JP2000063137A - ガラス板切断方法及びその装置 - Google Patents

ガラス板切断方法及びその装置

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JP2000063137A
JP2000063137A JP10226297A JP22629798A JP2000063137A JP 2000063137 A JP2000063137 A JP 2000063137A JP 10226297 A JP10226297 A JP 10226297A JP 22629798 A JP22629798 A JP 22629798A JP 2000063137 A JP2000063137 A JP 2000063137A
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cooling medium
cutting
glass
scratch
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Kazuhide Ota
和秀 太田
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Toyota Motor Corp
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B33/00Severing cooled glass
    • C03B33/09Severing cooled glass by thermal shock
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】熱応力を利用して、けがき痕等の浅傷を起点と
して垂直クラックを伸展させてガラス板の切断を行うガ
ラス板切断方法及びその装置を提供する。 【解決手段】本切断方法は、切断装置1によりガラス板
2の表面に浅傷2eを形成する操作と、冷却媒体55を
浅傷2eに接触させる操作を行い、ガラス板2を切断す
る。本切断装置は、ガラス板2に対して相対移動可能に
設けられガラス板2に浅傷2eを形成する傷創成手段4
と、ガラス板2に対して相対移動可能に設けられ浅傷2
eに液体窒素などの冷却媒体55を接触させる冷却媒体
接触手段5とを具備している。浅傷2eを形成する前
に、浅傷2eを形成するガラス部分2wを、加熱手段6
で予め加熱しておくことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス板切断方法及
びガラス板切断装置に関する。本発明は、例えば、EC
素子、EL素子、液晶素子などの素子を搭載するガラス
基板を切断するのに利用できる。
【0002】
【従来の技術】特開平8−12362号公報には、ガラ
ス板の上方からチップ刃にてスクライブしてクラックを
形成し、その後、クラックを伸展させる方向の負荷荷重
をガラス板に加え、これによりガラス板を切断する技術
が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記技術とは
異なり、ガラス板に形成したけがき痕等の浅傷に冷却媒
体を接触させることにより、熱応力を利用して、けがき
痕等の浅傷を起点として垂直クラックを伸展させてガラ
ス板の切断を行うガラス板切断方法及びガラス板切断装
置を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガラス板の
切断方法は、切断装置によりガラス板を所望の形状に切
断する方法において、切断装置によりガラス板の表面に
浅傷を形成する操作と、冷却媒体を浅傷に接触させる操
作を行い、ガラス板を切断することを特徴とするもので
ある。
【0005】本発明に係るガラス板の切断装置は、ガラ
ス板を切断するガラス板切断装置であって、ガラス板に
対して相対移動可能に設けられ、ガラス板に浅傷を形成
