JP2000069953A - 特定物質の細胞導入装置及びこれを用いた観察装置 - Google Patents

特定物質の細胞導入装置及びこれを用いた観察装置

Info

Publication number
JP2000069953A
JP2000069953A JP24315898A JP24315898A JP2000069953A JP 2000069953 A JP2000069953 A JP 2000069953A JP 24315898 A JP24315898 A JP 24315898A JP 24315898 A JP24315898 A JP 24315898A JP 2000069953 A JP2000069953 A JP 2000069953A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vesicle
cell
specific substance
sample
cantilever
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24315898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3461448B2 (ja
Inventor
Akira Yagi
明 八木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP24315898A priority Critical patent/JP3461448B2/ja
Publication of JP2000069953A publication Critical patent/JP2000069953A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3461448B2 publication Critical patent/JP3461448B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M35/00Means for application of stress for stimulating the growth of microorganisms or the generation of fermentation or metabolic products; Means for electroporation or cell fusion
    • C12M35/04Mechanical means, e.g. sonic waves, stretching forces, pressure or shear stimuli
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M41/00Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation
    • C12M41/30Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration
    • C12M41/36Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration of biomass, e.g. colony counters or by turbidity measurements

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】特定物質を含むベシクル、特に10μmよりも
小さいベシクルをも、細胞試料の所望位置に押し付け導
入し得る特定物質の細胞導入装置を提供する。 【解決手段】ベース2に立てられた支柱4にはZステー
ジ20を介してアーム22が固定されている。アーム2
2は一般にチューブスキャナーと呼ばれる円筒型圧電ア
クチュエーター24の上端部を支持し、その下端にはヘ
ッド30が固定されている。ヘッド30の下側にはカン
チレバーチップ40が取り付けられる。カンチレバーチ
ップ40は、支持部42から延びたレバー部44を有
し、その先端は、表面処理が施されている。ヘッド30
は、カンチレバーチップ40のレバー部44の変位を検
出する変位検出系を内部に備えている。支柱4に支持さ
れた試料台52は好適には水平方向に移動可能であり、
レバー部の先端部とベシクルあるいは細胞試料との間の
位置合わせに利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベシクルを細胞試
料の特定位置に近づけて、ベシクルに内包される特定物
質を細胞に導入するための細胞導入装置に関し、さらに
は、この細胞導入装置を備えた観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】DNAや膜タンパクや細胞質、細胞間の
情報伝達物質等の特定物質を細胞試料に導入する代表的
な手法には、以下に述べる三つがある。第一の手法は、
最初に特定物質が細胞試料と同じ構造の膜で囲まれたベ
シクルと呼ばれる物質を用意し、これを細胞試料の培養
