JP2000086378A - ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製造方法 - Google Patents

ガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製造方法

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JP2000086378A JP19208999A JP19208999A JP2000086378A JP 2000086378 A JP2000086378 A JP 2000086378A JP 19208999 A JP19208999 A JP 19208999A JP 19208999 A JP19208999 A JP 19208999A JP 2000086378 A JP2000086378 A JP 2000086378A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度な燃焼速度を有し、実質的に一酸化炭素
を生成せず、感度が適正で取扱いが容易であるととも
に、安価なガス発生剤組成物及びその成形物並びにガス
発生剤成形物を所定形状に容易に、しかも効率良く製造
することができるガス発生剤成形物の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ガス発生剤組成物は、酸化剤及び粉末状
微結晶炭素を含有する。酸化剤として硝酸アンモニウム
が好ましく、粉末状微結晶炭素として活性炭が好まし
い。酸化剤成分の含有量は93〜99重量%、粉末状微
結晶炭素の含有量は1〜7重量%が望ましい。また、酸
化剤成分の平均粒子径は1〜1000μm、粉末状微結
晶炭素の平均粒子径は1〜500μmで、比表面積は5
〜1600m2 /gが好ましい。さらに、RDX等の高
エネルギ−物質を含有することが望ましい。このガス発
生剤組成物はプリテンショナ−装置用として好適であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両に搭
載され、乗員保護のエアバックを膨張させるためのガス
発生装置(以下、単にガス発生器という)又はシ−トベ
ルトを巻き上げるためのプリテンショナ−装置に装填さ
れるガス発生剤組成物及びその成形物並びに成形物の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からエアバックを膨らませるために
用いられるガス発生剤として、アジ化ナトリウムと各種
酸化剤とを主成分とするものが知られている。
【0003】しかし、アジ化ナトリウムの強い毒性や取
扱い性の悪さから、最近ではアジ化ナトリウムを使用し
ないガス発生剤が求められている。また、さらに好まし
いガス発生剤としては、適度な燃焼速度を有し、一酸化
炭素及び燃焼残査が発生せず、取扱い性に優れ、しかも
生成ガス量が多く、安価なものである。
【0004】こうした要求に応じるために、硝酸アンモ
ニウムを主成分とするガス発生剤が多方面で研究されて
いる。例えば、特公平6−69916号公報には、硝酸
アンモニウム、アジド基を発生する有機結合剤及び活性
可塑剤からなるガス発生剤が開示されている。
【0005】また、特開平7−215790号公報に
は、硝酸アンモニウム、熱可塑性エラストマ−である結
合剤、グリシジルアジドの重合生成物である可塑剤から
なるガス発生剤が開示されている。
【0006】さらに、特開平10−72273号公報に
は、硝酸アンモニウム、還元剤及び燃焼調整剤からなる
ガス発生剤が開示されている。また、米国特許第395
4528号公報には、硝酸アンモニウム等の酸化剤、ト
リアミノグアニジンナイトレ−ト及び結合剤からなるガ
ス発生剤が開示されている。
【0007】加えて、米国特許第5531941号公報
には、硝酸アンモニウム及びトリアミノグアニジンナイ
トレ−トからなるガス発生剤が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特公平6−69916号及び特開平7−215790号
の各公報に記載のガス発生剤は、燃焼速度が遅く、さら
に一酸化炭素が発生するという問題があった。
【0009】また、特開平10−72273号公報に記
載のガス発生剤は、還元剤として使用する原材料が高価
であるため、製造されたガス発生剤も高価になるという
問題があった。
【0010】さらに、米国特許第3954528号及び
第5531941号公報に記載のガス発生剤は、原材料
にトリアミノグアニジンナイトレ−トを使用しているた
め、衝撃等による感度が高く、取扱いが困難になるとい
う問題があった。
【0011】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、適度な燃焼速度を有し、実質的に一酸化炭
素を生成せず、感度が適正で取扱いが容易であるととも
に、安価なガス発生剤組成物及びその成形物を提供する
ことにある。また、そのようなガス発生剤成形物を所定
形状に容易に、しかも効率良く製造することができるガ
ス発生剤成形物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明のガス発生剤組成物は、酸化剤及び粉末
状微結晶炭素を含有するものである。
【0013】第2の発明のガス発生剤組成物は、第1の
発明において、酸化剤成分の含有量が93〜99重量
%、粉末状微結晶炭素の含有量が1〜7重量%のもので
ある。第3の発明のガス発生剤組成物は、第1又は第2
の発明において、酸化剤成分の平均粒子径が1〜100
