JP2000075136A - 光拡散偏光板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光拡散シートを省略して嵩を低くでき、かつ
集光シートを介して光路を制御しても干渉縞が発生しに
くい液晶表示装置を形成でき、しかも集光シート上に配
置してもそれを損傷させず、かつスティッキング問題も
生じない偏光板の開発。 【解決手段】 偏光板（２）の片面又は両面に密着した
光拡散層（１）を有してなり、その光拡散層が外表面に
中心線平均粗さ０．３μm以上の微細凹凸構造を有し、
かつ鉛筆硬度Ｈ以下の表面硬度を有する光拡散偏光板。 【効果】 薄型で干渉縞が発生しにくい良視認性の表示
装置を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、集光シートによる干渉縞
の発生の防止等による良視認性で薄型の液晶表示装置の
形成などに好適な光拡散偏光板に関する。

【０００２】

【背景技術】サイドライト型導光板上に順次集光シート
と光拡散シートと偏光板又は楕円偏光板等を介して液晶
セルを配置した液晶表示装置が知られている。かかる配
置構造は、導光板出射光をプリズムシート等からなる単
層又は複層の集光シートで光路を制御し、その光路制御
光が液晶セルの画素と干渉してモアレ等の干渉縞を生じ
ないように光拡散シートにて拡散させて偏光板に導入す
るようにしたものであり、液晶表示装置の視角特性の改
善などを目的とする。しかし、かかる構成ではシート等
の積層数が多く、その固定に接着層も介在することなど
より表示装置が嵩高くなる難点があり、薄型化が求めら
れている。

【０００３】本発明者らは、シート等の厚さを薄くする
方式では強度等の点より限界があり、前記の薄型化を達
成できないと考え、防眩等を目的に表示装置の視認側に
配置されるアンチグレア偏光板を液晶セルの光源側に配
置して、集光シート上の光拡散シートの省略による本質
的な薄型化を試みた。

【０００４】しかしながら、かかるアンチグレア偏光板
を集光シート上に配置した場合、アンチグレア偏光板の
表面凹凸に基づいて集光シートが損傷される問題点のあ
ることが判明した。集光シートは上記した如く光路制御
を目的とし、その表面傷等の損傷は、散乱点等となるた
め光路制御を不能として致命的である。単にその損傷を
防止するだけでよければ、アンチグレア偏光板の表面を
平滑化することで達成しうるが、その場合には拡散能力
不足等の問題を誘発し、また集光シートとの密着による
スティッキング問題も誘発する。

【０００５】

【発明の技術的課題】本発明は、光拡散シートを省略し
て嵩を低くでき、かつ集光シートを介して光路を制御し
ても干渉縞が発生しにくい液晶表示装置を形成でき、し
かも集光シート上に配置してもそれを損傷させず、かつ
スティッキング問題も生じない偏光板の開発を課題とす
る。

【０００６】

【課題の解決手段】本発明は、偏光板の片面又は両面に
密着した光拡散層を有してなり、その光拡散層が外表面
に中心線平均粗さ０．３μm以上の微細凹凸構造を有
し、かつ鉛筆硬度Ｈ以下の表面硬度を有することを特徴
とする光拡散偏光板を提供するものである。

【０００７】

【発明の効果】本発明によれば、偏光板に密着した光拡
散層が集光シートによる光路制御光等の入射光を、集光
シートによる制御光路を大きく変えることなく必要な拡
散効果を示して、干渉縞の発生を防止することより別個
の光拡散シートの配置を省略でき、かつ偏光板と密着し
ていることより接着層も省略できて嵩を低くでき、薄型
で干渉縞が発生しにくい良視認性の表示装置を形成する
ことができる。また集光シート上に配置してもそれを損
傷させないと共に、表面の微細凹凸構造にてスティッキ
ング問題も発生させない。

【０００８】

【発明の実施形態】本発明による光拡散偏光板は、偏光
板の片面又は両面に密着した光拡散層を有してなり、そ
の光拡散層が外表面に中心線平均粗さ０．３μm以上の
微細凹凸構造を有し、かつ鉛筆硬度Ｈ以下の表面硬度を
有するものからなる。その例を図１、図２に示した。
１，３，４が光拡散層、２が偏光板である。

