JP2000059266A - スペクトル拡散信号復調回路 - Google Patents

スペクトル拡散信号復調回路

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JP2000059266A
JP2000059266A JP22715498A JP22715498A JP2000059266A JP 2000059266 A JP2000059266 A JP 2000059266A JP 22715498 A JP22715498 A JP 22715498A JP 22715498 A JP22715498 A JP 22715498A JP 2000059266 A JP2000059266 A JP 2000059266A
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Sei Kobayashi
聖 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はスペクトル拡散信号復調回路におい
て低S/Nでかつ搬送波周波数誤差が存在する状況下で
拡散符号同期及び搬送波同期の所要時間を短縮するとと
もに搬送波同期をより安定化することを目的とする。 【解決手段】 受信信号を周波数変換する変換手段2と
その出力を逆拡散する逆拡散手段3,4とその出力を積
分する第1巡回積分手段5,6とその出力の包絡線を検
出する包絡線検出手段7とその出力を積分する第2巡回
積分手段8とその出力の最大値位置を検出する位置検出
手段9と逆拡散手段3,4の出力を位置検出手段9の検
出位置でサンプリングする第1サンプリング手段10,
11とその出力から搬送波を再生する搬送波再生手段1
4と第1巡回積分手段5,6の出力を位置検出手段9の
検出位置でサンプリングする第2サンプリング手段1
2,13と第1巡回積分手段5,6の出力信号を所定タ
イミングで記憶する記憶手段17,18とその出力と第
2サンプリング手段12,13の出力とに基づき搬送波
周波数を制御する手段19とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スペクトル拡散通
信で用いられるスペクトル拡散信号復調回路に関し、特
に受信信号の初期同期を確立するための同期制御の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】スペクトル拡散通信では、高速のビット
レートで変化する時系列の拡散符号により情報信号の周
波数帯域を拡散して情報を伝送する。この通信方式は、
秘匿性が高く、干渉を与え難く、しかも干渉を受け難い
等の特徴を有する。スペクトル拡散されて送信された信
号を受信する受信装置に設けられるスペクトル拡散信号
復調回路においては、受信信号のスペクトルの逆拡散を
行ってから送信された情報信号を復調する。
【0003】スペクトルの逆拡散を行うために、スペク
トル拡散に用いた送信側の符号と同期して変化する符号
を受信側で生成する。逆拡散回路においては、受信信号
と受信側で生成した符号との相関値を検出してスペクト
ルの逆拡散を行う。従って、情報信号の復調のためには
送信側の符号と受信側の符号との同期確立が不可欠であ
る。
【0004】逆拡散回路にマッチトフィルタ等の受動相
関器を用いるスペクトル拡散信号復調回路は、高速な同
期確立を実現することが知られている(例えば、文献
「整合ろ波器により直接データ復調を行う衛星通信用ス
ペクトル拡散通信装置」浜本、他:電子通信学会論文誌
B、Vol.J69-B,No.11,pp.1540-1547)。なお、マッチトフ
ィルタの従来例として、例えば特開平10−17833
4号公報が知られている。
【0005】初期同期を確立するための所定シンボル区
間において、送信側から既知信号をスペクトル拡散した
初期同期確立用信号を送信することにより、スペクトル
拡散信号復調回路の初期同期確立を高速化できる。この
初期同期確立用信号には、無変調信号を用いる方式と、
予め定めた変調パターンで変調した信号を用いる方式と
がある。
【0006】図7は、スペクトル逆拡散のための受動相
関器としてマッチトフィルタを用いる従来のスペクトル
拡散信号復調回路の構成例(従来1)である。このスペ
クトル拡散信号復調回路は、初期同期確立用信号が、無
変調信号である場合と、変調信号である場合との何れに
も適用できる。図7に示す従来のスペクトル拡散信号復
調回路について以下に説明する。
【0007】直交検波器1に入力される受信信号に含ま
れる初期同期確立用信号は、無変調信号か変調信号かの
何れかである。この受信信号は、直交検波器1におい
て、同相成分及び直交成分からなる複素ベースバンド信
号に変換される。複素ベースバンド信号の同相成分及び
直交成分は、複素乗算器2の一方の入力に印加される。
複素乗算器2の他方の入力には、搬送波再生器14から
出力される再生搬送波の同相成分及び直交成分が印加さ
れる。再生搬送波に同期した複素ベースバンド信号がマ
ッチトフィルタ3,4に入力される。
【0008】マッチトフィルタ3,4は、拡散符号の時
間波形をインパルス応答とする線形フィルタであり、そ
の出力には、受信信号と拡散符号との相関値が刻々と得
られる。マッチトフィルタ3,4の出力信号は、包絡線
検出器7とサンプラ10,11とに印加される。包絡線
検出器7は、マッチトフィルタ3,4双方の出力信号の
2乗和を取って包絡線を検出し、巡回積分器8に出力す
る。
【0009】巡回積分器8は、例えば図8に示すよう
に、加算器25と遅延回路26と乗算器27とで構成さ
