JP2000061392A

JP2000061392A - 鏡面塗装方法と鏡面塗装無機質板

Info

Publication number: JP2000061392A
Application number: JP10238850A
Authority: JP
Inventors: Motomasa Haruna; 基全春名; Kazuo Seto; 和夫瀬戸
Original assignee: Matsushita Electric Works Ltd
Current assignee: Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority date: 1998-08-25
Filing date: 1998-08-25
Publication date: 2000-02-29

Abstract

(57)【要約】【課題】ワキの発生のない鏡面塗膜を得る。【解決手段】印刷層（３）を熱転写した後にトップコ
ート（５）を塗装する鏡面塗装方法において、熱転写し
た印刷層（３）に対してトップコート塗料をあらかじめ
ロールコーターによって１〜５ｇ／ｍ²塗装（４）し、
次いでトップコート（５）塗料を塗装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この出願の発明は、鏡面塗装
方法と鏡面塗装無機質板に関するものである。さらに詳
しくは、この出願の発明は、内装材、キッチン壁、浴室
壁等に用いられる繊維強化セメント板や、外壁等に用い
られる窯業系サイディング板等の無機質板をはじめとす
る基材表面の鏡面塗装に有用な新しい方法と、この方法
により塗装した鏡面塗装無機質板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、内装材、キッチン壁、浴室壁
等に用いられる繊維強化セメント板や、外壁等に用いら
れる窯業系サイディング板等の無機質板には、下地処理
を施した後にエナメル塗装やクリアー塗装、カラークリ
アー塗装等が施されることが多く、また、意匠性を上げ
るために柄を施した転写シートを表面塗膜のベースコー
トなどの上に熱転写して模様付けを行っている場合もよ
く見られる。意匠性の向上の点においてこの印刷層の転
写は有効な手段である。ただ、熱転写された印刷層は塗
膜強度が弱いため、簡単にキズがついたり剥がれてしま
ったりするので、印刷層の上をさらに塗装することが欠
かせない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、印刷層
を熱転写した従来の化粧板においては、印刷層の上にト
ップコート塗装が行われているとしても、転写の条件に
よっては、印刷下層と印刷層との間に空気が溜まってし
まい、トップコート塗装して乾燥するとその空気が気泡
としてトップコート塗膜中に残ってしまうという、いわ
ゆる「ワキ現象」が生じ、望ましい光沢も得られず、実
際上満足できる塗装鏡面性が得られないことがあるとい
う問題があった。そしてこのようなことを回避するため
の転写条件が検討されてはいるが、いまだに技術手段と
しては確立されていないのが実情である。

【０００４】またコンロ周りに用いられるキッチン壁
は、近年、繊維強化セメント板を用いたものが多く使用
されているが、万が一、コンロの炎がキッチン壁にあた
った場合、従来の転写印刷層の上にトップコート塗装を
施したキッチン壁では表面の塗膜がすぐに燃えてしま
い、火災の原因になることが警告されていた。そこで、
この出願の発明は、以上のとおりの従来の問題点を解消
し、熱転写による印刷層を保護するためにトップコート
を施す場合に、焼付け乾燥後に塗膜のワキ現象が起きた
りせずに、鏡面性に優れる表面を得ることができ、さら
には耐燃焼性に優れた鏡面塗膜を得ることもできる、新
しい鏡面塗装方法と、この方法により得られた鏡面塗装
無機質板を提供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第１には、印刷層を熱転
写した後にトップコート塗装する鏡面塗装方法におい
て、熱転写した印刷層に対してトップコート塗料をあら
かじめロールコーターによって１〜５ｇ／ｍ²塗装し、
次いでトップコート塗料を塗装することを特徴とする鏡
面塗装方法を提供する。

【０００６】また、この出願の発明は、第２には、無機
質板表面の塗膜の上に印刷層を熱転写し、次いでトップ
コート塗装する前記鏡面塗装方法を、第３には、トップ
コート塗料は、塗膜がシリコーン成分を７０重量％以上
含むものとする前記の鏡面塗装方法を提供する。さらに
また、この出願の発明は、第４には、前記第２または第
３の方法により塗装されたことを特徴とする鏡面塗装無
機質板をも提供する。

