JP2000086533A - 新規なアレルギー治療剤 - Google Patents

新規なアレルギー治療剤

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JP2000086533A
JP2000086533A JP10280446A JP28044698A JP2000086533A JP 2000086533 A JP2000086533 A JP 2000086533A JP 10280446 A JP10280446 A JP 10280446A JP 28044698 A JP28044698 A JP 28044698A JP 2000086533 A JP2000086533 A JP 2000086533A
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timp
cell
cells
metalloprotease
allergic
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JP10280446A
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Tamotsu Kanzaki
保 神崎
Itsuo Miyoshi
逸男 三好
Ikuo Saiki
育夫 済木
Takashi Shintani
孝 新谷
Takanori Aoki
隆則 青木
Toru Oku
亨 奥
Kazushi Iwata
和士 岩田
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Fuji Chemical Industries Co Ltd
Fuji Chemical Industrial Co Ltd
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Fuji Chemical Industries Co Ltd
Fuji Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗アレルギー剤、特にはI型及び/又はIV型
等のアレルギーに対して有効な治療及び/又は予防効果
を奏する医薬、抗炎症剤、更にはアトピー性疾患(特に
はアトピー性皮膚炎)等に対して有効な治療及び/又は
予防効果を奏する医薬を提供する。 【解決手段】 TIMPを有効成分として含有することを特
徴とする医薬は、アレルギー、特にはI型及び/又はIV
型等のアレルギーの治療及び/又は予防に有用である。
また該医薬は、炎症、アトピー性疾患 (皮膚炎、腸炎
等) 、鼻炎、結膜炎に対して治療及び/又は予防活性を
示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ティシュ インヒ
ビター オブ メタロプロテアーゼ類(tissue inhibito
rs of metalloproteinases: TIMPs)から成る群から選ば
れた少なくとも一つのティシュ インヒビターを有効成
分とすることを特徴とする医療用治療薬及び/又は予防
薬に関するものであり、アレルギー治療及び/又は予
防、特にはI型及び/又はIV型アレルギー疾患患者の患
部に適用される医薬組成物あるいはI型及び/又はIV型
アレルギー疾患に感受性の者の所定部位に適用される医
薬組成物に関する。さらに詳しく言えば、本発明はティ
シュ インヒビター オブメタロプロテアーゼ−1(tis
sue inhibitor of metalloproteinases-1: TIMP-1)ある
いはティシュ インヒビター オブ メタロプロテアー
ゼ−2(tissue inhibitor of metalloproteinases-2: T
IMP-2)を主たる有効成分として含有する製剤で、I 型及
び/又はIV型アレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎の
治療に有効であり、且つ予防的治療によりアレルギー症
状を軽減することを特徴とする治療剤に関する。
【0002】本発明は、別の面ではリコンビナント テ
ィシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ類(r
TIMPs)から成る群から選ばれた少なくとも一つのティシ
ュインヒビターを有効成分とすることを特徴とするアレ
ルギー治療剤、特にはリコンビナント ティシュ イン
ヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1(rTIMP-1) 及
びリコンビナント ティシュ インヒビター オブ メ
タロプロテアーゼ-2(rTIMP-2)から成る群から選ばれた
ものを少なくとも有効成分として含有することを特徴と
するアレルギー治療剤及び/又は予防剤、詳しくは、I
型及び/又はIV型アレルギー疾患、さらに詳しくは、ア
トピー性皮膚炎の症状の軽減、予防のための医薬に関す
る。別の観点では、本発明はTIMPs からなる群から選ば
れた少なくとも一つのティシュ インヒビターを有効成
分とすることを特徴とする抗炎症剤、例えば、アレルギ
ー性の炎症に対する治療及び/又は予防剤に関する。
【0003】
【従来技術】アレルギー疾患は、外来性の抗原とそれに
対応する特異抗体又は感作リンパ球との反応に基づく組
織障害を病因とする疾患である。アレルギー反応は、そ
の反応形態によりI 型、II型、III 型、及びIV型の4型
に分類されている。I 型アレルギーはIgE 抗体が関与す
る反応で、即時型、IgE 依存型、あるいはアナフィラキ
シー型と呼ばれている。II型アレルギーは細胞障害型又
は細胞融解型とも呼ばれ、不適合輸血、自己免疫溶血性
貧血、特発性血小板減少症などの疾患発症に関与してい
る。外来抗原や自己抗原に対して産生されたIgG 抗体あ
るいはIgM 抗体が標的細胞に結合すると、補体系の活性
化が引き起こされ標的細胞が障害される。III 型アレル
ギーは、免疫複合体型又はアルサス型と呼ばれており、
血清病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、過敏性
肺臓炎などが主な疾患である。血液中のIgG 抗体もしく
はIgM 抗体が、可溶性抗原と結合して免疫複合体を形成
することで引き起こされる組織障害である。IV型アレル
ギーは、遅延型あるいは細胞性免疫型とも呼ばれてい
る。ツベルクリン反応に見られる様に抗原注射後48〜72
時間後に紅斑、硬結を特徴とする炎症反応を呈する。
【0004】I 型アレルギー反応では、発症前の生体内
にハウスダスト、ダニ、花粉、真菌、動物の毛垢などが
抗原となり、気道、消化管、皮膚などを経て体内に侵入
し、IgE 抗体が産生される。IgE 抗体は、肥満細胞、好
塩基球上の高親和性IgE 受容体に結合し、それら細胞を
感作する。その後再び抗原に暴露され、抗原がIgE 抗体
に結合すると、高親和性IgE 受容体の架橋、細胞の活性
化が起こり、脱顆粒や細胞膜脂質からのケミカルメディ
エーター産生、遊離が生じる。顆粒からはヒスタミン、
好酸球遊走因子、好中球遊走因子などが遊離し、新たに
ケミカルメディエーターとしてプロスタグランジン、ト
ロンボキサン、ロイコトリエン、血小板活性化因子など
が産生される。これらケミカルメディエーターやサイト
カインにより炎症細胞が患部に移動・浸潤する。
【0005】I 型アレルギー反応を病因とする疾患に
は、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、
アレルギー性鼻炎などといった一般的な疾患が多い。ア
トピー性皮膚炎は、遺伝的背景、所謂、アトピー素因を
背景として、慢性に経過する疾患である。アトピー性皮
膚炎は小児アレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻
炎、蕁麻疹などのアトピー性疾患と同様に血中IgE 抗体
価が有意に高力価であり、I 型アレルギー反応の関与を
示唆する報告がなされているが、I 型アレルギー反応の
みでは説明できない点があり、病理学的な皮膚の変化は
IV型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎と酷似し
ており、最近では、I 型アレルギーとIV型アレルギーが
複雑に絡み合った疾患であると理解されている。その症
状は、乳幼児期では顔面、頭、耳介などに湿疹に似た皮
疹、頭部、眉毛部には黄白色痂皮が付着した紅斑が観察
されるなどの特徴を有し、場合によっては体幹、四肢に
落屑を伴う紅斑、体幹の乾性湿疹か四肢屈側に皮疹など
が観察されることもある。小児期では、主に(1)体
幹、特に背部によく発生する乾燥性湿疹と(2)四肢屈
側や頸部によく発生する苔癬化した皮疹といった二種類
の症状が見られる。思春期とか成人の時期での本症状
は、自然治癒しなかった重症例が多いのも特徴である。
【0006】アトピー性皮膚炎患者の苔癬化した皮疹や
乾燥性湿疹といった病変部の皮膚を先端が鈍な硬いもの
で擦過すると、普通健康人に生じる紅色の皮膚描記線が
みられず、逆に血管収縮による貧血性白線を生じる(白
色皮膚描記症)。またアセチルコリンあるいはメタコリ
ンを皮内注射すると、患者の病変部では普通健康人に生
じる紅斑ではなく、蒼白斑を生じる。こうしたアトピー
性皮膚炎は、慢性に経過することが多く、難治性であ
り、近年その症例が増加傾向にあり、それに対する安全
で効果的な治療法の確立が求められている。
【0007】上記した様に、アトピー性皮膚炎はアレル
ギー反応の側面がある一方、最近、非アレルギーの側面
が重要視されている。本症患者の皮膚では、発汗減少、
皮脂分泌低下、皮膚血管反応異常、乾燥性皮膚等の皮膚
機能異常が認められている。しかも、患者皮膚では皮膚
最外層角質内の角質間脂質であるセラミド合成異常が認
められ、その量が減少している。さらに、患者の皮膚角
質層は、健常人に比して多層で肥厚している。従って、
アトピー性皮膚炎患者皮膚では角質層からの水分喪失量
が増加し、角質細胞は水分保持が困難となり、皮膚が乾
燥状態となる。この様にアトピー性皮膚炎患者皮膚は皮
膚表面の外界からの防御機能(バリアー機能)が喪失し
ており、外界からの刺激物、アレルゲンが侵入し易い状
態にある(西岡清,薬局,47, 1111-1155, 1996 ;中山
秀己,Mebio, 13, 80-85, 1996)。治療に当たってはア
レルギー反応の側面からと、非アレルギーの側面からの
療法が重要であり、非アレルギー側面の治療ではスキン
ケアの重要性が指摘されている。
【0008】マトリックス メタロプロテアーゼ類 (MM
Ps) は、ファミリーを形成する一群の中性プロテアーゼ
であり、活性中心にZn2+を有する。細胞外マトリックス
の分解にMMPsが重要な役割を担っていることは周知のこ
とであり、現在までに17種類のMMP が知られている。MM
Psによる細胞外マトリックスの破壊は、組織破壊を伴う
難治性疾患の治癒を遅延させている主要な原因の一つで
あり、このMMP 活性の上昇は、内因性MMPsインヒビター
であるTIMPs との量的不均衡の結果生じていると考えら
れている。例えば、MMPsによる細胞外マトリックスの破
壊などと関連してこれらTIMPs がリウマチ性関節炎、関
節症、皮膚潰瘍、腫瘍細胞の転移などに関与するなどが
報告されている。しかしながらTIMPs がアレルギー疾
患、特にI型及び/又はIV型アレルギー、炎症、さらに
はアトピー性疾患に有効であるなどの報告はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】アレルギー性疾患の薬
物治療には抗アレルギー剤、副腎皮質ステロイド剤、抗
ヒスタミン剤などが使用される。しかしながら、抗アレ
ルギー剤や抗ヒスタミン剤等はI型アレルギーにおける
ヒスタミン等のケミカルメディエーターによる初期のア
レルギー反応に有効であるが、細胞媒介性の慢性炎症相
にはその作用機序から有効性が期待できない。また、副
腎皮質ステロイド剤は細胞媒介性アレルギー反応相に対
する数少ない治療薬となっているが、その治療に対して
抵抗するものも多い。さらに、副腎皮質ステロイド剤を
連用すると、皮膚の脆弱化や免疫抑制、あるいは生体内
の副腎皮質ステロイドホルモンの分泌抑制等、極めて重
篤な副作用を誘起したり、ステロイド依存性という現象
のためにその治療を急激に中断や中止ができない等、臨
床上不向きな面が多い。気管支喘息やアトピー性疾患、
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギ
ー、炎症性皮膚疾患を有する患者、殊に成人患者が最近
増加してきており、急性、亜急性及び/又は慢性炎症反
