JP2000058321A - 磁化方向制御膜の製造方法及び磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁化方向制御膜の製造方法及び磁気センサの製造方法

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JP2000058321A
JP2000058321A JP10227907A JP22790798A JP2000058321A JP 2000058321 A JP2000058321 A JP 2000058321A JP 10227907 A JP10227907 A JP 10227907A JP 22790798 A JP22790798 A JP 22790798A JP 2000058321 A JP2000058321 A JP 2000058321A
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magnetic field
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soft magnetic
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Yutaka Shimizu
豊 清水
Hitoshi Kishi
均 岸
Keiichi Nagasaka
恵一 長坂
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Fujitsu Ltd
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/3218Exchange coupling of magnetic films via an antiferromagnetic interface

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗センサ、巨大磁気抵抗効果センサ等
の磁気センサの製造方法並びにこれら磁気センサに使用
する磁化方向制御膜の製造方法に関し、無地場中での磁
化方向制御が可能な磁化方向制御膜の製造方法及び磁気
センサの製造方法を提供する。 【解決手段】 下地基板10上に、第1の方向に沿った
一方向異方性磁界を付与した軟磁性層14を形成する工
程と、軟磁性層14上に、反強磁性を示さない状態で反
強磁性層16を形成する工程と、下地基板10を無磁場
中で熱処理することにより、軟磁性層14の磁化方向を
第1の方向に制御するための磁気異方性を反強磁性層1
6に付与する工程とにより磁化方向制御膜を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗センサ、
巨大磁気抵抗効果センサ等の磁気センサの製造方法並び
にこれら磁気センサに使用する磁化方向制御膜の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクドライブに代表される磁
気記録装置の読み取りヘッドとして、巨大磁気抵抗効果
を利用した磁気センサが知られている。例えば、特開平
4−358310号公報には、非磁性金属層によって分
離された二つの結合されていない強磁性体層を備え、一
方の強磁性体層の磁化が固定されたサンドイッチ構造よ
りなる磁気センサが開示されている。磁化の固定は、鉄
−マンガン(FeMn)に代表される反強磁性層を一方
の強磁性体層に付着することによって行われている。こ
のような構造に外部磁場が印加されると、固定されてい
ない強磁性体層(フリー層)の磁化方向は外部磁場の方
向に一致して自由に回転するため、磁化が固定された強
磁性体層(ピン層)の磁化方向と角度差を生じる。この
角度差に依存して、伝導電子のスピンに依存した散乱が
変化し、電気抵抗値が変化する。したがって、この電気
抵抗値の変化を検出することによって、外部磁場の状
況、すなわち磁気記録媒体からの信号磁場を取得するこ
とができる。
【0003】ここで、磁気記録媒体からの信号磁界は、
記録媒体面に対して垂直方向に変化するため、このスピ
ンバルブ磁気抵抗センサのフリー層の磁化方向は、媒体
面に平行な方向を基準とし、信号磁界に対して上下鉛直
方向に変化することが望ましい。このとき、信号磁界に
対して線形応答をなし、最大のダイナミックレンジを確
保するためには、ピン層の磁化方向を鉛直上向きまたは
鉛直下向きに固定することが望ましい。したがって、ス
ピンバルブ磁気抵抗センサでは信号磁界のない状態、す
なわちゼロ磁場状態においてピン層とフリー層との磁化
方向を直交化させる必要がある。
【0004】一般に、反強磁性材料は、その反強磁性を
消失する温度であるネール温度まで加熱し、冷却時に所
望の方向の直流外部磁場を印加することにより、隣接軟
磁性層に一方向異方性磁界を付与することができる。そ
