JP6965362B2 - ポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体、並びに応用 - Google Patents

ポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体、並びに応用 Download PDF

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相互参照
本願は、2017年03月01日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201710115604.4、発明の名称「線維性疾患の予防及び治療におけるポリペプチド及びポリペプチド誘導体の応用」である中国特許出願、及び2017年08月09日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201710677602.4、発明の名称「線維性疾患の予防及び治療におけるポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の応用」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
本発明は、医薬品の技術分野に属し、線維性疾患の予防・治療分野に関し、具体的には、ポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体、線維性疾患を予防及び/又は治療するための医薬品の製造における応用に関する。
タンパク質は、生物体の物質的な基盤であり、生命活動の主な担い手であり、成長、発達、免疫調節、代謝などの生理学的過程に関与する。タンパク質及びそれの関与するシグナル伝達異常は、疾患の発症及び進行の根本的な原因となり、生物体自身の制御による病気予防及び治療は、バイオ医薬品の本質的思想であり、したがって、タンパク質は、医薬品標的の源であり、バイオ医薬品の重要なカテゴリーであり、タンパク質機能性フラグメントは、正確な医薬品使用のための保障を提供する。ポリペプチドはタンパク質が機能する活性断片であり、研究により、ポリペプチド断片の活性が疾患の発症に関連することが判明した場合には、これらの活性ポリペプチドは臨床応用価値のある医薬品を開発するために適用できる。タンパク質の機能的フラグメントの研究は、疾患の治療のための理論的基礎を提供し、またタンパク質の機能的フラグメントに基づくペプチド医薬品の開発のためのより広いスペースを提供する。
ポリペプチド医薬品は、医薬品の研究開発分野において明らかな利点を持ち、ポリペプチド医薬品は、一般的な有機低分子医薬品と比較して、高活性、低用量、毒性及び副作用が低いなどの突出した利点を有し、タンパク質性医薬品と比較して、小さいポリペプチドは、免疫原性が低く、化学的に合成することができ、製品純度が高く、品質を制御可能である。現在のポリペプチド医薬品のほとんどは、内因性ペプチドまたは他の天然ペプチドを由来とするかまたは模倣したものであり、それらの構造が明らかで、作用機序が明らかで、代謝生成物のアミノ酸は、生物体の基本成分であり、体内に蓄積することはなく、毒性及び副作用が低い。現在、ポリペプチド合成技術の発展に伴い、ポリペプチドの製造、プロセス及び純度という問題は効果的に解決され、また、更なる活性ポリペプチドの構造活性相関をさらに研究することにより、ポリペプチドの生物学的活性に必要な最短の断片を発見することができ、これにより、より短いポリペプチドで置き換え、又は、アミノ酸置換を使用することにより、その生物学的活性を高めるかまたは臨床的有害反応を変え、小さな断片のポリペプチドがより良い生体適合性を持ち、臨床的有害反応を減少させ、ペプチド鎖の容易に消化されるアミノ酸を置き換えることによって酵素分解速度を遅らせ、ポリペプチド医薬品の半減期は効果的に延長される。
しかしながら、ポリペプチド自体は、例えば、ポリペプチドが容易に消化され、半減期が短く、バイオアベイラビリティが低いなど、いくつかの欠点を有する。医薬品の調製におけるポリペプチドの問題を解決するために、ポリペプチド医薬品の投与経路を変えることに加えて、化学修飾がポリペプチド医薬品の研究開発において非常に重要な研究方向となり、タンパク質ポリペプチド類分子の半減期を延長し長時間作用を達成するための重要な技術的手段の一つである。ペプチド薬物の特性に応じて、ペプチド薬物自体の分子構造を改変するための様々な手段によって構造設計及び化学修飾が行われている。ポリペプチド医薬品の特性に応じて、種々の手段で構造設計や化学修飾を行い、ポリペプチド医薬品自体の分子構造を改変し、適合な修飾方法及び修飾剤によってタンパク質ポリペプチド類医薬品の主鎖構造又は側鎖基に対して化学修飾を行い、それらの分子サイズ、電荷と受容体との結合能を変化させ、脂溶性を向上させることができるとともに、修飾基から形成された立体障害によりタンパク質加水分解酵素の攻撃を受けやすい領域を保護し、活性タンパク質の分解を遅らせ、医薬品の安定性を高め、最終的にポリペプチドの物理的化学的性質及び薬物動態学特性を変化させ、ポリペプチド医薬品の利点を十分に活用し、その欠点を克服するかさらには回避する。
現在で知られているポリペプチド修飾方法は、アセチル化修飾、アミド化修飾、グリコシル化修飾、ポリエチレングリコール(PEG)修飾、脂肪酸修飾、リン酸化修飾などを含む。ポリペプチド類医薬品で一般に用いられる主鎖末端修飾方法とは、アミノ基(N)末端のアセチル化、及びカルボキシル基(C)末端のアミド化修飾であり、それぞれペプチド鎖の両端にあるアミノ基及びカルボキシル基を保護し、その基本原理は、どちらもポリペプチド分子の相対分子量及び立体障害を増大させ、ポリペプチド加水分解酵素の作用を延長または阻害し、ポリペプチド医薬品の安定性を高め、糸球体濾過量を減少させる。グリコシル化修飾とは、単糖、オリゴ糖又は多糖構造をポリペプチド鎖中のある特定のアミノ酸側鎖上の官能基と共有結合で連結させるものであり、例えば、N−グリコシル化は、アスパラギンを介して側鎖のアミド窒素と連結するものであり、O−グリコシル化は、セリン又はスレオニン残基上の酸素に連結するものである。グリコシル化は、側鎖の立体障害を増大させ、酵素に対するポリペプチドの安定性を向上させることができる。例えば、慢性腎不全及び貧血の治療に使用されるエリスロポエチン(EPO)は、グリコシル化修飾後のEPOの使用頻度が週2〜3回から週1回又は2週間に1回にまで減らすことができる。PEG修飾は、異なるPEG修飾剤を利用してポリペプチド主鎖又は側鎖のアミノ基、カルボキシル基、側鎖のイミダゾリル基、メルカプト基又はヒドロキシ基などの官能基と共有結合させて修飾生成物を得る。PEG自体は、エチレンオキシドから重合された高分子ポリマーであり、異なる構造及び異なる分子量を持ち、インビボで分解することができ、無毒性、非抗原性であり、且つ高い親水性及び生体適合性を有し、広い相対的分子選択範囲などの利点がある。PEG修飾後のポリペプチド医薬品は、溶解度が著しく増加し、インビボでの放出が遅く、半減期が延長され、且つ立体障害を形成し、免疫応答が減少し、タンパク質分解が阻害されることができる。PEGは、現在、最も一般的に使用されている修飾剤であり、研究中又は市販されているPEG修飾タンパク質又はポリペプチド医薬品の種類は、他の修飾方法よりも多く、世界で最初のPEG−タンパク質で修飾された医薬品であるPEG−アデノシンデアミナーゼが1991年にFDAに認可されて登場し、また、PEGで修飾されたアスパラギナーゼ、コロニー刺激因子やインターフェロンαなどもある。脂肪酸修飾とは、脂肪酸構造をタンパク質のポリペプチド分子中の特定のある官能基と共有結合させることであり、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、及びヒドロキシ基などの修飾を含む。脂肪酸は、細胞膜リン脂質、人体の脂肪及び脂質を構成する成分であるので、脂肪酸修飾は、ポリペプチド医薬品の脂溶性及び吸収を効果的に向上させ、ポリペプチド分子での酵素分解を受けやすい領域を遮断し、タンパク質分解を遅延または阻害し、脂肪酸は、ポリペプチド医薬品と血漿アルブミンとの結合を強化し、大きな複合体を形成して医薬品の生体内での滞留時間を延長させることもできる。市販されている脂肪酸修飾ポリペプチド医薬品は、例えば、2型糖尿病治療用のリラグルチド(Liraglutide、Novo Nordisk)が挙げられ、リラグルチドは、ヒトGLP−1の34番目のリジン(Lys)をアルギニン(Arg)に置換し、26番目のLysにグルタミン酸(Glu)媒介C16のパルミチン酸側鎖を導入して、GLP−1の有害反応を有意に減少させるが、その生物学的活性を完全に保持する。
実際の臨床応用において、上記の化学修飾ポリペプチド医薬品は、明らかに良好な優勢を持つことが示され、ポリペプチド医薬品の半減期を有意に延長し、医薬品の治療効果を高め、投与頻度を減らすことができるため、良好なコンプライアンスをもたらす。将来のポリペプチドの修飾タイプ及び修飾方法は、開発及び成熟し続け、その最終的な目標は、いずれもペプチド医薬品が実験室研究から安全で効果的な臨床応用へ移行することを可能にすることである。
本発明は、バイオ医薬品分野に係るポリペプチド医薬品技術の開発に基づいて、複雑なメカニズム及び困難な治療を伴う線維性疾患に対して、化学修飾されたポリペプチド誘導体の、線維性疾患を予防及び治療するための医薬品の調製における応用を提供する。
線維化は、損傷部位または炎症性病変及び周辺領域でコラーゲン及びフィブロネクチンなどの細胞外マトリックスの増加によって引き起こされる線維性結合組織の過剰な沈着及びリモデリング障害であり、永久的な瘢痕、臓器不全、さらには死亡を招いてしまう。線維化は、様々な疾患の発症と密接に関連し、この臨床的によく見られる病理学的変化は、一般的な慢性炎症性疾患の最終的な病理学的転帰であり、また慢性自己免疫疾患の主な病理学的症状であり、同時に、腫瘍の浸潤、転移及び慢性移植片拒絶反応に影響を及ぼし得る。線維化は、様々な組織や臓器、特に重要な機能性臓器(肝臓、肺、腎臓、心臓など)で発生し、不可逆的に進行性に悪化し、臓器構造をひどく破壊し、最終的に臓器機能不全乃至障害に繋がり、患者の生活の質を大きく低下させ、人間の生命健康を深刻に脅かす。統計によると、さまざまな病気で亡くなった人の45%は、線維化に起因している可能性がある。
線維性疾患の高い発症率及び死亡率にもかかわらず、現在の線維性疾患については、主に、予防、臓器移植などの非医薬品治療、他の医薬品補助治療、さらには緩和ケアに集中しているが、線維性疾患に対する選択し得る特別治療薬は、極めて少なく、臨床的に有効で安全なニーズを満たすにはほど遠い。例えば、マルファン症候群(Marfan syndrome)は、常染色体での糖タンパク質マイクロフィブリン(FBN1)をコードする遺伝子の突然変異に起因する遺伝性結合組織疾患であり、患者は、四肢が細くてむらがあり、心血管系の異常を伴うとともに、骨、神経系、皮膚及び眼などの重要な組織・器官に影響を与え、大部分の患者は、大動脈瘤破裂及び心不全で死亡し、中年までしか生存できないが、現在、マルファン症候群を治療するために世界中で利用可能な医薬品はない。
また、局部性またはびまん性の皮膚の肥厚及び線維化を特徴とする、心臓、肺、腎臓、消化管などの内臓にも発症する別のタイプの結合組織疾患は、全身性強皮症(Systemic scleroderma、SSc)と呼ばれる。関連する統計によると、世界では全身性強皮症の患者が約200万人いるが、これらの患者は、進行が遅く、予後不良であることが多く、90%と高くなる患者が異なる程度の肺部傷痕を持ち、死亡病例の約35%を占める。現在、世界で唯一の治療薬があり、ニンテダニブ(Nintedanib、ベーリンガーインゲルハイム)であり、その医薬品は、2016年に欧州委員会及びFDAのオーファンドラッグ認証のファーストトラックにより承認され、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc−ILD)のみを対象とする対症治療に用いられ、その市販後の臨床治療効果も評価待ち状態にある。しかも、全身性強皮症は、ニンテダニブの新たな適応症であり、最初は、ニンテダニブは、最も重篤な肺線維症である特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis、IPF)を治療するための医薬品である。
特発性肺線維症は、原因が不明の慢性で、進行性の線維性間質性肺疾患であり、腫瘍類似疾患と呼ばれ、常に急性増悪を伴い、診断後の平均生存期間はわずか2.8年であり、死亡率が肺癌を除くすべての腫瘍疾患よりも高い。現在、世界的範囲において特発性肺線維症の治療薬は、ピルフェニドン(Pirfenidone、Roche)及びニンテダニブのみであり、2014年にFDAの迅速承認プログラムにより市場に参入したオーファンドラッグであり、2015年アメリカ胸部医学会/ヨーロッパ呼吸器学会/日本呼吸器学会/ラテンアメリカ胸部医学会が共同で発行した「特発性肺線維症の臨床的治療ガイドライン」で推奨した最高レベル(条件推奨)の二つの医薬品である。中でも、ピルフェニドンは、抗線維化、抗炎症及び抗酸化性の化合物であり、その正確な作用機序は十分に解明されていない。ニンテダニブは、マルチチロシンキナーゼ阻害剤であり、線維化シグナル伝達経路を調節する3つの重要なサイトカイン受容体である線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)及び血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)に作用し、ニンテダニブは、受容体のATP結合部位に特異的に結合し、受容体のリン酸化による活性化を阻害することにより、その媒介されたシグナル伝達を遮断することができる。ピルフェニドン及びニンテダニブの登場は、肺線維症治療分野のブランクが補填されているが、Global Data分析(2016年)では、これら2つの医薬品は、患者の肺機能の低下を遅らせるためにのみ使用され、肺疾患の進行を効果的に止めるための医薬品ではないと考えている。臨床的に研究したところ、死亡率の良好な改善が見られず、肺線維症治療ニーズを満たすことからは程遠いことを示した。また、二つの医薬品とも低分子化合物であるため、妊娠中の女性や肝臓に問題を有する患者のグループに適していなく、有効な肺中薬物濃度を達成するために大量経口投与が必要であり、且つ明らかな胃腸の副作用があり、ピルフェニドンは、重度の光線過敏症や発疹を引き起こし、臨床的に使用される場合には、患者のコンプライアンスが悪い。
