JP2000054376A - 基礎杭と建物・建築物躯体構造 - Google Patents

基礎杭と建物・建築物躯体構造

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JP2000054376A
JP2000054376A JP10226403A JP22640398A JP2000054376A JP 2000054376 A JP2000054376 A JP 2000054376A JP 10226403 A JP10226403 A JP 10226403A JP 22640398 A JP22640398 A JP 22640398A JP 2000054376 A JP2000054376 A JP 2000054376A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】布基礎等のように基礎構造物を地中に建て込む
方式の基礎工事は、多大な時間と費用がかさみ、建物の
大きさや構造によっては布基礎が過剰工事になる場合も
少なくない。 【解決手段】パイプ状をした杭本体3と、杭本体3の先
端部に取り付けられたスクリュウヘッド5と、定着フラ
ンジ7と、構造材支持ステー9とによって基礎杭1を構
成し、定着フランジ7の挿通孔7aを通して杭本体3を
必要な深さまで地盤に捩じ込んだ後、ナット33によっ
て定着フランジ7の位置を固定し、必要に応じて杭本体
3にコンクリートミルクを圧入してそれを噴射孔19、
27から周囲に噴出させて地盤と杭本体3とを結着す
る。土台43は構造材支持ステー9に乗せて固定する。
従って、打撃を加えなくても地中埋設型の独立基礎を構
築することができ、埋設には必ずしも専門的な機械を必
要としないので手作業による埋設も可能であり、短工
期、低コストで済む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基礎杭と建物・構
築物躯体構造に係り、特に、打撃しなくてもしっかり埋
設することができる基礎杭と、この基礎杭に横架部材や
垂直部材等の上部構造材を建て込むようにした建物・構
築物躯体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日の建物や構築物における基礎構造に
は各種あるが、例えば、わが国で一般的な木造建築にお
ける基礎構造は布基礎によるものが多く、この布基礎
は、根切りや割栗等の地業に始まって、鉄筋、型枠、コ
ンクリート打設、型枠解体、埋め戻し等の諸工事を経て
完成される。このような基礎構造は、ブロック塀等の基
礎構造としても用いられる。また、鉄骨建築において
は、上記同様の地業を施した場所に鉄骨を建ててその根
本をコンクリートで固め、埋め戻しを経て完了する。
【0003】一方、テント張りの小屋とか、仮設事務
所、海水浴場での桟敷小屋等、一時的に構築される簡易
な建物においては、特別な基礎構造を設けることは殆ど
無く、通常、柱やポールの下端部を地中に直接埋めるこ
とで上部構造を支えるようにしている。また、建築現場
に仮設される足場は柱を地上に置くだけのものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】布基礎等のように基礎
構造物を地中に建て込む方式の基礎工事は、多大な時間
と費用がかさむという問題があり、建物や構築物の大き
さや構造によっては、布基礎が過剰工事になる場合も少
なくない。また、たとえ簡易な建物等ではあっても、柱
を地上に据え置くだけの構造や、柱の先端部だけを地中
に埋め込むだけの構造では安定性に乏しいことは言うま
でも無いが、そうかといって、仮設的な建物にまで地中
での建て込みを行う基礎を設けることは著しく不経済に
なってしまう。
【0005】基礎構造の一つである基礎杭は、布基礎等
と比較すると工程数が少なくて済むという利点はある
が、従来の基礎杭は、打撃法により埋設していたので、
騒音と振動が激しい上に、大掛りな特殊機械を必要とす
るため、結局、コストが高くついたり、専門業者以外に
は事実上施工できないという問題がある。