こで、スピンバルブ磁気抵抗センサでは、ピン層に隣接
する反強磁性層のネール温度付近まで加熱し、フリー層
の容易軸方向と垂直な直流外部磁場を印加しながら冷却
することにより、ピン層とフリー層との磁化方向の直交
化を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ネール温度が150℃
と低いFeMn反強磁性材料等においては、200℃以
下の低温の熱処理によって磁化方向の直交化が可能とな
るため、他の磁性層の磁化方向に影響することなく当該
熱処理の実施が可能である。しかしながら、動作中のハ
ードディスク装置内部では、150℃程度まで温度が上
昇することもあり、FeMnのようにネール温度の低い
反強磁性材料を用いた場合、一方向異方性磁界が著しく
低下し、正常動作が望めない。このため、ネール温度の
より高い反強磁性材料の適用が望まれている。
【0006】一方、ネール温度が300℃程度の反強磁
性材料としては、NiMn、PdMn、PtMn、Pd
PtMnなどの正方晶系の金属反強磁性材料が知られて
いる。これらの反強磁性材料を用いたスピンバルブ膜で
は、当該熱処理を行うためには280℃程度の加熱が必
要となるが、280℃程度まで加熱され、垂直方向に外
部磁界が作用した場合、代表的な軟磁性材料であるNi
Feなどは誘導磁気異方性により容易軸方向が垂直方向
に変化するため、直交化を実現することができない。ま
た、シールド、ライトポール部の容易軸方向も変化する
ため、正常動作を妨げることとなる。
【0007】このため、より低温での熱処理、無磁場中
での磁化方向性制御工程の実現が望まれている。本発明
の目的は、無磁場中での磁化方向制御が可能な磁化方向
制御膜の製造方法及び磁気センサの製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下地基板上
に、第1の方向に沿った一方向異方性磁界を付与した軟
磁性層を形成する工程と、前記軟磁性層上に、反強磁性
を示さない状態で反強磁性層を形成する工程と、前記下
地基板を無磁場中で熱処理することにより、前記軟磁性
層の磁化方向を前記第1の方向に制御するための磁気異
方性を前記反強磁性層に付与する工程とを有することを
特徴とする磁化方向制御膜の製造方法によって達成され
る。このようにして磁化方向制御膜を製造することによ
り、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を印加
することなく反強磁性層に磁気異方性を付与することが
できるので、他の磁性層の磁化方向に影響を与えること
なく、軟磁性層の磁化方向を、軟磁性層に付与した一方
向異方性磁界方向に制御することができる。
【0009】また、上記の磁化方向制御膜の製造方法に
おいて、前記第1の方向に沿った直流磁場中で前記軟磁
性層を形成することにより、前記軟磁性層に一方向異方
性磁界を付与するようにしてもよい。また、上記の磁化
方向制御膜の製造方法において、前記軟磁性層を形成し
た後に、前記第1の方向に沿った直流磁場を印加するこ
とにより、前記軟磁性層に一方向異方性磁界を付与する
ようにしてもよい。
【0010】また、上記の磁化方向制御膜の製造方法に
おいて、表面周期性に異方性を有する前記下地基板上に
前記軟磁性層を形成することにより、前記軟磁性層に一
方向異方性磁界を付与するようにしてもよい。また、上
記の磁化方向制御膜の製造方法において、前記下地基板
としては、MgO(110)基板又はサファイア(00
01)基板を適用することができる。
【0011】また、上記の磁化方向制御膜の製造方法に
おいて、前記反強磁性層としては、PdMn層、PtM
n層又はPdPtMn層を適用することができる。ま
た、上記の磁化方向制御膜の製造方法において、前記反
強磁性層に磁気異方性を付与する工程では、前記軟磁性
層のネール温度よりも低い温度で熱処理を行うようにし
てもよい。
【0012】また、上記目的は、下地基板上に、第1の
方向に沿った一方向異方性磁界を付与した軟磁性層を形
成する工程と、前記軟磁性層上に、反強磁性を示さない
状態で反強磁性層を形成する工程と、前記下地基板を無
磁場中で熱処理することにより、前記軟磁性層の磁化方
向を前記第1の方向に制御するための磁気異方性を前記
反強磁性層に付与する工程とを有することを特徴とする
磁気センサの製造方法によっても達成される。このよう
にして磁気センサを製造することにより、反強磁性層の
結晶化熱処理時に直流外部磁場を印加することなく反強
磁性層に磁気異方性を付与することができるので、シー
ルド、ライトポールなどの他の磁気ヘッドを構成する磁
性層の磁化方向に影響を与えることなく、軟磁性層の磁
化方向を、軟磁性層に付与した一方向異方性磁界方向に
制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実
施形態による磁化方向制御膜の製造方法について図1乃