上記の3つの適応症以外に、線維性疾患は、肝臓、腎臓、心臓、眼などの他の重要な臓器にも関連し、線維性疾患の患者には臓器組織の病変が現れることが多く、線維性疾患の進行を効果的に遅延又は阻止する医薬品が存在しない場合には、最終的な治療法の選択肢は、ドナーが困難でリスクが高い臓器移植に限られ、治療費用が高価であり、社会的及び経済的に大きな負担をもたらす。しかしながら、既存の医薬品の臨床的治療効果及び安全性は治療ニーズを満たすことができず、線維性疾患の確診症例は、今後も増加するため、線維性疾患のメカニズムを研究し、革新的な医薬開発の動向を完全に統合し、線維性疾患を効果的に阻止できる、臨床使用に安全な新たな治療薬を開発することが急務である。
線維化とは、繰り返しの損傷または大きな損傷によって炎症を引き起こし、線維化へ徐々に進行する病理学的過程であり、その発症機構は、大きく3つの段階に分けられてもよく、即ち、第一段階は、損傷期及び止血期であり、感染、毒素、薬物、外傷などによって上皮細胞または内皮細胞の損傷を引き起こし、血液凝固反応を引き起こし、循環血中の血小板は、損傷血管にさらされたコラーゲン線維と接触して活性化され、血小板因子を放出し、フィブリン塊を形成して迅速な止血を確保し、活性化された血小板は、複数種のサイトカイン、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、ケモカイン及びトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)を同時に放出する。第二段階は、炎症及び増殖期、即ち、再生段階であり、ケモカインの媒介で炎症細胞が損傷部位へ遊走して集積し、骨髄幹細胞は、マクロファージ、好中球などの炎症細胞に活性化され、多種のサイトカイン(例えば、IL−13、IL−17、TGF−βなど)を分泌して免疫修復及び炎症反応を促進し、上皮細胞及び先天性免疫細胞由来のサイトカインは、特異的免疫反応を活性化し、さらに炎症及び免疫修復を促進することができる。炎症及び免疫メディエーター(サイトカイン、ケモカイン、フリーラジカルなど)は、静止する線維芽細胞を活性化し、細胞外マトリックスでのコラーゲン合成を刺激し、筋線維芽細胞への分化を促進する。第三段階は、成熟期、即ち、組織再構築又は線維化であり、正常な状況は、最終的な血管新生、創傷収縮、組織再生であるが、有害な刺激が持続すると、炎症反応と慢性的な治癒反応が激しくなり、組織損傷−修復−再生反応が繰り返され、筋線維芽細胞が継続的に活性化され、より多くの細胞外マトリックスを分泌し、沈着し、最終的に組織肥厚及びリモデリング障害を引き起こし、線維化を形成する。
線維化のメカニズムは複雑であり、炎症反応、酸化ストレス、免疫応答、及び線維化の発症に関与する様々なサイトカイン、ならびにそれらが媒介するシグナル伝達経路に関与する。主要な役割を果たすサイトカインは、IL−1β、TNF−α、IL−13、PDGF、及びTGF−βなどを含む。中でも、IL−1βは、細胞外マトリックスに結合してTGF−β前駆体を活性化して細胞外のコラーゲン合成を間接的に促進または直接的に調節することにより、筋線維芽細胞への線維芽細胞の分化を促進することができ、また、FAK/rac1/NOX/ROSシグナル伝達経路により線維芽細胞での細胞外マトリックス合成を調節し、結合組織成長因子CCN2に結合して線維化の発生を促進することができる。TNF−α及びIL−1βは、どちらも炎症性調節因子を促進し、実質細胞傷害を悪化させることができ、TGF−βシグナル伝達経路を介して上皮間葉転換及び筋線維芽細胞活性化を誘導する。TNF−α及びIL−1βは、線維芽細胞中での自己分泌増殖因子IL−6の活性を促進することもできる。IL−13は、2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)によって分泌されたサイトカインであり、インテグリンβ1、IL−6及びケモカインMCP−1を介して線維芽細胞の増殖を促進することができ、IL−13を発現するTh2細胞は、また、マクロファージのTGF−β前駆体分泌を刺激し、IL−13は、さらにメタロプロテイナーゼ及びカテプシンなどの関連するプロテアーゼの加水分解経路を介してTGF−βを活性化する。PDGFは、線維芽細胞のマイトジェンであり、コラーゲン合成を刺激しながら、線維芽細胞の増殖、遊走、及び形質転換を刺激することでより多くの筋線維芽細胞を産生する。TGF−βは、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を直接誘導し、コラーゲンの発現及び沈着を促進することができるが、細胞外マトリックスを分泌する筋線維芽細胞は、すべての線維性疾患の最終結果である。
上記のサイトカインは、複数種類の細胞によって分泌され、炎症反応や免疫応答を介して間接的に調節するかまたはTGF−βシグナル伝達経路を直接活性化して線維化の発生を促進することができる。従って、TGF−βは、線維症の調節において最も重要なサイトカインであると考えられる。線維性疾患がサイトカインTGF−β及びその下流のシグナル伝達経路の異常な調節に密接に関連することを多数の報告が確認し、公に報告している、TGF−βシグナル伝達経路に関連する線維性疾患は、慢性関節リウマチ、肺線維症、肝線維症、肝硬変、腎線維症、骨髄線維症、嚢胞性線維症、心筋線維症、強皮症、サルコイドーシス、ケロイド、熱傷後肥厚性瘢痕、増殖性網膜症、緑内障、白内障、水晶体後嚢混濁、血管形成術、血管手術または血管損傷後の血管再狭窄、マルファン症候群などを含む。複数種の疾患の動物モデルにおいて、TGF−βシグナル伝達経路への阻害は、いずれも線維症の進行を遅延化させることができることが研究により示されている。
過去30年間の線維性疾患に関連する機構の鋭意研究により、線維症の発症に関与する複数のサイトカイン及びそれらの活性化された細胞内シグナル伝達経路の分子メカニズムに基づき、これらの経路における主要なノードは、現在、グローバルな範囲で研究中の線維性を予防及び治療するための医薬品の主な標的となる。線維症に関与するサイトカインが多いため、最も効果的な標的因子を見つけることが線維性疾患の治療の鍵となり、TGF−βシグナル伝達経路の線維性疾患における重要な役割に鑑みて、TGF−βシグナル伝達経路を医薬品の標的とするのは、線維性疾患を阻害するための理想的な医薬品となると期待される。
哺乳動物では、TGF−βはTGF−β1、TGF−β2及びTGF−β3の3つのサブタイプを含み、中でも、TGF−β1は、組織内の含有量が最も高く、最も広く分布しているサブタイプであり、組織線維化を促進するためにも最も重要な因子である。TGF−β1は、生体内で不活性な前駆体タンパク質(Pre−pro−TGF−β1)として産生し、一連の酵素分解及び立体配座の変化を経るだけでは、生物学的活性を持つTGF−β1を放出でき、主に、Smadファミリータンパク質の下流のシグナル伝達経路を活性化することにより線維化の発生を促進する。そのシグナル活性化及び伝達機構に基づいて、ペプチド合成技術を用いて、TGF−β1が機能するのに必要な重要な配列を調製又は模倣し、TGF−β1の分泌、活性化及びシグナル伝達を遮断することにより、重要なノードから最も重要な線維化調節シグナル伝達経路を阻害することができることで、線維化の病理学的過程の発生及び発展を効果的に阻害する。
実験条件下で、ポリペプチドのKRFK、CSVTCG、YRVRFLAKENVTQDAEDN及びCNLAVAAASHIYQNQFVQは、TGF−βシグナル伝達経路の伝達を阻害することにより、線維化の進行を遅延させることができることが研究により示されている。しかしながら、実際の適用過程において、ポリペプチドは、溶解度が低く、安定性が低いという問題点があり、ポリペプチドの薬物形成特性に大きな影響を与えるため、線維性疾患を予防及び治療するための医薬品の調製における応用上で、物理的化学的性質をさらに改善する必要がある。本発明は、上記の状況に基づいて、最も効果的な活性断片を発見するために、それらのうちの1つのポリペプチド配列をベースとして、アミノ酸が欠失、置換、付加される上で、化学修飾によってポリペプチドの溶解度を高め、ポリペプチドの安定性を増大し、その半減期を延長させ、生物学的活性を向上させ、毒性及び副作用を低減させることにより、ポリペプチド医薬品の薬物形成特性を増強し、最終的に、線維性疾患を予防及び治療するための臨床的に安全で効果的な医薬品の調製に用いられる。
本発明は、線維性疾患を予防・治療するための臨床的に有効かつ安全な薬物が現在欠如している状況に対して、ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記のポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体の、線維性疾患を予防または治療する医薬品の調製における応用を提供する。
本発明に係るポリペプチドとは、アミノ酸がペプチド結合により連結された化合物を意味し、アミノ酸の数に限定されない生成物である。
本発明に係るポリペプチドSEQ ID NO:1は、TGF−βシグナル伝達経路の伝達を阻害し、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスタンパク質の合成を低減でき、炎症及び線維化反応を抑制し、線維性疾患を予防及び治療する目的を達成することができる。
本発明に係るポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列に対してアミノ酸の欠失、付加、置換又は修飾を行う目的は、本発明から逸脱することなく、線維性疾患を予防又は治療する医薬品の調製における応用に適合することにある。
本発明は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対してアミノ酸の欠失、置換、付加及び/又は修飾を行ったポリペプチドを提供する。それは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加又は修飾をそれぞれ行ってもよい。SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加又は修飾の少なくとも2種を同時に行ってもよく、例えば、欠失及び置換を同時に行い、欠失及び付加を同時に行い、欠失及び修飾を同時に行い、置換及び付加を同時に行い、置換及び修飾を同時に行い、付加及び修飾を同時に行い、欠失、置換及び修飾を同時に行い、欠失、付加及び修飾を同時に行い、置換、付加及び修飾を同時に行う。SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加及び修飾を同時に行ってもよい。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1つ又は複数のアミノ酸が別々に欠失、置換又は付加されたものである。
幾つかの実施態様において、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1つ又は複数のアミノ酸が同時に欠失、置換又は付加されたものである。
本発明に係るアミノ酸の欠失数は、7個以下のアミノ酸であり、7個のアミノ酸を含む。即ち、上記欠失されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個又は7個である。
本発明に係るアミノ酸の置換数は、11個以下のアミノ酸であり、11個のアミノ酸を含む。即ち、上記置換されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又は11個である。
本発明に係るアミノ酸の付加数は、8個以下のアミノ酸であり、8個のアミノ酸を含む。即ち、上記付加されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個又は8個である。
幾つかの実施例において、上記ポリペプチド断片の配列は、配列表のSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7又はSEQ ID NO:8のいずれか1つに示されるようなポリペプチドである。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列が修飾されたポリペプチドである。
ここで、上記修飾は、ポリエチレングリコール修飾、脂肪酸修飾、グリコシル化修飾、アセチル化修飾、アミド化修飾、リン酸化修飾、及び他の既知のポリペプチド修飾を含む。
幾つかの実施例において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端をポリエチレングリコール修飾したものであり、その配列は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:27で表される。
本発明で提供されるポリペプチド断片は、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列からアミノ酸の欠失により得られたポリペプチド断片であり、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシル末端、又はアミノ酸配列内部にそれぞれアミノ酸の欠失を施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端及びカルボキシル末端にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のカルボキシル末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよい。
本発明に係るアミノ酸の欠失数は、12個以下のアミノ酸であり、12個のアミノ酸を含む。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個欠失される。
幾つかの実施態様において、本発明に係るアミノ酸の欠失数は、7個以下のアミノ酸であり、7個のアミノ酸を含む。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個欠失される。