れる。加算器25は、一方の入力が包絡線検出器7の出
力であり、他方の入力が遅延回路26の出力であり、出
力が乗算器27を介して遅延回路26の入力となるとと
もに、ピーク位置検出回路9に送られる。サンプラ1
0、11は、ピーク位置検出回路9が検出したピーク位
置のタイミングでマッチトフィルタ3,4の出力をサン
プリングする。サンプラ10、11の出力信号は、復調
出力となるとともに、搬送波再生器14に出力される。
搬送波再生器14は、サンプラ10、11の出力信号か
ら搬送波再生を行い、再生した搬送波を複素乗算器2の
他方の入力に印加する。
【0010】制御回路20は、巡回積分器7とピーク位
置検出回路9と搬送波再生器14とを制御し、所定の初
期同期確立区間において拡散符号及び搬送波の同期確立
を実行し、その後、同期維持のための追従動作を行う。
次に、図9を参照して同期確立の動作を説明する。図9
に示すように、従来の初期同期確立区間は、拡散符号の
同期を確立する期間と、搬送波同期を確立する期間とで
構成される。図9では初期同期確立区間として受信信号
の先頭60シンボル区間を割り当て、その中の50シン
ボル区間を拡散符号同期確立に割り当て、残りの10シ
ンボル区間を搬送波同期確立に割り当てる場合を想定し
ている。
【0011】図9において、まず、50シンボルの拡散
符号同期確立区間における動作を説明する。制御回路2
0は、50シンボルの拡散符号同期確立区間の先頭位置
で、遅延回路26をリセットして巡回積分器8を初期化
する。なお、巡回積分器8の乗算器27の乗算定数Aに
は1を与える。
【0012】また、50シンボルの拡散符号同期確立区
間では、受信信号の搬送波は不明であるため、搬送波再
生器14は、制御回路20の指示に従い周波数及び位相
を固定した搬送波信号を複素乗算器2の他方の入力に出
力する。この固定した搬送波は、できる限り送信側搬送
波の周波数及び位相と一致するように定められるが、発
振器の精度に依存するので正確に一致させることは困難
である。したがって、この拡散符号同期確立区間では、
搬送波再生器14が出力する再生搬送波と送信側搬送波
との周波数誤差及び位相誤差が存在する場合が多い。こ
のため複素乗算器2の出力振幅は、同相及び直交のいず
れかの成分に偏ったり、あるいは同相成分及び直交成分
に変動が生じる。
【0013】マッチトフィルタ3,4は、それ自体が持
つ受信側の拡散符号と、受信信号(複素乗算器2の出力
信号)とが同期した場合にピークを持つ信号を出力す
る。この拡散符号同期確立区間では、マッチトフィルタ
3,4の出力振幅のピーク位置を検出し、拡散符号同期
を確立する。しかし、複素乗算器2の出力振幅と同様
に、マッチトフィルタ3,4の出力振幅も、同相及び直
交のいずれかの成分に偏ったり、あるいは変動する。こ
の偏りや変動の速度は、受信信号が無変調信号である場
合には、それ程大きくはないが、受信信号が変調信号で
ある場合には、シンボル毎に高速に変化するため、巡回
積分器8による平滑化が困難になる。
【0014】そこで、これらの影響を低減するするた
め、包絡線検出器7により信号の包絡線波形を検出す
る。包絡線波形は、周波数誤差及び位相誤差に無関係な
一定の波形になるので、この波形を巡回積分器8に与え
て雑音成分を除去した後にピーク位置検出回路9にてピ
ーク位置を検出する。巡回積分器8においては、図8に
示すように、加算器25で入力波形(包絡線波形)と遅
延回路26の出力波形を加算し、加算した波形を乗算定
数Aを1とした乗算器27を介して遅延回路26に与
え、再び入力側(加算器25)へ帰還する。このため、
加算器25の入力側に遅延回路26の遅延時間と等しい
周期で繰り返し現れる波形は、次第に大きく積算されて
いき、それ以外の波形は、平滑化される。
【0015】マッチトフィルタ3,4の出力振幅のピー
ク位置は、変調シンボル周期で繰り返すので、巡回積分
器8の遅延時間と変調シンボル周期とを等しくすること
により、マッチトフィルタ3,4の出力振幅の包絡線波
形から雑音成分を除去することができる。図8のよう
に、巡回積分器8は制御回路20の制御下に50回連続
して積算を行う。
【0016】ピーク位置検出回路9は、制御回路20の
指示の下に、50回積算後の巡回積分器8の出力信号の
ピーク位置を検出し、検出信号をサンプラ10,11に
出力する。サンプラ10,11は、検出されたピーク位
置でマッチトフィルタ3,4の出力信号をサンプリング
する。これにより、サンプラ10、11の出力には、マ
ッチトフィルタ3,4の出力(逆拡散出力)のピーク値
が得られる。
【0017】制御回路20は、拡散符号同期確立区間の
終了に伴い搬送波再生器14に対しサンプラ10,11
の出力信号から搬送波を再生する指示を出す。これによ
り、搬送波再生器14は、サンプラ10,11の出力信
号に含まれる搬送波周波数誤差及び位相誤差を打ち消す
ように出力搬送波の制御を開始する。この搬送波周波数
誤差及び位相誤差を打ち消すまでに要する区間が搬送波
同期確立区間であり、図9では10シンボル区間が割り
当てられている。その後は、サンプラ10,11の出力
信号を用いて、同期確立した拡散符号及び搬送波の同期
を維持するための追従動作が行われる。
【0018】図10は、受動相関器としてマッチトフィ
ルタを用いる従来のスペクトル拡散信号復調回路の構成
例(従来2)を示している。このスペクトル拡散信号復
調回路は、初期同期確立用信号が無変調信号である場合
に適用される。
【0019】図10のスペクトル拡散信号復調回路にお
いては、マッチトフィルタ3,4と包絡線検出器7との
間に、巡回積分器5,6を設けてあるが、図6の巡回積
分器8は備わっていない。すなわち、包絡線検出器7の
