JP2000062638A - 作業車 - Google Patents

作業車

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JP2000062638A
JP2000062638A JP10236165A JP23616598A JP2000062638A JP 2000062638 A JP2000062638 A JP 2000062638A JP 10236165 A JP10236165 A JP 10236165A JP 23616598 A JP23616598 A JP 23616598A JP 2000062638 A JP2000062638 A JP 2000062638A
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Isao Maeda
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Masabumi Tsujita
正文 辻田
Eiichi Tamura
栄一 田村
Koichi Hiroshige
好一 広重
Katsumi Fujiki
勝美 藤木
Takao Oniki
隆夫 鬼木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 左右走行装置の走行駆動速度を異ならせて、
機体を旋回走行せしめる作業車において、製造コストの
低減をはかる。 【解決手段】 エンジンに前後進クラッチと歯車式変速
機構よりなる直進動力伝達系を介して左右遊星歯車機構
を連動連結する一方、エンジンに連動連結し、かつ、ス
テアリングホイルの操作により出力回転速度を変更可能
とした静油圧式無段変速機と、同静油圧式無段変速機の
出力回転速度を、絶対値が等しい正逆二方向の回転速度
に分割して出力する正逆回転分割機構よりなる旋回動力
伝達系を介して左右遊星歯車機構に連動連結し、同左右
遊星歯車機構において直進動力伝達系と旋回動力伝達系
からの回転速度とをそれぞれ合成し、これらの合成回転
速度で左右走行装置を個別に駆動すべく構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、左右走行装置の走行駆動速度を異
ならせて、機体を旋回走行せしめるようにした作業車が
あり、走行速度変更のために、変速レバー等により変速
比を正逆無段階に変更できる静油圧式無段変速機を用
い、旋回走行のために、ステアリングホイル等により変
速比を正逆無段階に変更できる静油圧式無段変速機を用
い、これらの変速機の出力を左右遊星歯車機構で合成し
て、左右走行部を個別に駆動するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、高価な
静油圧式無段変速機を2個も用いているので製造コスト
が高額になるという問題がある。
【0004】また、高速走行時にステアリンホイル等を
大きく操作すると、機体が急旋回するという問題があ
る。
【0005】更に、後進時には、ステアリングホイル等
の操作方向と機体の旋回方向との関係が、前進時とは逆
の関係になってホイルタイプの作業車と異なるため、旋
回走行時の操作が難しかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、左
右走行装置の走行駆動速度を異ならせて、機体を旋回走
行せしめる作業車において、エンジンに前後進クラッチ
と歯車式変速機構よりなる直進動力伝達系を介して左右
遊星歯車機構を連動連結する一方、エンジンに連動連結
し、かつ、ステアリングホイルの操作により出力回転速
度を変更可能とした静油圧式無段変速機と、同静油圧式
無段変速機の出力回転速度を、絶対値が等しい正逆二方
向の回転速度に分割して出力する正逆回転分割機構より
なる旋回動力伝達系を介して左右遊星歯車機構に連動連
結し、同左右遊星歯車機構において直進動力伝達系と旋
回動力伝達系からの回転速度とをそれぞれ合成し、これ