【０００７】

【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。まず、図１は、この発明の方法を塗膜等の
断面図として例示したものである。たとえばこの図１に
例示したように、この発明の鏡面塗装方法においては、
基材（１）に対して、ベースコート（２）を介して、も
しくは直接に、印刷層（３）を熱転写し、次いでこの印
刷層（３）の上に、トップコート塗料をあらかじめロー
ルコーターによって１〜５ｇ／ｍ²塗装し、形成された
ロールコーター塗膜（４）の上に、トップコート塗料を
もって塗装してトップコート（５）を形成する。この
場合の基材（１）としては、代表的には内装材、キッチ
ン壁、浴室壁等に用いられる繊維強化セメント板や、外
壁に用いられる窯業系サイディング板等の無機質板があ
る。たとえばケイ酸カルシウム板、スレート板、スラグ
石膏板、パーライト板等の繊維強化セメント板や窯業系
サイディング板等の建築用構成材料である。その他、こ
の基材（１）には、樹脂材、木質材、他のセラミックス
や金属材等からなるものであってよい。ベースコート
（２）は、この基材（１）の種類やその表面の性質に応
じて選択されることになる。

【０００８】ベースコート（２）を施す場合、あるいは
施さない場合のいずれにおいても、基材（１）が無機質
板等の場合には、あらかじめシーラー塗装やサイディン
グ塗装を施すことが考慮される。建築用の建材などに柄
を施すためには、紙やＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレ
ート）フィルム上に、樹脂と顔料で柄を付けた転写シー
トが用いられている。この発明での転写の方法は、たと
えば下地処理された基材（１）の上、あるいは、基材
（１）にベースコート（２）などを塗装した塗膜上に転
写シートを載せて、０．１〜１０ｍ／ｍｉｎで基材
（１）を送りながら、５０〜２００℃に加熱した金属ロ
ールで押さえて柄付けを行う。転写した後の紙あるいは
ＰＥＴフィルムは引き剥がされて、柄を有する基材
（１）を得ることができる。この柄の層が印刷層（３）
である。転写シートの種類に関しては、特に限定される
ものはなく、市販されているものを使用することができ
る。

【０００９】均一な印刷層（３）を得るためには、基材
（１）の表面ができるだけ平滑であることが好ましい。
凹凸のはげしい基材であると、柄がすべて転写できなか
ったり、たとえ転写できたとしても、塗膜強度の低い印
刷層になる場合がある。平滑な基材を得るには、基材に
サイディング処理を施すことなどが考慮される。次に、
印刷層（３）を保護するためにトップコート塗料を塗装
する。しかし、転写後の印刷層（３）に直接トップコー
ト塗料を塗装すると、転写条件あるいは基材（１）の種
類によっては、トップコート塗料の乾燥時にワキ、すな
わち空気が気泡として塗膜中に残るという不都合が発生
したり、目的とする光沢の塗膜が得られない場合があ
る。そのために、この発明では、図１に例示したよう
に、転写後にトップコート（５）と同じ塗料を用いてロ
ールコーターで塗装してから、トップコート塗料を塗装
する方法によって問題を解決している。ワキを発生させ
ないポイントは、転写時に印刷層（３）の下にエアーを
残さないことであるが、転写条件を変えたり、塗料なし
でロールコーターに通しても完全にエアーを抜くことが
難しく、ワキの発生を抑えることはできないが、この発
明の方法では問題が解決されるのである。すなわち、こ
の発明の方法においては、トップコート塗料を用いてロ
ールコーターにより１〜５ｇ／ｍ²塗布する。図１に示
したロールコーター塗膜（４）を得る。

【００１０】トップコート塗料が、ロールコーターに押
されて微小隙間にまで入り込み空気を押し出すことによ
り優れた表面が得られるものと考えられる。ロールコー
ターによる塗布量が１ｇ／ｍ²よりも少ないと、ワキの
発生は押さえられず、５ｇ／ｍ²よりも多いとレベリン
グが悪くなる場合がある。またロール目が残る場合があ
る。ロール目がつくと、トップコート塗料を塗装しても
消えない。

【００１１】なお、１〜５ｇ／ｍ²の塗布量でも、ロー
ル目がつかない塗料粘度にコントロールしたり、ロール
圧を調製することが望ましい。ロールコーター塗装後は
焼付け乾燥してもよいし、焼付け乾燥しなくても、次の
トップコート（５）と不具合を起こさなければ、焼付け
乾燥を行わなくてもかまわない。次に、ロールコーター
塗装後、トップコート塗料をスプレーやフローコーター
を用いて塗装する。表面の平滑性が求められる場合に
は、フローコーターで塗装することが望ましい。焼付け
乾燥時間は、塗料種、塗布量によって異なるが、概ね２
〜２０分の範囲で処理される。