本発明に係るポリペプチド断片のアミノ酸数は、6個〜17個のいずれか1つであってもよく、6個及び17個を含む。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:2で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ3個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:4で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:5で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:6で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ酸配列内部及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ酸配列内部では、3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端では、5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:8で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ2個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:12で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:13で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:14で表される。
本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片のアミノ酸配列に対して、アミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。即ち、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の付加を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の置換を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体である。
ここで、上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記アミノ酸の付加は、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加を施すことができる。
上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記アミノ酸の置換は、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の置換を施すことができる。
上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記のアミノ酸の付加及び置換を同時に施すのは、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加及び置換を導入することができる。
本発明に係るポリペプチド断片の誘導体のうち、アミノ酸が置換された誘導体は、置換されてもよいアミノ酸数が6個以下であり、6個を含み、アミノ酸が付加された誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数が6個以下であり、6個を含む。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端において、2個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:19で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端において、1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:20で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端において、1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:21で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:22で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:23で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:24で表される。
本発明に係るポリペプチドの誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列においてアミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加を施した誘導体である。
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の置換を施した誘導体である。
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の置換を施した誘導体である。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体である。
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加及び1〜3個のアミノ酸の置換を同時に施した誘導体である。
ここで、上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の付加を施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加を施したものである。
上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の置換を施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の置換を施したものである。
上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加及び置換を同時に導入したものである。
本発明にかかるポリペプチド誘導体のうち、アミノ酸の置換を施した誘導体は、置換されてもよいアミノ酸数は、11個以下であり、11個のアミノ酸を含む。さらに、6個以下であり、6個を含み、中でも、アミノ酸の付加を施した誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数は、6個以下であり、6個を含む。
本発明にかかるポリペプチド誘導体のうち、アミノ酸の付加を施した誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数が8個以下であり、8個のアミノ酸を含む。さらに、6個以下であり、6個を含む。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部15番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:7で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部18番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:15で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部7番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:16で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:17で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:18で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部18番目に1個のアミノ酸が置換され、且つカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:25で表される。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加され、且つ配列内部に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:26で表される。
本発明にかかるアミノ酸の置換とは、別の立体配座又は他の種類のアミノ酸でSEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片又はSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のあるアミノ酸を置換することを意味する。
本発明にかかるアミノ酸の付加とは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片又はSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列の任意のアミノ酸位置にアミノ酸を付加することを意味する。
本発明にかかるアミノ酸の置換及びアミノ酸の付加は、それぞれ施してもよく、同時に施してもよく、同一のアミノ酸位置に施してもよく、異なるアミノ酸位置に施してもよい。
本発明にかかるアミノ酸位置とは、ポリペプチドのアミノ酸配列において、アミノ末端からカルボキシル末端まで順に配列しているアミノ酸が位置する位置番号を意味するが、アミノ酸位置は相対的であり、アミノ酸配列においてアミノ酸が欠失又は付加された場合には、アミノ酸の位置は、変化可能であり、このような変化は当業者によって決定されてもよい。
本発明に係る置換及び/又は付加のためのアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸を含み、中でも、天然アミノ酸とは、天然に存在するアミノ酸をいい、非天然アミノ酸は、D型アミノ酸及び他の合成アミノ酸を含む。
本発明で提供される誘導体とは、ポリペプチドの変異体をいい、本発明では、ポリペプチド配列にアミノ酸の置換又は付加を施した生成物であってもよく、ポリペプチド分子の主鎖又は側鎖末端のアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、フェノール性水酸基、イミダゾリル基、グアニジノ基、インドリル基、メチルチオ基などを修飾部位として化学修飾を施した生成物であってもよい。
本発明に係る化学修飾は、ポリペプチドのレベルで、適切な修飾方法及び修飾剤を使用して化学修飾を行い、修飾後のポリペプチド類医薬品の溶解度が向上し、安定性が増加し、半減期が延長し、具体的には、当業者によって従来の方法で決定することができる。
本発明は、ポリペプチド誘導体を提供し、それは、本発明に係るポリペプチド断片、又は本発明に係るポリペプチド断片の誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。
さらに、上記ポリペプチド誘導体、本発明に係るポリペプチド誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。即ち、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加を施した誘導体、又はSEQ ID NO:1に係るアミノ酸の置換を施した誘導体、又はSEQ ID NO:1に係るアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。
上記化学修飾は、ペプチド鎖の主鎖構造又は側鎖基を変えることができ、アセチル化、アミド化、グリコシル化、ポリエチレングリコール(PEG)修飾、脂肪酸修飾、及び当技術分野で公知の他のポリペプチド修飾技術を含む。
本発明に係るアセチル化及びアミド化は、ポリペプチドにおいて一般的に用いられる主鎖末端修飾方法であり、通常、ポリペプチド主鎖のN末端でアセチル化し、ポリペプチド主鎖のC末端でアミド化する。
本発明に係るグリコシル化修飾とは、糖構造をタンパク質ポリペプチド分子中のある特定の官能基と共有結合で連結させることを意味し、N−グリコシル化、O−グリコシル化、S−グリコシル化、C−グリコシル化、及びグリコシルホスファチジルイノシトール修飾などを含む。上記N−グリコシル化は、アスパラギンを介して側鎖のアミド窒素を連結させることであり、O−グリコシル化は、セリン又はスレオニン残基上の酸素と連結することである。上記糖構造は、様々な単糖、オリゴ糖、及び多糖を含む。
本発明に係るPEG修飾とは、ポリペプチドの主鎖アミノ基、側鎖アミノ基、主鎖カルボキシル基、側鎖カルボキシル基、イミダゾリル基、メルカプト基、及びヒドロキシ基などの官能基を修飾部位として対応するタイプのPEGを選択して修飾することを意味する。上記PEGは、エチレンオキシドから重合された高分子ポリマーであり、その構造は限定されず、分子量も限定されない。上記PEG修飾タイプは、直鎖状PEG、分岐状PEG、ホモ二官能性PEG誘導体、ヘテロ官能性二置換PEG誘導体、及びマルチアーム型官能性PEG誘導体などを含む。
本発明に係る脂肪酸修飾とは、脂肪酸構造をタンパク質ポリペプチド分子中のある特定の官能基と共有結合で連結させることを意味し、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基及びヒドロキシ基などの修飾を含む。脂肪酸修飾は、不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸修飾に分けられてもよく、飽和脂肪酸は、主に、ミリスチン酸、パルミチン酸で修飾され、不飽和脂肪酸修飾は、主に、オレイン酸、リノール酸などで修飾される。
本発明に係るポリペプチド修飾は、当業者に周知の方法を用いて実施することができる。本発明に係る修飾の目的は、ポリペプチド配列の物理的化学的性質を変化させ、ポリペプチドの薬物形成特性を向上させるためであるが、修飾後のポリペプチドは、依然としてTGF−βシグナル伝達を阻害することができる。
本発明に係るTGF−βシグナル伝達経路の伝達を阻害することは、TGF−βシグナル伝達経路の活性化の場合には、本発明に係るポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体を使用してTGF−βの活性化、受容体のリン酸化、TGF−βシグナル伝達経路のタンパク質非依存的活性化、並びに下流調節遺伝子の転写及び発現を阻害することを意味し、当業者によって従来の方法で決定することができる。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド断片が化学修飾された誘導体である。
