JP2000072895A - ラミネ―ト用アクリル樹脂フィルムおよび積層体 - Google Patents

ラミネ―ト用アクリル樹脂フィルムおよび積層体

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JP2000072895A
JP2000072895A JP11169385A JP16938599A JP2000072895A JP 2000072895 A JP2000072895 A JP 2000072895A JP 11169385 A JP11169385 A JP 11169385A JP 16938599 A JP16938599 A JP 16938599A JP 2000072895 A JP2000072895 A JP 2000072895A
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Japan
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polymer
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acrylic resin
alkyl
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JP11169385A
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English (en)
Inventor
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Yukio Kitaike
幸雄 北池
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラミネート後でも優れた艶消し性を有し、か
つテカリ感のないラミネート用アクリル樹脂フィルムを
得ること。 【解決手段】 特定のアクリル樹脂組成物(A)100
重量部に対して、下記の有機非架橋艶消し剤(B)0.
5〜15重量部および無機または有機架橋艶消し剤
(C)1〜20重量部が配合され、且つ180℃、シア
レート6.1sec-1での溶融粘度が35000Pa・s
以下である樹脂混合物をフィルム化して得られるラミネ
ート用アクリル樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材へのラミネー
ト後に良好な艶消し性を示すラミネート用アクリル樹脂
フィルムおよび該フィルムを表面に有する積層体に関す
る。建材用途全般に適用できるものであるが、その中で
も壁紙用に好適である。
【0002】
【従来の技術】壁紙用ラミネートフィルムに要求される
性能は、可塑剤に対しての耐汚染性、艶消し意匠性等が
主なものとして挙げられる。
【0003】壁紙となる基材には塩化ビニル樹脂が使用
されることが多い。塩化ビニル樹脂は、価格、加工性に
優れている反面、大量の可塑剤を含有する。従って、長
年の使用で可塑剤が移行し表面が汚染される問題があ
り、これを防ぐために表面にラミネートフィルムを貼り
合わせる場合がある。
【0004】艶消し意匠性については、艶消し性が高い
ものほど高級感があり好まれる傾向がある。従って、壁
紙にラミネートフィルムを貼り合わせる場合、艶消しフ
ィルムを用いるのが一般的である。フィルムをラミネー
トする方法としては、表面にシボが付いたエンボスロー
ルを介して行うことが多く、壁紙の艶消し性はラミネー
トフィルム自体の艶消し性と基材へのラミネート時のシ
ボ入り性で決まる。
【0005】例えばアクリル樹脂フィルムでラミネート
後のシボ入り性を改善する方法は特開平06−0731
99号公報、特開平06−073200号公報等によっ
て知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
06−073199号公報および特開平06−0732
00号公報に記載されるアクリル樹脂フィルムでは、艶
消し性は得られるものの、ラミネート後のフィルム表面
にテカリが見られた。
【0007】本発明の目的は、ラミネート後でも優れた
艶消し性を有し、かつテカリ感のないラミネート用アク
リル樹脂フィルムを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
のアクリル樹脂組成物(A)100重量部に対して、下
記の有機非架橋艶消し剤(B)0.5〜15重量部およ
び無機または有機架橋艶消し剤(C)1〜20重量部が
配合され、且つ180℃、シアレート6.1sec-1での
溶融粘度が35000Pa・s以下である樹脂混合物を
フィルム化して得られるラミネート用アクリル樹脂フィ
ルムおよびその積層体にある。
【0009】アクリル樹脂組成物(A) 以下に示される熱可塑性重合体(A−1)0.1〜20
重量%、ゴム含有重合体(A−2)5〜99.9重量%
および熱可塑性重合体(A−3)0〜94.9重量%の
合計が100重量%であるアクリル樹脂組成物(A)。
【0010】(A−1) 熱可塑性重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%、共重合可能な
他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とか
らなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホ
ルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/
gを超える熱可塑性重合体。
【0011】(A−2) ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%、共
