JP2000073929A - エンジンの着火装置および方法 - Google Patents

エンジンの着火装置および方法

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JP2000073929A
JP2000073929A JP10245514A JP24551498A JP2000073929A JP 2000073929 A JP2000073929 A JP 2000073929A JP 10245514 A JP10245514 A JP 10245514A JP 24551498 A JP24551498 A JP 24551498A JP 2000073929 A JP2000073929 A JP 2000073929A
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fuel
combustion chamber
engine
air
ignition
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JP10245514A
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Kotaro Wakamoto
晃太郎 若本
Shunichi Sakuragi
俊一 桜木
Taisuke Murotani
泰輔 室谷
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、予混合気全体を効率よく着火させ、
要求される希薄限界に到達させることを解決課題とす
る。また電力の消費量増大、電極の短期消耗という問題
を発生させないことを解決課題とする。 【解決手段】燃焼室4内の混合気中のイオン生成領域に
交流電界12が印加される。これによって混合気中のイ
オンが振動され、イオンの並進運動が加速される。また
イオンの回転、振動運動が励起される。このため空気
(酸素原子、分子)と燃料(炭化水素化合物)とが衝突
し易くなり反応頻度が増大する。また活性化エネルギー
が低下する。これによって混合気の局部ではなく混合気
が全体的に効率よく着火することになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの燃焼室内
に空気と燃料を供給し、これら空気と燃料の混合気を圧
縮した所望の時期に燃料を着火させて燃焼を行うディー
ゼルエンジンなどのエンジンに関し、特にそのエンジン
の燃焼室で着火を行わせるための着火装置および着火方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジ
ンに比較して熱効率に優れていて過酷な条件(高負荷連
続運転)に耐えるなどの利点を有している。しかし一方
で窒素酸化物NOxがガソリンエンジンの2〜3倍程度
排出されたり、すす(粒子状排出物)が排出されたりす
るなど排気が清浄ではなく、環境的に好ましくないなど
の不利な点もある。
【0003】そこで本発明者らは熱効率を維持しつつ排
気を清浄化する方法について研究を続けている。
【0004】ここに従来のディーゼルエンジンの燃焼
は、ピストンによって圧縮した高温空気中に燃料を噴射
させて燃料を燃焼させるというものである(従来燃焼方
式)。しかしこの従来燃焼方式を採用すると、シリンダ
内で局所的に燃焼温度が高くなり上述したようにNOx
が大量に発生する。またシリンダ内で局所的に空気が不
足して上述したようにすすが大量に発生してしまう。こ
こに従来は燃料の噴射を高圧にすることでこれら問題に
対処していた。しかしこの燃料噴射の高圧化による方法
には限界があることが明らかになった。
【0005】そこで近年つぎのような燃焼方法が考えら
れている。
【0006】すなわちピストンによる圧縮途中(ピスト
ンが下死点付近に位置している間)でシリンダ内に所定
量の燃料を添加する。その後予混合気をピストンによっ
て圧縮する行程が進行すると、シリンダ内の温度が上昇
する。そして混合気が温度等の各パラメータにより定ま
る着火臨界条件を超えると、シリンダ内の燃焼室(燃焼
室)全域にわたって燃料が自己着火することになる。こ
こで自己着火までに燃料は十分に気化しており、空気と
の混合が進んだ状態となっている。なおこの燃焼方式を
本明細書では「希薄予混合自着火方式」と呼ぶ。
【0007】上記希薄予混合自着火方式を採用するとき
は、自着火前に予め空気と燃料を均一に混合させておく
ことができるので、シリンダ内の燃焼室(燃焼室)全域
