JP2000087120A - 球状アモルファスCo−P合金粉末およびその製造法 - Google Patents
球状アモルファスCo−P合金粉末およびその製造法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水溶液中の無電解還元反応によりアモルファ
スCo−P合金粉末を得る。 【解決手段】 コバルト塩の水溶液と,りんを含む還元
剤の水溶液を,錯化剤,pH調整剤およびpH緩衝剤の
存在下で反応させることにより,平均粒径が1〜3μm
の球状粒子からなる球状アモルファスCo−P合金粉末
を得る。
スCo−P合金粉末を得る。 【解決手段】 コバルト塩の水溶液と,りんを含む還元
剤の水溶液を,錯化剤,pH調整剤およびpH緩衝剤の
存在下で反応させることにより,平均粒径が1〜3μm
の球状粒子からなる球状アモルファスCo−P合金粉末
を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,球状アモルファス
Co−P合金粉末およびその製造法に関する。
Co−P合金粉末およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶物質では実現できない特有の物理的
性質を示すアモルファス物質は,その製法がある程度確
立され,構造や物性などの解明が進むと共にその用途が
拡大しつつある。アモルファス物質の作製には種々の方
法が知られているが,その主流はアモルファス合金箔を
作るのに用いられている液体急冷法である。その他にも
真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング
法,CVD法のような気相凝縮法や固相反応法などが開
発されている。
性質を示すアモルファス物質は,その製法がある程度確
立され,構造や物性などの解明が進むと共にその用途が
拡大しつつある。アモルファス物質の作製には種々の方
法が知られているが,その主流はアモルファス合金箔を
作るのに用いられている液体急冷法である。その他にも
真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング
法,CVD法のような気相凝縮法や固相反応法などが開
発されている。
【0003】一方,還元剤を用いた液相還元により超微
粒子が製造できることは古くから知られているが,最近
この方法を応用しアモルファス金属粉末の作製が行われ
るようになってきた。この方法は,金属中に非晶質化の
ための合金化剤を添加し,結晶化を妨げることによって
アモルファス金属粒子を作製するもので,非晶質安定化
元素としてほう素やりんが考えられるが,これまで報告
された事例のほとんどがほう素を用いたものである。
粒子が製造できることは古くから知られているが,最近
この方法を応用しアモルファス金属粉末の作製が行われ
るようになってきた。この方法は,金属中に非晶質化の
ための合金化剤を添加し,結晶化を妨げることによって
アモルファス金属粒子を作製するもので,非晶質安定化
元素としてほう素やりんが考えられるが,これまで報告
された事例のほとんどがほう素を用いたものである。
【0004】本発明者らは,非晶質安定化元素としてり
んに着目し,先にニッケル−りん系球状アモルファス粉
末の作製について報告した(日本金属学会誌,59(1
995),1041)。
んに着目し,先にニッケル−りん系球状アモルファス粉
末の作製について報告した(日本金属学会誌,59(1
995),1041)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,磁性材料や
各種の機能材料,更には各種物品の表面被覆材料等に用
途が期待されるCoのアモルファス化を液相還元で実現
することを課題としたものである。
各種の機能材料,更には各種物品の表面被覆材料等に用
