JP2000075485A - 感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版

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JP2000075485A
JP2000075485A JP24347898A JP24347898A JP2000075485A JP 2000075485 A JP2000075485 A JP 2000075485A JP 24347898 A JP24347898 A JP 24347898A JP 24347898 A JP24347898 A JP 24347898A JP 2000075485 A JP2000075485 A JP 2000075485A
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線レーザにより直接製版でき、高感度
で、かつ高湿環境下でも保存安定性に優れた画像記録材
料及びこれを用いた平版印刷用原版を提供する。 【解決手段】 少なくともポリマー骨格の主鎖として下
記一般式(1)の構造単位または側鎖として下記一般式
(2)の構造単位を有し、かつフェノール性水酸基を有
するポリマー、或いは、少なくともポリマー骨格の主鎖
として下記一般式(1)の構造単位または側鎖として下
記一般式(2)の構造単位を有するポリマーと、フェノ
ール性水酸基を有するポリマーと、のポリマー混合物、
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、および
これを用いた平版印刷用原版。 【化1】 〔Ar:置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環。
X,X2 :単結合、2価の連結基。Y:特定の部分構造
を有する2価の連結基。Z:1価の末端基。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷用版材、
カラープルーフ、フォトレジストまたはカラーフィルタ
ーとして使用できる感光性樹脂組成物に関する。特に、
コンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザ
を走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレ
クト製版可能な平版印刷用版材として使用可能なネガ
型、ポジ型の感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版
印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】近年におけるレーザの発展は目ざまし
く、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放
射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、「赤外線
レーザ」という場合がある。)は、高出力かつ小型のも
のが容易に入手できるようになった。これらの赤外線レ
ーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印
刷版を製版する際の記録光源として非常に有用である。
従って、このような赤外線記録光源に対し、感応性の高
い感光性樹脂組成物、即ち、赤外線照射により光化学反
応等が起こり、現像液に対する溶解性が大きく変化する
感光性樹脂組成物への要望が近年高まっている。
【0003】このような赤外線レーザにて記録可能な感
光性樹脂組成物として、米国特許第4,708,925
号に記載されている、オニウム塩、フェノール樹脂及び
分光増感剤より構成される記録材料がある。この感光性
樹脂組成物は、オニウム塩とフェノール樹脂により発現
する、現像液に対する溶解抑止効果を利用したポジ型感
光性樹脂組成物である。一方、ネガ型の感光性樹脂組成
物としては、例えば、特開平8−276558号に記載
されている、光を吸収し熱を発生する物質、アルカリ可
溶性樹脂、分子内に4〜8個のベンゼン核を有する特定
のフェノール誘導体よりなる記録材料がある。
【0004】しかしながら、これらの感光性樹脂組成物
は、いずれもレーザ露光に対する感度が不十分であっ
た。これまで、これらの記録材料を高感度化する試みは
種々提案されているが、一般的に感度を向上させるため
の手段を講じることは記録材料の保存安定性の低下を招
く傾向があった。特に、高湿環境下における保存安定性
が問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、赤外
線を照射する固体レーザ及び半導体レーザーを用いて、
直接コンピュータ等のデジタルデータから製版すること
ができ、上記赤外線レーザに対し高感度で、かつ高湿環
境下での保存安定性に優れる感光性樹脂組成物およびこ
れを用いた平版印刷用原版を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、赤外線を
走査して直接製版することのできる感光性樹脂組成物の
構成成分に着目して鋭意検討した結果、フェノール性水
酸基の水素原子が特定の官能基−X−Y−Zに置換され
た構造単位、即ち、少なくとも一般式(1)で表される
構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有
し、さらに、フェノール性水酸基を有するポリマー
(a)をバインダー材として用いることにより、該バイ
ンダー材内で上記特定の官能基と隣接して存在するフェ
ノール性水酸基部分と強く相互作用し、感光性樹脂組成
物の感光膜の膜密度を高めることができることを見出
し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。即
ち、前記目的は、以下の感光性樹脂組成物〔A〕〜
〔D〕および平版印刷用原版により達成される。少なく
とも、ポリマー骨格の主鎖に下記一般式(1)で表され
る構造単位、または、ポリマー骨格と結合する側鎖とし
て下記一般式(2)で表される構造単位、を有し、且
つ、フェノール性水酸基を有するポリマーを含有するこ
とを特徴とする感光性樹脂組成物〔A〕。
【0007】
【化5】
【0008】〔式中、Arは、置換基を有していてもよ
い芳香族炭化水素環を表す。Xは2価の連結基を表し、
Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つ
の部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末
端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、S
より選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以
下の2価の連結基を表す。〕
【0009】
【化6】
【0010】少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として下
記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマー
骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表される
構造単位、を有するポリマーと、フェノール性水酸基を
有するポリマーと、を含有することを特徴とする感光性
樹脂組成物〔B〕。
【0011】
【化7】
【0012】〔式中、Arは、置換基を有していてもよ
い芳香族炭化水素環を表す。Xは2価の連結基を表し、
Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つ
の部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末
端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、S
より選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以
下の2価の連結基を表す。〕
【0013】
【化8】
【0014】上記感光性樹脂組成物〔A〕、〔B〕に、
さらに赤外線吸収剤(b)を含有して構成される感光性
樹脂組成物〔C〕、〔D〕。
【0015】支持体上に、上記感光性樹脂組成物〔A〕
〜〔D〕より選ばれるいずれか1つの感光性樹脂組成物
からなる感光層が設けられていることを特徴とする平版
印刷用原版。
【0016】上記画像記録材料およびこれを用いた平版
印刷用原版が、ネガ型である場合には上記構成成分の他
に、酸により架橋する化合物(c)と、熱により酸を発
生する化合物(d)と、を含有して構成される。また、
上記画像記録材料およびこれを用いた平版印刷用原版
が、ポジ型である場合には赤外線吸収剤(b)として、
オニウム塩型の赤外線吸収剤が好適に用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の感光性樹脂組成物
およびこれを用いた平版印刷用原版について詳細に説明
する。[(a)少なくとも一般式(1)で表される構造
単位または一般式(2)で表される構造単位を有し、か
つフェノール性水酸基を有するポリマー] 本発明の感光性樹脂組成物では、バインダー材として、
少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般
式(2)で表される構造単位を有し、さらに、フェノー
ル性水酸基を有するポリマー(以下、「バインダーポリ
マー」という場合がある。)を用いることが好ましい。
中でも、少なくとも、ポリマー骨格の主鎖としてフェ
ノール性水酸基の水素原子が特定の官能基−X−Y−Z
で置換された前記一般式(1)で表される構造単位を該
構造単位中の芳香族炭化水素環Arを介して有するか、
または、ポリマー骨格の側鎖として上記同様に特定の官
能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(2)で表さ
れる構造単位を芳香族炭化水素環Ar部で結合して有
し、さらにフェノール性水酸基を有するポリマー(以
下、「バインダーポリマー(I)」という場合があ
る。)、或いは、少なくとも、ポリマー骨格の主鎖とし
てフェノール性水酸基の水素原子が特定の官能基−X−
Y−Zで置換された前記一般式(1)で表される構造単
位を該構造単位中の芳香族炭化水素環Arを介して有す
るか、または、ポリマー骨格の側鎖として上記同様に特
定の官能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(2)
で表される構造単位を芳香族炭化水素環Ar部で結合し
て有するポリマーと、フェノール性水酸基を有するポリ
マーと、のポリマー混合物(以下、「バインダーポリマ
ー(II)」という場合がある。)を使用する。
【0018】従って、市販のフェノール性水酸基を有す
るポリマーまたはフェノール性水酸基を有さないポリマ
ーを、少なくとも前記一般式(1)で表される構造単位
または一般式(2)で表される構造単位を有するように
それぞれポリマー構造を変えることにより本発明に用い
るポリマーとすることができ、本発明では、前者のポリ
マーを単独で用いてもよいし、後者のポリマーを市販の
フェノール性水酸基を有するポリマーと混合して用いて
もよい。
【0019】前記一般式(1)および(2)中、Ar
は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示