応、特にはI型及び/又はIV型アレルギー疾患に対して
広範に効果を発揮する安全な新規薬剤が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TIMPs に
関して生体内での働きについての研究を精力的に進めた
結果、TIMPs が抗アレルギー反応性を有すること、及び
TIMPs の持つ細胞増殖促進活性により、I 型及び/又は
IV型等のアレルギー疾患の治療及び/又は予防に有効な
こと、さらには、炎症の治療及び/又は予防に有効であ
ること、特にアトピー性皮膚炎の予防及び/又は治療に
有効であることを見出し、本発明に至った。すなわち、
TIMPs が皮膚の炎症反応を抑制するなど、アレルギー性
の炎症にTIMPs が有効に働くと同時に、TIMPs の細胞増
殖促進活性により、患部を被覆するという相乗効果によ
って、I 型及び/又はIV型アレルギー性疾患に対して単
独で強力な抑制効果を示すことを見出した。本発明の目
的は、TIMPs を主たる有効成分とした医薬組成物によ
り、アレルギー性疾患、特にI 型及び/又はIV型アレル
ギー性疾患の予防や治療を行う手段を提供することにあ
る。別の面では、本発明の目的は、TIMPs を主たる有効
成分とした医薬組成物により、皮膚の炎症反応及び/又
はアレルギー性の炎症を抑制する作用を及ぼしめるにあ
る。さらなる面では、本発明の目的は、TIMPs を主たる
有効成分とした医薬組成物により、皮膚あるいは粘膜に
現れるアレルギー性症状の抑制及び/又は回復を図るこ
とにある。また、別の面では、本発明の目的は、TIMPs
を主たる有効成分とした医薬組成物により、アトピー性
疾患、特にはアトピー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性
鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、気管支喘息などを
有する患者の治療や予防的処理を提供することにある。
【0011】本発明者らは、組織や体液中に存在しMMPs
の活性を特異的に阻害する内因性インヒビターであるヒ
トTIMPs がアレルギー性の炎症、特にI 型及びIV型アレ
ルギー性疾患において阻害的に作用することを見出し、
ヒトTIMPs によるMMPs活性の阻害を利用した効果的な抗
アレルギー治療及び/又は予防剤、特には、抗I 型及び
/又はIV型アレルギー治療及び/又は予防剤による療法
の提供に成功した。また、本発明者らは、従来ヒトを含
めた動物由来の組織あるいは培養細胞、血液からでは入
手することが困難で、なかなかその実際の厳密な適用あ
るいは利用が困難であったTIMPs を組換えDNA 技術を利
用して大量に得ると共に、こうして大量に得られたrTIM
Psを用いてそれが実際に如何なる薬理作用を有するかを
確認し、さらに臨床的に使用できることを初めて見出し
た。
【0012】すなわち、本発明は 〔1〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分とすることを特徴とする
抗アレルギー剤; 〔2〕 アレルギー症状がI型アレルギーであることを
特徴とする上記〔1〕記載の剤; 〔3〕 アレルギー症状がIV型アレルギーであることを
特徴とする上記〔1〕記載の剤; 〔4〕 アレルギー症状が炎症であることを特徴とする
上記〔1〕記載の剤; 〔5〕 アレルギー症状が皮膚で生じる炎症であること
を特徴とする上記〔1〕記載の剤; 〔6〕 アレルギー症状がアトピー性皮膚炎であること
を特徴とする上記〔1〕記載の剤;
【0013】〔7〕 アレルギーの治療においてアレル
ギー症状の発生予防及び/又は該症状の軽減を図るため
の予防的治療を含む用途で用いられるものであることを
特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載の剤; 〔8〕 (a)アトピー性皮膚炎の症状を軽減あるいは
予防すること;及び(b)アトピー性皮膚炎の症状によ
り悪化した皮膚炎症を回復させることからなる群から選
ばれた生物学的活性を有するものであることを特徴とす
る上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載の剤;
〔9〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類からなる群から少なくとも一つのティシュ イ
ンヒビターを有効成分として含有することを特徴とする
アトピー性皮膚炎の治療及び/又は予防剤; 〔10〕 有効成分として、 (1) ティシュ インヒビタ
ー オブ メタロプロテアーゼ−1及び (2) ティシュ
インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2からな
る群から選ばれたものを含有することを特徴とする上記
〔1〕〜
〔9〕のいずれか一記載の剤;
【0014】〔11〕 ティシュ インヒビター オブ
メタロプロテアーゼ−1及びティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ−2の混合物を有効成分とす
ることを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一記
載の剤; 〔12〕 (1)ティシュ インヒビター オブ メタロプ
ロテアーゼ−1がリコンビナント ティシュ インヒビ
ター オブ メタロプロテアーゼ−1であるか、あるい
は (2)ティシュ インヒビター オブ メタロプロテア
ーゼ−2がリコンビナント ティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ−2であることを特徴とする
上記〔10〕又は〔11〕記載の剤;及び 〔13〕 (1)リコンビナント ティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ−1が宿主細胞として大腸
菌、酵母またはCHO 細胞、COS-1 細胞もしくはC127細胞
などの動物細胞を用いて得られた形質転換体細胞に発現
させ、得られた遺伝子産物を精製したものであるか、あ
るいは (2)リコンビナント ティシュインヒビター オ
ブ メタロプロテアーゼ−2が宿主細胞として大腸菌、
酵母またはCHO 細胞、COS-1 細胞もしくはC127細胞など
の動物細胞を用いて得られた形質転換体細胞に発現さ
せ、得られた遺伝子産物を精製したものであることを特
徴とする上記〔12〕記載の剤を提供する。
【0015】別の態様では、本発明は 〔14〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分として含有し、即時性及
び/又は遅発性のアレルギー症状を軽減させるものであ
ることを特徴とするアレルギー性疾患の予防及び/又は
治療剤; 〔15〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分として含有することを特
徴とするアレルギー性鼻炎の予防及び/又は治療剤; 〔16〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分として含有することを特
徴とするアトピー性疾患の予防及び/又は治療剤; 〔17〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分として含有することを特
徴とするアレルギー性結膜炎の予防及び/又は治療剤。
【0016】〔18〕 急性の炎症症状の軽減に用いられ
るものであることを特徴とする、上記〔1〕〜〔17〕の
いずれか一記載の剤; 〔19〕 亜急性の炎症症状の軽減に用いられるものであ
ることを特徴とする、上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一
記載の剤; 〔20〕 慢性的な炎症症状の軽減に用いられるものであ
ることを特徴とする、上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一
記載の剤; 〔21〕 炎症性浮腫を改善することを特徴とする、上記
〔1〕〜〔20〕のいずれか一記載の剤; 〔22〕 炎症症状の消失または該症状の軽減を図るため
の治療、もしくは発症予防的治療を含む用途で用いられ
るものであることを特徴とする、上記〔1〕〜〔21〕の
いずれか一記載の剤; 〔23〕 ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターを有効成分として含有し、アトピー
性皮膚炎の症状を消失、軽減、あるいは予防する生物学
的活性を有するものであることを特徴とする医薬用剤;
【0017】〔24〕 (1) リンパ球、マスト細胞、好酸
球、好塩基球、好中球、マクロファージ、単球、組織球
及びランゲルハンス細胞などからなる群から選ばれた細
胞によって引き起こされたもの; (2) リンパ球、マスト細胞、好酸球、好塩基球、好中
球、マクロファージ、単球、組織球及びランゲルハンス
細胞からなる群から選ばれた細胞の患部への移動、浸
潤、及び/又は集積を特徴とするもの;及び (3) リンパ球、マスト細胞、好酸球、好塩基球、好中
球、マクロファージ、単球、組織球、ランゲルハンス細
胞及び結合組織細胞からなる群から選ばれた細胞の患部
での増殖を特徴とするものからなる群から選ばれたアレ
ルギー症状を改善することを特徴とする、上記〔1〕記
載の剤;
【0018】〔25〕 (1) 好酸球によって引き起こされ
たもの; (2) マクロファージによって引き起こされたもの;及び (3) 好酸球及びマクロファージによって引き起こされた
もの;及び (4) 気道、鼻腔、皮膚、結膜又は腸管で好酸球によって
引き起こされるものからなる群から選ばれたアレルギー
症状を改善することを特徴とする、上記〔1〕記載の
剤; 〔26〕 慢性的なアレルギー疾患を改善することを特徴
とする、上記〔1〕記載の剤;及び 〔27〕 アレルギー反応による炎症に対して予防及び/
又は治療作用を示すものであることを特徴とする上記
〔1〕記載の剤を提供する。
【0019】別の態様では、本発明は 〔28〕 乳幼児期における患者において観察され、且
つ、顔面、頭、耳介などから選ばれた皮膚での湿疹に似
た皮疹、及び頭部、眉毛部などから選ばれた皮膚での黄
白色痂皮が付着した紅斑からなる群から選ばれた病変部
を治療すること及び/又は該病変部の発生を予防するこ
とを特徴とする上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の
剤; 〔29〕 乳幼児期における患者において観察され、且
つ、体幹、四肢などから選ばれた皮膚での落屑を伴う紅
斑、体幹の乾性湿疹及び四肢屈側に観察される皮疹から
なる群から選ばれた病変部を治療すること及び/又は該
病変部の発生を予防することを特徴とする上記〔1〕〜
〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔30〕 小児期における患者において観察され、且つ、
(1) 体幹、特に背部によく発生する乾燥性湿疹及び(2)
四肢屈側や頸部によく発生する苔癬化した皮疹からなる
群から選ばれた病変部を治療すること及び/又は該病変
部の発生を予防することを特徴とする上記〔1〕〜〔2
7〕のいずれか一記載の剤;
【0020】〔31〕 思春期あるいは成人の患者におい
て観察され、且つ、(1) 体幹、特に背部によく発生する
乾燥性湿疹及び(2) 四肢屈側や頸部によく発生する苔癬
化した皮疹からなる群から選ばれた病変部を治療するこ
と及び/又は該病変部の発生を予防することを特徴とす
る上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔32〕 病変部の皮膚を先端が鈍な硬いもので擦過する
と、普通健康人に生じる紅色の皮膚描記線がみられず、
逆に血管収縮による貧血性白線を生じ(白色皮膚描記
症)、且つ該病変部が苔癬化した皮疹や乾燥性湿疹であ
る疾患を有する患者を処置することを特徴とする上記
〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔33〕 アセチルコリンあるいはメタコリンを皮内注射
すると、病変部では普通健康人に生じる紅斑ではなく、
蒼白斑を生じ、且つ該病変部が苔癬化した皮疹や乾燥性
湿疹である疾患を有する患者を処置することを特徴とす
る上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔34〕 アトピー性皮膚炎患者において現れ、且つ、発
汗減少、皮脂分泌低下、皮膚血管反応異常、及び乾燥性
皮膚からなる群から選ばれた皮膚機能異常を処置するこ
とを特徴とする上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の
