JP2000088100A - アルミニウム基複合ピストン - Google Patents

アルミニウム基複合ピストン

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JP2000088100A
JP2000088100A JP25550398A JP25550398A JP2000088100A JP 2000088100 A JP2000088100 A JP 2000088100A JP 25550398 A JP25550398 A JP 25550398A JP 25550398 A JP25550398 A JP 25550398A JP 2000088100 A JP2000088100 A JP 2000088100A
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piston
aluminum
aluminum alloy
linear expansion
weight
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JP25550398A
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Hisao Hattori
久雄 服部
Toshihiko Kaji
俊彦 鍛冶
Manabu Hashikura
学 橋倉
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンの各部位に要求される特性を満た
し、かつ各部位での剥離が少ないアルミニウム基複合ピ
ストンを提供する。 【解決手段】 ピストン18は、アルミニウム合金製の
頂部20Cと、頂部20Cに接し、頂部20Cと異なる
組成のアルミニウム合金製のスカート部19Aとを備え
る。頂部20Cの線膨張係数とスカート部19Aの線膨
張係数との差は2×10-6/K以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ピストンに関
し、特に、軽量で、熱伝導性が高いアルミニウム基複合
ピストンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの内燃機関のピストンは、軽
量化することが必要であるため、従来からアルミニウム
合金製の軽合金材料を鍛造や鋳造によりピストンを製造
することが多い。しかし近年のエンジンにおける燃焼条
件などの変化により、以前より高い耐熱強度がピストン
に求められるようになってきている。
【0003】それに対し、以下の方法を用いることによ
り耐熱強度を高めたピストンが知られている。
【0004】 マトリックス金属を変更したピスト
ン。 繊維強化金属のような金属複合材料を用いたピスト
ン。
【0005】 セラミックス粉末を異なる配合比で複
合した2層構造のピストン。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
技術のうち、で示したマトリックス金属を変更したピ
ストンは、ピストンに要求されるピストンヘッド部の耐
熱強度、高熱伝導性、ピストンリング部に要求される高
耐摩耗性などのような要求特性を同時に満足させること
ができない。また、で示した繊維強化金属のような金
属複合材料を用いたピストンは材料の延性が乏しいため
に鍛造のような塑性加工が容易でない。
【0007】さらに、で示したセラミックス粉末を配
合した2層構造の複合ピストンは、たとえば特開平1−
180927号公報に記載されているが、このピストン
は鍛造後に2層の界面から剥離が起きるという問題があ
る。
【0008】そこで、この発明は、上述のような問題を
解決するためになされたものであり、この発明の目的
は、成形されたピストンが高い信頼性を有し、しかも、
ピストンヘッド部が高い耐熱強度、高熱伝導性を有し、
ピストンリング部が高い耐摩耗性を有するピストンを提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に従ったアルミ
ニウム基複合ピストンは、アルミニウム合金製の第1部
材と、その第1部材に接し、第1部材と異なる組成のア
ルミニウム合金製の第2部材とを備える。第1部材の線
膨張係数と第2部材の線膨張係数との差は2×10-6
K以下である。
【0010】このように構成されたアルミニウム基複合
ピストンにおいては、第1部材の線膨張係数と第2部材