す。原料の入手性から、芳香族炭化水素環としては、ベ
ンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環が好まし
い。また、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、炭
素数12以下のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチ
オ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が
挙げられる。上記のうち、感度が高いという観点から、
ベンゼン環またはナフタレン環が好ましく、特にベンゼ
ン環が好ましい。この場合、置換基を有していても有し
ていなくてもよいが、置換基を有する場合、その置換基
としてはハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基、ア
ルコキシ基、アルキルチオ基、或いはニトロ基等を有す
るものが特に好ましい。
【0020】前記一般式(1)および(2)中、Xは2
価の連結基を表し、Yは前記Y1 からなる群より選ばれ
る少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表
し、Zは1価の末端基を表す。
【0021】まず、一般式(1)および(2)中のXに
ついて詳述する。Xは、既述のごとく2価の連結基であ
り、好ましくは、単結合または置換基を有していてもよ
い2価の炭化水素連結基を表す。該炭化水素連結基とし
ては、炭素数1〜18の直鎖アルキレン基;炭素数2〜
18の直鎖、分枝鎖または環状のアルケニレン基;炭素
数2〜8のアルキニレン基;炭素数6〜20のアリーレ
ン基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、シ
クロヘキシレン基、フェニレン基、トリレン基、ビフェ
ニレン基等が挙げられ、下記構造で表される基が特に好
ましい。
【0022】
【化9】
【0023】また、これらの連結基が置換基を有する場
合、好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコ
キシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基が挙げられる。
【0024】次に、一般式(1)および(2)中のYに
ついて詳述する。Yは、Zに連結する2価の連結基を表
し、以下の部分構造を有する。以下のY 1 の群中の部分
構造は、それぞれ解離性活性水素が配された2価の連結
基である。解離性活性水素とは、pKa4〜15の範囲
で解離性を有する活性水素を意味し、特に、フェノール
性水酸基との間で強い相互作用を生ずることが知られて
いる。尚、下記表記は連結基の連結方向を規定するもの
ではない。
【0025】
【化10】
【0026】ここで、「以下の部分構造を有する」と
は、連結基としてのYが上記Y1 からなる群より選ばれ
る部分構造を少なくとも1つ有することを意味し、上記
部分構造を複数有するものであってもよい。従って、Y
は、上記部分構造自体であってもよく、さらにこれらを
複数個連結した基、或いは、上記部分構造と他の炭化水
素基等とを連結した基等であってもよい。特に、一般式
(1)および(2)において、上記部分構造を有する好
ましい化合物の具体例としては、アミド、スルホンアミ
ド、ウレア、ウレタン、チオウレア、カルボン酸、カル
ボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0027】上記Y1 のうち、本発明において特に好ま
しい連結基を以下に例示するが、本発明はこれらに制限
されるものではなく、また、下記表記が連結基の連結方
向を規定するものでもない。
【0028】
【化11】
【0029】次に、一般式(1)および(2)中のZに
ついて詳述する。Zは、1価の末端基を表す。Zは、好
ましくは置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
例えば、炭素数1〜18の直鎖、分枝鎖または環状アル
キル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜18
の直鎖、分枝鎖または環状アルケニル基;炭素数2〜1
8の直鎖、分枝鎖または環状アルキニル基が好ましい。
【0030】Zの好ましい具体例としては、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、メシチル
基、トルイル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセ
ニル基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。Zが置換
基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素数12
以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基が
挙げられる。
【0031】次に、一般式(2)中のX2 について説明
する。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選
ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2
価の連結基を表す。中でも、単結合、アミド結合、ウレ
ア結合、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、
或いはこれらを有する2価のアルキレン連結基が特に好
ましい。このアルキレン連結基としては、メチレン基、
エチレン基、プロピレン基等が好ましい。
【0032】本発明の感光性樹脂組成物に用いるバイン
ダーポリマーは、少なくとも前記一般式(1)で表され
る構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有
するもののうち、少なくとも下記一般式(3)で表され
る構造単位または下記一般式(4)で表される構造単位
を有するポリマーであることが特に好ましい。
【0033】
【化12】
【0034】〔式中、Ar3 は置換基を有していてもよ
いベンゼン環、ナフタレン環、またはアントラセン環を
表す。R1 およびR2 は、それぞれ同じでも異なってい
てもよく、水素原子または炭素数12以下の炭化水素基
を表す。rは、1〜4の整数を表す。〕
【0035】
【化13】
【0036】〔式中、Ar4 は置換基を有していてもよ
いベンゼン環、ナフタレン環、またはアントラセン環を
表す。R3 は水素原子またはメチル基を表す。X2 は単
結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上
の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表
す。rは1〜4の整数を表す。〕
【0037】上記一般式(3)のAr3 および一般式
(4)のAr4 には、前記一般式(1)および(2)の
Arにおいて挙げた他の置換基を有していてもよい。
【0038】上記一般式(3)または(4)で表される
構造単位の具体例を、以下に例示するが、本発明はこれ
らに制限されるものではない。
【0039】
【化14】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】上記一般式(3)または(4)で表される
構造単位であるK−1〜K−8中の−X−Y−Zは、表
1または表2に例示する官能基をそれぞれ表す。即ち、
バインダーポリマーの構造単位は、例えば、その構造単
位として上記K−1を用い、またその官能基−X−Y−
Zとして上記M−1を用いた場合には、以下の構造をな
すものであることを表す。
【0043】
【化15】
【0044】本発明におけるバインダーポリマーを構成
する前記一般式(3)または(4)で表される構造単位
のうち、Xが単結合である構造単位が合成時の製造適性
の点から特に好ましい。また、Yには解離性活性水素を
有する。該解離性活性水素は、pKa4〜pKa15の
範囲で解離性を有する。該Yは、特に下記Y2 からなる
群より選ばれる部分構造が好ましく、このうち、アミド
構造、ウレア構造を有するものであることが、強い水素
結合性を有し、同時に現像液の膜浸透性をも高められる
点から特に好ましい。
【0045】
【化16】
【0046】本発明におけるバインダーポリマーは、公
知の方法により合成、混合することにより製造すること
ができる。上記バインダーポリマーは、前記バインダー
ポリマー(I)のように少なくとも一般式(1)で表さ
れる構造単位または一般式(2)で表される構造単位を
有し、かつフェノール性水酸基を有する構成単位の単独
重合体でも、前記バインダーポリマー(II)のように少
なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式
(2)で表される構造単位を有する構成単位の単独重合
体と、フェノール性水酸基を有する構成単位の重合体
と、の混合物でもよい。以下に、本発明におけるバイン
ダーポリマーの合成方法について説明する。一般的な合
成方法の例として、以下のa),b)が挙げられる。 a)フェノール基を主鎖および/または側鎖に有するポ
リマーのフェノール性水酸基に、高分子反応により−X
−Y−Zを導入する。 b)あらかじめ−X−Y−Zを有する一般式(1)およ
び/または(2)で表される構造単位を有する構成単位
を重合させる。 上記方法a),b)のうち、a)による合成がより簡便
な方法である。上記重合体中にフェノール性水酸基を有
していない場合には、フェノール性水酸基を有する他の
重合体と混合する。
【0047】本発明におけるバインダーポリマーの重量
平均分子量は、1000以上が好ましく、2000〜2
00000の範囲にあることがより好ましい。この重量
平均分子量が2000未満では、塗膜時に亀裂を生ずる
原因となり、200000を超えると、アルカリ現像促
進性が劣化するため好ましくない。また、数平均分子量
も1000以上であることが好ましく、2000〜15
0000の範囲にあることがより好ましい。前記同様、
数平均分子量が2000未満では、塗膜時に亀裂を生ず
る原因となり、また、150000を超えると、アルカ
リ現像促進性が劣化するため好ましくない。さらに、多
分散度は1以上が好ましく、1.1〜10の範囲にある
ことがより好ましい。多分散度が1.1未満では、合成
が困難となり、また、10を超えると、現像性が安定し
ないため好ましくない。
【0048】上述の本発明におけるバインダーポリマー
は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよ
い。これらのバインダーポリマーの感光性樹脂組成物全
固形分に対して占める割合は、5〜98重量%であるこ
とが好ましく、更には、20〜90重量%であることが
より好ましい。全固形分に対して占める割合が、5重量
%未満の場合には塗膜形成性に劣り、98重量%を超え
ると画像形成されない。
【0049】本発明の感光性樹脂組成物に用いる、少な
くとも一般式(1)で表される構造単位または一般式
(2)で表される構造単位を有するバインダーポリマー
は、該ポリマー中の特定の官能基−X−Y−ZがpKa
4〜15の範囲で解離性活性水素を有することで、ポリ
マー中で隣接するフェノール性水酸基と強い水素結合性
の相互作用を有する一方、同時に、現像液の膜浸透性も
