JP2000065953A

JP2000065953A - 落雷予報システム

Info

Publication number: JP2000065953A
Application number: JP10234540A
Authority: JP
Inventors: Masanori Matsuoka; 正憲松岡
Original assignee: Toko Electric Corp
Current assignee: Takaoka Toko Co Ltd
Priority date: 1998-08-20
Filing date: 1998-08-20
Publication date: 2000-03-03
Anticipated expiration: 2018-08-20
Also published as: JP3471231B2

Abstract

(57)【要約】【課題】比較的正確な落雷予報を低コストでゴルフ場
等に提供し、落雷事故を未然に防ぐ。【解決手段】雷雲を捕捉する雷観測レーダＲＤと、雷
観測信号が送られるセンタ情報処理装置ＰＣ０と、雷雲
による電界を検出してその電界検出信号をセンタ情報処
理装置ＰＣ０に送信し、かつ、当該装置ＰＣ０からの落
雷警報信号を受信する子局とから構成される。前記子局
は、電界センサＥＳ１，ＥＳ２と、電界検出信号を送信
する送信端末ＳＵ１，ＳＵ２と、落雷警報を受信する子
局情報処理装置ＰＣ１，ＰＣ２とを備える。センタ情報
処理装置ＰＣ０は、雷観測信号に基づいて雷雲発生監視
区域を表示すると共に、電界検出信号から雷雲発生監視
区域内の電界分布を推定演算し、特定の電界分布を形成
する区域に含まれる子局へ落雷警報信号を送信する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、局地的な雷雲の発
生を感知して落雷警報を発する落雷予報システムに関
し、詳しくは、親局から通信ネットワークにより結ばれ
たゴルフ場等の子局へ落雷警報信号を伝送し、ゴルフコ
ース内のプレーヤーやキャディ等を速やかに避難させて
落雷事故を未然に防止するための落雷予報システムに関
する。

【０００２】

【従来の技術】個人が行楽やゴルフ等、アウトドアスポ
ーツを楽しもうとする際、ＴＶ、ラジオ、１７７番の電
話サービス等による気象予報を利用している。しかる
に、これらの気象予報サービスでは、各地方気象台毎の
発表に基づく広範囲な気象予報しか提供されず、しかも
「晴」「雨」「午後雷注意」等、大まかな気象予報しか
得ることができない。

【０００３】また、特定の行楽地や各種イベント開催地
では、主催者側で気象情報専門会社或いは気象予報士等
により、局地的なきめ細かい気象予報を提供している。
しかしながら、落雷予報に関して、気象学的予測は研究
途上にあり、落雷点の移動によるトレンドに気象条件を
付加して予測を立てたり、１ポイントのみを監視する落
雷警報装置を設置する等、未だ大まかな落雷予報しか得
られないのが実情である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、レジャー的
要素の強いアウトドアスポーツ、特に素人仲間で行うゴ
ルフコンペは、一旦開催日時が決まるとその後のスケジ
ュール調整が難しく、気象予報や当日の気象状態いかん
に関わらず、プレーを強行せざるを得ない傾向が強い。
また、ゴルフ場も徐々に山間僻地に開設されることで、
急激な気象変化の影響を受け易く、襲雷頻度が多くな
る。

【０００５】そして、プレーヤーやキャディが広範囲な
コースに出て点在してしまうと、クラブハウス等安全な
場所へ迅速に避難するには困難になると共に、気象変化
に対し各プレーヤーが独自の判断により行動するので、
落雷による死亡事故や傷害事故に遭遇する危険性が極め
て高くなる。