らの合成回転速度で左右走行装置を個別に駆動すべく構
成したことを特徴とする作業車を提供せんとするもので
ある。
【0007】また、次のような特徴を併せ有するもので
ある。
【0008】左右走行装置の走行駆動速度のベクトルが
同一方向で、かつ、これらのベクトルの大きさが異なる
緩旋回と、一方のベクトルがゼロであるピボットターン
と、左右走行装置の走行駆動速度のベクトルの方向が異
なるスピンターンとを可能とした作業車であって、旋回
動力伝達系と直進動力伝達系の速比をスピンターンを行
わないように設定したこと。
【0009】上記静油圧式無段変速機の入力軸を、前後
進クラッチの出力側に連動連結したこと。
【0010】上記静油圧式無段変速機の入力軸を、前後
進クラッチを介さずにエンジンに連動連結すると共に、
旋回動力伝達系中に正逆転切換機構を設けて、同正逆転
切換機構により、前記前後進クラッチの切換作動と連動
して左右遊星歯車機構への回転方向を正逆反転するこ
と。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は次の通りで
ある。
【0012】エンジンに前後進クラッチの入力側を連動
連結し、同前後進クラッチの出力側を歯車式変速機構に
連動連結して直進動力伝達系を構成し、同直進動力伝達
系の出力側を左右遊星歯車機構の左右サンギヤに連動連
結する一方、エンジンに静油圧式無段変速機を連動連結
し、同静油圧式無段変速機に正逆回転分割機構を連動連
結して旋回動力伝達系を構成し、上記正逆回転分割機構
が出力する絶対値が等しい正逆二方向の回転速度の動力
を、それぞれ前記左右遊星歯車機構の左右リングギヤに
入力して、左右遊星歯車機構により直進動力伝達系と旋
回動力伝達系からの回転速度をそれぞれ合成すべく構成
して、ステアリングホイルの操作により静油圧式無段変
速機の出力回転速度を変更することにより、左右走行部
の走行駆動速度を相違させて旋回走行を行うようにして
いる。
【0013】また、上記合成回転速度の一方が、予め設
定した走行速度以上ではゼロクロスせず、かつ、上記設
定速度以下ではゼロクロスするように、静油圧式無段変
速機の最大・最小変速比を設定して、上記設定速度以上
ではピボットターンやスピンターンが不可能で、しか
も、設定速度以下ではピボットターンやスピンターンが
可能になるようにして、高速走行時の急旋回を防止して
安全性の確保すると共に、作業のための低速走行時には
ピボットターンやスピンターンを行って作業能率を高め
うるようにしている。
【0014】また、上記静油圧式無段変速機の入力軸
を、前後進クラッチの出力側に連動連結して、前後進ク
ラッチの切換に伴って静油圧式無段変速機の出力回転方
向が自動的に反転させることで、ステアリングホイルの
操作方向と旋回方向との関係が、機体の走行方向を前後
に切換えても変更しないようにしている。
【0015】また、他の実施形態として、上記静油圧式
無段変速機の入力軸を、前後進クラッチの入力側に連動
連結すると共に、旋回動力伝達系中に正逆転切換機構を
設けて、同正逆転切換機構により、前記前後進クラッチ
の切換作動と連動して左右遊星歯車機構への回転方向を
正逆反転することにより、ステアリングホイルの操作方
向と旋回方向との関係が、機体の走行方向を前後に切換
えても変更しないようにしている。
【0016】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明
する。
【0017】図1は、本発明に係る作業車Aを示してお
り、同トラクタAは、クローラ式の左右走行装置1a,1b
を装備した走行部2の上方に、運転部3及び原動機部4
等を搭載した車体フレーム5を載設し、同車体フレーム
5の後端部に農作業機としてのロータリ耕耘機6を連結
している。
【0018】走行部2は、図1〜図3で示すように、左
右一対の左右縦フレーム7a,7b を前後方向に伸延させて
配置し、同左右縦フレーム7a,7b の前後部を、下方開口