高めることができる。即ち、本発明の感光性樹脂組成物
がネガ型、ポジ型のいずれの場合においても、密な結合
を形成するため高密度な膜となり、露光時に光熱変換さ
れて生じた熱の伝達効率が向上するだけでなく現像促進
性をも向上し、高感度化と保存安定性を高める効果があ
る。従って、一般には相反する傾向にある膜密度と現像
性に対して、これら両者を同時に満足し、現像処理が十
分に制御された、画像部と非画像部の明瞭な強い膜を形
成することできる。
【0050】また、本発明の感光性樹脂組成物では、ネ
ガ型またはポジ型のそれぞれの場合に適した公知の高分
子化合物(以下、「添加ポリマー」と称する。)を、本
発明におけるバインダーポリマーと併用して使用するこ
とができる。この場合、ネガ型、ポジ型のそれぞれの場
合に応じて、以下の添加ポリマーを使用することができ
る。ネガ型の感光性樹脂組成物に使用できる添加ポリマ
ーとしては、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が直接結
合した芳香族炭化水素環を側鎖又は主鎖に有するポリマ
ーが好ましい。アルコキシ基としては、感度の点から炭
素数20以下のものが好ましい。また、芳香族炭化水素
環としては、原料の入手性の点からベンゼン環、ナフタ
レン環またはアントラセン環が好ましく、これらの芳香
族炭化水素環は、ヒドロキシ基またはアルコキシ基以外
の置換基、例えばハロゲン基、シアノ基等の置換基を有
していてもよいが、感度の点からヒドロキシ基またはア
ルコキシ基以外の置換基を有さないものが特に好まし
い。
【0051】具体的には、添加ポリマーとして下記一般
式(5)で表される構成単位を有する高分子、又はノボ
ラック樹脂等のフェノール樹脂を使用することができ
る。
【0052】
【化17】
【0053】〔式中、Ar2 は、ベンゼン環、ナフタレ
ン環またはアントラセン環を示す。R4 は、水素原子ま
たはメチル基を示す。R5 は、水素原子または炭素数2
0以下のアルコキシ基を示す。X1 は、単結合または、
C、H、N、O、Sより選ばれた1種以上の原子を含
み、かつ炭素数0〜20の2価の連結基を示す。kは、
1〜4の整数を示す。〕
【0054】まず、本発明において、好適に用いられる
一般式(5)で表される構成単位の例([BP−1]〜
[BP−6])を以下に挙げるが、本発明はこれに制限
されるものではない。
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】これらの構成単位を有する添加ポリマー
は、従来公知の方法によりラジカル重合することにより
得られる。
【0058】本発明では、添加ポリマーとして、一般式
(5)で表される構成単位のみからなる単独重合体を用
いてもよく、この特定構成単位の以外の他の公知のモノ
マーのみからなる単独重合体を用いてもよく、さらに、
この特定構成単位と他の公知のモノマーより誘導される
構成単位を有する共重合体を用いても良い。
【0059】この場合に用いられる他の公知のモノマー
としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジ
ルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト等のメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニ
トリル、および、アクリル酸、メタクリル酸等の酸性基
を有するモノマー;さらにp−スチレンスルホン酸のナ
トリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸のアルカリ金属塩、テトラアルキルアンモニ
ウム塩、3−スルホプロピルアクリレートのカリウム塩
等の強酸の塩を含有するモノマー等が挙げられる。
【0060】これらの添加ポリマーは、ランダムポリマ
ー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれで
もよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0061】また、添加ポリマーとして、好適に使用で
きるノボラック樹脂としては、フェノールノボラック、
o−、m−、p−の各種クレゾールノボラック、及びそ
の共重合体、ハロゲン原子、アルキル基等で置換された
フェノールを利用したノボラックが挙げられる。これら
のノボラック樹脂の重量平均分子量は、1000以上で
あることが好ましく、2000〜200000万の範囲
にあることがより好ましい。数平均分子量は1000以
上であることが好ましく、2000〜150000の範
囲であることがより好ましい。多分散度は1以上が好ま
しく、1.1〜10の範囲であることがより好ましい。
上記の重量平均分子量、数平均分子量および多分散度が
上記範囲に含まれないノボラック樹脂は、前記した本発
明におけるバインダーポリマーの場合と同様の理由から
好ましくない。
【0062】次に、ポジ型の感光性樹脂組成物に使用で
きる添加ポリマーとしては、下記(1)〜(6)の酸性
基を主鎖および/または側鎖の構造中に有するアルカリ
可溶性高分子を用いることができる。 (1)フェノール基(−Aro −OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。)〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHS
2 R、−CONHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0063】上記(1)〜(6)中、Aro は置換基を
有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、
置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0064】上記(1)〜(6)の酸性基を有するアル
カリ可溶性高分子としては、例えば、以下のものが挙げ
られる。 (1)フェノール基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有するモノマーを共重合させた共
重合体を挙げることもできる。 (2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性高分子
としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物を
主たるモノマーとする重合体を挙げることができる。 (3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、活性イミド基を有する化合物を主たるモ
ノマーとする重合体を挙げることができる。 (4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、カルボン酸基と重合可能な不飽和結合と
をそれぞれ1以上分子中に有する化合物を主たるモノマ
ーとする重合体を挙げることができる。 (5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、スルホン酸基と重合可能な不飽和結合と
をそれぞれ1以上分子中に有する化合物を主たるモノマ
ーとする重合体を挙げることができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ可溶性高分子として
は、例えば、リン酸基と重合可能な不飽和結合とをそれ
ぞれ1以上分子中に有する化合物を主たるモノマーとす
る重合体を挙げることができる。
【0065】これらの添加ポリマーは、1種のみを用い
ても2種類以上を混合して用いてもよい。これらの添加
ポリマーは、本発明における一般式(1)および/また
は(2)で表される構造単位を有するバインダーポリマ
ーの使用量に対し、0〜95重量%、好ましくは10〜
90重量%の範囲内であれば、該フェノール性高分子に
代えて添加することができる。この添加量が95重量%
を越えると本発明の効果、即ち、高感度化および保存安
定性の向上を達成することができない。
【0066】本発明の感光性樹脂組成物は、バインダー
材として、少なくともポリマー骨格の主鎖として前記一
般式(1)で表される構造単位またはポリマー骨格と結
合する側鎖として前記一般式(2)で表される構造単位
を有し、且つ、フェノール性水酸基を有するポリマー、
或いは、少なくともポリマー骨格の主鎖として前記一般
式(1)で表される構造単位またはポリマー骨格と結合
する側鎖として前記一般式(2)で表される構造単位を
有するポリマーと、フェノール性水酸基を有するポリマ
ーと、のポリマー混合物を用いることにより、赤外線レ
ーザに対する感度及び保存安定性が向上する。特に、高
感度化した感光性樹脂組成物の場合、一般に高感度化に
伴い保存安定性が劣化する傾向にあるが、その劣化を抑
制し、高湿環境下でも保存安定性を十分に維持すること
ができる。
【0067】この原理は必ずしも明確ではないが、種々
の比較実験の結果から、ポリマー中に特定の官能基−X
−Y−Zを有するものが、感度および保存安定性の点で
優れていることを見出したものである。さらに、この特
定の官能基の効果について詳細に検討したところ、フェ
ノール性の水酸基との間の水素結合性の相互作用(水素
結合又はドナーアクセプター或いは酸塩基相互作用)が
大きいものは、例えば、公知の文献を引用するとすれ
ば、”Hydrogen bonding” Joes
ten Schaad著 P291〜381に記載され
ているように各官能基を有するモデル化合物とフェノー
ルとの相互作用のエンタルピー(−ΔH)が下式を満足
する場合、特に、上述の感度および保存安定性の両立と
向上が可能であることが分かった。 −ΔH>3.0kcal/mol
【0068】このことから、用いるポリマー中にフェノ
ール性水酸基等と相互作用の強い特定の官能基−X−Y
−Zを有することで、水素結合性の強い分子間相互作用
により膜密度が向上することによって、塗膜における膜
質が外的要因(水、熱)に対して強くなったこと、ま
た、均一に分散した後述の「酸により架橋する化合物」
(以下、「架橋剤」という。)および色素が分子中に強
く保持され、特に、ネガ型の感光性樹脂組成物の場合に
は架橋効率が、ポジ型の感光性樹脂組成物の場合にはポ
ジ作用が向上したこと、等が本発明の本質であると推測
される。
【0069】さらに、架橋剤および色素の添加量を過剰
に混合した場合に、架橋剤および色素だけが高分子中か
ら分離して表面に結晶化してくる、いわゆる泣き出し
が、本発明における、特定の官能基を有するバインダー
ポリマーを用いた場合には、特定の官能基を持たない従
来のポリマーを用いた場合よりも著しく低減されること
が実験事実として分かっており、これも上述の推測を支
持するものであると考える。
【0070】さらにつけ加えると、バインダー材とし
て、ポリマー中に少なくとも前記一般式(1)で表され
る構造単位または前記一般式(2)で表される構造単位
を有するバインダーポリマーを用いることで、例えば、
ポリヒドロキシスチレンのようにポリマーの側鎖にフェ
ノール性水酸基があっても、ノボラックのように主鎖に
フェノール性水酸基があっても十分な感度が得られる
点、また、本発明におけるバインダポリマー自体が多官
能で、ある程度大きな分子量であってもやはり十分な感
度が得られる点等も、上述の推測を支持するものである
と考える。
【0071】[(b)赤外線吸収剤]本発明の感光性樹
脂組成物は、赤外線レーザで画像記録することができる
記録材料である。従って、赤外線吸収剤を併用すること