出力を直接ピーク位置検出回路9に接続してある。拡散
符号同期確立の区間では、複素乗算器2の出力振幅には
偏りや変動があるが、少なくとも変動の速度は、受信信
号が無変調信号であるので、周波数誤差の程度にもよる
が、それ程大きくはならず、マッチトフィルタ3,4
は、周期的に同様のピークを持つ信号を出力する。
【0020】巡回積分器5,6は、マッチトフィルタ
3,4のピークを持つ出力信号のそれぞれについて巡回
積分を行い、つまり、雑音成分を除去し、包絡線検出器
7に出力する。ピーク位置検出回路9は、包絡線検出器
7が検出した包絡線波形からピーク位置を検出し、サン
プラ10,11に出力する。したがって、図10に示し
た回路も図9のような動作を行うことができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、無線通信に
おける受信信号は、希望信号とこれに無相関な熱雑音と
が重畳した信号である。このような重畳信号を巡回積分
により平滑化すると、積算回数が2倍になる毎にS/N
(信号対雑音比)は3dB改善されることが知られてい
る。
【0022】しかし、図7に示す回路では、包絡線波形
を検出する際に非線形演算(2乗演算)を行うため、包
絡線検出器7の出力では雑音成分と希望信号とが無相関
ではなくなる。雑音成分と希望信号との間に相関が生じ
ると、積算回数あたりのS/N改善量が低下するので、
十分なS/N改善量を確保するためには、巡回積分器8
の積算回数を多くする必要がある。
【0023】したがって、比較的S/Nの良好な通信回
線においては大きな支障はないが、衛星通信回線のよう
な低S/N条件では極めて長い積算時間を要し、拡散符
号の高速同期確立が困難になる。また、図7に示す回路
では、高速同期のために積算回数を少なくすると、マッ
チトフィルタの出力振幅のピーク位置と雑音との判別が
困難になり、誤同期の確率が大きくなる。
【0024】図10に示す回路は、受信信号が無変調信
号でしかも周波数誤差が少ない場合に限られるが、包絡
線検出の前に同相側及び直交側それぞれで巡回積分を行
い、巡回積分後の信号の包絡線波形からピーク位置を検
出するので、理想的なS/N改善効果が得られ、マッチ
トフィルタの出力振幅のピーク位置と雑音との判別が容
易である。
【0025】しかし、図10の回路では、搬送波周波数
誤差の存在によって積算時間内において同相及び直交の
それぞれの成分の振幅が正弦波状に変動するため、巡回
積分によって積算後のピーク振幅が減衰する。ピーク振
幅は、搬送波周波数誤差と積算時間との積が小さければ
あまり影響を受けず減衰は少ないが、これが大きくなる
につれて減衰量も大きくなる。
【0026】搬送波周波数誤差は、送信側及び受信側の
発振器の精度に依存するので、拡散符号同期確立期間に
おいて、搬送波周波数誤差を0にするのは実際上困難で
ある。したがって、図10に示す構成では、ある搬送波
周波数誤差の存在の下で、S/N改善効果を高めるため
に積算時間を長くすると、ピーク振幅の減衰によって誤
同期の確率が大きく劣化する。
【0027】また、図7及び図10に示す従来の構成で
は、拡散符号同期が確立するまでは逆拡散信号のピーク
値が得られないため、その間、搬送波同期を行うことが
不可能である。そのため、初期同期確立区間として、拡
散符号同期確立区間と搬送波同期確立区間がそれぞれ必
要であり、初期同期に要する時間が一層長くなる。本発
明は、スペクトル拡散信号復調回路において、低S/N
で、かつ搬送波周波数誤差が存在する状況下で拡散符号
同期及び搬送波同期の所要時間を短縮するとともに、搬
送波同期をより安定化することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】請求項1のスペクトル拡
散信号復調回路は、送信側の拡散符号によってスペクト
ル拡散された受信信号を入力して参照搬送波信号に基づ
き周波数変換する変換手段と、前記変換手段が出力する
信号を入力し、この信号と受信側の符号との相関性に基
づいて前記信号のスペクトルを逆拡散する逆拡散手段
と、初期同期を確立するための所定シンボル区間におい
て前記逆拡散手段が出力する信号を巡回積分する第1巡
回積分手段と、前記第1巡回積分手段の出力信号の包絡
線を検出する包絡線検出手段と、前記包絡線検出手段の
出力信号を巡回積分する第2巡回積分手段と、前記第2
巡回積分手段の出力信号の最大値または所定値を示す位
置を検出する位置検出手段と、前記逆拡散手段の出力信
号を前記位置検出手段が検出した位置でサンプリング
し、復調信号を出力する第1サンプリング手段と、前記
第1サンプリング手段の出力信号から搬送波を再生し、
前記参照搬送波信号を出力する搬送波再生手段と、前記
第1巡回積分手段の出力信号を前記位置検出手段が検出
した位置でサンプリングし、前記搬送波再生手段に出力
する第2サンプリング手段と、前記第1巡回積分手段が
出力する信号を所定のタイミングで記憶する記憶手段
と、前記記憶手段から読み出された信号および前記第2
サンプリング手段の出力信号に基づいて搬送波の周波数
誤差を検出し、この周波数誤差を打ち消すように信号の
周波数を制御する自動周波数制御手段とを設けたことを
特徴とする。
【0029】初期同期確立区間では、送信搬送波は不明
であるので、搬送波再生手段の出力する参照搬送波信号
としては周波数及び位相が予め固定された信号が用いら
れる。したがって、初期同期確立区間では搬送波周波数
誤差が存在し、逆拡散手段の出力には周波数誤差の程度
に応じてピーク値振幅が徐々に変動するような信号が現
れる。
【0030】しかし、周波数誤差は送信側と受信側の発