0μm、粉末状微結晶炭素の平均粒子径が1〜500μ
mであり、比表面積が5〜1600m2 /gのものであ
る。
【0014】第4の発明のガス発生剤組成物は、第1か
ら第3のいずれかの発明において、酸化剤が硝酸アンモ
ニウムである。第5の発明のガス発生剤組成物は、第1
から第3のいずれかの発明において、酸化剤が相転移抑
制硝酸アンモニウムである。
【0015】第6の発明のガス発生剤組成物は、第1か
ら第5のいずれかの発明において、さらに高エネルギ−
物質を含有するものである。第7の発明のガス発生剤組
成物は、第1から第6のいずれかの発明において、さら
に結合剤及び不揮発性溶剤を含有するものである。
【0016】第8の発明のガス発生剤成形物は、酸化剤
及び粉末状微結晶炭素を含有するガス発生剤組成物を所
定形状に成形したものである。第9の発明のエアバック
用ガス発生剤成形物は、第1から第7のいずれかの発明
のガス発生剤組成物を外径5〜40mm及び薬長5〜4
0mmの柱状に成形し、その内部に軸線方向に延びる7
個若しくは19個の貫通孔をほぼ均等距離をおいて穿設
し、その貫通孔の内径を1〜10mm、表面から貫通孔
までの厚みを3mm以下となるように構成するか、又は
外径3〜10mm及び薬長2〜10mmの柱状に成形
し、その中心に軸線方向に延びる1個の貫通孔を穿設
し、その貫通孔の孔径を1〜8mm、表面から貫通孔ま
での厚みを3mm以下となるように構成したものであ
る。
【0017】第10の発明のプリテンショナ−装置用ガ
ス発生剤成形物は、第1から第7のいずれかの発明のガ
ス発生剤組成物を外径0. 5〜5mm及び薬長0. 5〜
5mmの柱状に成形し、その中心に軸線方向に延びる1
個の貫通孔を穿設し、その貫通孔の孔径を0. 1〜4m
m、表面から貫通孔までの厚みを1mm以下となるよう
に構成したものである。
【0018】第11の発明のガス発生剤組成物の製造方
法は、第1から第7のいずれかの発明のガス発生剤組成
物に有機溶剤を加えて塊状体とし、その塊状体を押出装
置により所定形状に押出し成形するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て順次詳細に説明する。ガス発生剤組成物は、酸化剤及
び還元剤として粉末状微結晶炭素を含有する。酸化剤と
しては特に限定されず、ガス発生剤として使用可能なも
ののいずれもが使用できる。具体的には、例えば硝酸
塩、亜硝酸塩、オキソハロゲン酸塩等が挙げられる。
【0020】硝酸塩としては、例えば、硝酸アンモニウ
ム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム
等のアルカリ金属塩、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウ
ム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。それらのう
ち、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩が好ましい。
【0021】亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸ナトリウ
ム、亜硝酸カリウム等のアルカリ金属塩、亜硝酸バリウ
ム、硝酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属塩等が挙
げられる。
【0022】オキソハロゲン酸塩としては、例えばハロ
ゲン酸塩、過ハロゲン酸塩等が挙げられる。ハロゲン酸
塩の具体例としては、例えば塩素酸カリウム、塩素酸ナ
トリウム等のアルカリ金属塩、塩素酸バリウム、塩素酸
カルシウム等のアルカリ土類金属塩、塩素酸アンモニウ
ム等のアンモニウム塩が挙げられる。
【0023】過ハロゲン酸塩の具体例としては、例えば
過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等のアルカリ金
属塩、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム等のアル
カリ土類金属塩、過塩素酸アンモニウム等のアンモニウ
ム塩が挙げられる。
【0024】これらの酸化剤の中でも、ナトリウム塩や
カリウム塩のようにガス発生剤燃焼後に燃焼残査を生じ
ない硝酸や過塩素酸のアンモニウム塩が好ましく、さら
にガス発生剤燃焼後に発生する生成ガスを考慮すれば硝
酸アンモニウムが特に好ましい。
【0025】酸化剤は混合性と燃焼性から粉末であるこ
とが望ましい。その平均粒子径は1〜1000μmの範
囲であることが好ましく、ガス発生剤成形物の機械的物
性及び燃焼性能を考慮すれば1〜500μmの範囲であ
ることがさらに好ましい。この平均粒子径は、1〜20
0μmの範囲であることが特に好ましい。
【0026】その平均粒子径が1μm未満の場合、製造
が困難である。一方、平均粒子径が1000μmを越え
ると、バインダーと混合しにくいため、成形物の機械的
物性が悪くなる傾向にあり、しかも燃焼速度が遅くなる
傾向にある。
【0027】また、酸化剤として特に好ましいものは硝
酸アンモニウムである。温度により結晶構造が変化する
のを抑制した相転移抑制硝酸アンモニウムも使用でき
る。この相転移抑制硝酸アンモニウムは、次のようにし
て得られる。まず、所定の温度に加熱した溶融槽内にて
溶融させた硝酸アンモニウムに、例えば酸化亜鉛、酸化
ニッケル、臭化カリウム又は硝酸カリウム等を加えて混
合する。
【0028】次いで、この混合物を溶融槽内で撹拌しな
がら冷却させることにより得られる。あるいは、溶融槽