液中に特定濃度で共存させ、細胞試料とベシクルとが接
触した後に、ベシクルが細胞試料に取り込まれるのを待
つことで、ベシクルに内包された特定物質を細胞試料に
導入させる方法である。
【0003】ここで、ベシクルについて説明する。ベシ
クルは、脂質膜の内側もしくは脂質膜上に、細胞試料を
導入させたい特定物質を取り込んだものを指し、例え
ば、特開平6−298638号公報に記載された「リポ
ソーム」はその一つである。
【0004】この特開平6−298638号公報には、
「リポソーム」が内部に水相を含むリン脂質二重層の微
小ベシクルであると記載されている。また、ベシクルに
取り込まれた特定物質については、水溶性薬物(特定物
質)はその内水相へ、油溶性のものは二重膜部分へ取り
込むことができると記載がある。これは脂質膜の内側も
しくは脂質膜上に、特定物質が取り込まれた状態を示し
ている。また、特定物質がベシクルに取り込まれた状態
を内包と呼んでいる。
【0005】第二の手法は、同じく最初にベシクルを用
意し、ガラスチューブの先端にベシクルを吸着し、これ
を細胞試料に押し付けて融合させるやり方である。第三
の手法は、先端が尖ったガラスチューブ内に特定物質を
含ませ、ガラスチューブの先端を細胞試料に突き刺し、
中に含んでいる特定物質を細胞試料に注入するやり方で
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】第一の手法では、特定
物質が細胞試料のどこに導入されたかが分からないた
め、のちの観察の際に不便がある。第二の手法では、ガ
ラスチューブで吸着できるベシクルの大きさは精々10
μmであり、これよりも小さいベシクルを導入すること
ができない。
【0007】第三の手法では、細胞試料の細胞膜に穴を
開けるため、細胞が破壊されるおそれがある。また、ガ
ラスチューブの先端は非常に細いことが要求されるが、
その加工にも限界がある。
【0008】本発明の目的は、ベシクルを、特に10μ
mよりも小さいベシクルであっても、細胞試料の所望位
置に選択的に接触配置でき、これにより所望位置に特定
物質を導入できる特定物質の細胞導入装置を提供するこ
とである。本発明の目的は、また、細胞試料へのベシク
ルの導入の際に働く相互作用をも解析可能な観察装置を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ベシクルを細
胞に近づけ接触させることで特定物質を細胞内に導入す
るための装置であり、先端部にベシクルを保持可能で、
弾性変形し得るレバー部を持つカンチレバーチップと、
ベシクルの入った容器を載置するステージと、カンチレ
バーチップとステージの間に相対的な上下方向の移動を
与える上下移動機構と、カンチレバーチップとステージ
の間に相対的な水平方向の移動を与える水平移動機構と
を有している。
【0010】同装置は、好ましくは、カンチレバーチッ
プのレバー部の弾性変形量を検出し、これに基づいてレ
バー部が受けている力を特定する変位センサーを更に有
している。
【0011】また、本発明は、特定物質の細胞への導入
および導入前後の細胞を観察するための装置であり、上
述した特定物質の細胞導入装置に加えて、細胞およびベ
シクルを光学的に観察するための光学系とを有してい
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。細胞導入装置を備えた
観察装置の全体構成を図1に概略的に示す。本実施形態
の観察装置は細胞導入装置と倒立型光学顕微鏡とを含ん
でおり、以下では、先ず細胞導入装置について述べ、続
いて倒立型光学顕微鏡について述べることにする。
【0013】[細胞導入装置]図1に示されるように、
ベース2に立てられた支柱4にはZステージ20が設け
られている。Zステージ20は、支柱4に固定された固
定部20aと、固定部20aに対して移動可能に支持さ
れた移動部20bとを有しており、移動部20bに固定
されたアーム22には、一般にチューブスキャナーと呼
ばれる円筒型圧電アクチュエーター24の上端部が固定
されている。円筒型圧電アクチュエーター24の下端に
はヘッド30が固定されている。円筒型圧電アクチュエ
ーター24は、その自由端が三次元的に変位し得、従っ
てヘッド30を三次元的に移動し得る。
【0014】ヘッド30の下側にはカンチレバーチップ
40が取り付けられる。カンチレバーチップ40は、支
持部42から延びたレバー部44を有し、その先端は、
分子間力により液中に存在するベシクルを良好に吸着し
得るように表面処理されている。この表面処理は、ベシ
クルの膜の状態に合わせて、例えば、親水化処理、疎水
化処理が施される。また、ベシクルの膜に官能基や蛋白
質分子が導入される場合を考慮し、レバー部44の先端
部に官能基や蛋白質分子を導入する処理が施される。更
に、ベシクルの膜が電荷を有している場合を考慮し、レ
バー部44を導電化する処理が施される。なお、導電化
処理については、レバー部44の表面を処理するのでは
なく、レバー部44の材料として導電材料を用いてもよ
い。
【0015】ヘッド30は、取り付けられたカンチレバ
ーチップ40のレバー部44の変位を検出する変位検出