する傷創成手段と、ガラス板に対して相対移動可能に設
けられ、浅傷に冷却媒体を接触させる冷却媒体接触手段
とを具備していることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明方法及び本発明装置によれ
ば、深さが浅い浅傷をガラス板に形成する。浅傷は、ガ
ラス板の表層付近に形成される引っ掻き跡である浅いけ
がき痕、あるいは、ガラス板の表層付近を浅く削って形
成された浅い溝で形成できる。浅溝は、ガラス板の材
質、厚みなどによって相違するものの、深さが400μ
以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下
にできる。
【0007】本発明方法及び本発明装置によれば、ガラ
ス板に形成した浅傷に冷却媒体を接触させる。これによ
り浅傷における熱衝撃が大きくなる。よって、ガラス板
の切断に寄与する垂直クラックを生成する熱応力を大き
くできる。冷却媒体による冷却は、ガラス板において局
部的に行うことが好ましい。代表的な冷却媒体として
は、極低温冷却媒体や水を採用できる。極低温冷却媒体
は極低温(−30℃以下)において液化するものであ
り、一般的には、液化温度が−100℃以下の液体窒素
(−196℃)や液体空気が挙げられる。吹き付ける冷
却媒体としては、液化部分のみでも良いし、あるいは、
液化部分と気化部分とが共存している形態でも良いし、
場合によっては、例えば、ガラス板の厚みが薄い場合な
どでは、気化したもののみを吹き付ける形態でも良い。
【0008】水の概念には純水を含む。不純物によるガ
ラス板の汚染防止を考慮すると、水は、不純物の除去率
が高い純水が好ましい。本発明方法及び本発明装置によ
れば、浅傷を形成する前に、浅傷を形成するガラス部分
を、加熱手段で予め加熱しておくことが好ましい。この
場合には、ガラス板の全体を加熱しても良いし、ガラス
板の一部を局部的に加熱しても良い。加熱効率や省エネ
ルギなどを考慮すると、浅傷を形成するガラス部分のみ
を局部的に加熱することが好ましい。
【0009】加熱手段としては、公知の加熱原理をもつ
ものを採用でき、熱風吹き付けによる加熱手段、レーザ
ビーム照射による加熱手段、ガス燃焼炎による加熱手
段、プラズマによる加熱手段、ガラス板を収容して加熱
する加熱炉手段などを採用できる。要するに、少なくと
も、ガラス板のうち浅傷となるガラス部分を加熱できる
ものであれば良い。ガラス部分の加熱温度は、ガラス板
の材質などによっても相違するものの、軟化温度以下が
好ましく、例えば50〜500℃程度、80〜200℃
程度にできる。なおガラス板の材質がソーダ石灰ガラス
である場合には、ガラス部分の加熱温度は100〜50
0℃にできる。
【0010】本発明装置は、ガラス板に浅傷を形成する
傷創成手段と、浅傷に冷却媒体を接触させる冷却媒体接
触手段とを備えている。代表的な傷創成手段としては、
超硬ローラまたはダイシングブレードを利用したものが
ある。超硬ローラやダイシングブレードは、硬い材料、
例えばダイヤモンドや酸化タングステンなどを利用して
形成できる。超硬ローラの刃は、基本的には研削機能を
もたないものの、引っ掻き機能をもち、ガラス板に対し
て加圧された状態で摩擦摺動することにより微小垂直ク
ラック状の引っ掻き痕を形成できる。ダイシングブレー
ドは、研削機能をもつため、ガラス板の表層を削って溝
を形成できる。
【0011】本発明装置は、傷創成手段および冷却媒体
接触手段に加えて、加熱手段を併有していることが好ま
しい。この加熱手段は、少なくとも浅傷を形成するガラ
ス部分を加熱する機能をもつものであり、前記したよう
に公知の加熱原理をもつものを採用できる。なお、切断
対象物であるガラス板としては、無機ガラス、有機ガラ
スも含む。無機ガラスとしては例えば、単純酸化物(S
iO2,B23など)、ケイ酸塩系、ホウ酸塩系、リン
酸塩系等の公知のものが挙げられる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面を参照して説