剤;
【0021】〔35〕 皮膚最外層角質内の角質間脂質で
あるセラミド量の異常を処置することを特徴とする上記
〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔36〕 アレルギー性浮腫を抑制するものであることを
特徴とする上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔37〕 即時型アレルギー反応と遅発型アレルギー反応
の両方に対して作用するものであることを特徴とする上
記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載の剤; 〔38〕 皮膚角化細胞に対して増殖抑制活性を示すもの
であることを特徴とする上記〔1〕〜〔37〕のいずれか
一記載の剤; 〔39〕 皮膚角化細胞に対して静細胞的に増殖抑制活性
を示すものであることを特徴とする上記〔38〕記載の
剤; 〔40〕 皮膚組織修復作用を同時に示すものであること
を特徴とする上記〔38〕又は〔39〕のいずれか一記載の
剤;及び 〔41〕 皮膚線維芽細胞に対して増殖促進活性を示すも
のであることを特徴とする上記〔40〕記載の剤を提供す
る。
【0022】別の態様では、本発明は、 〔42〕 経口投与、局所投与、または非経口投与に適し
た製剤調製物の形態である、上記〔1〕〜〔41〕のいず
れか一記載の剤; 〔43〕 経口投与用剤、細胞内投与用剤、組織内投与用
剤、静脈内投与用剤、筋肉内投与用剤、皮下投与用剤、
皮内投与用剤、腹腔内投与用剤、胸腔内投与用剤、脊髄
腔内投与用剤、点滴法用剤、注腸剤、経直腸用剤、点眼
剤、点鼻剤、点耳剤及び皮膚や粘膜への塗布用剤からな
る群から選ばれたものである、上記〔1〕〜〔41〕のい
ずれか一記載の剤; 〔44〕 溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製
剤、成型製剤及び浸出製剤からなる群から選ばれたもの
である、上記〔1〕〜〔43〕のいずれか一記載の剤; 〔45〕 錠剤、被覆錠剤、糖衣を施した剤、丸剤、トロ
ーチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセ
ル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、注射
剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョン剤、灌注剤、シ
ロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニメント剤、ローシ
ョン剤、エアゾール剤、スプレー剤、吸入剤、噴霧剤、
軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ剤、パップ剤、ク
リーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸坐剤)、チンキ
剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、塗布剤、輸
液剤、注射用液剤などのための粉末剤、凍結乾燥製剤及
びゲル調製品からなる群から選ばれたものである、上記
〔1〕〜〔44〕のいずれか一記載の剤;
【0023】〔46〕 半固体状又は懸濁状の媒質中に存
在する形態のものとされ、任意に精製コラーゲンと組み
合わされていてもよく、軟膏又は懸濁剤である、上記
〔1〕〜〔41〕のいずれか一記載の剤; 〔47〕 薄膜、繊維又はマイクロカプセルの形の半透過
性ポリマーマトリックスを含有する持続放出製剤であ
る、上記〔1〕〜〔41〕のいずれか一記載の剤; 〔48〕 マトリックスが、ポリエステル、ヒドロゲル、
ポリラクチド、L-グルタミン酸及びガンマエチル-L- グ
ルタメート、ポリ(2-ヒドロキシエチル- メタクリレー
ト) 、エチレンビニルアセテートコポリマー、及びポリ
-D-(-)-3- ヒドロキシ酪酸などのコポリマーからなる群
から選ばれたものである、上記〔47〕記載の剤; 〔49〕 生物学的に分解せしめられることの可能なマト
リックスから構成され、TIMPを受動拡散により安定して
供給する供給源として機能することができる持続放出製
剤である、上記〔1〕〜〔47〕のいずれか一記載の剤;
及び 〔50〕 TIMPをリポソーム中に収めたものである、上記
〔1〕〜〔41〕のいずれか一記載の剤を提供する。本明
細書において、用語「及び/又は」とは、 (1)併合的接
続関係と (2)選択的接続関係の両方が存在することを意
味しており、例えば「治療及び/又は予防」の場合では
(1)治療及び予防並びに (2)治療又は予防の両方を包含
する意味で使用されている。その他においても用語「及
び/又は」は同様に (1)併合的接続関係と (2)選択的接
続関係の両方を包含する意味で使用されている。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明は、TIMPを有効成分とする
ことを特徴とし、アレルギー治療及び/又は予防に用い
られる、特にはI 型及び/又はIV型等のアレルギー疾患
患者の患部に対しての医薬組成物あるいはI 型及び/又
はIV型等のアレルギー症に感受性の者の所定部位に対す
る医薬組成物に関し、さらにはそれを適用することによ
るアレルギー治療及び/又は予防方法に関する。別の態
様では、本発明はTIMPを含有することを特徴とする即時
性及び遅発性のアレルギー症状を軽減させる医薬組成物
に関し、さらには該組成物を用いた治療及び/又は予防
方法に関する。
【0025】また本発明はTIMPを有効成分とすることを
特徴とするアトピー性疾患(例えば、アトピー性皮膚
炎、アトピー性腸炎など)の予防及び/又は治療剤並び
にそれを投与することからなるアトピー性疾患の治療及
び/又は予防方法に関する。特にTIMPを有効成分とする
ことを特徴とする医薬組成物は、アトピー性皮膚炎に対
する治療及び/又は予防剤として有用である。TIMPは、
例えば、 アトピー性皮膚炎皮膚患部(炎症が生じ、しか
も皮膚バリアー機能が損傷している)に対し、上記抗ア
レルギー作用、抗炎症作用に加え、皮膚患部における皮
膚形成細胞の増殖を促進させ、炎症部位を覆い隠すと共
に正常な皮膚機能の回復をもたらす(組織及び/又は細
胞に対する静細胞的増殖抑制活性を包含する)という有
利な効果を合わせ持つ。さらに本発明はTIMPを有効成分
とすることを特徴とするアレルギー性鼻炎の予防及び/
又は治療剤並びにそれを投与することからなるアレルギ
ー性鼻炎の治療及び/又は予防方法に関する。本発明は
TIMPを有効成分とすることを特徴とするアレルギー性結
膜炎の予防及び/又は治療剤並びにそれを投与すること
からなるアレルギー性結膜炎の治療及び/又は予防方法
に関する。本発明はTIMPを有効成分とすることを特徴と
する抗炎症剤並びにそれを投与することからなる炎症の
治療及び/又は予防方法に関する。本発明におけるTIMP
は、即時反応及び遅発反応における炎症症状にも有効で
あると期待される。
【0026】さらに、遅発反応相はIV型アレルギーの発
症機序に類似した様相を呈していることから考察する
と、本発明のTIMP含有組成物は、I 型アレルギーのみな
らず、IV型アレルギー類似のアレルギー反応に対する治
療薬としても有用と考えられる。また、本発明のTIMP含
有組成物は、既存のアレルギーの治療薬であるプレドニ
ゾロンと比較して、副作用の指標ともなる体重減少を引
き起こさないことなど、より安全で有効な薬効を有す
る。より好ましい態様では、本発明は、(i) TIMPs から
成る群から選ばれた少なくとも一つを主たる有効成分と
して含有する、(ii)抗アレルギー医薬、及び、アトピー
性疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性腸炎な
ど)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎に対する
医薬、及び/又は抗炎症医薬からなる群から選ばれる医
薬、そして該医薬を投与することからなる疾患あるいは
病的な状態の治療及び/又は予防方法に関する。
【0027】本明細書中、「ティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ」あるいは「TIMP」とは、MM
Psの活性を特異的に阻害するインヒビターを指してい
る。典型的には、該TIMPは、組織や体液中に存在する内
因性インヒビターを指しており、タンパク質あるいはポ
リペプチドであり、天然に存在するかも知れない変異体
を包含していてよい。該天然の変異体としては、例え
ば、対立遺伝子変異体に由来するものが挙げられる。現
在までTIMPとしては、TIMP-1, TIMP-2, TIMP-3及びTIMP
-4などが知られているが、可溶性のものとしてはTIMP-
1, TIMP-2などが挙げられる。該TIMPは、rTIMP-1, rTIM
P-2などのrTIMPsを包含していてよい。本発明におい
て、該TIMPとしては機能的に活性であれば制限されない
が、例えば、TIMP-1, TIMP-2などと実質的に同質の生物
活性 (例えば、MMPsの活性に対する阻害作用、抗アレル
ギー反応性、アレルギー性の炎症や皮膚の炎症反応を抑
制する作用、アトピー性皮膚炎に対する治療作用及び/
又は予防作用などのいずれか)を示すものが挙げられ
る。「実質的に同質」とは、作用の性質が同じであるこ
とを意味し、その強弱など量的な違いは存在していても
よいことを意味する。本明細書中、「 rヒトTIMP」、
「r-ヒトTIMP」あるいは「 r-hTIMP」は、組換えDNA 技
術を適用して得られたヒト由来のリコンビナントTIMPを
指しており、対応するTIMP-2の場合では、「 rヒトTIMP
-2」、「r-ヒトTIMP-2」あるいは「 r-hTIMP-2」という
ように表記されている。
【0028】TIMP-1は糖タンパク質であり、ヒト、ウ
シ、マウス、ラット、ウサギその他動物由来の軟骨、歯
髄、歯肉、子宮、胎盤、皮膚等の組織や、関節軟骨細
胞、骨芽細胞、各種組織由来線維芽細胞、上皮細胞等の
培養細胞、羊水、血清、血漿、血小板、単球、マクロフ
ァージ等から産生され、これらの組織や培養細胞のコン
ディション培養液から調製することができる。例えば、
Kodama et al., CollagenRel. Res., 7, 341-350, 1987
あるいは Kodama et al., J. Immunol. Methods,12, 1
03-108, 1990に記載の方法に準じて、種々の培養液やヒ
ト血清、ヒト胎盤などからモノクローナル抗体を用いた
アフィニティークロマトグラフィー等により単離でき
る。また、Murphy et al., Biochem. J., 195, 167-17
0, 1981、Kishi and Hayakawa, J. Biochem., 96, 395-
404, 1984あるいはSticklin and Welgus ,J. Biol. Ch
em., 258, 12252-12258, 1983に記載の方法に準じて、
種々の細胞の培養液やヒト血清などから生化学的に公知
のクロマトグラフィーの組み合わせにより単離できる。
TIMP-1、とりわけヒトTIMP-1は、直接的薬効をもったア
レルギー治療剤、特にはI 型及び/又はIV型アレルギー
の治療及び/又は発生予防剤などとして非常に有用であ
る。またTIMP-1、とりわけヒトTIMP-1は、アトピー性疾
患、特にはアトピー性皮膚炎の治療及び/又は発生予防
剤などとして非常に有用である。
【0029】ヒトTIMP-2は、ヒトTIMP-1とアミノ酸配列
上約40%の相同性を有するが、ヒトTIMP- 1 と異なり
N-結合型オリゴ糖鎖を結合していない。ヒトTIMP-2もヒ
トTIMP-1の場合と同様の種々の組織、組織由来培養細胞
の培養液から得ることができる。例えば、Fujimoto et
al., Clin. Chim. Acta, 220, 31-45, 1993 および特開
平6-300757号等に記載の方法に従い、ヒト胎盤などから
モノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグ
ラフィー等により得ることができる。また、Goldberg e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 8207-8211,
1989; Stetler-Stevenson et al., J. Biol. Chem., 26
4, 17374-17378, 1989; Stetler-Stevenson et al., J.