の線膨張係数との差を2×10-6/K以下としているた
め、第1部材と第2部材の線膨張係数の差が十分に小さ
くなる。そのため、このピストンは使用されて高温とな
っても第1部材と第2部材との間の熱応力が加わりにく
くなり、第1部材と第2部材の界面での剥離の発生を抑
制できる。
【0011】また、第1部材は、シリンダライナ内の燃
焼室に向かい合うピストンヘッド部であり、第2部材
は、シリンダライナと摺動するピストンリング部である
ことが好ましい。そうすれば異なる要求特性のピストン
ヘッド部とピストンリング部の各々に対し、適切な特性
の材料を適用することができる。
【0012】また、第1部材はシリンダライナと摺動す
るピストンリング部であり、第2部材はピストンピンを
受入れるピンボス部であることが好ましい。そうすれば
異なる要求特性のピストンリング部とピンボス部の各々
に対し、適切な特性の材料を適用することができる。
【0013】また、第1部材は、ピストンピンを受入れ
るピンボス部であり、第2部材は、シリンダライナ内の
燃焼室に向かい合うピストンヘッド部であることが好ま
しい。そうすれば異なる要求特性のピンボス部とピスト
ンヘッド部の各々に対し、適切な特性の材料を適用する
ことができる。
【0014】さらに、第1部材と第2部材とはアルミニ
ウムを主成分とし、鉄、ニッケル、チタンおよびジルコ
ニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むこ
とが好ましい。この場合、鉄、ニッケル、チタンおよび
ジルコニウムがアルミニウムとの間で化合物を作るため
ピストンの耐熱性が向上する。
【0015】また、第1部材および第2部材の少なくと
も一方は硬質粒子を含むことが好ましい。
【0016】この場合、第1部材および第2部材の耐摩
耗性を向上させることができる。また、第1部材および
第2部材の少なくとも一方はミッシュメタルおよびシリ
コンの少なくとも一方を含むことが好ましい。この場
合、第1部材および第2部材の少なくとも一方がミッシ
ュメタルを含むとアルミニウム合金の組織が細かくなり
耐摩耗性や耐熱性が向上する。また、シリコンを含むと
耐摩耗性が向上する。
【0017】また、第1部材および第2部材の少なくと
も一方は粉末アルミニウム合金製であることが好まし
い。この場合、粉末製造時の急冷効果により、アルミニ
ウム合金の組織が細かくなり、疲労強度、耐熱性が向上
する。
【0018】また、粉末アルミニウム合金の熱伝導率は
100W/m・K以上であることが好ましい。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を用い
て説明する。
【0020】(実施例1)図1を参照して、エアーアト
マイズ法でアルミニウム合金粉末A(組成:Al−20
重量%Si−3重量%Fe−2重量%Ni−1.5重量
%Ti、平均粒径:35μm)を作製した(ステップ
1)。またエアーアトマイズ法でアルミニウム合金粉末
B(組成:Al−8重量%Fe、平均粒径:33μm)
を作製した(ステップ3)。
【0021】硬質粒子としての平均粒径が3μmのSi
C粉末を用意した(ステップ4)。アルミニウム合金粉
末BとSiC粉末とを重量比が15:85で配合し、こ
れをV型混合機で均一に混合して混合粉末Cを形成した
(ステップ5)。アルミニウム合金粉末Aを、直径が9
0mmで高さが45mmの形状に金型成形し、相対密度
が75%の成形体11Aを作製した(ステップ2)。混
合粉末Cを、直径が90mmで高さが25mmの形状に
金型成形し、相対密度が75%の成形体12Cを作製し
た(ステップ6)。
【0022】成形体11Aと成形体12Cを大気中で直
接誘導加熱することにより、これらの温度を793Kと
した。次に、図2に示すように、金型22および23内
に加熱された成形体11Aと12Cを入れた。金型21
を用いて加圧力800MPaで成形体11Aと12Cに
圧力を加えて鍛造した後に2つの成形体11A、12C
を一体化・緻密化し、直径が90mmで高さが52mm
の粉末鍛造体13を得た(ステップ7)。
【0023】得られた粉末鍛造体13を温度793Kに
加熱した後、図3で示すような金型24を用いて粉末鍛
造体をさらに鍛造して鍛造ピストン素材17を得た(ス
テップ8)。なお、鍛造ピストン素材17は、成形体1
1Aが変形して形成された下部15Aと、成形体12C
が変形して形成された上部16Cにより構成される。
【0024】鍛造ピストン素材17を加工することによ
り、図4で示す形状のピストン18を形成した。なお、