で均一に燃料が燃焼する。したがって局部的にしか空燃
比が理論混合比あるいはそれに近い条件で燃焼しないこ
とを避けることができ、NOxの生成を抑制することが
できる。このため排出されるNOxを少なくすることが
できる。また均一に燃焼するため、すすの排出量を少な
くすることができる。
【0008】この希薄予混合自着火方式では、燃料と空
気との混合気体(予混合気)を、ある温度に保持する
と、その保持した温度に応じた着火遅れ時間経過後に予
混合気は着火する。
【0009】図5は横軸に予混合気の温度つまりシリン
ダ内温度(単位は絶対温度K)をとり、縦軸に着火遅れ
時間τをとったグラフを示す。なお着火遅れ時間τと
は、燃料がシリンダ内に導入されてから燃焼を引き起こ
す(シリンダ内圧力が立ち上がる)までの時間のことで
ある。着火遅れ時間τは、第1遅れ時間である前炎反応
期間τ1とこれに続く第2遅れ時間である冷炎反応期間
τ2とこれに続く青炎反応期間τ3とから成る。第1遅れ
時間(前炎反応期間)τ1と第2遅れ時間(冷炎反応期
間)τ2と青炎反応期間τ3の合計の総遅れ時間のことを
着火遅れ時間τとしている。着火遅れ時間τの後に熱炎
反応期間が続いて主燃焼が進行する。
【0010】図5に示すように温度の低い領域Iでは、
温度が高くなるに伴い着火遅れ時間τは短くなる。
【0011】しかし温度の高い領域IIでは、温度が高
くなるに伴い着火遅れ時間τは長くなる。すなわち領域
IIでは温度を高くしても着火しにくい傾向がみられ
る。しかもこの領域IIは、燃料の種類や空燃比によっ
て領域幅の違いはあるものの希薄予混合自着火方式のエ
ンジンでは、通常の運転条件における温度範囲である。
【0012】ここに希薄予混合自着火方式では、混合気
を十分に希薄化したい(空気に対する燃料の比率をきわ
めて小さくしたい)との要請がある。混合気が薄くなる
ほど予混合気は益々着火し難くなる。
【0013】よって、希薄予混合自着火方式において希
薄化を高めるためには、エンジンの通常運転時の温度範
囲(領域II)における着火のし難さを解消する必要性
がある。
【0014】そこで自着火し難い予混合気に対して自着
火を補助する従来の方法を適用することが考えられる。
その着火補助の従来の方法はつぎのとおりである。
【0015】(1)火花放電式点火プラグ(スパークプ
ラグ)を使用する。
【0016】(2)プラズマ放電式点火プラグ(プラズ
マ点火プラグ)を使用する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の方法は、
ガソリンエンジンにおいて実績のある方法である。
【0018】これは燃焼室内に置かれた両電極間にきわ
めて高電圧を印加し電極間で発生した火花放電によって
局部的に燃料を着火させる。そして火花放電による局部
的な着火を起点として混合気全体に火炎を伝搬させて混
合気全体を燃焼させるという方法である。
【0019】しかし上記(1)の方法では、電力の消費
量が大きくなってしまう点と放電電極部表面の溶融によ
り電極が短期に消耗してしまうという点が問題となる。
また電極間で発生した局部的な着火による火炎を伝搬さ
せることによって混合気全体を燃焼させる方法(1点着
火による方法)をとるため、混合気の全体を着火させに
くい面がある。このため混合気の希薄限界が狭く、希薄
予混合自着火方式で要求される程度にまで希薄化を図る
ことができない。また端ガスノックが起きやすいという
問題も発生する。
【0020】これに対して上記(2)の方法は、電極間
でアーク放電を起こさせることによって混合気の一部を
プラズマ化し、この混合気の一部をプラズマ化したもの
をノズルを介して残りの混合気中にプラズマジェットと
して噴出させ、残りの混合気を着火させるという方法で
ある。
【0021】上記(2)の方法では確かに上記(1)の
方法よりも、より高い希薄化を達成することができる。
しかし基本的には上記(1)の方法と同じく電極付近の
局部的な着火を起点として全体に着火を及ばせる方式で
しかないため、空間的な着火範囲には限度がある。希薄
予混合自着火方式で要求される程度にまで希薄化を図る
ことができない。また上記(2)の方法はエンジン内の
ような高圧場では高速に加速された高エネルギー電子を
生成することが難しい面がある。高エネルギー電子を生
成しようとして電界強度を上げていくと火花放電を引き
起こしてプラズマ化しにくくなるという問題が発生す
る。また電極間で放電を起こさせる方法であるため上記
(1)の方法と同じく電力消費、電極の消耗という問題
は避けられない。