系を内部に備えている。この変位検出系は、レーザーダ
イオード32、フォーカスレンズ34、全反射ミラー
(もしくはダイクロイックミラー)36、複数の受光領
域を持つフォトダイオード38とで構成されている。カ
ンチレバーチップ40のレバー部44の変位は、フォト
ダイオード38に入射するレバー部44からの反射光ビ
ームの位置に基づいて求められる。
【0016】試料台52は支柱4に支持されており、こ
の上には、DNA等の物質を含んだベシクルを入れたシ
ャーレ等の透明な容器や細胞試料を入れたシャーレ等の
透明な容器が例えば代わる代わる置かれる。あるいは、
一つの透明な容器の内部を区切り、ベシクルと細胞試料
を異なる部分に別々に入れることが可能な容器を置いて
もよい。さらには、ベシクルと細胞試料を異なる箇所に
載せたスライドガラスが置かれてもよい。本明細書では
透明な容器に代表的にシャーレを想定して説明する。
【0017】試料台52は好適には水平方向に移動可能
に支持されており、そこに載せられるシャーレとカンチ
レバーチップとの間に水平方向の相対的な移動を与え、
レバー部の先端部とベシクルあるいは細胞試料との間の
位置合わせに利用される。
【0018】なお、レバー部の先端部とベシクルあるい
は細胞試料との間の位置合わせは、試料台52を水平方
向に移動するだけでなく、円筒型圧電アクチュエータ4
2を用いてもよい。このようにレバー部の先端部とベシ
クルあるいは細胞試料との間に相対的な水平方向の移動
を与える機構を総称して水平移動機構とする。
【0019】さらに、試料台52が垂直方向に移動可能
に支持され、円筒型圧電アクチュエータ42と共に上下
方向移動機構を構成し、シャーレとカンチレバーチップ
との間に垂直方向の相対的な移動を与えることも可能で
ある。この構成は、水平移動機構により位置合わせの終
了したレバー部の先端部とベシクルあるいは細胞試料と
の距離制御に利用される。
【0020】[倒立型光学顕微鏡]続いて、倒立型光学
顕微鏡を構成する要素について述べる。透過照明のため
の照明系10は、位相差観察法による観察を可能にする
ものであり、ベース2に立てられた支柱4の上端に設け
られたアーム6に支持されている。照明系10は、光源
12、コレクタレンズ14、スライダ16、コンデンサ
レンズ18を有している。スライダ16は、位相差観察
用のリング開口16aと光を透過する透光部16bを持
ち、光路を横切って移動可能であり、必要に応じてリン
グ開口16aを光路中に配置することができる。
【0021】試料台52の下には、複数の対物レンズが
取り付け可能で、そのうちの一つを選択的に試料の下方
に配置させるレボルバー56が配置されている。レボル
バー56には、位相差観察法による観察のための比較的
低倍率の対物レンズ58と、蛍光観察のための高倍率高
NAの対物レンズ60が取り付けられている。
【0022】試料下に配置された対物レンズの下方に
は、ハーフミラー62が配置されており、さらにその下
方に別のハーフミラー64(あるいはダイクロイックミ
ラー)が配置されている。ハーフミラー62は、蛍光用
光源70からの光を対物レンズに向けて偏向するととも
に、対物レンズからの光を透過する。ハーフミラー64
は、対物レンズからの光を部分的に顕微鏡像観察用のC
CDカメラ66へ向けて偏向するとともに、残りの光を
透過する。
【0023】蛍光用励起光源70は、光源72、コレク
タレンズ74、シャッター76、コンデンサレンズ78
を有している。ハーフミラー64の下方には、蛍光を検
出するため、レンズ86とフォトマルチプライヤー88
が配置されている。蛍光観察の際には、励起光源70と
ハーフミラー62の間の光路上に励起光フィルター82
が挿入されるとともに、ハーフミラー62とハーフミラ
ー64の間の光路上に吸収フィルター84が挿入され
る。
【0024】[細胞試料へのベシクルに内包される特定
物質の導入]Zステージ20を操作してヘッド30を十
分に上げておき、DNA等の特定物質を内包するベシク
ル112を含む溶液114を入れた透明な容器、例えば
シャーレ110を試料台52の上に置く。Zステージ2
0を操作してヘッド30を下げ、図2に示されるよう
に、カンチレバーチップ40を溶液114中に沈め、レ
バー部44の先端部が対物レンズ58の焦点深度内に入
るまでシャーレ110の底に近づける。
【0025】透過位相差観察や微分干渉観察によりベシ
クル112を観察して、細胞試料に特定物質を導入する
のに適したベシクル112を選び、カンチレバーチップ
40のレバー部44の先端部を、選んだベシクル112
の上に合わせる。
【0026】このレバー部44の先端部と選んだベシク
ル112との位置合わせは、水平方向移動機構を用いて
両者を相対的に移動して行なう。なお、この位置合わせ
は、試料台52もしくは円筒型圧電アクチュエータ42
の内の少なくとも一方を移動するだけでも可能である。
【0027】圧電アクチュエーター24を伸ばしてカン
チレバーチップ40を下げ、レバー部44の先端部分を
ベシクル112に押し付ける。前述したように、カンチ
レバーチップ40のレバー部44の先端部分はベシクル
を良好に吸着し得るように表面処理が施されているた
め、分子間力によりベシクル112を吸着する。吸着