【０００６】本発明は、このような状況に鑑み、比較的
正確な落雷予報を提供することにより、ゴルフコースに
おけるプレーヤーやキャディ等、屋外にいる人々の落雷
事故を未然に防ぐほか、企業等へ事前に落雷警報だけで
も知らせることによって、落雷による通信ネットワーク
等の機能停止トラブルを予防可能に落雷予報システムを
提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１記載の発明は、雷雲を捕捉する雷観測レー
ダと、この雷観測レーダによる雷観測信号が送られるセ
ンタ情報処理装置と、雷雲による電界を検出してその電
界検出信号を前記センタ情報処理装置に送信し、かつ、
センタ情報処理装置からの落雷警報信号を受信する子局
とから構成され、前記子局は、電界センサと、前記電界
検出信号を送信する送信端末と、前記落雷警報を受信す
る子局情報処理装置とを備え、前記センタ情報処理装置
は、前記雷観測信号に基づいて雷雲発生監視区域を表示
すると共に、前記電界検出信号から雷雲発生監視区域内
の電界分布を推定演算し、特定の電界分布を形成する区
域に含まれる子局へ落雷警報信号を送信するものであ
る。

【０００８】前記電界センサとしては、請求項２に記載
するように、測定感度の向上やノイズによる影響の低減
が可能な光電界センサを用いると良い。また、請求項
３、請求項４に記載するように、前記センタ情報処理装
置と子局との間の通信に携帯電話回線や配電線搬送を利
用すれば、新たな伝送路の構築が不要になり、コストの
低減を図ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。この実施形態は、複数のゴルフ場を対象
とした落雷予報システムに本発明を適用した場合のもの
である。図１において、ＧＣ１，ＧＣ２は、散在する複
数のゴルフ場のうち二箇所のゴルフ場を示しているが、
勿論、更に多数のゴルフ場を適用対象にしても良い。

【００１０】ゴルフ場ＧＣ１，ＧＣ２のコース内には、
接近してきた雷雲ＴＨによる発生電界を測定する電界セ
ンサＥＳ１，ＥＳ２が配置されており、これらの電界セ
ンサＥＳ１，ＥＳ２は金属製カバーの内部に収納され、
地上障害物の影響を除去するために腕金等を介して鋼管
柱Ｐ１，Ｐ２により地上約５ｍ程の位置に設置されてい
る。また、電界センサＥＳ１，ＥＳ２には、後述するセ
ンタ情報処理装置ＰＣ０に電界検出信号を送信するため
の送信端末ＳＵ１，ＳＵ２がそれぞれ接続されている。

【００１１】電界センサＥＳ１，ＥＳ２としては、針端
コロナ電流計や回転電極型電界計（フィールドミル）等
を使用することもできるが、検出した電界を光信号に変
換して信号処理し、送信端末ＳＵ１，ＳＵ２に伝送する
光電界センサを使用すれば、測定感度が向上して信号変
換・伝送時のノイズの影響を低減し、より高精度な測定
値を得ることができる。

【００１２】更に、各ゴルフ場ＧＣ１，ＧＣ２に対応し
て、パソコン等からなる子局情報処理装置ＰＣ１，ＰＣ
２が設けられている。これらの情報処理装置ＰＣ１，Ｐ
Ｃ２は、センタ情報処理装置ＰＣ０から送られる落雷警
報信号を受信してコース内のプレーヤーやキャディ等に
警報を発するためのものである。ここで、電界センサＥ
Ｓ１、送信端末ＳＵ１及び子局情報処理装置ＰＣ１は、
親局としてのセンタ情報処理装置ＰＣ０に対して一つの
子局を、同様に、電界センサＥＳ２、送信端末ＳＵ２及
び子局情報処理装置ＰＣ２は、別の子局を構成してい
る。

【００１３】一方、センタ情報処理装置ＰＣ０は、落雷
予報を行う企業体等に設置されるもので、電力会社等の
雷観測レーダＲＤが受信した雷観測信号と、前述の各送
信端末から送られた電界検出信号とを取り込み、電界分
布の推定演算や判定処理を行って所要のゴルフ場の子局
情報処理装置に落雷警報信号を送信する。送信端末ＳＵ
１，ＳＵ２からセンタ情報処理装置ＰＣ０への電界検出
信号の送信、センタ情報処理装置ＰＣ０から子局情報処
理装置ＰＣ１，ＰＣ２への警報信号の送信には、携帯電
話回線を利用した無線通信、または配電線搬送通信を利
用すれば良い。これらの通信システムは地勢や通信条件
に応じて使い分けても良く、新たな伝送路敷設や高額な
設備投資を必要としない点で有益である。