【0022】いずれにしても従来の着火補助方法を適用
すると、予混合気を全体的に効率よく着火できないとい
う問題が発生する。したがって空気に対する燃料濃度を
濃くせざるを得なく、要求される希薄限界にまで到底達
し得ない。また電極間による放電現象を利用するもので
あるため電力の消費量が増大し、電極が短期に消耗する
という問題が発生する。
【0023】本発明はこれら問題を解決する新たな着火
装置および方法を提供するべくなされたものである。
【0024】
【課題を解決するための手段および効果】そこで本発明
の第1発明は上記解決課題を達成するために、エンジン
の燃焼室内に空気と燃料を供給し、これら空気と燃料の
混合気を圧縮した所望の時期に前記燃料を着火させて燃
焼を行うエンジンの前記燃料を着火させるエンジンの着
火装置において、前記燃焼室内の混合気中のイオン生成
領域に交流電界を印加してイオンを振動させることによ
って、前記燃料を着火させる着火手段を具えるようにし
ている。
【0025】第2発明では、第1発明において、前記燃
焼室内に交流電界を印加する交流電極を、誘電体で覆う
ようにしている。
【0026】第3発明では、第2発明において、前記交
流電極の前記燃焼室に面した電極面を、前記誘電体で覆
うようにしている。
【0027】第4発明では、第1発明において、前記燃
焼室内に交流電界を印加する交流電極の幅を、前記燃焼
室全体にわたり交流電界が形成されるように前記燃焼室
の幅に応じた大きさに設定している。
【0028】第5発明では、第1発明において、前記燃
焼室内に交流電界を印加する交流電極を、前記エンジン
のピストンの頭上に配設し、前記交流電極の形状を、前
記ピストンの頭部の形状にならう形状としている。
【0029】第6発明では、第1発明において、前記交
流電界を前記燃焼室内に印加する交流回路に、電界を前
記燃焼室以外に形成させないための電磁波シールドを施
すようにしている。
【0030】第7発明では、エンジンの燃焼室内に空気
と燃料を供給し、これら空気と燃料の混合気を圧縮した
所望の時期に前記燃料を着火させて燃焼を行うエンジン
の前記燃料を着火させるエンジンの着火方法において、
前記燃焼室内の混合気中のイオン生成領域に交流電界を
印加してイオンを振動させることによって、前記燃料を
着火させるようにしている。
【0031】本発明は、予混合気の着火過程において予
混合気中にイオンが生成される点に着目してなされたも
のである。
【0032】第1発明によれば、図1に示すように、燃
焼室4内の混合気中のイオン生成領域に交流電界12が
印加される。これによって混合気中のイオンが振動さ
れ、イオンの並進運動が加速される。またイオンの回
転、振動運動が励起される。このため空気(酸素原子、
分子)と燃料(炭化水素化合物)とが衝突し易くなり反
応頻度が増大する。また活性化エネルギーが低下する。
これによって混合気の局部ではなく混合気全体が効率よ
く着火することになる。
【0033】第2発明によれば、図1に示すように、燃
焼室4内に交流電界12を印加する交流電極9が、誘電
体10で覆われる。交流電極9を誘電体10で覆うこと
によって燃焼室4内に効率よく強度の大きい交流電界1
2を形成させることができる。これにより混合気全体の
着火の効率を高めることができる。
【0034】第3発明によれば、図3に示すように、燃
焼室4内に交流電界12を印加する交流電極9が、誘電
体10で覆われる。特に交流電極9の燃焼室4に面した
電極面9cが、誘電体10で覆われる。交流電極9のう
ち特に電極面9cを誘電体10で覆うことによって燃焼
室4内に効率よく強度の大きい交流電界12を形成させ
ることができる。これにより混合気全体の着火の効率を
高めることができる。
【0035】第4発明によれば、図3に示すように、燃
焼室4内に交流電界12を印加する交流電極9bの幅W
が、燃焼室4の幅Wpに応じた大きさに設定され、これ
により燃焼室4全域にわたり交流電界12を形成するこ
とができる。よって燃焼室4全域にわたりイオンを振動
させて燃焼室4全域にわたり混合気を着火させることが
できる。
【0036】第5発明によれば、図4(a)に示すよう
に、燃焼室4内に交流電界12を印加する交流電極9′
が、エンジン1のピストン3の頭上に配設され、交流電
極9′bの形状が、ピストン3の頭部の形状にならう形
状とされる。これにより交流電極9′bの各位置からピ
ストン3の頭部までの距離rが同一となり、電界強度1
2の分布を均一にすることができる。よって電界強度が
局所的に大きくはならず、局所的な着火を防止すること
ができる。