【0006】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為
されたものであり、簡単に施工することができ、しか
も、地盤としっかり結着させることができる基礎杭と、
この基礎杭を用いた建物・構築物躯体構造を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明基礎杭は、棒状をした杭本体と、この杭本体
の先端部に設けられたスクリュウと、前記杭本体の長手
方向における一部を地盤に対して位置固定するための定
着フランジと、上部構造材支持手段と上部構造材支持手
段取付部の少なくとも一方とを備えたものである。
【0008】また、本発明建物・構築物躯体構造は、棒
状をした杭本体とこの杭本体の先端部に設けられたスク
リュウと前記杭本体の長手方向における一部を地盤に対
して位置固定するための定着フランジと上部構造材支持
手段又は上部構造材支持手段取付部とを有した基礎杭
と、所要の上部構造材とを備え、基礎杭の定着用フラン
ジから先の部分を地中に捩じ込み、上部構造材支持手段
を介して杭本体に上部構造材を固定するようにしたもの
である。
【0009】この基礎杭又は建物・構築物躯体構造にあ
っては、例えば、スクリュウの先端を目的の場所に突き
立てた状態から、又は、目的の場所に予め設けた適宜な
下穴にスクリュウの先端部を挿入した状態から、杭本体
を捩じ込み方向へ回転させてやると、杭本体はスクリュ
ウを先頭にして地中に捩じ込まれて行き、捩じ込まれた
スクリュウは当該地盤にしっかり食い付いて固定され
る。地盤に対する杭本体の上下方向における位置は、定
着フランジが地盤表面等に座することで規定される。
【0010】従って本発明によれば、杭本体に打撃を加
えなくても地中埋設型の独立基礎を構築することができ
る。地中に埋設された杭本体の耐引抜きは主としてスク
リューが担い、耐沈下は定着フランジとスクリューが担
い、耐モーメントは主として定着フランジが担い、これ
らによって埋設状態を安定に保持できる。そして本発明
は、コンクリート等で固めない限り、杭本体をねじ戻し
方向へ回転させることで地盤から容易に抜くこともでき
るので、仮設的な建物や構築物の基礎構造材としても適
用することができる。
【0011】この基礎杭を地盤に捩じ込む手段が特に制
約されることは無いが、捩じ込み深さが特別に深い場合
や地盤が岩盤等である場合を除いて、通常は、適宜な工
具を用いた手作業による手段を採ることが可能である。
例えば、杭本体の上端部に横孔を設けておいて、この横
孔に適宜なトルクバーを通して杭本体を回転させたり、
あるいは、杭本体をパイプレンチ等で銜えて回転させる
ようにしても良い。
【0012】建物や構築物の土台や柱等の上部構造材
は、当該基礎杭が上部構造材支持手段を有する場合はこ
れに直接固定し、上部構造材支持手段取付部だけを有す
る場合は所要の上部構造材支持手段を杭本体に取り付
け、この上部構造材支持手段に固定するようにする。上
部構造材支持手段を杭本体とは別体に用意しておくよう
にすると、上部構造材支持手段と杭本体とを任意に組み
合わせて使用するキット方式で提供することができる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1に記載した基
礎杭において、杭本体に着脱自在に取り付けられるスク
リューキャップにスクリュウを設けておいて、このスク
リュウキャップを杭本体に取り付けるようにしたもので
ある。スクリューキャップの取り付けは、例えば捩じ込
み方式にすると良く、この場合のネジは雌雄どちらでも
良い。このようにすれば、様々なサイズや形状の杭本体
やスクリュウ等を多数用意しておいて、それらを所望に
応じて組み合わせて基礎杭を完成させるキット方式で提
供することができる。
【0014】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
した基礎杭において、杭本体をパイプ材により形成し、
この杭本体の先端部又はスクリューキャップの少なくと
も一方にコンクリート噴出孔を設けたものである。従っ
て、杭本体を地盤に捩じ込んだ後又は捩じ込みながら、