内で前記原料を混合した後、圧縮機からの圧縮空気で溶
融物を噴霧させることにより得られる。
【0029】一般的に、結合剤の使用量が2〜3重量%
と少ない圧縮成型における成形物は、温度により硝酸ア
ンモニウムの結晶構造が変化し、ガス発生剤の粉化が生
じるため、相転移抑制硝酸アンモニウムの使用が望まし
い。
【0030】一般的に、結合剤を10重量%程度使用す
る押出成型における成形物は、結合剤が硝酸アンモニウ
ムの表面を十分に覆っている。そのため、温度により生
じる硝酸アンモニウムの結晶構造の変化を結合剤が吸収
するため、ガス発生剤の粉化を防止することができる。
【0031】従って、押出成型にて成形する場合には、
相転移抑制硝酸アンモニウムの使用も可能であるが、ガ
ス発生器内のフィルタ−の簡略化及びガス発生器の小型
化を図ることのできる燃焼残査を発生しない通常の硝酸
アンモニウム、すなわち前記相転移抑制硝酸アンモニウ
ムではない硝酸アンモニウムを使用することがさらに望
ましい。
【0032】また、硝酸アンモニウムは著しい吸湿性も
有している。そのような吸湿性を抑制するために、表面
を被覆(コーティング)処理した硝酸アンモニウムを使
用することが望ましい。
【0033】このコ−ティングした硝酸アンモニウム
は、次のようにして得られる。まずは、有機溶剤とコー
ティング剤を容器内に入れ、有機溶剤の温度が70〜8
0℃となるまで加熱してコーティング剤を有機溶剤に溶
解する。その後その容器内へ硝酸アンモニウムを入れて
撹拌しながら、混合物の温度を常温となるまで下げるこ
とによりコーティングした硝酸アンモニウムを得られ
る。
【0034】コ−ティング剤としては、硝酸アンモニウ
ムの表面をコーティングし、吸湿を防止できるものであ
れば全て使用できる。例えば、ポリエチレングリコール
等のポリグリコール系ポリマー、ポリビニル系ポリマー
及びパラフィンワックス等が挙げられる。これらのう
ち、硝酸アンモニウムの吸湿を防止するコーティング剤
としての効率を考慮すれば、ポリエチレングリコールが
最も好ましい。
【0035】また、ポリエチレングリコール自身の吸湿
性を考慮すれば、分子量6000〜20000のポリエ
チレングリコールを使用することがさらに好ましい。コ
ーティング処理を行うことにより硝酸アンモニウムの吸
湿が防止でき、そのため硝酸アンモニウムの取扱いが容
易となる。さらに、コーティング処理された硝酸アンモ
ニウムは、バインダーとの相溶性も改善されるため、成
形物の機械的物性も向上する。
【0036】酸化剤の配合量は、酸化剤及び粉末状微結
晶炭素の総量に対して、93〜99重量%の範囲が好ま
しく、ガス発生剤の生成ガス量及び生成ガス中に一酸化
炭素が実質的に生成しないように考慮すれば94〜98
重量%の範囲がさらに好ましい。この酸化剤の配合量
は、94〜96重量%の範囲が特に好ましい。
【0037】この配合量が93重量%未満では生成ガス
量が低下し、さらに生成ガス中に一酸化炭素が生成する
傾向にある。また99重量%を越えると燃焼速度が遅く
なり、さらに低圧での燃焼が維持できなくなる傾向にあ
る。
【0038】この明細書で、一酸化炭素が実質的に生成
しない条件とは、生成ガス中に占める一酸化炭素の濃度
が5000ppm以下であることを意味する。次に、粉
末状微結晶炭素について説明する。粉末状微結晶炭素と
は、二次元的には黒鉛に類似して網平面が平行、等間隔
に積み重なっているが、層平面は垂直方向に関して完全
には配向しておらず、層が不規則に積み重なっているも
の、及び炭素六角形が不規則な交差連結をした空間格子
からなるもので、黒鉛表面にゆがみがあるもの、すなわ
ち黒鉛に比べて構造の完全性に欠ける黒鉛系の微結晶の
集合体を意味する。
【0039】この粉末状微結晶炭素が還元剤として機能
する。この粉末状微結晶炭素は、活性炭、コークス、木
炭、獣炭、骨炭、アセチレンブラック及びカ−ボンブラ
ック等であれば特別に制限されるものではないが、ガス
発生剤の燃焼性能を向上させるために活性炭が好まし
い。この活性炭を製造するための出発原料としては、や
し殻、石炭、木炭等が挙げられ、それらの出発原料であ
れば特別に制限されるものではない。活性炭として好ま
しくは細孔径の小さいやし殻系のものである。
【0040】また、活性炭を作製するための賦活方法
は、水蒸気、二酸化炭素及び空気などによるガス賦活法
と塩化亜鉛及び塩化カルシウムなどによる薬品賦活法が
あり、それらの賦活方法であれば特別に制限されるもの
ではない。活性炭の好ましい賦活方法は、細孔径の小さ
くなるガス賦活法である。
【0041】粉末状微結晶炭素の平均粒子径は0. 1〜
500μmの範囲であることが好ましく、ガス発生剤成
形物の機械的物性及び燃焼性能を考慮すれば1〜100
μmの範囲であることがさらに好ましい。この平均粒子
径は、3〜50μmの範囲が特に好ましい。平均粒子径
が500μmを越えると燃焼速度が遅くなる傾向にあ
る。一方、平均粒子径が0. 1μm未満では製造性が悪
くなる傾向にある。
【0042】また、粉末状微結晶炭素の比表面積は5〜
1600m2 /gの範囲であることが好ましく、ガス発
生剤成形物の機械的物性及び燃焼性能を考慮すれば10
〜1500m2 /gの範囲であることがさらに好まし
い。この比表面積は、50〜1300m2 /gの範囲が
特に好ましい。比表面積が1600m2 /gを越えると
製造性が悪くなる傾向にある。一方、比表面積が5m2
/g未満では、燃焼速度が遅くなる傾向にある。
【0043】また、粉末状微結晶炭素の配合量は、酸化
剤及び粉末状微結晶炭素の総量に対して、1〜7重量%
の範囲が好ましく、燃焼性能を向上させ、しかも生成ガ
