JP2004239832A - 二酸化炭素センサ - Google Patents

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▲のぼる▼ 山添
Kengo Shimanoe
憲剛 島ノ江
Kenji Obata
賢次 小畑
Norio Miura
則雄 三浦
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Abstract

【課題】室温において作動させることができ、かつ湿度の影響を小さくすることができる二酸化炭素センサを提供する。
【解決手段】検知極10と対極20とがそれぞれ電解質30の反対側の面に設けられている。検知極10は、電解質30の側から金属炭酸塩層12と金属酸化物層11とを積層した構造を有している。金属炭酸塩層12は、炭酸リチウムを含むことが好ましく、その融点よりも低い温度で形成されることが好ましい。金属酸化物層11は、例えばインジウムとスズとを含む複合酸化物により構成されることが好ましい。これにより、湿度による出力の変化を小さくすることができると共に、二酸化炭素感知特性も向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内外の環境測定および環境制御、施設園芸等の農工業プロセス、防災、生体表面の代謝機能の測定、あるいは医療用などに使用される二酸化炭素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、空調の普及に伴う室内空気の汚染の検知、畜産における施設内空気の汚染の検知、園芸施設における植物の成長制御、各種工業プロセスなどを中心に、二酸化炭素センサに対するニーズが高まっており、種々の方式の二酸化炭素センサが報告されている。
【0003】
具体的には、例えば、赤外線吸収方式の二酸化炭素センサが実用化されている。しかし、この方式のセンサは、装置が大きいこと、高価であることなどから、普及するには至っていない。また、半導体を用いたセンサもあるが、このセンサは二酸化炭素の選択性に劣るため、二酸化炭素のみの濃度を測定することが困難である。
【0004】
これに対して、小型で安価なセンサとして、固体電解質を用いたものが提案されている。その一つに、例えば、NASICON(ナトリウムスーパーイオン導電体:NaZrSiPO12)などのアルカリ金属イオン導電性の固体電解質に一対の電極を形成し、一方に炭酸ナトリウムなどの二酸化炭素と解離平衡を形成する金属炭酸塩層を設けて検知極とし、他方を二酸化炭素不感応性電極とした、いわゆる起電力検出型センサがある(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
このセンサによれば、優れた二酸化炭素感知特性を得ることができる。しかし、検知極に金属炭酸塩を用いているので、湿度の影響を受けやすいという問題があった。そこで、検知極にアルカリ金属炭酸塩とアルカリ土類金属炭酸塩との混合物あるいは固溶体を用いることにより、湿度の影響を小さくした二酸化炭素センサが提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3あるいは特許文献4参照。)。
【0006】
また、このセンサは作動温度が400℃〜700℃と高温なので、センサ全体の消費電力が大きく、しかも、材料の熱劣化が起きてしまうなどの問題もあった。更に、数百℃の熱は、たとえ小さなヒーターからであってもセンサ周辺を加温し、空気の対流を発生するなど、測定環境に微妙な影響を与えてしまうという問題もあった。
【0007】
そこで、検知極にアンチモン(Sb)あるいはバナジウム(V)を添加した酸化スズ(SnO)半導体を用いた二酸化炭素センサが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、検知極を金属酸化物層、または金属炭酸塩あるいは炭酸水素塩を分散させた金属酸化物層により構成した二酸化炭素センサも提案されている(例えば、特許文献5あるいは特許文献6参照。)。これらのセンサによれば、室温において作動させることができる。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−85071号公報
【特許文献2】
特許第2598172号公報
【特許文献3】
特許第2974088号公報
【特許文献4】
特許第2974090号公報
【特許文献5】
特開平11−271270号公報
【特許文献6】
特開2000−88799号公報
【非特許文献1】
丸山他,「ソリッド ステイト イオニクス(Solid State Ionics) 」,1987年,第23巻,第1/2号,p.107−112