明する。 (第1実施例)本実施例に係る切断装置1は、図1から
理解できるように、ガラス板2に対して相対移動可能に
設けられた基部3と、傷創成手段4と、ガラス板2に冷
却媒体55を吹き付ける冷却媒体接触手段5とを備えて
いる。更に切断装置1は加熱手段6をも備えている。
【0013】即ち、切断装置1において、切断装置1の
走行方向である矢印X1方向において先頭側から、加熱
手段6、傷創成手段4、冷却媒体接触手段5が順に直列
状態に配置されている。換言すれば、傷創成手段4の前
方に加熱手段6が配置され、傷創成手段4の後方に冷却
媒体接触手段5が配置されている。傷創成手段4は、ツ
ール本体40と、ツール本体40に回転可能に設けられ
たそろばん玉形状をもつ横軸型の超硬ローラ41とを備
えている。超硬ローラ41は、相手材であるガラス板2
に対して加圧された状態で摩擦摺動することにより回転
する。超硬ローラ41の外周部には刃41aは、リング
状に形成されており、ガラス板2を削る機能は基本的に
は有せず、引っ掻き痕であるけがき痕を形成する機能を
もつものである。
【0014】冷却媒体接触手段5は、極低温の冷却媒体
55(一般的には液体窒素)をガラス板2に吹き付けて
接触させるものであり、冷却媒体吹き出し口50をも
つ。冷却媒体吹き出し口50は、冷却媒体吹き出し通路
51を経て冷却媒体供給源52に接続されている。加熱
手段6は、加熱した空気である熱風65(温度:例えば
100〜300℃)をガラス板2に吹き付けるものであ
り、ガラス板2の表面2aに対面可能な熱風吹き出し口
60を備えている。熱風吹き出し口60は、熱風吹き出
し通路61を経て熱風発生源62に接続されている。な
お冷却媒体吹き出し口50の軸芯および熱風吹き出し口
60の軸芯は、ガラス板2にほぼ垂直方向に沿ってい
る。
【0015】本実施例に係る切断対象物であるガラス板
2は、EC素子やEL素子などの表示素子にガラス基板
として使用される平坦な平ガラスであり、材質がソーダ
石灰ガラスであり、平均厚みが0.5〜1.1mm程
度、あるいは、1.8〜2.2mm程度である。切断の
際には、図1から理解できるように、ガラス繊維で強化
されたゴム材または金属材で形成された設置面70をも
つ分断機テーブル7を用いる。そして、分断機テーブル
7の水平な設置面70にガラス板2を水平状態に載せ、
ガラス板2を固定する。この状態では、ガラス板2の表
面2aが上面となり、ガラス板2の裏面2cが下面とな
る。
【0016】その状態で、図略の走行駆動機構により切
断装置1を矢印X1方向に沿ってガラス板2上を所定の
速度で走行させる。走行速度は適宜選択でき、例えば0
〜1000mm/秒にできるが、これに限定されるもの
ではない。本実施例では、傷創成処理であるけがき処理
に先だって、図1及び図2から理解できるように、けが
き痕2eを形成するガラス部分2wに局部的に、加熱手
段6が熱風吹き出し口60から熱風65を吹き付ける。
よって図2に示す加熱部分2moがガラス板2の表面2
a側に形成される。なお加熱部分2moの加熱温度は8
0〜200℃程度である。加熱部分2moは熱風65に
より局部的に強制加熱されているもののの、その周囲の
ガラス部分は強制加熱されていないため、加熱部分2m
oはその熱膨張により圧縮応力発生領域とされる。
【0017】図1から理解できるように、切断装置1が
矢印X1方向に走行すると、傷創成手段4の構成要素で
ある超硬材料で形成された超硬ローラ41の刃41aが
ガラス板2との摩擦により回転する。これにより図3か
ら理解できるように、加熱部分2moの表面2aに、浅
い垂直クラックである浅いけがき痕2eを形成する。け
がき痕2eの深さ方向は、ガラス板2に表面2aに対し
て実質的に垂直となっている。けがき痕2eは、ガラス
板2の破断要因となる浅傷として機能する。本実施例に
係るけがき痕2eの平面軌跡は、直線状でも良いし、曲