ス中に一酸化炭素を実質的に生成しないようにするには
2〜6重量%の範囲がさらに好ましい。この粉末状微結
晶炭素の配合量は、4〜6重量%の範囲が特に好まし
い。配合量が1重量%未満では、燃焼速度が遅くなり、
さらに低圧での燃焼が維持できなくなる傾向にある。逆
に、7重量%を越えると生成ガス中に一酸化炭素が生成
する傾向にある。
【0044】次に、ガス発生剤の燃焼速度をさらに向上
させるためには、高エネルギ−物質を配合することが好
ましい。そのような高エネルギ−物質としては、RDX
(トリメチレントリニトロアミン)、HMX(テトラメ
チレンテトラニトロアミン)、PETN(ペンタエリス
リト−ルテトラナイトレ−ト)、TAGN(トリアミノ
グアニジンナイトレ−ト)、HN(硝酸ヒドラジン)等
が挙げられる。これらのうち、酸化剤との反応性を考慮
すればRDXが最も好ましい。
【0045】また、高エネルギ−物質の平均粒子径は1
〜500μmの範囲であることが好ましく、ガス発生剤
成形物の機械的物性及び燃焼性能を考慮すれば1〜10
0μmの範囲であることがさらに好ましい。この平均粒
子径は、1〜30μmの範囲が特に好ましい。平均粒子
径が1μm未満では製造が困難である。一方、平均粒子
径が500μmを越えると、バインダーとの混ざりが悪
いため成形物の機械的物性が悪くなる傾向にあり、また
燃焼速度向上の効果が発揮されない傾向にある。
【0046】高エネルギ−物質の配合量は、ガス発生剤
組成物中において、1〜15重量%の範囲が好ましく、
取扱い性及び燃焼性能を向上させ、しかも生成ガス中に
一酸化炭素が実質的に生成しないようにするには1〜1
0重量%の範囲がさらに好ましい。高エネルギ−物質の
添加量は1〜5重量%の範囲が特に好ましい。配合量が
1重量%未満では燃焼速度向上の効果が発揮されない傾
向にある。一方、配合量が15重量%を越えると衝撃等
の感度が高くなるため取り扱いが困難となる。
【0047】次に、ガス発生剤の粒状化(グレイン化)
を行うために結合剤を配合することが好ましい。そのよ
うな結合剤としては、酢酸セルロ−ス、酢酸酪酸セルロ
ース、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ニ
トロセルロ−ス、 ポリビニルアルコ−ル、グリシジル
アジドポリマ−、熱可塑性エラストマ−類、熱硬化性エ
ラストマ−類等が挙げられる。また、これらの混合物も
使用可能である。
【0048】結合剤の配合量は、ガス発生剤組成物中に
おいて、5〜25重量%であることが好ましく、ガス発
生剤成形物の機械的物性及び燃焼速度を向上させ、しか
も生成ガス中に一酸化炭素が実質的に生成しないように
するには8〜20重量%がさらに好ましい。この結合剤
の配合量は、10〜15重量%が特に好ましい。結合剤
の配合量が5重量%未満では硝酸アンモニウムの粉体成
分を完全に被覆することができず、成形物の機械的物性
が悪くなり、また成形が困難になる傾向にある。一方、
25重量%を越えるとガス発生剤成形物の機械的物性は
向上するが、他の組成の配合比率が低下するため燃焼性
が悪くなり、また生成ガス中に一酸化炭素が生成し、さ
らに燃焼速度が遅くなる傾向にある。
【0049】次に、ガス発生剤組成物には可塑性を付与
し、成形性を向上させるために不揮発性溶剤を配合する
ことが好ましい。そのような不揮発性溶剤としては、結
合剤と相溶性の良いものであれば全て使用できる。例え
ば、ジブチルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチ
ルフタレート等のフタル酸ジエステル可塑剤、リン酸エ
ステル、トリアセチン、アセチルトリエチルサイトレー
ト等の脂肪酸エステル可塑剤、トリメチロ−ルエタント
リナイトレ−ト、ジエチレングリコ−ルジナイトレ−
ト、トリエチレングリコ−ルジナイトレ−ト、ニトログ
リセリン、ビス−2, 2−ジニトロプロピルアセタ−ル
/ホルマ−ル等のニトロ可塑剤、グリシジルアジド可塑
剤等が挙げられる。
【0050】不揮発性溶剤の添加量は、ガス発生剤組成
物中において0.5〜5重量%の範囲が好ましく、生成
ガス中に一酸化炭素が実質的に生成しないようにするに
は0.5〜4重量%の範囲がさらに好ましい。さらにこ
の不揮発性溶剤の添加量は、0.5〜4重量%の範囲が
特に好ましい。
【0051】不揮発性溶剤の添加量が0.5重量%未満
では成形性を向上させる効果が少なくなる傾向にある。
一方、5重量%を越えると不揮発性溶剤としての効果は
多大となるが、他の成分の配合比率が低下するため燃焼
性が悪くなり、また生成ガス中に一酸化炭素が生成する
傾向にある。
【0052】次に、ガス発生剤組成物中にニトロセルロ
ース又はニトロ可塑剤が配合されている場合には、自然
分解を抑制するための安定剤を配合することが好まし
い。そのような安定剤としては、一般に用いられるニト
ロセルロース又はニトロ可塑剤の自然分解を抑制する安
定剤を全て使用することができる。例えば、ジフェニル
アミン、2−ニトロジフェニルアミン、エチルセントラ
リット、レゾルシノール等が挙げられる。このような安
定剤を添加することにより、ガス発生剤成形物の安定性
が増し、ニトロセルロース又はニトロ可塑剤の自然分解
を抑制でき、ガス発生剤の長期にわたる使用が可能とな
る。
【0053】次に、有機溶剤を用いた押出成形法による
ガス発生剤成形物の製造方法について説明する。まず最
初に、酸化剤、粉末状微結晶炭素及び必要により高エネ
ルギー物質、結合剤及び不揮発性溶剤を所定量計量す
る。
【0054】押出成形法で用いられる有機溶剤として
は、結合剤を完全に溶解するものが全て使用可能であ