【0037】第6発明によれば、図3に示すように、交
流電界12を印加する交流回路6に、電界12を燃焼室
4以外に形成させないための電磁波シールド13が施さ
れる。これによって交流回路6で生成される電界が電磁
波として燃焼室4以外の空中に伝搬していくことを防ぐ
ことができる。
【0038】第7発明は、装置の発明の第1発明を方法
に発明にしたものである。
【0039】上述した発明によれば、燃焼室4内の混合
気中のイオン生成領域に交流電界12を印加して、混合
気中のイオンを振動させて、空気(酸素原子、分子)と
燃料(炭化水素化合物)とを衝突し易くしたので、予混
合気を局部的ではなく全体的に効率よく着火させること
ができる。したがって要求される希薄限界にまで予混合
気の希薄化を図ることができる。また電極間による放電
現象を利用するものではないため電力の消費量増大、電
極の短期消耗という問題は発生しない。
【0040】なお本発明が適用されるエンジンは、引火
点の低い燃料を使用し圧縮熱によって燃料を着火させる
ディーゼルエンジンに限らず、引火点の高い燃料を使用
し火花点火により燃料を着火させるガソリンエンジンに
も適用可能である。
【0041】空間的着火範囲が従来の着火補助方法に比
べて広がるために、いわゆるリーンバーンエンジンでの
希薄限界の拡張が可能となる。またガソリンエンジンの
大排気量化が実現される。
【0042】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明に係る
エンジンの着火装置および方法の実施形態について説明
する。
【0043】なお本実施形態ではディーゼルエンジンを
想定しているが、ガソリンエンジンに適用することがで
きる。すなわち筒内噴射式ガソリンエンジンなど、エン
ジンの燃焼室内に空気と燃料を供給し、これら空気と燃
料の混合気を圧縮した所望の時期に燃料を着火させて燃
焼を行うエンジンであれば任意に適用可能である。
【0044】図1は実施形態のエンジンの着火装置の構
成例を示す。
【0045】すなわち同図1に示すように、このエンジ
ンの着火装置は、大きくはエンジン1と、エンジン1の
燃焼室4内の混合気中のイオン生成領域に交流電界12
を印加する交流回路6とから構成されている。
【0046】なお図面ではエンジン1に燃料を供給する
燃料供給装置と、エンジン1に空気を供給する吸気管は
省略している。燃料供給装置の燃料噴射ポンプからは一
定量の燃料が所定のパルス間隔で吐出され噴射ノズルを
介してエンジン1のシリンダ2内に燃料が噴射、供給さ
れる。
【0047】エンジン1は、大きくは、シリンダ2と、
シリンダ2内に摺動自在に配設され、シリンダ2内を上
下に往復移動するピストン3と、ピストン3の往復運動
を図示せぬクランクシャフトに回転運動として伝達する
コンロッド5などから構成されている。ピストン3の上
部のシリンダ室が燃焼室4を構成する。燃焼室4は、混
合気中の燃料が燃焼する室でもあると同時にピストン3
によって混合気が圧縮される圧縮室でもある。シリンダ
2内で燃焼された後の排気ガスは図示せぬ排気管路を介
して外気に排出される。
【0048】このエンジン1には吸気管を介して燃焼室
4内に空気が供給される。そして燃料供給装置から、上
記空気に対して所定の比率をもって燃料が燃焼室4内に
供給される。こうして比較的薄い混合気が燃焼室4内で
形成される。
【0049】なおこの実施形態では空気と燃料を異なる
供給管路を介してシリンダ2内に供給しシリンダ2内に
て混合気を形成しているが、シリンダ2に導入前に空気
と燃料を混合して混合気を形成した後この混合気をシリ
ンダ2内に吸入させてもよい。要するに前述した希薄予
混合自着火方式によって燃焼が行われるのであれば燃
料、空気の供給の仕方は任意である。なお実施形態では
燃焼室における爆発力によってピストンを往復運動させ
るレシプロエンジンに適用される場合を想定している
が、爆発力によってロータを回転運動させるロータリエ
ンジンにも適用可能である。
【0050】さて交流回路6は、所定周波数の交流電圧
を電気信号線8を介して交流電極9に印加する交流発信
器7と、交流電界12を印加する電極面が燃焼室4に面
するように配置されている交流電極9と、シリンダ2、
ピストン3、コンロッド5などの電極9以外のエンジン
各部を接地させる電気信号線11とから構成されてい
る。上記交流回路6によって燃焼室4内に所定周波数の
交流電界12が印加され、交流電界による電気力線が燃
焼室4内に形成される。
【0051】ここで本発明に適用される原理について図