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1〜10個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:3に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:9に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:10に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:11に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:28に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:29に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:30に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ酸配列内部の3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:31に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:32に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:33に示されている。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体が化学修飾された誘導体である。
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1〜10個アミノ酸が欠失され、1〜3個のアミノ酸を付加させ、及び/又は1〜3個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端に2個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:40に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、アミノ末端に2個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:41に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:42に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:43に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:44に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:45に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:46に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:47に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:48に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体、その配列は、SEQ ID NO:49に示されている。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜2個のアミノ酸が付加された誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:37に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:38に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:39に示されている。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜2個のアミノ酸が置換された誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:34に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:35に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の7番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:36に示されている。
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に記載のポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加及び1〜3個のアミノ酸の置換を同時に行った誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
さらに、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に記載のポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1個のアミノ酸の付加及び1個のアミノ酸の置換を同時に行った誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の18番目の1個のアミノ酸が置換され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:50に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:51に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の18番目の1個のアミノ酸が置換され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:52に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:53に示されている。
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の7番目の1個のアミノ酸が置換され、配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:54に示されている。
本発明に記載のポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、及び上記断片及びその誘導体の調製方法は、自然抽出、酵素加水分解法、発酵法、遺伝子組換え発現、化学合成を含む。
本発明に記載のポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、有効成分として線維症を予防又は治療するための医薬品を調製することができる。ここで、上記線維症を予防又は治療するための医薬品では、予防又は治療のための安全かつ有効な量の、本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体からの1種又は複数種を含む。
予防又は治療のための安全かつ有効な量とは、正しい医学的判断の範囲内で、必要とする対象に有効で重篤な副作用を回避できるのに十分な有効成分の含有量を投与することを意味する。その安全かつ有効な量は、選択されたポリペプチド(例えば、ポリペプチドの構造、安定性、及び半減期を考慮し);選択された投与経路;治療される症状及び重症度;治療される対象の年齢、体型、体重、健康状態;治療される対象の病歴、治療期間;所望の治療効果及び類似の要因により変化するが、当業者によって従来の方法で決定することができる。
本発明に記載の「予防」とは、可能性のある線維化促進因子の存在下で使用された後、線維症の発生を防止または軽減することを意味する。本発明に記載の「治療」とは、線維症の程度を軽減したり、線維症を治癒させて正常化したり、線維化の進行を遅らせることを意味する。
本発明に係る線維性疾患は、TGF−βサイトカイン及びそのシグナル伝達経路の過剰な活性化によって引き起こされるものであり、当該分野の研究結果により公認されている線維性疾患は、慢性関節リウマチ、肺線維症、肝線維症、肝硬変、腎線維症、骨髄線維症、嚢胞性線維症、心筋線維症、強皮症、サルコイドーシス、ケロイド、熱傷後肥厚性瘢痕、増殖性網膜症、緑内障、白内障、水晶体後嚢混濁、血管形成術、血管手術または血管損傷後の血管再狭窄、マルファン症候群などを含むが、これらに限定されない。
本発明に係る肺線維症は、炎症性損傷及び組織構造破壊を伴う、線維芽細胞の増殖及び大量の細胞外マトリックス凝集を特徴とする肺疾患の終末期変化である。肺組織の肺胞マクロファージ、好中球、肺胞上皮細胞及び線維芽細胞は、いずれも広範囲でTGF−β前駆体を発現し、上皮細胞損傷後で、TGF−βの活性化によっては、肺胞マクロファージ及び線維芽細胞の増殖を促進し、そして筋線維芽細胞へ変換するとともに、上皮間葉転換を誘導し、最終的に、細胞外マトリックスが異常に増加させて沈澱させ、肺線維症は、正常な肺胞組織の損傷後での異常な修復による瘢痕形成である。本発明に記載の肺線維症は、特発性肺線維症、即ち原因不明の肺線維症であってもよく、続発性肺線維症、即ち様々な原因による肺線維症であってもよく、前記病気の原因は、職業性粉塵(SiOなど)、放射線障害、自己免疫疾患、医薬品副作用(ブレオマイシンなど)、慢性肺感染症(結核)、急性肺損傷などであってもよい。本発明に記載の肺線維症は、過敏性肺炎、放射線誘発性肺線維症、ブレオマイシン誘発性肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿症、及び結核を含む。上記肺線維症は、肺の炎症、特に、間質性肺炎、肺機能の退化及び肺硬変(例えば、肺間質での大量の線維性結合組織形成、及び肺構造障害)の1つ又は複数として現れることができる。
本発明に係る慢性関節リウマチは、滑膜炎を特徴とする慢性の炎症性疾患であり、常に関節外症状を伴い、関節の変形や機能の喪失につながることができる。滑膜組織には、大量の過剰発現され活性化されたサイトカインがあり、中でも、TGF−βは、関節リウマチが発症する前に異常に活性化し、間葉系幹細胞が軟骨下骨の骨髄に取り込まれ、破骨細胞による骨吸収、及びアンカップリングの骨吸収及び骨形成をもたらし、関節軟骨が退化し、関節が損傷・破壊されるようになる。
本発明に係る骨髄線維症は、骨髄造血組織でコラーゲンが増加し、線維組織が造血機能に深刻な影響を及ぼすことにより引き起こされる骨髄増殖性疾患である。TGF−βは、骨髄中の血小板、巨核球及び骨髄細胞において広く発現され、コラーゲン及びフィブロネクチンの合成を促進し、コラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害し、メタロプロテイナーゼ阻害因子の合成を促進し、最終的にコラーゲンの沈着をもたらす。TGF−βは、血管内皮細胞の増殖及び骨髄の微小血管成長を引き起こす可能性もある。
本発明に係る全身性強皮症は、限局性またはびまん性の皮膚の肥厚及び線維化を臨床的に特徴とし、心臓、肺、腎臓、消化管などの内臓にわたる結合組織疾患である。TGF−βは、皮膚線維芽細胞の細胞外マトリックスの過剰な沈着を促進しつつ、線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換を促進することができる。
本発明に係る熱傷後肥厚性瘢痕は、熱傷患者の創傷治癒後の重篤な後遺症であり、正常な皮膚組織構造及び生理学的機能を有さなく、正常な組織の活力を失い、異常で不健全な組織であり、関与するメカニズムが複雑であり、研究により、熱傷後瘢痕の角化細胞においてTGF−βの発現量が高く、また、TGF−β及びその下流の調節因子である結合組織増殖因子、デコリン及び結合タンパク質P311が創傷治癒及び瘢痕形成において重要な役割を果たすことがわかった。
本発明に係る嚢胞性線維症は、外分泌腺の遺伝性疾患であり、主に消化管及び呼吸器系に影響を及ぼす。嚢胞性線維症患者は、正常集団よりもTGF−β1が有意に増加し、筋線維芽細胞の活性化が明らかになり、この機構は、機械的刺激により活性化TGF−βが上皮間葉転換、内皮間葉転換、線維芽細胞の筋線維芽細胞への転換を促進し、最終的に細胞外マトリックス分泌の増加、コラーゲン沈着及び組織収縮をもたらすことにある。
本発明に係るサルコイドーシスは、壊死を伴わない非乾酪性類上皮細胞肉芽腫性炎症性疾患であり、主に肺実質に浸潤し、全身諸臓器、例えば、リンパ節、皮膚、関節、肝臓、腎臓及び心臓などの組織にわたる。その病因は、完全には明らかではないが、主に肉芽腫内または周囲の炎症細胞から大量のサイトカイン及び成長因子、例えば、TGF−βが放出されることによっている。
本発明に係る心筋線維症は、中等度から重度までの冠状動脈粥状硬化症性狭窄に引き起こされる心筋線維での持続的及び/または繰り返し加重した心筋虚血及び低酸素の結果であり、徐々に心不全に進行する慢性虚血性心疾患をもたらす。TGF−βは、心筋線維芽細胞及び線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換、上皮間葉転換、内皮間質転換を促進し、細胞外マトリックス合成を増加させ、そして結合組織成長因子の発現を促進して線維化の発生を促進することができる。
本発明に係る肝線維症は、病理学的プロセスであり、様々な病原因子によって引き起こされる肝臓内の結合組織の異常な増殖を意味し、線維化の進行は、長期間にわたって肝硬変へ進展してしまう。肝硬変は、慢性進行性肝疾患であり、1つまたは複数の病因の長期的または反復的な作用によって引き起こされるびまん性肝障害である。TGF−βシグナル伝達経路は、肝炎、肝線維症、肝硬変及び肝癌の病理学的プロセス全体に関与する。通常、肝細胞では、TGF−βは、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを促進することができる作用があり、慢性肝障害後でTGF−βは過剰に活性化し、肝星状細胞の筋線維芽細胞への変換、細胞外マトリックスの過剰な沈着をもたらし、大量の肝細胞死亡は炎症及び酸化ストレスを引き起こして、肝硬変に至るまでに線維化を引き起こす。
本発明に係る腎線維症は、慢性腎臓病において重要で不可逆的なプロセスであり、腎臓の不可逆的な損傷を引き起こし、TGF−βは、腎尿細管上皮細胞におけるコラーゲン合成を刺激し、上皮間葉転換を介して腎尿細管上皮細胞の筋線維芽細胞への変換を誘導して、腎線維症につながることができる。本発明に係る腎線維症は、薬物中毒、高血圧、糖尿病、持続性風邪、感染症などの病原性因子によって引き起こされることができる。