振器の精度に依存する量として予め想定できるので、周
波数誤差を比較的小さくすることは可能である。周波数
誤差が比較的小さい場合には、第1巡回積分手段の出力
における信号のピーク値振幅の減衰も抑制される。従っ
て、第1巡回積分手段の巡回積分により、熱雑音の成分
を低減した信号に基づいて、包絡線検出手段で包絡線を
検出できる。すなわち、第1巡回積分手段の巡回積分に
より、包絡線の検出に関してS/N改善効果が得られ
る。
【0031】第2巡回積分手段は、包絡線検出手段の後
方に設けられているため、搬送波周波数誤差には影響さ
れずに巡回積分ができる。また、第2巡回積分手段は、
積算回数当たりのS/N改善量が小さいが、それに入力
される信号はすでに第1巡回積分手段によってS/Nが
改善されているので、第2巡回積分手段から出力される
信号には十分なS/N改善効果が現れる。すなわち、振
幅のピーク位置と雑音との判別が容易である。
【0032】ところで、搬送波周波数誤差は、例えば異
なる二時刻における搬送波位相の変化から検出できる。
前記記憶手段には、第1巡回積分手段が出力する信号が
所定のタイミングで記憶される。自動周波数制御手段
は、前記記憶手段から読み出された信号および前記第2
サンプリング手段の出力信号に基づいて、異なる二時刻
における搬送波位相の変化を検出できるので、これらの
信号に基づいて搬送波の周波数誤差を検出し、この周波
数誤差を打ち消すように前記参照搬送波信号の周波数を
制御する。
【0033】また、第1巡回積分手段が出力する信号を
前記記憶手段及び第2サンプリング手段で取り込んだ信
号に基づいて搬送波の周波数誤差を検出するので、拡散
符号同期が確立するまでに搬送波の周波数誤差も検出で
き、拡散符号同期の確立後直ちに周波数誤差の補正され
た参照搬送波信号が得られる。従って、一層安定した搬
送波同期の確立が実現する。
【0034】なお、前記記憶手段には互いに異なるタイ
ミングで現れる複数の信号を記憶しても良い。すなわ
ち、複数のタイミングで記憶された信号に基づいて検出
される複数の周波数誤差を平均化して利用しても良い。
請求項2は、請求項1記載のスペクトル拡散信号復調回
路において、前記第1巡回積分手段が初期同期を確立す
るためのL(Lは整数)シンボル区間内で、L未満のM
(Mは整数)シンボル毎に積分動作を繰り返し行い、前
記第2巡回積分手段がLシンボル区間内で、積分動作を
Mシンボル周期で間欠的に行うことを特徴とする。
【0035】請求項2においては、第1巡回積分手段が
初期同期のためのLシンボル区間内で、L未満のMシン
ボル毎に積分動作を繰り返し行うので、第1巡回積分手
段の積算時間(平滑化の周期)はLシンボル区間の長さ
に比べて短くなる。信号の巡回積分による積算後のピー
ク振幅の減衰量は搬送波周波数誤差と積算時間との積に
比例するので、第1巡回積分手段の積算時間を短くする
ことにより、前記包絡線検出手段に入力される信号のピ
ーク振幅の減衰を抑制しつつ、S/N改善効果を得るこ
とができる。信号のピーク振幅の減衰を抑制することに
より、前記位置検出手段における位置検出が容易にな
る。
【0036】また、前記第2巡回積分手段がLシンボル
区間内で積分動作をMシンボル周期で間欠的に行うの
で、第1巡回積分手段が繰り返し出力する巡回積分後の
信号をLシンボル区間に渡って更に平滑化することがで
きる。このような第1巡回積分手段と第2巡回積分手段
との組み合わせにより、理想的なS/N改善効果が得ら
れる。
【0037】請求項2によれば、周波数誤差が存在する
状況下においても包絡線検出手段に入力される信号のピ
ーク振幅の減衰が抑制され、しかも第1巡回積分手段及
び第2巡回積分手段によって効果的なS/N改善効果が
得られるので、低S/Nで受信したスペクトル拡散信号
に対しても高速な拡散符号同期と低い誤同期確率が同時
に実現される。
【0038】具体的には、拡散符号同期確立の期間(L
シンボル)が従来と同一の場合を想定すれば誤同期の確
率が改善され、誤同期の確率が従来と同一の場合を想定
すれば、拡散符号同期確立の期間が短縮される。請求項
3は、請求項2記載のスペクトル拡散信号復調回路にお
いて、前記搬送波再生手段がLシンボル区間の終了に応
答して前記第2サンプリング手段の出力信号を初期値と
して取り込むことを特徴とする。
【0039】Lシンボル区間の終了するタイミングで
は、第1巡回積分手段の出力に平滑化された搬送波に相
当する信号が現れるので、その信号を搬送波再生の初期
値として搬送波再生手段で利用できる。実際には、第1
巡回積分手段の出力する信号は、第2サンプリング手段
を介して搬送波再生手段に印加される。請求項4は、請
求項2記載のスペクトル拡散信号復調回路において、L
シンボル区間内でMシンボル毎に得られる前記第1巡回
積分手段の積分結果の少なくとも1つを前記記憶手段に
書き込み、Lシンボル区間の終了に応答して前記記憶手
段から信号を読み出すとともに、前記自動周波数制御手
段の周波数誤差検出動作を行う制御手段を設けたことを
特徴とする。
【0040】第1巡回積分手段の積分結果は、Lシンボ
ル区間が終了する前にMシンボル毎に得られるので、L
シンボル区間の途中で得られた積分結果を前記記憶手段
に少なくとも1回書き込むことができる。Lシンボル区
間が終了した時に第1巡回積分手段が出力する信号と前
記記憶手段に記憶された信号とを参照することにより、
互いに異なる時点の搬送波成分を同時に参照することが
できるので、自動周波数制御手段は搬送波の周波数誤差
を検出できる。
【0041】請求項5は、請求項1記載のスペクトル拡
散信号復調回路において、前記受信信号に含まれる変調