ピストン18は、下部15Aを加工して形成されたスカ
ート部19Aと、上部16Cを加工して形成された頂部
20Cにより構成される。頂部20Cは、ピストンヘッ
ド部18aとピストンリング部18bとを含み、スカー
ト部19Aはピンボス部18cを含む。
【0025】このようにして作製したピストンを、中心
軸を含む断面で切断してこの切断面を研磨して観察した
ところ、頂部20Cとスカート部19Aとの界面で亀裂
がなくスカート部19Aと頂部20Cとは密着し一体化
していた。
【0026】次に、頂部20Cとスカート部19Aの各
々の領域から試験片を切出し、線膨張係数と疲労強度と
耐摩耗性を評価した。線膨張係数は温度473K〜67
3Kの範囲で測定した。また、疲労強度は温度573K
の条件で小野式回転曲げ疲労試験により測定した。
【0027】ここで、小野式回転曲げ疲労試験について
説明する。図5を参照して、軸受101および103に
回転軸102および104を載置する。試験片105の
一方端を回転軸102と連結し、試験片105の他方端
を回転軸104に連結する。この状態で、回転軸102
の荷重点102aと回転軸104の荷重点104とに荷
重棒108を接続する。荷重棒108と荷重点102お
よび104との間には回転軸受を介在させるため、荷重
棒108からの荷重を回転軸102および104が受け
た状態でも回転軸102および104は回転することが
できる。
【0028】この状態で、矢印106で示す方向に荷重
棒108に荷重Pを掛ける。すると、荷重点102aと
荷重点104aとにもそれぞれ、P1 /2の荷重が掛か
る。この状態で回転軸102および104を矢印107
で示す方向に回転させる。この回転を続けることにより
試験片105に曲げ荷重を加えながら試験片を回転させ
て以下の条件で疲労強度の測定を行なった。
【0029】試験温度:573K 回転数:3600rpm
【0030】また、大越式摩耗試験機により試験片の耐
摩耗性の試験を行なった。ここで、大越式摩耗試験器に
ついて説明する。図6および図7を参照して、試験片1
11上に幅がBで直径が2rの回転円板112を載置す
る。この回転円板は矢印113で示す方向に速度Vで回
転することが可能である。この回転円板112を矢印1
13で示す方向に速度Vで回転させ、回転円板112に
矢印114で示す方向に加圧力P2 を加える。すると、
試験片111の部分のうち回転円板112と接する部分
が摩耗して深さがhの摩耗痕ができる。摩擦距離L0
け摩擦した時の最終荷重をP0 、その時の摩耗痕幅をb
0 とすると、比摩耗量Ws は、Ws =Bb0 3/8rP0
0 で表わされる。これらの関係より摩耗量を算出す
る。試験は、摩擦速度2m/sで、相手材をS45C
(JIS)として乾式で行なった。
【0031】また、ピストンをエンジンに組込み、エン
ジンの実機試験を行ない頂部20Cとスカート部19A
の間に亀裂があるかどうかを調べた。その結果を表1に
示す。
【0032】
【表1】 表1より、この発明に従ったピストン(サンプル1)
は、ピストンリング部を含む頂部20Cの線膨張係数と
ボス部18cを含むスカート部19Aとの線膨張係数の
差が1.6×10-6/Kと小さかった。さらに、ピスト
ンリング部18bやピンボス部18cでの疲労強度は大
きく摩耗量が小さかった。
【0033】比較のために、アルミニウム粉末合金Aの
代わりに、平均粒径が3μmのSiC粉末とアルミニウ
ム合金粉末Bを、V型混合機を用いて重量比で5:95
で均一に混合した混合粉末Dを用いた。この混合粉末D
と混合粉末Cからなる複合ピストン(サンプル2)を上
述の実施例と同様の方法で作製した。サンプル2の線膨
張係数と疲労強度と耐摩耗性の評価結果も表1に示す。
【0034】サンプル2では、ピストンリング部、ピン
ボス部各々の特性を満足するが、両者の間の線膨張係数
の差が大きかった。そのため、エンジン実機試験後のピ
ストンの界面に亀裂が見られ、信頼性が低いことがわか
った。
【0035】なお、表1中a、cおよびdは各サンプル
の組成を示すが、たとえばcにおいて(Al−8重量%
Fe)−15重量%SiC(3μm)というときは、鉄
を8重量%含むアルミニウム合金と、直径が3μmのS
iC粒子とを重量比で85:15で混合した材料を示
す。以下同様である。
【0036】(実施例2)図8を参照して、エアーアト
マイズ法で、アルミニウム合金粉末A(組成:Al−2
0重量%Si−3重量%Fe−2重量%Ni−1.5重
量%Ti、平均粒径:35μm)を製造した(ステップ