【０００９】光拡散層の支持母体となる偏光板には適宜
なものを用いることができ、その種類については特に限
定はない。ちなみにその例としては、ポリビニルアルコ
ール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコー
ル系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケ
ン化フィルムの如き親水性高分子フィルムに、ヨウ素や
二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したもの、
ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの
脱塩酸処理物の如き偏光フィルムなどがあげられる。偏
光フィルムの厚さは、５〜８０μmが一般的であるが、
これに限定されない。

【００１０】また図例の如く前記した偏光フィルム２２
の片面又は両面に耐水性等の保護目的で、ポリマーの塗
布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層２
１，２３を設けたものなどもあげられる。透明保護層の
形成には、透明ポリマーなどの適宜なものを用いうる
が、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに
優れるものが好ましく用いうる。また透明保護層は、位
相差等の光学的異方性が少ないほど好ましい場合が多
い。透明保護層の厚さは、１０〜３００μmが一般的で
あるが、これに限定されない。

【００１１】ちなみに前記の透明保護層を形成するポリ
マーとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポ
リエチレンナフタレートの如きポリエステル系ポリマ
ー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロースの如きセルロ
ース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーやＰＭＭ
Ａの如きアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロ
ニトリル・スチレン共重合体（ＡＳ樹脂）の如きスチレ
ン系ポリマーなどがあげられる。

【００１２】また、ポリエチレンやポリプロピレン、シ
クロ系ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン
やエチレン・プロピレン共重合体の如きオレフィン系ポ
リマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリ
アミドの如きアミド系ポリマー、イミド系ポリマーやス
ルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマーや
ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレ
ンスルフィド系ポリマーやビニルアルコール系ポリマ
ー、塩化ビニリデン系ポリマーやビニルブチラール系ポ
リマー、アリレート系ポリマーやポリオキシメチレン系
ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレン
ド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例とし
てあげられる。

【００１３】本発明による光拡散偏光板は、中心線平均
粗さが０．３μm以上の微細凹凸構造を外表面に有し、
鉛筆硬度にてＨ以下の表面硬度の光拡散層が偏光板の片
面又は両面に密着したものである。前記中心線平均粗さ
が０．３μm未満の微細凹凸では拡散効果に乏しくて、
集光シートによる光路制御光を入射させた場合に干渉縞
の発生を防止することが困難となる。干渉縞の発生防止
による明瞭な表示品位などの点より好ましい当該中心線
平均粗さは０．３３μm以上、就中０．３５μm以上、特
に０．４μm以上である。

【００１４】一方、前記の表面硬度が鉛筆硬度にてＨを
超えると、集光シート等の重畳配置する光学層の損傷防
止が困難となる。その損傷防止等の点より好ましい表面
硬度は、鉛筆硬度にてＨＢ以下、就中Ｂ以下である。

【００１５】上記のように本発明においては、集光シー
トによる光路制御光が大きい角度で拡散されることなく
その指向性を可及的に維持し、しかも干渉縞の発生を有
効防止する拡散特性が要求されるが、その干渉縞の発生
防止によるより明瞭な表示品位の達成性などの点より
は、基準平面に対し垂直光を入射させた場合に光透過側
に基づく曇価が６０％以上、就中６５％以上、特に７０
％以上の光拡散偏光板であることが好ましい。

【００１６】また、液晶表示装置等とした場合の明るい
表示の達成性などの点よりは、偏光板に基づく８０％以
上、就中８５％以上、特に９０％以上の偏光度の達成を
前提に可及的に高い光透過率を示す光拡散偏光板である
ことが好ましく、就中、基準平面に対する垂直入射光の
透過率が３５％以上、特に４０％以上であることが好ま
しい。なお前記の曇価は、基準平面に対する垂直入射光
において、偏光板透過光の入射光に対する割合をＴt
（全光線透過率）、前記透過光における入射光と平行な
光の割合をＴp（平行光線透過率）、拡散光の割合をＴd
（拡散光線透過率＝Ｔt−Ｔp）としたときＴd／Ｔtにて
定義される。

【００１７】なお前記の基準平面は、図１に仮想線Ｈに
て例示した如く、光拡散層表面の凹凸構造や層厚のバラ
ツキなどを平準化した、光拡散偏光板の全体に基づいて
想定される平面を意味する。