杭本体にコンクリートミルクを圧入してやれば、コンク
リートミルクがコンクリート噴出孔から周囲に噴出し
て、杭本体やスクリューを当該地盤と結着させる。即
ち、この発明によれば、地盤の掘削等をしなくても、杭
本体及び/又はスクリュウを周辺の地盤と一体的にコン
クリートで固めることができる。
【0015】請求項4の発明は、請求項1から3に記載
した基礎杭のいずれかにおいて、定着フランジを杭本体
に位置調節自在に設け、この定着フランジの上方への移
動を止めるフランジ固定手段を設けたものである。この
ようにすれば、杭本体の埋設長さを任意に設定すること
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態に係
る基礎杭と、建物・構築物躯体構造を図面に従って説明
する。図1及び図2は、本発明の第一の実施の形態に係
る基礎杭1と、この基礎杭1を用いた躯体構造の一部を
示すものである。基礎杭1は、杭本体3と、スクリュウ
ヘッド5と、定着フランジ7と、構造材支持ステー9等
から構成されている。
【0017】杭本体3は、横断面円形の鋼管から成り、
その先端部外周面にはネジ山11が形成され、略中間部
は稍大径になっていて、ここにもネジ山13が形成され
ている。また、杭本体3の他端部近くにはハンドル通し
孔15が杭本体3の軸方向と直交する方向へ貫通して形
成され、このハンドル通し孔15より稍下の位置にネジ
止め孔17が形成されている。更に、杭本体3の先端側
のネジ山11近くの位置には複数のコンクリート噴射孔
19が形成されている。
【0018】スクリュウヘッド5は、先が尖った砲弾形
をしたスクリューキャップ21と、このスクリュウキャ
ップ21の外周面に溶接された螺旋状に延びるスクリュ
ウ23とから成る。スクリュウキャップ21は、中空に
なっていて、上半部の円筒状をした部分の内周面にはネ
ジ溝25が形成され、随所にコンクリート噴射孔27が
形成されている。
【0019】このようなスクリュウヘッド5は、ネジ溝
25に杭本体3の先端部のネジ山11が螺合されること
で杭本体3の先端部に取り付けられ、この状態はナット
29によって固定される。このナット29及び杭本体3
のネジ山11の螺旋方向は、スクリュウ23の螺旋方向
と逆になっていて、杭本体3が地中にネジ込まれる際の
地盤との摩擦によってナット29がネジ戻されないよう
にしてある。
【0020】定着フランジ7は、金属板によって比較的
厚い円板形を為すように形成され、外周部から下方へ突
出した多数のスパイク31を備えている。また、定着フ
ランジ7の中央部には円形の挿通孔7aが形成されてお
り、この挿通孔7aには杭本体のネジ山13が通され
る。33は定着フランジ7用の固定ナットを示し、この
固定ナット33は杭本体3の中間部のネジ山13に取り
付けられる。
【0021】構造材支持ステー9は、矩形の平板金属板
から成る受板35と、この受板35の中央部から下に突
出した円柱状の脚37とから成り、受板35の端寄り位
置には固定部材通し孔35aが形成されている。脚37
の上半部は螺軸部37aになっていて、この螺軸部37
aに位置固定用のナット39が取り付けられる。この構
造材支持ステー9は、杭本体3の上端部を上部構造材支
持手段取付部として、ここに装着される。
【0022】基礎杭1は以上のように構成されており、
杭本体3は長さ違いのものが多数用意され、スクリュー
ヘッド5にはスクリュー23の径違いのものが、定着フ
ランジ7には径違いのものがそれぞれ多数用意されてい
て、それらの中から、杭本体3に必要な埋設長さや地盤
の性質等に応じて最も適したサイズのものを任意に組み
合わせて完成させる。例えば、砂地等の地盤にはスクリ
ュー23の径が大きいものを使用し、比較的硬質な地盤
にはスクリュー23の径が小さいものを使用する。
【0023】また、構造材支持ステー9としては、図面
に示したもの以外にも、主として受板35の形状が異な
る多くのバリエーションが用意されていて、所望のもの
を選択的に使用できるようになっている。
【0024】次に、基礎杭1の地中埋設と、基礎杭1へ
の上部構造材の取付けの一例を説明する(図1参照)。
