JP2000073611A - 粘弾性壁の設置構造 - Google Patents
粘弾性壁の設置構造Info
- Publication number
- JP2000073611A JP2000073611A JP10247612A JP24761298A JP2000073611A JP 2000073611 A JP2000073611 A JP 2000073611A JP 10247612 A JP10247612 A JP 10247612A JP 24761298 A JP24761298 A JP 24761298A JP 2000073611 A JP2000073611 A JP 2000073611A
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- steel
- concrete
- viscoelastic
- wall
- viscoelastic wall
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 鉄骨造建物に粘弾性壁を設置する場合に、粘
弾性壁の鋼板が接合されない梁の端部の補強を合理的に
行う。 【解決手段】 鋼板3a、3bの間に粘弾性体を接着状
態で挟み込んでなる粘弾性壁Aを鉄骨造建物の柱1と梁
2とで囲まれる空間内に配して、粘弾性壁の側部と柱と
の間に間隙Sを確保した状態で各鋼板を上下の梁に対し
て接合する場合、梁の端部における鋼板の非接合部分に
剪断耐力増強のためのコンクリート5による補強部6を
形成する。梁としてH形鋼を採用した場合、そのH形鋼
のウエブとフランジとで囲まれる腹部にコンクリートを
充填することで補強部を形成する。その場合、H形鋼の
上下のフランジ間に鋼板を溶接して腹部を閉鎖空間と
し、その閉鎖空間内にコンクリートを充填する。
弾性壁の鋼板が接合されない梁の端部の補強を合理的に
行う。 【解決手段】 鋼板3a、3bの間に粘弾性体を接着状
態で挟み込んでなる粘弾性壁Aを鉄骨造建物の柱1と梁
2とで囲まれる空間内に配して、粘弾性壁の側部と柱と
の間に間隙Sを確保した状態で各鋼板を上下の梁に対し
て接合する場合、梁の端部における鋼板の非接合部分に
剪断耐力増強のためのコンクリート5による補強部6を
形成する。梁としてH形鋼を採用した場合、そのH形鋼
のウエブとフランジとで囲まれる腹部にコンクリートを
充填することで補強部を形成する。その場合、H形鋼の
上下のフランジ間に鋼板を溶接して腹部を閉鎖空間と
し、その閉鎖空間内にコンクリートを充填する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨造建物に粘弾
性壁を設置するための構造に関する。
性壁を設置するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、図3に示すように、建物に制振ダ
ンパーとして設置する粘弾性壁Aが開発され、実用化さ
れている。これは、左右の柱1と上下の梁2とにより囲
まれる空間内に壁として設置されるもので、下側の梁2
aに固定されて立ち上がる2枚の鋼板(外鋼板)3a
と、上側の梁2bに固定されて立ち下がる1枚の鋼板
(内鋼板)3bとの間に粘弾性体4を挟み込み、その粘
弾性体4により鋼板3aと鋼板3bとを接着した構成と
されている。このような構成の粘弾性壁Aでは、地震時
に建物が層間変位した際に双方の鋼板3a,3bが面内
で相対変位し、その際に生じる粘弾性体4の粘性抵抗力
によって振動エネルギーを吸収して建物の振動を減衰さ
せるものである。
ンパーとして設置する粘弾性壁Aが開発され、実用化さ
れている。これは、左右の柱1と上下の梁2とにより囲
まれる空間内に壁として設置されるもので、下側の梁2
aに固定されて立ち上がる2枚の鋼板(外鋼板)3a
と、上側の梁2bに固定されて立ち下がる1枚の鋼板
(内鋼板)3bとの間に粘弾性体4を挟み込み、その粘
弾性体4により鋼板3aと鋼板3bとを接着した構成と
されている。このような構成の粘弾性壁Aでは、地震時
に建物が層間変位した際に双方の鋼板3a,3bが面内
で相対変位し、その際に生じる粘弾性体4の粘性抵抗力