Biol. Chem., 265, 13933-13938, 1990あるいは DeCle
rk et al., J. Biol. Chem., 266, 3893-3899, 1991 に
記載の方法に準じて、種々の組織や培養液から単離でき
る。ヒトTIMP-2は、ヒトTIMP-1と異なる性状およびN-結
合型オリゴ糖鎖を持たない異なる分子構造を有するにも
拘らず、直接的薬効をもったアレルギー治療剤、特には
I 型アレルギー治療剤の治療及び発生予防などとして非
常に有用である。またヒトTIMP-2は、アトピー性疾患、
特にはアトピー性皮膚炎の治療及び/又は発生予防剤な
どとして非常に有用である。
【0030】ヒトTIMP-1およびヒトTIMP-2は、PCR クロ
ーニングを含めた組換えDNA 技術(T. Maniatis et al.
(ed.), Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Labor
atory, Cold Spring Harbor, New York, 1982; J. Samb
rook et al. (ed.), Molecular Cloning, a laboratory
manual (2nd Ed.), Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, New York, 1989) を用いることに
より得ることもできる。従来の培養細胞のコンディショ
ン培養液や血清、さらには胎盤などから得る場合にはそ
れら固有のある種の制約があるが、組換えDNA 技術を適
用しての製造方法ではこうした制約を受けることがな
く、医薬の製造に必要とされる動物実験や臨床試験に用
いることのできる量及び質のTIMPs を得ることができ
る。「TIMP-1遺伝子」は、TIMP-1をコードしている核
酸、例えば、TIMP-1をコードしているRNA 又はDNA であ
る。「TIMP-1 DNA」は、TIMP-1をコードしているDNAで
ある。TIMP-1 DNAは、cDNA又はゲノムDNA ライブラリー
から、又はインビトロ合成によって得られる。cDNA又は
ゲノムDNA ライブラリー中、又は様々なDNA から成る他
の何らかの混合物中のTIMP-1 DNAの同定は、放射性同位
元素のような検出可能な原子団で標識したオリゴヌクレ
オチドハイブリダイゼーションプローブの使用によって
簡便に達成される。TIMP-1をコードしているDNA を同定
するためには、好ましくは当該ハイブリダイゼーション
プローブが、選択されたハイブリダイゼーション条件下
で、TIMP-1アミノ酸配列又はその変異体若しくは誘導体
をコードしているDNA と優先的にハイブリダイズできる
ようにハイブリダイゼーションプローブのヌクレオチド
配列を選択する。TIMP-1核酸を取得するもう一つの方法
は、これを化学合成することである。「TIMP-2遺伝子」
については、上記「TIMP-1遺伝子」について説明したの
と同様で、該「TIMP-1」をTIMP-2に置き換えて解釈した
ものである。
【0031】TIMP-1 DNAやTIMP-2 DNAは、cDNA若しくは
ゲノムDNA 又はインビトロ合成産物の如何に拘わらず、
(1) さらなるクローニングのため、あるいは(2) 発現の
ために、複製可能なベクター中にライゲーションされ
る。「ベクター」とは、宿主細胞内部で自立的に複製可
能なプラスミド又はその他のDNA であって、それ自体、
適合可能な宿主細胞(ベクター−宿主系) に関連した二
つの機能を果たすのに有用なものである。一つの機能
は、TIMP-1あるいはTIMP-2をコードしている核酸のクロ
ーニングを容易にする、即ち使用し得る量の核酸を生成
させることである。別の機能は、TIMP-1あるいはTIMP-2
の発現を指示することである。ベクター−宿主系により
これらの機能の片方又は両方が実行される。ベクター
は、それらが果たす機能並びにクローニング又は発現の
ために一緒に使用される宿主細胞に応じて異なった構成
要素を含むことになる。
【0032】本発明に係るTIMP-1あるいはTIMP-2は、組
換え細胞培養中で直接的に発現されたものであってよ
く、例えば、N 末端側にMet 基が付加されているもので
あってもよいし、N 末端Met 基のないものあるいはそれ
の除去されたものであってもよいし、又はヘテロロガス
なポリペプチドの形態、例えば、他のポリペプチド (好
ましくはシグナル配列) とTIMP-1あるいはTIMP-2との間
の結合位置に特異的開裂部位を有するヘテロロガスなポ
リペプチド融合物として発現されたものであってよい。
「発現」とは、転写及び/又は翻訳を指す。さらに、増
幅可能な遺伝子、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DH
FR) をコードしている配列を含む遺伝子(DHFR 遺伝子)
を含有している発現ベクターは、DHFRの競合的拮抗物質
であるメソトレキサートの存在下で該発現ベクターを保
持している宿主細胞を培養することにより、多数のDHFR
遺伝子のコピー合成を誘導せしめることになり、同時に
該発現ベクターを含むそれとは別のDNA 配列、例えばTI
MP-1あるいはTIMP-2をコードしているDNA 配列の多数の
コピーを導くことになる。このようなやり方で、細胞に
より産生されるTIMP-1あるいはTIMP-2のレベルを増大さ
せることができる。
【0033】TIMP-1あるいはTIMP-2の発現は、一過性発
現であってもよい。一般に、一過性発現は、宿主細胞中
で効率的に複製され得る発現ベクターを使用し、発現ベ
クターの多数のコピーを宿主細胞に蓄積せしめ、次にそ
の発現ベクターによりコードされている所望のポリペプ
チドを高レベルで合成するようにすることを含むもので
ある。組換え宿主細胞発現の一つの例において、哺乳動
物細胞をTIMP-1 DNAあるいはTIMP-2 DNAを含む発現ベク
ターで形質転換あるいはトランスフェクションし、そし
てそれによりコードされたTIMP-1あるいはTIMP-2を発現
せしめ、組換え宿主細胞が生育している培養基から発現
産物を回収する。本明細書中使用される「形質転換」及
び「トランスフェクション」という語は、プラスミド又
は発現ベクターのような所望の核酸を宿主細胞中に導入
する工程を指す。宿主細胞の性質に応じて様々な形質転
換及びトランスフェクションの方法が利用できる。大腸
菌細胞の場合、最も一般的な方法は、細胞を塩化カルシ
ウム及び他の塩類の水溶液で処理することを含むもので
ある。哺乳動物細胞の場合、最も一般的な方法は、燐酸
カルシウム又はDEAEデキストラン、又は電気穿孔法によ
り仲介されたトランスフェクションである。形質転換又
はトランスフェクションの後、所望の核酸を宿主細胞ゲ
ノム中に組み入れたり、あるいは染色体外の要素として
存在させることができる。上記プラスミド及び発現ベク
ターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた宿主
細胞は、プロモーターの誘導又は薬物耐性若しくはその
他の何らかの選択マーカー若しくは表現型に関して選択
するのに適当であるように修飾された通常用いられる栄
養培地で培養する。場合によっては、温度、pH等といっ
たような培養条件は、クローニング又は発現に用いられ
た宿主細胞の培養に使用されたことのある条件が適当で
あり、当業者には明白であろう。
【0034】本発明に係るTIMP-1あるいはTIMP-2の発現
に好適な宿主細胞は、原核生物、酵母、並びに、昆虫、
脊椎動物、及び哺乳動物宿主細胞を包含する高等真核生
物細胞である。適当な原核生物は、真性細菌、例えばグ
ラム陰性菌又はグラム陽性菌、例えば大腸菌などのエセ
リシア属菌、バシルス属菌、シュウドモナス属菌、スト
レプトコックス属菌、スタフィロコックス属菌、ストレ
プトミセス属菌などが挙げられる。宿主細胞のうち、真
核微生物としては、Saccharomyces cerevisiaeなどのサ
ッカロミセス属酵母、Pichia pastrisなどのピシア属酵
母を含む酵母、糸状菌、あるいはその他の属、種、及び
菌株の下等真核宿主微生物が挙げられる。多細胞生物か
ら誘導されるTIMP-1あるいはTIMP-2の発現のための好適
な宿主細胞では、複雑なプロセシングやグリコシル化が
可能であると考えられる。原則として、脊椎動物又は無
脊椎動物由来の如何に拘わらず、任意の高等真核生物の
培養細胞が使用可能である。しかしながら、グリコシル
化においては、その種特異性、組織特異性、又は細胞特
異性のため、外来遺伝子導入宿主細胞中での発現タンパ
ク質のグリコシル化の程度又はグリコシル化のパターン
は、典型的には、天然に発現される細胞から得られるも
のとは異なるであろう。該多細胞生物としては、昆虫細
胞、植物細胞などを包含していてもよい。昆虫細胞とし
ては、Spodoptera Sf9, Sf21, Drosophila S2, カイコ
(Bombyx mori) のような宿主からの、使用する発現ベク
ターに対応して許容される昆虫宿主細胞などが挙げられ
る。植物細胞としては、トマト、タバコ、ダイズ、ジャ
ガイモ、トウモロコシ、ペチュニア、綿花などが挙げら
れる。有用な動物宿主細胞としては、チャイニーズハム
スター卵巣細胞 (CHO 細胞、好ましくはDHFR欠損CHO 細
胞) 、SV40で形質転換されたアフリカミドリサル腎臓由
来セルライン(COS細胞、例えば、COS-1, COS-7など) 、
HeLa細胞、C127細胞、3T3 細胞、293 細胞、Bowsメラノ
ーマ細胞、BHK 細胞、Hep G2細胞、W138細胞などが挙げ
られる。本発明に係るTIMP-1あるいはTIMP-2の産生に使
用される宿主細胞は、当該分野で知られているか、ある
いは汎用されている様々な培地、あるいはそれを修飾し
た培地で培養することができる。本明細書中で言及され
る宿主細胞は、インビトロ培養中の細胞及び、例えば移
植又はインプラントの結果として宿主動物内にある細胞
を包含してよい。
【0035】本発明に係る rヒトTIMP-1あるいは rヒト
TIMP-2は、宿主細胞溶菌液から回収することもできる
が、好ましくは分泌されたポリペプチドとして培養基か
ら回収する。それを産生している宿主細胞に由来する夾
雑蛋白又はポリペプチドを実質上含まない rヒトTIMP-1
あるいは rヒトTIMP-2を得るためには、付随しているか
も知れない夾雑物質に比較して、それと異なるTIMP-1あ
るいはTIMP-2の物理的性質に基づき、TIMP-1あるいはTI
MP-2を精製することが必要である。例えば第一段階とし
て、培養基又は溶菌液を遠心して細胞残屑を除去する。
得られた産物は、適宜さらに精製分離処理される。組換
えDNA 技術を用いることにより、直接的形態で製造さ
れ、そしてアレルギー反応を抑制していることが確認で
きるに十分な量及び質で得られ、更に医薬の製造承認に
必要とされる動物実験や臨床試験に用いることのできる
量及び質で得られるし、そうして得られた rヒトTIMPs
を用いることでアレルギー性疾患、特にはI 型及び/又
はIV型アレルギー疾患、さらに詳しくはアトピー性疾
患、例えば、アトピー性皮膚炎に治療効果があることを
見出したことは注目に値する。
【0036】ヒトTIMP-1遺伝子やヒトTIMP-2遺伝子、例
えばヒトTIMP-1及びヒトTIMP-2をコードする核酸配列を
利用し、大腸菌などの原核細胞宿主、酵母、チャイニー
ズハムスター卵巣細胞 (CHO 細胞、DHFR欠損CHO 細胞)
、SV40で形質転換されたアフリカミドリサル腎臓由来
セルライン(COS細胞、例えば、COS-1, COS-7など) など
の動物細胞宿主や、Sf21などの昆虫細胞などの真核細胞
宿主、通常組換えDNA 技術に用いられる全ての宿主と宿
主の応じた発現ベクターを用いることにより得ることが
できる。糖タンパク質であるTIMP-1の場合、好ましくは
真核細胞を宿主とした宿主ベクター系を使用する。組換
えDNA 法による rヒトTIMP-1及び rヒトTIMP-2の取得
は、例えばCarmichael et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 83, 2407-2411, 1986; Williamson et al., Bi
ochem. J., 268, 267-274,1990; Booneet al., Proc. N
atl. Acad. Sci. USA., 87, 2800-2804, 1990; DeClerc
k et al., J. Biol. Chem., 266, 3893-3899, 1991; St
etler-Stevenson et al., J. Biol. Chem., 265, 13933
-13938, 1990;Aoki et al., Connective Tissue, 26,2
81-290, 1995 に記載の方法を参考にすることができ
る。
【0037】例えば rヒトTIMP-1は、ヒト正常歯肉線維
芽細胞(Gin-1細胞) より調製した全poly(A)+ mRNAを鋳
型、オリゴdT(15 〜18個) をプライマーとした逆転写反
応により1st strand cDNA の合成を行い、次にPCR プラ
イマー、例えば プライマーT1F1; 5'-ATGGCCCCCTTTGAGCCCCTG-3' 及び プライマーT1R1;5'-CAGGATTCAGGCTATCTG-3' を用いPCR 反応により適宣TIMP-1遺伝子の増幅を行い、
得られたTIMP-1遺伝子を適当なクローニングベクター、
例えばpMEMneo(Lee et al., Nature, 294, 228-232, 19
81) にクローニングし、一般的なリン酸カルシウム共沈
法等によりpSV2-dhfr プラスミドと共にCHO(dhfr- ) 細
胞等に導入した。TIMP-1遺伝子導入CHO 細胞等の形質転
換体をマイクロキャリヤー培養や高密度連続培養など適
当な方法で培養し、得られたコンディション培養液から
rヒトTIMP-1を調製する。発現ベクターを導入した宿主
細胞に対応して、遺伝子産物の糖鎖構造は天然物と異な
ったものが得られることは理解されるべきである。な
お、 rヒトTIMP-1は、市販品を利用することもでき、例
えば、コスモ・ バイオ社から入手可能である。
【0038】また、 rヒトTIMP-2は、例えばヒトGin-1