る。例えば、アセトン、エチルアルコール、酢酸エチル
等の有機溶剤が挙げられる。これらの混合溶液も使用可
能である。例えば、アセトンとエチルアルコールの混合
溶液における混合割合は、重量比でアセトン/エチルア
ルコール=90/10〜20/80の範囲が好ましい。
ガス発生剤組成物の成形性を考慮すれば、重量比でアセ
トン/エチルアルコール=80/20〜40/60の範
囲がさらに好ましい。なぜならば、アセトンのみでは蒸
発速度が速いため製造が困難となり、逆にエチルアルコ
ールのみでは結合剤を完全に溶かすことが困難となるか
らである。
【0055】その後、全ての原材料を捏和機内に入れ、
それに前記有機溶剤液を適量混和機内に加えて均一な混
合物を調整する。そして、均一に混合された混合物を押
出装置に装填し、所定の圧力を加え、ダイスを通しなが
ら押し出すことによりガス発生剤は所定の形状及び大き
さに成形される。
【0056】すなわち、図1に示すように、ガス発生剤
成形物1の形状は図1(a)に示すような円柱体2、図
1(b)に示すような軸線方向に延びる貫通孔3を有す
る円柱体2、図1(c)に示すような7個の貫通孔3を
有する円柱体2、図1(d)に示すような19個の貫通
孔3を有する円柱体2が挙げられる。さらに、図1
(e)に示すような7個の貫通孔3を有する異形柱体
4、図1(f)に示すような19個の貫通孔3を有する
異形柱体4、図1(g)に示すような7個の貫通孔3を
有する六角柱体5、図1(h)に示すような19個の貫
通孔3を有する六角柱体5が挙げられる。
【0057】図1(c)〜(h)に示すガス発生剤成形
物1では、周囲の貫通孔3の中心を結ぶ形状はいずれも
正六角形をなし、隣接する3つの貫通孔3の中心を結ぶ
形状は全て正三角形をなしている。従って、各貫通孔3
間の距離は全て等距離となっている。
【0058】また、このガス発生剤成形物1の形状と大
きさは、用途により大きく異なるが、一般的には外径が
0.5〜50mm、長さ(以下、薬長という)0.5〜
50mm程度である。例えば、自動車が衝突した時、極
短時間での作動、具体的には5〜20msで燃焼が完了
することを要求されるプリテンショナー用ガス発生剤等
には、外径0.5〜5mm、内孔径0.1〜4mm、薬
長0.5〜5mm程度の図1(b)に示すような貫通孔
3を有する円柱体2が使用される。
【0059】なお、プリテンショナー装置とは、自動車
用シ−トベルトに装着され、衝突時にガス発生剤が点火
されて燃焼し、その際発生する圧力によりシ−トベルト
を巻き上げて、体が前方に押し出されるのを防止する装
置である。
【0060】成形性及びガス発生速度を考慮すれば、ガ
ス発生剤成形物1の寸法で好ましいのは外径0.5〜2
mm、内孔径0.2〜1mm、薬長0.5mm〜2mm
である。成形物の表面から内孔までの厚みが0.1mm
以下または長さが0.5mm未満では成形が困難となる
傾向にある。また、厚さが1mmを越える場合または長
さが5mmを越える場合、ガス発生速度が遅く、ガス発
生剤としての性能を十分に発揮できない傾向にある。
【0061】例えば、プリテンショナー用ガス発生剤ほ
ど速くないガス発生速度、具体的には25〜55msで
燃焼が完了することを要求されるエアバック用のガス発
生剤成形物1には、外径5〜40mm、内孔径1〜10
mm、薬長5〜40mm程度の図1(c)から図1
(h)に示すもの、又は外径3〜10mm、内孔径1〜
8mm、薬長2〜10mm程度の図1(b)に示すもの
が使用される。ただし、厚さが3mmを越えた場合、ガ
ス発生速度が遅く、ガス発生剤としての性能を十分に発
揮できない傾向にある。
【0062】また、アセトン、エチルアルコール、酢酸
エチル等の有機溶剤がガス発生剤中に多く含有されてい
ると燃焼性能の低下がみられるため、有機溶剤をできる
限り取り除くことが好ましい。乾燥終了時の有機溶剤分
は通常0.5重量%、水分は1.0重量%以下が好まし
く、成形後の取扱いを考慮すれば有機溶剤分0.3重量
%以下、水分0.5重量%以下がさらに好ましい。この
乾燥終了時の有機溶剤分は0.1重量%以下、水分0.
2重量%以下が特に好ましい。有機溶剤分が0.5重量
%又は水分が1.0重量%を越える場合、ガス発生剤の
ガス発生速度や機械的物性が低下する傾向がある。
【0063】さて、自動車などの車両が高速で衝突した
際の衝撃を感知した後、瞬時に電気的又は機械的手段に
より点火剤が点火し、この火炎によりガス発生剤が着火
燃焼される。この着火方法により着火されたガス発生剤
の燃焼速度は、1mm/秒〜500mm/秒程度であ
る。1mm/秒未満の燃焼速度の場合、エアバック内の
圧力上昇が遅いため望ましくない。一方、500mm/
秒を越える燃焼速度の場合、エアバック内の圧力が急激
に上昇し、エアバックが破れる等の問題が生じるため、
ガス発生剤としての性能を十分に発揮できない傾向にあ
る。
【0064】以上のような実施形態により発揮される効
果について以下に記載する。 ・ 実施形態のガス発生剤組成物によれば、酸化剤と還
元剤としての粉末状微結晶炭素が効率良く反応すること
から、適度な燃焼速度を発揮でき、さらにガス発生剤の
単位重量当たりの生成ガス量を多くすることができる。
【0065】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、ガス発生剤の生成ガス量を多くすることができるた
め、ガス発生器内に装填するガス発生剤の量を低減させ
ることができる。
【0066】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、ガス発生剤の量を少なくできるため、ガス発生器の