重合可能な他のビニル単量体0〜64.9重量%および
共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%からなる単
量体混合物を重合して得られる一層以上の多層弾性共重
合体100重量部の存在下にメタクリル酸アルキルエス
テル50〜100重量%と共重合可能な他のビニル単量
体0〜50重量%からなる単量体またはその混合物10
〜2000重量部(多層弾性共重合体100重量部に対
して)を重合させることにより得られるゴム含有重合
体。
【0012】(A−3) 熱可塑性重合体 炭素数1〜4のアルキル酸を有するメタクリル酸アルキ
ルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエ
ステル1〜50重量%および共重合可能な他のビニル単
量体の少なくとも1種0〜49重量%とからなり、重合
体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100m
lに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である
熱可塑性重合体。
【0013】有機非架橋艶消し剤(B) アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸ヒドロキシアル
キルエステル、または/およびメタクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステル(b−1)1〜80重量%、アルキル
基の炭素数1〜13のメタクリル酸アルキルエステル
(b−2)10〜99重量%、アルキル基の炭素数1〜
8のアクリル酸アルキルエステル(b−3)0〜79重
量%、および共重合可能な他のビニル単量体の少なくと
も1種0〜50重量%(b−4)からなる有機非架橋艶
消し剤(B)。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で用いるベースとなるアク
リル樹脂組成物(A)の組成、製造法を示す。
【0015】アクリル樹脂組成物(A)は熱可塑性重合
体(A−1)0.1〜20重量%、ゴム含有重合体(A
−2)5〜99.9重量%および熱可塑性重合体(A−
3)0〜94.9重量%の合計が100重量%から成
る。以下において(A−1)〜(A−3)の各重合体に
ついて説明する。
【0016】熱可塑性重合体(A−1)は、メタクリル
酸メチル50〜100重量%と共重合可能な他のビニル
単量体の少なくとも1種0〜50重量%とからなり、重
合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100
mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/gを超える
重合体であり、フィルム成形性に対し重要な役割を示す
成分である。熱可塑性重合体(A−1)の還元粘度は重
要であり、還元粘度が0.1L/g以下であれば、厚み
精度の良好なフィルムとならない。還元粘度は通常0.
1L/gを超えて2L/g以下、好ましくは、0.2〜
1.2L/gである。
【0017】熱可塑性重合体(A−1)において、メタ
クリル酸メチルと共に重合可能なビニル単量体として
は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキ
ルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物
を使用することができる。
【0018】熱可塑性重合体(A−1)の製造は乳化重
合法によることが好ましく、通常の乳化重合法、後処理
法により、粉末状で回収することができる。
【0019】ゴム含有重合体(A−2)は、樹脂組成物
に優れた耐衝撃性、伸度を付与する作用を有し、アクリ
ル酸アルキルエステルをゴム主成分として含む多層構造
を有するグラフト共重合体である。
【0020】ゴム含有重合体(A−2)は、アクリル酸
アルキルエステル35〜99.9重量%、共重合可能な
他のビニル単量体0〜64.9重量%および共重合性の
架橋性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物
を重合させて得られた一層以上の多層弾性共重合体10
0重量部の存在下にメタクリル酸アルキルエステル50
〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体
0〜50重量%からなる単量体またはその混合物10〜
2000重量部(多層弾性共重合体100重量部に対し
て)を少なくとも1段階以上で重合させることにより得
られる。
【0021】ここで用いられるアクリル酸アルキルエス
テルとしては、アルキル基の炭素数1〜8のものが用い
られ、そのうちアクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エ
チルヘキシル等が好ましい。
【0022】弾性共重合体を得るに際しては、64.9
重量%以下の共重合可能な他のビニル単量体を共重合さ
せることができる。ここで用いるビニル単量体として
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタク
リル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステ
ル、スチレン、アクリロニトリルなどが好ましい。
【0023】さらに共重合性の架橋性単量体を使用す
る。用いる架橋性単量体としては特に限定する必要は無
いが、好ましくは、ジメタクリル酸エチレングリコー
ル、ジメタクリル酸ブタンジオール、アクリル酸アリ
ル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリ
ルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニ
ルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールトリ
アクリレート、アリルシンナメート等が挙げられ、これ
からを単独または組み合わせて用いることができる。
【0024】弾性共重合体にグラフトされる単量体とし
ては、メタクリル酸アルキルエステル50重量%以上が
使用され、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル等が挙げら
れる。さらに共重合可能な他のビニル単量体50重量%
以下が使用され、特に限定されていないが具体的には、
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シク
ロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、スチレ
ン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0025】グラフトさせる単量体混合物は弾性共重合
体100重量部に対し10〜2000重量部、好ましく
は20〜200重量部が使用され、少なくとも1段以上
で重合することができる。
【0026】本発明中のゴム含有重合体(A−2)は、
通常の乳化重合で得られる。なお、重合時に連鎖移動
剤、その他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤
は公知のものが使用できるが好ましくはメルカプタン類
である。
【0027】本発明で使用される熱可塑性重合体(A−
3)は、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル
酸アルキルエステル50〜99重量%と、アクリル酸ア
ルキルエステル1〜50重量%と、これと共重合可能な
他のビニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とか
らなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホ
ルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/
g以下である重合体である。
【0028】熱可塑性重合体(A−3)で使用されるメ
タクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が使
用できるが、メタクリル酸メチルが最も好ましい。アク
リル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が使用できる。
アクリル酸アルキルエステルは1〜50重量%の範囲で
使用される。また、49重量%以下の範囲で共重合可能
な他のビニル単量体としては公知の単量体が使用でき
る。
【0029】熱可塑性重合体(A−3)の製造方法は、
特に限定されないが、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状
重合等の方法で重合できる。なお、重合時に連鎖移動
剤、その他の重合助剤などを使用してもよい。連鎖移動
剤は公知のものが使用できるが好ましくはメルカプタン
類である。
【0030】熱可塑性重合体(A−3)はアクリル樹脂
組成物(A)中で0〜94.9重量%の範囲で使用さ
れ、好ましくは1〜94.9重量%の範囲で使用され
る。
【0031】次に、本発明に用いられる有機非架橋艶消
し剤(B)を得るのに適した組成を示す。
【0032】アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、
または/およびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル(b−1)には、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル
酸2、3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が含
まれる。これらの中でも特にメタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルが好ましい。
【0033】アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、
または/およびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ルの使用量は1〜80重量%の範囲である。1重量%未
満では艶消し効果は不十分である。一方、80重量%を
超えると伸度の低下あるいは表面状態が不良となる場合
がある。艶消し性発現のために好ましい使用範囲は、5
〜50重量%である。さらに好ましくは20〜50重量
%の範囲で使用することが好ましい。
【0034】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル等の低級メタクリル酸アルキルエステルが好適
で、中でもメタクリル酸メチルが好ましい。メタクリル
酸アルキルエステルの使用量は10〜99重量%の範囲
であることが必要である。好ましくは30〜85重量%
の範囲で使用することが望ましい。
【0035】アクリル酸アルキルエステルは79重量%
までの範囲で使用でき、具体的にはアクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル等の低級アクリル酸アルキルエステルが
好適である。アクリル酸アルキルエステルは0.5〜4
0重量%の範囲で使用することが望ましい。さらに好ま