31)。エアーアトマイズ法でアルミニウム合金粉末B
(組成:Al−8重量%Fe、平均粒径:33μm)を
製造した。平均粒径が12μmのSiC粉末を用意した
(ステップ33)。平均粒径12μmのSiC粉末とア
ルミニウム合金粉末Bとを重量比が15:85となるよ
うに配合してV型混合機で均一に混合して混合粉末Eと
した(ステップ34)。
【0037】アルミニウム合金粉末Aを所定量だけ金型
に充填した後に引続き混合粉末Eを金型に充填した後加
圧し、直径が90mmで高さが70mmの形状の成形体
41を作製した(ステップ35)。成形体41を大気中
で直接誘導加熱により温度793Kに加熱し、直ちに加
圧力800MPaで粉末鍛造して緻密化した。これによ
り、直径が90mmで高さが52mmの粉末鍛造体42
を得た(ステップ36)。
【0038】粉末鍛造体42を温度793Kに加熱し、
図3で示す鍛造ピストン素材17と同様の形状の鍛造ピ
ストン素材47を作製した(ステップ37)。鍛造ピス
トン素材47に切削加工を施して図9で示すピストン4
4(サンプル3)を形成した(ステップ38)。図9を
参照して、このピストン44は、混合粉末Eから形成さ
れた頂部46Eとアルミニウム合金粉末Aから形成され
たスカート部45Aにより構成される。またピストン4
4は、ピストンヘッド部44aと、ピストンリング部4
4bと、ピンボス部44cとを有する。
【0039】このピストン44を、中心軸を含む断面で
切断してその切断面を研磨して観察したところ、頂部4
6Eとスカート部45Aとの界面で亀裂がなく密着し両
者が一体化していた。また、スカート部45Aと頂部4
6Eの各々の領域から試験片を切出し、線膨張係数、熱
伝導率、疲労強度、耐摩耗性を評価した。また、ピスト
ン44をエンジンに組込み、エンジンの実機試験を行な
った。これらの結果を表2に示す。
【0040】
【表2】 表2より、頂部16Eとピンボス部45Aとの線膨張係
数の差は1.6×10 -6/Kと小さい。また、エンジン
実機試験でも頂部46Eとスカート部45Aとの間には
亀裂が認められず高い信頼性が得られた。
【0041】比較のために、従来行なわれている溶湯鍛
造法により複合ピストンを以下の手順で作製した。
【0042】まずピストンリング部の強化材としてリン
グ状のニレジスト鋳鉄を金型内に設置した。この金型内
に温度1023Kのアルミニウム合金AC8A(JI
S)溶湯を金型に注入し、加圧力150MPaで溶湯鍛
造した。その後、切削加工を行なってピストン(サンプ
ル4)に仕上げた。このピストンについて上述のサンプ
ル3と同様の試験を行なった。その結果も表2に示す。
【0043】エンジン実機試験の結果、サンプル4で
は、ピストンの頂部の一部が溶損していた。この結果か
ら、今回試験のエンジン運転条件に耐えるためには、冷
却のためのクーリングチャネルなどが必要となる。
【0044】サンプル3のようにピストンリング部を含
む領域の熱伝導率を100W/m・K以上とすることに
より、より高いエンジン負荷の条件でもシリンダへの伝
熱によってピストンの温度を低く保つことができる。そ
のため、冷却のためのクーリングチャンネルを省略でき
製造コストを低減できエンジン効率の向上が可能とな
る。
【0045】(実施例3)図10を参照して、エアーア
トマイズ法で、アルミニウム合金粉末A(組成:Al−
20重量%Si−3重量%Fe−2重量%Ni−1.5
重量%Ti、平均粒径:35μm)を製造した(ステッ
プ51)。
【0046】アルミニウム合金粉末B(組成:Al−8
重量%Fe、平均粒径:33μm)をエアーアトマイズ
法で製造した(ステップ52)。平均粒径が3μmのS
iC粉末を用意した(ステップ53)。
【0047】このSiC粉末とアルミニウム合金粉末B
とを重量比が15:85となるように配合し、V型混合
機で均一に混合して混合粉末Cを作製した(ステップ5
4)。
【0048】アルミニウム合金粉末F(組成:Al−3
重量%Zr−2重量%Ni−13重量%ミッシュメタ
ル、平均粒径:32μm)をエアーアトマイズ法で製造
した(ステップ55)。平均粒径が3μmのSiC粉末
を用意した(ステップ56)。このSiC粉末とアルミ
ニウム合金粉末Fを重量比が15:85となるように配
合し、V型混合機で均一に混合して混合粉末Gとした
(ステップ57)。
【0049】混合粉末Gを直径が60mmで高さが33
mmの金型で成形して成形体71Gを作製した(ステッ
プ58)。この成形体71Gを内径が90mmの金型の