【００１４】図２は、センタ情報処理装置ＰＣ０の周辺
の機器構成を示している。雷観測レーダＲＤからの雷観
測信号は専用回線１１、専用回線用モデム１２、プロト
コル変換装置１３を介してセンタ情報処理装置ＰＣ０に
入力され、雷雲ＴＨの広範囲な発生情報が取得される。
また、センタ情報処理装置ＰＣ０が管轄する子局の送信
端末ＳＵ１，ＳＵ２から送られた電界検出信号が、送受
信部１４、モデム１５、通信回線１６を介してセンタ情
報処理装置ＰＣ０に入力され、雷雲ＴＨによる各地点で
の電界強度情報が取得される。

【００１５】更に、図３はセンタ情報処理装置ＰＣ０の
構成を示しており、前記プロトコル変換装置１３に接続
される雷観測信号受信部２１と、演算処理部２２と、表
示部２３と、記憶部２４と、前記通信回線１６に接続さ
れる送受信部２５とを備えている。このセンタ情報処理
装置ＰＣ０は、エンジニアリングワークステーション
（ＥＷＳ）等により実現可能である。

【００１６】本実施形態では、一つのセンタ情報処理装
置ＰＣ０が管轄する雷雲発生監視区域を４０ ×４０
としてこの監視区域を４１×４１の格子点（１メッシ
ュ）に分割している。そして、上記監視区域において、
５〜１０間隔で２０箇所に均等に子局（電界観測点）
を配置し、センタ情報処理装置ＰＣ０は、各電界観測点
での電界検出信号に基づいて各格子点（１メッシュ）
の電界値を推定演算することとした。

【００１７】更に、センタ情報処理装置ＰＣ０は、雷雲
ＴＨ内の電荷分布や落雷点等の空間的なデータを各格子
点（１メッシュ）の電界値に対応させるために、数式
１により地上点較正電界値Ｚ_kを演算する。

【００１８】

【数１】Ｚ_k＝ｆ（Ｘ_k，Ｙ_k）＋е_k

【００１９】上記数式１において、Ｘ_k、Ｙ_kは水平方向
（Ｘ方向、Ｙ方向）電界値、е_kは誤差である。すなわ
ち、数式１における誤差е_kを最小にする（残差自乗和
を最小にする）ような関数ｆ（Ｘ_k，Ｙ_k）≒Ｚ_kを求め
ることにより、地上電界分布に相当する等電界値線を推
定する。その際、残差自乗和を最小にする方法だけでは
任意性が高いため、センタ情報処理装置ＰＣ０では、デ
ータを満足する滑らかな等電界値線図が描けるような曲
面を選択し、演算処理部２２が近似的な等電界値線図を
作成して表示部２３により表示する。同時に、表示部２
３では雷雲発生監視区域自体も表示する。

【００２０】等電界値線の間隔は、通常状態における電
界値差の絶対値である０．２ｋＶ／ｍ以下とし、正極
（＞０）の等電界値線を実線で、負極（＜０）の等電界
値線を破線で表示するといった方法により、監視区域内
の地上電界分布を表示している。

【００２１】雷雲ＴＨの発生による送信端末からの電界
検出信号は１秒毎に更新されるが、センタ情報処理装置
ＰＣ０では、各電界観測点（送信端末の設置場所）の時
刻を補正して同一時刻の電界値に換算し、１秒から３０
秒迄の単純加算平均値から地上電界分布データを作成す
る。この地上電界分布データは、３分毎に更新されて表
示される。

【００２２】そして、前述の雷観測レーダＲＤから広範
囲な雷観測信号を受信した場合、まず、雷雲発生監視区
域内の子局情報処理装置には落雷注意報信号を送信す
る。また、その後の雷雲の発達による地上電界分布デー
タにより、正極の電界分布を形成する領域に含まれる子
局情報処理装置に対し、落雷警報信号を送信する。より
詳細には、雷雲発生監視区域内で、正極または負極のう
ち１回でも正極判定が出た子局の子局情報処理装置へ、
自動的に落雷警報信号を送信する。落雷警報信号を受信
した子局付近では、２０〜３０分後に落雷の可能性が極
めて高いことが判るので、係員が直ちにコース内の人々
へ緊急避難を促す等の行動をとればよい。