至図3を用いて説明する。図1は本発明による磁化方向
制御膜の製造方法を示す工程図、図2は本実施形態によ
る磁化方向制御膜の製造方法を示す工程断面図、図3は
本実施形態による磁化方向制御膜の製造方法により形成
した磁化方向制御膜について測定した磁化−外部磁界曲
線を示すグラフである。
【0014】本発明による磁化方向制御膜の製造方法
は、図1に示すように、一方向異方性磁界を付与した軟
磁性層を形成する工程(S1)と、軟磁性層上に反強磁
性を示さない状態で反強磁性層を形成する工程(S2)
と、無磁場中で熱処理することにより、軟磁性層の磁化
方向を所定の方向に制御するための磁気異方性を反強磁
性層に付与する工程(S3)とにより構成される。
【0015】ある種の反強磁性材料は、スパッタ法など
による堆積直後には反強磁性を示さないが、その後の熱
処理によって反強磁性を示すようになる。例えば、Ni
Mn、PdMn、PtMn、PdPtMnなどの正方晶
系の金属反強磁性材料は、成膜直後には準安定相である
立方晶となり反強磁性を示さないが、その後の200〜
300℃程度の熱処理により安定相である正方晶に規則
化して反強磁性を示すようになる。また、この熱処理温
度が隣接する軟磁性層のキュリー温度以下である場合、
反強磁性層に、軟磁性層の磁化方向と同一方向の磁気異
方性を付与することができる。また、反強磁性層に異方
性磁界を与える熱処理過程では、外部直流磁場を印加す
る必要はない。
【0016】したがって、上記工程により軟磁性層及び
反強磁性層を形成することにより、軟磁性層に付与した
のと同一方向の磁気異方性を反強磁性層に付与すること
ができる。これにより、軟磁性層に付与した一方向異方
性磁界方向に、軟磁性層の磁化方向を制御することがで
きる。また、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁
場を印加することなく一方向異方性磁界を付与するの
で、異方性磁界を付与した他の層がすでに形成されてい
る場合にも、これら層の磁化方向に誘導磁気異方性によ
る影響を与えることはない。
【0017】次に、本実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法について図2を用いて具体的に説明する。ま
ず、基板10上に、基板10の表面に平行に直流外部磁
場を印加しながら軟磁性材料を堆積し、所定の方向に結
晶磁気異方性を有する軟磁性層14を形成する(ステッ
プS1、図2(a))。例えば、通常のスパッタ法によ
り、膜厚約5nmのNiFeよりなる軟磁性層14を形
成する。NiとFeの比率は、例えばNi:Fe=8
0:20とする。なお、軟磁性層14の膜厚は1nm以
上とすることが望ましい。また、直流外部磁場は、基板
10の外部に設置された硬質磁石、例えばアルニコ磁石
により印加する。直流外部磁場の大きさは、軟磁性層1
4の保磁力以上あればよく、例えば100Oeとする。
【0018】次いで、軟磁性層14上に、反強磁性層1
6を堆積する。例えば、通常のスパッタ法により、膜厚
約15nmのPdPtMnよりなる反強磁性層16を形
成する。Pd、Pt、Mnの比率は、例えばPd:P
t:Mn=31:17:52とする。なお、反強磁性層
16の膜厚は5nm以上とすることが望ましい。ここ
で、反強磁性層16を構成する材料は、堆積直後には反
強磁性をもたないが、その後の熱処理によって反強磁性
を示す反強磁性材料から選択する。例えば、NiMn、
PdMn、PtMn、PdPtMnなどの正方晶系の金
属反強磁性材料は、スパッタ等の成膜時には準安定相で
ある立方晶となり反強磁性を示さないが、その後の20
0〜300℃程度の熱処理により安定相である正方晶に
規則化して反強磁性を示す材料であり、本実施形態によ
る磁化方向制御膜の製造方法に用いるのに好適である。
このような特性を有する反強磁性材料であれば、上記材
料以外の反強磁性材料であっても適用することができ
る。
【0019】なお、反強磁性層16の形成過程では直流
外部磁場を印加する必要はないが、軟磁性層14の成膜
時に印加する磁場と同一方向の直流外部磁場を印加して
もよい。また、軟磁性層14の一方向異方性磁界は、反
強磁性層16の形成時に付与してもよい。すなわち、軟
磁性層14の形成時に直流外部磁場を印加せず、反強磁
性層の形成時に直流外部磁場を印加することによっても
軟磁性層14に一方向異方性磁界を付与することができ
る。少なくとも、反強磁性層16の堆積直前までの状態
で軟磁性層14が直流外部磁場に曝されればよい。
【0020】続いて、軟磁性層14及び反強磁性層16
を形成した基板10を、例えば、真空中、230〜30
0℃の温度で1〜3時間熱処理し、反強磁性を示す相に
反強磁性層16を規則化する。これにより、反強磁性層
16には軟磁性層14に付与した一方向異方性磁界と同
一方向の磁気異方性が付与され、また、軟磁性層14の