が好ましい。赤外線吸収剤は吸収した赤外線を熱に変換
する機能を有しており、この際、ネガ型の感光性樹脂組
成物では、発生した熱により後述の(d)酸発生剤が分
解して酸を発生し、また、ポジ型の感光性樹脂組成物で
は、レーザ走査により光化学反応等が起こり、現像液に
対する溶解性が大きく変化する。本発明において使用さ
れる赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nm
の赤外線を有効に吸収する染料又は顔料である。好まし
くは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有
する染料又は顔料である。
【0072】以下に、本発明の感光性樹脂組成物がネガ
型である場合に使用できる赤外線吸収剤について詳述す
る。染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」
(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記
載されている公知のものが利用できる。具体的には、ア
ゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフ
トキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染
料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染
料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0073】好ましい染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
に記載されているシアニン染料、特開昭58−1736
96号、特開昭58−181690号、特開昭58−1
94595号等に記載されているメチン染料、特開昭5
8−112793号、特開昭58−224793号、特
開昭59−48187号、特開昭59−73996号、
特開昭60−52940号、特開昭60−63744号
等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−1
12792号等に記載されているスクワリリウム色素、
英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げ
ることができる。
【0074】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号に開示されているピリリ
ウム化合物も好ましく用いられる。
【0075】また、染料として好ましい別の例として米
国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、
(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げるこ
とができる。
【0076】これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0077】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0078】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、
アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍
光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックで
ある。
【0079】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤
を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップ
リング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を
顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面
処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0080】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性
の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記
録層の均一性の点で好ましくない。
【0081】顔料を分散する方法としては、インク製造
やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用でき
る。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アト
ライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、イ
ンペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダ
イナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げら
れる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1
986年刊)に記載されている。
【0082】これらの染料又は顔料は、感光性樹脂組成
物全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは
0.1〜10重量%添加することできる。また、染料の
場合、特に0.5〜10重量%添加することが好まし
く、顔料の場合、特に1.0〜10重量%添加すること
が好ましい。顔料又は染料の添加量が0.01重量%未
満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると
非画像部に汚れが発生する。
【0083】これらの染料又は顔料は他の成分と同一の
層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加しても
よい。
【0084】次に、本発明の感光性樹脂組成物がポジ型
の場合に使用できる赤外線吸収剤について説明する。ポ
ジ型の感光性樹脂組成物に赤外線吸収剤を用いる場合に
は、特定の官能基を有するバインダーポリマーとの相互
作用によりポジ作用(未露光部は現像抑制され、露光部
では解除され、現像促進する。)を生じさせる必要があ
るため、その点でオニウム塩型構造のものが特に好まし
く、具体的には、前記のネガ型の場合に使用できる赤外
線吸収剤のうち、特にシアニン色素、ピリリウム塩が好
ましい。シアニン色素、ピリリウム塩の詳細については
前述の通りである。
【0085】また、特願平10−79912号に記載の
アニオン性赤外線吸収剤も好適に使用することができ
る。このアニオン性赤外線吸収剤は、実質的に赤外線を
吸収する色素の母核にカチオン構造が無く、アニオン構
造を有するものを指す。例えば、(c1)アニオン性金
属錯体、(c2)アニオン性カーボンブラック、(c
3)アニオン性フタロシアニン、さらに(c4)下記一
般式(6)で表される化合物などが挙げられる。このア
ニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む
一価の陽イオン、或いは、多価の陽イオンである。
【0086】
【化20】
【0087】〔Ga - はアニオン性置換基を表し、Gb
は中性の置換基を表す。Xm+は、プロトンを含む1〜m
価のカチオンを表し、mは1ないし6の整数を表す。〕
【0088】ここで、(c1)アニオン性金属錯体と
は、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属および配位
子全体でアニオンとなるものを指す。 (c2)アニオン性カーボンブラックは、置換基として
スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基
が結合しているカーボンブラックが挙げられる。これら
の基をカーボンブラックに導入するには、カーボンブラ
ック便覧第三版(カーボンブラック協会編、1995年
4月5日、カーボンブラック協会発行)第12頁に記載
されるように、所定の酸でカーボンブラックを酸化する
等の手段をとればよい。このアニオン性カーボンブラッ
クのアニオン性基に、対カチオンとしてオニウム塩がイ
オン結合してなるアニオン性赤外線吸収剤は本発明に好
適に用いられるが、カーボンブラックにオニウム塩が吸
着した吸着物は本発明のアニオン性赤外線吸収剤には包
含されず、また単なる吸着物では本発明の効果は得られ
ない。 (c3)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン
骨格に、置換基として先に(c2)の説明において挙げ
たアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなってい
るものを指す。
【0089】次に、前記(c4)一般式(6)で表され
る化合物について、詳細に説明する。一般式(6)中、
Mは共役鎖を表し、この共役鎖Mは置換基や環構造を有
していてもよい。共役鎖Mは、下記式で表すことができ
る。
【0090】
【化21】
【0091】〔式中、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、
アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル
基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ
基、アミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を
形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。〕
【0092】上記一般式(6)で表されるアニオン性赤
外線吸収剤のうち、以下のA−1〜A−19のものが、
好ましく用いられる。
【0093】
【化22】
【0094】
【化23】
【0095】
【化24】
【0096】
【化25】
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】本発明の感光性樹脂組成物がポジ型である
場合には、上記の赤外線吸収剤を前述のネガ型の場合に
使用できる赤外線吸収剤の添加量と同じ量を添加するこ
とができる。
【0100】本発明のポジ型の平版印刷用材料には、さ
らに感度および現像ラチチュードを向上させる目的で、
上記のシアニン色素、ピリリウム塩、アニオン系色素以
外の他の染料または顔料等(前述したネガ型の感光性樹
脂組成物に使用できる赤外線吸収剤)を含有させること
もできる。
【0101】[(c)酸により架橋する化合物]本発明
の感光性樹脂組成物がネガ型である場合には、酸により
架橋する化合物として、特願平9−234406号に記
載のメチロール化合物、或いは、アルコキシメチル化合
物、レゾール樹脂等が好適に用いられる。
【0102】本発明において、これらの酸により架橋す
る化合物は、全感光性樹脂組成物固形分中、5〜70重
量%、好ましくは10〜50重量%の添加量で用いられ
る。ここで、添加量が5重量%未満であると画像記録時
の画像部の膜強度が悪化し、また、70重量%を超える
と保存安定性の点で好ましくない。
【0103】[(d)熱により酸を発生する化合物]本