部を拡開した前後門型フレーム8a,8b により連結して走
行部フレーム9を構成しており、上記左右縦フレーム7
a,7b の前端にそれぞれテンショナ10を介して左右前遊
動輪11,12を軸支し、同左右縦フレーム7a,7b の後端に
それぞれ左右後遊動輪12a,12b を軸支し、同左右縦フレ
ーム7a,7b の下面にそれぞれ複数の転動輪13を軸支し、
更に、左右縦フレーム7a,7b の上方位置にそれぞれ左右
スプロケット14a,14b を軸支し、前後遊動輪11,12 と、
複数の転動輪13と、左右スプロケット14a,14b との外周
にそれぞれ左右クローラ15a,15b を巻回して左右走行装
置1a,1b を構成している。
【0019】特に、本実施例では、左右縦フレーム7a,7
b を連結するのに、前後門型フレーム8a,8b を用い、最
低地上高を大きくして圃場での走行性能を高めており、
更に、作業車Aの後方に作業機を連結するようにしてい
るので、上記前遊動輪11を最前方の転動輪13よりも高位
置に取付けて、左右クローラ15a,15b の前端部に約21
度の迎え角αを形成して、畦等の段差越えの際の走行性
能を高めている。
【0020】車体フレーム5は、図1〜図3で示すよう
に、前後門型フレーム8a,8b の上面に左右サイドメンバ
16a,16b を前後方向に伸延させて架設し、左右サイドメ
ンバ16a,16b の前後端部にそれぞれ前後支柱17a,17b を
立設する一方、丸パイプを屈折して、平面視において後
方開口略コ字状、側面視において全体的に前低後高に傾
斜した上部フレーム18を形成し、同上部フレーム18を上
記前後支柱17a,17b の上端に架設して、枠状の車体フレ
ーム5を形成している。
【0021】車体フレーム5の前端部には、ステアリン
グホイル21を立設しており、同ステアリングホイル21の
後方に所定間隔を設けて座席22を配置して運転部3を構
成し、座席22の後方にエンジン23を配置し、同エンジン
23の下方にトランスミッション24を配置して原動機部4
を構成しており、前記左右スプロケット14a,14b はトラ
ンスミッション24から左右側方に突出した左右駆動軸25
a,25b の外側端にそれぞれ嵌着されている。図中、26は
車体カバー、27はバッテリ、28は燃料タンク、29は変速
レバーである。
【0022】特に、運転者が着座して重量が大幅に増加
する座席22や、重量が大きいエンジン23及びトランスミ
ッション24を、接地面WBの内側上方、即ち、走行部2の
最前方の転動輪13と後遊動輪12との間の上方に配設し
て、作業車Aの前後重量バランスを良好にし、車体の前
後傾斜に対する安定性を高めている。
【0023】また、バッテリ27や燃料タンク28等の重量
物も、最前方の転動輪13と後遊動輪12との間の上方に配
設して、車体の前後傾斜に対する安定性を更に高めてい
る。
【0024】ロータリ耕耘機6は、車体フレーム5の後
部に設けた三点リンク機構30を介して連結されており、
車体フレーム5とトップリンク31との間に介設した昇降
用油圧シリンダ32によりロータリ耕耘機6を昇降させる
ようにしており、エンジン23からの動力を作業機駆動軸
33とベルト伝動機構34とを介してロータリ耕耘部35に、
エンジン23からの動力を伝達するようにしている。
【0025】図4は、運転部3とエンジン23との配設位
置は前記と同一であるが、トランスミッション24を座席
22の下方に配設した他の実施例を示しており、走行部2
のテンショナ10を左右縦フレーム7a,7b の後方に配設し
て後遊動輪12を軸支し、前遊動輪11をブラケット36を介
して軸支した点が前記実施例と異なっている。
【0026】この実施例でも、座席22、エンジン23、ト
ランスミッション24、バッテリ27及び燃料タンク28等の
重量物を、接地面WBの内側上方に配設して安定性を高め
ている。
【0027】図5〜図8は、トランスミッション24の第
1実施例を示しており、ミッションケース40の内部に第
1〜第9軸41〜49を平行に軸支し、第1軸41の中途部に