小型化を図ることができる。 ・ 実施形態のガス発生剤組成物によれば、酸化剤とし
て硝酸アンモニウムを使用した場合、さらに燃焼残査の
発生を抑制でき、それにより燃焼残査を捕集するための
フィルタ−を簡略化することができる。
【0067】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、ガス発生剤の量を少なくでき、しかも燃焼残査を捕
集するフィルタ−を簡略化できることから、ガス発生器
をさらに小型化することができる。
【0068】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、ガス発生剤組成物にはアジ化ナトリウムが含有され
ていないため、腐食性のナトリウムやナトリウム化合物
を生成するおそれはなく、さらに衝撃等の感度の高い原
材料も使用しないことから取扱いが容易である。
【0069】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、酸化反応に必要な酸素を酸化剤により確保できるこ
とから、実質的に一酸化炭素の生成を抑制できる。 ・ 実施形態のガス発生剤組成物によれば、還元剤であ
る粉末状微結晶炭素は、安価な物質であることから、安
価なガス発生剤が供給できる。
【0070】・ 実施形態のガス発生剤組成物によれ
ば、以上のような効果が得られるため、ガス発生剤組成
物及びその成形物はガス発生剤として最適である。 ・ 実施形態のガス発生剤成形物によれば、目的に応じ
て前記のようなガス発生剤組成物を円柱状、貫通孔を有
する円柱状、角柱状、貫通孔を有する角柱状等の形状に
賦形できる。このため、ガス発生器に容易に装填でき
て、ガス発生剤としての効果を有効に発揮させることが
できる。
【0071】・ 実施形態のガス発生剤成形物によれ
ば、所定の外径及び長さの柱状に形成し、その中心に所
定の孔径を有する1個の貫通孔を穿設することにより、
プリテンショナー装置用に好適なものとすることができ
る。
【0072】・ 実施形態のガス発生剤成形物によれ
ば、例えば押出成形法により、所定形状のガス発生剤成
形物を容易に、しかも効率良く製造することができる。
【0073】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実
施形態のガス発生剤について具体的に説明する。 (実施例1)平均粒径15μmの硝酸アンモニウム9
4. 0重量%、比表面積約950m2/gの活性炭6.
0重量%の割合になるように混合した後、この混合物を
ロ−タリ−式打錠機を使用して直径7mm×厚さ4. 5mm
の円柱状成形物を調整した。このガス発生剤組成物を用
いて、図2に示す密閉ボンブ試験装置により燃焼時の生
成ガス中の一酸化炭素濃度、燃焼残渣及び燃焼速度を求
めた。さらに、このガス発生剤組成物を用いて衝撃着火
感度も求めた。 (一酸化炭素、燃焼残渣及び燃焼速度の測定方法)ま
ず、密閉ボンブ試験装置について説明する。図2に示す
ように、ボンブ本体6内には一定容積を有する燃焼室7
が設けられ、その燃焼室7にはガス発生剤成形物1が装
填される。ボンブ本体6の一端側には燃焼室7内にガス
発生剤成形物1を装填したり、密閉したりするための栓
体8が装着され、ボルト9により着脱可能になってい
る。同じくボンブ本体6の一端側には、接続配線10を
介して点火装置11が接続されている。
【0074】燃焼室7内における栓体9の内端面には一
対の電極12が取り付けられて、一方の電極12には前
記一方の接続配線10が接続され、他方の電極12はボ
ンブ本体6に接続されている。両電極12には接続線を
介して点火玉13が取り付けられている。そして、点火
装置11を作動させることにより接続配線10、電極1
2などを経て点火玉13が点火し、燃焼室7のガス発生
剤成形物1を着火させて燃焼させるようになっている。
【0075】ボンブ本体6の側面には、ガス抜き用バル
ブ14が取り付けられており、サンプリング管15を介
して燃焼室7と連通されている。このガス抜き用バルブ
14から燃焼室7内のガスをサンプリングし、その燃焼
特性を評価できるようになっている。
【0076】なお、ボンブ本体6の他端面には圧力変換
器16が取り付けられ、連通管17を介して燃焼室7と
連通されている。この圧力変換器16から試料が燃焼し
た際の燃焼時間と燃焼圧力との関係を求めることができ
るようになっている。
【0077】そして、栓体8を抜いた状態で燃焼室7内
にガス発生剤成形物1を装填比重0.1g/ccで装填
する。次いで、栓体8を閉めた後、点火装置11にて燃
焼室7のガス発生剤成形物1を着火する。ガス発生剤成
形物1の燃焼後、ガス抜き用バルブ14から生成ガスを
採取する。採取された生成ガスについて、ガスクロマト
グラフィ−を用いて一酸化炭素濃度を求めた。また、ガ
ス発生剤成形物1の燃焼後に栓体8を抜いて燃焼室7に
残った燃焼残査を捕集し、燃焼残査量を求めた。
【0078】さらに、ガス発生剤成形物1が燃焼した際
の燃焼時間と燃焼圧力との関係を圧力変換器16を介し
てオシロスコ−プにて計測し、燃焼圧力210kgf/cm2
時での燃焼速度を求めた。 (衝撃着火感度の測定方法)JISK4810−79の
「火薬類性能試験方法」の落槌感度試験により衝撃着火
感度を求めた。
【0079】これらの試験結果を表1に示した。 (実施例2〜6)表1に示した組成で、実施例1と同様
の方法によりガス発生剤組成物を各々製造し、各々の特
性を実施例1と同じ方法で評価した。それらの結果を表
1に示した。 (実施例7)平均粒径15μmの硝酸アンモニウム8
2. 9重量%、比表面積約950m2/gの活性炭3.
