JP2000086163A - 建設機械のアウトリガー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレーン等の作業装置を搭載し車輪により走
行するキャリア下面から路面を臨んで伸縮自在にシリン
ダを垂設し、該シリンダのロッド先端部に移動レールを
キャリア外方部下方よりキャリア下面の内方へ臨んで所
定距離移動自在に支持すると共に、該移動レールにポン
ツーンを固設して、前記移動レールを介して前記ポンツ
ーンをキャリア内方に格納するように構成したキャリア
のアウトリガー装置において移動レールを長くすること
なく、ポンツーンの取り出しと格納とを可能にする。 【解決手段】 キャリア２の下面に、該キャリアの外方
部側よりキャリア２の内方側に向かって移動自在に移動
レール２５，２５を支持し、キャリア２の内方部の下面
に、移動レール２５，２５を導入して格納する支持レー
ル３８を設け、前記移動レール２５，２５に一体に固設
されたポンツーン２６をキャリア２の内方側に格納す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車輪により走行する
建設機械のアウトリガー装置に関するものであり、特
に、シリンダを鉛直線方向に沿わせて伸縮自在に設け、
該シリンダのロッド先端部に移動自在に支持した移動レ
ールの移動によって該移動レールに固設されたポンツー
ンをキャリアの外方部下方よりも更に内側に格納するよ
うに構成した建設機械のアウトリガー装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】一般に、車輪によって走行するキャリア
の上面には、建設作業のための作業装置、例えば、荷役
のための旋回クレーンが搭載され、建設現場でキャリア
下面に取付けられている各アウトリガー装置を伸長動作
して路面からキャリアを浮上することにより、キャリア
の安定を確保している。

【０００３】図９乃至図１１は、キャリアの後部とこれ
に取り付けられた従来のアウトリガー装置を示してい
る。図９に示すように、該アウトリガー装置１は、キャ
リア２の下面に取付けられたアウトリガー本体としての
シリンダ３と、該シリンダ３のロッド４先端部に取り付
けられたアダプタ５と、該アダプタ５に取付けられた移
動レール６と、該移動レール６の下面部に一体に固設さ
れたポンツーン７とから構成されている。

【０００４】図１０及び図１１に示すように、前記移動
レール６は、コ字型あるいはＬ字型の形鋼をＵ字形に折
り曲げた湾曲体によって構成され、その上部フランジ８
を前記アタプタ５の外周面に全周に及んで形成されてい
る鍔状の支持部９の上面に支持し、更にそのウエブ１０
の内側面を前記支持部９の両側に摺動自在に当接するこ
とによって、前記移動レール６の前記ロッド４の径方向
への移動を許容している。そして、キャリア２の内方部
の下方側より移動レール６を引き出したとき、該移動レ
ール６の引き出し側を支持するために、前記シリンダ３
から支持レール１１を垂下している。

【０００５】係る構成では、前記ロッド４と前記ポンツ
ーン７の軸芯線とが互いに一致した位置で、前記シリン
ダ３を伸長してアダプタ５の先端面に凹設された凹部１
２を前記ポンツーン７の上面中央部に設けられた凸部１
３に係合することによって、前記アダプタ５とポンツー
ン７との一体化を可能にし、前記シリンダ３を、更に、
伸長することによって、前記ポンツーン７の路面着床
と、前記キャリア２の浮上とを実現している。

【０００６】また、前記移動レール６には、その長手方
向の中央部を中心として左右にピン挿入孔１４，１４が
形成され、前記ロッド４の軸芯線に前記ポンツーン７の
軸芯線が一致する位置で、各ピン挿入孔１４，１４に夫
々ロックピン１５，１５を挿通して前記支持部９をこれ
らロックピン１５，１５で両側から挟むことによって、
移動レール６のロックを実現している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従って、前記ポンツー
ン７を前記キャリア２下方で且つ内側に格納するには、
前記ロッド４を縮退し、前記凸部１３から前記凹部１２
を切り離し、更に、前記ロックピン１５，１５を抜き取
り、この後、前記キャリア２の外方部側から、車輪側へ
移動レール６を押し込むことなるが、ポンツーン７を通
行等の障害とならないように格納するためには、車輪の
接地点と前記ポンツーン７の外周面とを結ぶ線と、接地
面とが成す角、いわゆるディパーチャーアングルを大き
する必要がある。この場合、前記移動レール６をポンツ
ーン７の直径よりも長くすることが考えられるが、係る
構成では、キャリア２の浮上のためにポンツーン７をキ
ャリア２の外方部下方に移動させたときに、移動レール
６がキャリア２の外方端部よりも外側に大きく張り出
し、通行その他、作業を妨げてしまう欠点がある。

