸化物層の赤外吸収スペク
トル(IR)を測定すると、1000cm-1前後(950
〜1050cm-1)に吸収ピークが見られ、HCO3 -の存
在が示唆される。なお、CO3 2-の特性吸収波数の14
00cm-1付近に、吸収は通常見られない。また、このセ
ンサを加熱して放出されるガスを質量分析(MS)する
と、すべてのセンサで、150℃前後をピークに50〜
300℃でH2O(質量数18)、CO2(質量数44)
のピークが同時に検出され、このことからもHCO3 -
吸着していることが示唆される。応答性の高いセンサほ
ど、IRでHCO3 -に由来する1000cm-1前後のピー
クが大きく、また、MSでH2O、CO2のピーク位置が
一致し、かつ、検出量が多い傾向があり、HCO3 -の存
在がセンサ特性に深く関係していると考えられる。ま
た、同じセンサでも、二酸化炭素濃度の高い雰囲気中で
放置したものほど、IRでHCO3 -に由来する1000
cm-1前後のピークが大きく、また、MSでCO2のピー
ク面積が大きくなる。本発明では、検知極を上記のよう
な組成にすることにより、固体電解質表面および/また
は金属酸化物表面への二酸化炭素由来の炭酸水素イオン
の生成が促進され、感度、応答速度、選択性などの応答
性が著しく向上し、低温での迅速な測定が可能になると
考えられる。なお、形成される炭酸水素イオンは、直接
固体電解質および/または金属酸化物に吸着ないし結合
していても、固体電解質表面および/または金属酸化物
表面の−OH基に直接、または水(H2O)を介して吸
着ないし結合していてもよい。
【0051】<検知極の集電体>本発明の二酸化炭素セ
ンサは、検知極に集電体を用いる。
【0052】集電体に用いる金属は、金、白金、銀、ル
ビジウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケ
ル、銅、クロム等のいずれか1種以上であればよい。
【0053】集電体は多孔質金属であることが好まし
い。集電体が多孔質であると、検知極自体がガス拡散層
として働くため、さらに迅速な応答が得られるようにな
る。
【0054】多孔質金属としては、金属メッシュ、ある
いは、金属の粉末ペーストを圧着またはスクリーン印刷
して構成する粉末電極が好ましい。特に、粉末電極が好
ましい。金属メッシュは、保持力があればメッシュサイ
ズは特に制限されない。
【0055】スクリーン印刷とは、金属粉末をペースト
状にしたものをメッシュ状スクリーンを通して基板に塗
布する方法であり、この場合、金属粒子が互いに連結し
た多孔質電極が形成される。このとき使用する金属粉末
の平均粒径は10nm〜100μm 、特に10nm〜10μ
m の範囲であることが、良好な印刷ができるので、好ま
しい。また、ペーストの溶媒としては、用いる金属が溶
解、反応しない有機溶媒で、室温蒸気圧が比較的低く、
作業性がよいものであればよい。特に、α−テルピネオ
ール、エチレングリコール、グリセリン等が好ましい。
スラリーの粘度は0.1〜100,000poiseとする
ことが好ましい。
【0056】また、金属酸化物層の上面に集電体金属粉
末のペーストを塗布し、リードを取ることも好ましい。
【0057】多孔質電極の細孔径は0.5〜500μm
が好ましい。
【0058】なお、これらの金属材料をスパッタするこ
とにより、表面が多孔質状態となる電極を形成すること
も可能である。スパッタガスにはAr、He、O2、N2
等のいずれかを用いることが好ましく、成膜中の圧力は
0.1〜500mTorrの範囲が好ましい。また、抵抗加
熱蒸着によっても電極表面を多孔質にすることができ
る。
【0059】集電体が金属メッシュの場合、金属酸化物
の層の上の所定の位置に金属メッシュを固定した後、炭
酸水素塩粉末および/または炭酸塩粉末のペーストまた
は水溶液、好ましくは水溶液を塗布することが好まし
い。このようにすることで炭酸水素塩および/または炭
酸塩に熱をかけなくてもよくなる。このように金属メッ
シュの上から水溶液等を塗布しても、水溶液等がメッシ
ュの細孔を通り抜け、金属酸化物層に含浸される。
【0060】集電体は金属酸化物層を挟んで固体電解質
に対向して設けられていることが好ましい。このような
構造にすることにより、検知極自体がガス拡散層として
働くために、さらに迅速な応答が得られるようになる。
【0061】<対極>本発明の二酸化炭素センサでは、