本発明に係る緑内障は、眼圧が上昇することで視神経乳頭陥凹、視野欠損を引き起こし、最終的に、失明につながる可能性がある重篤な眼病である。眼圧上昇は、細胞外マトリックスの沈着により小柱網経路の房水流出系に病変を生じ、房水流出の抵抗が増大するためである。房水由来のTGF−βは、小柱網細胞がフィブロネクチンなどの様々な細胞外マトリックスを発現することを局所的に誘導し、細胞外マトリックスの合成と分解とのバランスを崩壊させて細胞外マトリックスの沈着につながることができる。
本発明に係る白内障は、老化、遺伝、局所栄養障害、免疫及び代謝異常、外傷、中毒、放射線などのさまざまな原因によって引き起こされる水晶体代謝障害であり、水晶体タンパク質が変性してしまい、濁りを生じる。水晶体後嚢混濁は、嚢外白内障摘出術後の最も一般的な合併症である。白内障手術後の水晶体後嚢混濁は、手術中で残った水晶体上皮細胞の異常な増殖及び変性・線維化によるものである。TGF−βに誘導される水晶体上皮間葉転換は、水晶体後嚢混濁及び線維化の白内障の主な原因である。
本発明に係る増殖性硝子体網膜症は、裂孔原性網膜剥離の手術後の網膜表面及び硝子体裏面に広い線維性増殖膜の収縮、牽引によって引き起こされる再度の網膜剥離である。線維性増殖膜は、網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、グリア細胞及びマクロファージからなる。TGF−βは、硝子体の網膜下液及び増殖膜において過剰発現され、網膜色素上皮細胞の遊走及び増殖、筋線維芽細胞への転換、ならびにグリア細胞の増殖及び収縮を誘導する。
本発明に係るケロイドは、皮膚損傷の治癒過程において、コラーゲン同化機能は、正常な拘束的制御を失い、継続的な亢進状態にあり、コラーゲン線維が過剰増殖した結果であり、結合組織過形成症とも称される。TGF−βは、線維芽細胞の増殖を刺激し、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の合成及び活性を増加し、結合組織成長因子を活性化してコラーゲンの沈着及び結合組織増殖を促進する。
本発明に係る血管再狭窄は、血管形成術、血管外科手術または血管損傷後の血管新生反応に起因する平滑筋過形成、コラーゲン及び瘢痕組織過形成により、局所血管内腔の再狭窄につながる。TGF−βは、下流のSmad及びERK/MAPKシグナル伝達経路を調節し、血管平滑筋細胞の増殖及び新生内膜形成を促進し、細胞外マトリックスタンパク質分泌を促進して内膜過形成を増強することができる。
本発明に係るマルファン症候群は、遺伝性の結合組織病であり、疾患の特徴としては、四肢、指、つま先が細く不均一であり、身長が明らかに普通の人より高く、心血管系異常を伴い、肺、眼、硬膜及び硬口蓋などを含む他の臓器に影響を及ぼす。マルファン症候群は、15番染色体上の糖タンパク質マイクロフィブリンをコードするマイクロフィブリン−1(FBN1)遺伝子の突然変異によって引き起こされ、ミクロフィブリルの形成を阻害し、マイクロフィブリンと潜在的なTGF−β結合タンパク質との間の相互作用が不活性の潜在的なTGF−β複合体を安定化するために適用できるので、マイクロフィブリンが異常であると、TGF−βが過剰活性化される。影響を受けた細胞外マトリックス組成及び異常なシグナル伝達は、一緒にマルファン症候群の表現型を決定する。
本発明に係る治療対象とは、上記の疾患及び病症に罹る、又は上記の疾患及び病症に罹る可能性があるヒト又は動物を意味する。
本発明に係る線維性疾患を予防及び治療する応用とは、上記ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、単一の有効成分、又は併用成分、又は別の線維化を予防又は治療するための活性を持つ漢方薬、化合物又は生物学的製剤と組み合わせて有効成分として使用されることができることを意味する。
本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、原薬として直接使用してもよく、薬学的に許容される担体により線維性疾患を予防又は治療するための医薬品を調製してもよい。ここで、上記の薬学的に許容される担体は、医薬品剤形に応じて慣例的に選択でき、例えば、希釈剤、増量剤、賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、吸収促進剤、滑沢剤、吸着担体、徐放性ミクロスフェア、インプラント、インサイチュミクロスフェア、リポソーム、マイクロエマルジョン、インサイチュハイドロゲル、ナノ粒子、プロテアーゼ阻害剤、生体接着剤、融合タンパク質、抗体、ポリペプチドなどが挙げられる。
本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体の剤形は、特に限定されないが、当分野で通常の剤形であり、固体、半固体または液体であることが好ましく、水溶液、非水溶液または懸濁液であってもよく、錠剤、注射剤、カプセル剤、顆粒剤、眼科用製剤、吸入剤、軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤、エアロゾル剤、ゲル剤、散剤、塗布剤、インプラント剤、ローション剤などであってもよい。
本発明に係るポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、任意の適切な投与経路により投与されることができるが、注射投与であることが好ましく、経口投与、肺内投与、経鼻投与、経皮投与、及び眼内投与などであってもよい。中でも、上記注射投与は、好ましくは、静脈内注射または静脈内点滴、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射などを含む。
本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示される断片であり、配列表のSEQ ID NO:2(N2と略記)であり、選択されたポリペプチド誘導体SEQ ID NO:3(N3と略記)は、N2が化学修飾された生成物であり、PEG2をアミド結合によってポリペプチドのN−末端に連結されたものである。選択されたポリペプチドの剤形は、水溶液であり、溶媒が0.01M 滅菌PBS緩衝液である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(Bleomycin、BLM、用量が3mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチドN2及びN3の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、且つポリペプチドN2及びN3の好ましい投与量は、いずれも2.5mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを注入することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとポリペプチドN2又はN3とを共に注入した後、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスタンパク質合成が低下し、コラーゲンの沈着を低減させるため、ブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制する。
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ ID NO:4〜11に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(Bleomycin、BLM;用量が3mg/kg)誘発肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、投与量がいずれも6mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを注入することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとSEQ ID NO:4〜11に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体とを共に注入した後、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着を低減させ、ブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制する。
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(用量が4mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague −Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、投与量がいずれも8mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを投与することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとSEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体とを共に投与した後、肺線維症によるラットの生活の質の低下が有意に改善され、肺組織への炎症細胞の浸潤が減少し、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着が減少し、線維化進行中のTGF−βの遺伝子発現及びタンパク質活性化がいずれも低下し、これは、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体の気管内注入がブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制し、線維化による生活の質の低下を改善することができることを示す。
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(4mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、静脈内注射であり、投与量がいずれも10mg/kgであり、ブレオマイシン誘発後4日目から滅菌生理食塩水又はポリペプチド医薬品であるSEQ ID NO:1〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を尾静脈から注射した後、13日目まで1日1回注射する。滅菌生理食塩水を静脈内注射したラットよりも、ラットにSEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を静脈内注射した後、肺線維症によるラットの生活の質の低下が有意に改善され、肺組織への炎症細胞の浸潤が減少し、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着が減少し、線維化進行中のTGF−βの遺伝子発現及びタンパク質活性化がいずれも低下し、これは、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体の静脈内注射がブレオマイシンによって誘発されたラット肺の炎症及び線維化を抑制し、線維化による生活の質の低下を改善することができることを示す。
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)。選択された対象は、特定の病原体をもっていないC57BL/6J マウスであり、マウスの体重が16〜17gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、静脈内注射であり、投与量がいずれも20mg/kgであり、対照群のマウスは、13日目まで1日1回滅菌生理食塩水を注射し、その脳、心臓、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を採取して病理学的検査を施す。生理食塩水静脈内注射群のマウスと比較して、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を静脈内注射した後、マウスに関連臓器毒性を引き起こさず、良好な安全性を有する。本発明の有益な効果は、ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体及びその製造方法、並びにそれらの線維症を予防・治療するための医薬品の調製における用途を提供することにある。
本発明の実施形態または従来技術における技術案をより明らかに説明するために、実施例または従来技術の説明で使用される図面を以下に簡単に紹介する。
実験動物の肺係数(Pulmonary Index、PI)を示す。 実験動物の病理切片画像を示す。 実験動物の病理切片のスコア評価結果を示す。 実験動物の気管支肺胞洗浄液中での炎症細胞の分類された細胞数を示す。 実験動物の肺組織ホモジネートにおける細胞外マトリックスタンパク質の発現プロファイルを示す。 実験動物の肺組織ホモジネートにおける細胞外マトリックスタンパク質の半定量分析結果を示すグラフである。 実験動物の肺組織のヒドロキシプロリン含有量を示す。 実験動物の肺組織ホモジネートにおけるSmadタンパク質の発現プロファイルを示す。 実験動物の肺組織ホモジネートにおけるSmadタンパク質の半定量分析結果を示すグラフである。 実験動物の肺組織の活性なTGF−β含有量を示すグラフである。 実験動物の肺組織のctgf、コラーゲンI及びコラーゲンIIIの遺伝子発現量グラフを示す。 実験動物の肺組織中のヒドロキシプロリン含有量を示すグラフである。 実験動物の肺組織の病理検査(HE)画像である。 実験動物の肺組織の病理検査(HE)に対するスコア評価結果を示すグラフである。 実験動物の肺組織の病理検査(Masson)画像である。 実験動物の肺組織の病理検査(Masson)スコア評価結果を示すグラフである。 実験動物の肺組織の病理検査(HE)画像(気管内注入)を示す。 実験動物の肺組織の病理検査(Masson)画像(気管内注入)を示す。 実験動物の肺組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の肺組織の病理検査(Masson)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の脳組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の心臓組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の肝組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の肺組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の腎臓組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。 実験動物の脾臓組織の病理検査(HE)画像(静脈内注射)を示す。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。以下の実施例において具体的な条件を特定しない実験方法は、当分野で通常の方法及び条件又は製品の説明書に従って行う。