【０００８】そこで、クレーン等の作業装置を搭載し車
輪により走行するキャリア下面から路面を臨んでシリン
ダを垂設し、該シリンダのロッド先端部に移動レールを
キャリア外方部下方よりキャリア下面の内方へ臨んで所
定距離移動自在に支持すると共に、該移動レールにポン
ツーンを固設して、前記移動レールを介して前記ポンツ
ーンをキャリア内方に退避するように構成した建設機械
のアウトリガー装置において移動レールを長くすること
なく、ポンツーンの取り出しと格納を可能にするために
解決せられる技術的課題が生じてくるのであり、本発明
は該課題を解決することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、クレーン等の作業装
置を搭載し、車輪により走行するキャリア下面に路面を
臨んで伸縮自在にシリンダを垂設し、該シリンダのロッ
ド先端部に移動レールをキャリア外方部下方とキャリア
内方部下方との間を往復移動自在に支持すると共に、該
移動レールにポンツーンを固設して、前記移動レールの
移動により前記ポンツーンをキャリア内方部下方に格納
する建設機械のアウトリガー装置であって、前記キャリ
ア内方部の下面に、前記キャリア外方部側よりキャリア
の内方部側へ押し込まれた移動レールを導入して格納す
る格納部を設け、前記移動レールにこれをキャリア外方
部側に向けて引き出すための把手を設けた建設機械のア
ウトリガー装置を提供するものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に従って詳述する。なお、説明の都合上、従来技術と
同一の構成については同一符号を付し、その説明は省略
するものとする。

【００１１】図１はトラッククレーンのキャリア後部を
示し、キャリア２の後部下面には、路面を臨んでアウト
リガー本体としてのシリンダ２３が取付けられ、該シリ
ンダ２３のロッド２４の先端部に一対の移動レール２
５，２５が移動自在に支持され、該移動レール２５，２
５の下面部にポンツーン２６が固設されている。

【００１２】図２及び図３に示す如く、前記ポンツーン
２６の上面中央にはロッド２４の球面状の先端面を係合
するために、球面状の凹部２７が形成され、一対の移動
レール２５，２５は、前記凹部２７を挟んで前記ポンツ
ーン２６の上面両側に融接等により固設されている。

【００１３】そして該一対の移動レール２５，２５に
は、ロッド２４の支持部の上面に沿って摺動移動する上
部フランジ２８と、ロッド２４の支持部の外周面と摺接
して案内されるウエブ２９とが設けられ、該ウエブ２９
の外面に、夫々、把手取付部３０，３０が移動レール２
５，２５の移動方向と直交するように固設され、これら
把手取付部３０，３０に開穿された挿入孔３１，３１，
３１，３１に、コ字形に形成された把手３２の両腕部３
３，３３が挿入される。そして、把手３２の両腕部３
３，３３には、挿入後、該把手３２の各腕部３３，３３
の先端面に開口する螺子孔３４にボルト３５が螺入さ
れ、このボルト３５によって固定されるワッシャ３６に
より前記把手３２の抜け止めが構成されている。

【００１４】一方、前記一対の移動レール２５，２５に
は、前記凹部２７を挟んでピン挿入孔１４，１４が設け
られ、前記凹部２７とロッド２４の先端面とが相対峙す
る位置において、前記ピン挿入孔１４，１４にロックピ
ン１５，１５を挿入してロッド２４の支持部を両側から
挟み込むことにより一対の移動レール２５，２５の移動
を規制するよう構成される。