途が期待されるCoのアモルファス化を液相還元で実現
することを課題としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,液相還
元法(無電解還元法)で製造された平均粒径が1〜3μ
mの球状粒子からなる球状アモルファスCo−P合金粉
末を提供する。この球形アモルファスCo−P合金粉末
は示差熱分析において540K(ケルビン温度)まで発
熱ピークを示さない。
元法(無電解還元法)で製造された平均粒径が1〜3μ
mの球状粒子からなる球状アモルファスCo−P合金粉
末を提供する。この球形アモルファスCo−P合金粉末
は示差熱分析において540K(ケルビン温度)まで発
熱ピークを示さない。
【0007】本発明によれば,この球形アモルファスC
o−P合金粉末を製造する方法として,コバルト塩の水
溶液と,りんを含む還元剤の水溶液を,錯化剤,pH調
整剤およびpH緩衝剤の存在下で反応させることからな
る液相還元法を提供する。より具体的には,CoCl2
の水溶液と,NaPH2O2,NaOH,H3BO3および
C6H5Na3O7 を溶解した水溶液とを353K(ケル
ビン温度)以上で攪拌下で混合することからなる球状ア
モルファスCo−P合金粉末の製造法を提供する。この
方法で得られるアモルファスCo−P合金は,Pを4〜
9mass%の範囲で含有する。
o−P合金粉末を製造する方法として,コバルト塩の水
溶液と,りんを含む還元剤の水溶液を,錯化剤,pH調
整剤およびpH緩衝剤の存在下で反応させることからな
る液相還元法を提供する。より具体的には,CoCl2
の水溶液と,NaPH2O2,NaOH,H3BO3および
C6H5Na3O7 を溶解した水溶液とを353K(ケル
ビン温度)以上で攪拌下で混合することからなる球状ア
モルファスCo−P合金粉末の製造法を提供する。この
方法で得られるアモルファスCo−P合金は,Pを4〜
9mass%の範囲で含有する。
【0008】
【発明の実施の形態】水溶液中のCoイオンをPを含む
還元剤で無電解還元するには,錯化剤,pH調整剤およ
びpH緩衝剤がその還元反応の進行に大きな役割を果た
すことがわかった。錯化剤はCoイオンが水酸基と直接
反応して水酸化物を形成するのを妨げる作用を果たすの
で,Coイオンの還元を助ける。pH調整剤は溶液を還
元速度が大きくなるpHに調整する。pH緩衝剤はpH
の変動を抑えると共に反応促進剤としても機能する。
還元剤で無電解還元するには,錯化剤,pH調整剤およ
びpH緩衝剤がその還元反応の進行に大きな役割を果た
すことがわかった。錯化剤はCoイオンが水酸基と直接
反応して水酸化物を形成するのを妨げる作用を果たすの
で,Coイオンの還元を助ける。pH調整剤は溶液を還
元速度が大きくなるpHに調整する。pH緩衝剤はpH
の変動を抑えると共に反応促進剤としても機能する。
【0009】水溶液中のCoイオン供給源としては各種
のコバルト塩が使用できるが,塩化コバルトが使用に便
宜である。Pを含む還元剤としては次亜りん酸ナトリウ
ムを使用する。水溶液中のCoイオンを次亜りん酸ナト
リウムで還元するさいのコバルト析出反応は,アルカリ
側で,次のように考えられる。
のコバルト塩が使用できるが,塩化コバルトが使用に便
宜である。Pを含む還元剤としては次亜りん酸ナトリウ
ムを使用する。水溶液中のCoイオンを次亜りん酸ナト
リウムで還元するさいのコバルト析出反応は,アルカリ
側で,次のように考えられる。
【0000】 [CoXn]2++H2PO2 -+3OH-→Co+HPO3 2-+2H2O+nX- (1) H2PO2 -+OH-→HPO3 2-+H2↑ (2)
【0010】この式によればOH-が多いほどコバルト
の析出が増える。すなわちpH調整剤としてのアルカリ
添加量が一定量を越えると生成物が得られるようにな
る。本発明者の経験によれば,或る濃度以上錯化剤を加