磁化方向は、軟磁性層に付与した一方向異方性磁界方向
に制御される(ステップS3、図2(c))。
【0021】このようにして作成した試料に、直流外部
磁場を印加した方向に測定した磁化−外部磁界曲線を図
3(a)に、直流外部磁場を印加した方向に垂直な方向
に測定した磁化−外部磁界曲線を図3(b)に示す。図
3(a)に示すように、軟磁性層14には、軟磁性層1
4の堆積の際に印加した直流外部磁界の方向に異方性磁
界が付与されているが、図3(b)に示すように、直流
外部磁界を印加した方向と垂直な方向には異方性磁界が
付与されていない。すなわち、軟磁性層14は、軟磁性
層14の形成時に印加した直流外部磁場の方向に磁化方
向が制御されている。
【0022】このように、本実施形態によれば、一方向
異方性磁界を付与した軟磁性層上に反強磁性層を形成す
るので、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を
印加することなく反強磁性層に磁気異方性を付与するこ
とができる。これにより、軟磁性層の磁化方向を、軟磁
性層に付与した一方向異方性磁界方向に制御することが
できる。
【0023】[第2実施形態]本発明の第2実施形態に
よる磁化方向制御膜の製造方法について図4及び図5を
用いて説明する。なお、上記第1実施形態による磁化方
向制御膜の製造方法と同一の構成要素には同一の符号を
付し、説明を省略し或いは簡略にする。図4は本実施形
態による磁化方向制御膜の製造方法を示す工程断面図、
図5は本実施形態による磁化方向制御膜の製造方法によ
り形成した磁化方向制御膜について測定した磁化−外部
磁界曲線を示すグラフである。
【0024】上記第1実施形態では、直流外部磁場を印
加することにより軟磁性層14に一方向異方性磁界を付
与したが、他の方法によっても一方向異方性磁界を付与
することができる。表面周期性に異方性を有する基板上
に軟磁性層を堆積すると、その基板の異方性に応じた方
向に結晶磁気異方性を付与することができる。例えば、
MgO(110)基板上にNiFeよりなる軟磁性層を
形成すると、軟磁性層の磁化容易軸は(110)方向と
なり、これと垂直な(001)方向が磁化困難軸とな
る。したがって、このように表面周期性に異方性を有す
る基板上に軟磁性層を形成することにより、軟磁性層に
一方向異方性磁界を付与することができる。
【0025】表面周期性に異方性を有する基板は種々考
えられるが、MgO(110)基板の他、例えば、サフ
ァイア(0001)基板を適用することができる。な
お、本願明細書にいう表面周期性に異方性を有する基板
とは、基板表面に平行な面における構成原子間の距離
が、直交する2つの軸方向で異なっている基板を意味す
る。
【0026】次に、本実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法について図5を用いて具体的に説明する。ま
ず、表面研磨したMgO(110)基板12上に、例え
ば通常のスパッタ法により、膜厚5nmのNiFeより
なる軟磁性層14を形成する(ステップS1、図4
(a))。MgOは岩塩構造であり、MgO(110)
面は表面周期性に異方性をもっているので、形成した軟
磁性層14はMgO基板の(110)方向に結晶磁気異
方性を有することとなる。
【0027】次いで、軟磁性層14上に、例えば通常の
スパッタ法により、膜厚約15nmのPdPtMnより
なる反強磁性層16を形成する(ステップS2、図4
(b))。反強磁性層16を構成する材料は、第1実施
形態による磁化方向制御膜の製造方法と同様に、堆積直
後には反強磁性をもたないが、その後の熱処理によって
反強磁性を示す反強磁性材料から選択する。
【0028】なお、反強磁性層16の形成過程におい
て、軟磁性層14の成膜時に印加する磁場の同一方向の
直流外部磁場を印加してもよい。続いて、軟磁性層14
及び反強磁性層16を形成した基板10を、例えば、真
空中、230〜300℃の温度で1〜3時間熱処理し、
反強磁性を示す相に反強磁性層16を規則化する。これ
により、反強磁性層16には軟磁性層14に付与した一
方向異方性磁界と同一方向((110)方向)の磁気異
方性が付与され、また、軟磁性層14の磁化方向は、軟
磁性層に付与した一方向異方性磁界方向に制御される
(ステップS3、図4(c))。
【0029】このようにして作成した試料に、MgO基
板12の(110)方向に測定した磁化−外部磁界曲線
を図5(a)に、MgO基板12の(001)方向に測
定した磁化−外部磁界曲線を図5(b)に示す。図5
(a)に示すように、軟磁性層14には、MgO基板の
(110)方向に沿った方向には異方性磁界が付与され
ているが、図5(b)に示すように、MgO基板の(0
01)方向には異方性磁界が付与されていない。すなわ
ち、軟磁性層14は、MgO基板の表面周期性に応じた
方向に、磁化方向が制御されている。