【非特許文献2】
エス.ブリークヒン(S.Breikhin)他,「アプライド フィジックス(Applied Physics )」,1993年,A57号,p.37−43
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、検知極に酸化スズ半導体を用いた二酸化炭素センサは、応答が見られるまで4分以上を必要とし、迅速な測定が難しいという問題があった。更に、この二酸化炭素センサでは検知機構に水蒸気が関与しているので、湿度によって応答時間あるいは感度が変化してしまうという問題もあった。また、金属酸化物を用いた二酸化炭素センサも湿度の影響を受けやすく、湿度による感度への影響は小さいものの起電力出力の絶対値が変化してしまい、湿度に応じた補正をしなければならないなどの問題があった。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、室温において作動させることができ、かつ湿度の影響を小さくすることができる二酸化炭素センサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による二酸化炭素センサは、検知極と対極とが電解質に設けられたものであって、検知極は、金属酸化物を含む金属酸化物層と、この金属酸化物層と前記電解質との間に設けられた金属炭酸塩を含む金属炭酸塩層とを有するものである。
【0012】
本発明による二酸化炭素センサでは、金属酸化物層と金属炭酸塩層とが層構造を有しているので、室温で作動し、かつ湿度による影響が小さくなる。
【0013】
なお、金属炭酸塩層は炭酸リチウムを含むことが好ましく、また、含有する金属炭酸塩の融点よりも低い温度で形成されていることが好ましい。
【0014】
金属酸化物層は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、スズとインジウムとを含む複合酸化物を含有することが好ましい。電解質は、金属イオン伝導体を含むことが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して、詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態に係る二酸化炭素センサの構成を表すものである。この二酸化炭素センサは、検知極10と対極20とがそれぞれ電解質30を挟んで反対側に設けられ、検知極10および対極20からはそれぞれリード線13,23が引き出されて電位差計に接続されている。電解質30の対極20が設けられた側には、石英ガラスチューブ40が接着層41により取り付けられており、対極20が測定雰囲気にさらされないようになっている。
【0017】
検知極10は、金属酸化物を含む金属酸化物層11と、金属酸化物層11と電解質30との間に設けられた金属炭酸塩を含む金属炭酸塩層12とを有している。このように層構造とすることにより、湿度による影響を小さくすることができると共に、二酸化炭素感知特性も向上させることができるからである。金属酸化物層11の厚みは例えば10nm〜500μm、金属炭酸塩層12の厚みは例えば10nm〜500μmであることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、金属炭酸塩というのは、本明細書においては、酸性塩、すなわち炭酸水素塩、および塩基性塩を含まないいわゆる正塩を意味している。
【0018】
金属酸化物層11は、例えば、酸化スズ(SnO,SnO)、酸化インジウム(In)、酸化コバルト(Co)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉛(PbO)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe,FeO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化クロム(Cr)、酸化カドミウム(CdO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化マンガン(MnO,Mn)、酸化イットリウム(Y)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)、酸化銀(AgO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、および酸化バリウム(BaO)からなる群のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0019】