【００１８】上記した拡散特性等を付与するための光拡
散層は、上記した如く別個配置の光拡散シートの付設を
不要化して薄型を図ることなどを目的に、偏光板の片面
又は両面に密着付設されるが、それは適宜な方式で表面
に微細凹凸を有する構造に形成したものであってよい。

【００１９】ちなみにその例としては、サンドブラスト
やエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗
面化処理して表面に微細凹凸構造を付与したもの、機械
的ストレスの付与や溶剤処理等によりクレイズを発生さ
せたもの、金型による転写方式等にて表面に微細凹凸構
造を付与したもの、屈折率相違の微粒子を分散含有する
樹脂層などがあげられる。

【００２０】従って密着付設の光拡散層は、例えば図１
や図２に例示したもの１，４の如く、上記した偏光板に
おける透明保護層の表面に微細凹凸構造等を付与した透
明保護層を兼ねる、又は透明保護層に代わる光拡散層と
して形成することができる。その場合には、予め光拡散
フィルムとしたものを接着層を介し偏光フィルム等に接
着してもよい。

【００２１】また密着付設の光拡散層は、図２に例示し
たもの３の如く、偏光板２の透明保護層２１に対する前
記樹脂層の塗工層等からなる付加層や、透明保護層に塗
工付加したポリマー層の表面に微細凹凸構造等を付与し
た加工層、あるいは前記の表面に微細凹凸構造等を付与
した透明保護層の上にポリマーの塗工層を設けたものな
どとしても形成することができる。光拡散層は、前記し
た２種以上の状態のものを複合させた層として形成され
ていてもよい。

【００２２】前記において、薄型化等の点よりは偏光板
の透明保護層を兼ねる又は透明保護層に代わる光拡散層
とした構造が好ましい。なお上記した樹脂層は、例えば
樹脂溶液に微粒子を分散含有させてそれをドクターブレ
ード法やグラビアロールコータ法等の適宜な方式で偏光
板上に塗工して塗工膜を形成する方式などにより得るこ
とができる。

【００２３】形成する樹脂層は、含有の微粒子に基づい
て表面に微細凹凸構造を有するものであってもよいし、
塗工する偏光板の表面凹凸が樹脂層表面に反映した状態
で表面に微細凹凸構造を有するものであってもよく、ま
たそれらが複合した状態で表面に微細凹凸構造を有する
ものなどであってもよい。従って当該樹脂層からなるフ
ィルムを予め形成して、それを偏光板の透明保護層を兼
ねる又は透明保護層に代わる光拡散層として用いること
もできる。

【００２４】なお前記樹脂層を形成する樹脂には、上記
した透明保護層にて例示したポリマーなどをその硬度な
どに応じて適宜に用いうる。好ましく用いうるものは紫
外線硬化型樹脂である。これによれば、紫外線照射によ
る塗工層の硬化処理にて必要に応じ微粒子を含有する紫
外線硬化樹脂層からなる光拡散層を簡単な加工操作にて
効率よく形成することができる。また粗面化した透明保
護層の表面に紫外線硬化樹脂層を形成してその表面に透
明保護層の表面凹凸を反映させることなども容易に行う
ことができる。

【００２５】前記の紫外線硬化型樹脂としては、例えば
ポリエステル系やアクリル系、ウレタン系やアミド系、
シリコーン系やエポキシ系等の樹脂を形成しうるモノマ
ーやオリゴマーやポリマーに紫外線重合開始剤を配合し
て、紫外線照射による硬化処理で樹脂層を形成しうるよ
うにしたものなどの適宜なものを用いうる。

【００２６】好ましく用いうる紫外線硬化型樹脂は、例
えば紫外線重合性の官能基を３〜６個有するアクリル系
のモノマーやオリゴマーを成分とするものの如く、付設
対象の偏光板表面に対する密着性、透明性やハードコー
ト性、微粒子を含有させる場合にはその分散性、硬化皮
膜の上記硬度を満足する軟質性などに優れるものであ
る。

【００２７】なお前記の微粒子としては、例えばシリカ
やアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化カルシウムや
酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチ
モン等の導電性のこともある無機系粒子、ポリメチルメ
タクリレート（ＰＭＭＡ）やポリウレタン等の各種ポリ
マーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子などの適宜な
ものを用いうる。用いる微粒子の平均粒径は、３０μm
以下、就中０．１〜１５μm、特に０．５〜１０μmが一
般的であるが、これに限定されない。