【0030】このように、本実施形態によれば、一方向
異方性磁界を付与した軟磁性層上に反強磁性層を形成す
るので、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を
印加することなく反強磁性層に磁気異方性を付与するこ
とができる。これにより、軟磁性層の磁化方向を、軟磁
性層に付与した一方向異方性磁界方向に制御することが
できる。
【0031】[第3実施形態]本発明の第3実施形態に
よる磁気センサの製造方法について図6及び図7を用い
て説明する。図6及び図7は本実施形態による磁気セン
サの製造方法を示す工程断面図である。
【0032】上記第1又は第2実施形態による磁化方向
制御膜の製造方法により製造した磁化方向制御膜は、磁
気センサに適用することができる。本実施形態では、第
1実施形態による磁化方向制御膜をスピンバルブ構造の
磁気センサに適用する例について説明する。但し、本発
明はスピンバルブ構造の磁気センサのみならず、磁化方
向制御膜を必要とする他の磁気センサにも同様に適用す
ることができる。
【0033】まず、下地基板30上に、例えば通常のス
パッタ法により、例えばNiFeよりなる軟質強磁性層
32を堆積する。この際、基板表面と平行な方向に直流
外部磁場を印加し、軟質強磁性層32に、磁場方向と同
一方向の一方向異方性磁界を付与する(図6(a))。
なお、本願明細書にいう下地基板とは、ベア基板のみな
らず、すでにシールドやライトポールなど磁気ヘッドを
構成する他の磁性層が形成されている状態の基板をも意
味する。
【0034】次いで、軟質強磁性層32上に、例えば通
常のスパッタ法により、例えばCuよりなる非磁性層3
4を堆積する(図6(b))。続いて、非磁性層34上
に、例えば通常のスパッタ法により、例えばNiFeよ
りなる軟質強磁性層36を堆積する。この際、基板表面
と平行な方向に、軟質強磁性層32を堆積する際に印加
した磁場と直交する方向の直流外部磁場を印加し、軟質
強磁性層36に、磁場方向と同一方向の一方向異方性磁
界を付与する(図6(c))。なお、軟質強磁性層36
は、第1実施形態における軟磁性層14に相当する。
【0035】この後、軟質強磁性層36上に、例えば通
常のスパッタ法により、PdPtMnよりなる反強磁性
層38を形成する(図7(a))。反強磁性層38を構
成する材料は、第1実施形態による磁化方向制御膜の製
造方法と同様に、堆積直後には反強磁性をもたないが、
その後の熱処理によって反強磁性を示す反強磁性材料か
ら選択する。
【0036】次いで、このようにスピンバルブ構造を形
成した下地基板30を、例えば、真空中、230〜30
0℃の温度で1〜3時間熱処理し、反強磁性を示す相に
反強磁性層38を規則化する。これにより、反強磁性層
38には、軟質強磁性層36に付与した方向と同一方向
の磁気異方性が付与され、軟質強磁性層36の磁化方向
は、軟質強磁性層36の成膜時に与えた一方向異方性磁
界方向に制御される(図7(b))。
【0037】これにより、軟質強磁性層32と軟質強磁
性層36との磁化方向は互いに垂直となり、すなわち、
ピン層(軟質強磁性層36)とフリー層(軟質強磁性層
32)の磁化方向の直交化を実現することができる。な
お、反強磁性層38に異方性磁界を付与する熱処理工程
では直流外部磁界を印加しないので、軟質強磁性層32
その他の磁性層の磁化容易軸が変化することはない。
【0038】このように、本実施形態によれば、一方向
異方性磁界を付与した軟質強磁性層上に反強磁性層を形
成し、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を印
加することなく反強磁性層に異方性磁界を付与し、これ
に隣接する軟質強磁性層の磁化方向を、軟磁性層に付与
した一方向異方性磁界方向に制御するので、スピンバル
ブ構造を有する磁気センサにおいて、シールド、ライト
ポールなどの他の磁気ヘッドを構成する磁性層の磁化方
向に影響することなくピン層とフリー層の磁化方向の直
交化を実現することができる。
【0039】[第4実施形態]本発明の第4実施形態に
よる磁気センサの製造方法について図8及び図9を用い
て説明する。図8及び図9は本実施形態による磁気セン
サの製造方法を示す工程断面図である。
【0040】本実施形態では、第2実施形態による磁化
方向制御膜をスピンバルブ構造の磁気センサに適用する
例について説明する。但し、本発明はスピンバルブ構造
の磁気センサのみならず、磁化方向制御膜を必要とする
他の磁気センサにも同様に適用することができる。ま
ず、表面研磨したMgO(110)基板40上に、例え
ば通常のスパッタ法により、例えばNiFeよりなる軟
磁性層42を形成する。MgO(110)面は表面周期
性に異方性をもっているので、形成した軟磁性層42は
(110)方向に結晶磁気異方性を有することとなる
(図8(a))。なお、図10及び図11において、M
