JP2000058264A - El素子及びそれを用いた表示装置 - Google Patents
El素子及びそれを用いた表示装置Info
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Abstract
適な発光色にすることができる多色表示可能なEL素子
を提供する。 【解決手段】 ガラス基板1上に、順次、ストライプ状
の第1電極2、第1絶縁層3、赤、緑、青の異なる発光
色を発光する複数の発光層4〜6、第2絶縁層7、第1
電極2と直交するストライプ状の第2電極8が形成され
ている。各発光層4〜6は第1電極2に沿ったストライ
プ形状をなし、Sr1-x Cax S膜を同一の発光母材と
して構成されており、この発光母材に添加されている発
光中心材料は、青色発光層4がCu+ 、緑色発光層5が
Ce3+、赤色発光層6がEu2+である。Sr1-x Cax
S膜のx値を0.4〜0.6にすることで、最適な表示
色を得ることができる。
Description
発光型のセグメント表示やマトリックス表示、或いは各
種情報端末機器のディスプレイなどに使用されるEL
(エレクトロルミネッセンス)素子及びそれを用いた表
示装置に関する。
示のEL素子(ELディスプレイ)は、一対の電極で挟
まれた複数の異なる発光色を発光する発光素子を、例え
ば同一基板上に形成した構成であり、各発光素子からの
発光中心に応じた発光色に加えて、これらの合成色を得
ることができ、マルチカラーやフルカラーの多色表示に
対応することができる。
示において表示色は、各発光素子からの発光色によって
一義的に決定されるため、最適な発光色を選択すること
が困難であるという問題がある。例えば、合成色として
白色を得ようとしても、例えば赤みがかった白色が得ら
れるといったことが生じる。
とができ、その結果最適な発光色にすることができるE
L素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的
とする。
いて発光中心が添加される発光母材の構成を工夫するこ
とに着目し、種々の発光母材について鋭意検討した結果
に基づいてなされたものである。即ち、請求項1記載の
発明においては、異なる発光色を発光する複数の発光素
子(4〜6)を有し、各々の発光素子(4〜6)がSr
1-x Cax Sを同一の発光母材として構成されているこ
とを特徴としている。
SとCaSは、ともに結晶構造が岩塩型構造であり、格
子定数はそれぞれ0.601nm、0.568nmとな
っている。これらが混晶を作ると、結晶構造が同じなた
めに各々の結晶の存在比率に応じて格子定数が変化する
ことになる。この格子定数の変化を調整することで、発
光素子の発光波長を変化させることができる。
材で構成した場合には、各発光素子間において異なる発
光母材の原子が拡散して、個々の発光素子の発光色が変
化し、色純度が低下してしまうという不具合が起こる
が、本発明では、各々の発光素子(4〜6)がSr1-x
Cax Sを同一の発光母材として構成されているから、
そのような原子拡散は無く、発光素子の発光色変化を防
止できる。
おけるSrとCaとの原子比率を調整することで、該発
光母材を用いた異なる発光色を発光する複数の発光素子
(4〜6)の発光色を変化させることができ、該複数の
発光素子(4〜6)による合成色を表示色として最適な
ものに設定することができる。また、本発明者等の検討
によれば、Sr1-x Cax Sにおいて、上記の混晶によ
る格子定数の変化を良好に発揮させるには、請求項2記
載の発明のように、xの値は0.1〜0.9の範囲とす
ることが好ましい。
の発光素子(4〜6)として赤、緑、青を発光する発光
素子を用いること、及び発光素子(4〜6)の発光母材
をSr1-x Cax Sにより構成することが相まって、
赤、緑、青及びこれらを合成色としたマルチカラーある
いはフルカラーの多色表示において、最適な発光色にす
ることができる。
数の発光素子(4〜6)は、それぞれ、Sr1-x Cax
Sに発光中心としてCu、Ce、Euを含むものにでき
る。それによって、Cuにより青発光がなされ、Ceに
より緑発光がなされ、Euにより赤発光がなされる。そ
して、Sr1-x Cax SにおけるSrとCaとの原子比
率を調整し、格子定数の変化を調整することで、上記各
発光中心の発光波長を変化させることができ、赤、緑、
青及びこれらを合成色とした多色表示において、最適な
発光色にすることができる。
発光中心、Cu、Ce、Euは、それぞれCu+ 、Ce
3+、Eu2+の形でSr1-x Cax Sに存在していること
が好ましい(請求項5)。これは、以下の理由による。
即ち、Sr1-x Cax Sを構成するSrSとCaSにお
いて、SrSにCaSを添加していくと、格子定数は小
さくなっていく。ここで、青発光中心であるCu+ は
(3d)10−(3d)9 (4s)遷移で発光するため
に、格子定数の減少に伴い発光波長が短くなる。
(4f)−(5d)遷移であり、赤発光中心であるEu
2+は(4f)7 −(4f)6 (5d)遷移とf−d遷移
であるために、格子定数の減少に伴って発光波長は長く
なる。この現象を利用することで、上記各イオンの遷移
における発光波長を、赤、緑、青の色純度を向上させる
方向に変化させることができる。
板上における配列形態としては、請求項6記載の発明の
ようにストライプ状としたり、請求項7記載の発明のよ
うにデルタ形状とすることができ、これらの配列形態を
有するEL素子を用いた表示装置を提供できる。また、
請求項8記載の発明によれば、赤、緑、青を発光する発
光素子から構成された膜状の複数の発光素子(4〜6)
を積層することにより、赤、緑、青を合成色とした最適
な白色発光を行なうEL素子を提供することができる。
実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例であ
る。
基板上に異なる発光色を発光する複数の発光素子を有
し、各々の発光素子が一対の電極間に挟まれてなる多色
表示型の薄膜EL素子(EL表示装置)において、複数
の発光素子をストライプ状に繰り返して配列したものと
して説明する。
素子配列を示した平面図、図2は図1のA−A’断面図
である。EL素子100は、透明な絶縁性基板であるガ
ラス基板(基板)1上に順次、以下の薄膜を積層するこ
とで形成されている。ガラス基板1上には、光学的に透
明なITO(Indium Tin Oxide)膜か
ら成るストライプ状の第1電極(ロウ電極、図1にて破
線図示)2が形成され、第1電極2及び第1電極2間の
ガラス基板1上には、光学的に透明な絶縁膜から成る第
1絶縁層3が形成されている。
(G)および赤色(R)を発光する複数の発光層(発光
素子)4、5、6が、各々、第1電極2と平行に且つ第
1電極2よりも太い線幅にてストライプ状に配列されて
いる。発光層(青色発光層)4は青色発光を示すSr
1-x Cax S:Cu+ であり、発光層(緑色発光層)5
は緑色発光を示すSr1-x Cax S:Ce3+であり、発
光層(赤色発光層)6は赤色発光を示すSr1-x Cax
S:Eu2+である。
晶であるSr1-x Cax Sを発光母材(母体材料)とす
る膜を形成し、Cu+ を発光中心材料として添加するこ
とで青色発光層4が形成され、Ce3+を発光中心材料と
して添加することで緑色発光層5が形成され、Eu2+を
発光中心材料として添加することで赤色発光層6が形成
される。
上述した値にすると発光輝度を最も大きくできる。これ
ら発光層4〜6及び各発光層4〜6間の第1電極2上に
は、光学的に透明な絶縁膜から成る第2絶縁層7が形成
されている。そして、第2絶縁層7の上には、光学的に
透明な酸化亜鉛(ZnO)やITO膜から成るストライ
プ状の第2電極(カラム電極)8が第1電極2と略直交
するように形成されている。
ライプの交点9に、表示部が形成される。つまり、図示
しない制御回路等から両電極2、8の交点9に所定電圧
を印加することにより、一対の電極2、8に挟まれた各
発光層4〜6を各色に発光させることができる。そし
て、所望の交点(表示部)9において、印加電圧を調整
することにより、発光、非発光を行い、各交点9の発光
色(赤、緑、青)の混在により各発光色が合成され、マ
ルチカラー表示或いはフルカラー表示が可能となる。
り第1電極2)側又は第2電極8側のどちらから行なっ
てもよいが、ガラス基板1側から光を取り出すときに
は、光の利用効率を高めるために、第2電極8を反射率
の高いアルミニウム(Al)や銀(Ag)などの金属と
してもよい。さらに、第2電極側8から光を取り出す場
合は、同様に第1電極2にアルミニウムや銀を用いても
よい。
の製造方法の一例(第1の例)について、説明する。先
ず、ガラス基板1上に、ITO膜からなる第1電極2
を、スパッタ法にて成膜する。具体的には、上記ガラス
基板1の温度を一定に保持したまま、スパッタ装置内を
真空に排気する。その後、アルゴン(Ar)と酸素(O
2 )の混合ガスを導入し、1kWの高周波電力で成膜を
行いう。その後、エッチング等によりストライプ状にパ
ターニングする。
O膜(Al2 O3 /TiO2 積層膜)から成る第1絶縁
層3をALE(原子層エピタキシャル)法により形成す
る。具体的には、ガラス基板1の温度を一定に保持し、
ALE装置内を真空に排気する。その後、三塩化アルミ
ニウム(AlCl3 )及び水(H2 O)の各ガスを交互
に導入し、Al2 O3 膜を形成する。次に、AlCl3
の供給を停止し、代わりに四塩化チタン(TiCl4 )
及び水(H2 O)の各ガスを、交互に導入してTiO2
膜を形成する。以上のAl2 O3 膜及びTiO2 膜のガ
ス供給サイクルを繰り返すことにより、Al2 O3 /T
iO2 積層膜を形成する。
光母材(母体材料)となるSr1-xCax S膜を有機金
属気相成長(MOCVD:Metal Organic
Chemical Vapor Depositio
n)法により形成する。具体的な成膜方法として、ガラ
ス基板1を550℃の一定温度に保持し、成膜室内を
0.1気圧程度の減圧雰囲気になるように、自動圧力調
節器にて排気量をコントロールする。
昇華温度が格段に低く、温度制御性が優れていることか
ら、ビスジピバイルメタン化カルシウム(Ca(C11H
20O 2 )2 )を用い、この原料を充填した原料容器を2
25±1℃以内の精度で一定温度に保持する。ガス化し
たビスジピバイルメタン化カルシウムを反応炉に輸送す
るために用いるアルゴン(Ar)ガスは、同原料を充填
した原料容器内に導入される直前に、脱水フィルターに
て十分に水分を除去する。前記アルゴンガスにてビスジ
ピバイルメタン化カルシウムを反応炉内に導入する。
シクロペンタジニエルストロンチウムTHF付加物(S
rCp2 ・THF2)を用いた。このときビスペンタメ
チルシクロペンタジニエルストロンチウムTHF付加物
の原料気化器内圧力を30〜50Torrの間で一定に
保持し、また、150℃以下の温度で加熱して一定温度
に安定したことを確認した後で、水素(H2 )ガスをキ
ャリアガスに用いて反応室内に原料を送り込み、薄膜形
成速度を調節する。
S)とする。Sr1-x Cax S膜は、前記カルシウム原
料、ストロンチウム原料および硫黄原料の成膜室に導入
する量を調整することで化学量論的組成を決定する。な
お、本実施形態では、カルシウム原料に、ビスジピバロ
イルメタン化カルシウム(Ca(C11H20O2 )2 )を
用いたが、この他に、ビスジピバロイルメタン化カルシ
ウム・テトラエチレンペンタミン付加物(Ca(C11H
19O2 )2 ・(C8 N5 H23)2 )、ビスジピバロイル
メタン化カルシウム・トリエチレンテトラミン付加物
(Ca(C11H19O2 )2 ・(C6 N4 H18)2 )等
も、同様に用いることができる。
2 S)を用いたが、ジエチル硫黄(S(C2 H5 )、メ
チルメルカプタン(CH3 SH)、ジターシャリーブチ
ル硫黄((t−C4 H9 )2 S)等も、同様に用いるこ
とができる。なお、本例では、MOCVD法で発光層の
発光母材Sr1-x Cax S膜を成膜する方法を述べてき
たが、所定の化学量論的組成のターゲットを用いたRF
スパッタ法や電子ビーム蒸着法で作製してもよい。この
とき、硫黄原子は成膜中に抜けやすいので、硫化水素を
成膜中に反応室内に導入することが望ましい。
ち込みにて発光層の発光母材(母体材料)であるSr
1-x Cax S膜中に添加する。具体的には、まず、青色
発光層4を作製する際に、ガラス基板1上で、図1の青
色発光層1を形成する領域だけレジストを開口して、C
u+ イオンを打ち込む。打ち込みイオンの量は、発光母
材Sr1-x Cax S膜に対して0.05〜2mol%に
することが好ましい。打ち込みCu+ イオン量が0.0
5mol%以下や2mol%以上になると発光輝度が極
端に小さくなる。
の形成領域よりも少し小さくしておくことが好ましい。
このときのレジスト材料は、青色発光層4を形成しない
ところにはイオンが導入されないように、阻止能が大き
いネガレジストを用いることが好ましい。イオン打ち込
みのエネルギーは、Sr1-x Cax S膜の厚さに応じて
Cu+ イオンの深さ方向への分布ができるだけ均一にな
るように調整する。
し、緑色発光層5を形成する領域だけレジストを開口し
て、Ce3+イオンを打ち込む。打ち込みイオンの量は、
発光母材Sr1 -xCax S膜に対して0.05〜0.5
mol%にすることが好ましい。打ち込みCe3 + イオ
ン量が0.05mol%以下や0.5mol%以上にな
ると発光輝度が極端に小さくなる。さらに、好ましく
は、0.05〜0.2mol%にすればよい。この範囲
にすれば、発光色の再現性が向上する。
だけレジストを開口して、Eu2+を打ち込む。打ち込み
イオンの量は、発光母材Sr1-x Cax S膜に対して
0.02〜2mol%にすることが好ましい。打ち込み
Eu2+イオン量が0.02mol%以下や2mol%以
上になると発光輝度が極端に小さくなる。そして、エッ
チング等によりパターニングしてストライプ状の複数の
発光層4〜6を形成する。なお、本第1の例では、青
色、緑色そして赤色の順で、発光層4〜6を形成した
が、順序はどのようにしても構わない。
Cu+ 、Ce3+、Eu2+イオンを各々活性化するため
に、600℃以上の温度で熱処理を行う。熱処理方法
は、熱処理炉で行ってもよいし、ランプアニール法を用
いてもよいし、レーザーアニール法を用いてもよい。次
に、ATO膜から成る第2絶縁層7を、第1絶縁層3と
同様の方法により形成する。その後、酸化亜鉛膜から成
る第2電極8を、第2絶縁層7上にパターニング形成す
る。
100が出来上がる。なお、上記第1の例では、発光層
の発光母材であるSr1-x Cax S膜に発光中心材料を
イオン打ち込みで行う場合について述べたが、製造方法
の第2の例として、Sr1-xCax S膜と発光中心材料
とを交互に成膜して熱拡散により均質化を行う方法によ
り、発光層を成膜してもよい。
方法により、ガラス基板1上に第1電極2およびATO
膜から成る第1絶縁層3を形成した後、第1絶縁層3上
に、発光層となる発光母材Sr1-x Cax S膜と発光中
心材料を所定の比率になるように有機金属気相成長法
(MOCVD)により形成する。Sr1-x Cax S膜
は、上記第1の例と同じように作製する。
発光中心材料として、青色発光層4を形成する位置にC
uを、緑色発光層5を形成する位置にCeを、赤色発光
層6を形成する位置にEuを、それぞれMOCVD法で
成膜する。その後、Cu、Ce、Euの各膜が積層され
たSr1-x Cax S膜を600℃以上の温度(例えば1
000℃)で熱処理を行い、熱拡散により均質化を行
う。こうして各発光層4〜6が形成される。
縁層7及び第2電極8を形成し、EL素子100が出来
上がる。なお、第2の例では、発光母材および発光中心
材料をMOCVD法で作製したが、発光母材に対する発
光中心材料の添加率が所定の量にすれば、スパッタ法や
電子ビーム蒸着法を用いてもよい。また、発光中心材料
の添加量は、第1の例で述べた量と同じにすればよい。
つまり、どのような方法で発光層を作製するにしろ発光
母材に対して適切な量の発光中心材料が添加されればよ
いことになる。
0の構成及びその製造方法について述べてきたが、次
に、発光層の発光母材(母体材料)であるSr1-x Ca
x S膜の化学量論的組成を変化させて、各々の発光素子
4〜6の色をどのように最適化するのかを説明する。図
3は、発光母材Sr1-x Cax S膜のx値を変化させた
ときの各EL発光素子のメインピークの位置の変化を示
した図である。
し、縦軸はメインピークの発光波長を示している。30
1は発光中心材料がCu+ イオンである青色発光層4の
発光波長変動を表し、302は発光中心材料がCe3+イ
オンである緑色発光層5の発光波長変動を表し、303
は発光中心材料がEu2+イオンである赤色発光層6の発
光波長変動を表している。この図の発光波長は、輝度が
最高になるように発光中心材料の添加量を最適化したと
きの値である。
ると、Cu+ イオンを添加した場合(301)とCe3+
イオンを添加した場合(302)とでメインピークが同
じになり、発光色を大きく変えることができない。ま
た、発光母材をCaS膜とすると、Cu+ イオンを添加
した場合(301)は赤みがかった青色となり、Eu2+
イオンを添加した場合(303)は暗い赤色となり見に
くくなってしまう。
S膜とCaS膜の混晶にすれば、各々の材料の化学量論
的組成比に比例して発光波長が変動するので、最適な発
光色を選択することができる。化学量論的組成比に比例
して発光波長が変動する理由は、上記解決手段の欄にて
説明した通り、Sr1-x Cax Sの格子定数の変化によ
るものである。
Sr1-x Cax S膜の化学量論的組成比に応じて直線的
に変動するので、色座標についても、SrS膜およびC
aS膜中に各々の発光中心を添加したときの色座標が分
かれば直線的に変動することがわかる。SrS膜とCa
S膜に、これらのイオンを添加したときの発光輝度およ
び発光のしきい値電圧はほぼ同じであるので、発光色の
変動は各膜の化学量論的組成に比例する。
をCIE(国際照明委員会)色座標に表したのが図4で
ある。401はCu+ イオンを添加した青色発光層4の
色の変化範囲を表した線であり、402はCe3+イオン
を添加した緑色発光層5の色の変化範囲を表した線であ
り、403はEu2 + イオンを添加した赤色発光層6の
色の変化範囲を表した線である。なお、図4中のxは、
色座標におけるx座標であり、Sr1-x Cax S膜のx
値ではない。
0.1〜0.9の範囲にすれば、青、緑、赤の色が原色
に近づき色純度のよい表示装置としてのEL素子を作製
することができる。さらに、x値を0.4〜0.6にす
れば色三角形が大きくなり、表示色が多くより好ましい
EL素子を作製することができる。ここで、発光層の発
光母材Sr1-x Cax S膜のx値が変動したときに発光
スペクトルがどのように変動するかについて、その具体
例を図5ないし図8に示す。
値を変化させたときのフォトルミネッセンススペクトル
を示す。測定は室温で行った。501はx=1であるC
aS:Cu+ 膜のスペクトルであり、502はx=0.
5であるSr0.5 Ca0.5 S:Cu+ 膜のスペクトルで
あり、503はx=0であるSrS:Cu+ 膜のスペク
トルである。
にしたエレクトロミネッセンススペクトルで、この発光
層は上記EL素子100の構成に基づいて作製してい
る。このときのCIE色座標における色座標は、(x、
y)=(0.18、0.28)であった。また、これら
図5及び図6に示した材料のCu+ イオン濃度は、0.
1mol%とした。
材のx値を変化させることで、420〜480nmまで
変化することがわかる。図5はフォトルミネッセンスス
ペクトルであるが、SrS:Cu+ 膜(図5の503)
は、図6に示すエレクトロミネッセンススペクトルとほ
ぼ同じになることから、発光母材のx値の変動に対し
て、エレクトロミネッセンススペクトルもフォトルミネ
ッセンススペクトルと同様の変動があると考えられる。
に基づいて作製した発光層としてのSrS:Ce3+膜
(図中701)及びCaS:Ce3+膜(図中702)の
ELスペクトルを各々示す。これらの材料のCe3+イオ
ン濃度は0.1mol%とした。これから、発光母材の
x値の変化に伴って発光波長は480〜510nmまで
変化することがわかる。また、このとき、色座標は、
(x、y)=(0.21、0.39)〜(0.29、
0.52)まで変化する。
に基づいて作製した発光層としてのSrS:Eu2+膜
(図中801)、Sr0.5 Ca0.5 S:Eu2+膜(図中
802)およびCaS:Eu2+膜(図中803)のEL
スペクトルを各々示す。これらの材料のEu2+イオン濃
度は0.1mol%とした。これから、発光母材のx値
の変化に伴って、発光波長は610〜650nmまで変
化することがわかる。このとき、色座標は、(x、y)
=(0.61、0.38)〜(0.68、0.31)ま
で変化した。
材の化学量論的組成の変動に伴って、発光波長を変化さ
せることができ、それにより、EL素子100において
発光層4〜6の表示色を最適化できる。以上述べてきた
ように、本実施形態のEL素子100は、異なる発光色
を発光する複数の発光層4〜6を有し、各々の発光素子
4〜6がSr1-x Cax Sを同一の発光母材として構成
されていることを特徴としている。
SrSとCaSとの混晶であるSr 1-x Cax Sにおい
て、SrとCaとの原子比率即ちx値(モル比)を調整
することで、各々の結晶の存在比率に応じて格子定数が
変化させ、この格子定数の変化を調整することで、発光
層(発光素子)4〜6の発光波長を変化させることがで
きる。
々別々の発光母材で構成した場合には、異種発光母材間
の原子拡散が起こるが、本実施形態では、各々の発光層
4〜6がSr1-x Cax Sを同一の発光母材として構成
されているから、成膜中等に上記原子拡散が起こらず、
発光層4〜6の発光色変化を防止できる。従って、複数
の発光層4〜6による合成色を表示色として最適なもの
に設定することができる。
において、青発光中心としてCu+、緑発光中心として
Ce3+、赤発光中心としてEu2+を用いること、及び発
光母材をSr1-x Cax Sにより構成することが相まっ
て、上記解決手段の欄にて述べたように、赤、緑、青の
色純度を向上させることができ、赤、緑、青及びこれら
を合成色としたマルチカラーあるいはフルカラーの多色
表示において、最適な発光色にすることができる。
緑、青を発光する発光素子から構成された膜状の複数の
発光素子を積層することにより、赤、緑、青を合成色と
した最適な白色発光を行なうEL素子を提供するもので
ある。図9に本実施形態のEL素子200の断面構成を
示す。なお、上記第1実施形態と同一部分には、図9
中、同一符号を付し、説明を省略する。
1電極2およびATO膜(Al2 O 3 /TiO2 積層
膜)から成る第1絶縁層3が形成されている。そして、
第1電極2及び第2電極7の交点9には、発光層(発光
素子)4〜6が、ガラス基板1に垂直な方向に積層され
ている。つまり、ガラス基板1の垂直方向(図9の上
方)からみた場合、積層された発光層4〜6は、マトリ
クス状をなす。
青色発光層4、緑色発光層5、赤色発光層6の順に積層
されているが、これらの3層はどのような順序で積層し
ても構わない。発光色を白色に合わせる方法としては、
例えば各発光層4〜6の膜厚等を変えることで、各々の
発光色の強度を調整すればよい。そして、積層された発
光層4〜6及び第1絶縁層3の上には、ATO膜から成
る第2絶縁層7が形成され、その上には、酸化亜鉛(Z
nO)膜から成る第2電極8が形成されている。
記第1実施形態と同様の製造方法を適用することにより
形成することができる。本実施形態においても、上記第
1実施形態と同様に、上記図3〜図8に示す特性を有す
るものとできる。そして、本実施形態では、青色発光層
4、緑色発光層5、赤色発光層6が積層された構成とな
っているから、赤、緑、青を合成色とした最適な白色発
光を行なうことができる。
材料としては、Sm等、青発光の発光中心材料として
は、Tm等、緑発光の発光中心材料としては、Tb、E
r、Dy等、を上記Cu、Ce、Euの他に用いること
ができる。また、上記図1では、青色、緑色および赤色
の各発光層4〜6を、第1電極2と平行にストライプ状
に配列してあるが、第2電極8と平行にストライプ状に
配列してもよい。このとき、各発光層4〜6の幅は、両
電極2、8の線幅よりも太くすればよい。
〜6は、互いに間隔を開けた形でストライプを形成して
いるが、赤(R)、緑(G)、青(B)によってストラ
イプが形成されれば、隣接する各発光層が互いに接して
いても良いし、更には、連続的につながっていても良
い。このように、発光層が接するか、或いは、連続的に
つながっていても、各発光層は同一の発光母材であるた
め、上記原子拡散は起こらない。
び赤色の各発光層4〜6をデルタ形状に配列してもよ
い。この形状にすれば、表示装置を見るときの色の混ざ
りかたがよくなり、より鮮やかな色を示すようになる。
そして、デルタ配列に応じてイオン打ち込み領域やMO
CVD法におけるCu、Ce、Euの各膜の成膜領域を
設定すればよい。
縁層の構成は、適宜設計変更してもよい。
成を示す説明図である。
と発光波長との関係を示す図である。
標を示す図である。
ミネッセンススペクトル図である。
ロルミネッセンススペクトル図である。
ロルミネッセンススペクトル図である。
ロルミネッセンススペクトル図である。
成を示す説明図である。
緑色発光層、6…赤色発光層、8…第2電極。
Claims (8)
- 【請求項1】 基板(1)上に異なる発光色を発光する
複数の発光素子(4〜6)を有し、各々の前記発光素子
(4〜6)が一対の電極(2、8)間に挟まれてなるE
L素子において、 前記複数の発光素子(4〜6)は、Sr1-x Cax Sを
同一の発光母材として構成されていることを特徴とする
EL素子。 - 【請求項2】 前記Sr1-x Cax Sにおいて、xの値
は0.1〜0.9の範囲とすることを特徴とする請求項
1に記載のEL素子。 - 【請求項3】 前記複数の発光素子(4〜6)は、赤、
緑、青を発光する発光素子から構成されていることを特
徴とする請求項1または2に記載のEL素子。 - 【請求項4】 前記複数の発光素子(4〜6)は、それ
ぞれ、前記Sr1-xCax Sに発光中心としてCu、C
e、Euを含むものであることを特徴とする請求項3に
記載のEL素子。 - 【請求項5】 前記Cu、Ce、Euは、それぞれCu
+ 、Ce3+、Eu2+の形で前記Sr1-x Cax Sに存在
していることを特徴とする請求項4に記載のEL素子。 - 【請求項6】 前記複数の発光素子(4〜6)は、前記
基板(1)上にストライプ状に繰り返して配列されてい
ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに
記載のEL素子を用いた表示装置。 - 【請求項7】 前記複数の発光素子(4〜6)は、前記
基板(1)上に点在するデルタ形状に繰り返して配列さ
れていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
1つに記載のEL素子を用いた表示装置。 - 【請求項8】 前記複数の発光素子(4〜6)は膜状で
あり、積層されていることを特徴とする請求項3ないし
5のいずれか1つに記載のEL素子。
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JP10223221A JP2000058264A (ja) | 1998-08-06 | 1998-08-06 | El素子及びそれを用いた表示装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10223221A JP2000058264A (ja) | 1998-08-06 | 1998-08-06 | El素子及びそれを用いた表示装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2000058264A (ja) |
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- 1998-08-06 JP JP10223221A patent/JP2000058264A/ja active Pending
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