えた時にこの還元反応が進行する。錯化剤としてはくえ
ん酸三ナトリウム(C6H5Na3O7 ),実際には,く
えん酸三ナトリウム二水和物(C6H5Na3O7 ・2H2
O)を使用するのが便宜である。pH緩衝剤について
も,添加しないと生成物が得られなかったことから反応
促進剤として働くと考えてよい。
の析出が増える。すなわちpH調整剤としてのアルカリ
添加量が一定量を越えると生成物が得られるようにな
る。本発明者の経験によれば,或る濃度以上錯化剤を加
えた時にこの還元反応が進行する。錯化剤としてはくえ
ん酸三ナトリウム(C6H5Na3O7 ),実際には,く
えん酸三ナトリウム二水和物(C6H5Na3O7 ・2H2
O)を使用するのが便宜である。pH緩衝剤について
も,添加しないと生成物が得られなかったことから反応
促進剤として働くと考えてよい。
【0011】このような反応によりアモルファスCo−
P合金粉末を製造するには,反応容器に所定の量の還元
剤,錯化剤,pH調整剤およびpH緩衝剤を添加した溶
液を入れ,一定温度に加熱後,同じ温度に加熱したコバ
ルト塩水溶液を加えて攪拌するのがよい。これにより還
元反応が進行し,アモルファスCo−P合金粉末が生成
する。反応終了後は生成物を水洗・吸引ろ過し,固液分
離後,温風で乾燥することにより該粉末製品が得られ
る。
P合金粉末を製造するには,反応容器に所定の量の還元
剤,錯化剤,pH調整剤およびpH緩衝剤を添加した溶
液を入れ,一定温度に加熱後,同じ温度に加熱したコバ
ルト塩水溶液を加えて攪拌するのがよい。これにより還
元反応が進行し,アモルファスCo−P合金粉末が生成
する。反応終了後は生成物を水洗・吸引ろ過し,固液分
離後,温風で乾燥することにより該粉末製品が得られ
る。
【0012】図1は,本発明に従うアモルファスCo−
P合金粉末のSEM像を示したものである。この粉末は
粒径が1〜3μmの球形粒子である。粒子中のP含有量
は約6mass%である。
P合金粉末のSEM像を示したものである。この粉末は
粒径が1〜3μmの球形粒子である。粒子中のP含有量
は約6mass%である。
【0013】図2は,図1の粒子のX線回折パターンを
示したものである。図示のように,明確な結晶ピークは
認められず,アモルファス特有のブロードなパターンが
見られる。また,この粒子の示差熱分析の結果では,5
40K前後に発熱ピークが現れ,これ以下の温度ではア
モルファス状態が維持されることがわかった。
示したものである。図示のように,明確な結晶ピークは
認められず,アモルファス特有のブロードなパターンが
見られる。また,この粒子の示差熱分析の結果では,5
40K前後に発熱ピークが現れ,これ以下の温度ではア
モルファス状態が維持されることがわかった。
【0014】
【実施例】図3に実験に使用した反応装置の概略を示し
た。図示のように,ガラス製容器1(容量 1.0×10
-3m3)に,温度計2,撹拌棒3の他,反応にかかわるコ
バルト塩水溶液を蓄える分液漏斗4を取付け,この容器
1をウォーターバス5に入れ,所定の反応温度を維持す
るようにした。反応にあたっては,容器1内を窒素雰囲
気に保つためにガス導入管6より窒素ガスを導入し,余
剰の窒素ガスはコンデンサ7を介して系外に放出させ
た。
た。図示のように,ガラス製容器1(容量 1.0×10
-3m3)に,温度計2,撹拌棒3の他,反応にかかわるコ
バルト塩水溶液を蓄える分液漏斗4を取付け,この容器
1をウォーターバス5に入れ,所定の反応温度を維持す
るようにした。反応にあたっては,容器1内を窒素雰囲
気に保つためにガス導入管6より窒素ガスを導入し,余
剰の窒素ガスはコンデンサ7を介して系外に放出させ
た。
【0015】コバルト源の金属塩として塩化コバルト六
水和物(CoCl2・6H2O),りん源となる還元剤として次
亜りん酸ナトリウム水和物(NaPH2O2・H2O),反応系の
pH調整のために水酸化ナトリウム(NaOH)を使用し