対極に金属または金属酸化物を用いる。用いる金属また
は金属酸化物は、上述の検知極の集電体と同じ金属また
はそれらの酸化物、金属酸化物層と同じ金属酸化物のい
ずれか1種以上であればよい。対極に金属酸化物を用い
ることにより、共存ガスの影響が軽減し、高い二酸化炭
素選択性が得られる。また、耐湿性が向上し、特に低温
での測定時の湿度の影響が軽減する。
【0062】対極は、集電体と同じく、多孔質金属また
は多孔質金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物の粉
末ペーストを圧着またはスクリーン印刷して構成する粉
末電極が好ましい。金属メッシュは、保持力があればメ
ッシュサイズは特に制限されない。粉末電極を形成する
ためのペーストに用いる金属粉末、金属酸化物粉末の平
均粒径は10nm〜100μm 、特に10nm〜10μm が
好ましい。また、ペーストの溶媒としては、用いる金属
または金属酸化物が溶解、反応しない有機溶媒で、室温
蒸気圧が比較的低く、作業性がよいものであればよい。
特に、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリ
セリン等が好ましい。スラリーの粘度は0.1〜10
0,000poiseとすることが好ましい。
【0063】多孔質電極の細孔径は0.5〜500μm
が好ましい。
【0064】<センサ構造>本発明の二酸化炭素センサ
の構成例を、図1、2に示す。図1は、固体電解質2を
挟んで、金属酸化物層4と集電体5とから成る検知極3
および対極6を対向して設けている分離型の二酸化炭素
センサ1である。金属酸化物層4は、導電性金属酸化物
および炭酸水素イオンを含有する。図2は、金属酸化物
層4と集電体5とから成る検知極3および対極6を固体
電解質2の一方の面上に設けている非分離型の二酸化炭
素センサ1である。非分離型は、集電体の形成やリード
の取り出しをプロセス上簡便にでき、製造工程が簡略化
されるので、生産効率が高くなり、好ましい。また、素
子の小型化が可能である。検知極3および対極6からは
それぞれリード線が引き出されて、電位差計に接続され
ている。
【0065】本発明の二酸化炭素センサは、湿度の影響
を極力防ぐために検知極表面以外は測定雰囲気に触れな
いような構成とすることが好ましい。例えば、検知極表
面以外をテフロン等の樹脂または無機セラミックスで被
覆したり、または、参照ガスが封入されたガラス管のよ
うなもので被覆したりすることが好ましい。
【0066】本発明の二酸化炭素センサの寸法は特に限
定されないが、検知極が形成される表面を固体電解質の
上面としたとき、通常、固体電解質の厚さは1μm〜5m
m程度、固体電解質の上面の面積は1μm2〜200mm2
度である。また、検知極の厚さは0.1〜100μm程
度、検知極の面積は0.5μm2〜200mm2程度であ
る。また、対極の厚さは0.1〜100μm程度、対極
の面積は0.5μm2〜200mm2程度である。
【0067】本発明の二酸化炭素センサの最適作動温度
は、センサ素子を構成する材料や共存ガスの種類等によ
っても異なるが、炭酸水素イオンが分解しない温度範
囲、すなわち−70℃〜200℃、好ましくは−70℃
〜150℃、より好ましくは−50℃〜120℃の範囲
である。高温で測定不能になったセンサも、室温程度ま
で温度を下げると性能が回復し、応答が見られるように
なる。本発明の二酸化炭素センサは、従来の固体電解質
を用いた二酸化炭素センサよりも低温で作動することが
でき、消費電力の低減が可能である。また、高温にしな
くてよいので、ヒータの熱による測定環境の変化も十分
小さくすることができる。
【0068】また、本発明の二酸化炭素センサは、応答
性もよく、1秒〜4分、好ましくは1秒〜3分で応答が
得られる。
【0069】素子構成において、ヒーターは室温作動可
能なセンサにおいては不要であるが、季節による温度差
を考慮するとヒーターをつけることが好ましい。
【0070】
【実施例】<実施例1>固体電解質のNASICONペ
レット(10mm径、1mm厚さ)の下面には、Ptペース
トでPtメッシュ(100メッシュ)を固定して900
℃で焼成し、対極とした。
【0071】表1に示す金属酸化物粉末(平均粒径:1
0nm〜100μm)50mgにα−テルピネオールを50w
t%加えてよく混合し、ペースト状にした。このペース
トの粘度は10,000〜100,000poiseだっ