細胞より調製した全 poly(A)+ mRNAを鋳型、オリゴdT(1
5 〜18個) をプライマーとした逆転写反応により1st st
randcDNA の合成を行い、次にPCR プライマー、例えば プライマーT2F7; 5'-AAAGTCGACCATGGGCGCCGCGGCCCGCACC
CT-3' 及び プライマーT2R5; 5'-TTAAGATCTGTCGACTTAAGGATCCTCGATA
TCGAGGAATTCTTGC-3' を用いPCR 反応により適宣TIMP-2遺伝子の増幅を行い、
得られたTIMP-2遺伝子を適当なクローニングベクター、
例えばpUC13 にサブクローニング後、適当な発現ベクタ
ー例えばpGK5にクローニングし、一般的なリン酸カルシ
ウム共沈法等によりpSV2-dhfr プラスミドDNA と共にCH
O(dhfr- ) 細胞に導入した。TIMP-2遺伝子導入CHO 細胞
等の形質転換体をマイクロキャリヤー培養や高密度連続
培養など適当な方法で培養し、得られたコンディション
培養液から rヒトTIMP-2を調製した。なお、 rヒトTIMP
-2は、市販品を利用することもでき、例えば、コスモ・
バイオ社から入手可能である。
【0039】本明細書中、「ポリメラーゼ連鎖反応」又
は「PCR 」あるいは「PCR 反応」とは一般に、米国特許
第4683195 号に記載のように、所望のヌクレオチド配列
のイン・ビトロでの増幅のための方法を指す。一般にPC
R 法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることの
できる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用し
た、プライマー伸長合成を伴うところの繰り返し行われ
るサイクルを含むものである。PCR 法で用いられるプラ
イマーは、典型的には鋳型のうちにあるヌクレオチド配
列と両端において相補的であるプライマー、あるいは鋳
型のうちにある増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接
しているであろうところの、該増幅されるべきヌクレオ
チド配列に対し相補的なプライマーを使用することがで
きるものである。また、「PCR クローニング」とは、適
当な細胞又は組織供給源由来の核酸(全ゲノムDNA 及び
細胞の全RNA から転写されたcDNAを包含する)中に存在
する特定の所望ヌクレオチド配列を増幅するためのPCR
法の使用を指す。組換えDNA 技術を用いることにより得
られるrTIMPsは、本発明の目的に合致する限り、その構
成アミノ酸における1個以上の変異、例えば欠失、置
換、挿入、転移もしくは付加により、アミノ酸配列が相
違したものであることができる。組換えDNA 技術を用い
れば、例えば基本となるDNA 配列の特定の部位に突然変
異を誘発することにより、1個又は複数個のアミノ酸の
欠失、置換、挿入を図ることが可能である。代表的な方
法としては、位置指定変異導入法(日本生化学会編、
「新生化学実験講座2、核酸III 、組換えDNA 技術」、
東京化学同人、233 〜251 、1992年10月5 日)などが挙
げられる。
【0040】これら種々の起源に由来するTIMPs は、従
来公知の通常のタンパク質の精製に用いられる方法、例
えば、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用いた塩析
法、ゲルろ過担体やイオン交換担体を用いたクロマトグ
ラフィー法、電気泳動法、各TIMPに対するモノクローナ
ル抗体、Con A などを用いたアフィニティークロマトグ
ラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法など各TIMP
の性質に合わせ、単独または任意の組合わせにより使用
して適宜精製することができる。ところで、ミクロ的に
は天然物は、均一の産物として得ることには限界があ
り、例えば天然物質であるTIMP-1は、本来的あるいは単
離の過程における処理の影響で分子中に各種の形態の糖
鎖を有し、それに起因して様々な分子量等をもつ物質か
らなる物であるのが実状である。非組換え細胞(非形質
転換体)から調製する場合において随伴するような夾雑
物(微量で生物活性を持ち、普通には完全な分離除去が
困難である)を、 rヒトTIMPs は含まないと考えられ
る。特に rヒトTIMP-2は、精製単離処理を加えて変性タ
ンパク質などを含むことの少ない最終産物として得るこ
とが可能である。 rヒトTIMP-2は、アレルギー疾患部
位、より詳しくはアトピー性皮膚炎発症部位に作用し
て、その症状を緩和あるいは進行の阻止、又はアレルギ
ーの抑制活性及び/又は皮膚でのアレルギー性の炎症あ
るいは浮腫に対する治療及び/又は予防活性を観察でき
るに十分な量及び純度で得られ、さらに医薬の製造承認
に必要とされる動物実験や臨床試験に用いることのでき
るのに十分な量及び純度で得られるという特性が認めら
れ、医薬の有効成分として優れている。
【0041】本発明で用いるTIMPs としては、遊離のも
のであってもよいし、その塩であってもよい。TIMPs タ
ンパク質の塩としては、とりわけ生理学的に許容される
酸付加物が好ましい。この様な塩としては、例えば無機
酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)と
の塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオ
ン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエ
ン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。本
発明で用いるTIMPs は、安定化剤、pH調節剤、塩類を含
有しているものであってよい。安定化剤としては、グリ
シンなどのアミノ酸あるいはその塩、ブドウ糖、ショ糖
などの糖、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコ
ール、オリゴ糖、ヒアルロン酸などの多糖、アルブミ
ン、ゼラチン、グロブリン、プロタミン、コラーゲンな
どのタンパク質、ペプチドなどが挙げられる。pH調節剤
としては、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸などの無機酸、ク
エン酸などの有機酸、あるいはそれらの塩が挙げられ
る。塩類としては、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム
などのリン酸塩などが挙げられる。その他、医薬品に配
合されて用いられることが知られているものから適宜必
要に応じて選択してそこに配合されて用いられていてよ
い。
【0042】本発明で用いるTIMPs は、当該分野で知ら
れている抗アレルギー剤からなる群から選ばれた薬物と
配合して用いることができる。例えば、オキサトミド、
フマル酸ケトチフェン、テルフェナジン、クロモグリク
酸ナトリウム、塩酸アゼラスチン、塩酸エピナスチン、
トラニラスト、ペミロラストカリウム、フマル酸エメダ
スチン、アレンキサノクス、メキタジン、レピリナス
ト、タザノラスト、アステミゾール、塩酸オザグレル、
トシル酸スプラタスト、プランルカスト水和物、セラト
ロダスト、イブジラストなどが挙げられる。
【0043】さらに、本発明で用いるTIMPs は当該分野
で知られている抗ヒスタミン剤、例えば、塩酸イソチペ
ンジル、塩酸クレミゾール、塩酸ジフェニルピラリン、
塩酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、塩酸ト
リプロリジン、ナパジシル酸メブヒドロリン、フマル酸
クレマスチン、塩酸プロメタジン、マレイン酸クロルフ
ェニラミン、マレイン酸ジメンデン、メキタジンなど;
当該分野で知られている消炎剤、抗菌剤、抗生物質、皮
膚保護剤からなる群から選ばれた薬物と配合して用いる
こともできる。
【0044】本発明においてTIMPs を前述したような医
薬組成物又は医薬調製物として投与する際は、通常単独
あるいは薬理的に許容される各種補助剤と混合して、経
口的又は非経口的な使用に適した製剤調製物の形態で投
与される。非経口的な投与形態としては、局所、経皮、
静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内投与を包含
し得るが、患部への直接投与も可能であり、また、ある
場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む哺乳動物
に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、組織内、
静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔内、脊髄
内、点滴静脈内、注腸、経直腸、点眼、点鼻、点耳、皮
膚や粘膜への塗布など)に投与することができるものが
挙げられる。
【0045】例えば、適宜必要に応じて生理学的に認め
られる担体、香味剤、香料、甘味剤、賦形剤、ベヒク
ル、アジュバント、希釈剤、防腐剤、安定化剤、結合
剤、pH調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填
剤、増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化
剤、懸濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸
収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存
剤、抗酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、
無痛化剤など単独もしくは組合わせて用い、それと共に
本発明のTIMPs を混和することによって、一般的に認め
られた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造す
ることができる。
【0046】これら製剤における有効成分は指示された
範囲の適当な用量が得られるようにするものである。具
体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、分散製
剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製剤など
が挙げられる。例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施した
剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、
マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒剤、
細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョン
剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニメ
ント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、吸
入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤及びゲル調製品等が挙げられる。
【0047】経口的使用に適した製剤としては、例え
ば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トローチのよ
うな固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤のような
液状組成物等が挙げられる。前記固形組成物を製剤調製
する際は、製剤補助剤として、例えば、乳糖、結晶セル
ロース、微結晶セルロース、セラックなどの担体;デキ
ストリン、白糖、結晶セルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース(HPC) 、アラビアゴム、トラガント、炭酸カ
ルシウム、ゼラチン、トウモロコシデンプン、ポリビニ
ルピロリドン、水、エタノール、ブドウ糖、デンプン液
のような結合剤;トウモロコシデンプンなどのデンプ
ン、乳糖、白糖、ブドウ糖、塩化ナトリウム、炭酸カル
シウム、カルボキシメチルセルロース(CMC) 、ケイ酸の
ような賦形剤;トウモロコシデンプン、バレイショデン
プンなどのデンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキ
シメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナト
リウム、ゼラチン、セラック、結晶セルロース、炭酸カ
ルシウム、炭酸水素ナトリウム、トラガント、リン酸カ
ルシウムのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムと
いったステアリン酸(Al, K, Na, Ca, Mg )、軽質無水
ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、微結晶セル
ロースのような滑沢剤;ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル類、アルキル硫酸塩類のような界面活性
剤;ゼラチンのようなカプセル基剤;ショ糖、乳糖また
はサッカリンのような甘味剤;ペパーミント、ケイヒ
油、オレンジ油、スペアミント、アカモント油またはチ
ェリーのような香味剤;その他風味剤、崩壊抑制剤、吸
収促進剤、安定化剤、保存剤、粘稠剤などを使用するこ
とができる。調剤単位形態がカプセルである場合には、
前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有
することができる。
【0048】また、前記液状組成物を製剤調製する際
は、製剤補助剤として、ソルビトール、ゼラチン、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、植物油の
他、乳化剤、甘味剤、風味剤、吸収促進剤、安定化剤、
保存剤などを使用することができる。これらの製剤は、