前進クラッチ50a の入力側を嵌着し、同第1軸41の端部
を第1噛合歯車51を介し、第2軸42の中途に遊嵌した後
進クラッチ50a,50b の入力側と、昇降用油圧ポンプ52と
に連動連結し、第2噛合歯車53を介して上記前進クラッ
チ50a の出力側と、後進クラッチ50b の出力側たる第2
軸42とを第3軸43に連動連結して、前後進クラッチ50a,
50b の動力伝達を排他的に選択可能に構成して駆動方向
の前後進切換を可能としている。
【0028】また、上記第3軸43は、操向用静油圧式無
段変速機(以下HSTという)54の入力軸55に連動連結
すると共に、第3噛合歯車56を介して主変速部57の入力
軸たる第4軸44に連動連結しており、同第4軸44に、両
端のドッグ58,58 と中央部の第2速原動歯車59とを一体
に形成したスライダ60を軸方向摺動自在・回動不可に嵌
合する一方、同第4軸44と主変速部57の出力軸たる第5
軸45との間に、常時噛合式の第1、第3速噛合歯車61,6
2 を介設し、第5軸45に摺動噛合式の第2速受動歯車63
を嵌着して、スライダ60の摺動により主変速部57の出力
回転速度を3段階に切換可能としている。
【0029】上記主変速部57には副変速部64が直列的に
連動連結しており、同副変速部64は、上記第5軸45と副
変速部64の出力軸たる第6軸46との間に高低速噛合歯車
65,66 を介設し、第6軸46に軸方向摺動自在・回動不可
に嵌合したスライダ67の摺動により、副変速部64の出力
回転速度を中立を挟んで高低速2段階に変速可能として
いる。
【0030】このように、前後進クラッチ50a,50b と、
3段変速の主変速部57と、2段変速の副変速部64とを直
列的に連動連結しているので、最終的には、前後進各6
段階の変速操作が可能である。
【0031】上記第6軸46は、チエン連動機構68を介し
て第7軸47に連動連結しており、同第7軸47の左右端部
にそれぞれ嵌着した左右サンギヤ69a,69b と、第7軸47
と軸線を同一にして配置した左右駆動軸25a,25b に連結
した左右ケージ70a,70b と、同左右ケージ70a,70b にそ
れぞれ軸着した複数の左右遊星ギヤ71a,71b と、前記H
ST54の出力軸72に連動連結した左右リングギヤ73a,73
b とで左右遊星歯車機構74a,74b を構成し、同左右遊星
歯車機構74a,74b にて、上述した歯車式変速機や噛合歯
車等で構成したメカニカルな直進動力伝達系Mにより左
右サンギヤ69a,69b に伝達された回転動力と、後述する
旋回動力伝達系HのHST54から左右リングギヤ73a,73
b に伝達された回転動力とをそれぞれ合成し、これらの
合成回転動力を左右遊星ギヤ71a,71b と左右ケージ70a,
70b とを介し、左右駆動軸25a,25b に嵌着した左右スプ
ロケット14a,14b に個別に伝達するようにしている。
【0032】上記HST54の出力軸72には、同出力軸72
の回転速度を、左右リングギヤ73a,73b に相補的に伝達
する正逆回転分割機構75を介設しており、同正逆回転分
割機構75は、HST54の出力軸72に減速歯車群76を介し
て第8軸48を連動連結し、同第8軸48を第1中間噛合歯
車77を介して第9軸49に連動連結し、第9軸49の左右端
部にそれぞれ左右出力ギヤ78a,78b を嵌着し、左出力ギ
ヤ78a と左リングギヤ73a とを、直列的に配置した2個
のアイドルギヤ79,79 を介して連動連結し、右出力ギヤ
78b と右リングギヤ73b とを、1個のアイドルギヤ79を
介して連動連結して、回転速度の絶対値は等しいが、左
リングギヤ73a には第9軸49と同一方向の回転を、右リ
ングギヤ73b には第9軸49とは反対方向の回転を伝達す
るようにしている。
【0033】そして、トランスミッション24の入力軸た
る第1軸41の一端を上記ミッションケース40の側面から
突出させ、同突出端とエンジン出力軸80とを前記ベルト
機構34を介して連動連結する一方、前記ステアリングホ
