JP2000071060A - 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法 - Google Patents

溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法

Info

Publication number
JP2000071060A
JP2000071060A JP10259183A JP25918398A JP2000071060A JP 2000071060 A JP2000071060 A JP 2000071060A JP 10259183 A JP10259183 A JP 10259183A JP 25918398 A JP25918398 A JP 25918398A JP 2000071060 A JP2000071060 A JP 2000071060A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten metal
lower plate
hole
holes
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10259183A
Other languages
English (en)
Inventor
Teruhisa Kawashima
輝久 川島
Tatsuya Shimoda
達也 下田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Coorstek KK
Original Assignee
Toshiba Ceramics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Ceramics Co Ltd filed Critical Toshiba Ceramics Co Ltd
Priority to JP10259183A priority Critical patent/JP2000071060A/ja
Publication of JP2000071060A publication Critical patent/JP2000071060A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融金属流量制御用スライドゲートプレート
の下プレートに設けた溶融金属流出孔及びドレイン孔等
の複数の溶融金属通過孔の該孔間又は孔周囲の亀裂を効
果的に防止又は抑制し、該亀裂からのエアーの流入、V
字溶損、面荒れ、欠けなどの欠陥を防止する。 【解決手段】 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に
みて多角形である平板型の下プレートを備えた溶融金属
流量制御用スライドゲートにおいて、該下プレートの孔
の整列方向に直角な端面及び孔の整列方向に平行な側
面、若しくはコーナー面と側面、又は2孔式下プレート
においては溶融金属流出孔のコーナー面とドレイン孔側
の端面若しくは端面と側面を拘束して、下プレートの孔
間又は孔周囲の亀裂を効果的に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属流量制御
用耐火物プレート、特に複数の溶鋼通過孔をもち平面的
に見て多角形である平板型の下プレートを備えた溶鋼流
量制御用スライドゲートにおいて、該下プレート孔間又
は孔周囲の亀裂を防止又は低減することができるプレー
トの拘束方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スライドゲートプレートは鉄鋼等の連続
鋳造が一般化した今日、取鍋やタンディッシュ等の溶鋼
流量制御の不可欠な耐火物製部材として広く用いられて
いる。このスライドゲートプレートは溶融金属流量の制
御を司る部分であるために、他の耐火材に比べ特に高い
機能が要求されている。スライドゲートプレートは一般
に溶融金属流による急激な熱衝撃、摩耗あるいは熱膨張
に伴う内部応力の発生等の物理的作用を受け、さらには
溶融金属および溶融スラグによる化学的な侵食作用を受
けるので、具備すべき特性の要求は多い。その要求特性
としては大別して、耐熱衝撃性、耐食性および強度が挙
げられるが、これらの特性をバランス良く具備させるた
めに種々な研究がなされてきた。
【0003】現在、溶融金属(鋼)流量制御用スライド
ゲートの耐火物下プレートは、図9〜図14に示すよう
な8角形の舟型タイプが広く用いられている。下プレー
ト11は図10のように平面的にみて多角形(通常は八