gO基板40の(110)方向は紙面水平方向であると
する。
【0041】次いで、軟磁性層42上に、例えば通常の
スパッタ法により、例えばPdPtMnよりなる反強磁
性層44を形成する(図8(b))。反強磁性層44を
構成する材料は、第1実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法と同様に、堆積直後には反強磁性をもたない
が、その後の熱処理によって反強磁性を示す反強磁性材
料から選択する。
【0042】続いて、反強磁性層44上に、例えば、N
iFeよりなる強磁性層46と、Cuよりなる非磁性層
48と、NiFeよりなる強磁性層50とを順次堆積す
る(図8(c))。この後、このようにスピンバルブ構
造を形成したMgO基板12を、例えば、真空中、23
0〜300℃の温度で1〜3時間熱処理し、反強磁性を
示す相に反強磁性層44を規則化する。これにより、反
強磁性層44には、軟磁性層42に付与した方向と同じ
MgO基板40の(110)方向の磁気異方性が付与さ
れ、反強磁性層44に隣接する強磁性層46の磁化方向
は、MgO基板40の(110)方向に制御される。
【0043】これにより、ピン層(強磁性層46)とフ
リー層(強磁性層50)の磁化方向の直交化を実現する
ことができる(図9)。なお、反強磁性層44に磁気異
方性を付与する熱処理工程では直流外部磁界を印加しな
いので、強磁性層50その他の磁性層の磁化容易軸が変
化することはない。
【0044】このように、本実施形態によれば、一方向
異方性磁界を付与した軟質強磁性層上に反強磁性層を形
成し、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を印
加することなく反強磁性層に異方性磁界を付与し、これ
に隣接する軟質強磁性層の磁化方向を、軟磁性層に付与
した一方向異方性磁界方向に制御するので、スピンバル
ブ構造を有する磁気センサにおいて、シールド、ライト
ポールなどの他の磁気ヘッドを構成する磁性層の磁化方
向に影響することなくピン層とフリー層の磁化方向の直
交化を実現することができる。
【0045】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、下地基板
上に、第1の方向に沿った一方向異方性磁界を付与した
軟磁性層を形成する工程と、軟磁性層上に、反強磁性を
示さない状態で反強磁性層を形成する工程と、下地基板
を無磁場中で熱処理することにより、軟磁性層の磁化方
向を第1の方向に制御するための磁気異方性を反強磁性
層に付与する工程とにより磁化方向制御膜を製造するの
で、反強磁性層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を印加
することなく反強磁性層に磁気異方性を付与することが
できる。これにより、他の磁性層の磁化方向に影響を与
えることなく、軟磁性層の磁化方向を、軟磁性層に付与
した一方向異方性磁界方向に制御することができる。
【0046】また、本発明によれば、下地基板上に、第
1の方向に沿った一方向異方性磁界を付与した軟磁性層
を形成する工程と、軟磁性層上に、反強磁性を示さない
状態で反強磁性層を形成する工程と、下地基板を無磁場
中で熱処理することにより、軟磁性層の磁化方向を第1
の方向に制御するための磁気異方性を反強磁性層に付与
する工程とにより磁気センサを製造するので、反強磁性
層の結晶化熱処理時に直流外部磁場を印加することなく
反強磁性層に磁気異方性を付与することができる。これ
により、シールド、ライトポールなどの他の磁気ヘッド
を構成する磁性層の磁化方向に影響を与えることなく、
軟磁性層の磁化方向を、軟磁性層に付与した一方向異方
性磁界方向に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁化方向制御膜の製造方法を示す
工程図である。
【図2】本発明の第1実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法を示す工程断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法により形成した磁化方向制御膜について測定し
た磁化−外部磁界曲線を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による磁化方向制御膜の
製造方法により形成した磁化方向制御膜について測定し
た磁化−外部磁界曲線を示すグラフである。
【図6】本発明の第3実施形態による磁気センサの製造
方法を示す工程断面図(その1)である。
【図7】本発明の第3実施形態による磁気センサの製造
方法を示す工程断面図(その2)である。
【図8】本発明の第4実施形態による磁気センサの製造
方法を示す工程断面図(その1)である。
【図9】本発明の第4実施形態による磁気センサの製造