【００１２】ベースコート（２）、印刷層（３）、そし
てロールコーター塗膜（４）およびトップコート（５）
のための塗料については従来と同様のものをはじめ、印
刷層（３）を有する鏡面塗装用としての市販品等の各種
のものであってよい。膜厚についても同様である。たと
えばトップコート塗料の種類としてはアクリル系、フッ
素系、アクリルシリコーン系、シリコン系塗料などが挙
げられる。なかでもシリコーン系塗膜を形成するもの
で、しかもシリコーン成分を７０重量％以上含む塗膜と
するものが耐燃焼性の点で優れている。シリコーン成分
が７０重量％より少ないと、炎を上げて塗膜が燃え広が
る場合がある。

【００１３】このため、キッチン壁等の火元に近い場所
に用いられる建材では、この塗膜が７０重量％以上のシ
リコーン成分を含むものとなるトップコート塗料が好適
に用いられる。

【００１４】

【実施例】次に、実施例を挙げてこの発明をさらに説明
する。もちろん、この発明は以下の例に限定されること
はない。（実施例１）繊維強化セメント板として、日光化成
（株）製の「ケイ酸カルシウム板」（嵩密度１．３ｇ／
ｃｍ³）を使用し、下地調製のため下塗りとして、日本
ペイント（株）製「ニッペＥ−１００シーラー」を塗装
後、バッチ乾燥機にて１５０℃×１０分間焼付け乾燥
し、サンディングのため日本ペイント（株）製「ユービ
ーコート６０サンディングシーラー」塗装して１５０℃
×１０分間焼付け乾燥した。その後、＃２４０の研磨紙
を用いて、表面を平滑にした。次いでベースコートとし
て日本ペイント（株）製「ルリール３００転写用ホワイ
ト」を塗装し、１５０℃×１０分間焼付け乾燥した。

【００１５】得られたベースコートに対し、グラニット
柄転写シート（凸版印刷株式会社製）を用いて基材送り
速度２．５ｍ／ｍｉｎ、押さえロール温度１８０℃で転
写を行った。転写印刷層の上に、トップコート塗料とし
て松下電工化研（株）製「ＭＣ−Ｔ５５６」にダウケミ
カル社製「エトセルＳＴＤ−１００」を３％加えたも
のを用いて、塗布量３ｇ／ｍ²をロールコーターで塗装
した後、フローコーター塗装を行った。トップコートの
焼付けを２００℃×５分間行い、柄を有する化粧板を得
た。

【００１６】この化粧板について、塗装面のレベリン
グ、ワキの有無、光沢、燃焼性について次のとおり評価
した。・表面のレベリングとワキの有無を目視にて観察した。・光沢は日本電色製「Σ−８０」を用いて２０°鏡面で
測定した。・アルコールランプの炎の先を３０秒間あてて、塗膜の
燃えた状態を目視にて観察した。

【００１７】なお、トップコート成分のシリコン量を測
定するために、セイコー電子工業製の示差熱熱重量測定
装置「ＴＧ／ＤＴＡ２２０」を用いた。トップコート塗
膜を約０．２ｇけずりとり、常温〜１０００℃まで５℃
／ｍｉｎ昇温させて、その残存量から塗膜中のシリコン
成分（重量％）を算出した。その結果を表１および表２
に示した。

【００１８】レベリング、光沢ともに良好で、ワキの発
生も認められなかった。また、燃焼性についても、やや
焦げる程度で良好であった。（実施例２）基材を松下電工（株）製の「ケイ酸カルシ
ウム板」（嵩密度１．１ｇ／ｃｍ³）に、ロールコータ
ー塗布量を１ｇ／ｍ²にかえた以外は、実施例１と同じ
要領で化粧板を得た。得られた化粧板について実施例１
と同様に評価し、表１および表２に示したとおりの良好
な結果を得た。（実施例３）基材を日本テストパネル（株）製の「フレ
キシブル板」（嵩密度１．７ｇ／ｃｍ³）に、ロールコ
ーター塗布量を５ｇ／ｍ²にかえた以外は、実施例１と
同じ要領で化粧板を得た。得られた化粧板について実施
例１と同様に評価し、表１および表２に示したとおりの
良好な結果を得た。（実施例４）転写時の基材の送り速度を５ｍ／ｍｉｎ
に、押さえロール温度２００℃にかえた以外は、実施例
１と同じ要領で化粧板を得た。得られた化粧板について
実施例１と同様に評価し、表１および表２に示したとお
りの良好な結果を得た。（実施例５）繊維強化セメント板としては、日光化成
（株）製の「ケイ酸カルシウム板」（嵩密度１．３ｇ／
ｃｍ³）を使用し、下地調製のため下塗りとして、大日
本塗料（株）製「Ｖセラン＃３００シーラーＳＡ」を塗
装後、バッチ乾燥機にて１２０℃×１０分間焼付け乾燥
した後にベースコートとして大日本塗料（株）製「Ｖセ
ラン＃３８０エナメル」を塗装し、１２０℃×１０分間
焼付け乾燥した。