【００２８】光拡散偏光板には、その片面又は両面に図
２に例示した如く、必要に応じて接着層５を設けること
もできる。かかる接着層は、光拡散偏光板を液晶セルや
集光シート等の他部材と接着することを目的とするもの
である。接着層は、例えばアクリル系やゴム系、シリコ
ーン系等の粘着剤やホットメルト系接着剤などの適宜な
接着剤にて形成することができ、透明性や耐候性等に優
れるものが好ましい。

【００２９】本発明による光拡散偏光板は、表示装置な
どの従来に準じた各種の用途に用いうる。特に液晶表示
装置の如く画素が所定の間隔で配列して集光シートを介
した光路制御光などによりモアレ等の干渉縞が発生しや
すく、その干渉縞の発生防止を別個の光拡散シートの配
置で厚さの増大が望ましくない表示装置などに好ましく
用いうる。

【００３０】

【実施例】実施例１ ヨウ素系ポリビニルアルコール型偏光フィルムの両面に
ポリビニルアルコール系接着層を介し厚さ５０μmのト
リアセチルセルロースフィルムを接着した偏光板の片面
を、サンドブラストにて粗面化処理して外表面に中心線
平均粗さが０．４４μmの微細凹凸構造を有する光拡散
層を形成して光拡散偏光板を得た。光拡散層の表面硬度
は、鉛筆硬度にてＢであった。

【００３１】前記の光拡散偏光板に垂直光を入射させた
ところ、その全光線透過率は４２％で、光透過側の曇価
は６８％であった。またその光拡散偏光板をサイドライ
ト型導光板の上にプリズムシートからなる２枚の集光シ
ートを介して配置し、その上に液晶セルと偏光板を配置
してノート型パソコン用の液晶カラー表示パネルを形成
したところ、画面の鮮明性や明るさに優れると共に、従
来よりも薄いパネルを得ることができた。また集光シー
トにも傷つきは生じなかった。

【００３２】比較例１ 中心線平均粗さが０．２８μmの微細凹凸構造としたほ
かは実施例１に準じて光拡散偏光板を得た。その鉛筆硬
度はＢ、全光線透過率は４２％、光透過側の曇価は５０
％であった。またその光拡散偏光板を用いて実施例１に
準じ光拡散シート省略型の液晶カラー表示パネルを形成
したところ、集光シートの傷つきはなかったが画面の鮮
明性に劣り、見づらいものであった。

【００３３】比較例２ 表面微細凹凸構造の中心線平均粗さが０．２μmで鉛筆
硬度が３Ｈの市販アンチグレア偏光板（全光線透過率４
２％、光透過側の曇価２５％）を用いて実施例１に準じ
光拡散シート省略型の液晶カラー表示パネルを形成した
ところ、画面の鮮明性はよかったが集光シートに傷つき
が発生した。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の断面図

【図２】他の実施例の断面図

【符号の説明】

１，３，４：光拡散層 ２：偏光板 ２１，２３：透明保護層 ２２：偏光フィルム ５：接着層

フロントページの続き (72)発明者 正田 位守 大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号 日東 電工株式会社内 Ｆターム(参考） 2H042 AA04 AA26 BA04 BA20 2H049 BA13 BA25 BA26 BB16 BB63 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA31X FA31Z FB02 FB12 FB13 FC22 FC23 FC25 GA16 LA02 LA21 4F100 AJ06 AK69 AK69G AL06 AR00A AR00B AR00C BA03 BA06 BA10B BA10C CB00 DD07B DD07C GB41 JK12B JK12C JL00 JL02 JN08 JN10A JN30 JN30B JN30C YY00 YY00B YY00C

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏光板の片面又は両面に密着した光拡散
   層を有してなり、その光拡散層が外表面に中心線平均粗
   さ０．３μm以上の微細凹凸構造を有し、かつ鉛筆硬度
   Ｈ以下の表面硬度を有することを特徴とする光拡散偏光
   板。
2. 【請求項２】 請求項１において、全光線透過率が４０
   ％以上で、曇価が６０％以上である光拡散偏光板。