た。また,この反応系において還元反応を生じやすくす
るため,更に錯化剤としてくえん酸三ナトリウム二水和
物(C6H5Na3O7・2H2O),pH緩衝剤としてほう酸(H3B
O3)を使用した。これらの試薬はいずれも市販の1級
で,蒸留水を用いて所定の濃度に調整し,水溶液として
使用した。
水和物(CoCl2・6H2O),りん源となる還元剤として次
亜りん酸ナトリウム水和物(NaPH2O2・H2O),反応系の
pH調整のために水酸化ナトリウム(NaOH)を使用し
た。また,この反応系において還元反応を生じやすくす
るため,更に錯化剤としてくえん酸三ナトリウム二水和
物(C6H5Na3O7・2H2O),pH緩衝剤としてほう酸(H3B
O3)を使用した。これらの試薬はいずれも市販の1級
で,蒸留水を用いて所定の濃度に調整し,水溶液として
使用した。
【0016】予備試験で,反応温度が353K以下で
は,または,くえん酸三ナトリウム二水和物濃度が1.0k
mol/m3以下では,還元反応が生じないことが確認された
ので,基本条件として,塩化コバルト六水和物濃度0.5k
mol/m3,次亜りん酸ナトリウム水和物濃度3.0kmol/m3,
水酸化ナトリウム濃度0.75kmol/m3,くえん酸三ナトリウ
ム二水和物濃度1.5kmol/m3,ほう酸濃度0.5kmol/m3,反
応温度363Kを設定した。
は,または,くえん酸三ナトリウム二水和物濃度が1.0k
mol/m3以下では,還元反応が生じないことが確認された
ので,基本条件として,塩化コバルト六水和物濃度0.5k
mol/m3,次亜りん酸ナトリウム水和物濃度3.0kmol/m3,
水酸化ナトリウム濃度0.75kmol/m3,くえん酸三ナトリウ
ム二水和物濃度1.5kmol/m3,ほう酸濃度0.5kmol/m3,反
応温度363Kを設定した。
【0017】この基本条件に対し,還元剤,pH調整剤,
pH緩衝剤の濃度を変えて,すなわち次亜りん酸ナトリウ
ム水和物濃度を1.0, 2.0または 4.0kmol/m3,水酸化ナト
リウム濃度を0.5, 1.0または1.25kmol/m3, ほう酸濃度
を0, 1.0または1.5kmol/m3と変えて試験を行った。
pH緩衝剤の濃度を変えて,すなわち次亜りん酸ナトリウ
ム水和物濃度を1.0, 2.0または 4.0kmol/m3,水酸化ナト
リウム濃度を0.5, 1.0または1.25kmol/m3, ほう酸濃度
を0, 1.0または1.5kmol/m3と変えて試験を行った。
【0018】図4に反応操作の手順を示した。この手順
のように,予めそれぞれの濃度を調整した次亜りん酸ナ
トリウム水和物,水酸化ナトリウムおよびほう酸の混合
水溶液と,くえん酸三ナトリウム二水和物水溶液とを,
それぞれ 2.5×10-4m3ずつ容器1に入れ,ウオーターバ
ス5中で加熱,撹拌しながら,窒素ガスを流してバブリ
ングを行った。容器内の溶液温度が所定の反応温度(誤
差±2K)に達した後,同じ温度に加熱した塩化コバル
ト水溶液 2.5×10-4m3を一気に容器内に投入した。投入
後は,ガス発生による気泡が無くなり,反応が終了した
と認められるまで撹拌を続け,溶液を所定の反応温度に
保った。生成した黒色の粉末生成物は,水洗して残留溶
液を除いた後,吸引濾過して固液を分離し,取り出した
固形物を約15時間,323Kの温風で乾燥して試料を
採取し,形状観察,熱分析,X線回折,定性および定量
分析に供した。
のように,予めそれぞれの濃度を調整した次亜りん酸ナ
トリウム水和物,水酸化ナトリウムおよびほう酸の混合
水溶液と,くえん酸三ナトリウム二水和物水溶液とを,
それぞれ 2.5×10-4m3ずつ容器1に入れ,ウオーターバ
ス5中で加熱,撹拌しながら,窒素ガスを流してバブリ
ングを行った。容器内の溶液温度が所定の反応温度(誤
差±2K)に達した後,同じ温度に加熱した塩化コバル