通常本発明タンパク質を0.1 〜95重量%含有するように
調製される。非経口的使用に適した製剤としては、水も
しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶
液、または懸濁液剤など、例えば、注射剤等が挙げられ
る。注射剤を調製する際は、蒸留水、生理的食塩液のよ
うな担体を使用して溶液、懸濁液、エマルジョンのごと
き注射しうる形態に調製する。注射のための無菌組成物
は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰
子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁
させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方すること
ができる。この場合、防腐剤としてのベンジルアルコー
ル、抗酸化剤としてのアスコルビン酸など薬理的に許容
される緩衝液又は浸透圧調節のための試薬を含有しても
よい。
【0049】注射用の水溶液としては、例えば、生理食
塩液、ブドウ糖やその他補助薬を含む等張液(例えば、
D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムな
ど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アル
コール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール
(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソル
ベート80 TM 、HCO-50など)などと併用してもよい。油
性液としては胡麻油、大豆油などが挙げられ、溶解補助
剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと
併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝
液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、
塩酸プロカインなど)、安定化剤(例えば、ヒト血清ア
ルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例
えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防
止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通
常、適当な温血哺乳動物(例えば、ヒトなど)などに対
して投与することができる。
【0050】非経口投与には、界面活性剤及びその他の
薬理的に許容される助剤を添加するか、あるいは添加せ
ずに、水、エタノール又は油のような無菌の薬理的に許
容される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化さ
れる。製剤に使用される油としては、天然、半合成ある
いは合成の油脂類が挙げられる。例えば、ピーナッツ
油、トウモロコシ油、大豆油、胡麻油などの植物油が挙
げられる。一般的には、水、食塩水、デキストロース水
溶液、その他関連した糖の溶液、エタノール、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコー
ル類が好ましい注射剤用液体担体として挙げられる。こ
の注射剤は、通常本発明タンパク質を0.01〜10重量%程
度含有するように調製される。
【0051】局所的又は直腸的使用に適した製剤として
は、例えば、点眼剤、吸入剤、軟膏剤、坐剤等が挙げら
れる。点眼剤としては、薬理的に許容される担体を用い
て慣用の方法により調製される。吸入剤としては、本発
明タンパク質自体又は薬理的に許容される不活性担体と
共にエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解させる
か、あるいは、吸入用微粉末として呼吸器官へ投与でき
る。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基剤
(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴー
ル400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の方
法により調製されるが、通常本発明タンパク質を 0.01
〜30重量%程度含有するように調製される。坐剤は、当
該分野において周知の担体、例えば、ポリエチレングリ
コール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド等
を使用して慣用の方法により調製されるが、通常本発明
タンパク質を 0.1〜95重量%程度含有するように調製さ
れる。
【0052】さらに、TIMPは、半固体状又は懸濁状の媒
質中に存在する形態のものとされ、好ましくは精製コラ
ーゲンと組み合わせてそうしたものとされ、軟膏又は懸
濁剤に調製されることもできる。またTIMPを含有する通
常の油性製剤は軟膏として有用である。このようなTIMP
含有製剤は、皮膚の患部においてTIMPを持続的に放出
し、それにより、例えば皮膚組織中への、再生及び/又
は修復を指向する走化性勾配を作り出す働きをする。TI
MPのための持続放出製剤は、一般に、TIMP及びそこから
TIMPがある程度の時間の間放出され得ることを許容する
マトリックスで構成されるものであってよい。該持続放
出製剤としては、成型された形態のもの、例えば薄膜、
繊維又はマイクロカプセルの形の半透過性ポリマーマト
リックスを含有するものを挙げることができる。持続放
出マトリックスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、
ポリラクチド (米国特許第3773919 号明細書) 、L-グル
タミン酸及びガンマエチル-L- グルタメート(Biopolym
ers, 22, 547-556, 1983) 、ポリ(2-ヒドロキシエチル
- メタクリレート) (J.Biomed.Mater.Res., Vol.15,p.
167-277(1981); Chem.Tech., 12, 98-105, 1982)、エ
チレンビニルアセテートコポリマー(Chem.Tech., 12,
98-105, 1982) 、又はポリ-D-(-)-3- ヒドロキシ酪酸
(欧州特許公開第133988号明細書) などのコポリマーを
挙げることができる。これらの製剤は、生物学的に分解
せしめられることの可能なマトリックスから構成され、
TIMPを受動拡散により安定して供給する供給源として機
能することができる。
【0053】さらに、皮膚患部との接触のための持続放
出TIMP組成物は、TIMPをリポソーム中に収めたものを包
含していてよい。TIMPを含有するリポソームはそれ自体
既知の方法、例えば、特開昭58-118008 号; 米国特許第
4485045 号明細書; 米国特許第4544545 号明細書; 欧州
特許公開第52322 号明細書; 欧州特許公開第36676 号明
細書; 欧州特許公開第88046 号明細書; 欧州特許公開第
143949号明細書; 欧州特許公開第142641号明細書; 欧州
特許公開第102324号明細書; DE No.3218121 A;Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA, 82, 3688-3692, 1985; Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA, 77, 4030-4034 1980などの方法によって製
造されることができる。通常リポソームは、油、例え
ば、リン脂質などの脂質を用いて調製することができ、
該リン脂質としては、例えば、卵黄ホスファチジルコリ
ン、大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルセ
リン、大豆ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン
などが挙げられる。典型的にはリポソームは、脂質含有
量が約30 mol%コレステロール以上であり、選択される
コレステロール含有比率はTIMP放出の最適な速度を得る
ように調節され、そしてリポソームは、通常一層の薄層
型の小さな(約200-800 オングストローム) ものであ
る。
【0054】該TIMPs は、その投与量を広範囲にわたっ
て選択して投与できるが、その投与量及び投与回数など
は、処置患者などの症状、性別、年齢、投与方法などに
応じて決めることが可能である。該TIMPs の投与量は、
症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的
に成人(60 kg として)において、一日につき0.01 mg
〜1 g 、好ましくは0.1 mg〜500 mg、より好ましくは1.
0 mg〜100 mgである。非経口的に投与する場合は、その
1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法など
によっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常成人
(60 kg として)において、一日につき 0.001 mg 〜30
mg 、好ましくは0.01 mg 〜20 mg 、より好ましくは
0.1 mg 〜10 mg を静脈注射により投与するのが好都合
である。他の場合も、60 kg 当たりに換算した量を投与
することができる。軟膏剤の形では、1 回当たり 0.01
mg〜100 mg投与できる。
【0055】医薬品製造にあたっては、その添加剤等や
調製法などは、例えば、日本薬局方解説書編集委員会
編、第十三改正 日本薬局方解説書、平成8年7月10日
発行、株式会社廣川書店;一番ケ瀬 尚 他編 医薬品
の開発12巻(製剤素材〔I〕)、平成2年10月15日発
行、株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素
材〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店な
どの記載を参考にしてそれらのうちから必要に応じて適
宜選択して適用することができる。なお、明細書及び図
面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Bioche
mical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野におい
て慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。
【0056】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書
の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解
されるべきである。なお、以下の実施例において、特に
指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処理などは、
DNA クローニングでは、T. Maniatis et al. (ed.), "M
olecular Cloning", Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, New York, 1982; J. Sambrook et
al. (ed.), "Molecular Cloning, a laboratory manua
l (2nd ed.)", Cold Spring Harbor Laboratory, Cold
Spring Harbor, New York, 1989;及びD. M. Glover et
al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4,(Th
e Practical Approach Series), IRL Press, Oxford Un
iversity Press (1995); 特にPCR 法では、H. A. Erlic
h (ed.), PCR Technology, Stockton Press,1989; D.
M. Glover et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vo
l. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press,
Oxford University Press (1995) 及びM. A. Innis et
al. (ed.), "PCR Protocols", Academic Press, New Yo
rk (1990)に記載の方法に準じて行っているし、また、
市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに
添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用してい
る。
【0057】
【実施例1】ヒトTIMP-1の調製 ヒトTIMP-1は、例えばKodama et al., Collagen Rel. R
es., 7, 341-350, 1987 に記載の方法に従い、ヒト正常
歯肉線維芽細胞(Gin-1細胞) のコンディション培養液よ
りUltrogel AcA44(LKB) 、Con A セファロース、抗ウシ
TIMP-1モノクローナル抗体( 例えば特開昭63-219392 号
公報に開示のクローン番号7-21B12 など) 結合セファロ
ース4B・アフィニティーカラムを用いて精製し、最後
に、35℃、30分間、4Mグアニジン塩酸中で処理し
た後、Bio-gel P60 ゲルろ過カラムに供し、TIMP-1に結
合している可能性のあるタンパク質性因子を解離、分画
により除去し調製した。
【0058】
【実施例2】ヒトTIMP-2の調製 ヒト TIMP-2 は、例えばFujimoto et al., Clin. Chim.