6を参照して説明する。
【0052】図6は図5の領域II(エンジンの通常運
転時の温度範囲)における予混合気の着火過程を示す。
図6は燃料がシリンダ2内に導入されてからの経過時間
tを横軸にとり、縦軸に燃焼室4内の予混合気中のイオ
ン濃度、熱発生率(反応速度)をとったグラフである。
図6(a)はイオン濃度を示し、図6(b)は熱発生率
(反応速度)を示す。イオン濃度は、電極9を流れる電
流密度として計測することができる。縦軸の+方向の値
が大きくなるほどイオン濃度は高くなる。熱発生率の単
位は、たとえばエンジン1のクランクシャフトの単位角
度をdegとしてJ/degで表される。
【0053】同図6に示すように、第1遅れ時間τ1で
はイオン濃度はほぼ0であるが、第2遅れ時間τ2にな
ってからイオンが生成され始める。本発明は領域IIの
第2遅れ時間τ2において予混合気中にイオンが生成さ
れる点に着目してなされたものである。予混合気中のイ
オンを振動させれば混合気全体の着火を促進できるとい
う知見に基づき本発明はなされたものである。ここで混
合気中にイオンが生成されている点が重要であり、逆に
言えば第2遅れ時間τ2が経過しても混合気中にイオン
が生成されない図5の領域Iでは本発明による効果は期
待できない。
【0054】つぎに図1の実施形態装置における動作に
ついて説明する。
【0055】エンジン1の運転時に交流発信器7が作動
され、所定周波数の交流電圧が交流電極9に印加され
る。この交流電圧の周波数、電圧の大きさは、所望する
着火時期で燃料が着火されるような周波数、電圧として
予め設定されておかれる。エンジンの最適な着火時期
は、エンジンの回転数、燃料噴射量、冷却水温度、吸入
空気温度、吸入空気圧力などのパラメータによって定ま
る。そこでこれらのパラメータの変化に応じて交流電圧
の大きさ、周波数を変化させることで最適な着火時期で
混合気全体を着火させることができる。
【0056】この結果電極9を介して燃焼室4内全体に
わたり所定周波数の交流電界12が形成される。図面中
破線は交流電界による電気力線を示している。
【0057】燃焼室4内全体にわたり交流電界12が形
成されると、燃焼室4内の混合気中に存在しているイオ
ンが振動され、イオンの並進運動が加速される。またイ
オンの回転、振動運動が励起される。このため空気(酸
素原子、分子)と燃料(炭化水素化合物)とが衝突し易
くなり反応頻度が増大する。また活性化エネルギーが低
下する。これによって混合気の局部ではなく混合気全体
が上記所望の着火時期で効率よく着火することになる。
しかも電極間の放電現象を利用して着火するものではな
いため電力消費量の増大、電極の短期消耗といった問題
は発生しない。
【0058】また着火後の火炎伝搬段階(主燃焼時)に
おいても継続して交流電界12を印加し続けることによ
って、火炎の伝搬速度が向上するという効果が得られ
る。
【0059】図1では交流電極9が誘電体(絶縁体)1
0で覆われている。交流電極9を誘電体10で覆うこと
によって燃焼室4内に効率よく強度の大きい交流電界1
2を形成させることができる。これにより混合気全体の
着火の効率を高めることができる。
【0060】図1に対しては種々の変形が可能である。
【0061】図2は交流電極9の燃焼室4に面する電極
面9cの幅Wを、燃焼室4の幅Wpつまりピストン3の
頭部に形成された凹部の幅Wpに応じた大きさに設定し
た実施形態を示している。
【0062】図2では電極9は図1と同様に、ピストン
3の上下方向に長手方向が配置された棒状の電極9a
と、この電極9aの下端に接続され、燃焼室3の幅方向
に長手方向が配置された電極9bとから成っている。
【0063】電極9bの幅Wが、燃焼室4の幅Wpに応
じた大きさに設定されることによって、図1の電極より
も、より広い領域にわたり交流電界12を形成すること
ができる。よって燃焼室4の隅部に存在する混合気中の
イオンを振動させることができ燃焼室4の隅部に存在す
る混合気についてもこれを着火させることができる。
【0064】また図3に示すように、交流電極9の電極
面9cについても誘電体10で覆うようにしてもよい。
交流電極9の電極面9cを誘電体10で覆うことによっ
て、図2の電極9よりも、燃焼室4内に、より効率よく
強度の大きい交流電界12を形成させることができる。
これにより混合気全体の着火の効率を高めることができ
る。
【0065】また図3の交流回路6では、電気信号線8
に、交流電界を燃焼室4以外に形成させないための電磁
波シールド13が施されている。これにより交流回路6