基礎杭1の地中埋設は、機械を使用して行うこともでき
るが、ここでは、手作業による方法を説明する。
【0025】基礎杭1を設ける場所の地盤が比較的柔ら
かい場合は、スクリューヘッド5の先端を目的の場所に
突き立て、地盤が比較的硬い場合は、リーマ等を使って
目的の場所に適当な下穴を予め設けておいてここにスク
リュウヘッド5の先端部を挿入する。この状態から、杭
本体3のハンドル通し孔15に適宜なトルクバー41
(図2参照)を通してスクリュー23の捩じ込み方向へ
杭本体3を回転させる。この回転作用によって、杭本体
3がスクリュー23を先頭にして当該地盤にねじ込まれ
て行く。
【0026】定着フランジ7を杭本体3に挿通するの
は、杭本体3を埋設した後でも良いが、事前に目的の場
所に置いて杭本体3の振れ止めを図るのが望ましい。即
ち、定着フランジ7はスパイク31を地盤に打ち込むこ
とで水平方向での位置が規定されるので、この定着フラ
ンジ7の挿通孔7aに杭本体3を通した状態で杭本体3
を回転させれば、杭本体3の姿勢を垂直に保持しながら
作業することができるからである。
【0027】杭本体3を所望の深さ地盤に捩じ込んだ
後、固定ナット33を定着フランジ7の上面に対して圧
着させる。これにより、定着フランジ7の上方への移動
が阻止されるので、杭本体3の沈下が確実に止められ
る。
【0028】こうして所望の深さ埋設された杭本体3を
当該地盤に結着させる必要があるときは、杭本体3の上
側開口からコンクリートミルクを圧入する。このコンク
リートミルクは杭本体3のコンクリート噴出孔19とス
クリューキャップ21のコンクリート噴出孔27から外
に噴射して、杭本体3及びスクリューヘッド5を周囲の
地盤と共に固める。
【0029】杭本体3の埋設が完了した後、杭本体3に
その上側開口から構造材支持ステー9の脚37を挿入
し、ナット39によって受板35の高さを概ね定める。
そして、受板35に土台43等の必要な上部構造材を乗
せて、釘45等の固定部材によって固定し、その他必要
な処理を行う。最後に、もう一度ナット39を微調節し
て上部構造材の水平出し等を行い、それが終了した後、
杭本体3のネジ止め孔17に押しネジ47を捩じ込んで
脚37の抜け止めを図る。
【0030】図3は、本発明の第二の実施の形態に係る
基礎杭1Aと、この基礎杭1Aを用いた鉄骨躯体構造の
一部を示すものである。この基礎杭1Aが前記した基礎
杭1と比較して相違する部分は、主として、スクリュー
ヘッド5を杭本体3に予め溶接してある点と、構造材支
持ステー51の形態だけである。従って、基礎杭1Aに
ついての説明は構造材支持ステー51についてだけ行
い、その余の部分については、図面の各部に前記基礎杭
1における同様の部位に付した符号と同じ符号を付する
ことによって説明を省略する。このような符号の使い方
とその意味は、図4乃至図6に示す別の形態においても
同様とする。
【0031】構造材支持ステー51は、金属性の平板か
ら成る締結板53と、この締結板53から下へ突出した
脚55とから構成され、締結板53の4つの隅角にはボ
ルト通し孔53aが形成されている。この構造材支持ス
テー51は、その脚55が杭本体3の上端部に挿入さ
れ、押しネジ47によって固定される。
【0032】61は鉄骨建築における柱材、例えば、H
型鋼を示し、その下端部に取付フランジ63が溶接され
ている。この柱材61を支持するための基礎杭1Aは、
4本を、正方形の4つの頂点に各別に位置するように埋
設してある。65は柱材61を直接支持するプレートを
示し、このプレート65は、4本の基礎杭1Aにそれぞ
れ装着された構造材支持ステー51の締結板53にボル
ト・ナット67により固定されている。そして、柱材6
1の取付フランジ63がプレート65にボルト・ナット
69により取り付けられる。
【0033】図4は、基礎杭1等に用いる構造材接続手
段の別の例を示すものである。この接続手段は、垂直で
パイプ状の上部構造材71を支持するのに適しており、
杭本体3の上端部に連結パイプ73を内嵌め状に取り付
け、この連結パイプ73のうち杭本体3から上に突出し
た部分を当該上部構造材71に挿入して固定する。この