しくは5〜25重量%である。
【0036】さらに、本発明に使用される有機非架橋艶
消し剤(B)には50重量%までの範囲でその他のビニ
ル単量体の少なくとも1種を使用できる。具体的には、
公知のモノマーが使用可能で例えば、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等
のビニル芳香族モノマー、メタクリル酸、フマール酸、
マレイン酸および共重合可能なカルボン酸とそのエステ
ル類のうちアルキル基の炭素数1〜13メタクリル酸ア
ルキルエステル 、アルキル基の炭素数1〜8のアクリ
ル酸アルキルエステルを除いたもの、塩化ビニル、臭化
ビニル等のハロゲン化ビニル、酢酸ビニル等のビニルエ
ステル類、アクリロニトリル等が含まれる。
【0037】その他のビニル単量体は、分散性の関係
上、アクリル樹脂の種類によっては使用した方が艶消し
性が良好になる場合がある。また、透明性を維持するた
めに、その他のビニル単量体の添加量を調整してアクリ
ル樹脂の屈折率に合わせる。
【0038】有機非架橋艶消し剤(B)の固有粘度は
0.05〜0.3L/gの範囲に調節することが艶消し
発現性、外観の点から好ましい。調節には、メルカプタ
ン等の重合調節剤を用いる。メルカプタンとしてはn−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタン等が使用されるが、特にこれら
のものに限定されず公知のものが使用可能である。
【0039】本発明に使用される有機非架橋艶消し剤
(B)の製造方法は特に限定されないが、コスト面から
懸濁重合による方法が好ましい。
【0040】懸濁重合の開始剤としては通常の懸濁重合
に使用されるものが用いられ、有機過酸化物、アゾ化合
物を挙げることができる。
【0041】懸濁安定剤としては通常用いられるものが
用いられ、有機コロイド性高分子物質、無機コロイド性
高分子物質、無機微粒子およびこれらと界面活性剤との
組み合わせを挙げることができる。
【0042】懸濁重合は通常懸濁安定剤の存在下にモノ
マー類を重合開始剤とともに水性懸濁して行われる。そ
れ以外にもモノマーに可溶な重合物をモノマーに溶かし
込んで使用して行うこともできる。
【0043】このようにして得た有機非架橋艶消し剤
(B)の配合量はアクリル樹脂100重量部に対して
0.5〜15重量部の範囲である。0.5重量部未満の
添加量では十分な効果は発現しない。良好な艶消し性を
得るためには2.0重量部以上を使用するのが好まし
い。また、15重量部を超えて使用しても特に問題はな
いが、添加量に見合うだけの効果は発現しない。
【0044】なお、有機非架橋艶消し剤を併用すること
によって艶消し性が改善されるのは、1μm以下の大き
さに微分散するためである。つまり、無機または有機架
橋艶消し剤により形成される表面凹凸の間に、微分散し
た有機非架橋艶消し剤が微細な凹凸を形成するために艶
消し性が向上する。
【0045】特に、無機または有機架橋艶消し剤を使用
した場合は艶消し剤の添加量を増やしても、フィルムの
テカリ感は改善できないが、有機非架橋艶消し剤を併用
すると微細な凹凸により、テカリ感を無くすことができ
る。
【0046】次に、無機または有機架橋艶消し剤(C)
について説明する。艶消し剤には公知の無機系、有機系
のものが使用できる。
【0047】無機艶消し剤としてはマイカ微粒子やタル
ク微粒子が挙げられる。有機架橋艶消し剤としては平均
粒子径1〜20μmの架橋構造を有する樹脂微粒子が一
般的である。有機架橋艶消し剤は透明性の観点からアク
リル樹脂系が好ましい。
【0048】無機または有機架橋艶消し剤の配合量は1
〜20重量部の範囲であるが、1重量部未満では艶消し
性が不十分であり、20重量部を超えると得られるフィ
ルムの製膜性等の物性を著しく低下させる。好ましい配
合量は5〜15重量部の範囲である。
【0049】本発明で使用される可塑剤(D)は公知の
ものが使用可能である。可塑化効果、フィルム外観、経
済性の観点からポリアルキレングリコールが好ましく、
その中でも特にポリエチレングリコールが好ましい。
【0050】(A)、(B)および(C)の樹脂混合物
の180℃、シアレート6.1sec-1での溶融粘度が3
5000Pa・s以下である場合は、可塑剤を添加しな
くても十分な艶消し性が発現する。(A)、(B)およ
び(C)の樹脂混合物の180℃、シアレート6.1se
c-1での溶融粘度が35000Pa・s以上である場合
は可塑剤を添加する必要がある。可塑剤(D)の配合量
は0〜20重量部の範囲であり、好ましくは1〜15重
量部の範囲である。20重量部を超えると乾燥時にペレ
ットが極度のブロッキングを起こし製膜が困難となる。
たとえ、製膜できたとしても耐熱性が不良となる。
【0051】本発明におけるラミネート用アクリル樹脂
フィルムのペレット状態での溶融粘度は、180℃、シ
アレート6.1sec-1において35000Pa・s以下
であることが必要である。好ましくは30000Pa・
s以下である。一方、溶融粘度が35000Pa・sを
超えると、ラミネート時のシボ入り性が不良となりラミ
ネート後に良好な艶消し性を発現することができない。
【0052】本発明のラミネート用アクリル樹脂フィル
ムには必要に応じて一般の配合剤、例えば安定剤、滑
剤、加工助剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充鎮剤、着色剤、
紫外線吸収剤等を含むことができる。
【0053】本発明で用いられるラミネート用アクリル
樹脂フィルムの製造法としてはTダイ法、インフレーシ
ョン法などの溶融押出法、カレンダー法などいずれの方
法を用いても良いが、経済性の点からTダイ法が好まし
い。
【0054】さらにラミネート用アクリル樹脂フィルム
を表層に有する積層物を製造することができる。積層さ
れる基材としては、公知の熱可塑性樹脂が使用できる
が、壁紙ではポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエ
チレンテレフタレートが加工性、価格の観点から用いら
れることが多い。また、熱融着しない熱硬化性樹脂、鋼
板、木材、紙等の基材でも接着剤を使用して貼り合わせ
ることは可能である。
【0055】ラミネート用アクリル樹脂フィルムを用い
た積層物の製造法としては、特に制限なく公知の積層方
法が採用できるが、壁紙の場合はエンボス加工された加
熱ロールを使用しての熱ラミネーション法が一般的であ
る。
【0056】また、本発明の積層物は、ラミネート用ア
クリル樹脂フィルムと基材との間に必要に応じて中間層
を設けることもできる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお実施例中「部」とあるのは「重量部」を表
す。
【0058】また、実施例中で用いた評価方法は下記の
通りである。
【0059】(1)艶消し性 ASTM−D523に準拠して村上色彩技術研究所製、
光沢計GM−26Dを使用して60度表面光沢度の測定
をした。
【0060】(2)ラミネート後の艶消し性 得られたフィルムをエンボス付きラミネートロールを用
い、厚み100μの軟質塩化ビニル樹脂フィルムと15
0℃、30kg/cm2の条件で熱ラミネーションを行
い得られた積層体を上記(1)の方法に従って測定し
た。
【0061】(3)ペレット溶融粘度 ペレットの溶融粘度は、東洋精機製作所(株)製、キャ
ピログラフを使用して、180℃、シアレート6.1se
c-1の条件で測定した。
【0062】(4)製膜性、表面外観 製膜性、表面外観の評価の目安として、製膜時のフィル
ム製膜状態とラミネート後のフィルムの表面外観(特に
フィルムのテカリ感を目視評価した。○−テカリが見ら
れない、×−テカリが見られる)。
【0063】(5)還元粘度、固有粘度 還元粘度、固有粘度の測定は、三電子工業(株)製、A
VL−2C自動粘度計を使用して溶媒にクロロホルムを
使用して測定した。なお、還元粘度はクロロホルム10
0mlにサンプルを0.1g溶かしたもので測定した。
【0064】(実施例1) (A−1)熱可塑性重合体の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込
み、乳化剤オレイン酸カリ1部、過硫酸カリ0.3部を
仕込んだ。続いてメタクリル酸メチル40部、アクリル
酸n−ブチル10部、n−オクチルメルカプタン0.0
05部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間撹拌し
重合を完結させた。ひき続いてメタクリル酸メチル48
部、アクリル酸n−ブチル2部からなる単量体混合物を
2時間わたり滴下して滴下終了後2時間保持を行い重合
を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水
溶液に添加し、重合体を酸析後脱水、水洗、乾燥し、粉
体状で重合体を回収した。得られた重合体の還元粘度η
sp/cは0.38L/gであった。
【0065】(A−2)ゴム含有重合体の製造 反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲
気下50℃で4時間撹拌を行いながら重合を完結させ、
弾性体ラテックスを得た。
【0066】 アクリル酸ブチル 77部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部 この弾性体ラテックス100部(固形分として)を反応
容器に取り、撹拌しながら充分窒素置換した後、80℃
に昇温し、硫酸第二鉄0.0001部、エチレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウム0.0002部、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート0.125部、脱イオン
水2部からなる水溶液を添加後、温度を80℃に保ちな
がらメタクリル酸メチル60部、n−オクチルメルカプ
タン0.05部、t−ブチルハイドロパーオキサイド
0.125部からなる混合物を2時間にわたり滴下後2
時間保持し重合を完結させた。得られた共重合体ラテッ
クスを塩析後脱水し、水洗、洗浄を行い粉体状でゴム含
有重合体を得た。
【0067】(B)有機非架橋艶消し剤の製造 撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口等の付いた反応容
器に次の混合物を仕込んだ。
【0068】 アクリル酸メチル 20重量部 メタクリル酸メチル 60重量部 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 20重量部 n−オクチルメルカプタン 0.08重量部 ラウロイルパーオキサイド 1重量部 第三リン酸カルシウム 5重量部 イオン交換水 250重量部 容器内を十分に窒素ガスで置換した後、上記混合物の混
合物を撹拌しながら75℃まで加熱し、窒素ガス気流中
で重合を進めた。2時間後に90℃に昇温してさらに4
5分保持して重合を完了し、脱水、乾燥して有機非架橋
艶消し剤(B)を得た。
【0069】上記のごとくして、得られた熱可塑性重合
体(A−1)2部、ゴム含有重合体(A−2)50部、
熱可塑性重合体(A−3)であるメタクリル酸メチル/
アクリル酸メチル共重合体(メタクリル酸メチル/アク
リル酸メチル=90/10、ηsp/c=0.051L/
g)48部からなるアクリル樹脂(A)100部と有機
非架橋艶消し剤(B)5部、無機艶消し剤(C)として
マイカ10部、可塑剤(D)としてポリエチレングリコ
ール10部をヘンシェルミキサーで混合した。次いで4