これらの金属酸化物を用いることにより、低温での迅速な測定が可能となるからである。これら金属酸化物は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。なお、2種以上の酸化物を含有する場合には、それらの複合酸化物を含有していてもよく、それらの混合物を含有していてもよい。
【0020】
金属酸化物としては、中でも、酸化スズ、酸化インジウム、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、および酸化ビスマスからなる群のうちの少なくとも1種、更には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、および酸化タングステンからなる群のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。より高い効果が得られるからである。また、スズとインジウムとを含む複合酸化物を含有するようにすれば、導電性を高くすることができるので特に好ましい。
【0021】
金属炭酸塩層12は、例えば、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マンガン(Mn(CO,Mn(CO)、炭酸鉄(Fe(CO,FeCO)、炭酸ニッケル(NiCO)、炭酸銅(CuCO)、炭酸コバルト(Co(CO)、炭酸クロム(Cr(CO)、炭酸亜鉛(ZnCO)、炭酸銀(AgCO)、炭酸カドミウム(CdCO)、炭酸インジウム(In(CO)、炭酸イットリウム(Y(CO)、炭酸鉛(PbCO)、炭酸ビスマス(Bi(CO)、炭酸ランタン(La(CO)、炭酸セリウム(Ce(CO)、炭酸プラセオジウム(Pr(CO)O11)、および炭酸ネオジウム(Nd(CO)からなる群のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0022】
これらの金属炭酸塩を用いることにより、二酸化炭素感知特性を向上させることができるからである。これら金属炭酸塩は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。2種以上の金属炭酸塩を含有する場合には、それらの複合物を含有していてもよく、それらの混合物を含有していてもよい。また、金属炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩を含有することが好ましく、特に炭酸リチウムを含有することが好ましい。湿度の影響をより小さくすることができるからである。
【0023】
なお、金属炭酸塩層12は、更に、金属炭酸水素塩を含有していてもよい。二酸化炭素の測定に際し、金属炭酸水素塩が生成されることもあるからである。
【0024】
金属酸化物層11および金属炭酸塩層12の形成方法は特に限定されないが、例えば、金属炭酸塩粉末のペーストを電解質30に塗布し、加熱処理して金属炭酸塩層12を形成したのち、金属酸化物のペーストをその上に塗布し、加熱処理して金属酸化物層11を形成するようにすることが好ましい。
【0025】
また、金属炭酸塩粉末のペーストを電解質30に塗布したのち、その上に金属酸化物のペーストを塗布し、用いる金属炭酸塩の融点よりも低い温度で加熱処理して金属炭酸塩層12および金属酸化物層11を形成するようにすればより好ましい。金属炭酸塩層12と金属酸化物層11とを金属炭酸塩の融点以上の温度で加熱処理すると、金属酸化物あるいは電解質30と金属炭酸塩とが反応して反応物を形成してしまい、湿度の影響を受けやすくなってしまうからである。
【0026】
用いる金属酸化物、金属炭酸塩の平均粒径は10nm〜100μmが好ましい。ペーストの溶媒としては、金属酸化物および金属炭酸塩が反応しない溶媒で、室温蒸気圧が比較的低く、作業性がよいものであればよい。特に、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン等が好ましい。スラリーの粘度は0.01Pa・s〜10,000Pa・sが好ましい。
【0027】
検知極10は、更に、金属酸化物層11の中または上面に、図示しない集電体を有していてもよい。金属酸化物層11の導電性があまり高くない場合に有効である。但し、インジウムとスズとを含む複合酸化物を用いる場合などは、高い導電性を得ることができるので、集電体を設ける必要はない。集電体は金属により構成され、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ルビジウム(Rb)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、およびクロム(Cr)等のいずれか1種以上により構成されることが好ましい。なお、集電体は多孔質金属であることが好ましい。二酸化炭素を拡散させるためである。多孔質金属としては、金属メッシュ、あるいは、金属の粉末ペーストを圧着またはスクリーン印刷して構成する粉末電極が好ましく、特に、粉末電極が好ましい。