信号を除去する変調信号除去手段を前記逆拡散手段の出
力と前記第1巡回積分手段の入力との間に設けたことを
特徴とする。初期同期を確立するための期間に、無変調
信号が送信側から送られる場合には、その期間中に逆拡
散手段の出力には搬送波成分だけが現れるので、逆拡散
手段の出力する信号をそのまま巡回積分することができ
る。しかし、初期同期を確立するための期間に、変調信
号が送信側から送られる場合には、逆拡散手段の出力す
る信号をそのまま巡回積分しても初期同期に必要な信号
が得られない。
【0042】請求項5においては、前記逆拡散手段の出
力と前記第1巡回積分手段の入力との間に設けた変調信
号除去手段により、初期同期を確立するための期間に変
調信号が送信側から送られる場合であっても、搬送波成
分だけを第1巡回積分手段に入力することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)この形態の
スペクトル拡散信号復調回路の構成と動作を図1〜図4
に示す。この形態は請求項1〜請求項3に対応する。
【0044】図1はこの形態のスペクトル拡散信号復調
回路の構成を示すブロック図である。図2は自動周波数
制御回路19の構成を示すブロック図である。図3は第
1の実施の形態及び第2の実施の形態の動作を示すタイ
ムチャートである。図4は巡回積分器の構成例を示すブ
ロック図である。なお、図1において従来例と同一の構
成要素については従来例と同一の符号を付けて示してあ
る。また、この形態の各構成要素と請求項1〜請求項3
の各構成要素との対応関係は次のようになっている。
【0045】変換手段は複素乗算器2に対応する。逆拡
散手段はマッチトフィルタ3,4に対応する。第1巡回
積分手段は巡回積分器5,6に対応する。包絡線検出手
段は包絡線検出器7に対応する。第2巡回積分手段は巡
回積分器8に対応する。位置検出手段はピーク位置検出
器9に対応する。第1サンプリング手段はサンプラ1
0,11に対応する。搬送波再生手段は搬送波再生器1
4に対応する。第2サンプリング手段はサンプラ12,
13に対応する。記憶手段はメモリ17,18に対応す
る。自動周波数制御手段は自動周波数制御回路19に対
応する。制御手段は制御回路30に対応する。
【0046】図1に示すスペクトル拡散信号復調回路
は、直交検波器1,複素乗算器2,マッチトフィルタ
3,4,巡回積分器5,6,包絡線検出器7,巡回積分
器8,9,サンプラ10,11,12,13,搬送波再
生器14,メモリ17,18,自動周波数制御回路19
及び制御回路30で構成されている。この例では、直交
検波器1に入力される受信信号として、拡散符号により
スペクトルが拡散された信号を想定している。また、こ
の受信信号については初期同期を確立するためのL(こ
の例では50)シンボルの区間において、無変調信号が
入力されることを想定している。
【0047】このスペクトル拡散信号復調回路に入力さ
れる受信信号は、直交検波器1において、同相成分及び
直交成分からなる複素ベースバンド信号に変換される。
複素ベースバンド信号の同相成分及び直交成分は、複素
乗算器2の一方の入力に印加される。複素乗算器2の他
方の入力には、搬送波再生器14から出力される再生搬
送波の同相成分及び直交成分が、自動周波数制御回路1
9を介して印加される。再生搬送波に同期した複素ベー
スバンド信号の同相成分及び直交成分が、それぞれマッ
チトフィルタ3及び4に入力される。
【0048】マッチトフィルタ3,4は、拡散符号の時
間波形をインパルス応答とする線形フィルタであり、そ
の出力には、受信信号と受信機内部で生成された符号と
の相関値が刻々と得られる。受信信号のスペクトル拡散
に用いられた符号と受信機内部で生成された符号とが同
期すると相関値が最大になる。マッチトフィルタ3,4
の出力信号は、巡回積分器5,6及びサンプラ10,1
1に印加される。
【0049】巡回積分器5,6は、図4(a)に示すよ
うに、加算器25と遅延回路26と乗算器27とで構成
されている。加算器25は、入力信号αと遅延回路26
の出力信号βとを加算した結果を出力信号γとして出力
する。この出力信号γは、乗算器27を介して遅延回路
26の入力にフィードバックされる。乗算器27には所
定の乗算定数A(1)が印加される。
【0050】従って、入力信号αに含まれる様々な周波
数成分のうち、遅延回路26の遅延時間と周期が等しい
周波数成分は次第に大きく積算され、それ以外の周波数
成分は平滑化される。遅延回路26の遅延時間は1シン
ボル周期に定められるので、受信信号の成分を増幅しノ
イズ成分を低減できる。遅延回路26にリセット信号を
印加することにより、積算動作を初期化することができ
る。
【0051】なお、巡回積分器5,6を図4(b)に示
すように構成することもできる。この場合には、乗算定
数Aとして1より小さい値が印加される。また、この場
合には、巡回積分器全体が一種のフィルタとして動作す
るので、遅延回路26をリセットしなくても所定の積算
回数に相当する積算動作が実行される。包絡線検出器7
の入力には、巡回積分器5が出力する同相成分の信号と
巡回積分器6が出力する直交成分の信号とが印加され
る。包絡線検出器7は、入力される同相成分の信号の2
乗と直交成分の信号の2乗との和を演算して受信信号の
包絡線を検出する。
【0052】包絡線検出器7の出力する信号は、巡回積
分器8を介してピーク位置検出器9に入力される。巡回
積分器8の構成は巡回積分器5,6と同様に図4(a)
のようになっている。図4(b)のように構成すること
もできる。但し、巡回積分器5,6と巡回積分器8とは
動作のタイミングが異なる。これらのタイミングは制御