6重量%、ニトロセルロ−ス12. 5重量%、ジフェニ
ルアミン1. 0重量%の割合になるように調整した混合
物に対し、酢酸エチルを50重量%加え、いわゆるウェ
ルナ−混和機で均一に混合した。なお、ウェルナ−混和
機は、横方向に延びる回転軸に支持された撹拌羽根によ
り撹拌、混合する装置である。
【0080】次いで、この混合物を押出装置に装填し
た。押出装置には予め3mmのダイスが取り付けられて
おり、ガス発生剤の成形物は圧力をかけることにより、
このダイスを通りながら押出され円柱状に成形される。
この成形物を1.5mmの長さに裁断し、乾燥すること
により粒状のガス発生剤組成物を得た。
【0081】そして、その粒状ガス発生剤成形物につい
て、実施例1と同じ方法で各特性を評価した。それらの
結果を表1に示した。 (実施例8〜15)表1及び表2に示した組成で、実施
例7と同様の方法によりガス発生剤組成物を各々製造
し、各々の特性を実施例7と同じ方法で評価した。それ
らの結果を表1及び表2に示した。 (実施例16〜28)表3及び表4に示した組成で、実
施例7と同様の方法によりガス発生剤組成物を調製し
た。次いで、この混合物を押出装置に装填した。押出装
置には予め目的とする成形物の形状になるダイスを取付
け、このダイスを通して1個の貫通孔を有する単孔薬を
成形した。得られた単孔薬を1.5mmの長さに裁断
し、乾燥することにより粒状のガス発生剤組成物を得
た。
【0082】各実施例とも成形物の製造性及びそのガス
発生剤組成物を用いた際の密閉ボンブ試験装置による燃
焼完了時間を求めた。その結果を表3及び表4に示し
た。 (比較例1及び2)それぞれ表2に示した組成で、比較
例1は実施例1、また比較例2は実施例7と同様の方法
によりガス発生剤組成物を製造し、各々の特性を実施例
1と同じ方法で評価した。それらの結果を表2に示し
た。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】表1及び表2に示したように、実施例1と
比較例1の比較から、粉末状微結晶炭素として活性炭を
使用した場合の燃焼速度は約29mm/sであり、グラフ
ァイトを使用した場合の燃焼速度である約2mm/sに比
べて燃焼速度が非常に速かった。
【0088】また、硝酸アンモニウムの配合量が、硝酸
アンモニウム及び粉末状微結晶炭素の総量に対して94
〜96重量%である各実施例においては成形が容易であ
り、また生成ガス中の一酸化炭素濃度は1000ppm
以上になることはない。
【0089】一方、硝酸アンモニウムの配合量が硝酸ア
ンモニウム及び粉末状微結晶炭素の総量に対して93重
量%未満になった場合(実施例2)には、燃焼残査、燃
焼速度及び成形物の機械的物性については良好である
が、生成ガス中の一酸化炭素濃度が5000ppm程度
に上昇することがわかった。
【0090】さらに、硝酸アンモニウムの配合量が硝酸
アンモニウム及び粉末状微結晶炭素の総量に対して99
重量%を越えた場合(実施例3)には、生成ガス中の一
酸化炭素濃度、燃焼残査及び成形物の機械的物性につい
ては良好であるが、燃焼速度が低下することがわかっ
た。
【0091】従って、硝酸アンモニウム及び粉末状微結
晶炭素の総量に対して硝酸アンモニウムの配合量が93
〜99重量%で、粉末状微結晶炭素の配合量が1〜7重
量%の範囲であれば製造が容易であり、また燃焼速度も
適度であり、しかも生成ガス中の一酸化炭素濃度が10
00ppm以上になることはなく、好ましいことがわか
った。
【0092】また、高エネルギ−物質を配合した場合は
燃焼速度がさらに向上することがわかった。ただし、R
DXの配合量が15重量%を越えた場合(実施例5)に
は、生成ガス中の一酸化炭素濃度、燃焼残査及び成形物
の機械的物性については良好であるが、燃焼速度が向上
し、さらに衝撃着火感度が高くなることがわかった。ま
た、結合剤を配合した場合には成形物の機械的物性が向
上し、取り扱いが容易となることがわかった。
【0093】ただし、ニトロセルロ−スの配合比が25
重量%を越えた場合(実施例8、11)及びジメチルフ
タレートの配合比が5重量%を越えた場合(実施例1
4)、いずれも燃焼残査及び成形物の機械的物性につい
ては良好であるが、燃焼速度が低下し、生成ガス中の一
酸化炭素濃度が5000ppm近くとなった。
【0094】また、表3及び表4に示したように、実施
例16から28の結果より、表面から内孔までの厚みで
ある薬厚が0.2〜0.4mmであれば、使用する硝酸
アンモニウムが通常の硝酸アンモニウム又は相転移抑制
硝酸アンモニウムのどちらでもプリテンショナー用ガス
発生剤としての効果を充分に発揮できることがわかっ
た。
【0095】これに対し、薬厚が0.1mm以下の場合
(実施例17及び22)、燃焼性能は良好であるが、製
造がやや低下することがわかった。また、薬厚が0.5
〜3.0mmの場合(実施例18、19、25及び2
8)、エアバッグ用ガス発生剤としての効果を充分に発
揮できることがわかった。さらに、RDXのような高エ
ネルギー物質を配合した場合、燃焼速度が向上し、燃焼
完了時間が短くなることがわかった。そのため、薬厚を
厚くすることができ(実施例25及び28)、製造性が
向上することがわかった。
【0096】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 5〜20ミリ秒(ms)で燃焼が完了するものであ
る請求項10に記載のプリテンショナ−装置用ガス発生
剤成形物。
【0097】このように構成した場合、ガス発生剤成形
物は極短時間で燃焼し、プリテンショナ−装置を有効に
作動させることができる。 ・ 前記硝酸アンモニウムは、その表面を吸湿性の少な
いコ−ティング剤で被覆処理したものである請求項4か
ら請求項7のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
【0098】このように構成した場合、硝酸アンモニウ
ムの吸湿性を効果的に抑制することができる。 ・ 前記粉末状微結晶炭素は活性炭である請求項1から
請求項7のいずれかに記載のガス発生剤組成物 このように構成した場合、ガス発生剤組成物の燃焼性能