【0028】
スクリーン印刷とは、金属粉末をペースト状にしたものをメッシュ状スクリーンを通して基板に塗布する方法であり、この場合、金属粒子が互いに連結した多孔質電極が形成される。このとき使用する金属粉末の平均粒径は10nm〜100μm、特に10nm〜10μmの範囲であることが、良好な印刷ができるので、好ましい。また、ペーストの溶媒としては、用いる金属が反応しない溶媒で、室温蒸気圧が比較的低く、作業性がよいものであればよい。特にα−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン等が好ましい。スラリーの粘度は0.01Pa・s〜10,000Pa・sとすることが好ましい。
【0029】
なお、多孔質金属としては、スパッタなどにより形成された多孔質状態のものを用いることも可能である。スパッタガスにはアルゴン(Ar),ヘリウム(He),酸素(O),あるいは窒素(N)等のいずれかを用いることが好ましく、成膜中の圧力は0.013Pa〜66.7Paの範囲が好ましい。また、抵抗加熱蒸着によっても電極表面を多孔質にすることができる。
【0030】
対極20は、例えば、厚みが0.1μm〜100μm程度であり、金属または金属酸化物により構成されている。対極20を構成する金属または金属酸化物としては、例えば、検知極10の図示しない集電体で説明した金属あるいはそれらの酸化物、または金属酸化物層11で説明した金属酸化物のうちのいずれか1種以上が好ましい。特に、対極20に金属酸化物を用いるようにすれば、共存ガスの影響が軽減し、高い二酸化炭素選択性が得られると共に、耐湿性も向上し、特に低温での測定時の湿度の影響が軽減するので好ましい。
【0031】
対極20は、検知極10の図示しない集電体と同じく、多孔質金属または多孔質金属酸化物により構成されることが好ましい。特に、金属酸化物の粉末ペーストを圧着またはスクリーン印刷して構成する粉末電極が好ましく、この二酸化炭素センサでは、粉末電極21と金メッシュ22とを共に有している。粉末電極21を形成するためのペーストは、金属粉末、金属酸化物粉末の平均粒径は10nm〜100μm、特に0.5μm〜100μmが、好ましい。また、ペーストの溶媒としては、用いる金属または金属酸化物が反応しない溶媒で、室温蒸気圧が比較的低く、作業性がよいものであればよい。特にα−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン等が好ましい。スラリーの粘度は0.01Pa・s〜10,000Pa・sとすることが好ましい。
【0032】
電解質30は、厚みが例えば1μm〜5mm程度であり、金属イオン伝導体を含むことが好ましい。金属イオン導電体としては、例えば、Na−β”アルミナ,Na−βアルミナ,NaZrPSi12,NaZrSiPO12(NASICON),Na−βGa,Na−Fe,NaZrPSi12,Li−βアルミナ,Li14Zn(GeO,LiZn0.5 GeO,Li3.5 Zn0.25GeO(LISICON),リチウムイオン交換NASICON,LiAlO,Li1.4 Ti1.6 In0.4 12,K−βアルミナ,K1.6 Al0.8 Ti7.2 16,KMgTi16,CaS等が挙げられる。中でも、ナトリウムイオン伝導体あるいはリチウムイオン伝導体が好ましく、特には、NASICONまたは、LISICONあるいはリチウムイオン交換NASICONなどが好ましい。低温でのセンサ応答に必要なイオン伝導が確認されているからである。これらは化学量論組成から多少偏倚していてもよい。また、高分子電解質を使用することも可能である。
【0033】
電解質30は、金属イオン導電体以外に、イオン導電性を妨げない程度の補強剤として、酸化アルミニウム(Al),酸化ケイ素(SiO),酸化ジルコニウム(ZrO),炭化ケイ素(SiC),窒化ケイ素(Si),酸化鉄(Fe)などを50質量%以下の範囲内で含有していてもよい。これらは化学量論組成から多少偏倚していてもよい。
【0034】
電解質30の作製法としては、通常用いられている固相法、ゾルゲル法、共沈法等のいずれでもよく、好ましくはゾルゲル法が用いられる。
【0035】
この二酸化炭素センサでは、検知極10を測定雰囲気に曝すと、測定雰囲気中の二酸化炭素が金属酸化物層11を拡散して金属炭酸塩層12に到達する。その金属炭酸塩層12で、金属炭酸塩と二酸化炭素との解離平衡状態が変化し、それに伴って検知極10近傍の電解質30内の金属イオン活量が変化する。これにより検知極10と対極20との間に起電力が発生し、二酸化炭素の濃度が測定される。