0mmφのスクリュー型押出機(L/D=26)を用い
てシリンダー温度200〜260℃、ダイ温度250℃
で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを乾
燥した後、Tダイを用いて押出成形し、15μのフィル
ムを得た。評価結果を表1に示す。
【0070】(実施例2−8)有機非架橋艶消し剤
(B)の添加量、無機艶消し剤(C)の種類,添加量、
ポリアルキレングリコールの添加量を表1に示すように
変更する以外は、(実施例1)と同様の手順でフィルム
を得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0071】(比較例1)実施例1において、有機非架
橋艶消し剤(B)を使用しない以外は、実施例1と同様
の手順でフィルムを得た。評価結果は表1にまとめる。
本比較例より、有機非架橋艶消し剤(B)を使用しない
と良好な艶消し性が得られないことが分かる。
【0072】(比較例2−5)実施例1において、マイ
カの添加量またはポリアルキレングリコールの添加量を
表1の通り変更する以外は、実施例1と同様の手順でフ
ィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【表1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のアクリル樹脂組成物(A)100
    重量部に対して、下記の有機非架橋艶消し剤(B)0.
    5〜15重量部および無機または有機架橋艶消し剤
    (C)1〜20重量部が配合され、且つ180℃、シア
    レート6.1sec- 1での溶融粘度が35000Pa・s
    以下である樹脂混合物をフィルム化して得られるラミネ
    ート用アクリル樹脂フィルム。 アクリル樹脂組成物(A) 以下に示される熱可塑性重合体(A−1)0.1〜20
    重量%、ゴム含有重合体(A−2)5〜99.9重量%
    および熱可塑性重合体(A−3)0〜94.9重量%の
    合計が100重量%であるアクリル樹脂組成物(A)。 (A−1) 熱可塑性重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%、共重合可能な
    他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とか
    らなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホ
    ルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/
    gを超える熱可塑性重合体。 (A−2) ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%、共
    重合可能な他のビニル単量体0〜64.9重量%および
    共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%からなる単
    量体混合物を重合して得られる一層以上の多層弾性共重
    合体100重量部の存在下にメタクリル酸アルキルエス
    テル50〜100重量%と共重合可能な他のビニル単量
    体0〜50重量%からなる単量体またはその混合物10
    〜2000重量部(多層弾性共重合体100重量部に対
    して)を重合させることにより得られるゴム含有重合
    体。 (A−3) 熱可塑性重合体 炭素数1〜4のアルキル酸を有するメタクリル酸アルキ
    ルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエ
    ステル1〜50重量%および共重合可能な他のビニル単
    量体の少なくとも1種0〜49重量%とからなり、重合
    体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100m
    lに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である
    熱可塑性重合体。 有機非架橋艶消し剤(B) アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸ヒドロキシアル
    キルエステル、または/およびメタクリル酸ヒドロキシ
    アルキルエステル(b−1)1〜80重量%、アルキル
    基の炭素数1〜13のメタクリル酸アルキルエステル
    (b−2)10〜99重量%、アルキル基の炭素数1〜
    8のアクリル酸アルキルエステル(b−3)0〜79重
    量%、および共重合可能な他のビニル単量体の少なくと
    も1種0〜50重量%(b−4)からなる有機非架橋艶
    消し剤(B)。
  2. 【請求項2】 請求項1のラミネート用アクリル樹脂フ
    ィルムを表面に有する積層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1249339A1 (en) 2001-03-15 2002-10-16 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Acrylic resin film, method of producing the same, and laminate using the same
CN113943396A (zh) * 2021-11-03 2022-01-18 苏州久柒新材料有限公司 一种抗污性优异、光泽可调的水性有机硅改性羟基丙烯酸乳液及其制备方法

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