方法を示す工程断面図(その2)である。
【符号の説明】
10…基板 12…MgO基板 14…軟磁性層 16…反強磁性層 30…下地基板 32…軟質強磁性層 34…非磁性層 36…軟質強磁性層 38…反強磁性層 40…MgO基板 42…軟磁性層 44…反強磁性層 46…強磁性層 48…非磁性層 50…強磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長坂 恵一 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA05 BA16 CA08 DA07 5E049 AA01 AA07 AC00 AC05 BA16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地基板上に、第1の方向に沿った一方
    向異方性磁界を付与した軟磁性層を形成する工程と、 前記軟磁性層上に、反強磁性を示さない状態で反強磁性
    層を形成する工程と、 前記下地基板を無磁場中で熱処理することにより、前記
    軟磁性層の磁化方向を前記第1の方向に制御するための
    磁気異方性を前記反強磁性層に付与する工程とを有する
    ことを特徴とする磁化方向制御膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁化方向制御膜の製造方
    法において、 前記第1の方向に沿った直流磁場中で前記軟磁性層を形
    成することにより、前記軟磁性層に一方向異方性磁界を
    付与することを特徴とする磁化方向制御膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁化方向制御膜の製造方
    法において、 前記軟磁性層を形成した後に、前記第1の方向に沿った
    直流磁場を印加することにより、前記軟磁性層に一方向
    異方性磁界を付与することを特徴とする磁化方向制御膜
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の磁化方向制御膜の製造方
    法において、 表面周期性に異方性を有する前記下地基板上に前記軟磁
    性層を形成することにより、前記軟磁性層に一方向異方
    性磁界を付与することを特徴とする磁化方向制御膜の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の磁化方向制御膜の製造方
    法において、 前記下地基板は、MgO(110)基板又はサファイア
    (0001)基板であることを特徴とする磁化方向制御
    膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    磁化方向制御膜の製造方法において、 前記反強磁性層は、PdMn層、PtMn層又はPdP
    tMn層であることを特徴とする磁化方向制御膜の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    磁化方向制御膜の製造方法において、 前記反強磁性層に磁気異方性を付与する工程では、前記
    軟磁性層のネール温度よりも低い温度で熱処理を行うこ
    とを特徴とする磁化方向制御膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 下地基板上に、第1の方向に沿った一方
    向異方性磁界を付与した軟磁性層を形成する工程と、 前記軟磁性層上に、反強磁性を示さない状態で反強磁性
    層を形成する工程と、 前記下地基板を無磁場中で熱処理することにより、前記
    軟磁性層の磁化方向を前記第1の方向に制御するための
    磁気異方性を前記反強磁性層に付与する工程とを有する
    ことを特徴とする磁気センサの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100487611B1 (ko) * 2002-07-24 2005-05-24 (주) 아모센스 박막형 자계센서 제조방법
JP2011129930A (ja) * 2009-12-21 2011-06-30 Commissariat A L'energie Atomique & Aux Energies Alternatives 同一の基板上に形成されそれぞれの異なる磁化の向きを有する磁気構造を備えるデバイスの製造
JP2011145300A (ja) * 2007-07-26 2011-07-28 Magic Technologies Inc Mr素子の磁化方法
US9753100B2 (en) 2014-02-26 2017-09-05 Denso Corporation Magnetic sensor

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