【0036】
特に、この二酸化炭素センサでは、金属酸化物層11と金属炭酸塩層12とを層構造とすることにより、湿度による影響を受けにくく、湿度30%以上の範囲において、室温でも安定した測定結果が得られる。また、二酸化炭素感知特性も向上する。中でも、金属炭酸塩層12に炭酸リチウムを含むようにすれば、または、金属炭酸塩層12を含有する金属炭酸塩の融点よりも低い温度で形成するようにすれば、より安定した結果を得られる。
【0037】
このように本実施の形態によれば、金属酸化物層11と、金属酸化物層11と電解質30との間に設けられた金属炭酸塩層12とを有するようにしたので、室温において作動させることができると共に、湿度による影響を小さくすることができ、二酸化炭素感知特性も向上させることができる。よって、より高い精度で簡単に二酸化炭素濃度を検出することができる。
【0038】
特に、金属炭酸塩層12に炭酸リチウムを含むようにすれば、または、金属炭酸塩層12を含有する金属炭酸塩の融点よりも低い温度で形成するようにすれば、より湿度による影響を小さくすることができると共に、二酸化炭素感知特性もより向上させることができる。
【0039】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0040】
(実施例1)
図1に示したような二酸化炭素センサを作製した。まず、ゾルゲル法によりNASICON粉末を作製し、このNASICON粉末を用いて直径9mm、厚み1.2mmの円板状の電解質30を形成した。次いで、電解質30の一面に、金メッシュ22およびリード線23となる金ワイヤと一緒に金ペーストを塗布し、空気中で800℃で2時間加熱処理して粉末電極21を形成し、対極20とした。続いて、電解質30の対極20を設けた側に、直径9mmの石英ガラスチューブ40を無機接着剤を用いた接着層41により取り付けた。
【0041】
そののち、炭酸リチウム粉末と、エチルセルロース5質量%とα−テルピネオール95質量%とを含有する有機溶媒とを、ほぼ同質量づつ混合してペーストとし、電解質30の表面に塗布した。
【0042】
また、塩化インジウム(InCl)粉末と塩化スズ(SnCl)粉末とを水を用いて混合したのち、1200℃で2時間加熱処理し、粒子径が0.5μm〜1μm程度のインジウムとスズとの複合酸化物粉末を得た。次いで、この複合酸化物粉末と、エチルセルロース5質量%とα−テルピネオール95質量%とを含有する有機溶媒とを、ほぼ同質量づつ混合してペーストとし、炭酸リチウムのペースト層の上に塗布した。
【0043】
続いて、これを空気中において炭酸リチウムの融点よりも低い500℃で30分間加熱処理し、厚み約20μmの金属炭酸塩層12と、厚み約20μmの金属酸化物層11とを積層した検知極10を形成した。これにより図1に示した二酸化炭素センサを得た。
【0044】
また、実施例1に対する比較例1として、炭酸リチウム粉末と、インジウムとスズとの複合酸化物粉末とを、それらとほぼ同質量の有機溶媒で混合してペーストとし、電解質30の表面に塗布したのち、空気中において500℃で30分間加熱処理して厚み約40μmの検知極を形成したことを除き、実施例1と同様にして二酸化炭素センサを作製した。
【0045】
得られた実施例1および比較例1の二酸化炭素センサについて、室温における湿度30%、50%、および70%での起電力と二酸化炭素濃度との関係を調べた。得られた実施例1の結果を図2に示すと共に、比較例1の結果を図3に示す。nは、二酸化炭素濃度と起電力絶対値との関係を表す傾きから算出される値であり、二酸化炭素1分子当たりの電気化学的還元に関する反応電子の数を意味している。図2および図3に示したように、湿度による二酸化炭素濃度に対する起電力絶対値の差が小さくなり、感度への影響も小さくなった。すなわち、金属炭酸塩層12と金属酸化物層11とを、電解質30の側から順に積層するようにすれば、室温で作動させることができると共に、湿度による影響を小さくすることができ、また、二酸化炭素感知特性も向上させることができることが分かった。
【0046】
また、図2と図3とを比較すれば分かるように、実施例1の方が比較例1よりも二酸化炭素濃度に対する起電力絶対値が大きかった。すなわち、金属酸化物層11と金属炭酸塩層12とを積層するようにすれば、二酸化炭素感知特性を向上させることができることが分かった。
【0047】
(実施例2)