ト水溶液 2.5×10-4m3を一気に容器内に投入した。投入
後は,ガス発生による気泡が無くなり,反応が終了した
と認められるまで撹拌を続け,溶液を所定の反応温度に
保った。生成した黒色の粉末生成物は,水洗して残留溶
液を除いた後,吸引濾過して固液を分離し,取り出した
固形物を約15時間,323Kの温風で乾燥して試料を
採取し,形状観察,熱分析,X線回折,定性および定量
分析に供した。
【0019】粉末生成物の形状と大きさの観察には,日
本電子製JSM-5300型の走査型電顕を用いた。観察用ホル
ダーに貼った導電性両面テープ上に試料を散布し,金を
スパッタリングし,加速電圧15kVで観察した。
本電子製JSM-5300型の走査型電顕を用いた。観察用ホル
ダーに貼った導電性両面テープ上に試料を散布し,金を
スパッタリングし,加速電圧15kVで観察した。
【0020】粉末生成物の熱分析には,マックサイエン
ス社製TG-DTA2020型を用いた。試料約10mgをホルダーに
取り,窒素雰囲気下で,昇温速度16.7×10-2K/sとし
て,室温から873Kまで加熱した。
ス社製TG-DTA2020型を用いた。試料約10mgをホルダーに
取り,窒素雰囲気下で,昇温速度16.7×10-2K/sとし
て,室温から873Kまで加熱した。
【0021】粉末生成物のX線回折は,島津製作所製 X
D3A型を用いて行った。 ガラス板上にアルコールで分散
させた試料を塗布し,乾燥させた後,Co管球,管電圧30
kV,管電流30mAの条件下でX線回折試験を行った。
D3A型を用いて行った。 ガラス板上にアルコールで分散
させた試料を塗布し,乾燥させた後,Co管球,管電圧30
kV,管電流30mAの条件下でX線回折試験を行った。
【0022】粉末生成物の定性分析には,日本電子製電
子プローブマイクロアナライザJXA-8600型を用いた。試
料を観察用ホルダー上の導電性両面テープに散布後,炭
素を蒸着し,加速電圧15kV,電流 5×10-8A で分析し
た。
子プローブマイクロアナライザJXA-8600型を用いた。試
料を観察用ホルダー上の導電性両面テープに散布後,炭
素を蒸着し,加速電圧15kV,電流 5×10-8A で分析し
た。
【0023】粉末生成物の定量分析には,日本ジャーレ
ル・アッシュ製発光分光分析装置ICAP-88型を用いた。試
料を硝酸で溶解し蒸留水で希釈した後,分析を行った。
ル・アッシュ製発光分光分析装置ICAP-88型を用いた。試
料を硝酸で溶解し蒸留水で希釈した後,分析を行った。
【0024】表1に,還元剤,pH調整剤,pH緩衝剤
の濃度を変えた組合せと,それぞれの組合せで粉末生成
物が得られたかどうかを示した。結果の欄の○印は粉末
生成物が得られた例を,×印は得られなかった例をしめ
す。
の濃度を変えた組合せと,それぞれの組合せで粉末生成
物が得られたかどうかを示した。結果の欄の○印は粉末
生成物が得られた例を,×印は得られなかった例をしめ
す。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果に見られるように,還元剤量を
変化させた場合には全ての例で粉末生成物が得られた
が,pH調整剤を変化させた場合にはその量が基本条件
より少ない場合には粉末生成物が得られず,またpH緩
衝剤を変化させた場合には,無添加ではもとより,基本
条件より多くても粉末生成物は得られなかった。
変化させた場合には全ての例で粉末生成物が得られた
が,pH調整剤を変化させた場合にはその量が基本条件
より少ない場合には粉末生成物が得られず,またpH緩
衝剤を変化させた場合には,無添加ではもとより,基本
条件より多くても粉末生成物は得られなかった。
【0027】それぞれの条件で得られた粉末生成物を走
査型電顕で観察したところ,還元剤濃度が低い場合を除
けば粉末生成物はほぼ球形粒子となっており,その粒径
は1〜3μmであった。その代表例として,表1のNo.