イル21をHST54の変速作動部104 (図11参照)に連
動連結して、同ステアリングホイル21の回動操作に応
じ、HST54の変速比を正逆無段階に変更するようにし
ている。図5中、81はロータリ軸、82は耕耘爪、83,84
はチエン伝動機構であり、図6中、85a,85b は前後進ク
ラッチ50a,50b のシフタ、86は主変速部57のシフタ、87
は副変速部64のシフタ、88は外部に動力を取出すための
噛合傘歯車である。
【0034】かかる構成により、エンジン23からの動力
を前後6段階に変速して走行部の左右走行装置1a,1b に
伝達すると共に、ステアリングホイル21の操作角度に応
じてHST54の出力回転速度を変更し、左右走行装置1
a,1b の駆動速度を異ならせて、駆動速度が遅くなった
方向に作業車Aを旋回させることができる。
【0035】特に、本実施例では、上記HST54の入力
軸55を前後進クラッチ50b の出力側に連動連結している
ので、ステアリングホイル21を操作しなくても、前後進
クラッチ50a,50b の切換と同時にHST54の出力回転方
向が切り換わり、ステアリングホイル21の操作方向と作
業車Aの旋回方向とが一定の関係を保持し、ホイルタイ
プの車両の操向操作と略同様の感覚で、旋回操作を行う
ことができる。
【0036】図9は、トランスミッション24の第2実施
例を示しており、この実施例では、HST54の入力軸55
を、前後進クラッチ50a,50b を介さずにエンジン23に連
動連結して、同入力軸55を常に一定方向に回転させ、そ
のかわり、第8軸48と第9軸49との間に正逆転切換機構
90を設け、同正逆転切換機構90と前後進クラッチ50a,50
b との切換作動を連動させて、左右リングギヤ73a,73b
に伝達する動力の回転方向を切換えることにより、ステ
アリングホイル21の操作方向と、作業車Aの旋回方向と
が一定の関係を保持するようにしている。
【0037】即ち、第1軸41とHST54の入力軸55とを
第1噛合ギヤ91を介して連動連結すると共に、第8軸48
の左右側部にそれぞれ左右原動ギヤ92a,92b を嵌着し、
左原動ギヤ92a と第9軸49に遊嵌した左受動ギヤ93a と
を、直列的に配置した2個のアイドルギヤ79,79 を介し
て連動連結し、右原動ギヤ92b と第9軸49に遊嵌した右
受動ギヤ93b とを、1個のアイドルギヤ79を介して連動
連結し、第9軸49に、左右端部にそれぞれドッグ58,58
を形成したスライダ94を、軸方向摺動自在・回動不可に
外嵌し、同スライダ94の摺動により左右サンギヤ69a,69
b に伝達する動力の回転方向を切換えるようにしてお
り、他は前記第1実施例と略同一構成である。
【0038】図10は、ステアリングホイル21の操作角
度、即ち、HST54の出力回転速度と、左右走行装置1
a,1b の駆動速度との関係を示しており、縦軸に左右走
行装置1a,1b の駆動速度、横軸にHST54の出力回転速
度をとっており、各実線は、下から一方のクローラ式走
行装置の第1速〜第6速時の駆動速度を示し、各破線
は、下から他方のクローラ式走行装置の第1速〜第6速
時の駆動速度を示し、下方のハッチング部分hは、遅く
なった方のクローラ式走行装置の駆動速度が、ゼロから
機体の走行速度の反対方向に遷移するまでの範囲を示
し、更に、下方の枠内の矢印の大きさは左右走行装置1
a,1b の駆動速度を示している。
【0039】そして、本実施例では、ステアリングホイ
ル21の操作角度と、HST54の変速比との関係に制限を
加えて、ステアリングホイル21を最大操作角度θ1 まで
回動させても、第3速〜第6速走行では、左走行装置1a
の走行駆動速度のベクトルの符号と、右走行装置1bの走
行駆動速度のベクトルの符号とが同一であって、ピボッ
トターンやスピンターンを行えず、通常の旋回のみ可能
であり、第2速走行では、遅くなった方のクローラ式走
行装置がゼロになって、ピボットタンーンは可能である
がスピンターンは行えず、第1速走行では、左走行装置