後、Zステージ20でヘッド30を上昇させる。
【0028】ベシクルの入ったシャーレ110を試料台
52から取り除き、代わりに特定物質を導入したい細胞
試料122の溶液124の入ったシャーレ120を試料
台52に置く。Zステージ20を操作してヘッド30を
下げ、図3に示されるように、カンチレバーチップ40
を溶液124中に沈める。
【0029】透過位相差観察や微分干渉観察により、ベ
シクル112に内包された特定物質(以下、単に特定物
質と呼ぶ)を導入する細胞試料122を選び、カンチレ
バーチップ40のレバー部44の先端部分を、選んだ細
胞試料122の上に合わせる。
【0030】このレバー部44の先端部と選んだ細胞試
料112との位置合わせは、水平方向移動機構を用いて
両者を相対的に移動して行なう。なお、この位置合わせ
は、試料台52もしくは円筒型圧電アクチュエータ42
の内の少なくとも一方を移動するだけでも可能である。
【0031】圧電アクチュエーター24を伸ばしてカン
チレバーチップ40を下げ、レバー部44の先端部分に
付着しているベシクル112を細胞試料122に押し付
ける。細胞試料122に押し付けられたベシクル112
は、やがて細胞試料122に取り込まれ、特定物質が細
胞試料122に導入される。
【0032】この時、対向電極等の共存により、細胞膜
内外を脱分極状態とすることができる。また、ベシクル
中の溶媒にCa2+を含ませるなどの操作を行なうことも
可能である。このような構成を取ることにより、擬似的
に神経細胞の情報伝達状態等を作り出せるので、細胞試
料に様々な状態を誘起させる特定物質の導入が可能とな
る。
【0033】本装置では、倒立型光学顕微鏡を利用し
て、レバー部44と細胞試料122の位置合わせを行な
うため、細胞試料122の所望の位置に高い位置精度を
もって特定物質を導入できる。
【0034】ベシクル112を吸着する際および特定物
質を細胞試料122に導入する際、好ましくは、ヘッド
30内の変位検出系はレバー部44の先端部の変位を検
出し、検出される変位情報に基づいてレバー部44に働
いている力を求める。これにより、ベシクル112を吸
着する際にレバー部44がベシクル112を押す力が分
かり、また特定物質を細胞試料122に導入する際にベ
シクル112が細胞試料122を押す力が分かる。
【0035】特定物質を細胞試料122に導入する際の
アプローチは、好ましくは、自動近接プログラムによっ
て行なわれ、任意の力でベシクル112を細胞試料12
2に押し付けることができる。例えば、ベシクル112
を細胞試料122に押し付ける力は、0.1nN程度に
設定することが可能であり、設定値に達した時点で両者
の接近は停止する。この時、レバー部44は押し付ける
力を受けて変位した状態で停止する。そのままレバー部
44の変位を監視し続けることによって、特定物質が細
胞試料122に導入されたかどうかが判定できる。
【0036】このように、本装置では、カンチレバーチ
ップ40のレバー部44に働く力が分かるので、過剰な
力により、ベシクル112や細胞試料122を破壊した
り傷付けたりすることを未然に防ぐことができる。
【0037】また、これまでの装置ではベシクルを細胞
試料に押し付ける力を知る術が無かったが、本装置は導
入時にベシクルが細胞試料を押す力を知ることができ、
導入時にベシクルと細胞試料に働く力の情報は、ベシク
ル112が細胞試料122に取り込まれる反応の解明に
とって大いに役立つであろう。
【0038】[浮遊する細胞試料への特定物質の導入]
上では図3に関連付けてシャーレの底に固定した細胞試
料に対する特定物質の導入について述べた。シャーレ内
の溶液中を浮遊する細胞試料に対する特定物質の導入で
は、図4に示されるように、マニピュレータに支持され
た三次元的に位置決め可能なキャピラリ130を用いて
細胞試料122を保持し、キャピラリ130に保持され
た細胞試料122に対して、カンチレバーチップ40の
レバー部44に吸着されたベシクル112を押し付け
る。この一連の動作は、細胞試料122の位置決めが三
次元マニピュレータによって行なわれる点の他は、全く
同様である。
【0039】[原子間力顕微鏡への拡張]カンチレバー
チップ40は、レバー部44の先端に探針部46を備え
ていてもよい。探針部46は、平坦部46bから突出し
た先鋭な突起部46aを有しており、平坦部46bを基
準にした突起部46aの高さは吸着するベシクル112
の直径よりも小さい。
【0040】ベシクル112は、突起部46aと平坦部
46bの境部分に吸着される。突起部46aの高さは、
ベシクル112の直径よりも小さい寸法が選ばれている
ので、ベシクル112を細胞試料に近づける際に、ベシ
クル112が細胞試料に接触する前に、先鋭な突起部4
6aが細胞試料に触れることがない。
【0041】先鋭な突起部46aは、特定物質が細胞試
料に導入される前後の観察に利用される。本装置は、原
子間力顕微鏡の構成に必要な要素、すなわち、円筒型圧
電アクチュエーター24とカンチレバーチップ40とそ
のレバー部の変位を検出する変位検出系を含んでいる。
従って、図5に示される探針部46を備えたカンチレバ
ーチップ40を用いることにより、突起部46aをプロ