1のSEM写真を図5に示した。
査型電顕で観察したところ,還元剤濃度が低い場合を除
けば粉末生成物はほぼ球形粒子となっており,その粒径
は1〜3μmであった。その代表例として,表1のNo.
1のSEM写真を図5に示した。
【0028】なお,粉末生成物の粒径は反応温度や還元
剤濃度が影響するものと考えて試験したが,反応温度3
63K未満では還元反応が生じず,還元剤濃度を変化さ
せた場合にも,形状の変化は生じたが粒径には目立った
変化が認められなかった。
剤濃度が影響するものと考えて試験したが,反応温度3
63K未満では還元反応が生じず,還元剤濃度を変化さ
せた場合にも,形状の変化は生じたが粒径には目立った
変化が認められなかった。
【0029】図6に,還元剤濃度を変化させた時の粉末
生成物の示差熱曲線を示した。図中の曲線(a),(b),(c)
および (d)はそれぞれ還元剤濃度が1.0, 2.0, 3.0 およ
び 4.0 kmol/m3のものである。図6に見られるように,
還元剤濃度が低い時の生成物の曲線には明確な発熱ピー
クが認められなかったが,還元剤量が増えるほど発熱ピ
ークがはっきりし,発熱ピーク温度も514K,533
K,548Kと上昇している。この明確な発熱ピーク温
度は還元剤量に依存していると考えられる。pH調整剤
やpH緩衝剤を変化させた時の粉末生成物では還元剤量
が 3.0 kmol/m3の場合と同じく,533K近傍で発熱ピ
ークを示した.また,670K近辺でもゆるやかである
が発熱が認められた.
生成物の示差熱曲線を示した。図中の曲線(a),(b),(c)
および (d)はそれぞれ還元剤濃度が1.0, 2.0, 3.0 およ
び 4.0 kmol/m3のものである。図6に見られるように,
還元剤濃度が低い時の生成物の曲線には明確な発熱ピー
クが認められなかったが,還元剤量が増えるほど発熱ピ
ークがはっきりし,発熱ピーク温度も514K,533
K,548Kと上昇している。この明確な発熱ピーク温
度は還元剤量に依存していると考えられる。pH調整剤
やpH緩衝剤を変化させた時の粉末生成物では還元剤量
が 3.0 kmol/m3の場合と同じく,533K近傍で発熱ピ
ークを示した.また,670K近辺でもゆるやかである
が発熱が認められた.
【0030】図7に,還元剤濃度を変化させた時の粉末
生成物のX線回折パターンを示した。図中の曲線(a),
(b),(c) および (d)はそれぞれ還元剤濃度が1.0, 2.0,
3.0 および 4.0 kmol/m3のものである。還元剤濃度が
1.0 kmol/m3の時の粒子では,△で示すようにCo(hcp)
の結晶ピークが認められるが,還元剤が 2.0 kmol/m3
以上ではブロードな盛り上がりを示しているだけであっ
た。pH調整剤やpH緩衝剤を変化させた実験でも,同
様にはっきりしたピークは見られずブロードな盛り上が
りだけを示した.