炭酸リチウムのペーストを電解質30に塗布し、空気中において炭酸リチウムの融点以上の750℃で加熱処理し、溶融した時点で取り出し、金属炭酸塩層12を融着させたのち、その上にインジウムとスズとの複合酸化物のペーストを塗布し、空気中において500℃で30分間加熱処理して金属酸化物層11を形成したことを除き、実施例1と同様にして二酸化炭素センサを作製した。
【0048】
実施例2の二酸化炭素センサについても、実施例1と同様に、室温における湿度30%、50%、および70%での起電力と二酸化炭素濃度との関係を調べた。得られた実施例2の結果を図4に示す。図2と図4とを比較すれば分かるように、実施例1の方が実施例2よりも湿度による二酸化炭素濃度に対する起電力絶対値の差が小さかった。すなわち、金属炭酸塩層12を融点よりも低い温度で形成するようにすれば、湿度の影響をより小さくすることができ、二酸化炭素感知特性をより向上させることができることが分かった。
【0049】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、検知極10が金属酸化物層11と金属炭酸塩層12とを有する場合について説明したが、更に他の構成要素を有していてもよい。また、金属酸化物層11は上述した金属酸化物以外の物質を含有していてもよく、金属炭酸塩層12は上述した金属炭酸塩および金属炭酸水素塩以外の物質を含有していてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による二酸化炭素センサによれば、金属酸化物層と、この金属酸化物層と電解質との間に設けられた金属炭酸塩層とを有するようにしたので、室温において作動させることができると共に、湿度による影響を小さくすることができ、二酸化炭素感知特性も向上させることができる。よって、より高い精度で簡単に二酸化炭素濃度を検出することができる。
【0051】
特に、金属炭酸塩層に炭酸リチウムを含有させた二酸化炭素センサ、または、金属炭酸塩層を含有する金属炭酸塩の融点よりも低い温度で形成した二酸化炭素センサによれば、湿度による影響をより小さくすることができると共に、二酸化炭素感知特性もより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二酸化炭素センサの構成を表す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る湿度による二酸化炭素濃度と起電力との関係を表す特性図である。
【図3】本発明の実施例1に対する比較例1に係る湿度による二酸化炭素濃度と起電力との関係を表す特性図である。
【図4】本発明の実施例2に係る湿度による二酸化炭素濃度と起電力との関係を表す特性図である。
【符号の説明】
10…検知極、11…金属酸化物層、12…金属炭酸塩層、20…対極、21…粉末電極、22…金メッシュ、30…電解質、40…石英ガラスチューブ、41…接着層。

Claims (6)

  1. 検知極と対極とが電解質に設けられた二酸化炭素センサであって、
    前記検知極は、金属酸化物を含む金属酸化物層と、この金属酸化物層と前記電解質との間に設けられた金属炭酸塩を含む金属炭酸塩層とを有する
    ことを特徴とする二酸化炭素センサ。
  2. 前記金属炭酸塩層は、炭酸リチウムを含むことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素センサ。
  3. 前記金属炭酸塩層は、含有する金属炭酸塩の融点よりも低い温度で形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の二酸化炭素センサ。
  4. 前記金属酸化物層は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の二酸化炭素センサ。
  5. 前記金属酸化物層は、スズとインジウムとを含む複合酸化物を含有することを特徴とする請求項4記載の二酸化炭素センサ。
  6. 前記電解質は、金属イオン伝導体を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の二酸化炭素センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009008527A (ja) * 2007-06-28 2009-01-15 Figaro Eng Inc Co2センサ及びその製造方法
CN103808780A (zh) * 2013-03-28 2014-05-21 浙江大学 基于碳酸钡、碳酸锶的固体碳酸根电极及其制备方法
WO2021132029A1 (ja) * 2019-12-25 2021-07-01 三井金属鉱業株式会社 二酸化炭素センサ

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