線状でも良い。けがき痕2eは切断装置1の走行軌跡に
そって長くのびている。本実施例では、けがき痕2eの
深さは浅いものであり、約200μm以下にでき、一般
的には10〜50μm程度である。但しこれに限定され
るものではない。
【0018】図1から理解できるように、ガラス板2の
表面2aにけがき痕2eが形成された直後に、冷却媒体
接触手段5が低温の冷却媒体55をけがき痕2eに局部
的に吹き付ける。この結果、けがき痕2eが強制的に急
冷される。図4において2m 1は強制的に冷却された冷
却部分を示す。上記したように冷却媒体55を吹き付け
れば、図4から理解できるように、冷却部分2m1は収
縮し、熱衝撃に起因して生じる大きな熱応力により、け
がき痕2eを起点として垂直クラック2kが裏面2cに
向けて発生して伸展する。そのため、ガラス板2の厚み
方向にのびる切断線が形成され、ガラス板2が切断され
る。本実施例では、吹き付けられる極低温の冷却媒体5
5としては、液状の形態でも良いし、液化部分と気化部
分とが共存している形態でも良い。また気体の形態でも
良い。
【0019】冷却媒体55が吹き付けられると、冷却媒
体55が吹き付けられた冷却部分2m1は、熱収縮によ
り引張応力発生領域となる。冷却部分2m1が強制冷却
されて熱収縮するものの、その周囲は強制冷却されてい
ないからである。張力が作用している引張応力発生領域
は、圧縮応力発生領域に比較して垂直クラック2kを伸
展させ易いと推察される。
【0020】以上の説明から理解できるように本実施例
によれば、機械的処理としては、ガラス板2に超硬ロー
ラ41によって浅いけがき痕2eを形成すればよく、あ
とは、けがき痕2eを起点とした熱衝撃に基づく垂直ク
ラック2kを伸展させてガラス板2を切断する。そのた
めガラス板2の切断面が良好である。故に、ガラス板2
の切断面を面取りしたり研磨したりする後処理を軽減ま
たは廃止するのに有利である。更に極低温の冷却媒体5
5(一般的には液体窒素)は冷却能力が大きいため、熱
衝撃を大きくでき、垂直クラック2kの伸展に有利であ
る。
【0021】ところでガラス板2をけがくときには、ガ
ラス板2の表面2a付近における水平クラック(表面2
aに沿った横向きのクラック)の発生を抑えることが好
ましい。水平クラックは、ガラス屑であるカレットの発
生の要因となったり、ガラス板2の切断面を粗くしたり
する要因となる。この点本実施例では、深さが浅いけが
き痕2eを形成するため、けがきの際に超硬ローラ41
にかける負荷荷重は小さいものである。故に、超硬ロー
ラ41によりガラス板2をけがくときに発生する水平ク
ラックを抑えるのに有利であり、従って、カレットの発
生の抑制、ガラス板2の切断面の良好化に有利である。
この意味においても、ガラス板2の切断面を面取りした
り研磨したりする後処理を軽減または廃止するのに有利
である。
【0022】しかも本実施例によれば前述のように、超
硬ローラ41に加える負荷荷重が小さくて済むため、超
硬ローラ41の刃41aの長寿命化にも貢献できる。更
に本実施例によれば、ガラス屑であるカレットが発生し
たとしても、ガラス板2に吹き付けられた冷却媒体55
(一般的には液体窒素)が速やかに気化して体積が増加
するため、発生したカレットを切断箇所から除去するの
にも有利である。
【0023】更に、ガラス板2に垂直クラック2kが生
成したとき、冷却媒体55の液状部分が毛細管現象など
により垂直クラック2kに進入することも期待できる。
従って、垂直クラック2kをガラス板2の裏面2cまで
伸展させるのに有利である。更にまた本実施例では、熱
風65によるガラス板2の加熱を局部的に行うととも
に、冷却媒体55によるガラス板2の冷却を局部的に行
うため、加熱面積および冷却面積が小さくて済み、省エ
ネルギ化に有利である。本実施例によれば、ガラス板2
の加熱、冷却は、ガラス板2の全体に行われるのではな
く、ガラス板2において局部的に行われるため、他の搭