生成物のX線回折パターンを示した。図中の曲線(a),
(b),(c) および (d)はそれぞれ還元剤濃度が1.0, 2.0,
3.0 および 4.0 kmol/m3のものである。還元剤濃度が
1.0 kmol/m3の時の粒子では,△で示すようにCo(hcp)
の結晶ピークが認められるが,還元剤が 2.0 kmol/m3
以上ではブロードな盛り上がりを示しているだけであっ
た。pH調整剤やpH緩衝剤を変化させた実験でも,同
様にはっきりしたピークは見られずブロードな盛り上が
りだけを示した.
【0031】図8は,既述の基本条件の時に得らた粉末
生成物(曲線(a))と,明確な発熱ピークを示す温度以上
の573Kまで加熱したもの(曲線(b)),結晶化が完了
したと考えられる873Kまで加熱したもの(曲線(c))
のX線回折パターンである。加熱後のX線回折パターン
は生成したままのものと際立った相違を示し,573K
の加熱後では△で示すようにCo(hcp) を,873Kの
加熱後では○や●で示すようにCo(fcc) やCo2Pの
結晶の存在を示すピークが明確になっている。これは,
まず始めに533K近傍でCo(hcp) がアモルファス状
態から結晶として析出し,更に温度が上がると今度はC
o(hcp) がCo(fcc)に相変態すると共に,670K近
傍でCo2Pが結晶として析出したためと考えられる。
このような生成したままの粒子のX線回折パターンはブ
ロードな盛り上がりを示すだけなのに対し,加熱後の粒
子では明確な結晶ピークが認められることなどから,今
回得られた粒子は還元剤濃度が低い場合を除けば,ほぼ
アモルファス状態であると判断される。
生成物(曲線(a))と,明確な発熱ピークを示す温度以上
の573Kまで加熱したもの(曲線(b)),結晶化が完了
したと考えられる873Kまで加熱したもの(曲線(c))
のX線回折パターンである。加熱後のX線回折パターン
は生成したままのものと際立った相違を示し,573K
の加熱後では△で示すようにCo(hcp) を,873Kの
加熱後では○や●で示すようにCo(fcc) やCo2Pの
結晶の存在を示すピークが明確になっている。これは,
まず始めに533K近傍でCo(hcp) がアモルファス状
態から結晶として析出し,更に温度が上がると今度はC
o(hcp) がCo(fcc)に相変態すると共に,670K近
傍でCo2Pが結晶として析出したためと考えられる。
このような生成したままの粒子のX線回折パターンはブ
ロードな盛り上がりを示すだけなのに対し,加熱後の粒
子では明確な結晶ピークが認められることなどから,今
回得られた粒子は還元剤濃度が低い場合を除けば,ほぼ
アモルファス状態であると判断される。
【0032】反応粉末生成物の化学組成については,E
PMAによる定性分析で,粉末生成物粒子から主にコバ
ルトとりんのみが検出され,更にごく微量の酸素で構成
されていることがわかったので,IPCによる定量分析
では,コバルトとりんのみの分析を行った。その測定結
果を表2に示した。
PMAによる定性分析で,粉末生成物粒子から主にコバ
ルトとりんのみが検出され,更にごく微量の酸素で構成
されていることがわかったので,IPCによる定量分析
では,コバルトとりんのみの分析を行った。その測定結
果を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2に見られるように,定量分析の結果は
コバルトが92〜96mass%,りんが4〜8mass%であ
った。りん含有量に着目した場合,還元剤濃度を高くす
るほどりん含有量は増加しているが,pH調整剤やpH
緩衝剤を変化させた場合には濃度依存性は認められな
い。
コバルトが92〜96mass%,りんが4〜8mass%であ
った。りん含有量に着目した場合,還元剤濃度を高くす
るほどりん含有量は増加しているが,pH調整剤やpH
緩衝剤を変化させた場合には濃度依存性は認められな
い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,
水溶液中の無電解還元という極めて簡易な方法で球状の
アモルファスCo−P合金粉末が得られる。
水溶液中の無電解還元という極めて簡易な方法で球状の
アモルファスCo−P合金粉末が得られる。
【図1】本発明の球状アモルファスCo−P合金粉末の
走査型電子顕微鏡写真である。
走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の球状アモルファスCo−P合金粉末の
X線回折パターンである。
X線回折パターンである。
【図3】本発明に従う球状アモルファスCo−P合金粉
末を製造する装置例を示す概略断面図である。
末を製造する装置例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に従う球状アモルファスCo−P合金粉
末の製造手順の例を示すフロー図である。
末の製造手順の例を示すフロー図である。
【図5】本発明の球状アモルファスCo−P合金粉末の
他の例を示す走査型電子顕微鏡写真である。