中心軸上に設置し、この上に混合粉末Cを充填した。さ
らにその上にアルミニウム合金粉末Aを充填した後、加
圧力600MPaで成形して3種類の合金組成からなる
層状の粉末成形体72を作製した(ステップ59)。こ
の粉末成形体72を大気中で直接誘導加熱により温度7
93Kに加熱し、直ちに加圧力800MPaで粉末鍛造
し緻密化して直径が90mmで高さが52mmの粉末鍛
造体73を得た(ステップ60)。
【0050】得られた粉末鍛造体73を温度793Kに
加熱し、図3で示す鍛造ピストン素材17と同様の形状
の鍛造ピストン素材74とし(ステップ61)、切削加
工を施して図11で示すような形状のピストン75(サ
ンプル5)に仕上げた(ステップ62)。
【0051】図11を参照して、このピストン75は、
アルミニウム合金粉末Aからなるピンボス部76Aと、
混合粉末Cからなるピストンリング部76Cと、成形体
71Gからなるリップ部(ピストンヘッド部)77Gに
より構成される。このピストン75を、中心軸を含む断
面で切断してその切断面を研磨して観察したところ、ピ
ンボス部76Aとピストンリング部76Cとの界面で亀
裂がなく、また、リップ部77Gとピストンリング部7
6Cとの界面でも亀裂がなく、これらは一体化してい
た。
【0052】また、ピンボス部76A、ピストンリング
部76Cおよびリップ部77Gからそれぞれ試験片を切
出し、実施例1と同様の手法で線膨張係数、熱伝導率、
疲労強度および耐摩耗性を評価した。また、ピストン7
5をエンジンに組込み、エンジンの実機試験を行なっ
た。なお、この実機試験は実施例1および2の場合より
も50%高い回転数で実施した。これらの結果を表3に
示す。
【0053】
【表3】 表3より、ピンボス部76A、リップ部77G、ピスト
ンリング部76Cでの熱膨張係数の差は1.6×10-6
/Kと小さい。また、エンジン実機試験を行なってもピ
ストン表面には亀裂は見られず、高い信頼性が得られ
た。一方、実施例1に従って作製したピストン(サンプ
ル1)に対し、上述の条件でエンジン実機試験をした。
その結果も表3に示す。試験後のピストンの頭頂部のリ
ップ部に微小なクラックが認められた。
【0054】以上の結果から、線膨張係数の差を小さく
抑えながら耐熱性の必要とされる箇所に、より耐熱性の
高い材料を用いることで部品全体としての耐熱性、信頼
性の高いピストンを製造することができる。
【0055】(実施例4)実施例4では、ピストンのそ
れぞれの部分に要求される特性を調べ、その特性を満た
すような金属の組成について検討した。
【0056】まず、上述のように、ピストンは、ピスト
ンヘッド部、ピストンリング部およびピンボス部に分か
れるが、それぞれの部分に要求される特性をまとめると
表4のようになる。
【0057】
【表4】 この特性を満たすような組成のアルミニウム合金につい
て検討したところ、以下の表5で示すサンプル11〜3
0が表4で示すような特性を満たすことがわかった。
【0058】
【表5】 この表5に記載されたサンプルを組合せて以下のサンプ
ル31〜40で示すピストンを製造した。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】 このピストンについて、上述の実施例1〜3で示すよう
なエンジンの実機試験を行なったところ、ピストンのそ
れぞれの部材の間には剥離がなく高い信頼性が得られ
た。
【0061】(実施例5)実施例5では、表4で示すよ
うな特性を満たすアルミニウム合金組成について考察し
た。
【0062】(1) ピストンヘッド部に好ましい組成 本発明者らは、ピストンヘッド部に好ましいアルミニウ
ム合金組成について種々の実験を行なったところ、以下
の合金系を用いれば表4で示すピストンヘッド部の特性
を満たすことがわかった。
【0063】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)と硬質粒子からなる合金系 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:5重量%以上10重量%以下 Alの含有率:残部 ピストンヘッド部に対する、SiC、Al2 3 および
Si3 4 の合計の含有率:0重量%以上18重量%以
下 なお、この合金系の線膨張係数は12×10-6/K以上
22.8×10-6/Kとなる。
【0064】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)とミッシュメタルと硬質粒子からな