Acta, 220, 31-45, 1993 及び特開平6-300757号公報に
記載の方法に従い、胎盤を細断後、緩衝液中で攪拌し、
得られた上清を抗ヒトTIMP-2モノクローナル抗体( 例え
ば特開平5-244985号公報に開示のクローン番号67-4H11
など) 結合セファロース4B・アフィニティーカラムに供
した後、Ultrogel AcA44(LKB) ゲルろ過カラムを用いて
調製した。
【0059】
【実施例3】rヒトTIMP-1の調製 rヒトTIMP-1は、例えば特開平5-199868号公報に記載の
方法に準じて調製した。ヒト正常歯肉線維芽細胞(Gin-1
細胞) より調製した全 poly(A)+ mRNAを鋳型、オリゴdT
(15 〜18個) をプライマーとした逆転写反応により1st
strand cDNA の合成を行い、次にPCR プライマー、例え
ば プライマーT1F1; 5'-ATGGCCCCCTTTGAGCCCCTG-3' 及び プライマーT1R1; 5'-CAGGATTCAGGCTATCTG-3' を用いPCR 反応により適宣TIMP-1遺伝子の増幅を行い、
得られたTIMP-1遺伝子を適当なクローニングベクター、
例えば pMEMneo (Lee et al., Nature, 294, 228-232,
1981)にクローニングし、一般的なリン酸カルシウム共
沈法等によりCHO(dhfr- ) 細胞に導入した。TIMP-1遺伝
子導入CHO 細胞等の形質転換体をマイクロキャリヤー培
養や高密度連続培養など適当な方法で培養し、得られた
コンディション培養液から rヒトTIMP-1を調製する。発
現ベクターを導入した宿主細胞に対して、遺伝子産物の
糖鎖構造は天然物と異なったものが得られることは理解
されるべきである。
【0060】調製された rヒトTIMP-1は、SDS-PAGE (12
% 均一ゲル、還元条件) 上で約30kDa の単一バンドと
して認められ、ペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトTIMP
-1モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティン
グにおいても約30 kDaの単一バンドとして認められた。
rヒトTIMP-1のヒト線維芽細胞(CCD-41SK 細胞) 由来MM
P-1 に対する阻害活性は、IC50が約1.0 ×10-9 Mであっ
た。
【0061】
【実施例4】rヒトTIMP-2の調製 rヒトTIMP-2は、例えばAokiらの方法(Connective Tissu
e, 26, 281-290, 1995)に準じて調製した。ヒトGin-1
細胞より調製した全 poly(A)+ mRNAを鋳型、オリゴdT(1
5 〜18個) をプライマーとした逆転写反応により1st st
rand cDNA の合成を行い、次にPCR プライマー、例えば プライマーT2F7; 5'-AAAGTCGACCATGGGCGCCGCGGCCCGCACC
CT-3' 及び プライマーT2R5; 5'-TTAAGATCTGTCGACTTAAGGATCCTCGATA
TCGAGGAATTCTTGC-3' を用いPCR 反応により適宣TIMP-2遺伝子の増幅を行い、
得られたTIMP-2遺伝子を適当なクローニングベクター、
例えば pUC13にクローニングし、一般的なリン酸カルシ
ウム共沈法等によりCHO(dhfr- ) 細胞に導入した。TIMP
-2遺伝子導入CHO細胞等の形質転換体をマイクロキャリ
ヤー培養や高密度連続培養など適当な方法で培養し、得
られたコンディション培養液から rヒトTIMP-2を調製し
た。
【0062】調製された rヒトTIMP-2は、SDS-PAGE (12
%均一ゲル、還元条件) 上で約24kDa の単一バンドとし
て認められ、ペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトTIMP-2
モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング
においても約24 kDaの単一バンドとして認められた。 r
ヒトTIMP-2のヒト線維芽細胞(CCD-41SK 細胞) 由来MMP-
1 に対する阻害活性は、IC50が約1.1 ×10-9 Mであっ
た。
【0063】
【実施例5】アレルギー性耳介浮腫抑制効果 予め被験マウス(Balb/c マウス、♀、週令:7〜8、体
重:17〜20g)に1mlの抗2,4-ジニトロフェノール(2,4-d
initrophenol, DNP) IgEモノクローナル抗体(ウイスタ
ー系ラットを使用した異種受け身皮膚アナフィラキシー
反応での抗体価は512 〜1024) を静脈内投与し、受動感
作させた。感作23時間後、 rヒトTIMP-2(50 mg/kg,1
回/1日,筋肉内(i.m.)又は静脈内(i.v.)投与)を投与し
た。1時間後、DNP 誘導体である0.15% ジニトロフルオ
ロベンゼン (dinitrofluorobenzene, DNFB) エタノール
溶液を抗原としてマウス耳介表裏に10μl ずつ塗布し再
感作させた。DNFB投与後1時間及び24時間後にダイアル
・ シックネス・ ゲージ(dial thickness gauge;ピーコッ
ク社) を用い被験マウス耳介厚を測定した。
【0064】図1はDNFB塗布後1時間後と24時間後の耳
介厚を棒グラフで示したものである(平均値±標準偏
差,n =6) 。DNFBの耳介への塗布により、耳介は2峰
性に浮腫が形成された。最初の浮腫は従来より報告され
ている即時型反応相 (Immediate Phase Response, IPR)
で、遅れて生じる浮腫は、遅発型反応相 (Late Phase R
esponse ,LPR)に相当する(Katayama et al., Int. Arc
h. Allergy Appl. Immunol., 93, 148-154, 1990; Naga
i et al., Biol. Pharm. Bull., 18, 239-245, 1995; K
atayama et al., Int. Arch. Allergy Immunol., 109,
390-397, 1996)。
【0065】図1の棒グラフは、耳介のアレルギー性浮
腫形成 (肥厚) が rヒトTIMP-2投与により有意に抑制し
たことを示すものである。しかも、 rヒトTIMP-2はアレ
ルギー反応の即時型反応と遅発型反応いずれにも有効で
あった。即時型反応相はIgE 依存反応であり、マスト細
胞が中心的役割を担い、その後、マスト細胞により産生
された種々のサイトカインによりリンパ球等が遊走、集
積し、遅発型反応相に関与する。このことより rヒトTI
MP-2がリンパ球の遊走を阻止することが類推される。
【0066】
【実施例6】アレルギー性皮膚炎治療効果 ヒトのアトピー性皮膚炎と類似の症状を呈するモデルマ
ウスNC/Ngaマウス( ♂,週齡: 8 ,体重: 28〜31 g) (
松田浩珍, アレルギーの領域, 3, 703-708, 1996;松田
浩珍ら, 臨床皮膚, 51, 41-45, 1997 ;Matsuda et a
l., Int. Immunol., 9, 461-466, 1997; Matsuda et a
l., Immunogenetics, 47, 88-90, 1997) を、コナ表皮
ダニ抽出液(鳥居薬品)原液200 μl の皮内注射により
感作した。更に、被験マウス背部を剃毛後、同ダニ抗原
を10 mg/mlに希釈し、1日1回30μl を抗原としてマウ
ス背部に2週間塗布し皮膚湿疹を形成させた。皮膚病変
部に1 mg/ml rヒトTIMP-2または生理食塩液(コントロ
ール)を40μl ずつ1日1回4日毎に塗布した。皮膚炎
の治療効果の判定は塗布直前に行った。
【0067】皮膚炎の治療効果は、Matsuda らの方法
(Matsuda et al., Int. Immunol., 9, 461-466, 1997)
に準じて皮膚炎病変部のそう痒、紅斑/出血、擦創/び
らん、落屑/乾燥及び浮腫の5項目について、それぞれ
の程度を0(症状なし)、1(軽度)、2(中等度)、
3(高度)の3段階でスコア化し判定した。
【0068】図2は皮膚炎重症度を上記5項目の各スコ
アの総計(0〜15)として、その経日変化を rヒトTIMP
-2投与、未投与群で比較したものである。 rヒトTIMP-2
投与12日以降、有意に rヒトTIMP-2が皮膚炎重症度を軽
減することが認められその効果は顕著であった。
【0069】
【実施例7】rヒトTIMP-2の皮膚関連培養細胞に対する
効果 rヒトTIMP-2を培養ヒト新生仔初代皮膚線維芽細胞及び
培養ヒト新生仔初代角化細胞に各々添加し、in vitroで
の増殖に及ぼす効果を検討した。各細胞を96穴プレート
にウェル当たり103 cells/0.1 ml播種し、1日培養し
た。細胞をPBS で3回洗浄後、種々の濃度の rヒトTIMP
-2を添加した培地を加え、培養した。この時、 rヒトTI
MP-2を添加する培地は 0、1.25、2.5 、5 又は10% FCS
含有E-MEM 培地を使用した。5日後、培地を除去し、各
ウェルに0.5 %クリスタルバイオレット(20 %メタノー
ル溶液) を加え、30分間細胞を染色した。蒸留水で細胞
を洗浄、室温乾燥後、30%酢酸でクリスタルバイオレッ
トを抽出し、A570を測定した。
【0070】A570 値が大きい程細胞増殖の程度が大き
いことを示し、 rヒトTIMP-2無添加培養したA570値(コ
ントロール)と添加培養したA570値の比を示した。初代
ヒト皮膚線維芽細胞に対しては rヒトTIMP-2が 3〜100
μg/mlの濃度範囲で容量依存的細胞増殖促進効果を有す
ることが認められた (最大約50% の増殖促進効果、図
3) 。またこの効果は培地中のFCS 濃度に依存せず、 r
ヒトTIMP-2による作用であると考えられた。一方図4に
示した如く、初代ヒト角化細胞に対しては rヒトTIMP-2
が 1-100μg/mlの濃度範囲で容量依存的細胞増殖抑制効
果を持つことが認められた (最大約33% の増殖抑制効
果) 。この増殖抑制効果は殺細胞的ではなく、静細胞的
であった。
【0071】
【実施例8】rヒトTIMP-2の角化細胞に対する効果
(1) 予め10μg/10μl 濃度の rヒトTIMP-2を10μl 、12穴Tr
answell chamber (Coaster社) のNucleo膜 (pore size:
8μm)外面に滴下塗布し、無菌的に室温乾燥させた。こ
の膜をTIMP-2塗布面を下面になる様にセットし、上部チ
ャンバー内には、0.6ml の増殖培地を注入した。また、
上部チャンバー内にはヒト新生仔初代角化細胞懸濁液
(1〜2×105 cells / 0.1ml )を注入し、4日間培養
した。経日的に培養チェンバーからNucleo膜を外し、0.