によって振動エネルギーを吸収して建物の振動を減衰さ
せるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な粘弾性壁Aは通常のRC造の耐震壁にも勝る高剛性を
発揮し得るものとでき、その剪断耐力は1基の粘弾性壁
Aにつきたとえば400〜600tonにも及ぶものと
できる。しかし、上記の粘弾性壁Aを鉄骨造建物に設置
して図3に示すようにその粘弾性壁Aと柱1との間に間
隙Sを確保した場合、梁2の端部は鋼板3a,3bが接
合されない非接合部となるのでそこに作用する剪断力が
きわめて大きなものとなり、したがってそこが構造上の
ネックとなるので何らかの補強対策が必要となる。
な粘弾性壁Aは通常のRC造の耐震壁にも勝る高剛性を
発揮し得るものとでき、その剪断耐力は1基の粘弾性壁
Aにつきたとえば400〜600tonにも及ぶものと
できる。しかし、上記の粘弾性壁Aを鉄骨造建物に設置
して図3に示すようにその粘弾性壁Aと柱1との間に間
隙Sを確保した場合、梁2の端部は鋼板3a,3bが接
合されない非接合部となるのでそこに作用する剪断力が
きわめて大きなものとなり、したがってそこが構造上の
ネックとなるので何らかの補強対策が必要となる。
【0004】上記事情に鑑み、本発明は粘弾性壁が接合
されない梁の端部の補強を行うための合理的な構造を提
供するものである。
されない梁の端部の補強を行うための合理的な構造を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋼板の間に粘
弾性体を接着状態で挟み込んでなる粘弾性壁を鉄骨造建
物の柱と梁とで囲まれる空間内に配して、該粘弾性壁の
側部と柱との間に間隙を確保した状態で前記各鋼板を上
下の梁に対して接合し、前記梁の端部における前記鋼板
の非接合部分に剪断耐力増強のためのコンクリートによ
る補強部を形成するものである。前記梁としてH形鋼を
採用し、該H形鋼のウエブとフランジとで囲まれる腹部
にコンクリートを充填することで前記補強部を形成する
ことが好適であり、その場合、前記H形鋼の上下のフラ
ンジ間に鋼板を溶接して前記腹部を閉鎖空間とし、その
閉鎖空間内にコンクリートを充填することが好適であ
る。
弾性体を接着状態で挟み込んでなる粘弾性壁を鉄骨造建
物の柱と梁とで囲まれる空間内に配して、該粘弾性壁の
側部と柱との間に間隙を確保した状態で前記各鋼板を上
下の梁に対して接合し、前記梁の端部における前記鋼板
の非接合部分に剪断耐力増強のためのコンクリートによ
る補強部を形成するものである。前記梁としてH形鋼を
採用し、該H形鋼のウエブとフランジとで囲まれる腹部
にコンクリートを充填することで前記補強部を形成する
ことが好適であり、その場合、前記H形鋼の上下のフラ
ンジ間に鋼板を溶接して前記腹部を閉鎖空間とし、その
閉鎖空間内にコンクリートを充填することが好適であ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】図1および図2は本発明の実施形
態を示すものである。本実施形態は、図3に示したよう
に鉄骨造建物の柱1と梁2との間に粘弾性壁Aを設置す
るとともに、その粘弾性壁Aの側部と柱1との間には間
隙Sを確保しており、したがって梁2の端部は鋼板3
a,3bが接合されない非接合部となる場合に適用した
ものである。この場合、上述したように梁2の端部にお
いては剪断力が過大になるので、本実施形態ではそこに
コンクリート5による補強部6を設けて剪断耐力を増強
するようにしている。
態を示すものである。本実施形態は、図3に示したよう
に鉄骨造建物の柱1と梁2との間に粘弾性壁Aを設置す
るとともに、その粘弾性壁Aの側部と柱1との間には間
隙Sを確保しており、したがって梁2の端部は鋼板3
a,3bが接合されない非接合部となる場合に適用した
ものである。この場合、上述したように梁2の端部にお
いては剪断力が過大になるので、本実施形態ではそこに
コンクリート5による補強部6を設けて剪断耐力を増強
するようにしている。
【0007】図2は梁2(2a,2b)がH形鋼からな
る場合における補強部6の具体例を示す。(a)はH形
鋼の上下のフランジ7a,7b間に鋼板8を溶接するこ