【００１９】グラニット柄転写シート（凸版印刷株式会
社製）を用いて基材送り速度２．５ｍ／ｍｉｎ、押さえ
ロール温度１８０℃で転写を行い、トップコート塗料と
して松下電工化研（株）製「ＭＣ−Ｔ５５６」にダウケ
ミカル社製「エトセルＳＴＤ−１００」を３％加えたも
のを用いて、塗布量３ｇ／ｍ²をロール塗装した後、フ
ローコーター塗装を行った。トップコートの焼付けを２
００℃×５分間行い、柄を有する化粧板を得た。得られ
た化粧板について実施例１と同様に評価し、表１および
表２に示したとおりの良好な結果を得た。（比較例１）ロールコーターでの塗装を行わなかったこ
と以外は、実施例１と同じ要領で化粧板を得た。得られ
た化粧板について実施例１と同様に評価したところ、表
３および表４に示したとおり、ワキが発生し、光沢も好
ましいものではなかった。（比較例２）ロールコーターでの塗布量を０．５ｇ／ｍ
²にかえた以外は、実施例１と同じ要領で化粧板を得
た。得られた化粧板について実施例１と同様に評価した
ところ、表３および表４に示したとおり、ワキが発生
し、光沢も好ましいものではなかった。（比較例３）ロールコーターでの塗布量を６ｇ／ｍ²に
かえた以外は、実施例１と同じ要領で化粧板を得た。得
られた化粧板について実施例１と同様に評価したとこ
ろ、表３および表４に示したとおり、ワキの発生は抑え
られたもののレベリングが不良で、ロール目が残ってし
まった。（比較例４）トップコート塗料としてトウペ（株）製
「ポーセリン＃２００」にかえた以外は、実施例５と同
じ要領で化粧板を得た。得られた化粧板について実施例
１と同様に評価したところ、トップコート中のシリコン
含有率が６５％のこの化粧板では、炎を上げて燃えて一
部剥離することが確認された。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】

【表３】

【００２３】

【表４】

【００２４】

【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明により、熱転写による印刷層を保護するためにトッ
プコートを施す場合に、焼付け乾燥後に塗膜のワキが起
きたりせずに、鏡面性に優れる表面を得ることができ
る。また、塗膜中のシリコーン成分が７０％以上のトッ
プコートの場合には表面塗膜の耐燃焼性も良好となる。

【００２５】そして、この発明の塗装方法によって、優
れた鏡面塗装を有し、耐燃焼性も良好な繊維強化セメン
ト板、窯業系サイディング板等の建材無機質板を得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の方法による塗膜を例示した断面図で
ある。

【符号の説明】

１基材２ベースコート３印刷層４ロールコーター塗膜５トップコート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 2E162 CA01 CA02 CA17 CA21 CA26 EA11 4D075 AC21 AC43 AE03 CB05 DA06 DB12 DC38 EA05 EA43 EB42 EB56

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】印刷層を熱転写した後にトップコート塗
装する鏡面塗装方法において、熱転写した印刷層に対し
てトップコート塗料をあらかじめロールコーターによっ
て１〜５ｇ／ｍ²塗装し、次いでトップコート塗料を塗
装することを特徴とする鏡面塗装方法。
【請求項２】無機質板表面の塗膜の上に印刷層を熱転
写し、次いでトップコート塗装する請求項１の鏡面塗装
方法。
【請求項３】トップコート塗料は、塗膜がシリコーン
成分を７０重量％以上含むものとする請求項１または２
の鏡面塗装方法。
【請求項４】請求項２または３の方法により塗装され
たことを特徴とする鏡面塗装無機質板。