載部品が既に取り付けられているガラス板2を切断する
場合であっても、他の搭載部品の熱損傷や冷却損傷の抑
制に有利である。
【0024】加えて本実施例では、いったん熱風で加熱
したけがき痕2eに冷却媒体55を吹き付けることにし
ているため、冷却の際の熱衝撃が一層大きくなる。故
に、けがき痕2eにおいて発生する熱応力も一層大きく
なる。これによりけがき痕2eを起点として垂直クラッ
ク2kを良好に伸展させ易くなり、ガラス板2の切断を
一層行い易くなる利点がある。
【0025】ところで、超硬ローラ41をガラス板2に
押しつけつつ摺動させるけがき操作の際に、ガラス屑で
あるカレットの発生を抑えるためには、水平クラックの
生成を抑制することが好ましい。このためには、引張応
力発生領域とされたガラス板2の部位にけがき痕2eを
形成するよりも、圧縮応力発生領域とされたガラス板2
の部位にけがき痕2eを形成する方が好ましい。この点
本実施例によれば、熱風65で局部的に加熱された加熱
部分2moは、熱膨張により圧縮応力発生領域となり易
い。故に、カレットの発生要因となる水平クラックの生
成を抑制するのに有利である。
【0026】更に加えて本実施例によれば、切断装置1
に、傷創成手段4、冷却媒体接触手段5、加熱手段6が
一体的に設けられているため、つまり、傷創成手段4の
前方に加熱手段6が配置され、傷創成手段4の後方に冷
却媒体接触手段5が配置されているため、切断装置1を
矢印X1方向に走行させる1回の操作で、加熱操作、け
がき操作、冷却操作を連続して行ない得、ガラス板2を
切断できる。故に切断工程の簡素化、生産性の向上、設
備費の低減に有利である。
【0027】第1実施例において本発明者は試験を行っ
た、この場合には、加熱手段6における加熱条件として
は、熱風65の温度が300℃、熱風65の圧力が4k
gf/cm2、熱風65の流量が5リットル/分とし
た。冷却媒体接触手段5における冷却条件としては、冷
却媒体55としては液体窒素を用い、冷却媒体55の圧
力が4kgf/cm2、熱風65の流量が5リットル/
分とした。
【0028】上記した試験条件によれば、ガラス屑であ
るカレットの発生原因となる水平クラックを発生させる
ことなく、垂直クラック2kのみを生成し得、ガラス板
2を良好に垂直に切断できた。 (第2実施例)第2実施例を図5に示す。この実施例
は、前記した実施例と基本的には同様の構成であり、同
様の作用効果を奏する。従って同一機能を奏する部分に
は同一の符号を付する。本実施例においても、ガラス板
2に対して相対移動可能に設けられた切断装置1には、
傷創成手段4の前方に加熱手段6が配置され、傷創成手
段4の後方に冷却媒体接触手段5が配置されている。
【0029】(第3実施例)第3実施例を図6(A)
(B)(C)に示す。この実施例は、前記した実施例と
基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を奏す
る。従って同一機能を奏する部分には同一の符号を付す
る。本実施例においても、ガラス板2に対して相対移動
可能に設けられた切断装置1には、傷創成手段4の前方
に加熱手段6が配置され、傷創成手段4の後方に冷却媒
体接触手段5が配置されている。
【0030】冷却媒体55としては、液体窒素に代え
て、低温に冷却された冷却純水を用いる。冷却純水は熱
容量が大きいため、冷却能力が高く、けがき痕2eを起
点とする垂直クラック2kの生成に有利である。第3実
施例において本発明者は試験を行った。この試験によれ
ば、加熱手段6における加熱条件としては、熱風65の
温度が300℃、熱風65の圧力が4kgf/cm2
熱風65の流量が5リットル/分とした。冷却媒体接触
手段5における冷却条件としては、冷却媒体55である
冷却純水の温度が0℃〜5℃(0℃以上5℃以下)、冷
却媒体55の圧力が4kgf/cm2、冷却媒体55の
流量が5リットル/分とした。上記した試験条件によれ
ば、ガラス屑であるカレットの発生原因となる水平クラ