回路30によって制御される。
【0053】ピーク位置検出器9は、巡回積分器8が出
力する信号に基づいて、その信号の振幅のピーク位置の
タイミングを検出する。つまり、受信信号の拡散符号と
受信機内部で生成した符号とが一致するタイミングを検
出する。そして検出したピーク位置のタイミングでサン
プリング用の制御信号がピーク位置検出器9から出力さ
れる。この制御信号は、サンプラ10,11,12,1
3及び制御回路30に印加される。
【0054】サンプラ10及び11は、それぞれマッチ
トフィルタ3及び4の出力する信号をピーク位置検出器
9から出力される制御信号のタイミングでサンプリング
する。また、サンプラ12及び13は、それぞれ巡回積
分器5及び6の出力する信号をピーク位置検出器9から
出力される制御信号のタイミングでサンプリングする。
サンプラ10及び11によってサンプリングされた信号
が、復調出力として利用される。搬送波再生器14は、
サンプラ10,11が出力する信号及びサンプラ12,
13が出力する信号に基づいて搬送波を再生する。
【0055】自動周波数制御回路19は搬送波再生器1
4が再生した搬送波の周波数誤差を補正するための回路
であるが、初期同期を確保するための期間中は周波数誤
差を検出できないので、搬送波再生器14が出力する信
号をそのまま参照搬送波信号として複素乗算器2に印加
する。メモリ17及び18は、それぞれ巡回積分器5及
び6が出力する信号を記憶することができる。制御回路
30は、巡回積分器5,6,8,ピーク位置検出器9,
メモリ17,18及び自動周波数制御回路19の動作を
制御する。
【0056】図1に示すスペクトル拡散信号復調回路
は、制御回路30の制御によって図3に示すように動作
する。この例では、初期同期確立区間は時間t0からt
5までの50シンボル区間である。なお、この初期同期
確立区間は従来の拡散符号同期確立区間に相当し、従来
の搬送波同期確立のための独立した区間は存在しないの
で注意されたい。図3に示す各タイミングの動作につい
て以下に説明する。
【0057】巡回積分器5,6は、図3に示すように時
間t0,t1,t2,t3及びt4でそれぞれ初期化さ
れる。つまり、遅延回路26にリセット信号が印加され
て積算値が初期化される。そして、時間t1〜t2,t
2〜t3t,3t〜4t及びt4〜t5の10シンボル
の区間で、それぞれ10回ずつ積算動作が繰り返され
る。
【0058】従って、巡回積分器5,6の10回の巡回
積分の結果が、時間t0,t1,t2,t3及びt4で
初期化される直前のタイミングでそれぞれ得られる。こ
の巡回積分の結果は、包絡線検出器7を介して巡回積分
器8に入力される。一方、巡回積分器8は時間t1の1
シンボル手前のタイミングで初期化された後、巡回積分
器5,6の10回の巡回積分の結果の包絡線を包絡線検
出器7を介して入力し、それの積算動作を実施する。
【0059】図3に示すように、巡回積分器8の積算動
作は時間t1,t2,t3,t4及びt5の近傍のみで
間欠的に実施される。つまり、巡回積分器5,6の積算
結果が得られていない時には、巡回積分器8の積算動作
は停止する。初期同期確立区間の巡回積分器8の積算回
数は5回である。この例では、図3に示すように、時間
t1の手前の1シンボルのタイミングで、巡回積分器5
及び6の出力する信号が1シンボルの波形についてそれ
ぞれメモリ17及び18に書き込まれる。つまり、時間
t0〜t1の10シンボルに相当する区間の10回の積
算結果がメモリ17及び18に記憶される。
【0060】メモリ17及び18に記憶される信号の形
態は、例えば8ビットの並列データである。メモリ17
及び18に記憶された信号は、初期同期確立区間が終了
する時間t5のタイミングで読み出され、自動周波数制
御回路19に印加される。搬送波再生器14は、初期同
期確立区間では、制御回路30の指示の下でサンプラ1
0〜13の出力は無視し、周波数及び位相を予め定めた
固定の搬送波信号を出力する。
【0061】初期同期確立区間が終了する時間t5にお
いて、搬送波再生器14は巡回積分器5,6の積算結果
をサンプラ12,13を介して取り込み、それを搬送波
再生の初期値として利用する。この初期値に基づいて再
生した搬送波信号を搬送波再生器14は自動周波数制御
回路19を介して複素乗算器2に出力する。以後は、搬
送波再生器14は搬送波同期確立の動作を行うことなく
サンプラ10,11の出力信号に従って搬送波を再生
し、追従する動作を行う。
【0062】自動周波数制御回路19は搬送波再生器1
4から発生した再生搬送波信号の周波数を制御し、参照
搬送波信号として複素乗算器2に出力する。初期同期確
立区間では周波数制御は実施しないが、初期同期確立区
間が終了する時間t5に同期して、自動周波数制御回路
19は周波数の誤差検出を実施し参照搬送波信号の周波
数を制御する。
【0063】自動周波数制御回路19は、メモリ17,
18から読み出される信号と、サンプラ12,13から
出力される信号とを入力することにより、互いに異なる
時点の信号の状態を同時に参照することができる。通常
は、搬送波に周波数誤差が存在するので、互いに異なる
時点(t1,t5)で得られた2つの信号の間には位相
差が発生する。従って、この位相差に基づいて搬送波の
周波数誤差を検出できる。
【0064】なお、搬送波の周波数誤差の検出のために
は信号波形のうちピーク位置における信号値のみが必要
である。しかし、メモリ17,18に信号を記憶する時
点(t1)では正しい信号のピーク位置が分からないの
で、この例では1シンボル(拡散符号周期)に相当する
波形全体をメモリ17,18に記憶している。そして、