ーブとする原子間力顕微鏡観察が行なえ、特定物質の導
入前後の細胞試料を高分解能で観察することができる。
【0042】[照明系]本装置は、透過明視野照明、透
過位相差照明、微分干渉照明、落射蛍光照明等の特殊観
察法の利用が可能である。
【0043】[透過明視野照明]透過明視野照明は、カ
ンチレバーの位置を明瞭に示すので、主に、カンチレバ
ー裏面に照射されるレバー部44の変位検出用のレーザ
ー光スポットのカンチレバー上における位置調整に用い
られる。
【0044】[透過位相差照明]透過位相差照明は、試
料の屈折率の違いを元にコントラストを付ける観察法で
有り、この照明法は数μm以下の厚さの光学的に透明な
試料に対して有効である。また、培養細胞の周辺部分の
境界を見つけるなどの薄い試料(細胞)の形態を低分解
能で観察する方法として有効である。
【0045】なお、透過位相差照明は、リング照明を用
いているため、照明のNAを対物レンズのNAに比べて
充分利用していないめ、高解像の観察に適した観察法で
はない。
【0046】また、高解像の観察を行うのであれば、透
過微分干渉照明を用いた観察が適している。この照明は
屈折率分布の位置的な変化を元に光学的に透明な試料に
コントラストを付ける観察法である。透過微分干渉照明
の一例が、特開平9−15504号に記載されている。
同文献に含まれる開示内容は、ここに引用することによ
り、すべて本明細書に組み込まれるものとする。
【0047】この照明方法は、光源からの光を偏光子
(ポラライザー)で直線偏光にして第1のノマルスキー
プリズムに入射させ、ここで常光と異常光とに分離して
コンデンサーレンズを経て、試料を透過した常光及び異
常光を対物レンズを経て第2のノマルスキープリズムで
合波し、その合波した常光及び異常光を、検光子(アナ
ライザー)を経て干渉させて結像面に微分干渉像を形成
している。
【0048】この構成を図1の装置に追加することによ
り透過微分干渉照明を実現できる。この微分干渉照明は
位相差照明と比べて、照明のNAに原理的には限定が無
いため、対物レンズのNAすべてを利用でき、高倍率の
観察が可能である。従って、試料の細かい構造まで形態
を確認したい場合に利用できる。
【0049】上述した透過位相差照明及び透過微分干渉
照明を総称して透過コントラスト照明という。 [落射蛍光照明]落射蛍光照明は、ベシクルの中に目的
物質が十分な量入っているかを確認するために用いられ
る。また、ベシクルを試料(細胞)に接触させた後の試
料の反応・状態変化を観察するのに適している。更に、
ベシクルと接触させたい試料の特定部位を蛍光染色し、
あるいは試料(細胞)のDNAに例えばGFP(Green
Flourescent Protein )を発現させるDNAを導入し、
蛍光を発している部分あるいはGFPを生成し蛍光を発
している細胞を特定するために利用できる。
【0050】なお、蛍光顕微鏡としては図1に示した構
成以外に、走査型レーザー顕微鏡を用いてベシクルの観
察を行うことも有効である。また、透過位相差照明、透
過微分干渉照明、落射蛍光照明は、試料の観察だけでは
なく、ベシクルを探針先端に取り付けるための位置調整
及び探針先端にベシクルが取り付けられた状態での探針
と試料との位置調整に用いられる。
【0051】上述した通り、蛍光照明は試料とベシクル
との反応・状態変化を観察測定するのに適しており、透
過コントラスト照明は試料の形態・構造を観察測定する
のに適している。従って、試料の形態とベシクルによる
試料の反応等を関連づけて測定したい場合には、蛍光照
明と透過コントラスト照明とを組み合わせた照明方法が
好ましい。本発明は、上述した実施の形態に限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれる
すべての実施を含む。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、特定物質を含むベシク
ル、特に10μmよりも小さいベシクルをも、細胞試料
の所望位置に押し付け導入し得る特定物質の細胞導入装
置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による細胞導入装置を備えた観察装置の
全体構成を概略的に示している。
【図2】カンチレバーチップのレバー部にベシクルを吸
着する様子を示している。
【図3】カンチレバーチップのレバー部に吸着されたベ
シクルを細胞試料に導入する様子を示している。
【図4】浮遊する細胞試料に対するベシクルの導入の様
子を示している。
【図5】原子間力顕微鏡への拡張を可能にするカンチレ
バーチップのレバー部の構造を示している。
【符号の説明】
20 Zステージ 24 圧電アクチュエーター 30 ヘッド 40 カンチレバーチップ 42 支持部 44 レバー部 52 試料台
フロントページの続き Fターム(参考) 2F069 AA02 BB40 GG07 HH04 JJ06 JJ14 2H052 AA03 AA05 AA07 AA09 AB14 AB24 AC04 AC05 AC07 AC14 AC33 AC34 AD34 AF11 AF19 4B029 AA23 AA25 AA27 BB01 BB15 BB20 CC01 CC03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベシクルを細胞に近づけ接触させること