た。そして、このペーストを固体電解質のNASICO
Nペレットの上面に塗布し、650℃で2時間加熱処理
した。そして、その上面に集電体のAuメッシュ(10
0メッシュ)を設けた。さらに、炭酸水素ナトリウム粉
末10mgを水に溶解して1.0wt%の炭酸水素ナトリウ
ム水溶液を調製し、Auメッシュの上面から塗布し、含
浸させた後、50℃で1時間加熱処理して乾燥させて検
知極とした。
【0072】最後に、検知極表面だけが露出するよう
に、対極側に乾燥標準空気を封入したガラス管を無機接
着剤(東亞合成化学社製、アロンセラミックC)で接着
して被覆した。
【0073】そして、それぞれの電極からリード線を接
続し、図1のような分離型の二酸化炭素センサ(No.1
〜20)を得た。
【0074】室温(25℃)において、乾燥空気中で各
種CO2濃度の被検ガスを流通させた測定セル中に作製
した二酸化炭素センサを挿入し、CO2濃度に対して発
生する起電力値の特性を測定した。検知極の導電性金属
酸化物にIn23を用いた二酸化炭素センサ(集電体が
メッシュ電極のNo.1のセンサ)の結果を図3に示す。
【0075】室温(25℃)において、乾燥空気中でC
2濃度1000ppmの被検ガスを流通させた測定セル中
に作製した二酸化炭素センサを挿入し、応答速度、感度
を調べた。さらに、環境基準濃度に希釈したNO、NO
2、COのそれぞれのガスを流通させて応答を確認し、
選択性を調べた。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】応答速度は、CO2ガス導入後、応答が一
定になったときの起電力値の90%になるのに要する時
間である。評価は ◎:1分以内 ○:1分超3分以内 △:3分超5分以内 ×:5分超 とした。
【0078】感度は、CO2ガス導入前の起電力値と導
入後の起電力値との差である。評価は ◎:25mV以上 ○:15mV以上25mV未満 △:5mV以上15mV未満 ×:5mV未満 とした。
【0079】選択性は、CO2ガス以外の共存ガスの影
響を受けない性質である。評価は ◎:すべての共存ガスの影響を受けないもの ○:2種類の共存ガスの影響を受けないもの △:1種類の共存ガスの影響を受けないもの ×:すべての共存ガスの影響を受けるもの とした。
【0080】<実施例2>検知極の集電体にAuメッシ
ュを設ける代わりに、金属酸化物層の上面に、Au粉末
(平均粒径:0.1〜100μm)50mgにα−テルピ
ネオールを50wt%加えたペースト(粘度10,000
〜100,000poise)を塗布し、700℃で2時間
加熱処理して多孔質の粉末電極を設けた他は、実施例1
と同様にして分離型の二酸化炭素センサ(No.1〜2
0)を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を
表1に示す。
【0081】実施例1、2において、導電性金属酸化物
として酸化セリウム(CeO2)を検知極に用いた二酸
化炭素センサ、酸化プラセオジム(Pr611)を検知
極に用いた二酸化炭素センサ、酸化ネオジム(Nd
23)を検知極に用いた二酸化炭素センサも、酸化ラン
タン(La23)を検知極に用いた二酸化炭素センサ
(No.17)と同等の結果が得られた。
【0082】また、導電性金属酸化物として酸化銅(C
uO)に酸化マグネシウム(MgO)を5wt%添加した
ものを検知極に用いた二酸化炭素センサ、酸化銅(Cu
O)に酸化ストロンチウム(SrO)を5wt%添加した
ものを検知極に用いた二酸化炭素センサ、酸化銅(Cu
O)に酸化バリウム(BaO)を5wt%添加したものを
検知極に用いた二酸化炭素センサも、酸化銅(CuO)
に酸化カルシウム(CaO)を5wt%添加した二酸化炭
素センサ(No.19)と同等の結果が得られた。
【0083】導電性金属酸化物として酸化銅(CuO)
に酸化リチウム(Li2O)を5wt%添加したものを検
知極に用いた二酸化炭素センサ、酸化銅(CuO)に酸
化カリウム(K2O)を5wt%添加したものを検知極に
用いた二酸化炭素センサ、酸化銅(CuO)に酸化ルビ
ジウム(Rb2O)を5wt%添加したものを検知極に用
いた二酸化炭素センサ、酸化銅(CuO)に酸化セシウ
ム(Cs2O)を5wt%添加したものを検知極に用いた
二酸化炭素センサも、酸化銅(CuO)に酸化ナトリウ
ム(Na2O)を5wt%添加した二酸化炭素センサ(No.