発明の感光性樹脂組成物には、加熱時に酸を発生する化
合物(酸発生剤)を併用することができる。この酸発生
剤は、100℃以上の加熱により分解し酸を発生する化
合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等
のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。
【0104】本発明において好適に用いられる酸発生剤
としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニ
ウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。
具体的には、米国特許4,708,925号や特開平7
−20629号に記載されている化合物を挙げることが
できる。特に、スルホン酸イオンを対イオンとするヨー
ドニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩が好まし
い。ジアゾニウム塩としては、米国特許第3,867,
147号記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,6
32,703号明細書記載のジアゾニウム化合物や特開
平1−102456号及び特開平1−102457号の
各公報に記載されているジアゾ樹脂も好ましい。また、
米国特許5,135,838号や米国特許5,200,
544号に記載されているベンジルスルホナート類も好
ましい。さらに、特開平2−100054号、特開平2
−100055号及び特願平8−9444号に記載され
ている活性スルホン酸エステルやジスルホニル化合物類
も好ましい。他にも、特開平7−271029号に記載
されている、ハロアルキル置換されたS−トリアジン類
も好ましい。
【0105】これらの酸発生剤は、感光性樹脂組成物全
固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1
〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%の範
囲で感光性樹脂組成物中に添加することができる。この
添加量が、0.01重量%未満では画像が得られず、5
0重量%を越えると印刷時非画像部に汚れを発生する。
【0106】上記のような酸発生剤は単独で使用して
も、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。な
お、ここに挙げた酸発生剤は、紫外線照射によっても分
解できるため、本発明の感光性樹脂組成物は、赤外線だ
けではなく紫外線によっても画像記録可能である。
【0107】[その他の成分]本発明の感光性樹脂組成
物では、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物
を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持
つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具
体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#
103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、
オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブ
ラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−
505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリ
アピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI425
55)、メチルバイオレット(CI42535)、エチ
ルバイオレット、ローダミンB(CI145170
B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレ
ンブルー(CI52015)、アイゼンスピロンブルー
C−RH(保土ヶ谷化学(株)製)等、及び特開昭62
−293247号に記載されている染料を挙げることが
できる。
【0108】これらの染料を添加することにより、画像
形成後、画像部と非画像部の区別が明瞭となるため、添
加する方が好ましい。なお、添加量は、感光性樹脂組成
物全固形分に対し0.01〜10重量%の範囲が好まし
い。
【0109】また、本発明の感光性樹脂組成物中には、
現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭6
2−251740号や特開平3−208514号に記載
されているような非イオン界面活性剤や特開昭59−1
21044号、特開平4−13149号に記載されてい
るような両性界面活性剤を添加することができる。
【0110】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。
【0111】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0112】非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の
感光性樹脂組成物中に占める割合は、0.05〜15重
量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であ
る。
【0113】さらに、本発明の感光性樹脂組成物中に
は、必要に応じ塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤
が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエ
ン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。
【0114】本発明の感光性樹脂組成物は、通常上記各
成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すること
により感光層を形成する。ここで使用する溶媒として
は、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メト
キシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテー
ト、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキ
シエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラ
メチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、
水等を挙げることができるがこれに限定されるものでは
ない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶
媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、1
〜50重量%であることが好ましい。また、塗布、乾燥
後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は用途によっ
て異なるが、平版印刷用原版では一般的に0.5〜5.
0g/m2 が好ましい。塗布する方法としては、種々の
方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗
布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ
塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等
を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、
見かけの感度は大になるが、画像記録膜の被膜特性は低
下する。
【0115】本発明における感光性樹脂組成物には、塗
布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62
−170950号に記載されているようなフッ素系界面
活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全
感光性樹脂組成物固形分中0.01〜1重量%、さらに
好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0116】[支持体]本発明の感光性樹脂組成物を塗
布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であ
り、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートさ
れた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅
等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロー
ス、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸
セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルア
セタール等)、上記のような金属がラミネート若しくは
蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられ
る。
【0117】好ましい支持体としては、ポリエステルフ
ィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法
安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に
好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板、及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、さらにアルミニウムがラミネート又は
蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウ
ム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケ
ル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は総量で
10重量%以下である。本発明において特に好適なアル
ミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なア
ルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに
異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適
用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるもの
ではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を
適宜に利用することができる。本発明で支持体として用
いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜
0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4m
m、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0118】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界
面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用い
ることができる。また、電気化学的な粗面化法としては
塩酸若しくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方
法がある。また、特開昭54−63902号に開示され
ているように両者を組み合わせた方法も利用することが
できる。
【0119】このように粗面化されたアルミニウム板
は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理
された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高める
ために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極
酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化被膜
を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫
酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用
いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によっ
て適宜決められる。
【0120】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には、電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解
時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化
被膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐膜性が不十分
であったり、非画像部に傷が付き易くなって、特に平版
印刷用原版の場合、印刷時に傷の部分にインキが付着す
る、いわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0121】陽極酸化処理を施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施される。本発明で使用
可能な親水化処理としては、米国特許第2,714,0
66号、同第3,181,461号、同第3,280,
734号及び同第3,902,734号に開示されてい
るようなアルカリ金属シリケート(例えば、ケイ酸ナト
リウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体
がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電
解処理される。他に、特公昭36−22063号に開示
されているフッ化ジルコン酸カリウム、米国特許第3,
276,868号、同第4,153,461号、同第
4,689,272号に開示されているようなポリビニ
ルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
【0122】[その他]本発明の感光性樹脂組成物を塗
布する前に、必要に応じて支持体上に下塗層を設けるこ
とができる。下塗層成分としては種々の有機化合物が用
いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキス
トリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等
のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してもよ
いフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキル
ホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン
酸及びエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換
基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、ア
ルキルリン酸及びグリセロリン酸等の有機リン酸;置換
基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホス
フィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィ
ン酸等の有機ホスフィン酸;グリシンやβ−アラニン等
のアミノ酸類;及びトリエタノールアミンの塩酸塩等の
ヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれる
が、2種以上混合して用いてもよい。また、前述したジ
アゾニウム化合物を下塗りすることも好ましい。有機下
塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当であり、
好ましくは5〜100mg/m2 である。上記の被覆量
が2mg/m2 よりも少ないと十分な膜性が得られず、
200mg/m2 より大きくても同様である。
【0123】この有機下塗層は、次のような方法で設け
ることができる。水またはメタノール、エタノール、メ
チルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合
溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウ
ム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノ
ール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤
もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解さ
せた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸
着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗
層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化
合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方
法で塗布できる。また、後者の方法では、溶液の濃度は
0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%
で、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50
℃、さらに、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは
2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、
トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質
や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の
範囲に調整することもできる。また、本発明の感光性樹
脂組成物を平版印刷用原版として用いる場合には、調子
再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
【0124】以上のようにして、本発明の感光性樹脂組
成物を用いた平版印刷用原版を作製することができる。
この感光性樹脂組成物は赤外線レーザで記録することが
でき、また紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な
記録も可能である。本発明においては、波長760nm
から1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半
導体レーザにより画像露光されることが好ましい。本発
明においては、露光後すぐに現像処理を行ってもよい
が、露光工程と現像工程の間に加熱処理を行ってもよ
い。加熱処理をする場合その条件は、60℃〜150℃
の範囲内で5秒〜5分間行うことが好ましい。加熱方法
としては、従来公知の種々の方法を用いることができ
る。例えば、パネルヒーターやセラミックヒーターによ
り記録材料と接触しつつ加熱する方法、及びランプや温
風による非接触の加熱方法等が挙げられる。この加熱処
理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギ
ーを減少させることができる。
【0125】必要に応じて加熱処理を行った後、本発明
の感光性樹脂組成物は、好ましくは、水又はアルカリ性
水溶液にて現像される。
【0126】アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の
感光性樹脂組成物の現像液及び補充液としては従来より
知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケ
イ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、
同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、
同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリ
ウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウ
ム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、
同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、
同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げら
れる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ト
リエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロ
ピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ
ソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジア
ミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
【0127】これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を
組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤の中で特