周波数誤差を検出する際に、制御回路30がピーク位置
検出器9の検出したピーク位置を参照して、メモリ1
7,18に記憶された信号波形の中からピーク位置の信
号を読み出し、この信号を自動周波数制御回路19に与
えるように制御している。また同時に、制御回路30は
サンプラ12,13の出力信号を自動周波数制御回路1
9に与える。
【0065】図2に示すように、自動周波数制御回路1
9の内部は複素乗算器51,位相検出回路52,演算回
路53,発振器54及び周波数変換器55で構成されて
いる。複素乗算器51の入力に、メモリ17,18から
読み出された信号Saとサンプラ12,13から出力さ
れる信号Sbとが印加される。
【0066】複素乗算器51は、メモリ17,18から
読み出された信号Saとサンプラ12,13から出力さ
れる信号Sbとの複素乗算を実施して、複素誤差信号S
cを求める。また、位相検出回路52は複素誤差信号S
cの偏角θを検出する。演算回路53は、1シンボル当
たりの位相変化を搬送波周波数誤差Δωとして検出す
る。すなわち、位相検出回路52が検出した偏角θを、
信号Saがサンプリングされた時間(ほぼt1)と信号
Sbがサンプリングされた時間(ほぼt5)との時間差
(この例では40シンボル周期)で除算した結果を搬送
波周波数誤差Δωとする。
【0067】発振器54は、演算回路53が求めた搬送
波周波数誤差Δωを打ち消すのに必要な、周波数が(−
Δω)のディジタル正弦波信号(複素数)を発振(生
成)する。なお、初期同期確立区間においては発振器5
4の発振周波数は0に制御される。周波数変換器55
は、搬送波再生器14が出力する再生搬送波の信号Se
の周波数を、発振器54からのディジタル正弦波信号に
よって周波数変換し、周波数誤差を補正する。周波数変
換器55によって周波数誤差の補正された信号Sfが参
照搬送波信号(同相成分と直交成分とでなる複素数)と
して複素乗算器2に印加される。
【0068】このような動作によって、初期同期確立区
間の終了と同時に搬送波周波数誤差が補償される。とこ
ろで、初期同期確立区間では、搬送波周波数誤差が存在
するので、マッチトフィルタ3,4は周波数誤差の程度
に応じてピーク値振幅が変動するような信号をサンプラ
10,11及び巡回積分器5,6に出力する。
【0069】この搬送波周波数誤差によって巡回積分器
5,6が出力する信号のピーク値振幅が減衰する。しか
しこの例では、想定される搬送波周波数誤差の逆数に対
する積算時間の割合が小さくなるように、巡回積分器
5,6の積算回数(10回)を初期同期確立区間のシン
ボル数(50)に比べて小さく定めてある。
【0070】このため、巡回積分器5,6では、搬送波
周波数誤差によるピーク値振幅の減衰を抑制しつつ雑音
除去を効果的に行うことができ、理想的なS/N改善効
果が得られる。また、巡回積分器8には10回の積算終
了後の信号だけが印加される。従って、巡回積分器8
は、図3に示すように時間t0〜t1,t1〜t2,t
2〜t3,t3〜t4,t4〜t5の各10シンボル区
間において、それぞれ1回の積算動作を行ってその積算
結果をピーク位置検出回路9に出力し、それ以外の期間
は動作を停止する。すなわち巡回積分器8は間欠動作を
行う。
【0071】この巡回積分器8は搬送波周波数誤差には
影響されずに、すでにS/Nの改善された信号について
少ない回数で巡回積分を行うので、所望のS/N改善量
が容易に得られる。ピーク位置検出回路9は、制御回路
30から巡回積分器8の積算動作タイミング信号を受け
て、巡回積分器8の各積算結果のピーク位置を検出し、
ピーク位置のタイミング信号をサンプラ10〜13に出
力する。サンプラ10,11は、この検出されたピーク
位置のタイミングでマッチトフィルタ3,4の出力信号
をサンプリングして搬送波再生器14に出力する。ま
た、サンプラ12,13は、この検出されたピーク位置
のタイミングで巡回積分器5,6の出力信号をサンプリ
ングして搬送波再生器14に出力する。
【0072】なお、巡回積分器5、6として図4(b)
に示すように所定の時定数で動作する回路を用いる場合
には、制御回路30は、10シンボル区間において巡回
積分器5、6が10回の積算動作に相当する動作を行う
時定数を持つように巡回積分器5,6の乗算定数Aを定
める。また、巡回積分器8として図4(b)に示すよう
に所定の時定数で動作する回路を用いる場合には、制御
回路30は、50シンボル区間において5回の積算動作
を行う場合と同様の結果が得られるように、巡回積分器
8の乗算定数Aを定めてその時定数を定める。そして、
10シンボルの期間内で1回分の積算動作に相当する動
作を行い、残余の期間では停止するように、制御回路3
0は巡回積分器8を操作する。
【0073】S/N対誤同期確率特性のシミュレーショ
ンの結果について、図6を参照して説明する。このシミ
ュレーションでは、拡散符号としては、符号長19のル
ジャンドル系列を用い、拡散符号の速度は200kHz
と仮定した。図6においては、図7に示した従来の回路
(従来l)と、図10に示した従来の回路(従来2)の
特性を併記してある。なお、搬送周波数誤差0は実際上
はあり得ないが、計算機シミュレーションであるため存
在する。
【0074】同期確立に要する区間(但し、従来例で
は、拡散符号同期確立区間)のシンボル数Lは、この実
施形態と従来例の場合で同じ50シンボルに設定してあ
る。先に述べたように、従来1は、全体に誤同期確率が
他に比較して大きく劣っており、また従来2は、搬送波
周波数誤差がある場合に劣化が大きい。一方、この実施
形態の回路は、従来1に比較すれば所要S/Nが約3.