20)と同等の結果が得られた。
【0084】また、他のNaCl型酸化物、スピネル型酸化
物、ペロブスカイト型酸化物、層状ペロブスカイト型酸
化物、パイロクロア型酸化物、その他の酸化物を導電性
金属酸化物として用いても同様の効果が得られた。
【0085】また、実施例1、2において、炭酸水素ナ
トリウムの代わりに、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリ
ウムを用いても同等の結果が得られた。炭酸水素ナトリ
ウムの代わりに、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウ
ム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウムを用い
ても同様の効果が得られた。
【0086】<比較例1>検知極材料に表2に示す金属
炭酸塩粉末を用い、NASICONペレットの上面に融
着し、集電体を設けた他は、実施例1、2と同様にして
分離型の二酸化炭素センサ(No.21〜23)を作製
し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示
す。
【0087】<比較例2>検知極材料に表2に示す金属
酸化物粉末を用い、炭酸水素ナトリウム水溶液を塗布し
なかった他は、実施例1、2と同様にして分離型の二酸
化炭素センサ(No.24〜29)を作製し、実施例1と
同様に評価した。その結果を表2に示す。また、検知極
にPbOとAuメッシュとを用いた二酸化炭素センサ
(集電体がメッシュ電極のNo.24のセンサ)の室温
(25℃)におけるCO2濃度に対する出力起電力値の
特性図を図3に示す。
【0088】
【表2】
【0089】本発明の二酸化炭素センサは、比較例のも
のよりも応答速度、感度、選択性すべてに優れていた。
【0090】また、集電体が粉末電極であるセンサは、
メッシュ電極のものよりも応答が迅速で、特に感度が高
かった。
【0091】<実施例3>ペレットの上面、つまり検知
極と同一面内の固体電解質表面に、実施例1と同様にし
てPtメッシュ(100メッシュ)を検知極と接しない
ように設けて対極とした。
【0092】表3に示す金属酸化物粉末(平均粒径:1
0nm〜100μm)50mgにα−テルピネオールを50w
t%加えてよく混合し、ペースト状にした。このペース
トの粘度は10,000〜100,000poiseだっ
た。そして、このペーストを固体電解質のNASICO
Nペレット(10mm径、1mm厚さ)の上面約半分に塗布
し、650℃で2時間加熱処理した。そして、その金属
酸化物層の上面に集電体のAuメッシュ(100メッシ
ュ)を設けた。さらに、炭酸水素ナトリウム粉末10mg
を水に溶解して1.0wt%の炭酸水素ナトリウム水溶液
を調製し、Auメッシュの上面から塗布し、含浸させた
後、50℃で1時間加熱処理して乾燥させて検知極とし
た。
【0093】そして、それぞれの電極からリード線を接
続し、図2のような非分離型の二酸化炭素センサ(No.
30〜36)を得た。
【0094】この二酸化炭素センサを実施例1と同様に
評価した。その結果を表3に示す。
【0095】<実施例4>検知極の集電体にAuメッシ
ュを設ける代わりに、金属酸化物層の上面に、Au粉末
(平均粒径:0.1〜100μm)50mgにα−テルピ
ネオールを50wt%加えたペースト(粘度10,000
〜100,000poise)を塗布し、700℃で2時間
加熱処理して多孔質の粉末電極を設けた他は、実施例3
と同様にして非分離型の二酸化炭素センサ(No.30〜
36)を作製し、実施例3と同様に評価した。その結果
を表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】非分離型の二酸化炭素センサは、分離型の
ものと同等の結果が得られた。
【0098】また、非分離型の二酸化炭素センサでも、
集電体が粉末電極であるセンサは、メッシュ電極のもの
よりも応答が迅速で、特に感度が高かった。
【0099】<実施例5>ペレットの上面、つまり検知
極と同一面内の固体電解質表面に、実施例1と同様にし
てPtメッシュ(100メッシュ)を検知極と接しない
ように設けて対極とした。
【0100】表4に示すIn23粉末(平均粒径:50
nm)、またはIn23にWO3を5wt%加えた粉末(平
均粒径:50nm)50mgにα−テルピネオールを50wt
%加えてよく混合し、ペースト状にした。そして、この
ペーストを固体電解質のNASICONペレット(10
mm径、1mm厚さ)の上面約半分に塗布し、650℃で2
時間加熱処理した。そして、その金属酸化物層の上面に
集電体のAuメッシュ(100メッシュ)を設けた。さ
らに、炭酸水素ナトリウム粉末10mgを水に溶解して
1.0wt%の炭酸水素ナトリウム水溶液を調製し、Au
メッシュの上面から塗布し、含浸させた後、50℃で1
時間加熱処理して乾燥させて検知極とした。
【0101】そして、それぞれの電極からリード線を接
続し、図2のような非分離型の二酸化炭素センサ(No.
37、38)を得た。
【0102】この二酸化炭素センサを実施例1と同様に
評価した。その結果を表4に示す。
【0103】<実施例6>対極にPtメッシュを設ける
代わりに、NASICONペレットの上面に、In23
粉末(平均粒径:50nm)50mgにα−テルピネオール
を50wt%加えたペーストを塗布し、650℃で2時間
加熱処理して多孔質の粉末電極を設けた他は、実施例5
と同様にして非分離型の二酸化炭素センサ(No.39)
を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4
に示す。
【0104】
【表4】
【0105】対極に金属酸化物を用いることにより、選
択性が向上した。
【0106】また、本発明の二酸化炭素センサの耐湿性
を調べた。
【0107】検知極がIn23、NaHCO3とAuメ
ッシュとから成り、対極がPtメッシュである分離型の
二酸化炭素センサ(集電体がメッシュ電極のNo.1のセン
サ)を相対湿度80%雰囲気下に24時間保管した後、
基準ガス中の起電力値の時間変化について調べた。その
結果を図4に示す。この二酸化炭素センサは1日あれば
十分な性能の復帰を示した。
【0108】検知極がIn23、WO3、NaHCO3
Auメッシュとから成り、対極がIn23粉末電極であ
る非分離型の二酸化炭素センサ(集電体がメッシュ電極
のNo.39のセンサ)を相対湿度80%雰囲気下に24時
間保管した後、基準ガス中の起電力値の時間変化につい
て調べた。その結果を図5に示す。この二酸化炭素セン
サは非常に早い性能の復帰を示した。
【0109】検知極がNa2CO3とAuメッシュとから
成り、対極がPtメッシュである分離型の二酸化炭素セ
ンサ(集電体がメッシュ電極のNo.21のセンサ)を相対
湿度80%雰囲気下に24時間保管した後、基準ガス中
の電圧値の時間変化について調べた。その結果を図6に
示す。この二酸化炭素センサは性能の復帰に1日以上の
時間を要した。本発明の二酸化炭素センサは湿度の影響
が軽減されていることがわかる。
【0110】<比較例3>集電体をAuメッシュ(10
0メッシュ)の代わりに、Au薄膜とし、金属酸化物層
を覆ってしまった他は、実施例1と同様にして分離型の
二酸化炭素センサを作製し、実施例1と同様に評価し
た。
【0111】この二酸化炭素センサは、CO2応答がほ
とんど確認されなかった。これは、集電体であるAu薄
膜が表面を覆ってしまって、CO2が金属酸化物層に拡
散しないためと推測される。
【0112】<比較例4>検知極にIn23とNaHC
3を用い、対極表面を乾燥標準空気を封入したガラス
管で被覆しなかった他は、実施例1と同様にして分離型
の二酸化炭素センサを作製し、実施例1と同様に評価し
た。
【0113】このセンサは、NO、COについては応答
が確認されず、本発明のセンサのCO2選択性が確認さ
れた。
【0114】<実施例7>それぞれのセンサについて、