る合金系の場合 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:3重量%以上8重量%以下 アルミニウム合金に対する、ミッシュメタルの含有率:
5重量%以上15重量%以下 Alの含有率:残部 ピストンヘッド部に対する、SiC、Al2 3 および
Si3 4 の合計の含有率:0重量%以上18重量%以
下 なお、この合金系の場合、線膨張係数は11.3×10
-6/K以上22.1×10-6/K以下であった。
【0065】(2) ピストンリング部に好ましい組成 本発明者らは、ピストンリング部に好ましい組成につい
て種々の実験を行なったところ、以下の組成が好ましい
ことがわかった。
【0066】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)と硬質粒子からなる合金系 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:5重量%以上10重量%以下 Alの含有率:残部 ピストンリング部に対する、SiC、Al3 3 および
SiN4 の合計の含有率:3重量%以上18重量%以下 なお、この合金系の場合に、線膨張係数は12×10-6
/K以上20×10-6/Kであった。
【0067】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)とミッシュメタルと硬質粒子からな
る合金系の場合 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:3重量%以上8重量%以下 アルミニウム合金に対する、ミッシュメタルの含有率:
5重量%以上15重量%以下 Alの含有率:残部 ピストンリング部に対する、SiC、Al2 3 および
Si3 4 の合計の含有率:3重量%以上18重量%以
下 なお、この合金系の線膨張係数は11.3×10-6/K
以上19.5×10-6/Kであった。
【0068】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)とSiからなる合金系 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:5重量%以上10重量%以下 アルミニウム合金に対する、Siの含有率:10重量%
以上28重量%以下Alの含有率:残部 なお、この合金系の線膨張係数は13.8×10-6/K
以上20.2×10-6/K以下であった。
【0069】(3) ピンボス部に好ましい組成 本発明者らは、ピンボス部に好ましい組成について種々
の実験を行なったところ、以下の組成が好ましいことが
わかった。
【0070】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)とSiからなる合金系 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:5重量%以上10重量%以下 アルミニウム合金に対する、Siの含有率:10重量%
以上28重量%以下 Alの含有率:残部 なお、この合金系の線膨張係数は13.8×10-6/K
以上20.2×10-6K以下であった。
【0071】 Al−(Fe、Ni、TiおよびZr
の少なくとも1種)とミッシュメタルからなる合金系 アルミニウム合金に対する、Fe、Ni、TiおよびZ
rの合計の含有率:3重量%以上8重量%以下 アルミニウム合金に対する、ミッシュメタルの含有率:
5重量%以上15重量%以下 なお、この合金系の線膨張係数は18×10-6/K以上
22.1×10-6K以下であった。
【0072】以上、この発明の実施例について説明した
がここで示した実施例はさまざまに変形可能である。
【0073】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0074】
【発明の効果】この発明に従えば、ピストンの各部分で
要求される特性を満たし、かつ、各部分の剥離が少なく
信頼性の高いアルミニウム基複合ピストンを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に従ったアルミニウム基複合ピストン
の製造工程を示す図である。
【図2】実施例1のステップ7での粉末鍛造を示す模式
図である。
【図3】実施例1のステップ8での粉末鍛造を示す模式
図である。
【図4】実施例1に従って製造されたピストンの模式的
な断面図である。