を向上させることができる。
【0099】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
次のような優れた効果を奏する。第1の発明のガス発生
剤組成物によれば、酸化剤と粉末状微結晶炭素が効率良
く反応することから、適度な燃焼速度を有し、実質的に
一酸化炭素を生成せず、感度が適正で取扱いが容易であ
るとともに、コストの低減を図ることができる。
【0100】第2の発明のガス発生剤組成物によれば、
第1の発明の効果に加え、実質的に一酸化炭素の生成を
抑制することができる。第3の発明のガス発生剤組成物
によれば、第1又は第2の発明の効果に加え、製造性を
向上させ、成形物の機械的特性も向上させることができ
る。
【0101】第4の発明のガス発生剤組成物によれば、
第1から第3のいずれかの発明の効果に加え、燃焼残査
の発生がないため、燃焼残査を捕集するためのフィルタ
−を簡略化することができるとともに、ガス発生剤の量
を少なくでき、ガス発生器の小型化を図ることができ
る。
【0102】第5の発明のガス発生剤組成物によれば、
第1から第3のいずれかの発明の効果に加え、温度によ
る硝酸アンモニウムの結晶構造の変化を防止でき、ガス
発生剤の粉化を抑制することができる。
【0103】第6の発明のガス発生剤組成物によれば、
第1から第5のいずれかの発明の効果に加え、ガス発生
剤成形物の燃焼速度を向上でき、大きな形状設計とする
ことが可能となるためにガス発生剤成形物の製造を容易
にすることができる。
【0104】第7の発明のガス発生剤組成物によれば、
第1から第6のいずれかの発明の効果に加え、ガス発生
剤成形物の機械的物性が向上し、さらにガス発生剤成形
物の製造を容易にすることができる。
【0105】第8の発明のガス発生剤成形物によれば、
目的に応じて適宜の形状に賦形でき、ガス発生器に容易
に装填できて、ガス発生剤としての効果を有効に発揮さ
せることができる。
【0106】第9の発明のエアバック用ガス発生剤成形
物によれば、エアバック用に適した形状に賦形でき、ガ
ス発生器に容易に装填できて、エアバック用ガス発生剤
としての効果を有効に発揮させることができる。
【0107】第10の発明のプリテンショナ−装置用ガ
ス発生剤成形物によれば、プリテンショナ−装置用に適
した形状に賦形でき、ガス発生器に容易に装填できて、
プリテンショナ−装置用ガス発生剤としての効果を有効
に発揮させることができる。
【0108】第11の発明のガス発生剤成形物の製造方
法によれば、所定形状のガス発生剤組成物を容易に、し
かも効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(h)は、ガス発生剤成形物の形状
例を示す斜視図。
【図2】 ガス発生剤の燃焼測定用の密閉ボンブ試験装
置を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・ガス発生剤成形物。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化剤及び粉末状微結晶炭素を含有する
    ガス発生剤組成物。
  2. 【請求項2】 酸化剤成分の含有量が93〜99重量
    %、粉末状微結晶炭素の含有量が1〜7重量%である請
    求項1に記載のガス発生剤組成物。
  3. 【請求項3】 酸化剤成分の平均粒子径が1〜1000
    μm、粉末状微結晶炭素の平均粒子径が1〜500μm
    であり、比表面積が5〜1600m2 /gである請求項
    1又は請求項2に記載のガス発生剤組成物。
  4. 【請求項4】 酸化剤が硝酸アンモニウムである請求項
    1から請求項3のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
  5. 【請求項5】 酸化剤が相転移抑制硝酸アンモニウムで
    ある請求項1から請求項3のいずれかに記載のガス発生
    剤組成物。
  6. 【請求項6】 さらに高エネルギ−物質を含有する請求
    項1から請求項5のいずれかに記載のガス発生剤組成
    物。
  7. 【請求項7】 さらに結合剤及び不揮発性溶剤を含有す
    る請求項1から請求項6のいずれかに記載のガス発生剤
    組成物。
  8. 【請求項8】 酸化剤及び粉末状微結晶炭素を含有する
    ガス発生剤組成物を所定形状に成形したガス発生剤成形
    物。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
    のガス発生剤組成物を外径5〜40mm及び長さ5〜4
    0mmの柱状に成形し、その内部に軸線方向に延びる7
    個若しくは19個の貫通孔をほぼ均等距離をおいて穿設
    し、その貫通孔の内径を1〜10mm、表面から貫通孔
    までの厚みを3mm以下となるように構成するか、又は
    外径3〜10mm及び長さ2〜10mmの柱状に成形
    し、その中心に軸線方向に延びる1個の貫通孔を穿設
    し、その貫通孔の孔径を1〜8mm、表面から貫通孔ま
    での厚みを3mm以下となるように構成したエアバック
    用ガス発生剤成形物。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項7のいずれかに記
    載のガス発生剤組成物を外径0. 5〜5mm及び長さ
    0. 5〜5mmの柱状に成形し、その中心に軸線方向に
    延びる1個の貫通孔を穿設し、その貫通孔の孔径を0.
    1〜4mm、表面から貫通孔までの厚みを1mm以下と
    なるように構成したプリテンショナ−装置用ガス発生剤
    成形物。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項7のいずれかに記
    載のガス発生剤組成物に有機溶剤を加えて塊状体とし、
    その塊状体を押出装置により所定形状に押出し成形する
    ガス発生剤成形物の製造方法。
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