    で特定物質を細胞内に導入するための装置であり、 先端部にベシクルを保持可能で、弾性変形し得るレバー
    部を持つカンチレバーチップと、 ベシクルの入った容器を載置するステージと、 カンチレバーチップとステージの間に相対的な上下方向
    の移動を与える上下移動機構と、 カンチレバーチップとステージの間に相対的な水平方向
    の移動を与える水平移動機構とを有している、特定物質
    の細胞導入装置。
  2. 【請求項2】 カンチレバーチップのレバー部の弾性変
    形量を検出し、これに基づいてレバー部が受けている力
    を特定する変位センサーを更に有している、請求項1に
    記載の特定物質の細胞導入装置。
  3. 【請求項3】 特定物質の細胞への導入および導入前後
    の細胞を観察するための装置であり、 請求項1に記載の特定物質の細胞導入装置と、 細胞およびベシクルを光学的に観察するための光学系と
    を有している、細胞およびベシクルの観察装置。
JP24315898A 1998-08-28 1998-08-28 特定物質の導入装置及びこれを用いた観察装置、及び、物質導入方法 Expired - Fee Related JP3461448B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24315898A JP3461448B2 (ja) 1998-08-28 1998-08-28 特定物質の導入装置及びこれを用いた観察装置、及び、物質導入方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24315898A JP3461448B2 (ja) 1998-08-28 1998-08-28 特定物質の導入装置及びこれを用いた観察装置、及び、物質導入方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000069953A true JP2000069953A (ja) 2000-03-07
JP3461448B2 JP3461448B2 (ja) 2003-10-27

Family

ID=17099679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24315898A Expired - Fee Related JP3461448B2 (ja) 1998-08-28 1998-08-28 特定物質の導入装置及びこれを用いた観察装置、及び、物質導入方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3461448B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004538443A (ja) * 2000-08-15 2004-12-24 バイオフォース ナノサイエンシズ インコーポレイテッド ナノスケール分子配列装置
JP2006349617A (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Sii Nanotechnology Inc 光学顕微鏡を備えた走査型プローブ顕微鏡
JP2007033117A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Sii Nanotechnology Inc 走査型プローブ顕微鏡
JP2007205849A (ja) * 2006-02-01 2007-08-16 Seiko Instruments Inc 多機能カンチレバー及び走査型プローブ顕微鏡並びに加工対象物の切削方法
JP2008092824A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Seiko Instruments Inc 細胞侵襲用プローブ及び該細胞侵襲用プローブを有する細胞侵襲装置、並びに、細部侵襲方法
JP2009058231A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Shimadzu Corp 液中試料の分析方法
JP2009139865A (ja) * 2007-12-10 2009-06-25 Olympus Corp チップ駆動装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004538443A (ja) * 2000-08-15 2004-12-24 バイオフォース ナノサイエンシズ インコーポレイテッド ナノスケール分子配列装置
JP2006349617A (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Sii Nanotechnology Inc 光学顕微鏡を備えた走査型プローブ顕微鏡