実施例1.主な実験材料、動物及びポリペプチドの合成
1.主な実験材料及び動物
ブレオマイシン塩酸塩は、海正輝瑞製薬有限公司(ロット番号16033811)から購入され、Zoletil(登録商標)は、ビルバック社(Virbac、フランス、ロット番号6ALU)から購入され、0.9% 塩化ナトリウム注射液は、四川科倫薬業股分有限公司(ロット番号:M16110319)から購入された。
SPFレベルSDラットは、成都達碩実験動物有限公司から購入され、雄性、体重200〜250gである。
2.ポリペプチドN1〜N54配列は、表1におけるSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:54に示され、合成方法が以下の通りである。
ペプチド固相合成装置を使用し、Fmocで保護された樹脂を出発原料とし、Fmoc固相合成法により各アミノ酸を1つずつカップリングさせ、完全保護ペプチド−樹脂を合成し、用いられたアミノ酸は、全て天然型L−アミノ酸であり、切断試薬を使用して側鎖完全保護ペプチド−樹脂を切断し、脱保護されたペプチドを樹脂から切断し、側鎖保護基を除去し、遠心分離して乾燥させてポリペプチド粗生成物を得、最後に、分取液体クロマトグラフ(Preparative HPLC)を使用してポリペプチド粗生成物を精製し、特定の成分を収集し、凍結乾燥して精製されたポリペプチド生成物を得た。純度の検出条件は、カラム:SepaxGP−C18 5μ 120Å 4.6*150mm、移動相の組成:A相0.1%TFA in HO及びB相0.09%TFA in(80%CAN+20%HO)、流速1.0mL/min、20〜30でB相は28.0〜30.0%から38.0〜40.0%まで増加し、30μL単回注入した。
PEG修飾方法は、まず、mPEG−SC及びポリペプチド(モル比1.5−2.0:1)をそれぞれ秤量してPBS緩衝液(pH 5〜8.5)40mL〜100mLに投入し、4℃の条件下で一晩反応させた。反応後のサンプルをセミ分取液体クロマトグラフにより精製し、精製条件は、セミ分取カラム:YMC、250mm×10mm(5μmフィラー);移動相:CAN(+0.1%TFA)、HO(+0.1%TFA);ACN線形勾配:30%〜35%;流速:2mL/min;運転時間:15min;サンプルロード量:1.0mL;検出波長:220nmであった。目的とするピークが現れる時間では、生成物を遠心分離管によって収集し、低温冷蔵庫中で−70℃で一晩予備凍結した後、目視で全てが白色粉末であるまで凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した(30h程度)。最後に、凍結乾燥生成物を取得し、生成物の重量を秤量して記録した後、−20℃で冷蔵庫に貯蔵し、同定した。
Figure 0006965362
実施例2 ポリペプチド及びラット肺線維症モデル
1.主な実験材料及び動物
ブレオマイシンは、日本化薬株式会社により製造され(ロット番号650472)、zoletil 50麻酔剤は、ビルバック社(Virbac、フランス)により製造された。
N2及びN3は、成都凱捷生物医薬科技発展有限公司により合成された。N2の配列は、Tyr−Arg−Val−Arg−Phe−Leu−Ala−Lys−Glu−Asn−Val−Thr−Gln−Asp−Ala−Glu−Asp(配列は、配列表においてSEQ ID NO:2に示されている)である。N3の配列は、PEG2−Tyr−Arg−Val−Arg−Phe−Leu−Ala−Lys−Glu−Asn−Val−Thr−Gln−Asp−Ala−Glu−Asp(PEG2は、アミド結合を介してポリペプチドN−末端に連結し、配列が配列表においてSEQ ID NO:3に示されている)である。
SPFレベルSDラットは、重慶市大坪病院から購入され、雄性、体重が200〜250gである。
2.ラット肺線維症モデル
投与前の体重を秤量し、Zoletilの麻酔液を筋肉内注射し、用量が65mg/kgであり、ラットがステージIIIの麻酔期に入った後、実験ラットを傾けた側臥位に固定し、ゲージ番号が12の経口ゾンデにて口腔から声門を通してラットの気管へ挿入し、医薬品を灌注した。実験動物は、気管内投与後1日目から7日目まで正常に飼育し、給餌・給水の制限なしに毎日定時に体重を測定した。
ブランク対照群ラットは、麻酔後にいずれの処置もせず、モデル群(ブレオマイシン)ラットは、ブレオマイシン(3mg/kg)を気管内注入し、PBS対照群ラットは、同体積の滅菌PBS緩衝液(0.01M、pH=9.5)を気管内注入し、医薬品対照群ラットは、2.5mg/kgのポリペプチドN2(溶媒が0.01M、pH=9.5のPBS緩衝液)を気管内注入し;N2治療群ラットは、2.5mg/kgのポリペプチドN2及び3mg/kgのブレオマイシンを共に気管内注入し、N3治療群ラットは、2.5mg/kgのポリペプチドN3及び3mg/kgのブレオマイシンを共に気管内注入した。
実施例3 ラットの肺係数検出
実施例2のラットを使用し、体重を秤量し、過剰麻酔によりラットを致死させ、ラットの両側の肺組織を取り出し、肺組織の周囲の結合組織をよく除去し、生理食塩水で洗浄した後、ろ紙で吸い取り乾燥させ、全肺の湿重量を電子天秤で測定した。電子天秤で全肺の湿重量を測定した後、肺係数=肺質量(mg)/体重(g)の式に従って肺係数を計算した(結果は、図1に示す)。結果は、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群のラットと比較して、ブレオマイシン群のラットの左肺、右肺及び全肺の肺係数がいずれも有意に増加した(*:P<0.01)ことを示し、ラットの肺組織において病変が発生したことを示唆し、ブレオマイシン群のラットと比較して、N2及びN3治療群のラットの左肺、右肺及び全肺の肺係数がいずれも有意に低下し(#:P<0.05)、N2及びN3治療群ラットの肺組織において病変が軽減されたことを示唆した。
実施例4 ラット肺組織の病理切片のHE染色
実施例2のラットの肺組織を採取して4%パラホルムアルデヒドで固定した後、パラフィン包埋し、肺組織が包埋されたワックスブロックの最大横断面に切片を作成し、ヘマトキシリン−エオシン(HE)染色により肺組織の病理学的変化を観察し、光学顕微鏡(低倍率)で肺組織の病理学的変化を100倍の倍率で観察した(結果は、図2に示す)。結果は、PBS対照群及び医薬品対照群のラットは、肺胞の形態が正常であり、肺胞壁が細く、間質部に非常に少量の炎症性細胞浸潤があり、モデル群ラットは、肺組織に小さなシート状硬化領域が多く、硬化領域において肺胞壁が厚くなり、肺胞中隔が破壊され、融合して肺大気胞を形成し、多くの肺胞構造がなくなり、間質には多くの炎症性細胞浸潤が見られ、モデル群と比較して、N2及びN3治療群ラットの肺組織において肺胞構造が比較的に健全で、小さなシート状硬化領域が少なく、間質に少量の炎症性細胞浸潤が見られた。
Szapieらによる方法を参照し、肺胞炎症の程度を評価し、病変範囲の違いに応じて、0〜3点に対応する0〜3段階に分けた、第0段階:肺胞炎症なし;第1段階:軽度の肺胞炎症、肺胞中隔のわずかな肥厚、単核球浸潤として現れ、さらに胸膜または局所のみに近い、病変範囲は20%未満であるが、肺胞構造は破壊されていない;第2段階:中等度の肺胞炎症、病変範囲は20%〜50%であるが、胸膜近くの部分は比較的重篤となる;第3段階:重度の肺胞炎症、びまん性分布が現れ、病変範囲が50%を超え、硬化が時々見える。炎症の病理学的スコア評価(結果は、図3に示す)結果は、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群ラットと比較して、ブレオマイシン群ラットは有意な炎症性変化を示し(*:P<0.01)、BLM群ラットよりも、N2及びN3治療群ラットは肺組織炎症性病変がいずれも有意に軽減した(#:P<0.01)ことを示し、ポリペプチドN2及びN3は、ラットのブレオマイシン誘発による肺の炎症を抑制できることが明らかである。
実施例5 ライトギムザ(Wright−Giemsa)染色によるラット気管支肺胞灌流液中の炎症細胞数の変化
気管支肺胞洗浄液を回収し、遠心分離して再懸濁し、さらに5μlの細胞懸濁液をスライドガラスに塗布し、細胞懸濁液を自然乾燥させた後、適量のメタノールを加えて30秒間かけた後、ライトギムザ染色し、顕微鏡下で細胞分類計数を行った。計数方法は、100個の健全な細胞中のマクロファージ、リンパ球及び好中球のそれぞれの割合に従って、炎症性細胞の総数によりマクロファージ、リンパ球及び好中球の数を計算した(結果は、図4に示す)。ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群ラットと比較して、ブレオマイシン群ラットは、マクロファージ、核異型細胞及びリンパ球の数がいずれも有意に増加し(*:P<0.01)、ブレオマイシン群ラットと比較して、N2及びN3治療群ラットは、マクロファージ、核異型細胞及びリンパ球の数がいずれも有意に減少し(#:P<0.05)、これは、ポリペプチドN2及びN3は、ラットのブレオマイシンによる肺の炎症を抑制できることを示している。
実施例6 ウエスタンブロッティングによるラット肺組織ホモジネート中細胞外マトリックスタンパク質含有量の検出
実施例2のラットの肺組織を採取し、細胞溶解液RIPAバッファー(100mg肺組織当たり1mL溶解液)を使用して組織ホモジネートを行い、遠心分離して上清を回収した後、BCA法によりタンパク質濃度を測定し、同量のタンパク質サンプルを採取し、anti−GAPDH、anti−Fibronectin、anti−CollagenI及びanti−CollagenIII抗体を使用してウエスタンブロッティング(Western blot)実験を行った(結果は、図5に示す)。
内部参照としてGAPDHを使用し、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群と比較して、BLM群ラットの肺組織においてFibronectin、CollagenI及びCollagenIIIの発現のバンド強度が有意に増加し、これはブレオマイシンがラット肺組織中の細胞外マトリックス沈着を誘発したことを示している。ブレオマイシン群と比較して、治療群ラットの肺組織においてFibronectin、CollagenI及びCollagenIIIの発現のバンド強度がほとんど対照群のレベルに戻り、これはポリペプチドN2及びN3は、ブレオマイシンによる肺線維化を有意に低減させることができることを示している。
Image pro plus 6.0画像解析ソフトウェアを使用して各バンドの階調値を検出し、解析した(結果は、図6に示す)ところ、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群と比較して、ブレオマイシン群ラットは、肺組織のFibronectin、CollagenI、CollagenIIIタンパク質のレベルが有意に増加し(*:P<0.01)、ブレオマイシン群ラットと比較して、N2及びN3治療群ラットは、Fibronectin、CollagenI及びCollagenIIIタンパク質のレベルがいずれも有意に低減した(#:P<0.05)。階調値の検出は、以上の説明を確認した。
実施例7 ラット肺組織ホモジネート中のヒドロキシプロリン含有量の検出
実施例2のラットを使用し、アルカリ加水分解法によるヒドロキシプロリン定量アッセイキット(博士徳公司製、品番:A030)により肺組織ホモジネート中のヒドロキシプロリン含有量を検出した(結果は、図7に示す)。結果は、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群と比較して、ブレオマイシン群では肺組織中のヒドロキシプロリン含有量が有意に増加した(*:P<0.01)ことを示し、これは、BLMがラット肺においてコラーゲン線維の沈着を誘発することを示しており、ブレオマイシン群と比較して、N2及びN3治療群は、肺組織中のヒドロキシプロリン含有量が有意に低減し(#:P<0.05)、ポリペプチドN2及びN3がBLM誘発肺線維症に対して著しい抑制効果を有することが示された。
実施例8 ウエスタンブロッティングによるラット肺組織ホモジネート中のSmadタンパク質含有量の検出
実施例2のラットの肺組織を採取し、細胞溶解液RIPAバッファー(100mg肺組織当たり1mL溶解液)を使用して組織ホモジネートを行い、遠心分離して上清を回収した後、BCA法によりタンパク質の濃度を測定し、同量のタンパク質サンプルを採取し、anti−GAPDH、anti−p−Smad2及びanti−p−Smad3抗体を使用してウエスタンブロッティング(Western blot)実験(結果は、図8に示す)を行った。
内部参照としてGAPDHを使用し、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群と比較して、BLM群ラットの肺組織においてp−Smad2(リン酸化されたSmad2)及びp−Smad3(リン酸化されたSmad3)の発現のバンド強度が有意に増加し、ブレオマイシンがラット肺組織においてTGF−β/Smadシグナル伝達経路の伝達を誘導することが示されたが、ブレオマイシン群と比較して、N2及びN3治療群ラットの肺組織においてp−Smad2及びp−Smad3の発現のバンド強度がほとんど対照群のレベルに戻り、ポリペプチドN2及びN3は、ブレオマイシンによって誘導された肺組織中でのTGF−β/Smadシグナル伝達経路の伝達を著しく抑制できることが示された。
Image pro plus 6.0画像解析ソフトウェアを使用して各バンドの階調値を検出し、解析したところ(結果は、図9に示す)、ブランク対照群、PBS対照群及び医薬品対照群ラットと比較して、ブレオマイシン群ラットの肺組織においてp−Smad2及びp−Smad3タンパク質のレベルがいずれも有意に増加し(*:P<0.01)、ブレオマイシン群ラットと比較して、N2及びN3治療群ラットは、p−Smad2及びp−Smad3タンパク質のレベルがいずれも有意に低減した(#:P<0.05)ことが示された。階調値の検出は、以上の説明を確認した。
実施例9 ポリペプチド及びラット肺線維症モデル
1.主な実験材料及び動物