接続手段は、柱及び基礎杭が1本だけの場合は曲げモー
メントに弱いと思われるが、図5に示すように、坂路状
の場所に設けられる仮設的な建物75(バンガローや桟
敷小屋等)用の柱材71と基礎杭1との連結等に用いる
場合は、基礎杭1と柱材71に引張力や、圧縮力や横す
べり力等の様々な方向からの外力が掛かるので、これら
が相対的に抗し合って十分な耐モーメントを得ることが
できる。
【0034】図6は本発明に係る基礎杭1Bを1本建て
のポール装置に適用した例を示すものである。この基礎
杭1Bにおいては、平板状の定着フランジ77を有し、
この定着フランジ77を金属杭79によって地盤に固定
するようにしている。そして、杭本体3の上端部にポー
ル81の下端部を挿入し、ポール81の中間辺りに取り
付けたフランジ83と基礎杭1Bの周囲に固定した補助
ネジ杭85との間に針金87を渡してある。即ち、この
基礎杭1Bにおいては杭本体3の上端部そのものを上部
構造材支持手段として使用している。このような支持形
態は、アンテナ装置や風力発電設備、鯉のぼり設備等に
おけるポールに適用することができる。
【0035】以上、本発明の実施の形態について詳述し
てきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設
計の変更などがあっても本発明に含まれる。例えば、杭
本体は棒状部材であれば中空、中実どちらでも良く、ま
た、スクリュウは杭本体に直接取り付けるようにしても
良い。更に、上部構造材支持手段や定着フランジが杭本
体に対する位置調節を要しない場合は、杭本体に予め固
定しておくことも考えられる。そして、定着フランジの
杭本体に対する取付位置は、杭本体の長手方向における
いずれかの位置であれば、中間部のみならず上端部や基
端部等であってもよい。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明基礎杭と建物・構
築物躯体構造によれば、杭本体に打撃を加えなくても地
中埋設型の独立基礎を構築することができ、地中に埋設
された杭本体は耐引抜き、耐沈下、耐モーメントに優れ
て埋設状態を安定に保持される。そして本発明は、本格
的な建物等と仮設的な建物等のいずれにも用いることが
でき、基礎杭の埋設には必ずしも専門的な機械を必要と
しないので手作業による埋設も可能である。しかも、建
物や構築物の土台や柱等の上部構造材を直接又は間接的
に取り付けるための手段を備えているので、上部構造を
容易に建て込むこともできる。
【0037】請求項2の発明によれば、様々なサイズの
杭本体やスクリュウ等を多数用意しておいて、それらを
所望に応じて組み合わせて基礎杭を完成させるキット方
式で提供することができる。
【0038】請求項3の発明によれば、杭本体を利用し
て杭本体やスクリュウの周囲にコンクリートを供給する
ことができるので、地盤を掘削しなくても、杭本体及び
/又はスクリュウを周辺の地盤と一体的にコンクリート
で固めることができる。
【0039】請求項4の発明は、定着フランジを杭本体
に位置調節自在に設け、この定着フランジの上方への移
動を止めるフランジ固定手段を設けたものであるから、
杭本体の埋設長さを任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る基礎杭と建物
・構築物躯体構造を一部切り欠いて示す正面図である。
【図2】図1に示す基礎杭の分解斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係る基礎杭と建物
・構築物躯体構造を一部切り欠いて示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る基礎杭における上部
構造材接続手段の別の例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る基礎杭を仮設建物に
適用した例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る基礎杭をポール装置
に適用した例を示す一部省略正面図である。