【００１５】そして、前記キャリヤ２の後端部側より後
車輪３７側、すなわち、キャリア２の内方部の下面に
は、図４乃至図８に示すように、断面ほぼＴ字形の支持
レール３８が垂設され、前記移動レール２５，２５を押
し込んで格納する際に、該支持レール３８に各移動レー
ル２５，２５の上部フランジ２８，２８の下面が摺動自
在に案内される共に、ウエブ２９，２９の内面が摺動自
在に案内されるように構成されている。この場合、前記
支持レール３８は長さが移動レール２５，２５を安定し
て格納し得るよう設定されている。従って、図１に示す
ように、格納を完了した状態では、ディパーチャーアン
グルθは従来よりも大きく設定される。

【００１６】次に、前記アウトリガー装置の取り扱いを
図５乃至図８を参照して説明する。

【００１７】図５は前記支持レール３８に前記移動レー
ル２５，２５を支持し、前記ポンツーン２６を前記後車
輪３７側に格納した状態を示し、同図に示すように、こ
の格納位置では前記把手３２の両腕部３３及び該両腕部
３３両端に設けられた握持部３９は、キャリア２の後端
部外縁よりも僅かにキャリア２の内側に位置しており、
通行等を妨げることがない。両腕部３３又は握持部３９
を握り、把手３２を外側に引き出す。図６に示すよう
に、移動レール２５，２５は支持レール３８に沿ってこ
の支持レール３８からの離脱を開始し、移動レール２
５，２５と一体のポンツーン２６がキャリア２の内方側
から外方側に引き出される。

【００１８】このとき、ロックピン１５，１５の一方が
前記後車輪３７側の移動レール２５，２５のピン挿入孔
１４に挿入され、他方が、前記把手取付部３０の車輪側
の前面に沿って鉛直方向下方に伸び、且つ先端部が前記
ポンツーン２６に固着されたガイドレール２５，２５の
ポンツーン固定部４０の第二のピン挿入孔１４ａに挿入
され、夫々、松葉ピン等により固定される。

【００１９】このため移動レール２５，２５は、前記後
車輪３７側のロックピン１５がロッド２４の外周面に当
接する位置で引き出しを規制され、停止する。次に、前
記第二のピン挿入孔１４ａからロックピン１５を引き抜
いてこれを、図７に示すように、移動レール２５，２５
のキャビン２の後端部側のピン挿入孔１４に挿入する。
これにより、前記ロッド２４の外周面に前後のロックピ
ン１５，１５が当接し、移動レール２５，２５はこのロ
ッド２４との当接によって前後移動が規制される。更
に、図８に示すように、把手３２を押し込んでキャリア
２の下方に格納し、通行、作業の妨げとなることを回避
する。この後、前記シリンダ２３を伸長する。前記ロッ
ド２４の先端と前記凹部２７とが係合し、ロッド２４と
移動レール２５，２５とが一体化する。そしてこの後、
ポンツーン２６が着床し、キャリア２が浮上する。

【００２０】キャリア２上に搭載した旋回クレーン等に
より建設作業を実施した後は、前記ポンツーン２６を格
納する。

【００２１】この場合、キャリア２の後端部側のロック
ピン１５を移動レール２５，２５のキャリア２の後端側
のピン挿入孔１４から抜き取って、これを前記ポンツー
ン固定部４０の第二のピン挿入孔１４ａに挿入し、松葉
ピン等によりその抜け出しを規制する。これにより前記
把手３２の両腕部３３，３３の先端面は、前記第二のピ
ン挿入孔１４ａに挿入されたロックピン１５の両端部外
周面と対峙する。従って、把手３２を後車輪３７側に押
し込むと、キャリア２の後端部側のロックピン１５の両
端部外周面に、前記把手３２の両腕部３３，３３の先端
面が当接することになる。そして把手３２を、更に、押
し込むと、移動レール２５，２５及びこれと一体のポン
ツーン２６は後車輪３７側、すなわち、支持レール３８
側へと移動する。移動が進み、移動レール２５，２５の
上部フランジ２８，２８及びウエブ２９，２９が前記支
持レール３８上に乗り入れられると、移動レール２５，
２５は自重による傾きが規制された状態で支持レール３
８に沿ってキャリア２の後端部側から後車輪３７へと移
動し、図５に示したように、支持レール３８上に格納さ
れる。この結果、ポンツーン２６は、障害物となること
がないキャリア２の内方側に格納される。そして、好ま
しくは、図６に示すように、支持レール３８の先端に下
側へ向けて折曲したストッパ４０を形成し、該ストッパ
４０に前記ロックピン１５が当接するように構成すれ
ば、移動レール２５，２５が支持レール３８に安定して
支持されるようになり、ポンツーン２６が後車輪３７側
に安定して格納されるようになる。