他の例を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】還元剤濃度を変えた場合の生成粉末の示差熱曲
線である。
線である。
【図7】還元剤濃度を変えた場合の生成粉末のX線回折
パターンである。
パターンである。
【図8】生成粉末を各種温度に加熱した場合のX線回折
パターンである。
パターンである。
1 反応容器 2 温度計 3 攪拌棒 4 分液漏斗 5 ウォーターバス 6 ガス導入管 7 コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田上 道弘 秋田県秋田市広面川崎16−9会社内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA03 CA01 EJ01
Claims (5)
- 【請求項1】 平均粒径が1〜3μmの球状粒子からな
り,示差熱分析において540K(ケルビン温度)まで
発熱ピークを示さない球状アモルファスCo−P合金粉
末。 - 【請求項2】 コバルト塩の水溶液と,りんを含む還元
剤の水溶液を,錯化剤,pH調整剤およびpH緩衝剤の
存在下で反応させることからなる球状アモルファスCo
−P合金粉末の製造法。 - 【請求項3】 コバルト塩がCoCl2であり,りんを
含む還元剤がNaPH2O2である請求項2に記載の球状
アモルファスCo−P合金粉末の製造法。 - 【請求項4】 CoCl2の水溶液と,NaPH2O2,
NaOH,H3BO3およびC6H5Na3O7 を溶解した
水溶液とを353K(ケルビン温度)以上で攪拌下で混
合することからなる球状アモルファスCo−P合金粉末
の製造法。 - 【請求項5】 Co−P合金は,Pを4〜9mass%の範
囲で含有する請求項2,3または4に記載の球状アモル
ファスCo−P合金粉末の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8311213A JP2000087120A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | 球状アモルファスCo−P合金粉末およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8311213A JP2000087120A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | 球状アモルファスCo−P合金粉末およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000087120A true JP2000087120A (ja) | 2000-03-28 |
Family
ID=18014470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8311213A Pending JP2000087120A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | 球状アモルファスCo−P合金粉末およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000087120A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002363603A (ja) * | 2000-04-26 | 2002-12-18 | Hitachi Metals Ltd | 異方性導電膜用Ni合金粒およびその製造方法 |
JP2007063657A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Chiba Inst Of Technology | 永久磁石材料 |
CN113134623A (zh) * | 2021-04-28 | 2021-07-20 | 西北工业大学 | 一种水溶性无定型贵金属纳米粒子及其制备方法 |
-
1996
- 1996-11-08 JP JP8311213A patent/JP2000087120A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002363603A (ja) * | 2000-04-26 | 2002-12-18 | Hitachi Metals Ltd | 異方性導電膜用Ni合金粒およびその製造方法 |
JP4524727B2 (ja) * | 2000-04-26 | 2010-08-18 | 日立金属株式会社 | 異方性導電膜用Ni合金粒およびその製造方法 |
JP2007063657A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Chiba Inst Of Technology | 永久磁石材料 |
CN113134623A (zh) * | 2021-04-28 | 2021-07-20 | 西北工业大学 | 一种水溶性无定型贵金属纳米粒子及其制备方法 |
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