1aの走行駆動速度のベクトルの符号と、右走行装置1bの
走行駆動速度のベクトルの符号とを異ならせて、ピボッ
トタンーンやスピンターンが可能であり、ステアリング
ホイル21を最大操作角度θ1 の約1/2 の角度θ2 まで回
動させた場合は、第2速〜第6速走行では、左走行装置
1aの走行駆動速度のベクトルの符号と、右走行装置1bの
走行駆動速度のベクトルの符号とが同一であって、通常
の旋回のみ可能であり、第1速走行では、遅くなった方
のクローラ式走行装置がゼロになって、ピボットタンー
ンは可能であるが、スピンターンは行えないようにして
いる。
【0040】このように、第3速〜第6速での高速走行
時には、ステアリングホイル21を一杯に操作しても、急
旋回が防止されるので旋回走行時の安全性が確保され、
作業等のための第1又は第2速での低速走行時には、ピ
ボットターンやスピンターンを行って作業能率を向上す
ることができる。
【0041】図11は、油圧回路を示しており、前記昇
降用油圧ポンプ52の吐出側をHST54内部の油圧回路に
接続して、昇降用油圧ポンプ52をHST54のチャージポ
ンプに兼用させている。図中、100 は昇降制御用油圧
弁、101 はリリーフバルブ、102,103 はHST54内部の
油圧ポンプと油圧モータ、104 は変速作動部、105 はチ
エックバルブ、106 は絞り弁である。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得るこ
とができる。
【0043】請求項1記載の発明では、左右走行装置の
走行駆動速度を異ならせて、機体を旋回走行せしめる作
業車において、エンジンに前後進クラッチと歯車式変速
機構よりなる直進動力伝達系を介して左右遊星歯車機構
を連動連結する一方、エンジンに連動連結し、かつ、ス
テアリングホイルの操作により出力回転速度を変更可能
とした静油圧式無段変速機と、同静油圧式無段変速機の
出力回転速度を、絶対値が等しい正逆二方向の回転速度
に分割して出力する正逆回転分割機構よりなる旋回動力
伝達系を介して左右遊星歯車機構に連動連結し、同左右
遊星歯車機構において直進動力伝達系と旋回動力伝達系
からの回転速度とをそれぞれ合成し、これらの合成回転
速度で左右走行装置を個別に駆動すべく構成したことに
よって、高価な静油圧式無段変速機が1個ですみ、製造
コストの低減に貢献することができる。
【0044】請求項2記載の発明では、左右走行装置の
走行駆動速度のベクトルが同一方向で、かつ、これらの
ベクトルの大きさが異なる緩旋回と、一方のベクトルが
ゼロであるピボットターンと、左右走行装置の走行駆動
速度のベクトルの方向が異なるスピンターンとを可能と
した作業車であって、旋回動力伝達系と直進動力伝達系
の速比をスピンターンを行わないように設定したことに
よって、設定速度以上の高速走行時には、ピボットター
ンやスピンターン等の急旋回を防止して安全性を向上
し、設定速度以下の低速走行時には、ピボットターンや
スピンターン等の急旋回を行うことができ、作業能率を
向上することができる。
【0045】請求項3記載の発明では、上記静油圧式無
段変速機の入力軸を、前後進クラッチの出力側に連動連
結したことによって、機体の前後進に拘らずステアリン
グホイルの操作方向と機体の旋回方向とが一定の関係を
保持するので、ホイルタイプの作業車と同一感覚でステ
アリングホイルを操作することができ、旋回走行時の操
作を容易にすることができる。
【0046】請求項4記載の発明では、上記静油圧式無
段変速機の入力軸を、前後進クラッチを介さずにエンジ
ンに連動連結すると共に、旋回動力伝達系中に正逆転切
換機構を設けて、同正逆転切換機構により、前記前後進
クラッチの切換作動と連動して左右遊星歯車機構への回
転方向を正逆反転することによって、機体の前後進に拘
らずステアリングホイルの操作方向と機体の旋回方向と
が一定の関係を保持するので、ホイルタイプの作業車と
同一感覚でステアリングホイルを操作することができ、