角形)の平板状を呈しており、比較的短い2個の平行な
端面14と比較的長い2個の平行な側面15を有する。
端面14と側面15の間はコーナー面16となってい
る。このような下プレート11の片側に1個の溶鋼流出
孔12が形成されている。この下プレート11を組み込
んだ溶鋼流量制御用スライドゲートの断面を図11及び
図12に示す。図11は上プレート19と下プレート1
1との間の中プレート20を摺動させて溶鋼の流量を制
御する様子を示す。矢印30は溶鋼の流下方向である。
図12は溶鋼の流出が終了し、中プレート20を摺動さ
せて溶鋼の流下孔12を完全に閉鎖した状態を示す。
【0004】図10のように、一般に下プレート11の
亀裂発生防止用の拘束手段として、該下プレート11の
四隅にあるコーナー面16を拘束する手段17が用いら
れている。また、図9に示すように、スライドゲートの
カセットの構造的な制約から端面14と側面15を拘束
する手段17を採っているものもある。このような単孔
の下プレート11では摺動面に亀裂18が発生し易い
が、その亀裂発生の様子を図10及び図9に模式的に示
す。従来、この摺動面における亀裂18を抑制すること
ができる手法として、上記のようなプレート11の四隅
にあるコーナー面を拘束する手段17が最も効果的と考
えられていた。近年、タンディッシュの使用回数が増え
一度全閉したものを再度スタートさせる方式が採られる
ようになってきたが、上記単孔方式の下プレート11の
場合、中プレート20が閉鎖位置にある間に、該中プレ
ート20の孔内に溜まった溶鋼が固まり、その後中プレ
ート20を全開位置に摺動させても開孔しない場合があ
った。
【0005】このため、図13及び図14に示すよう
に、流出孔の閉塞対策として下プレートを2孔形成(2
孔タイプ)し、一方を溶鋼流出孔、他方をドレイン孔
(排出孔)として、後者を全閉位置に設置し、前記中プ
レートの孔内に溜まった溶鋼をこのドレイン孔から排出
する方法が採用されるようになってきた。図13は2孔
タイプのスライドゲートの中プレート20を摺動させ
て、溶鋼流出孔12を閉塞した状態の断面図であり、図
14は2孔を有する下プレート11のコーナー面16を
拘束した場合の拘束方法17と、亀裂18発生の概要を
示す説明図である。上記図14に示すように、2孔タイ
プの下プレート11において上記のように単孔プレート
で採用されている四隅のコーナー面を拘束する手段17
を用いると、中央部位21の2個の孔間(溶鋼流出孔1
2とドレイン孔13間)に直結する大きな亀裂18が発
生し、この亀裂からのエアーの流入、V字破損、面荒
れ、欠けなどの欠陥が発生し易くなった。上記2個の孔
間の中央部位21はプレート摺動のための最も重要な部
分であり、亀裂18の発生を抑制する材質、構造及びプ
レートの拘束手法17等の検討が急務であった。しか
も、従来の単孔で採用されていた亀裂発生抑制法が必ず
しも好適とは言えず、根本的な検討が必要とされた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解決するために鋭意研究されたものであ
り、その目的はプレートの拘束方法における亀裂発生の
原因を究明し、溶融金属流量制御用耐火物プレート、特
に複数の溶鋼通過孔をもつ平面的に見て多角形平板型の
下プレートを備えた溶鋼流量制御用スライドゲートの、
該下プレート孔間等の亀裂を防止又は低減することがで
きるプレートの拘束方法を見いだし、この発明をなすに
至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、 1 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に見て多角形
である平板型の下プレートを備えた溶融金属流量制御用
スライドゲートにおいて、該下プレートの孔の整列方向
に垂直な端面及び孔の整列方向に平行な側面を拘束し
て、下プレート孔間の亀裂を防止又は抑制することを特
徴とする溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの
拘束方法 2 下プレートの溶融金属通過孔の少なくとも1孔がド
レイン用孔であり、他が溶融金属保持容器からの溶融金
属流出孔であることを特徴とする上記1記載の溶融金属
流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法 3 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に見て多角形