【符号の説明】
1 基礎杭 3 杭本体、上部構造材支持手段取付部 7 上部構造材支持手段 13、33 フランジ固定手段 19 コンクリート噴射孔 21 スクリュウキャップ 23 スクリュウ 27 コンクリート噴射孔 43 上部構造材 1A 基礎杭 51 上部構造材支持手段 61、63、65 上部構造材 71 上部構造材 73 上部構造材支持手段 1B 基礎杭 77 定着フランジ 81 上部構造材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月24日(1999.6.2
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 基礎杭と建物・建築物躯体構造
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の即する技術分野】本発明は、基礎杭と建物・建
築物躯体構造に係り、特に、打撃しなくてもしっかり埋
設することができる基礎杭と、この基礎杭に横架部材や
垂直部材等の上部構造材を建て込むようにした建物・建
築物躯体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日の建物や建築物における基礎構造に
は各種あるが、例えば、わが国で一般的な木造建築にお
ける基礎構造は布基礎によるものが多く、この布基礎
は、根切りや割栗等の地業に始まって、鉄筋、型枠、コ
ンクリート打設、型枠解体、埋め戻し等の諸工事を経て
完成される。このような基礎構造は、ブロック塀等の基
礎構造としても用いられる。また、鉄骨建築において
は、上記同様の地業をした場所に鉄骨を建ててその根本
をコンクリートで固め、埋め戻しを経て完了する。
【0003】一方、テント張りの小屋とか、仮設事務
所、海水浴場での桟敷小屋等、一時的に構築される簡易
な建物においては、特別な基礎構造を設けることは殆ど
無く、通常、柱やポールの下端部を地中に直接埋めるこ
とで上部構造を支えるようにしている。また、建築現場
に仮設される足場は柱を地上に置くだけのものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】布基礎等のように基礎
構造物を地中に建て込む方式の基礎工事は、多大な時間
と費用がかさむという問題があり、建物や構築物の大き
さや構造によっては、布基礎が過剰工事になる場合も少
なくない。また、たとえ簡易な建物等ではあっても、柱
を地中に据え置くだけの構造や、柱の先端部だけを地中
に埋め込むだけの構造では安定性に乏しいことは言うま
でも無いが、そうかといって、仮設的な建物にまで地中
での建て込みを行う基礎を設けることは著しく不経済に
なってしまう。
【0005】基礎構造の一つである基礎杭は、布基礎等
と比較すると工程数が少なくて済むという利点はある
が、従来の基礎杭は、打撃法により埋設していたので、
騒音と振動が激しい上に、大掛かりな特殊機械を必要と
するため、結局コストが高くついたり、専門業者以外に
は事実上施工できないという問題がある。
【0006】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為
されたものであり、簡単に施工することができ、しか
も、地盤としっかり結着させることができる基礎杭と、
この基礎杭を用いた建物・建築物躯体構造を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明を達成するため
に、以下の発明を提案する。請求項1の発明は、パイプ
材により形成され棒状をした杭本体と、前記杭本体の先
端部に設けられたスクリューと、前記杭本体の先端部に
設けられたコンクリート噴出孔と、前記杭本体の長手方
向における一部を地盤に対して位置固定するための定着
フランジと、上部構造材支持手段と上部構造材支持手段
取付部の少なくとも一方とを備えたことを特徴とする基
礎杭である。
【0008】請求項2の発明は、パイプ材により形成さ
れ棒状をした杭本体と、前記杭本体の先端部に着脱自在
に取り付けられるスクリューキャップと、前記スクリュ
ーキャップに設けられたスクリューと、前記杭本体の先