とでそれらフランジ7a,7bとウエブ7c、鋼板8と
により囲まれる腹部を閉鎖空間としてその閉鎖空間内に
コンクリート5を充填したものである。この場合は梁2
の端部が実質的に充填コンクリート造となって十分な補
強効果が得られるとともに、コンクリート5の充填も容
易に行い得るものである。(b)はH形鋼の腹部を開放
したままでそこにコンクリート5を充填したもので、こ
の場合はウエブ7cにスタッド9を設けてコンクリート
5とH形鋼との一体化を図っている。(c)は(a)あ
るいは(b)の構成に加えてコンクリート5中に剪断補
強用のフープ筋10を埋設したものである。いずれも、
梁2の腹部にコンクリート5を充填するのみで、実質的
に梁2の断面を大きくすることなく補強効果が得られ
る。
る場合における補強部6の具体例を示す。(a)はH形
鋼の上下のフランジ7a,7b間に鋼板8を溶接するこ
とでそれらフランジ7a,7bとウエブ7c、鋼板8と
により囲まれる腹部を閉鎖空間としてその閉鎖空間内に
コンクリート5を充填したものである。この場合は梁2
の端部が実質的に充填コンクリート造となって十分な補
強効果が得られるとともに、コンクリート5の充填も容
易に行い得るものである。(b)はH形鋼の腹部を開放
したままでそこにコンクリート5を充填したもので、こ
の場合はウエブ7cにスタッド9を設けてコンクリート
5とH形鋼との一体化を図っている。(c)は(a)あ
るいは(b)の構成に加えてコンクリート5中に剪断補
強用のフープ筋10を埋設したものである。いずれも、
梁2の腹部にコンクリート5を充填するのみで、実質的
に梁2の断面を大きくすることなく補強効果が得られ
る。
【0008】上記のように、粘弾性壁Aの鋼板3a,3
bが接合されない梁2の端部にコンクリート5による補
強部6を設けることにより、梁2の端部の剪断耐力が増
強され、梁2の全体が粘弾性壁Aの剪断耐力に見合う耐
力を有するものとなり、建物全体の耐震性と信頼性を向
上させることができる。
bが接合されない梁2の端部にコンクリート5による補
強部6を設けることにより、梁2の端部の剪断耐力が増
強され、梁2の全体が粘弾性壁Aの剪断耐力に見合う耐
力を有するものとなり、建物全体の耐震性と信頼性を向
上させることができる。
【0009】なお、補強部6の具体的な構成は上記実施
形態に限定されることなく、梁2の形態や増強の程度に
より適宜の変更が可能であり、たとえば、梁2の断面が
若干拡大されることにはなるが梁2の端部をコンクリー
ト5により被覆して梁端部のみを通常の鉄骨鉄筋コンク
リート造とすることも妨げるものではない。
形態に限定されることなく、梁2の形態や増強の程度に
より適宜の変更が可能であり、たとえば、梁2の断面が
若干拡大されることにはなるが梁2の端部をコンクリー
ト5により被覆して梁端部のみを通常の鉄骨鉄筋コンク
リート造とすることも妨げるものではない。
【0010】
【発明の効果】以上のように、本発明は、鉄骨造建物に
粘弾性壁を設置する場合において粘弾性壁の鋼板が接合
されない梁の端部にコンクリートによる補強部を設ける
ので、構造上のネックとなる梁の端部の剪断耐力を有効
に増強し得て粘弾性壁に見合う耐力を確保することがで
きる。特に、梁としてH形鋼を採用してそのウエブとフ
ランジとで囲まれる腹部にコンクリートを充填すれば梁
断面を拡大することなく補強効果が得られ、しかも、H
形鋼の上下のフランジ間に鋼板を溶接して前記腹部を閉
鎖空間とし、その閉鎖空間内にコンクリートを充填すれ
ば、梁の端部を実質的に充填コンクリート造として十分
な補強効果が得られるとともにコンクリートの充填も容
易である。
粘弾性壁を設置する場合において粘弾性壁の鋼板が接合
されない梁の端部にコンクリートによる補強部を設ける
ので、構造上のネックとなる梁の端部の剪断耐力を有効
に増強し得て粘弾性壁に見合う耐力を確保することがで
きる。特に、梁としてH形鋼を採用してそのウエブとフ
ランジとで囲まれる腹部にコンクリートを充填すれば梁
断面を拡大することなく補強効果が得られ、しかも、H
形鋼の上下のフランジ間に鋼板を溶接して前記腹部を閉
鎖空間とし、その閉鎖空間内にコンクリートを充填すれ