【図5】小野式回転曲げ疲労試験を説明するために示す
模式図である。
【図6】大越式摩耗試験機の模式図である。
【図7】図6中のVII線で示す方向から見た側面図で
ある。
【図8】実施例2に従ったピストンの製造工程を示す図
である。
【図9】実施例2に従ったピストンの模式的な断面図で
ある。
【図10】実施例3に従ったピストンの製造工程を示す
図である。
【図11】実施例3に従ったピストンの模式的な断面図
である。
【符号の説明】
18、44、75 ピストン 18a、44a、77G ピストンヘッド部 18b、44b、76C ピストンリング部 18c、44c、76A ピンボス部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 3/00 F02F 3/00 Z 302 302Z (72)発明者 橋倉 学 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 3J044 AA02 AA08 BA04 BA10 CA18 CA40 DA09 EA10 4K018 AA15 AB02 AC01 CA12 DA11 EA12 EA44 JA09 KA08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金製の第1部材と、 前記第1部材に接し、前記第1部材と異なる組成のアル
    ミニウム合金製の第2部材とを備え、 前記第1部材の線膨張係数と前記第2部材の線膨張係数
    との差は2×10-6/K以下である、アルミニウム基複
    合ピストン。
  2. 【請求項2】 前記第1部材は、シリンダライナ内の燃
    焼室に向かい合うピストンヘッド部であり、前記第2部
    材は、シリンダライナと摺動するピストンリング部であ
    る、請求項1に記載のアルミニウム基複合ピストン。
  3. 【請求項3】 前記第1部材はシリンダライナと摺動す
    るピストンリング部であり、前記第2部材は、ピストン
    ピンを受入れるピンボス部である、請求項1に記載のア
    ルミニウム基複合ピストン。
  4. 【請求項4】 前記第1部材は、ピストンピンを受入れ
    るピンボス部であり、前記第2部材は、シリンダライナ
    内の燃焼室に向かい合うピストンヘッド部である、請求
    項1に記載のアルミニウム基複合ピストン。
  5. 【請求項5】 前記第1部材および前記第2部材はアル
    ミニウムを主成分とし、鉄、ニッケル、チタンおよびジ
    ルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含
    む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム
    基複合ピストン。
  6. 【請求項6】 前記第1部材および前記第2部材の少な
    くとも一方は硬質粒子を含む、請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のアルミニウム基複合ピストン。
  7. 【請求項7】 前記第1および前記第2部材の少なくと
    も一方はミッシュメタルおよびシリコンの少なくとも一
    方を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミ
    ニウム基複合ピストン。
  8. 【請求項8】 前記第1部材および前記第2部材の少な
    くとも一方は粉末アルミニウム合金製である、請求項1
    〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム基複合ピスト
    ン。
  9. 【請求項9】 前記粉末アルミニウム合金の熱伝導率は
    100W/m・K以上である、請求項8に記載のアルミ
    ニウム基複合ピストン。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002053899A1 (fr) * 2000-12-07 2002-07-11 Yamaha Motor Co., Ltd. Moteur a combustion interne
KR101277120B1 (ko) * 2011-04-13 2013-06-20 동양피스톤 주식회사 단조 피스톤 제조방법

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