端部とスクリューキャップの少なくとも一方に設けられ
たコンクリート噴出孔と、前記杭本体の長手方向におけ
る一部を地盤に対して位置固定するための定着フランジ
と、上部構造材支持手段と上部構造材支持手段取付部の
少なくとも一方とを備えたことを特徴とする基礎杭であ
る。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
した基礎杭において、定着フランジを杭本体に位置調節
自在に設け、この定着フランジの上方への移動を止める
フランジ固定手段を設けたことを特徴とする基礎杭であ
る。
【0010】請求項4の発明は、棒状をした杭本体と、
前記杭本体の先端部に設けられたスクリューと、前記杭
本体の長手方向における一部を地盤に対して位置固定す
るための定着フランジと、この定着フランジを前記杭本
体に位置調節自在に設け、前記定着フランジの上方への
移動を止めるフランジ固定手段と、上部構造材支持手段
と上部構造材支持手段取付部の少なくとも一方とを備え
たことを特徴とする基礎杭である。
【0011】請求項5の発明は、請求項4に記載した基
礎杭において、杭本体をパイプ材により形成し、この杭
本体の先端部にコンクリート噴出孔を設けたことを特徴
とする基礎杭である。
【0012】請求項6の発明は、棒状をした杭本体と、
前記杭本体の先端部に着脱自在に取り付けられるスクリ
ューキャップと、前記スクリューキャップに設けられた
スクリューと、前記杭本体の長手方向における一部を地
盤に対して位置固定するための定着フランジと、この定
着フランジを前記杭本体に位置調節自在に設け、前記定
着フランジの上方への移動を止めるフランジ固定手段
と、上部構造材支持手段と上部構造材支持手段取付部の
少なくとも一方とを備えたことを特徴とする基礎杭であ
る。
【0013】請求項7の発明は、請求項6に記載した基
礎杭において、スクリューは杭本体に着脱自在に取り付
けられるスクリューキャップに設け、杭本体をパイプ材
により形成し、この杭本体の先端部とスクリューキャッ
プの少なくとも一方にコンクリート噴出孔を設けたこと
を特徴とする基礎杭である。
【0014】コンクリート噴出孔を設けた場合には、
本体を地盤にねじ込んだ後又はねじ込みながら、杭本体
にコンクリートミルクを圧入してやれば、コンクリート
ミルクがコンクリート噴出孔から周囲に噴出して、杭本
体やスクリューを当該地盤と結着させる。即ち、この発
明によれば、地盤の掘削等をしなくても、杭本体及び/
又はスクリューを周辺の地盤と一体的にコンクリートで
固めることができる。
【0015】スクリューキャップを設ける場合には、
クリューキャップの取り付けは、例えばねじ込み方式に
すると良く、この場合のネジは雌雄どちらでも良い。こ
のようにすれば、様々なサイズや形状の杭本体やスクリ
ューなどを多数用意しておいて、それらを所望に応じて
組み合わせて基礎杭を完成させるキット方式で提供する
ことができる。
【0016】フランジ固定手段を設けた場合には、杭本
体の埋設長さを任意に設定することができる。
【0017】請求項8の発明は、棒状をした杭本体とこ
の杭本体の先端部に設けられたスクリューと前記杭本体
の長手方向における一部を地盤に対して位置固定するた
めの定着フランジと上部構造材支持手段又は上部構造材
支持手段取付部とを有した基礎杭と、所要の上部構造材
とを備え、基礎杭の定着用フランジから先の部分を地中
に捩じ込み、上部構造材支持手段を介して杭本体に上部
構造材を固定したことを特徴とする建物・建築物躯体構
造である。
【0018】この基礎杭又は建物・建築物躯体構造にあ
っては、例えば、スクリューの先端を目的の場所に突き
立てた状態から、又は、目的の場所に予め設けた適宜な
下穴にスクリューの先端部を挿入した状態から、杭本体
を捩じ込み方向へ回転させてやると、杭本体はスクリュ
ーを先頭にして地中にねじ込ませて行き、ねじ込まれた
スクリューは当該地盤にしっかり食い付いて固定され
る。地盤に対する杭本体の上下方向における位置は、定
着フランジが地盤表面等に座することで規定される。
【0019】従って本発明によれば、杭本体に打撃を加