ブレオマイシンは、海正輝瑞製薬有限公司(ロット番号16037911、16033811)により製造され、麻酔剤zoletil 50は、ビルバック社(Virbac、フランス)により製造された。
ポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体SEQ ID NO:4(N4と略記)、SEQ ID NO:5(N5と略記)、SEQ ID NO:6(N6と略記)、SEQ ID NO:7(N7と略記)、SEQ ID NO:8(N8と略記)、SEQ ID NO:9(N9と略記)、SEQ ID NO:10(N10と略記)、SEQ ID NO:11(N11と略記)は、成都凱捷生物医薬科技発展有限公司により合成され、その配列が配列表においてSEQ ID NO:4〜SEQ ID NO:11に示されている。
SPF レベルのSDラットは、成都達碩実験動物有限公司から購入され、雄性、体重が200〜250gである。
2.ラット肺線維症モデル
投与前の体重を秤量し、Zoletilの麻酔液を筋肉内注射し、用量が65mg/kgであり、ラットがステージIIIの麻酔期に入った後、実験ラットを傾けた側臥位に固定し、ゲージ番号が12の経口ゾンデにて口腔から声門を通してラットの気管へ挿入し、医薬品を灌注した。実験動物は、気管内投与後1日目から14日目まで正常に飼育し、給餌・給水の制限なしに毎日定時に体重を測定した。
モデル群ラットは、ブレオマイシン(3mg/kg)を気管内注入し、対照群ラットは、同体積の生理食塩水を気管内注入し、治療群ラットは、気管内にブレオマイシン(3mg/kg)及び対応する治療用医薬品(6mg/kg)を共に灌注した。
実施例10 ELISA法によるラット肺組織中の活性化TGF−β含有量の検出
実施例9のモデル群、対照群及びN4治療群ラットの肺組織を採取し、細胞溶解液RIPAバッファー(100mg肺組織当たり1mL溶解液)を使用して組織ホモジネートを行い、遠心分離して上清を回収した後、BCA法によりタンパク質の濃度を測定し、同量のタンパク質サンプルを採取し、酵素結合免疫吸着ELISA(Promega、品番G7591)法により活性化TGF−β含有量を検出し(結果は、図10に示す)、one−way ANOVAを使用して生物統計学的分析を行った。
対照群と比較して、モデル群ラットの肺組織中の活性化TGF−β含有量は有意に増加した(**:p<0.01)が、モデル群と比較して、N4治療群ラットの肺組織中の活性化TGF−β含有量は有意に低減し(†:p<0.05)、N4は、ブレオマイシンによって誘導されたTGF−βの活性化を著しく抑制できることが示された。
実施例11 qPCR法によるラット肺組織中のctgf、コラーゲンI及びコラーゲンIII含有量の検出
実施例9のモデル群、対照群及びN4治療群ラットの肺組織を採用し、TRIZOL(Invitrogen)法により肺組織からRNAを抽出し、逆転写してcDNAを得た後、リアルタイムPCR(qPCR)キット(Applied Biosystems、品番4319413E)を使用してTGF−β経路下流遺伝子である結合組織成長因子ctgf(フォワードプライマー:5′−TGGCCCTGACCCAACTATGA−3′、リバースプライマー:5′−CTTAGAACAGGCGCTCCACTCT−3′)、コラーゲンI(フォワードプライマー:5′−TGCCGATGTCGCTATCCA−3′、リバースプライマー:5′−TCTTGCAGTGATAGGTGATGTTCTG−3′)及びコラーゲンIII(フォワードプライマー:5′−GGAAAAGATGGATCAAGTGGACAT−3′、リバースプライマー:5′−GAGCCCTCAGATCCTCTTTCAC−3′)の発現レベルを検出し、18s RNAを内部参照として(結果は、図11に示す)、one−way ANOVAを使用して生物統計学的分析を行った。
対照群と比較して、モデル群は、肺組織においてctgf、コラーゲンI及びコラーゲンIIIの発現レベルが有意に上昇し(*:p<0.05、**:p<0.01)、モデル群と比較して、N4治療群は、肺組織においてctgf、コラーゲンI及びコラーゲンIIIの発現レベルが有意に低減し(†:p<0.05)、N4は、ブレオマイシンによって誘導されたTGF−βシグナル伝達経路を著しく抑制できることが示された。
実施例12 酸加水分解法によるラット肺組織ホモジネート中のヒドロキシプロリン含有量の検出
実施例9のモデル群、対照群及びN4治療群ラットの肺組織を採取し、酸加水分解法によるヒドロキシプロリン酸定量アッセイキット(BioVision、品番:K555−100)を使用して肺組織ホモジネート中のヒドロキシプロリン含有量を検出し(結果は、図12に示す)、one−way ANOVAを使用して生物統計学的分析を行った。
対照群と比較して、モデル群は、肺組織中のヒドロキシプロリン含有量が有意に増加し(*:p<0.05)、BLMがラット肺においてコラーゲン線維沈着を誘発することが示され、モデル群と比較して、N4治療群は、肺組織においてヒドロキシプロリン含有量が有意に低減し(†:p<0.05)、N4は、ブレオマイシン誘発性肺線維症に対して有意な抑制効果を有することが示された。
実施例13 ラット肺組織の病理切片のHE染色
実施例9のラットの肺組織を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定した後、パラフィン包埋し、肺組織が包埋されたワックスブロックの最大横断面に切片を作成し、ヘマトキシリン−エオシン(HE)染色により肺組織の病理学的変化を観察し、光学顕微鏡(低倍率)で肺組織の病理学的変化を100倍の倍率で観察した(結果は、図13に示す)。結果は、対照群のラットは、肺胞の形態が正常であり、肺胞壁が細く、間質に非常に少量の炎症性細胞浸潤がみられ、モデル群ラットは、肺組織に小さなシート状硬化領域が多く、硬化領域において肺胞壁が厚くなり、肺胞中隔が破壊され、融合して肺大気胞を形成し、多くの肺胞構造がなくなり、間質には多くの炎症性細胞浸潤がみられ、モデル群と比較して、各治療群ラットの肺組織において肺胞構造が比較的に健全で、小さなシート状硬化領域が少なく、間質部に少量の炎症性細胞浸潤がみられることを示した。
Szapieらによる方法を参照し、肺胞炎症の程度を評価し、病変範囲の違いに応じて、0〜3点に対応する0〜3段階に分けた、第0段階:肺胞炎症なし;第1段階:軽度の肺胞炎症、肺胞中隔のわずかな肥厚、単核球浸潤として現れ、さらに胸膜または局所のみに近い、病変範囲は20%未満であるが、肺胞構造は破壊されていない;第2段階:中等度の肺胞炎症、病変範囲は20%〜50%である一方、胸膜近くの部分は比較的重篤となる;第3段階:重度の肺胞炎症、びまん性分布が現れ、病変範囲が50%を超え、硬化が時々見える。炎症の病理学的スコア評価(結果は、図14に示し、one−way ANOVAを使用して生物統計学的分析を行う)結果により示されるように、対照群と比較して、モデル群は、肺組織において有意な炎症性病理学的変化がみられ(****:P<0.0001)、BLM群ラットと比較して、N4〜N11の各治療群ラットは、肺組織において炎症性病変が異なる程度で有意に改善され(†:p<0.05、††:p<0.01、††††:p<0.0001)、N4〜N11はいずれもラットのブレオマイシンによる肺の炎症を抑制できることが示された。
実施例14 ラット肺組織の病理切片のMasson染色
実施例9のラットの肺組織を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定した後、パラフィン包埋し、肺組織が包埋されたワックスブロックの最大横断面に切片を作成し、マッソントリクローム染色(Masson trichrome stain)により肺組織の病理学的変化を観察し、光学顕微鏡(低倍率)で肺組織の病理学的変化を100倍の倍率で観察した(結果は、図15に示す)。結果により、対照群のラット肺は、肺胞構造が正常で、肺胞中隔が破壊され肥厚したものが非常に少なく、独立した結節または線維性の塊形成が認められず、モデル群のラット肺は、肺胞中隔が破壊され、肥厚し、一部の肺胞構造が大きくなりゆるくなり、独立した結節を形成し、肺胞中隔が変形又は消失し、線維性の塊を形成し、同士が融合し、さらに肺胞を閉塞させ、モデル群と比較して、N4〜N11の各治療群は、肺胞中隔が破壊されたものが少なく、肥厚程度が弱く、肺胞構造が健全なものが多く、少量の独立した結節または線維性の塊が存在することが分かった。
Modified Ashcroft scaleスコア評価方法を参照して肺線維症程度を評価し、病変範囲の違いに応じて0〜8点に分け、肺線維症程度判定に用いられる評価指標は、以下の通りである。即ち、0点:肺線維症が発症していない;1点:肺胞中隔が軽度肥厚し、且つ肥厚程度が0点の標準の3倍以下であり、少量の肺胞構造が大きくなりゆるくなり、少量の肺胞中隔が破壊されている;2点:肺胞中隔が肥厚し、且つ肥厚程度が0点の標準の3倍以下であり、一部の肺胞構造が多くなり、ほぐれ、一部の肺胞中隔が破壊され、独立した結節を形成したが、互いに関連がない;3点:肺胞中隔が肥厚し、且つ肥厚程度が0点の標準の3倍以下であり、大部分の肺胞構造が大きくなりゆるくなり、独立した結節を形成したが、互いに関連がない;4点:肺胞中隔が変形し、単独した線維性の塊を形成し、且つ線維性の塊面積が顕微鏡視野の10%未満である;5点:肺胞中隔が変形し、線維性の塊が生成しながら融合し、且つ線維性の塊面積が顕微鏡視野の10〜50%であり、肺構造が重篤な損傷を受けたが、依然として存在する;6点:肺胞中隔が変形しつつ、大部分が消失し、線維性の塊が生成しながら融合し、且つ線維性の塊面積が顕微鏡視野の50%を超え、大部分の肺構造が消失している;7点:肺胞中隔が消失し、線維性の塊が融合しながら肺胞を閉塞させ、顕微鏡視野では最大5個の気泡が見られる;8点:肺胞中隔が消失し、線維性の塊が融合し、完全に肺胞を閉塞させている。肺線維症スコア評価(結果は、図16に示し、one−way ANOVAを使用して生物統計学的分析を行う)結果は、対照群と比較して、モデル群の肺組織において肺線維症の非常に有意な病理学的変化があり(****:P<0.0001)、モデル群と比較して、N4〜N11の各治療群は、ラットの肺線維化病変が異なる程度で有意に改善され(†:p<0.05、††:p<0.01、††††:p<0.0001)、N4〜N11はいずれもブレオマイシン誘発ラット肺線維化病変を抑制できることが示された。
実施例15 ラット肺線維症モデル及び気管内注入経路による治療
モデル群のラットは、ブレオマイシン(4mg/kg)を気管内注入し、治療群のラットでは、麻酔後、気管内にブレオマイシン(4mg/kg)及び対応するポリペプチド(8mg/kg)を共に灌注した以外は、実施手順は、実施例9の説明と同様にした。
実施例16 ラット体重の測定
実施例15に係る対照群、モデル群及び治療群の実験ラットは、実施例15に記載のモデル及び投与方式に従って、1日目から14日目まで毎日体重測定を行った。計量する際に、電子天びんの「不安定計量」というアプリケーションを選択し、説明書の勧めに応じて適切な計量回数及び読取段階で許容される不安定性の程度を設定し、結果は表2に示す体重比値に示された(14日目/0日目)。
結果は、対照群(表2にCと略記)と比較して、モデル群(表2にBと略記)ラットの体重増加率は有意に低減したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群ラットの体重増加率はいずれも異なる程度の回復を有し、N1〜N54は、いずれもブレオマイシンによる生活の質の低下を改善でき、しかもN2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群より優れていることが明らかとなった。
実施例17 ラット肺係数の測定
実施例15に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットを採取し、肺係数を測定し、実施手順は、実施例2の説明と同様であり、結果は、表2に示す肺係数値に示された。
結果は、対照群(表2にCと略記)と比較して、モデル群(表2にBと略記)は、ラットの肺係数が有意に上昇したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラットの肺係数がいずれも異なる程度で有意に低減し、N1〜N54は、いずれもブレオマイシンによって誘発されたラット肺水腫及び肺線維症を有意に抑制でき、且つN2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群よりも優れていることが予備的に判明した。
実施例18 ラット肺組織の病理切片のHE染色
実施例15に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットの肺組織を採取してHE染色及びスコア評価を行い、具体的な実施手順、肺胞炎症程度の評価方法は、実施例3の説明と同様であり、HE染色の結果は、図17に示し、炎症の病理学的スコア評価結果は、表2に示すHEスコア評価の欄に示された。
HE染色及びスコア評価結果は、対照群(表2にCと略記)と比較して、モデル群(表2にBと略記)は、肺組織において有意な炎症性の病理学的変化を示したが、モデル群ラットと比較して、N1〜N54の各治療群は、ラット肺組織の炎症性病変が異なる度合いで改善され、N1〜N54は、いずれもラットのブレオマイシンによる肺の炎症を有意に抑制でき、しかもN2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群よりも優れていることが示された。
実施例19 ラット肺組織の病理切片のMasson染色
実施例15に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットの肺組織を採取し、Masson染色及びスコア評価を行い、具体的な実施手順は、実施例13の説明と同様である。Masson染色の結果は、図18に示し、線維化の病理学的スコア評価の結果は、表2に示すMassonスコア評価の欄に示された。
Masson染色及びスコア評価結果は、対照群(表2にCと略記)と比較して、モデル群(表2にBと略記)の肺組織において非常に有意な肺線維症の病理学的変化を示したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラット肺線維症病変が異なる度合いで有意に改善されるので、N1〜N54はいずれもブレオマイシンによるラット肺線維症病変を有意に抑制でき、且つN2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
Figure 0006965362
実施例20 ラット肺線維症モデル及び静脈内注射の投与経路による治療