ックを発生させることなく、垂直クラック2kを良好に
生成し得、ガラス板2を良好に切断できた。
【0031】(第4実施例)第4実施例を図7及び図8
に示す。この実施例は、前記した実施例と基本的には同
様の構成であり、同様の作用効果を奏する。従って同一
機能を奏する部分には同一の符号を付する。本実施例に
おいても、ガラス板2に対して相対移動可能に設けられ
た切断装置1においては、傷創成手段4の前方に加熱手
段6が配置され、傷創成手段4の後方に冷却媒体接触手
段5が配置されている。
【0032】傷創成手段4においては、超硬ローラ41
に代えて、ダイシングブレード48を使用している。ダ
イシングブレード48は偏平形状をなしており、切り刃
48aの先端の断面がV字の楔形状をなしている。ダイ
シングブレード48は、ガラス板2の表面2aを部分的
に削りとって浅溝2rを形成するものである。浅溝2r
を形成する際、ダイシングブレード48をガラス板2に
強圧せずとも研削できダイシングブレード48にかかる
負荷荷重は小さくて済み、そのため、水平クラックの発
生を抑えることができ、更に、ガラス板2にかかる応力
を低減するのに有利であり、ガラス板2を曲線上に切断
するのにも有利となり、しかも水平クラックにより発生
する不定形で0.1〜0.5mm程度の比較的大きなガ
ラス屑であるカレットの発生を少なくするのに有利とな
る。
【0033】切断の際には、図7から理解できるよう
に、分断機テーブル7の水平な設置面70にガラス板2
を水平状態に載せる。前述同様に、ガラス板2の表面2
aが上面となり、ガラス板2の裏面2cが下面となる。
その状態で、回転駆動源によりダイシングブレード48
を矢印A1方向に高速回転させつつ、図略の走行駆動機
構により切断装置1を矢印X1方向に走行させる。切断
装置1の走行速度は適宜選択でき、例えば0〜500m
m/秒程度にできるが、これに限定されるものではな
い。ダイシングブレード48の回転速度は適宜選択で
き、3000〜5000rpm程度にできるが、これに
限定されるものではない。ダイシングブレード48の回
転により、ガラス板2の表面2aに、深さが浅い浅溝2
rを形成する。本実施例においては浅溝2rの深さは5
0〜200μm程度にできる。但しこれに限定されるも
のではない。
【0034】本実施例においても、ガラス板2の表面2
aに浅溝2rが形成された直後に、冷却媒体接触手段5
が冷却媒体55を浅溝2rに局部的に吹き付ける。この
結果、浅溝2rが強制的に急冷される。よって、熱衝撃
に起因して大きな熱応力が発生し、熱応力が浅溝2rの
傷先端に集中し、前記した第1実施例の場合と同様に、
垂直クラック2kが浅溝2rを起点として垂直方向に生
じる。そのため、ガラス板2の厚み方向にのびる切断線
が形成され、ガラス板2が実質的に垂直に切断される。
【0035】本実施例においても、浅溝2rをガラス板
2に形成する直前に、図7から理解できるように、浅溝
2rとなるガラス部分2wに局部的に、加熱手段6から
熱風65が吹き付けられ、ガラス部分2wが加熱され
る。そのため、前述同様に、冷却媒体55が吹き付けら
れたときにおける熱衝撃が一層大きくなり、浅溝2rを
起点として垂直クラック2kが良好に伸展し、ガラス板
2の切断を一層行い易くなる利点がある。
【0036】浅溝2rを形成する際、研削機能をもつダ
イシングブレード48を用いた場合には、けがき痕2e
を形成する超硬ローラ41を用いた場合に比べて、前述
したようにダイシングブレード48にかかる負荷荷重は
小さくて済み、ガラス板2に作用する負荷荷重も小さく
なる。故に、複数個のダイシングブレード48を並設さ
せた方式を採用し、複数の切断線を同時に形成するマル
チ切断タイプにすることも容易である。
【0037】(第5実施例)第5実施例を図9に示す。
本実施例は、前記した各実施例と基本的には同様の構成
であり、同様の作用効果を奏する。従って同一機能を奏
する部分には同一の符号を付する。本実施例は、EL素