【００２２】なお、前記支持レール３８の下面に、移動
レール２５，２５の移動方向に沿わせてフランジ（図示
せず）を形成し、該フランジに前記ピン挿入孔１４，１
４，１４，１４に対峙するように第三のピン挿入孔（図
示せず）を開穿し、該第三のピン挿入孔と前記ピン挿入
孔１４，１４，１４，１４とに前記ロックピン１５，１
５を挿通するように構成すると共に、ロックピン１５，
１５の先端部に松葉ピン等、周知の抜け止めを取付け
て、移動レール２５，２５の移動を規制するように構成
すれば、格納状態におけるポンツーン２６の移動を完全
に防止することが可能となる。

【００２３】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。

【００２４】

【発明の効果】本発明は上記一実施の形態に詳述したよ
うに、クレーン等の作業装置を搭載し、車輪により走行
するキャリア下面に路面を臨んで伸縮自在にシリンダを
垂設し、該シリンダのロッド先端部に移動レールをキャ
リア外方部の下方とキャリア内方部の下方との間を往復
移動自在に支持すると共に、該移動レールにポンツーン
を固設して、前記移動レールの移動により前記ポンツー
ンをキャリア内方部の下方に格納する建設機械のアウト
リガー装置であって、前記キャリアの内方部の下面に、
前記キャリア外方部側よりキャリア内方部側へ押し込ま
れた移動レールを導入して格納する格納部を設け、前記
移動レールにこれをキャリア外方部側に向けて引き出す
ための把手を設けたポンツーンを格納した状態でのディ
パーチャーアングルを従来と比べて大きく設定できるよ
うに構成している。このため、前記移動レールを引き出
して前記ポンツーンが前記キャリアの外方部下方に位置
する場合でも、通行、作業の障害となる突起物が無い状
態とすることができる。更に、本発明は、前記格納部に
格納したポンツーンをキャリア外方部側に引き出すため
の把手を引き出し自在に設けたので、ポンツーンの引き
出し作業を大幅に軽減できる等、正に著大なる効果を発
揮する発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示し、トラッククレー
ンの後部側面図である。

【図２】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の平面図である。

【図３】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の側面図である。

【図４】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
を示し、格納部としての支持レールと移動レールとの関
係を示す要部詳細断面図である。

【図５】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の側面図でありその格納状態を示す側面図である。

【図６】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の側面図であり、把手を引き出してポンツーンの引き出
し状態の途中を示す側面図である。

【図７】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の側面図であり、把手を引き出してポンツーンを引き出
した状態を示す側面図である。

【図８】本発明の一実施の形態に係るアウトリガー装置
の側面図であり、把手を押し込んで格納した状態を示す
側面図である。

【図９】従来のアウトリガー装置の構造解説設図であ
る。

【図１０】図９のＡ−Ａ線矢視図である。

【図１１】図９のＡ−Ａ線矢視図であり、支持レールと
支持部に移動レールを支持した状態を示す図である。

【符号の説明】

２ キャリア ２５ 移動レール ２６ ポンツーン ３２ 把手 ３８ 支持レール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クレーン等の作業装置を搭載し、車輪に
   より走行するキャリア下面に路面を臨んで伸縮自在にシ
   リンダを垂設し、 該シリンダのロッド先端部に移動レールをキャリア外方
   部下方とキャリア内方部下方との間を往復移動自在に支
   持すると共に、 該移動レールにポンツーンを固設して、 前記移動レールの移動により前記ポンツーンをキャリア
   内方部下方に格納する建設機械のアウトリガー装置であ
   って、 前記キャリア内方部の下面に、前記キャリア外方部側よ
   りキャリアの内方部側へ押し込まれた移動レールを導入
   して格納する格納部を設け、 前記移動レールにこれをキャリア外方部側に向けて引き
   出すための把手を設けたことを特徴とする建設機械のア
   ウトリガー装置。