ば、梁の端部を実質的に充填コンクリート造として十分
な補強効果が得られるとともにコンクリートの充填も容
易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す図である。
【図2】 同、補強部の具体例を示す図である。
【図3】 粘弾性壁を鉄骨造建物に設置する際の従来の
設置構造を示す図である。
設置構造を示す図である。
A 粘弾性壁 1 柱 2 梁 3a、3b 鋼板 4 粘弾性体 5 コンクリート 6 補強部 7a,7b フランジ 7c ウエブ 8 鋼板 S 間隙
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼板の間に粘弾性体を接着状態で挟み込
んでなる粘弾性壁を鉄骨造建物の柱と梁とで囲まれる空
間内に配して、該粘弾性壁の側部と柱との間に間隙を確
保した状態で前記各鋼板を上下の梁に対して接合し、前
記梁の端部における前記鋼板の非接合部分に剪断耐力増
強のためのコンクリートによる補強部を形成してなるこ
とを特徴とする粘弾性壁の設置構造。 - 【請求項2】 前記梁がH形鋼からなり、該H形鋼のウ
エブとフランジとで囲まれる腹部にコンクリートを充填
することで前記補強部を形成してなることを特徴とする
請求項1記載の粘弾性壁の設置構造。 - 【請求項3】 前記H形鋼の上下のフランジ間に鋼板を
溶接して前記腹部を閉鎖空間とし、該閉鎖空間内にコン
クリートを充填してなることを特徴とする請求項2記載
の粘弾性壁の設置構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10247612A JP2000073611A (ja) | 1998-09-01 | 1998-09-01 | 粘弾性壁の設置構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10247612A JP2000073611A (ja) | 1998-09-01 | 1998-09-01 | 粘弾性壁の設置構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000073611A true JP2000073611A (ja) | 2000-03-07 |
Family
ID=17166106
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10247612A Withdrawn JP2000073611A (ja) | 1998-09-01 | 1998-09-01 | 粘弾性壁の設置構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000073611A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7076926B2 (en) | 2001-08-07 | 2006-07-18 | Kazuhiko Kasai | Damping intermediate pillar and damping structure using the same |
CN106677379A (zh) * | 2016-12-30 | 2017-05-17 | 杭州泽通建筑节能新材料有限公司 | 钢板剪力墙结构及施工方法 |
-
1998
- 1998-09-01 JP JP10247612A patent/JP2000073611A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7076926B2 (en) | 2001-08-07 | 2006-07-18 | Kazuhiko Kasai | Damping intermediate pillar and damping structure using the same |
CN106677379A (zh) * | 2016-12-30 | 2017-05-17 | 杭州泽通建筑节能新材料有限公司 | 钢板剪力墙结构及施工方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051101 |