旋回走行時の操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業車の側面図。
【図2】走行部の平面図。
【図3】走行部の正面図。
【図4】他実施例作業車の側面図。
【図5】動力伝達系統図(第1実施例)。
【図6】トランスミッションの断面側面図(第1実施
例)。
【図7】直進動力伝達系を示すトランスミッションの断
面平面図(第1実施例)。
【図8】旋回動力伝達系を示すトランスミッションの断
面平面図(第1実施例)。
【図9】動力伝達系統図(第2実施例)。
【図10】左右走行装置の駆動速度とHST出力回転速
度との関係を示すグラフ。
【図11】油圧回路図。
【符号の説明】
A 作業車 H 旋回動力伝達系 M 直進動力伝達系 1a,1b 左右走行装置 21 ステアリングホイル 23 エンジン 50a,50b 前後進クラッチ 54 静油圧式無段変速機 55 入力軸 74a,74b 左右遊星歯車機構 75 正逆回転分割機構
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月24日(1998.11.
24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】左右走行装置の走行駆動速度のベクトルが
同一方向で、かつ、これらのベクトルの大きさが異なる
緩旋回と、一方のベクトルがゼロであるピボットターン
と、左右走行装置の走行駆動速度のベクトルの方向が異
なるスピンターンとを可能とした作業車であって、旋回
動力伝達系と直進動力伝達系の速比を、設定速度以上の
高速走行時には、ステアリングホイルを最大限に回動操
作した時の左右走行装置に対する旋回動力伝達系の正・
負の旋回走行駆動速度の最大ベクトルよりも、直進動力
伝達系の走行駆動速度のベクトルを大きく設定して、ス
ピンターンを行わないようにしたこと。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】また、上記合成回転速度の一方が、予め設
定した走行速度以上ではゼロクロスせず、かつ、上記設
定速度以下ではゼロクロスするように、静油圧式無段変
速機の最大・最小変速比を設定して、上記設定速度以上
の高速走行時ではピボットターンやスピンターンが不可
能で、しかも、設定速度以下ではピボットターンやスピ
ンターンが可能になるようにして、高速走行時の急旋回
を防止して安全性の確保すると共に、作業のための低速
走行時にはピボットターンやスピンターンを行って作業
能率を高めうるようにしている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】このように、第3速〜第6速での高速走行
時には、ステアリングホイル21を最大限に回動操作した
時の左右走行装置1a,1b に対する旋回動力伝達系Hの正
・負の旋回走行駆動速度の最大ベクトルよりも、直進動
力伝達系Mの走行駆動速度のベクトルを大きく設定して
いるために、急旋回が防止されて、旋回走行時の安全性
が確保され、作業等のための第1又は第2速での低速走
行時には、ピボットターンやスピンターンを行って作業
能率を向上させることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】請求項2記載の発明では、左右走行装置の
走行駆動速度のベクトルが同一方向で、かつ、これらの
ベクトルの大きさが異なる緩旋回と、一方のベクトルが
ゼロであるピボットターンと、左右走行装置の走行駆動
速度のベクトルの方向が異なるスピンターンとを可能と
した作業車であって、旋回動力伝達系と直進動力伝達系
の速比を、設定速度以上の高速走行時には、ステアリン
グホイルを最大限に回動操作した時の左右走行装置に対
する旋回動力伝達系の正・負の旋回走行駆動速度の最大
ベクトルよりも、直進動力伝達系の走行駆動速度のベク
トルを大きく設定して、スピンターンを行わないように
したことによって、設定速度以上の高速走行時には、ピ