乾燥空気中、CO2濃度10000ppmの被検ガス中に放
置した後、センサの固体電解質、金属酸化物層の赤外吸
収スペクトルを測定した。測定は、Nicolet社製 FT-
IR 20SXB を用いて、全反射法により測定した。
【0115】応答の良好なセンサ、特にNo.1〜3のセ
ンサでは、1000cm-1前後(950〜1050cm-1
に明確な吸収ピークが見られ、炭酸水素イオン(HCO
3 -)の存在が示唆された。本発明の他のセンサでも、こ
のピークは見られた。金属酸化物層のIRスペクトルで
も、含有する炭酸水素塩のピークよりも大きくなってい
た。また、ともに、CO3 2-の特性吸収波数の1400c
m-1付近に、吸収は見られなかった。比較例のセンサに
ついては、検知極に金属酸化物のみを用いたセンサ(N
o.24〜29)では、HCO3 -に由来する1000cm-1
前後のピークは見られず、検知極に金属炭酸塩を用いた
センサ(No.21〜23)では、このピークは本発明の
センサと比べて非常に小さかった。検知極の金属酸化物
層に炭酸水素塩を含有している本発明のセンサは、固体
電解質表面、金属酸化物表面に炭酸水素イオンが速やか
に形成され、金属酸化物のみのものよりも応答が迅速に
なったことが示唆される。
【0116】さらに、No.1〜3のセンサについて、乾
燥空気中、CO2濃度350ppmの被検ガス中に放置した
後、センサの固体電解質、金属酸化物層の赤外吸収スペ
クトルを測定したところ、HCO3 -に由来する1000
cm-1前後のピークは、CO2濃度10000ppmの被検ガ
ス中に放置した場合と比べて小さくなった。本発明のセ
ンサは、炭酸ガスの分圧の変化に応じて炭酸水素イオン
の解離平衡が生じ、それによって二酸化炭素濃度を測定
していることがわかる。
【0117】<実施例8>さらに、本発明のセンサにつ
いて、吸着ガスを分析した。それぞれのセンサを乾燥空
気中、CO2濃度10000ppmの被検ガス中に放置した
後、ANELVA社製質量分析装置 AGS-211R を用いて、TD
S法(Thermal Desorption Spectroscopy : 真空加熱抽
出・質量分析法)により、加熱しながら、質量数18
(H2O)および質量数44(CO2)の電流変化値をモ
ニターした。
【0118】その結果、すべてのセンサで、50〜30
0℃でH2O(質量数18)、CO2(質量数44)のピ
ークが同時に検出された。このことからも炭酸水素イオ
ン(HCO3 -)が吸着していることが示唆される。
【0119】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、室温で
作動し、十分な感度と応答性が得られ、選択性が高く、
耐湿性にも優れた二酸化炭素センサと、この二酸化炭素
センサを用いた二酸化炭素濃度の測定方法とを提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離型二酸化炭素センサの構成例を示
す断面図である。
【図2】本発明の非分離型二酸化炭素センサの構成例を
示す断面図である。
【図3】検知極がIn23とNaHCO3とAuメッシ
ュとから成り、対極がPtメッシュである本発明の分離
型二酸化炭素センサと、検知極がPbOとAuメッシュ
とから成り、対極がPtメッシュである比較例の分離型
二酸化炭素センサの、CO2濃度に対する出力起電力値
の特性図である。
【図4】検知極がIn23とNaHCO3とAuメッシ
ュとから成り、対極がPtメッシュである本発明の分離
型二酸化炭素センサの、相対湿度80%雰囲気下24時
間保管後の基準ガス(CO2濃度1000ppm)中の起電
力値の時間変化である。
【図5】検知極がIn23とWO3とAuメッシュとか
ら成り、対極がIn23粉末電極である本発明の非分離
型二酸化炭素センサの、相対湿度80%雰囲気下24時
間保管後の基準ガス(CO2濃度1000ppm)中の起電
力値の時間変化である。
【図6】検知極がNa2CO3とAuメッシュとから成
り、対極がPtメッシュである比較例の分離型二酸化炭
素センサの、相対湿度80%雰囲気下24時間保管後の
基準ガス(CO2濃度1000ppm)中の起電力値の時間
変化である。
【符号の説明】
1 二酸化炭素センサ 2 固体電解質 3 検知極 4 金属酸化物層 5 集電体 6 対極
フロントページの続き (72)発明者 渋江 明 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2G004 ZA04

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検知極と対極とがそれぞれ固体電解質に
    接して設けられており、 前記固体電解質が金属イオン導電体を含有し、 前記検知極が、導電性金属酸化物を含有する金属酸化物
    層と、集電体とを有し、 前記検知極が、少なくとも二酸化炭素存在下で、炭酸水