で生成される電界が電磁波として燃焼室4以外の空中に
伝搬していくことが防止される。
【0066】なお図3では電極9の形状をT字形状にし
て、下端位置の電極9bの幅のみをWに設定している
が、図4(b)に示すように電極9″の上下方向各位置
における幅を同じ幅Wに設定してもよい。
【0067】また図4(a)に示すように交流電極9′
の下端の燃焼室4に面する電極9′bの形状を、ピスト
ン3の頭部に形成された凹部の形状にならう形状として
もよい。これにより電極9′bの各位置からピストン3
の頭部までの距離rが同一となる。この結果電界強度1
2の分布を均一にすることができる。よって電界強度が
局所的に大きくはならず、局所的な着火を防止すること
ができる。
【0068】なお以上説明した実施形態では自着火温度
の低い燃料を使用し圧縮熱によって燃料を着火させるデ
ィーゼルエンジンを想定しているが、自着火温度の高い
燃料を使用し火花点火により燃料を着火させるガソリン
エンジンにも適用可能である。要は、混合気の着火過程
でイオンが生成されるような任意のエンジンに対して本
発明は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施形態の着火装置の構成例を示す図で
ある。
【図2】図2は図1とは電極の構造が異なる他の構成例
を示す図である。
【図3】図3は図1とは交流回路の構成が異なる他の構
成例を示す図である。
【図4】図4(a)、(b)は図3の変形例を示す図で
ある。
【図5】図5は混合気の温度と着火遅れ時間との関係を
示すグラフである。
【図6】図6は図5の温度が高い領域における混合気の
着火過程を示すグラフであり、図6(a)は混合気中の
イオン濃度の時間変化を示すグラフで、図6(b)は熱
発生率(反応速度)の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン 3 ピストン 4 燃焼室 6 交流回路 7 交流発信器 9 交流電極 10 誘電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室谷 泰輔 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内 Fターム(参考) 3G023 AA05 AB05 AB06 AB08 AC04 AD02 AG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの燃焼室内に空気と燃料を
    供給し、これら空気と燃料の混合気を圧縮した所望の時
    期に前記燃料を着火させて燃焼を行うエンジンの前記燃
    料を着火させるエンジンの着火装置において、 前記燃焼室内の混合気中のイオン生成領域に交流電界を
    印加してイオンを振動させることによって、前記燃料を
    着火させる着火手段を具えたエンジンの着火装置。
  2. 【請求項2】 前記燃焼室内に交流電界を印加する
    交流電極を、誘電体で覆うようにした請求項1記載のエ
    ンジンの着火装置。
  3. 【請求項3】 前記交流電極の前記燃焼室に面した電
    極面を、前記誘電体で覆うようにした請求項2記載のエ
    ンジンの着火装置。
  4. 【請求項4】 前記燃焼室内に交流電界を印加する
    交流電極の幅を、前記燃焼室全体にわたり交流電界が形
    成されるように前記燃焼室の幅に応じた大きさに設定し
    た請求項1記載のエンジンの着火装置。
  5. 【請求項5】 前記燃焼室内に交流電界を印加する
    交流電極を、前記エンジンのピストンの頭上に配設し、
    前記交流電極の形状を、前記ピストンの頭部の形状にな
    らう形状とした請求項1記載のエンジンの着火装置。
  6. 【請求項6】 前記交流電界を前記燃焼室内に印加す
    る交流回路に、電界を前記燃焼室以外に形成させないた
    めの電磁波シールドを施すようにした請求項1記載のエ
    ンジンの着火装置。
  7. 【請求項7】 エンジンの燃焼室内に空気と燃料を供
    給し、これら空気と燃料の混合気を圧縮した所望の時期
    に前記燃料を着火させて燃焼を行うエンジンの前記燃料
    を着火させるエンジンの着火方法において、 前記燃焼室内の混合気中のイオン生成領域に交流電界を
    印加してイオンを振動させることによって、前記燃料を
    着火させるようにしたエンジンの着火方法。
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