投与前の体重を秤量し、Zoletilの麻酔液を筋肉内注射し、用量が65mg/kgであり、ラットがステージIIIの麻酔期に入った後、実験ラットを傾けた側臥位に固定し、ゲージ番号が12の経口ゾンデにて口腔から声門を通してラットの気管へ挿入し、滅菌生理食塩水又はブレオマイシン(4mg/kg)(0日目)を灌注した。対照群ラットは、麻酔後、気管内にブレオマイシンと同一体積の滅菌生理食塩水を灌注し、モデル群及び治療群ラットは、麻酔後、気管内にブレオマイシン(4mg/kg)を灌注した。滅菌生理食塩水又はポリペプチド医薬品を4日目から13日目まで1日1回尾静脈から注射し、14日目にラットを致死させ、後の実験を行った。対照群ラットは、いずれの投与処置もせず、モデル群ラットは、滅菌生理食塩水を尾静脈から注射し、治療群ラットは、対応するポリペプチド医薬品を尾静脈から注射した(10mg/kg)。全ての実験動物は、1日目から14日目まで正常に飼育し、給餌・給水の制限なしに毎日定時に体重を測定した。
実施例21 ラット体重の測定
実施例20に係るモデル及び投与方式に従って、実施例20に係る対照群、モデル群及び治療群ラットは1日目から14日目まで毎日体重測定を行った。体重測定の方式は、実施例16の説明と同様であり、結果は、表3に示す体重比値(14日目/0日目)に示された。
結果は、対照群(表3にCと略記)と比較して、モデル群(表3にBと略記)は、ラットの体重増加率が有意に低減したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラットの体重増加率がいずれも異なる度合いの回復を有するので、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、ブレオマイシンによる生活の質の低下を改善でき、さらに、N2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
実施例22 ラット肺係数の測定
実施例20に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットを採取し、肺重量を計量して肺係数を計算し、具体的な実施手順は、実施例2の説明と同様であり、結果は、表3に示す肺係数値に示された。
結果は、対照群(表3にCと略記)と比較して、モデル群(表3にBと略記)は、ラットの肺係数が有意に上昇したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラットの肺係数が異なる度合いで有意に低減され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもブレオマイシンによるラット肺水腫及び肺線維症を有意に抑制でき、さらに、N2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
実施例23 ラット肺組織の病理切片のHE染色
実施例20に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットの肺組織を採取してHE染色及びスコア評価を行い、具体的な実施手順は、実施例3の説明と同様であり、HE染色の結果は、図19に示し、炎症の病理学的スコア評価の結果は、表3に示すHEスコア評価の欄に示された。
HE染色及びスコア評価結果は、対照群(表3にCと略記)と比較して、モデル群(表3にBと略記)の肺組織において有意な炎症性の病理学的変化が現れたが、モデル群ラットと比較して、N1〜N54の各治療群ラットは、肺組織の炎症性病変が異なる度合いで有意に改善され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもラットのブレオマイシンによる肺の炎症を有意に抑制でき、さらに、N2〜N54の治療効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
実施例24 ラット肺組織の病理切片のMasson染色
実施例20に係る対照群、モデル群及び治療群実験ラットの肺組織を採取し、Masson染色及びスコア評価を行い、実施手順は、実施例13の説明と同様であり、Masson染色の結果は、図20に示し、線維化の病理学的スコア評価結果は、表3に示すMassonスコア評価の欄に示されている。
Masson染色及びスコア評価結果は、対照群(表3にCと略記)と比較して、モデル群(表3にBと略記)の肺組織において肺線維症の非常に有意な病理学的変化を示したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラット肺線維症病変が異なる度合いで有意に改善され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもブレオマイシンによるラット肺線維症病変を有意に抑制でき、さらに、N2〜N54治療群効果は、いずれもN1治療群より優れていることが明らかになった。
Figure 0006965362
実施例25 酸加水分解法によるラット肺組織中のヒドロキシプロリン含有量の検出
実施例20に係るモデル群、対照群及び治療群ラットの肺組織を採取し、酸加水分解法によるヒドロキシプロリン酸定量アッセイキット(BioVision、品番:K555−100)を使用して肺組織中のヒドロキシプロリン含有量を検出し、その結果は、表4に示すHYPの欄に示された。
結果は、対照群(表4にCと略記)と比較して、モデル群(表4にBと略記)は、ラット肺組織中のヒドロキシプロリン含有量が有意に上昇したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラット肺組織中のヒドロキシプロリン含有量がいずれも異なる度合いで有意に低減され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもブレオマイシン誘発性肺線維症に対して有意な抑制効果があり、さらに、N2〜N54治療群の効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
実施例26 qPCR法によるラット肺組織中でのtgf−βのmRNA含有量の検出
実施例20に係る対照群、モデル群及び治療群ラットの肺組織を採取し、TRIZOL法により肺組織からRNAを抽出し、逆転写してcDNAを得た後、リアルタイムPCR(qPCR)キット(Applied Biosystems、品番4319413E)を使用してtgf−β(フォワードプライマー:GAGGTGACCTGGGCACCAT、リバースプライマー:GGCCATGAGGAGCAGGAA)のmRNA含有量を検出し、18s rRNAを内部参照とし、結果は、表4に示すtgf−β値の欄に示された。
結果は、対照群(表4にCと略記)と比較して、モデル群(表4にBと略記)は、ラットtgf−βのmRNA含有量が有意に上昇したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラットtgf−βのmRNA含有量がいずれも異なる度合いで有意に低減され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもブレオマイシンによるtgf−β遺伝子発現を有意に抑制でき、さらに、N2〜N54治療群の効果はいずれもN1治療群より優れていることが示された。
実施例27 ELISA法による活性化TGF−β含有量の検出
実施例20に係るモデル群、対照群及び各治療群ラットの肺組織を採取し、ELISA法により活性化TGF−β含有量を検出し、実施手順は、実施例9と同様であり、結果は、表4に示す活性化TGF−β含有量(活性化TGF−β/TGF−β全体)の欄に示された。
対照群(表4にCと略記)と比較して、モデル群(表4にBと略記)は、ラットの肺組織において活性化TGF−β含有量が有意に増加したが、モデル群と比較して、N1〜N54の各治療群は、ラットの肺組織において活性化TGF−β含有量がいずれも異なる度合いで有意に低減され、N1〜N54のいずれか1つの静脈内注射は、いずれもブレオマイシンによるTGF−β活性化を有意に抑制でき、さらに、N2〜N54治療群の効果は、いずれもN1治療群より優れていることが示された。
Figure 0006965362
実施例28 急性毒性試験
実験対象としてC57BL/6J マウス(成都達碩実験動物有限公司から購入、雄性、体重16〜17g)を採用し、滅菌生理食塩水又はポリペプチド医薬品(0日目)を尾静脈から注射し、13日までに1日1回注射した。対照群のマウスは、滅菌生理食塩水を注射し、投与群のマウスは、ポリペプチド医薬品(20mg/kg)を注射した。14日目にマウスを致死させた後、脳、心臓、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を採取して病理学的検査(HE染色)を行い、結果は、図21〜図26に示した。
図21は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、マウス脳組織内に海馬ニューロンが規則的に配置され、且つ脳内の出血、炎症性細胞浸潤及び浮腫などの病理現象がないことを示した。
図22は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、心筋細胞の浮腫、肥大が認められず、炎症性細胞浸潤、毛細血管増殖及び線維芽細胞増殖などの病理現象も認められないことを示した。
図23は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、肝細胞は中心静脈を中心に放射状に並んでおり、肝細胞の空胞変性や壊死が認められず、炎症性細胞浸潤や辺縁線維症などの病理現象も認められないことを示した。
図24は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、肺胞腔は、空胞のような薄い壁の構造が現れ、肺胞壁の肥厚及び炎症性細胞浸潤などの病理現象が認められないことを示した。
図25は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、糸球体構造が明確で、顆粒変性、炎症細胞浸潤、毛細血管鬱血などの病理現象が認められないことを示した。
図26は、N1〜N54の各投与群と対照群の染色結果の間に有意差はなく、即ち、脾臓の構造が健全で、脾洞が脾索に囲まれ、互いに繋がって細網組織を形成し、動脈周囲リンパ鞘の肥厚や脾小節数の増加が認められないことを示した。
急性毒性試験の結果は、N1〜N54のいずれの静脈内注射もマウスに臓器毒性を引き起こさないことが示された。
以上、本発明に係る実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定せず、本発明の特許明細書に係る内容による等価な構造または等価なプロセス変換、或いは他の関連技術分野への直接または間接的な応用であれば、いずれも本発明の特許保護範囲に同様に含まれる。

Claims (13)

  1. 配列表のSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチド、配列表のSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  3. 前記ポリペプチド、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11及びSEQ ID NO:27のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  4. 前記ポリペプチド、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13及びSEQ ID NO:14のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  5. 前記ポリペプチド、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  6. 前記ポリペプチド誘導体、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:25及びSEQ ID NO:26のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  7. 前記ポリペプチド誘導体、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11及びSEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のポリペプチド。
  8. 請求項1に記載のポリペプチドを含む、線維性疾患を予防又は治療するための医薬品。
  9. 前記線維性疾患、TGF−βサイトカイン及びそのシグナル伝達経路の過剰な活性化によって引き起こされた疾患であり、慢性関節リウマチ、肺線維症、肝線維症、肝硬変、腎線維症、骨髄線維症、心筋線維症、サルコイドーシス、全身性強皮症、ケロイド、熱傷後肥厚性瘢痕、増殖性網膜症、緑内障、白内障、水晶体後嚢混濁、血管形成術、血管手術または血管損傷後の血管再狭窄、嚢胞性線維症及びマルファン症候群から選択されることを特徴とする請求項に記載の医薬品
  10. 前記ポリペプチド、単一の有効成分、併用成分又は別の医薬品と組み合わせる有効成分として使用されることを特徴とする請求項に記載の医薬品
  11. 前記ポリペプチドと、薬学的に許容される担体と、を含み、前記薬学的に許容される担体、希釈剤、増量剤、賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、吸収促進剤、滑沢剤、吸着担体、徐放性ミクロスフェア、インプラント、インサイチュミクロスフェア、リポソーム、マイクロエマルジョン、インサイチュハイドロゲル、ナノ粒子、プロテアーゼ阻害剤、生体接着剤、融合タンパク質、抗体、ポリペプチドから選択されることを特徴とする請求項に記載の医薬品
  12. 前記ポリペプチドの剤形、錠剤、注射剤、カプセル剤、顆粒剤、眼科用製剤、吸入剤、軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤、エアロゾル剤、ゲル剤、散剤、塗布剤、インプラント剤、ローション剤から選択されることを特徴とする請求項に記載の医薬品
  13. 前記ポリペプチドの投与経路、経口投与、肺内投与、経鼻投与、経皮投与、眼内投与、静脈内点滴、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射から選択されることを特徴とする請求項に記載の医薬品
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