    素イオンを含有する二酸化炭素センサ。
  2. 【請求項2】 検知極と対極とがそれぞれ固体電解質に
    接して設けられており、 前記固体電解質が金属イオン導電体を含有し、 前記検知極が、導電性金属酸化物を含有する金属酸化物
    層と、集電体とを有し、 前記金属酸化物層が金属炭酸水素塩を含有する二酸化炭
    素センサ。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物層が金属炭酸水素塩およ
    び/または金属炭酸塩を含有する請求項1または2の二
    酸化炭素センサ。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物層が、炭酸水素リチウ
    ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
    ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム
    および炭酸水素カルシウムのいずれか一種以上を含有す
    る請求項2または3の二酸化炭素センサ。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物層が、金属炭酸水素塩お
    よび/または金属炭酸塩を前記導電性金属酸化物に対し
    て1〜99wt%含有する請求項2〜4のいずれかの二酸
    化炭素センサ。
  6. 【請求項6】 前記金属酸化物層が、酸化インジウム、
    酸化スズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜
    鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロ
    ム、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸
    化イットリウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化
    セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、
    酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ル
    ビジウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カル
    シウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいず
    れか一種以上を含有する請求項1〜5のいずれかの二酸
    化炭素センサ。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物層が多孔質である請求項
    1〜6のいずれかの二酸化炭素センサ。
  8. 【請求項8】 前記炭酸水素イオンが前記導電性金属酸
    化物表面に存在する請求項1、3、4、5、6または7
    のいずれかの二酸化炭素センサ。
  9. 【請求項9】 前記炭酸水素イオンが前記固体電解質表
    面に存在する請求項1、3、4、5、6または7のいず
    れかの二酸化炭素センサ。
  10. 【請求項10】 前記固体電解質の可動イオン種が前記
    金属酸化物層に侵入している請求項1〜9のいずれかの
    二酸化炭素センサ。
  11. 【請求項11】 前記集電体が多孔質金属である請求項
    1〜10のいずれかの二酸化炭素センサ。
  12. 【請求項12】 前記集電体が前記金属酸化物層を挟ん
    で固体電解質に対向して設けられている請求項1〜11
    のいずれかの二酸化炭素センサ。
  13. 【請求項13】 前記検知極と前記対極とが前記固体電
    解質の同一の面上に設けられている請求項1〜12のい
    ずれかの二酸化炭素センサ。
  14. 【請求項14】 前記対極が金属または金属酸化物のい
    ずれか一種以上を含有する請求項1〜13のいずれかの
    二酸化炭素センサ。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかの二酸化炭
    素センサを用い、二酸化炭素が炭酸水素イオンの形で前
    記検知極に吸着して二酸化炭素濃度が測定される二酸化
    炭素濃度の測定方法。
  16. 【請求項16】 前記炭酸水素イオンが前記導電性金属
    酸化物表面に吸着する請求項15の二酸化炭素濃度の測
    定方法。
  17. 【請求項17】 前記炭酸水素イオンが前記固体電解質
    表面に吸着する請求項15の二酸化炭素濃度の測定方
    法。
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