5dB優れており、搬送波周波数誤差による劣化もほと
んど無視できる。
【0075】即ち、この実施形態の回路では、搬送周波
数誤差が存在する状況下において、拡散符号同期確立の
期間が従来と同一の場合を想定すれば、誤同期の確率を
下げることができ、誤同期の確率を従来と同一と仮定す
れば、拡散符号同期確立の期間を短縮できることが分か
る。 (第2の実施の形態)この形態のスペクトル拡散信号復
調回路の構成を図5に示す。この形態は、全ての請求項
に対応する。この形態は、第1の実施の形態の変形例で
ある。
【0076】マッチトフィルタ3,4の出力と巡回積分
器5,6の入力との間に複素乗算器16を設けた点以外
は第1の実施の形態と同一である。この形態では、請求
項4の変調信号除去手段は複素乗算器16に対応する。
【0077】この形態のスペクトル拡散信号復調回路
は、初期同期確立区間に受信信号に変調信号が現れる場
合であっても初期同期を確立することができる。初期同
期確立区間に現れる変調信号としては、予め定められた
変調パターンで変調された信号を想定している。複素乗
算器16は、外部から印加される変調パターンの信号と
マッチトフィルタ3,4が出力する信号とを乗算する。
すなわち、受信信号の変調パターンと複素乗算器16に
印加される変調パターンとが一致する場合には、複素乗
算器16においてマッチトフィルタ3,4の出力信号と
変調パターンの複素共役数との乗算により変調成分が除
去された信号が得られる。
【0078】従って、初期同期確立区間に受信信号に変
調信号が現れる場合であっても第1の実施の形態のスペ
クトル拡散信号復調回路と同様に初期同期を確立するこ
とができる。上記第1の実施の形態及び第2の実施の形
態では、受動相関器としてマッチトフィルタを用いてい
るが、それに代えてコンボルバ等を用いることも可能で
ある。即ち、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で
は、ベースバンド帯で復調動作を行う場合の回路構成を
示したが、中間周波数帯で復調動作をする場合にも同様
に本発明を適用できる。
【0079】また、包絡線の位置検出では、実際のピー
ク位置を検出する場合について説明したが、それ以外
に、例えば予め定めた閾値を越える所定位置をピーク位
置としても良い。また、上記第1の実施の形態及び第2
の実施の形態では、複素乗算器2に印加される参照搬送
波信号の周波数を制御しているが、参照搬送波信号の代
わりに受信信号の周波数を自動周波数制御回路19で制
御するように構成及び動作を変更しても良い。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、初期同期確立区間の終
了と同時に搬送波周波数誤差の補償が行われるので、従
来より更に安定した搬送波同期が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のスペクトル拡散信号復調回
路の構成を示すブロック図である。
【図2】自動周波数制御回路19の構成を示すブロック
図である。
【図3】第1の実施の形態及び第2の実施の形態の動作
を示すタイムチャートである。
【図4】巡回積分器の構成例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態のスペクトル拡散信号復調回
路の構成を示すブロック図である。
【図6】S/N対誤同期確率のシミュレーション結果を
示すグラフである。
【図7】従来のスペクトル拡散信号復調回路の構成(従
来1)を示すブロック図である。
【図8】巡回積分器の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の動作を示すタイムチャートである。
【図10】従来のスペクトル拡散信号復調回路の構成
(従来2)を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 直交検波器 2 複素乗算器 3,4 マッチトフィルタ 5,6 巡回積分器 7 包絡線検出器 8 巡回積分器 9 ピーク位置検出器 10,11,12,13 サンプラ 14 搬送波再生器 16 複素乗算器 17,18 メモリ 19 自動周波数制御回路 25 加算器 26 遅延回路 27 乗算器 30 制御回路 51 複素乗算器 52 位相検出回路 53 演算回路 54 発振器 55 周波数変換器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側の拡散符号によってスペクトル拡
    散された受信信号を入力して参照搬送波信号に基づき周
    波数変換する変換手段と、 前記変換手段が出力する信号を入力し、この信号と受信
    側の符号との相関性に基づいて前記信号のスペクトルを
    逆拡散する逆拡散手段と、 初期同期を確立するための所定シンボル区間において前
    記逆拡散手段が出力する信号を巡回積分する第1巡回積
    分手段と、 前記第1巡回積分手段の出力信号の包絡線を検出する包
    絡線検出手段と、 前記包絡線検出手段の出力信号を巡回積分する第2巡回
    積分手段と、 前記第2巡回積分手段の出力信号の最大値または所定値
    を示す位置を検出する位置検出手段と、 前記逆拡散手段の出力信号を前記位置検出手段が検出し
    た位置でサンプリングし、復調信号を出力する第1サン
    プリング手段と、 前記第1サンプリング手段の出力信号から搬送波を再生
    し、前記参照搬送波信号を出力する搬送波再生手段と、 前記第1巡回積分手段の出力信号を前記位置検出手段が
    検出した位置でサンプリングし、前記搬送波再生手段に
    出力する第2サンプリング手段と、 前記第1巡回積分手段が出力する信号を所定のタイミン
    グで記憶する記憶手段と、 前記記憶手段から読み出された信号および前記第2サン
    プリング手段の出力信号に基づいて搬送波の周波数誤差
    を検出し、この周波数誤差を打ち消すように信号の周波
    数を制御する自動周波数制御手段とを設けたことを特徴
    とするスペクトル拡散信号復調回路。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスペクトル拡散信号復調
    回路において、 前記第1巡回積分手段は初期同期を確立するためのL
    (Lは整数)シンボル区間内で、L未満のM(Mは整
    数)シンボル毎に積分動作を繰り返し行い、 前記第2巡回積分手段はLシンボル区間内で、積分動作
    をMシンボル周期で間欠的に行うことを特徴とするスペ
    クトル拡散信号復調回路。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のスペクトル拡散信号復調
    回路において、前記搬送波再生手段がLシンボル区間の
    終了に応答して前記第2サンプリング手段の出力信号を
    初期値として取り込むことを特徴とするスペクトル拡散
    信号復調回路。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のスペクトル拡散信号復調
    回路において、Lシンボル区間内でMシンボル毎に得ら
    れる前記第1巡回積分手段の積分結果の少なくとも1つ
    を前記記憶手段に書き込み、Lシンボル区間の終了に応
    答して前記記憶手段から信号を読み出すとともに、前記
    自動周波数制御手段の周波数誤差検出動作を行う制御手
    段を設けたことを特徴とするスペクトル拡散信号復調回
    路。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のスペクトル拡散信号復調
    回路において、前記受信信号に含まれる変調信号を除去
    する変調信号除去手段を前記逆拡散手段の出力と前記第
    1巡回積分手段の入力との間に設けたことを特徴とする
    スペクトル拡散信号復調回路。
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JP2006261985A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Mitsubishi Electric Corp スペクトル拡散通信用受信機

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WO2002067456A1 (fr) * 2001-02-19 2002-08-29 Fujitsu Limited Regulateur automatique de frequence
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