子等の多数個の素子81が搭載されている1枚のガラス
板2を切断する場合である。1枚のガラス板2に多数個
のカバー部材82が封入室83を形成するように保持さ
れている。各カバー部材82の封入室83には、有機E
L素子等の素子81がそれぞれ収容されている。
【0038】温度変化部位2mは、熱風で加熱されたり
冷却媒体で冷却されたりする部位である。温度変化部位
2mはガラス板2の全体に対して局部的であるため、素
子81に与える熱影響を抑制するのに有利である。しか
も加熱や冷却が局部的であるため、加熱や冷却に伴うエ
ネルギを節約するのに有利である。図9から理解できる
ように、切断装置1はガラス板2の表面2a側に配置さ
れており、素子81はガラス板2の裏面2c側に配置さ
れている。即ち、切断装置1は、ガラス板2を介して素
子81の反対側に配置されている。そのため、熱風や冷
却媒体を吹き付ける際に、素子81への熱影響を抑制す
るのに一層有利となる。
【0039】(第6実施例)第6実施例を図10に示
す。本実施例は図9に示す実施例と基本的に同様の構成
であり、同様の作用効果を奏する。本実施例は、互いに
対向する2枚のガラス板2(2A,2B)の間において
シール部材85により複数個の封入室83が区画されて
いる。各封入室83にEL素子等の素子81がそれぞれ
収容されている。本実施例においても、熱風で加熱され
たり、冷却媒体で冷却されたりする温度変化部位2m
は、ガラス板2の全体に対して局部的であるため、素子
81に与える熱影響を抑制するのに有利である。本実施
例では、負荷荷重を小さくできるダイシングブレード4
8を用いているため、複数個のダイシングブレード48
を並設するマルチ切断タイプとされている。
【0040】本実施例では、一枚のガラス板2Aを切断
した後に全体を反転させ、他方のガラス板2Bを同様に
切断する。他方のガラス板2Bにおける切断軌痕は、一
方のガラス板2Aの切断軌痕に対して、ガラス板2の面
方向において所定量ずらす。 (他の実施例)上記した各実施例において、加熱手段6
を切断装置1から外し、けがき痕2eや浅溝2rをガラ
ス板2に形成する傷創成操作、冷却媒体55による冷却
操作を実行するものの、けがき痕2eや浅溝2rを形成
するガラス部分2wを加熱する加熱操作を廃止すること
もできる。この場合には、熱衝撃で生じる熱応力があま
り大きくなくても、冷却媒体55の接触だけで、浅傷を
起点とする垂直クラックを伸展させ易いガラス板の場合
に適する。
【0041】上記した各実施例では、ガラス板2を固定
状態とし切断装置1を移動させているが、場合によって
は、切断装置1を固定状態としガラス板2を移動させる
ことにしても良い。
【0042】
【発明の効果】本発明方法によれば、切断装置によりガ
ラス板の表面に浅傷を形成する操作と、冷却媒体を浅傷
に吹き付ける操作とを行い、熱衝撃に基づく垂直クラッ
クを利用して、ガラス板を切断するという新規な方法を
提供できる。本発明方法によれば、機械的処理として
は、ガラス板に浅傷を形成すればよく、あとは、浅傷を
起点とした熱衝撃に基づく垂直クラックを伸展させてガ
ラス板を切断するため、ガラス板の切断面が良好であ
る。故に、ガラス板の切断面を面取りしたり研磨したり
する後処理を軽減または廃止するのに有利である。
【0043】更に本発明方法によれば、浅傷を起点とし
た熱衝撃に基づく垂直クラックを利用してガラス板を切
断するため、ガラス屑であるカレットの発生を抑制でき
る。本発明方法によれば、浅傷を形成する前に、ガラス
板のうち浅傷を形成するガラス部分を、加熱手段で加熱
することもできる。この場合には、冷却媒体を接触させ
たときの熱衝撃をより一層大きくでき、浅傷を起点とし
て垂直クラックを伸展させるのに有利となり、ガラス板
を一層良好に切断できる。
【0044】本発明装置によれば、ガラス板に浅傷を形
成する傷創成手段と、浅傷に冷却媒体を吹き付ける冷却
媒体接触手段とを併有しているため、上記した方法を実