に好ましい現像液の一例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸
カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸
塩の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物
2 O(Mは、アルカリ金属を表す)の比率と濃度によ
って現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特
開昭54−62004号、特公昭57−7427号に記
載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用い
られる。
【0128】さらに、自動現像機を用いて現像する場合
には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充
液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク
中の現像液を交換することなく、多量の感光性樹脂組成
物を処理できることが知られている。本発明においても
この補充方式が好ましく適用される。
【0129】現像液及び補充液には現像性の促進や抑
制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高
める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等
を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン
系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げ
られる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール
等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しく
はその誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくは
その誘導体等の添加も好ましい。
【0130】さらに、現像液及び補充液には必要に応じ
て、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸
水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還
元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加
えることもできる。
【0131】このような界面活性剤、有機溶剤及び還元
剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−
77401号に記載されている、ベンジルアルコール、
アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からなる現像
液組成物、特開昭53−44202号に記載されてい
る、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、及び
水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物、
特開昭55−155355号に記載されている、水に対
する溶解度が常温において10重量%以下である有機溶
剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等が挙
げられ、本発明においても好適に使用される。
【0132】以上記述した現像液及び補充液を用いて現
像処理された感光性樹脂組成物は、水洗水、界面活性剤
等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含
む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性樹脂組成
物を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、
これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0133】近年、特に製版・印刷業界においては、製
版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動
現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般
に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装
置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの
印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処
理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するもの
である。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に
液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させ
て処理する方法も知られている。このような自動処理に
おいては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充
液を補充しながら処理することができる。
【0134】また、実質的に未使用の処理液で処理す
る、いわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0135】上記のようにして得られた感光性樹脂組成
物を平版印刷版として用いる場合には、所望により不感
脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができ
る。より一層耐刷力を向上させる目的でバーニング処理
が施してもよい。平版印刷版をバーニングする場合に
は、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−
28062号、特開昭62−31859号、同61−1
59655号の各公報に記載されているような整面液で
処理することが好ましい。
【0136】その方法としては、該整面液を浸み込ませ
たスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、
整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する
方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。ま
た、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、そ
の塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与え
る。整面液の塗布量は、一般に、0.03〜0.8g/
2 (乾燥重量)が適当である。
【0137】整面液が塗布された平版印刷版原版は、必
要に応じて乾燥された後バーニングプロセッサー(例え
ば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニ
ングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱さ
れる。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成して
いる成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で
1〜20分の範囲が好ましい。
【0138】バーニング処理された平版印刷版は、必要
に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来より行われてい
る処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等
を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどの
いわゆる不感脂化処理を省略することができる。
【0139】このような処理によって得られた平版印刷
版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用
いられる。
【0140】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに制限されるものではない。 <バインダーポリマーの合成> (合成例1 :P−1の合成,[一般式(2)の具体
例])市販のポリ−p−ヒドロキシスチレン(H−1;
重量平均分子量20000)100gおよびP−トシル
イソシアナート30gに対し、アセトン200mlを混
入し、24時間還流後、水で再沈し、メタノール/水=
2/8の水溶液で洗浄し、ろ取、乾燥し、バインダーポ
リマー〔P−1〕120gを得た。1HNMRにより、
前記表1中の官能基[M−3]の構造を確認した。得ら
れたバインダーポリマーP−1について、GPCによ
り、重量平均分子量は20000であることを確認し
た。
【0141】(合成例2 :P−2の合成,[一般式
(1)の具体例])市販のm−クレゾールホルムアルデ
ヒドノボラック(N−2;重量平均分子量3000)1
00gおよびP−トシルイソシアナート30gに対し、
アセトン200mlを混入し、24時間還流後、水で再
沈し、メタノール/水=2/8の水溶液で洗浄し、ろ
取、乾燥し、バインダーポリマー〔P−2〕110gを
得た。1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−
3]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP
−2について、GPCにより、重量平均分子量は300
0であることを確認した。
【0142】(合成例3 :P−3の合成,[一般式
(2)の具体例])上記合成例1で用いたポリ−p−ヒ
ドロキシスチレンを、以下のポリマー(F−1;重量平
均分子量20000)に変更した他は、合成例1と同様
にしてバインダーポリマー〔P−3〕120gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構
造を確認した。得られたバインダーポリマーP−3につ
いて、GPCにより、重量平均分子量は20000であ
ることを確認した。
【0143】
【化28】
【0144】(合成例4 :P−4の合成,[一般式
(2)の具体例])上記合成例1で用いたポリ−p−ヒ
ドロキシスチレンを、以下のポリマー(F−2;重量平
均分子量15000)に変更した他は、合成例1と同様
にしてバインダーポリマー〔P−4〕115gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構
造を確認した。得られたバインダーポリマーP−4につ
いて、GPCにより、重量平均分子量は15000であ
ることを確認した。
【0145】
【化29】
【0146】(合成例5 :P−5の合成,[一般式
(1)の具体例])フェノールホルムアルデヒドノボラ
ック(N−1;重量平均分子量1500)100gにフ
ェニルイソシアナート30g、トリエチルアミン50g
およびアセトン200mlを混入し、24時間還流後、