ボットターンやスピンターン等の急旋回を防止して安全
性を向上させ、設定速度以下の低速走行時には、ピボッ
トターンやスピンターン等の急旋回を行うことができ
て、作業能率を向上させることができる。
フロントページの続き (72)発明者 田村 栄一 岡山県岡山市江並428番地 セイレイ工業 株式会社内 (72)発明者 広重 好一 岡山県岡山市江並428番地 セイレイ工業 株式会社内 (72)発明者 藤木 勝美 岡山県岡山市江並428番地 セイレイ工業 株式会社内 (72)発明者 鬼木 隆夫 岡山県岡山市江並428番地 セイレイ工業 株式会社内 Fターム(参考) 3D039 AA02 AA03 AA04 AB11 AC03 AC04 AC21 AC24 AC32 AC40 AD06 AD54 3D052 AA05 AA11 AA12 AA16 BB11 DD01 EE01 FF01 HH01 HH02 JJ00 JJ02 JJ10 JJ21 JJ22 JJ31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右走行装置(1a)(1b)の走行駆動速度を
    異ならせて、機体を旋回走行せしめる作業車(A) におい
    て、 エンジン(23)に前後進クラッチ(50a)(50b)と歯車式変速
    機構よりなる直進動力伝達系(M) を介して左右遊星歯車
    機構(74a)(74b)を連動連結する一方、エンジン(23)に連
    動連結し、かつ、ステアリングホイル(21)の操作により
    出力回転速度を変更可能とした静油圧式無段変速機(54)
    と、同静油圧式無段変速機(54)の出力回転速度を、絶対
    値が等しい正逆二方向の回転速度に分割して出力する正
    逆回転分割機構(75)よりなる旋回動力伝達系(H) を介し
    て左右遊星歯車機構(74a)(74b)に連動連結し、同左右遊
    星歯車機構(74a)(74b)において直進動力伝達系(M) と旋
    回動力伝達系(H) からの回転速度とをそれぞれ合成し、
    これらの合成回転速度で左右走行装置(1a)(1b)を個別に
    駆動すべく構成したことを特徴とする作業車。
  2. 【請求項2】 左右走行装置(1a)(1b)の走行駆動速度の
    ベクトルが同一方向で、かつ、これらのベクトルの大き
    さが異なる緩旋回と、一方のベクトルがゼロであるピボ
    ットターンと、左右走行装置(1a)(1b)の走行駆動速度の
    ベクトルの方向が異なるスピンターンとを可能とした作
    業車(A) であって、旋回動力伝達系(H) と直進動力伝達
    系(M) の速比をスピンターンを行わないように設定した
    ことをを特徴とする請求項1記載の作業車。
  3. 【請求項3】 上記静油圧式無段変速機(54)の入力軸(5
    5)を、前後進クラッチ(50a)(50b)の出力側に連動連結し
    たことを特徴とする請求項1又は2記載の作業車。
  4. 【請求項4】 上記静油圧式無段変速機(54)の入力軸(5
    5)を、前後進クラッチ(50a)(50b)を介さずにエンジン(2
    3)に連動連結すると共に、旋回動力伝達系(H) 中に正逆
    転切換機構90を設けて、同正逆転切換機構90により、前
    記前後進クラッチ(50a)(50b)の切換作動と連動して左右
    遊星歯車機構(74a)(74b)への回転方向を正逆反転するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の作業車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103434389A (zh) * 2013-09-17 2013-12-11 上海中科深江电动车辆有限公司 具有直驶助力机构的履带车辆电传动装置

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