施することができ、上記した方法で得られる効果を得る
ことができる。更に本発明装置によれば、切断装置の相
対移動方向において傷創成手段の前方に加熱手段を配置
し、傷創成手段の後方に冷却媒体接触手段を配置すれ
ば、切断装置を走行させる1回の工程で、加熱、浅傷の
創成、強制冷却を実行でき、生産性の向上を図り得る。
【0045】ちなみに従来では、けがき痕(深さ:10
0μm〜500μm程度)を形成するけがき工程(スク
ライブ工程)を実施し、次に、けがき痕を利用してガラ
ス板を分断する工程(ブレーク工程)を実施し、その後
に、切断面を面取りする工程を実施しており、すくなく
も3回の工程(ベベリング工程)を必要としていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の概念図である。
【図2】加熱手段でガラス板を加熱している状態を示す
概念図である。
【図3】傷創成手段によりガラス板にけがき痕を形成し
ている状態を示す概念図である。
【図4】冷却媒体によりけがき痕を冷却している状態を
示す概念図である。
【図5】第2実施例の概念図である。
【図6】第3実施例に係り、(A)は加熱手段でガラス
板を加熱している状態を示す概念図であり、(B)は傷
創成手段によりガラス板にけがき痕を形成している状態
を示す概念図であり、(C)は冷却媒体によりけがき痕
を冷却している状態を示す概念図である。
【図7】第4実施例の概念図である。
【図8】第4実施例の異なる方向からみた概念図であ
る。
【図9】第5実施例の概念図である。
【図10】第6実施例の概念図である。
【符号の説明】
図中、1は切断装置、2はガラス板、2eはけがき痕、
2rは浅溝、3は基部、4は傷創成手段、41は超硬ロ
ーラ、48はダイシングブレード、5は冷却媒体接触手
段、6は加熱手段を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切断装置によりガラス板を所望の形状に切
    断する方法において、前記切断装置により前記ガラス板
    の表面に浅傷を形成する操作と、冷却媒体を前記浅傷に
    接触させる操作とを行い、前記ガラス板を切断すること
    を特徴とするガラス板切断方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記浅傷を形成する前
    に、前記浅傷を形成するガラス部分を予め加熱すること
    を特徴とするガラス板切断方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記加熱及び前記冷却
    媒体の接触は共に、前記ガラス板において局部的に行う
    ことを特徴とするガラス板切断方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかにおいて、前記冷
    却媒体は、極低温冷却媒体および水の少なくとも一方で
    あることを特徴とするガラス板切断方法。
  5. 【請求項5】ガラス板を切断するガラス板切断装置であ
    って、 ガラス板に対して相対移動可能に設けられ、ガラス板に
    浅傷を形成する傷創成手段と、 ガラス板に対して相対移動可能に設けられ、浅傷に冷却
    媒体を接触させる冷却媒体接触手段とを具備しているこ
    とを特徴とするガラス板切断装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、浅傷を形成する前に、
    ガラス板のうち浅傷を形成するガラス部分を予め加熱す
    る加熱手段を併有していることを特徴とするガラス板切
    断装置。
  7. 【請求項7】請求項5または6において、前記傷創成手
    段は、超硬ローラまたはダイシングブレードであること
    を特徴とするガラス板切断装置。
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