JP2007033117A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 Sii Nanotechnology Inc 走査型プローブ顕微鏡
JP4575250B2 (ja) * 2005-07-25 2010-11-04 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 走査型プローブ顕微鏡
JP2007205849A (ja) * 2006-02-01 2007-08-16 Seiko Instruments Inc 多機能カンチレバー及び走査型プローブ顕微鏡並びに加工対象物の切削方法
JP4697708B2 (ja) * 2006-02-01 2011-06-08 セイコーインスツル株式会社 多機能カンチレバー及び走査型プローブ顕微鏡並びに加工対象物の切削方法
JP2008092824A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Seiko Instruments Inc 細胞侵襲用プローブ及び該細胞侵襲用プローブを有する細胞侵襲装置、並びに、細部侵襲方法
JP2009058231A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Shimadzu Corp 液中試料の分析方法
JP2009139865A (ja) * 2007-12-10 2009-06-25 Olympus Corp チップ駆動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3461448B2 (ja) 2003-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2279992C (en) Laser capture microdissection method and apparatus
JP5087745B2 (ja) 複数の観察手法を用いた顕微鏡細胞観察・検査システム
US7556968B2 (en) Scanning probe microscope and molecular structure change observation method
US20090174937A1 (en) Objective-coupled selective plane illumination microscopy
WO2007037439A1 (ja) 焦点位置決定方法、焦点位置決定装置、微弱光検出装置及び微弱光検出方法
JPH11503230A (ja) 走査型プローブ及び走査型エネルギーが組み合わされた顕微鏡
JP6513802B2 (ja) ナノ粒子検出のためのレーザー光結合
US10228553B2 (en) Microscope device
CN111122525B (zh) 一种荧光—膜片钳—微吸管检测装置
US8343765B2 (en) Gene injection apparatus and gene injection method
JP3461448B2 (ja) 特定物質の導入装置及びこれを用いた観察装置、及び、物質導入方法
JP2004302441A (ja) システム顕微鏡
EP3677944B1 (en) Optical imaging equipment and method
JP2004524577A (ja) デジタル顕微鏡
JPH09318506A (ja) ペトリ皿載置装置
Temprine et al. Three-dimensional photoactivated localization microscopy with genetically expressed probes
JP2004069428A (ja) 原子及び分子間力顕微鏡
JP4602731B2 (ja) 顕微鏡システム
US7699477B2 (en) Alignment method, alignment apparatus, and alignment screen for objective-lens guiding device
JP2014126439A (ja) 走査型プローブ顕微鏡の観察方法
JP3855428B2 (ja) 倒立顕微鏡及びコンデンサ装置
US11327285B2 (en) Illumination method and equipment for optical imaging
US20210404965A1 (en) Method and device for optically examining a biological sample
JP4254229B2 (ja) 正立顕微鏡
JPS622288B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030729

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080815

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090815

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees