JP2000058023A - アルカリ電池セパレーター - Google Patents

アルカリ電池セパレーター

Info

Publication number
JP2000058023A
JP2000058023A JP10219372A JP21937298A JP2000058023A JP 2000058023 A JP2000058023 A JP 2000058023A JP 10219372 A JP10219372 A JP 10219372A JP 21937298 A JP21937298 A JP 21937298A JP 2000058023 A JP2000058023 A JP 2000058023A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
anhydride
ionomer
copolymer
carboxylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10219372A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Tateno
均 舘野
Kazuyuki Nakada
一之 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd filed Critical Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
Priority to JP10219372A priority Critical patent/JP2000058023A/ja
Publication of JP2000058023A publication Critical patent/JP2000058023A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ電解液の浸透性と保持性に優れた電
池セパレーターにおいて、スルフォン化に代わる手段と
して、アイオノマーによって親水性を付与した不織布を
用いた電池セパレーターの提供。 【解決手段】第一成分:エチレン・不飽和カルボン酸
(例:(メタ)アクリル酸)共重合体 第二成分:融点が125℃以上の繊維形成可能なポリオ
レフィン(例:PP)からなり、第一成分が少なくとも
表面の一部(好ましくは40%以上)を占める複合繊
維、特に第一成分が鞘成分、第二成分が芯成分である芯
鞘型複合繊維からなる不織布、又はこの複合繊維40重
量%以上とポリオレフィン系繊維60重量%以下とから
形成される不織布の表面に、エチレン・(メタ)アクリ
ル酸共重合体等のカリウムアイオノマー(中和度60%
以上)の水性分散液を塗布又は含浸させてなるアルカリ
電池セパレーター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ電解液の
浸透性と保持性に優れた電池セパレーターに関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル−カドミウム電池等、電解液に
アルカリ水溶液を用いる、いわゆるアルカリ電池の正極
と負極との直接放電を防ぐための隔膜(セパレーター)
は従来から、化学的に安定なポリオレフィン繊維を熱接
着等により成形した不織布が一般に用いられている。ま
た、不織布に成形する際には、熱接着性に優れた低融点
樹脂を芯鞘構造の鞘成分や分割型構造の一成分に用いる
ことも一般的である。更に、アルカリ電池セパレーター
は、強アルカリの電解液に対する耐薬品性、充電時に発
生する酸素に対する耐酸化性に加え、電解液の浸透性や
保持性に優れるものが求められてきた。しかしながら、
ポリオレフィン系複合繊維は一般的に親水性に乏しく、
アルカリ電池セパレーターとして用いるには電解液の浸
透性や保持性に問題があった。
【0003】これを解決するため、ポリオレフィン系繊
維に界面活性剤を施すことが試みられたが、界面活性剤
が徐々に溶出し、親水性が低下するため長期使用に耐え
られないという問題があった。また、特開昭63−34
849ではエチレン・ビニルアルコール共重合体を芯鞘
構造繊維の鞘成分に用いることにより長期親水性を改善
する試みが行われたが、初期からの親水性が不十分であ
るだけでなく充電時に発生する酸素に対する耐酸化性も
不足して、多数回の充放電によりセパレーターの機械的
強度が低下するという問題があった。
【0004】更に、特開昭58−175256、特開昭
64−57568、特開平1−132043や特公平7
−122164では、ポリエチレン系繊維、ポリプロピ
レン系繊維、あるいは、エチレン・不飽和カルボン酸共
重合体を鞘成分に用いた芯鞘複合繊維の表面をスルフォ
ン化処理したもの等を使用する例がある。これらの方法
では、長期安定した親水性を付与することが可能であ
り、機械的強度の保持も満足のいくものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そこに
具体的に開示されているアルカリ電池セパレーターは、
ポリオレフィン系繊維または不織布を発煙硫酸や濃硫酸
等でスルフォン化する工程を経て製造されるものであ
り、成形物製造工程の複雑化、作業環境の悪化、加工装
置の腐食、並びに、スルフォン化処理後の繊維洗浄水の
廃液処理など、実用上、工業化上極めて重大な問題を伴
うものであった。
【0006】そこで本発明者らは、スルフォン化工程に
起因する諸問題を解決しつつ、かつ、長期的にアルカリ
電解液保持性に優れた電池セパレーターを見出すべく鋭
意検討を行った。その結果、後記特定のカリウムアイオ
ノマーを、特定のエチレン共重合体と、繊維形成ポリオ
レフィンとの複合繊維、特に前者を鞘層、後者を芯層と
する複合繊維を熱接着して得られる不織布の表面に付着
させることにより、スルフォン化工程に起因する問題を
伴わずに、優れたアルカリ電池セパレーターを提供し得
ることを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、不飽和カルボ
ン酸又はその無水物の含有量が2〜6.5モル%である
エチレンと不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合
体を第一成分とし、融点が125℃以上の繊維形成可能
なポリオレフィンを第二成分とし、第一成分が少なくと
も表面の一部を占めるこれらの複合繊維からなる不織布
の表面に、不飽和カルボン酸又はその無水物の含有量が
5〜100モル%である不飽和カルボン酸又はその無水
物の単独重合体又はα−オレフィンとの共重合体のカリ
ウムイオンによる中和度が60%以上のアイオノマーの
水性分散液を塗布又は含浸させてなるアルカリ電池セパ
レーターに関する。
【0008】本発明はまた、上記複合繊維40重量%以
上とポリオレフィン系繊維60重量%以下とから形成さ
れる不織布の表面に、不飽和カルボン酸又はその無水物
の含有量が5〜100モル%である不飽和カルボン酸又
はその無水物の単独重合体又はα−オレフィンとの共重
合体のカリウムイオンによる中和度が60%以上のアイ
オノマーの水性分散液を塗布又は含浸させてなるアルカ
リ電池セパレーターに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、第一成分と第
二成分からなる複合繊維であって、第一成分が少なくと
もその表面の一部、好ましくは40%以上、一層好まし
くは60%以上を占める複合繊維の不織布が用いられ
る。
【0010】複合繊維の第一成分は、不飽和カルボン酸
又はその無水物の含量が2〜6.5モル%、好ましくは
2.5〜6モル%のエチレンと不飽和カルボン酸又はそ
の無水物との共重合体である。ここに不飽和カルボン酸
又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、
フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などであり、こ
れらは2種以上使用してもよい。これらの中でも不飽和
カルボン酸として、アクリル酸またはメタクリル酸を用
い、これとエチレンとの共重合体、すなわちエチレン・
(メタ)アクリル酸ランダム共重合体が第一成分として
好適である。
【0011】上記エチレン共重合体において、不飽和カ
ルボン酸又はその無水物の含量が前記範囲より低いと、
電解液と接触する部分の親水基が少なくなり、電解液保
持性が充分でなく、またその含量が多すぎると、電解液
への溶解性が強くなり、長期使用でポリマーの一部もし
くは大部分が溶出し、電池セパレーターの機能を果たさ
なくなる。
【0012】上記エチレン共重合体としてはまた、19
0℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが
0.5〜200g/10分、とくに1〜100g/10
分程度のものを使用するのが好ましい。このような共重
合体は、高温、高圧下、各重合成分をランダム共重合す
ることによって得ることができる。
【0013】複合繊維の第二成分は、融点が125℃以
上、好ましくは130〜240℃の繊維形成可能なポリ
オレフィンであり、例えば、高密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1
−ペンテンなどを例示することができる。第二成分は、
複合繊維の支持体となるもので、第一成分の溶融による
熱接着工程で耐熱性が求められるため、上記のような融
点のものが選択される。
【0014】これらポリオレフィンの中では、成形性、
熱安定性、機械的強度、経済性の観点から、ポリプロピ
レンの使用が最も好ましい。ポリプロピレンは、単独重
合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれも
使用することができる。ポリプロピレンとしては、紡糸
性や抗熱収縮性を考慮すると、230℃、2160g荷
重におけるメルトフローレートが1〜100g/10分
程度のものを使用するのが望ましい。
【0015】複合繊維における第一成分は、熱接着性と
親水性を付与する働きをするものであるため、少なくと
も複合繊維の表面の一部、好ましくは40%以上が第一
成分で占められている必要がある。複合繊維の形態とし
ては、芯・鞘構造のものや、分割型の複合繊維等を用い
ることができるが、第一成分の上記役割を充分発揮させ
るためには、第一成分を鞘成分とし、第二成分を芯成分
とする複合繊維を使用するのが好ましい。
【0016】本発明においては、このような複合繊維の
みからなる不織布を用いてもよく、またこのような複合
繊維40重量%以上、好ましくは50重量%以上とポリ
オレフィン繊維、例えば上記例示のようなポリオレフィ
ン繊維、好ましくはポリプロピレン繊維を60重量%以
下、好ましくは50重量%以下とから形成される不織布
を用いてもよい。すなわち前記複合繊維が40重量%以
上あれば、不織布形成のための充分な接着強度と電池セ
パレーターとしての長期の電解液保液性が得られる。
【0017】不織布の製造は、例えば、複合繊維40重
量%以上と、任意に60重量%以下のポリオレフィン繊
維とから構成される繊維ウェブを、平ロールからなる一
対の加熱ロールを通過させ、加熱、加圧を行い、上記第
一成分の溶融により、構成繊維相互間を熱接着すること
により行うことができる。
【0018】本発明の電池セパレーターは、このような
不織布に特定のアイオノマーの水性分散液を塗布又は含
浸させることによって得られる。
【0019】この目的に使用されるアイオノマーは、不
飽和カルボン酸の単独重合体、あるいは不飽和カルボン
酸又はその無水物の含有量が5モル%以上の不飽和カル
ボン酸又はその無水物とα−オレフィンの共重合体のカ
リウムイオンによる中和度が60%以上のアイオノマー
である。
【0020】ここに不飽和カルボン酸の単独重合体は、
実質的に不飽和カルボン酸のみから構成される重合体を
意味するもので、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、アクリル酸・メタクリル酸共重合体などを言う。
【0021】また上記共重合体における不飽和カルボン
酸又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル
酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、あるいは
これらの2種以上の組み合わせなどである。またα−オ
レフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブテンなどを例示することができる。このよう
な共重合体の代表的なものは、エチレン・(メタ)アク
リル酸共重合体やイソブテン・無水マレイン酸共重合体
である。
【0022】これらの中では、不織布に対して塗布又は
含浸が容易なところから、不飽和カルボン酸又はその無
水物含量が5〜12モル%、とくに5.5〜10モル%
のエチレン共重合体、とりわけエチレン・(メタ)アク
リル酸共重合体を使用するのが好ましい。このような共
重合体は、水溶性ではないが、乳化剤や分散剤を用いな
くても自己分散能により水中に懸濁乃至乳化状態で分散
させることが可能であり、不織布に容易に保持させるこ
とが可能となるからである。このようなエチレン共重合
体としてはまた、190℃、2160g荷重におけるメ
ルトフローレートが5〜500g/10分程度のものを
使用するのが好ましい。このような共重合体も、高温、
高圧下のラジカル共重合によって製造することができ
る。
【0023】上記エチレン共重合体において、不飽和カ
ルボン酸又はその無水物の含量が上記範囲よりも少ない
ものを用いると、電解液への浸透速度が不足し、またそ
の含量が上記範囲より多いものは水溶性となり、不織布
への保持性が劣るようになる。
【0024】本発明で使用されるアイオノマー水性分散
液は、このような不飽和カルボン酸又はその無水物の重
合体又は共重合体のカルボキシル基の60%、好ましく
は70%以上が、カリウムイオンより中和されたもので
ある。カルボキシル基の中和度が前記範囲より小さい
と、電解液の浸透速度が不足するのみでなく、エチレン
共重合体にあっては、均一な水性分散液を得ることが難
しく、その製造条件が過酷になるためである。
【0025】アイオノマーの金属カチオンとしてカリウ
ムを選択するのは、電池の電解液が水酸化カリウムを主
成分とするために、カリウム以外の金属カチオンを使用
すると、電解液の輸率低下の原因となり、好ましくない
からである。
【0026】アイオノマー水性分散液としては、固型分
濃度が5〜45重量%、とくに10〜40重量%程度の
ものを使用するのがよい。
【0027】不織布にアイオノマーを塗布又は含浸する
には、アイオノマー水性分散液に不織布を浸漬する方
法、不織布にアイオノマー水性分散液をスプレー・塗布
する方法などを挙げることができる。上記塗布又は含浸
したのちは、乾燥することによって、アイオノマーを不
織布上に固定することができる。
【0028】不織布上への塗布あるいは含浸によるアイ
オノマーの固定量は、0.05〜5重量%であることが
望ましい。すなわち、その固定量が前記範囲より少ない
と、電解液の浸透速度が不足し、また多すぎると電解液
へ溶出するポリマー量が多くなり、長期使用すると電解
液の輸率低下の原因となり、好ましくない。
【0029】
【作用】アルカリ電池の組み立てに際して、電池セパレ
ーターの親水性が大きければ大きいほど電解液の浸透が
早くなり、電池セパレーターを容器に組み込む速度を上
げることが出来る。しかしながら、親水性の高いポリマ
ーは一般に電解液への溶解性が強くなり、長期使用で親
水性ポリマーの一部もしくは大部分が溶出し、セパレー
ターの機能を果たさなくなってしまう。このため、従来
のアルカリ電池セパレーターは、電解液の浸透と電解液
への溶解性のバランスから、出来るだけ少量の官能基で
高い親水性を発現すべく、繊維表面にスルフォン基をグ
ラフトする技術が主に用いられてきた。
【0030】しかしながら、本発明者は、アルカリ電池
の組み立て時の電解液の浸透に求められる親水性に対し
て、電池として使用される時の電池セパレーターの電解
液保液性に求められる親水性はある程度小さくとも実用
上十分な機能を発現することに着目し、不織布繊維の表
面に極薄い高親水性のカリウムアイオノマー層とその下
部に比較的厚いエチレン・不飽和カルボン酸あるいは不
飽和カルボン酸無水物を配し、各々の共重合組成を適切
に管理することにより最適な電解液の浸透性(初期親水
性)と長期電解液保液性を達成できることを見出したも
のである。
【0031】セパレーター表面に高度の親水性を与え、
電解液の浸透性を良くするためのカリウムアイオノマー
は、従って、不飽和カルボン酸あるいは不飽和カルボン
酸無水物の濃度が高いことが好ましく、あらかじめカル
ボン酸カリウム塩の構造にしておく必要がある。更に、
充放電に伴う発熱等により長期使用の間にカリウムアイ
オノマーの一部もしくは大部分が電解液に溶出するとこ
ろから、繊維表面への付着量は組み立て時に必要な親水
性が得られる範囲で出来るだけ少ないことが好ましい。
このため、本発明ではカリウムアイオノマーの水系分散
液を不織布繊維表面に塗布あるいは含浸するという手段
を用いた。これによりアイオノマーの量は比較的少量で
あるにも拘らず、表面の親水性を効率的に高めることが
できた。
【0032】本発明の第二の重要な点は、上記カリウム
アイオノマー層の直下部に位置する第一成分は、その役
割が、電解液保液性に必要な親水性付与という点にある
ことを考慮すれば、本来はこれもカリウムアイオノマー
であることが好ましいのであるが、本発明では直接カリ
ウムアイオノマーから紡糸するのではなく、繊維加工時
には、紡糸性の優れたエチレン・不飽和カルボン酸ある
いは不飽和カルボン酸無水物を用いて、電解液保液性の
すぐれた不織布を得ることができることにある。一般
に、カリウムアイオノマーは吸水性が高く、溶融粘度が
高いため、紡糸する際に発泡が起こったり、紡糸・延伸
が困難とされているが、本発明はこれらの問題を解消す
るのに効果的である。第一成分がカリウムアイオノマー
でなくとも実質的にはそれと同等の電解液保液性を示す
のは、恐らく繊維表面のカルボン酸が電解液によって中
和され、実質的にカルボン酸カリウム塩が形成されてい
るためと推定される。
【0033】
【発明の効果】本発明に係るアルカリ電池セパレーター
は、従来の技術では不可避の製造工程の複雑さ、装置の
腐食、発煙硫酸や濃硫酸の洗浄に伴って発生する多量の
廃液処理の問題をほとんど伴わずにアルカリ電池セパレ
ーターに求められる機械強度、化学安定性、耐酸化性を
本質的に損なうことなく、優れた電解液浸透性と長期の
電解液保持性を示す。
【0034】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例に用いた原料物質の製法、物
性及び得られたセパレーターの物性評価方法は下記のと
おりである。
【0035】1.エチレンアイオノマー水系分散液の製
造方法 200ml容量、撹拌機付きのステンレス製オートクレ
ーブに蒸留水135g、メタクリル酸含量7.5モル
%、メルトインデックス60g/10minのエチレン
メタクリル酸共重合体45g、水酸化カリウムペレット
4.7g(カルボキシル基の80%中和に相当)を仕込
み、500/minの回転数にて撹拌しながら150℃
で15分間撹拌し、更に撹拌を続けながら室温まで冷却
した。得られたアイオノマー水分散液は無色半透明で、
固形分は25重量%であった。
【0036】2.複合繊維原料 (1)第一成分 表1記載の4種類のエチレンと不飽和カルボン酸との共
重合体及び、比較のため低密度ポリエチレンを用いた。
【0037】
【表1】 * 三井化学(株)製 ”ミラソン”FL60 密度:915Kg/m3
【0038】(2)ポリオレフィン
【0039】3.セパレーターの性能評価方法 (1)電解液浸透性 アイオノマー水性分散液で処理した不織布を直径50m
mの円形に切り取ったものを試験片とし、これを30重
量%KOH水溶液の液面に浮かせた時に、試験片が完全
に濡れるまでの時間を測定した。
【0040】(2)電解液耐久性 処理した不織布を直径50mmの円形に切り取ったもの
を試験片とし、これを30重量%KOH水溶液に50℃
で、30日間浸漬し、オーブンで加熱乾燥(80℃、1
0分間)したのち、上記(1)の電解液浸透性の試験方
法に従い、電解液の濡れ時間を測定した。
【0041】(3)電解液吸液速度 処理した不織布を25mm×200mmの短冊状に切り
取ったものを試験片とし、この試験片の底部5mmを3
0重量%KOH水溶液に浸した時の、30分後の液の高
さを測定した。
【0042】(4)サイクル寿命性能 容量700mA・hのニッケル−水素電池に各セパレー
ターを組み込み、20℃において、充電400mA×3
h、放電1Ω定抵抗放電×2hを1サイクルとして、所
定回数繰り返した時の初期容量を100%とする放電容
量の保持率を求めた。
【0043】[実施例1]第1成分としてEMAA
を、第2成分としてポリプロピレン(三井化学社製ハイ
ポールJ800)を用い、前者を鞘成分、後者を芯成分
とし、容積比が50:50である芯鞘複合繊維を、紡糸
温度250℃で溶融紡糸した。紡糸後、60℃の温水中
で延伸し、繊度2デニールの複合繊維を得た。この複合
繊維をスクリーンベルト上にランダムに配列させ、12
0℃に加熱されたエンボスロール間を通過させることに
より、目付け70g/m2 、厚さ0.2mmの不織布シ
ートを得た。
【0044】次に、該不織布シートをエチレンアイオノ
マー水性分散液にディッピングし、水切り後140℃の
エアーオーブン中に10分間放置することにより乾燥を
行った。このディッピング処理前後の不織布シートの重
量変化より求めた、不織布シートに対するエチレンアイ
オノマー水性分散液固形分の含浸量は0.9重量%であ
った。
【0045】得られた不織布シートの電解液浸透性、耐
久性、吸液速度、並びに、サイクル寿命性能を評価し
た。結果を表2に示す。
【0046】[実施例2、3]実施例1において、第1
成分(鞘成分)としてEMAAの代わりにEMAA
、或いは、EAAを用いた以外は実施例1と同様に
して不織布シートを作成した。エチレンアイオノマー水
性分散液固形分の含浸量は、それぞれ0.8、1.2重
量%であった。得られた不織布シートの電解液浸透性、
耐久性、吸液速度、並びに、サイクル寿命性能を評価し
た。結果を表2に示す。
【0047】[実施例4]実施例1で得られた複合繊維
(繊度2デニール)60重量%とポリプロピレン(三井
化学社製ハイポールJ800)単独から得られる繊度
1.5デニールの繊維40重量%の混合ウェブをスクリ
ーンベルト上にランダムに配列させ、120℃に加熱さ
れたエンボスロール間を通過させることにより、目付け
7g/m2 、厚さ0.2mmの不織布シートを得た。
【0048】この不織布シートを、実施例1と同様にし
てエチレンアイオノマー水性分散液で処理し(固形分の
含浸量0.8重量%)、得られた不織布シートの電解液
浸透性、耐久性、吸液速度、並びに、サイクル寿命性能
を評価した。結果を表2に示す。
【0049】[比較例1、2]実施例1において、鞘成
分としてEMAAの代わりにEMAA、或いは、L
DPEを用いた以外は実施例1と同様にして不織布シー
トを作成した。エチレンアイオノマー水性分散液固形分
の含浸量は、いずれも0.7重量%であった。得られた
不織布シートの電解液浸透性、耐久性、吸液速度、並び
に、サイクル寿命性能を評価した。結果を表3に示す。
【0050】[比較例3]実施例1で得られた不織布シ
ートに、エチレンアイオノマー水性分散液のディッピン
グ処理を施さず、そのままで電解液浸透性、耐久性、並
びに、吸液速度を評価した。結果を表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L033 AB02 AB07 AC15 CA12 CA18 CA69 DA07 4L041 AA03 AA14 AA20 BA05 BA21 BC20 BD20 CA40 CA41 DD01 EE20 4L047 AA14 AA17 AA27 AB10 BA08 CA00 CB07 CB10 CC12 DA00 EA00 5H021 BB12 CC01 CC02 EE04 EE06 EE15 EE23 HH01 HH06 5H028 AA01 BB03 EE06 EE08 HH01 HH08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸又はその無水物の含有
    量が2〜6.5モル%であるエチレンと不飽和カルボン
    酸又はその無水物との共重合体を第一成分とし、融点が
    125℃以上の繊維形成可能なポリオレフィンを第二成
    分とし、第一成分が少なくとも表面の一部を占めるこれ
    らの複合繊維からなる不織布の表面に、不飽和カルボン
    酸又はその無水物の含有量が5〜100モル%である不
    飽和カルボン酸又はその無水物の単独重合体又はα−オ
    レフィンとの共重合体のカリウムイオンによる中和度が
    60%以上のアイオノマーの水性分散液を塗布又は含浸
    させてなるアルカリ電池セパレーター。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複合繊維40重量%以上
    とポリオレフィン系繊維60重量%以下とから形成され
    る不織布の表面に、不飽和カルボン酸又はその無水物の
    含有量が5〜100モル%である不飽和カルボン酸又は
    その無水物の単独重合体又はα−オレフィンとの共重合
    体のカリウムイオンによる中和度が60%以上のアイオ
    ノマーの水性分散液を塗布又は含浸させてなるアルカリ
    電池セパレーター。
  3. 【請求項3】 第一成分が、エチレン・(メタ)アクリ
    ル酸ランダム共重合体である請求項1又は2記載のアル
    カリ電池セパレーター。
  4. 【請求項4】 第二成分が、ポリプロピレンである請求
    項1〜3のいずれかに記載のアルカリ電池セパレータ
    ー。
  5. 【請求項5】 複合繊維が、表面の40%以上が第一成
    分で占められているものである請求項1〜4のいずれか
    に記載のアルカリ電池セパレーター。
  6. 【請求項6】 複合繊維が、第一成分が鞘成分であり、
    第二成分が芯成分である芯鞘型複合繊維である請求項5
    記載のアルカリ電池セパレーター。
  7. 【請求項7】 アイオノマーが、(メタ)アクリル酸含
    量が5〜12モル%のエチレン・(メタ)アクリル酸共
    重合体のアイオノマーである請求項1〜6のいずれかに
    記載のアルカリ電池セパレーター。
  8. 【請求項8】 アイオノマーの塗布又は含浸の量が、
    0.05〜5重量%である請求項1〜7のいずれかに記
    載のアルカリ電池セパレーター。
JP10219372A 1998-08-03 1998-08-03 アルカリ電池セパレーター Pending JP2000058023A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10219372A JP2000058023A (ja) 1998-08-03 1998-08-03 アルカリ電池セパレーター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10219372A JP2000058023A (ja) 1998-08-03 1998-08-03 アルカリ電池セパレーター

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000058023A true JP2000058023A (ja) 2000-02-25

Family

ID=16734393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10219372A Pending JP2000058023A (ja) 1998-08-03 1998-08-03 アルカリ電池セパレーター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000058023A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100689737B1 (ko) 내구 친수성 부직 매트 및 습윤성 섬유 매트릭스의 부직 웹, 이를 포함하는 전지 분리막 물질 또는 와이프
US5389471A (en) Wettable battery separator for alkaline batteries
JP2023100976A (ja) 改良された、被覆された又は処理された微孔質電池セパレータ、充電可能なリチウム電池、システム、並びに関連する製造及び/又は使用方法
US20080305389A1 (en) Batteries with permanently wet-able fine fiber separators
US5401594A (en) Hydrophilized separator material of nonwoven fabric for electrochemical cells and a method for its production
EP0450449B1 (en) Separator material for storage batteries and method for making the same
US5354617A (en) Non-woven fabric sheet separator material for storage batteries and method for making the same
JP2000058023A (ja) アルカリ電池セパレーター
US3951691A (en) Wettable battery separator and process therefor
JPH0557706B2 (ja)
JPH0355755A (ja) アルカリ電池用セパレーター
JP2764335B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JPH0521049A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JPH11238496A (ja) 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法および電池
JPH1167183A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2000054249A (ja) 不織布
JPH06272189A (ja) 嵩高合成パルプシート及びその用途
JPH0411060A (ja) 親水性ポリオレフィン系不織布
JPH04233158A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2001003254A (ja) 親水性不織布及びこれを用いた電池セパレータ並びに電池
JPH09167608A (ja) アルカリ電池用セパレーター及びその製法
JP2009091689A (ja) 繊維、不織布とこれを用いた電池用セパレータ、電池及びイオン交換フィルター
JPH05129012A (ja) 電池用セパレーター
JPH10261394A (ja) 電池用セパレーター
JPH0434056A (ja) 親水性ポリオレフィン系不織布

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090528