15M NaCl添加20 mM リン酸緩衝液(pH7.2 )で洗浄し、
メタノール固定の後、0.5%クリスタルバイオレット染色
液で細胞を染色した。十分に洗浄後、30% 酢酸で染色を
抽出し、A590 測定値をTIMP-2塗布膜へ遊走した細胞数
の指標とした。
【0072】A590 値が高値ほど、TIMP-2塗布膜へ遊走
した角化細胞の数が多いことを示す。図5は各培養日数
でのコントロール(TIMP-2未塗布膜)とTIMP-2処理膜で
の遊走細胞数を比較したものである。TIMP-2処理により
1日目より角化細胞の遊走が確認され、3日後に遊走細
胞数が最大となった。また、折れ線グラフは各培養日数
でのコントロール(TIMP-2未塗布)に対するTIMP-2処理
での遊走細胞の比率を示し、培養3日目で最大となった
(TIMP-2無塗布対照の約 1.7倍)。以上から、TIMP-2に
は角化細胞に対する走化性が存在することが示された。
【0073】
【実施例9】rヒトTIMP-2の角化細胞に対する効果
(2) 実施例8と同様の方法で、Nucleo膜に塗布するTIMP-2量
を変化させ(0, 0.1,1, 10, 100μg/10μl/膜)、3日
間培養し、塗布するTIMP-2量の用量依存性を調べた。図
6に、各TIMP-2未塗布膜に対する各TIMP-2濃度での遊走
細胞数の比率を示した。0.1-100 μg/膜の濃度範囲でTI
MP-2用量依存的に遊走する角化細胞数が増加した。遊走
する細胞数は無処理対照の 1.5-1.8倍であった。
【0074】
【調剤例1】 rヒトTIMP-2含有液剤の調製 処方例(1回量): rヒトTIMP-2 20μg ヒト血清アルブミン 0.05 g 乳糖 1g 注射用生理食塩液 適量 全量 50 ml 以上の成分を溶解して注射剤を調製する。
【0075】
【調剤例2】 rヒトTIMP-1含有軟膏の調製 軟膏製剤としては、公知公用の各種軟膏基剤を使用する
ことができるが、例えば rヒトTIMP-1をマクロゴール軟
膏に加えて以下の様にして製剤化することができる。マ
クロゴール400 及びマクロゴール4000の同量から製した
マクロゴール軟膏にパラオキシ安息香酸エチル5 mg及び
実施例3で得られた rヒトTIMP-1 1 mg を加え全量を10
gとし、常法により均一に混合して軟膏剤を調製する。
【0076】
【調剤例3】 rヒトTIMP-2含有軟膏の調製 rヒトTIMP-2含有軟膏は、調剤例2に記載の方法と同様
にして実施例4で得られた rヒトTIMP-2をマクロゴール
軟膏に加えて製剤化することができる。
【0077】
【調剤例4】 rヒトTIMP-1含有液剤の調製 0.005 %塩化ベンザルコニウム含有生理食塩水に、実施
例3で得られた rヒトTIMP-1を最終濃度0.1 %となるよ
うに加え調製する。調製した液剤は、ポアサイズ0.1 μ
mのメンブレンフィルターで滅菌した後、使用時まで冷
蔵(4℃)で保存する。
【0078】
【調剤例5】 rヒトTIMP-2含有液剤の調製 rヒトTIMP-2含有液剤は、調剤例4に記載の方法と同様
にして実施例4で得られた rヒトTIMP-2を用いて製剤化
することができる。
【0079】
【調剤例6】 rヒトTIMP-1含有錠剤の調製 1.0 mg の rヒトTIMP-1を含有する錠剤を常法により製
造する。処方例を以下に示す。 rヒトTIMP-1 30.0 mg ヒドロキシプロピルセルロース 5.0 mg ステアリン酸マグネシウム 0.5 mg トウモロコシデンプン 24.5 mg 乳糖 適量 合計 150.0 mg
【0080】
【調剤例7】 rヒトTIMP-2含有錠剤の調製 0.5 mg の rヒトTIMP-2を含有する錠剤を常法により製
造する。処方例を以下に示す。 rヒトTIMP-2 20.0 mg 微粉末セルロース 25.0 mg トウモロコシデンプン 40.0 mg タルク 5.0 mg ステアリン酸マグネシウム 0.5 mg 乳糖 適量 合計 170.0 mg
【0081】
【調剤例8】 rヒトTIMP-1含有吸入用粉末剤の調製 1.5 gの rヒトTIMP-1と 60 g の乳糖を微粉末にし、均
一な混合物となるように攪拌して粉末剤を調製し、常法
によりカプセルに充填し、各カプセルに 500μg の rヒ
トTIMP-1を含むようにする。吸入は、粉末吸入容器にカ
プセルを充填して行う。
【0082】
【調剤例9】 rヒトTIMP-2含有吸入用粉末剤の調製 下記処方にて各種成分を微粉末にし、均一な混合物にな
るように攪拌して粉末剤を調製する。 rヒトTIMP-2 2.0 g デンプン 30.0 g タルク 5.0 g ステアリン酸マグネシウム 1.0 g 乳糖 適量 合計 100.0 g
【0083】
【発明の効果】本発明により、ティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ類からなる群から選ばれた
少なくとも一つのティシュ インヒビターを有効成分と
する抗アレルギー作用、抗炎症作用、アトピー性疾患
(特にはアトピー性皮膚炎)の治療及び/又は予防活性
を有する医薬組成物が提供される。該ティシュ インヒ
ビター オブ メタロプロテアーゼ類からなる群から選
ばれた少なくとも一つのティシュ インヒビターを有効
成分として含有する医薬は、アレルギー治療、特にはI
型及び/又はIV型アレルギー性疾患患者の患部あるいは
I 型アレルギー症及び/又はIV型等アレルギー症に感受
性の者の所定部位に適用されて優れた作用・効果を奏し
ている。ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ類からなる群から選ばれた少なくとも一つのティ
シュ インヒビターはMMPsの阻害作用のみならず、 アト
ピー性皮膚炎皮膚患部(炎症が生じ、しかも皮膚バリア
ー機能が損傷している)に対し、上記抗アレルギー作
用、抗炎症作用に加え、皮膚患部における望ましい皮膚
形成細胞の増殖を促進させ、炎症部位を覆い隠すという
有利な効果を合わせ持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウス実験的アトピー性皮膚炎モデルにおける
rヒトTIMP-2の耳介浮腫抑制効果を示した。
【図2】遺伝的マウスアトピー性皮膚炎モデルにおける
rヒトTIMP-2の皮膚炎治療効果を、経時的に示した。
【図3】rヒトTIMP-2の培養ヒト初代新生児線維芽細胞
増殖に及ぼす効果をTIMP-2無添加コントロールに対する
増殖率(A570 比)で示した。
【図4】rヒトTIMP-2の培養ヒト初代新生児角化細胞増
殖に及ぼす効果をTIMP-2無添加コントロールに対する増
殖率(A570 比)で示した。
【図5】棒グラフは、TIMP-2無添加コントロール (vehi
cle)と添加 (r-hTIMP-2)各々についてヒト初代新生児角
化細胞の遊走数をA590 値で示したもので、折れ線グラ
フは各々の培養日数でのTIMP-2無添加コントロールに対
する遊走率を示したものである。
【図6】ヒト初代新生児角化細胞の遊走率をTIMP-2無添
加コントロールに対する比で示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新谷 孝 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 青木 隆則 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 奥 亨 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA19 CA04 DA02 DA06 DA12 GA11 HA03 4B064 AG23 CA02 CA06 CA10 CA19 CC24 DA01 4C084 AA02 CA53 DC09 MA13 MA17 MA22 MA23 MA27 MA28 MA31 MA32 MA35 MA37 MA38 MA41 MA43 MA52 MA56 MA58 MA59 MA60 MA63 MA66 MA67 NA05 NA14 ZA891 ZA892 ZB111 ZB112 ZB131 ZB132 ZC202

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ティシュ インヒビター オブ メタロ
    プロテアーゼ類から成る群から選ばれた少なくとも一つ
    のティシュ インヒビターを有効成分とすることを特徴
    とする抗アレルギー剤。
  2. 【請求項2】アレルギー症状がI型アレルギーであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の剤。
  3. 【請求項3】アレルギー症状がIV型アレルギーであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の剤。
  4. 【請求項4】アレルギー症状が炎症であることを特徴と
    する請求項1記載の剤。
  5. 【請求項5】アレルギー症状が皮膚で生じる炎症である
    ことを特徴とする請求項1記載の剤。
  6. 【請求項6】アレルギー症状がアトピー性皮膚炎である
    ことを特徴とする請求項1記載の剤。
  7. 【請求項7】アレルギーの治療においてアレルギー症状
    の発生予防及び/又は該症状の軽減を図るための予防的
    治療を含む用途で用いられるものであることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか一記載の剤。
  8. 【請求項8】(a)アトピー性皮膚炎の症状を軽減ある
    いは予防すること;及び(b)アトピー性皮膚炎の症状
    により悪化した皮膚炎症を回復させることからなる群か
    ら選ばれた生物学的活性を有するものであることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれか一記載の剤。
  9. 【請求項9】ティシュ インヒビター オブ メタロプ
    ロテアーゼ類からなる群から少なくとも一つのティシュ
    インヒビターを有効成分として含有することを特徴と
    するアトピー性皮膚炎の治療及び/又は予防剤。
  10. 【請求項10】有効成分として、(1)ティシュ イン
    ヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1及び(2)テ
    ィシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2
    からなる群から選ばれたものを含有することを特徴とす
    る請求項1〜9のいずれか一記載の剤。
  11. 【請求項11】ティシュ インヒビター オブ メタロ
    プロテアーゼ−1及びティシュ インヒビター オブ
    メタロプロテアーゼ−2の混合物を有効成分とすること
    を特徴とする請求項1〜10のいずれか一記載の剤。
  12. 【請求項12】(1)ティシュ インヒビター オブ
    メタロプロテアーゼ−1がリコンビナント ティシュ
    インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1である
    か、あるいは(2)ティシュ インヒビター オブ メ
    タロプロテアーゼ−2がリコンビナント ティシュ イ
    ンヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2であること
    を特徴とする請求項10又は11記載の剤。
  13. 【請求項13】(1)リコンビナント ティシュ イン
    ヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1が宿主細胞と
    して大腸菌、酵母またはチャイニーズハムスター卵巣細
    胞(CHO細胞) 、COS-1 細胞もしくはC127細胞などの動物
    細胞を用いて得られた形質転換体細胞に発現させ、得ら
    れた遺伝子産物を精製したものであるか、あるいは
    (2)リコンビナント ティシュ インヒビター オブ
    メタロプロテアーゼ−2が宿主細胞として大腸菌、酵
    母またはチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞) 、
    COS-1 細胞もしくはC127細胞などの動物細胞を用いて得
    られた形質転換体細胞に発現させ、得られた遺伝子産物
    を精製したものであることを特徴とする請求項12記載
    の剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002056901A3 (de) * 2001-01-22 2002-11-21 Henkel Kgaa Kosmetische oder pharmazeutische zubereitungen zur behandlung epithelialen deckgewebes
WO2003013592A1 (de) * 2001-08-06 2003-02-20 Berdel Wolfgang E Verwendung von timp-1 als immunosuppressivum
WO2005063253A1 (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Taiho Pharmaceutical Co., Ltd. アレルギー症状治療用医薬組成物

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