【００２３】雷雲発達過程における正極の地上電界分布
形成地域と、短時間（２０〜３０分）経過後の落雷頻度
との相関関係は、本発明者らが、地上静電界多地点観測
から演算推定した地上電界分布と、落雷位置標定システ
ム（ＬＰＡＴＳ）及び気象レーダとの照合により、落雷
開始前の地上電界分布様相の観測結果から見出したもの
である。落雷の振舞いは未だ研究途上にあるため、今後
さらなるデータ集積の必要があり、必ずしも十分に解明
されてはいないが、局地的な雷雲発生を感知して、落雷
予報を提供するには有効な兆候と見なすことができる。

【００２４】なお、子局には全て子局情報処理装置を備
える必要は無く、単に電界測定のためだけなら、電界セ
ンサと送信端末のみ備え、センタ情報処理装置装置ＰＣ
０からの電源オン／オフ指令によって測定データを収集
するだけでよい。

【００２５】こうして、既存の雷観測レーダを使い、各
観測地点に電界センサや送信端末等を設置するだけで、
広範囲にわたる雷雲発生情報をセンタ側へ提供できると
共に、局地的な場所であっても、間近に迫る落雷事故に
遭遇する危険性の高い人々に対して、センタ側からの通
報により正確な落雷警報を提供して危険を回避すること
ができる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、短時間の
うちに襲来する可能性が極めて高い落雷を比較的正確に
予報することができ、ゴルフコースにおけるプレーヤー
やキャディ等、屋外にいる人々に緊急避難を促して落雷
事故を未然に防ぐことができる。また、落雷の可能性の
有無だけでも知りたい企業等へ事前に情報を提供するこ
とにより、間近に迫る落雷への迅速な対処を可能にする
等、極めて有効な落雷予報システムを実現することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す全体構成図である。

【図２】図１におけるセンタ情報処理装置の周辺の機器
構成を示す図である。

【図３】図１、図２におけるセンタ情報処理装置の内部
構成を示す図である。

【符号の説明】

ＧＣ１，ＧＣ２ゴルフ場ＴＨ雷雲ＥＳ１，ＥＳ２電界センサＰ１，Ｐ２鋼管柱ＳＵ１，ＳＵ２送信端末ＰＣ１，ＰＣ２子局情報処理装置ＰＣ０センタ情報処理装置ＲＤ雷観測レーダ１１雷観測信号専用回線１２専用回線用モデム１３プロトコル変換装置１４送受信部１５モデム１６通信回線２１雷観測信号受信部２２演算処理部２３表示部２４記憶部２５送受信部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】雷雲を捕捉する雷観測レーダと、この雷
観測レーダによる雷観測信号が送られるセンタ情報処理
装置と、雷雲による電界を検出してその電界検出信号を
前記センタ情報処理装置に送信し、かつ、センタ情報処
理装置からの落雷警報信号を受信する子局とから構成さ
れ、前記子局は、電界センサと、前記電界検出信号を送信す
る送信端末と、前記落雷警報を受信する子局情報処理装
置とを備え、前記センタ情報処理装置は、前記雷観測信号に基づいて
雷雲発生監視区域を表示すると共に、前記電界検出信号
から雷雲発生監視区域内の電界分布を推定演算し、特定
の電界分布を形成する区域に含まれる子局へ落雷警報信
号を送信することを特徴とする落雷予報システム。
【請求項２】請求項１記載の落雷予報システムにおい
て、子局に備えられる電界センサが、光電界センサであるこ
とを特徴とする落雷予報システム。
【請求項３】請求項１または２記載の落雷予報システ
ムにおいて、前記センタ情報処理装置と子局との間の通信を、携帯電
話回線を利用した無線通信により行うことを特徴とする
落雷予報システム。
【請求項４】請求項１または２記載の落雷予報システ
ムにおいて、前記センタ情報処理装置と子局との間の通信を、配電線
搬送通信により行うことを特徴とする落雷予報システ
ム。