である平板型の下プレートを備えた溶融金属流量制御用
スライドゲートにおいて、下プレートの孔の整列方向に
垂直な端面と孔の整列方向に平行な側面との間のコーナ
ー面及び下プレートの側面を拘束して、下プレート孔間
の亀裂を防止又は抑制することを特徴とする溶融金属流
量制御用スライドゲートプレートの拘束方法 4 下プレートの溶融金属通過孔の少なくとも1孔がド
レイン用孔であり、他が溶融金属保持容器からの溶融金
属流出孔であることを特徴とする上記3記載の溶融金属
流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法 5 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に見て多角形
である平板型の下プレートを備えた溶融金属流量制御用
スライドゲートにおいて、溶融金属保持容器からの溶融
金属流出孔側の下プレートの孔の整列方向に垂直な端面
と孔の整列方向に平行な側面との間のコーナー面及びド
レイン用孔側の下プレートの端面又は該端面と下プレー
トの側面を拘束して、下プレート孔間の亀裂を防止又は
抑制することを特徴とする溶融金属流量制御用スライド
ゲートプレートの拘束方法 6 1孔が溶融金属保持容器からの溶融金属流出孔、他
の1孔がドレイン用孔又は双方の孔が溶融金属保持容器
からの溶融金属流出孔とドレイン用孔を兼用しているこ
とを特徴とする2孔タイプの溶融金属通過孔を備えた上
記1〜5のいずれかに記載する溶融金属流量制御用スラ
イドゲートプレートの拘束方法、を提供する
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を説明す
る。上記の目的を達成すべく、溶融金属流量制御用スラ
イドゲートの下プレートの溶融金属通過孔の連結亀裂発
生の原因究明のために熱応力解析を実施した。なお、本
明細書に於いて「溶鋼」という表現を用いることもある
が、これは溶融金属の代表例として挙げているのであっ
て、本発明においては溶融金属一般に適用することがで
きる。したがって、本明細書における記述は「溶鋼」に
制限する意味をもつものではない。解析条件は次の通り
である。 鋳込み当初に定常状態に達した時点を計算 溶鋼の温度1550°C、下プレートの初期温度2
00°C、雰囲気温度70°C 孔径の開孔率100%、鉄フープ及びダボ部なし 下プレート耐火材の特性:ヤング率50GPa、ポ
アソン比0.2、熱膨張率0.65%(at1000°
C)、かさ比重2.95g/cm2 、熱伝導率7.8W
/mK、黒度0.8
【0009】熱応力解析に使用したスライドゲートの下
プレートの平面形状を図1に示す。なお、図1の下プレ
ート1の平面形状は溶鋼流出孔2の中心を通る線で半割
りにした状態を示す(下半分は省略)。下プレート1の
全形は平面的に見て多角形(このケースでは略八角形)
の平板型であり、下プレート1の孔2、3の整列方向に
垂直な短尺の両端面4、孔の整列方向に平行な長尺の両
側面5及び端面4と側面5の間の4個のコーナー面6を
備えている。ここでは略八角形の下プレートを説明して
いるが、1コーナー面が複数の面を持つ上記以外の多角
形でもよい。また、両端面及び両側面は略平行である下
プレートを使用すると、該プレートの制作が容易であ
り、またこれらを組み立てたスライドゲートプレートの
構造も簡単となり、さらに左右対称なので下プレートの
向きを逆にして再使用できるという利点もあるので、推
奨される構造である。しかし、適用箇所においては、必
ずしもこのような両端面及び両側面が完全に平行である
必要もない。本発明は、これらの構造を全て包含する。
端面4及び側面5とコーナー面6との間はそれぞれRを
取り、なだらかな曲線を描いて接続するように形成し
て、プレートの角部の鋭角的な脆弱性を無くすることが
望ましい。溶融金属の通過孔はこの場合2個であり、ス
ライドゲートの組立時に、中プレートが孔2、3の整列
方向に摺動するように構成されている。
【0010】図2に、この下プレート1の孔2に155
0°Cの溶鋼を流下させた場合の、下プレート1の温度
分布を示す。孔3には溶鋼を流下させていない。孔3は
ドレイン孔を仮想している。後述するように、下プレー
ト1の高温の熱影響を受ける溶鋼流出孔2と間接的に前
記溶鋼流出孔2からの比較的低温の熱影響を受けるドレ
イン孔3では同じ拘束力(左右対象の)を該下プレート
1に付与しても、プレート1の位置によって発生する熱
膨張が異なるので、同様の熱応力(引張り等の)を受け
るとは限らない。したがって、熱応力解析を行なう際
に、下プレート1の温度分布を予め知ることは重要であ
る。プレートの溶鋼流出孔(図の左の孔)の開孔率は1
00%、雰囲気温度は70°C、プレートの初期温度は
200°Cである。前記のように、図の右方の孔3はド
レイン孔を想定して作製されたものである。この場合は
溶鋼は流れていないが、間接的に左方の孔2に流下する
溶鋼の熱影響を受ける。プレート1の溶鋼流出孔の近辺
の最高温域は約1550〜1400°Cであり、溶鋼流
出孔2側の端面4、側面5及びコーナー面6は約700
〜800°Cとなる。また、ドレイン孔3近辺の最高温
域は約600程度であり、ドレイン孔3付近の最も低い
端面4、側面5及びコーナー面6で約200〜400°
C程度となる。図では100〜200°Cの温度勾配を
もって段階的に表示した。同一の濃淡にある範囲は略同
一の熱影響を受ける範囲であることを示している。当然
のことではあるが、ドレイン孔の最遠端に向けて急速の
温度が低下し、プレート1上で最高温度と最低温度で約
1000〜1300の差がある。
【0011】スライドゲートの下プレート1をシム板等
の拘束手段7で拘束した場合の種々の態様を図3A〜図
8Aに示す。図3Aは下プレート1の四隅のコーナー面
6を拘束した例、図4Aは下プレート1の両端面4と両
側面5を拘束した例であり、この場合の側面5を拘束す
る範囲は他に比べて大きい。図5Aは下プレート1の溶
鋼流出孔2側の1個の端面4とドレイン孔3側の2個の
コーナー面6を拘束した例、図6Aは下プレート1の溶
鋼流出孔2側の2個のコーナー面6とドレイン孔3側の
1個の端面4を拘束した例、図7Aは下プレート1の溶
鋼流出孔2側の1個の端面とドレイン孔3側の2個のコ
ーナー面6及びさらに側面5(比較的小幅の)を拘束し
た例、図8Aは下プレート1の溶鋼流出孔側2の2個の
コーナー面とドレイン孔3側の1個の端面4及びさらに
側面5(比較的小幅の)を拘束した例を示す。
【0012】図3B〜図8Bに、スライドゲートの下プ
レート1を拘束した場合の熱応力解析の結果を示す。亀
裂の発生の原因は主としてプレート1に発生する引張り
応力に起因すると考えられるので、以下の説明において
は引張り応力を示す。図3〜図8のAはそれぞれのBに
対応している。なお、この解析結果は下プレート1の平
面形状を溶鋼流出孔の中心を通る線で半割りにした状態
を示し、図では下半分を省略しているが、熱応力の発生
はほぼ対称形と考えて差支えない。下プレート1の溶鋼
通過孔間の亀裂の原因は、上記のように引張り応力に起
因すると考えられるので、特に孔間の部位と孔周囲に引
張りが発生しない又は低減できる条件を指標とした。図
の影の部分8は熱応力(引張り)の発生箇所と量と方向
を示している。図3Aに示す拘束方法は、従来の単孔の
下プレートで多く採用されている拘束方法と同一であ
る。この場合の引張り応力の解析結果を示す図3Bで
は、下プレート1のドレイン孔3側から溶鋼通流出孔2
間の、特に溶鋼通流出孔2近傍位置に至る位置まで熱応
力(引張り)8が大きく存在しており、これは両孔間の
亀裂の原因となるので、結果は不良である。
【0013】図4Bは、下プレート1の両端面4と両側
面5を拘束した場合の結果であるが、ドレイン孔3側の
さらに外方に熱応力(引張り)8が認められるけれど
も、溶鋼流出孔2の周囲には熱応力(引張り)が存在せ
ず、全く影響がない。また上記熱応力(引張り)8はプ
レート1の中心の主要部を外れており、しかもその量も
少ないので、下プレート1の拘束の効果としては極めて
良好である。ただし、両側面を幅広く拘束する(拘束手
段7参照)必要があるという意味では、機構上若しくは
設計上又は操作上に制限が出る場合がある。図5Bは、
下プレート1の溶鋼流出孔2側の1個の端面4とドレイ
ン孔3側の2個のコーナー面6を拘束した場合の結果で
あるが、下プレート1の溶鋼流出孔2とドレイン孔3
間、すなわち下プレート1の最も重要な部位に、かつ両
孔に連結した引張り応力が集中して発生している。しか
も、溶鋼流出孔2の外側にも引張り応力が存在する。こ
れは亀裂の原因となる最も悪い結果を示している。
【0014】図6Bは、下プレート1の溶鋼流出孔2側
の2個のコーナー面6とドレイン孔3側の1個の端面4
を拘束した場合の結果である。溶鋼流出孔2の周囲には
引張り応力がないので、この点ではやや良いが、ドレイ
ン孔3側の中央部位と外方位置に引張り応力8が存在す
るので総合的には良好とは言えない。図7Bは、下プレ
ート1の溶鋼流出孔2側の1個の端面4とドレイン孔3
側の2個のコーナー面6及びさらに側面(比較的小さい
幅の)5を拘束した場合7の結果である。ドレイン孔3
の周囲及びドレイン孔3と溶鋼流出孔2との間には、引
張り応力が殆ど存在しない。この意味では良いが、溶鋼
流出孔2の外方位置に引張り応力が存在し、溶鋼流出孔
2からの亀裂発生原因となる。図8Bは、下プレート1
の溶鋼流出孔2側の2個のコーナー面6とドレイン孔3
側の1個の端面4及びさらに側面(比較的小さい幅の)
5を拘束した場合7の結果である。溶鋼流出孔2の周囲
及び溶鋼流出孔2とドレイン孔3の間には、引張り応力
が殆ど存在しない。 ドレイン孔3の外方位置には、や
や引張り応力8が存在するが、下プレート1の亀裂発生
で特に問題となることはない。
【0015】以上から、図4と図8に示す拘束方法が最
も引張り応力の発生が少なく良好な結果を示している。
ここで、改めて図3〜8に示す下プレート1の溶鋼流出
孔2とドレイン孔3における端面4、コーナー面6及び
側面5の熱応力(引張り応力)8の発生原因を考察す
る。図4については、上記種々の拘束条件と熱応力解析
結果から見ると、両端面4拘束と両側面4拘束のみで下
プレート1の熱応力の発生を抑制できるが、これはむし
ろ例外的なものと考えられる。一般にスライドゲートプ
レートはカセット式に交換する方式が採用されている
が、この場合中プレートの出入方向である端面拘束は比
較的容易であるが、広幅の側面拘束はそのための特別な
設計を要するので、設計上での制限が出る場合がある。
上記図4を除き、溶鋼流出孔2側の端面4を拘束した場
合には、下プレート1の溶鋼流出孔2の外側に熱応力8
が発生し、結果は不良である(図5、図7)。しかし、
溶鋼流出孔2側の両コーナー面6を拘束した場合には、
いずれの場合にも、下プレート1の溶鋼流出孔2の周囲
には熱応力が発生せず良好な結果を示している(図3、
図6、図8)。したがって、溶鋼流出孔2側の拘束方法
としては、下プレート1のコーナー面6を拘束するの
が、より適切と言える。
【0016】これに対し、ドレイン孔3側については、
ドレイン孔3のみを考慮すると、コーナー面6を拘束す
る方法がドレイン孔3の熱応力を抑制するのに有効であ
るが、コーナー面6の拘束はドレイン孔3と溶鋼流出孔
2との間の中央部位における下プレート1の熱応力の発
生を助長する傾向がある(図3、図5)。したがって、
ドレイン孔3の外側に熱応力の発生があるけれども、こ
の部位を犠牲にしてでもドレイン孔3と溶鋼流出孔2と
の間の中央部位の熱応力の発生を防止又は抑制する必要
がある。このことを考慮すると、下プレート1のドレイ
ン孔3側の拘束方法は端面4拘束が有効である(図4、
図8)。以上から、下プレート1の溶鋼流出孔2側の拘
束方法としてはコーナー面6を拘束し、ドレイン孔3側
の拘束方法は端面4拘束が極めて有効である。
【0017】さらに、下プレート1の側面5の拘束はド
レイン孔3と溶鋼流出孔2との間の中央部位における熱
応力の発生を防止するのに有効である(図4、図7、図
8)。したがって、溶鋼流出孔2側についてはコーナー
面6を拘束し、ドレイン孔3側については端面4拘束
し、さらに側面5を拘束した場合、すなわちに3種の側
面を拘束した場合に、最も効果的に下プレート1の亀裂
発生を防止又は抑制できると言える(図8)。なお、上
記において、ドレイン孔3のコーナー面6を拘束すると
ドレイン孔3の周囲の熱応力を抑制するのに有効である
けれども、ドレイン孔3と溶鋼流出孔2との間の中央部
位における熱応力の発生(引張り応力)を助長する傾向
があると述べたが、この場合のコーナー面6拘束の上記
利点を生かすために、同時に側面5に若干の拘束を行な
うことが有効である。したがって、溶鋼流出孔2とドレ
イン孔3のコーナー面6を拘束すると同時に、側面4を
拘束すると、中央部位における熱応力の発生を緩和する
ことができ、下プレート1の亀裂発生を効果的に抑制で
きる。
【0018】以上については、下プレートの一方の孔を
溶融金属(溶鋼)流出孔、他方の孔をドレイン孔とし
て、2孔タイプのスライドゲートプレートについて述べ
たが、溶融金属通過孔の双方を交互に使用する溶融金属
流出孔とすることもできる。この場合、溶融金属流出孔
として使用していない時の溶融金属通過孔は、当然ドレ
イン孔としての機能を持つことになる。すなわち双方の
孔を溶融金属通過孔とドレイン孔を相互に兼用すること
ができる。このような兼用孔であっても、使用時には溶
融金属流出孔とドレイン孔との役割分担が決められるの
で、同様に上記熱応力解析の結果を利用できる。また、
この2孔タイプだけでなく、この他に1又はそれ以上の
ドレイン孔又は溶融金属通過孔を設けた多孔(複数孔)
タイプのスライドゲートプレートとすることもできる。
例えば、左右対称の3孔タイプ下プレートの場合には、
中央の孔をドレイン孔とし、両端の孔を溶融金属流出孔
として、再使用時に下プレートをスライドゲートプレー
トカセット装置に組み込む際に向きを変更し、前回使用
しなかった溶融金属流出孔を上プレートの溶融金属流出
孔及びタンディシュ等のノズル孔に整列させて、使用を
変更することができる。この時、中央のドレイン孔は再
使用することになる。また、中央の孔を溶融金属流出孔
とし、両端の孔をドレイン孔とすることもできる。この
ように左右対称の多孔タイプの下プレートは使用寿命を
長くすることができ、有効である。これらの場合には、
上記熱応力解析の結果に応じて採用された上記拘束条件
に基ずいて、適宜拘束方法を採用する。本発明はこのよ
うな構造を全て包含する。
【0019】
【発明の効果】本願発明は、複数の溶融金属通過孔を持
ち、平面的に見て多角形である平板型の下プレートを備
えた溶融金属流量制御用スライドゲートにおいて、該下
プレートの孔の整列方向に垂直な端面及び孔の整列方向
に平行な側面を拘束する方法、及び下プレートの孔の整
列方向に垂直な端面と孔の整列方向に平行な側面との間
のコーナー面及び下プレートの側面を拘束する方法を使
用して、下プレート孔間の亀裂を効果的に防止又は抑制
することができる溶融金属流量制御用スライドゲートプ
レートの拘束方法を提供する。2孔タイプにおいては、
溶融金属流出孔側の下プレートの孔の整列方向に垂直な
端面と孔の整列方向に平行な側面との間のコーナー面を
拘束し、ドレイン用孔側の下プレートの端面又は該端面
と下プレートの側面を拘束することによって下プレート
孔間の亀裂を効果的に防止又は抑制することができる。
このように、溶融金属通過孔の少なくとも1孔が溶融金
属保持容器からの溶融金属流出孔であり、他方溶融金属
通過孔の少なくとも1孔がドレイン用孔であるという変
則的な熱応力を受ける場合に、特に効果的に亀裂の発生
を防止又は抑制できる。以上により、溶融金属通過孔の
孔間に直結するような亀裂が起こり、この亀裂からのエ
アーの流入、V字破損、面荒れ、欠けなどの欠陥が発生
するという問題を解消し、容易かつ効果的に下プレート
を拘束できる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱応力解析に使用したスライドゲートの下プレ
ートの平面形状の説明図である(下半分は省略)。
【図2】溶融金属通過孔に溶鋼を流下させた場合の下プ
レートの温度分布図である。
【図3】下プレートの四隅のコーナー面を拘束した例A
とその熱応力解析結果Bである。
【図4】下プレートの両端面と両側面を拘束した例Aと
その熱応力解析結果Bである。
【図5】下プレートの溶鋼流出孔側の1端面とドレイン
孔側の2コーナー面を拘束した例Aとその熱応力解析結
果Bである。
【図6】下プレートの溶鋼流出孔側の2コーナー面とド
レイン孔側の1端面を拘束した例Aとその熱応力解析結
果Bである。
【図7】下プレートの溶鋼流出孔側の1端面とドレイン
孔側の2コーナー面及びさらに側面を拘束した例Aとそ
の熱応力解析結果Bである。
【図8】下プレートの溶鋼流出孔側の2コーナー面とド
レイン孔側の1端面及びさらに側面を拘束した例Aとそ
の熱応力解析結果Bである。
【図9】従来の単孔式下プレートの端面・側面拘束方法
と亀裂発生の説明図である。
【図10】従来の単孔式下プレートのコーナー面拘束方
法と亀裂発生の説明図である。
【図11】従来の上プレートと下プレートとの間の中プ
レートを摺動させて溶鋼の流量を制御する溶融金属流量
制御用スライドゲートプレートの断面説明図である。
【図12】中プレートを摺動させて溶鋼の流下孔を完全
に閉鎖した状態を示す説明図である。
【図13】従来の2孔タイプのスライドゲートの中プレ
ートを摺動させて、溶鋼流出孔を閉塞した状態の断面説
明図である。
【図14】従来の2孔を有する下プレートのコーナー面
を拘束した場合の拘束方法と、亀裂発生の概要を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 下プレート 2 溶鋼流出孔 3 ドレイン孔 4 端面 5 側面 6 コーナー面 7 拘束力 8 熱応力(引張り) 11 単孔式下プレート 12 従来技術の下プレートの溶鋼流出孔 13 従来技術の下プレートのドレイン孔 14 従来技術の下プレートの端面 15 従来技術の下プレートの側面 16 従来技術の下プレートのコーナー面 17 従来技術の下プレートの拘束力 18 亀裂 19 上プレート 20 中プレート 21 下プレートの中央部位 30 溶融金属の流下方向

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に
    見て多角形である平板型の下プレートを備えた溶融金属
    流量制御用スライドゲートにおいて、該下プレートの孔
    の整列方向に垂直な端面及び孔の整列方向に平行な側面
    を拘束して、下プレート孔間の亀裂を防止又は抑制する
    ことを特徴とする溶融金属流量制御用スライドゲートプ
    レートの拘束方法。
  2. 【請求項2】 下プレートの溶融金属通過孔の少なくと
    も1孔がドレイン用孔であり、他が溶融金属保持容器か
    らの溶融金属流出孔であることを特徴とする請求項1記
    載の溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束
    方法。
  3. 【請求項3】 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に
    見て多角形である平板型の下プレートを備えた溶融金属
    流量制御用スライドゲートにおいて、下プレートの孔の
    整列方向に垂直な端面と孔の整列方向に平行な側面との
    間のコーナー面及び下プレートの側面を拘束して、下プ
    レート孔間の亀裂を防止又は抑制することを特徴とする
    溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方
    法。
  4. 【請求項4】 下プレートの溶融金属通過孔の少なくと
    も1孔がドレイン用孔であり、他が溶融金属保持容器か
    らの溶融金属流出孔であることを特徴とする請求項3記
    載の溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束
    方法。
  5. 【請求項5】 複数の溶融金属通過孔を持ち、平面的に
    見て多角形である平板型の下プレートを備えた溶融金属
    流量制御用スライドゲートにおいて、溶融金属保持容器
    からの溶融金属流出孔側の下プレートの孔の整列方向に
    垂直な端面と孔の整列方向に平行な側面との間のコーナ
    ー面及びドレイン用孔側の下プレートの端面又は該端面
    と下プレートの側面を拘束して、下プレート孔間の亀裂
    を防止又は抑制することを特徴とする溶融金属流量制御
    用スライドゲートプレートの拘束方法。
  6. 【請求項6】 1孔が溶融金属保持容器からの溶融金属
    流出孔、他の1孔がドレイン用孔又は双方の孔が溶融金
    属保持容器からの溶融金属流出孔とドレイン用孔を兼用
    していることを特徴とする2孔タイプの溶融金属通過孔
    を備えた請求項1〜5のいずれかに記載する溶融金属流
    量制御用スライドゲートプレートの拘束方法。
JP10259183A 1998-08-31 1998-08-31 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法 Pending JP2000071060A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10259183A JP2000071060A (ja) 1998-08-31 1998-08-31 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10259183A JP2000071060A (ja) 1998-08-31 1998-08-31 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000071060A true JP2000071060A (ja) 2000-03-07

Family

ID=17330531

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10259183A Pending JP2000071060A (ja) 1998-08-31 1998-08-31 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000071060A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008007725A1 (de) 2007-02-08 2008-08-28 Denso Corp., Kariya Fahrzeug-Klimaanlage und Verfahren und Vorrichtung zum Steuern der Fahrzeug-Klimaanlage
DE102008008446A1 (de) 2007-02-13 2008-08-28 Denso Corp., Kariya Fahrzeug-Klimaanlage und Verfahren und Vorrichtung zum Steuern der Fahrzeug-Klimaanlage
CN112387961A (zh) * 2019-08-17 2021-02-23 宜兴市耐火材料有限公司 一种双孔双面连滑滑板

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008007725A1 (de) 2007-02-08 2008-08-28 Denso Corp., Kariya Fahrzeug-Klimaanlage und Verfahren und Vorrichtung zum Steuern der Fahrzeug-Klimaanlage
DE102008008446A1 (de) 2007-02-13 2008-08-28 Denso Corp., Kariya Fahrzeug-Klimaanlage und Verfahren und Vorrichtung zum Steuern der Fahrzeug-Klimaanlage
US7966280B2 (en) 2007-02-13 2011-06-21 Denso Corporation Automotive air conditioner and method and apparatus for controlling automotive air conditioner
CN112387961A (zh) * 2019-08-17 2021-02-23 宜兴市耐火材料有限公司 一种双孔双面连滑滑板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1590114B2 (en) Pouring nozzle, pushing device for a pouring nozzle and casting installation
JP7182496B2 (ja) ノズル及びノズルとストッパーの構造体
WO2016067578A1 (ja) 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法
JP2000071060A (ja) 溶融金属流量制御用スライドゲートプレートの拘束方法
JP4938195B2 (ja) 液体金属の流量制御用スライディングゲート
CN110842150B (zh) 一种拼装辙叉铸造系统及铸造方法
JPS6289566A (ja) 溶融金属流通耐火物
JP6787359B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
US11235384B2 (en) Sliding nozzle
KR101520038B1 (ko) 슬라이드 게이트 및 슬라이드 게이트용 밸브판
JP2008279491A (ja) 溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造方法
JP2001129646A (ja) スライドバルブ装置
JP3617295B2 (ja) 連続鋳造における2次冷却帯の制御方法
WO2001015835A1 (fr) Buse immergee empechant la deviation d'un ecoulement
JPH0342144A (ja) 連続鋳造用鋳型の冷却方法およびその鋳型
JP2008087065A (ja) 連続鋳造用タンディッシュ
CN206527333U (zh) 铸件浇包
US20200055113A1 (en) Continuous casting mold and method for continuously casting steel
KR20130002005A (ko) 금속 스트립 주조설비의 용융 금속 공급 노즐
KR101410087B1 (ko) 테이퍼 기능 몰드
JP5566972B2 (ja) 連続鋳造鋳型
CN209502953U (zh) 中间包包盖
KR200265042Y1 (ko) 연속주조용 하부 노즐과 쉬라우드 노즐 사이에 사용되는가스켓
JP2009125750A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル
JPH03198959A (ja) タンディッシュストッパー