希塩酸でpH=2とし、水で再沈し、メタノール/水=
4/6の水溶液で洗浄し、ろ取、乾燥し、バインダーポ
リマー〔P−5〕125gを得た。1HNMRにより、
前記表1中の官能基[M−1]の構造を確認した。得ら
れたバインダーポリマーP−2について、GPCによ
り、重量平均分子量は1500であることを確認した。
【0147】(合成例6 :P−6の合成,[一般式
(1)の具体例])上記合成例5で用いたフェニルイソ
シアナートを、ブチルイソシアナートに変更した他は、
合成例5と同様にしてバインダーポリマー〔P−6〕1
15gを得た。1HNMRにより、−CO−NH− nB
u基の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP
−6について、GPCにより、重量平均分子量は150
0であることを確認した。
【0148】(合成例7 :P−7の合成,[一般式
(1)の具体例])上記合成例5で用いたフェニルイソ
シアナートを、ベンゾイルイソシアナートに変更した他
は、合成例5と同様にしてバインダーポリマー〔P−
7〕100gを得た。1HNMRにより、−CO−NH
−CO−C6 5 の構造を確認した。得られたバインダ
ーポリマーP−7について、GPCにより、重量平均分
子量は1500であることを確認した。
【0149】(実施例1〜14、比較例1〜5) :ネ
ガ型 厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)を
トリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラ
シと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその
表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。このアルミニウ
ム板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間
浸漬してエッチングを行い水洗後、さらに2%HNO3
に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面の
エッチング量は約3g/m2 であった。次に、この板を
7%H2 SO4 を電解液として電流密度15A/dm2
で3g/m2 の直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗乾燥
した。次にこのアルミニウム板に下記下塗り液を塗布
し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10
mg/m2 であった。 <下塗り液> ・β−アラニン ・・・・0.10g ・フェニルホスホン酸 ・・・・0.05g ・メタノール ・・・40 g ・純水 ・・・60 g
【0150】次に、下記溶液[α]において、本発明に
おけるバインダーポリマーまたは比較例に用いる他のポ
リマーの種類を変えて、19種類の溶液[α−1]〜
[α−19]を調製した。この溶液を、上記の下塗り済
みのアルミニウム板に塗布し、100℃で1分間乾燥し
てネガ型の平版印刷用原版[α−1]〜[α−19]を
得た。乾燥後の重量は1.4g/m2 であった。
【0151】 <溶液[α]> ・架橋剤〔CR−1〕 ・・・0.50g ・下記表3のバインダーポリマー ・・・1.50g ・酸発生剤[SH−3] ・・・0.20g ・赤外線吸収剤[IK−1] ・・・0.10g ・着色剤 ・・・0.015g (AIZEN SPILON BLUE C−RH、 保土ヶ谷化学(株)製) ・フッ素系界面活性剤 ・・・0.06g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン ・・15 g ・メチルアルコール ・・・7.0 g
【0152】溶液[α−1]〜[α−19]に用いたバ
インダーポリマーを表3に示す。また、用いた架橋剤
[CR−1]、酸発生剤[SH−3]および赤外線吸収
剤[IK−1]の構造を以下に示す。
【0153】
【表3】
【0154】
【化30】
【0155】
【化31】
【0156】
【化32】
【0157】<感度の評価>得られたネガ型の平版印刷
用原版[α−1]〜[α−19]を、波長830〜85
0nm程度の赤外線を発する半導体レーザで走査露光し
た。露光後、パネルヒーターにて、110℃で15秒間
加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液、D
P−4(1:8の水希釈液)にて現像した。この際得ら
れた画像の線幅とレーザ出力、光学系でのロスおよび走
査速度を基に、記録に必要なエネルギー量を算出し、感
度を示す指標とした。
【0158】<保存安定性の評価>レーザー露光前の上
記原版を高湿条件下(75%RH、45℃)に3日間放
置し、その後、この保存後の原版を前記と同様にしてレ
ーザー露光し、記録に必要なエネルギー量を算出し、高
湿保存前後のエネルギー量の差を求めた。このエネルギ
ー量差が、20mJ/cm2 以下であることが製造上好
ましく、保存安定性においても良好と言える。これらの
評価結果を併せて表4に示す。
【0159】
【表4】
【0160】表4により、実施例1〜14の平版印刷用
原版のように、本発明におけるバインダーポリマーを用
いた平版印刷用原版はいずれも、160mJ/cm2
下のエネルギー量で記録することが可能であり、本発明
におけるバインダーポリマーを用いていない平版印刷用
原版(比較例1〜5)に比べ、高感度であることが分か
る。さらに、実施例1〜14の平版印刷用原版では、高
湿保存後の平版印刷用原版の露光に必要なエネルギー量
の増加も少なく、高湿環境下での保存安定性も極めて良
好であった。また、比較例1〜5のように、本発明にお
けるバインダーポリマーを用いなかった平版印刷用原版
の場合には高感度が得られず、或いは高感度が得られて
も保存安定性に劣り、これら両者を同時に満足すること
はできなかった。
【0161】(実施例15〜28、比較例6〜10)
:ポジ型 前記実施例1〜14、比較例1〜5で用いた溶液[α]
から、架橋剤[CR−1]と酸発生剤[SH−3]を除
いた他は、全く同様の方法により、ポジ型の平版印刷用
原版[β−1]〜[β−19]を得た。
【0162】前記実施例1〜14、比較例1〜5同様、
得られたポジ型の平版印刷用原版[β−1]〜[β−1
9]を波長830nm〜850nm程度の赤外線を発す
る半導体レーザにより走査露光した。露光後、富士写真
フイルム(株)製現像液DP−4(1:8の水希釈液)
にて現像した。この際得られた画像の線幅とレーザ出
力、光学系でのロスおよび走査速度を基に、記録に必要
なエネルギー量を算出し、感度を示す指標とした。ま
た、保存安定性についても、前記実施例1〜14、比較
例1〜5と同様の方法により露光に要するエネルギー量
差を求め、評価を行った。これらの評価結果を併せて表
5に示す。
【0163】
【表5】
【0164】表5より、実施例15〜28のように本発
明におけるバインダーポリマーを用いた平版印刷用原版
はいずれも比較例6〜10の本発明におけるバインダー
ポリマーを用いなかった平版印刷用原版より高感度が得
られ、且つ、高湿保存後の平版印刷用原版の露光に要す
るエネルギー量の増加も少なく、高湿条件下での保存安
定性も極めて良好であった。一方、比較例6〜10の平
版印刷用原版では、高湿保存後の平版印刷用原版の露光
に要するエネルギー量の増加が大きく、十分な保存安定
性を満足することはできなかった。
【0165】以上より、本発明によれば、ネガ型、ポジ
型の如何にかかわらず、十分に高いレベルの感度と保存
安定性を同時に満足しうる平版印刷用原版を得ることが
できた。
【0166】
【発明の効果】本発明の感光性樹脂組成物は、赤外線を
照射する固体レーザまたは半導体レーザーを用いてコン
ピュータ等のデジタルデータから直接記録することがで
き、上記赤外線レーザに対する感度が高く、高湿環境下
における保存安定性にも優れる。従って、これらの感光
性樹脂組成物を用いた本発明の平版印刷用原版は、赤外
線レーザを走査することにより直接、かつ安定に製版す
ることができる、ダイレクト製版可能な平版印刷用版材
として好適に用いられるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/027 514 G03F 7/027 514

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として
    下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマ
    ー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表され
    る構造単位、を有し、 且つ、フェノール性水酸基を有するポリマーを含有する
    ことを特徴とする感光性樹脂組成物。 【化1】 〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化
    水素環を表す。Xは2価の連結基を表し、Yは以下のY
    1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を
    有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。
    2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる
    1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連
    結基を表す。〕 【化2】
  2. 【請求項2】 少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として
    下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマ
    ー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表され
    る構造単位、を有するポリマーと、 フェノール性水酸基を有するポリマーと、を含有するこ
    とを特徴とする感光性樹脂組成物。 【化3】 〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化
    水素環を表す。Xは2価の連結基を表し、Yは以下のY
    1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を
    有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。
    2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる
    1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連
    結基を表す。〕 【化4】
  3. 【請求項3】 さらに赤外線吸収剤を含有することを特
    徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 支持体上に、請求項1ないし3のいずれ
    か1に記載の感光性樹脂組成物よりなる感光層が設けら
    れていることを特徴とする平版印刷用原版。
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