えなくても地中埋設型の独立基礎を構築することができ
る。地中に埋設された杭本体の耐引抜きは主としてスク
リューが担い、耐沈下は定着フランジとスクリューが担
い、耐モーメントは主として定着フランジが担い、これ
らによって埋設状態を安定に保持できる。そして本発明
は、コンクリート等で固めない限り、杭本体をねじ戻し
方向へ回転させることで地盤から容易に抜くこともでき
るので、仮設的な建物や構築物の基礎構造材としても適
用することができる。
【0020】この基礎杭を地盤にねじ込む手段が特に制
約されることは無いが、ねじ込み深さが特別に深い場合
や地盤が岩盤などである場合を除いて、通常は、適宜な
工具を用いた手作業による手段を採ることが可能であ
る。例えば、杭本体の上端部に横穴を設けておいて、こ
の横孔に適宜なトルクバーを通して杭本体を回転させた
り、あるいは、杭本体をパイプレンチ等で銜えて回転さ
せるようにしても良い。
【0021】建物や構築物の土台や柱等の上部構造材
は、当該基礎杭が上部構造材支持手段を有する場合はこ
れに直接固定し、上部構造材支持手段取付部だけを有す
る場合は所要の上部構造材支持手段を杭本体に取り付
け、この上部構造材支持手段に固定するようにする。上
部構造材支持手段を杭本体とは別体に用意しておくよう
にすると、上部構造材支持手段と杭本体とを任意に組み
合わせて使用するキット方式で提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態に係
る基礎杭と、建物・建築物躯体構造を図面に従って説明
する。図1及び図2は、本発明の第一の実施の形態に係
る基礎杭1と、この基礎杭1を用いた躯体構造の一部を
示すものである。基礎杭1は、杭本体3と、スクリュー
ヘッド5と、定着フランジ7と、構造材支持ステー9等
から構成されている。
【0023】杭本体3は、横断面円形の鋼管から成り、
その先端部外周面にはネジ山11が形成され、略昼間部
は梢大径になっていて、ここにもネジ山13が形成され
ている。また、杭本体3の他端部近くにはハンドル通り
孔15が杭本体3の軸方向と直交する方向へ貫通して形
成され、このハンドル通り孔15より梢下の位置にネジ
止め孔17が形成されている。更に、杭本体3の先端側
のネジ山11近くの位置には複数のコンクリート噴射孔
19が形成されている。
【0024】スクリューヘッド5は、先が尖った砲弾形
をしたスクリューキャップ21と、このスクリューキャ
ップ21の外周面に溶接された螺旋状に延びるスクリュ
ー23とから成る。スクリューキャップ21は、中空に
なっていて、上半部の円筒状をした部分の内周面にはネ
ジ溝25が形成され、随所にコンクリート噴射孔27が
形成されている。
【0025】このようなスクリューヘッド5は、ネジ溝
25に杭本体3の先端部のネジ山11が螺合されること
で杭本体3の先端部に取り付けられ、この状態はナット
29によって固定される。このナット29及び杭本体3
のネジ山11の螺旋方向は、スクリュー23の螺旋方向
と逆になっていて、杭本体3が地中にねじ込まれる際の
地盤との摩擦によってナット29がねじ戻されないよう
にしてある。
【0026】定着フランジ7は、金属板によって比較的
厚い円板形を為すように形成され、外周部から下方へ突
出した多数のスパイク31を備えている。また、定着フ
ランジ7の中央部には円形の挿通孔7aが形成されてお
り、この挿通孔7aには杭本体のネジ山13が通され
る。33は定着フランジ7用の固定ナットを示し、この
固定ナット33は杭本体3の昼間部のネジ山13に取り
付けられる。
【0027】構造材支持ステー9は、矩形の平板金属板
から成る受板35と、この受板35の中央部から下に突
出した円柱状の脚37とから成り、受板35の端寄り位
置には固定部材通し孔35aが形成されている。脚37
の上半部は螺軸部37aになっていて、この螺軸部37
aに位置固定用のナット39が取り付けられる。この構
造材支持ステー9は、杭本体3の上端部を上部構造材支
持手段取付部として、ここに装着される。
【0028】基礎杭1は以上のように構成されており、
杭本体3は長さ違いのものが多数用意され、スクリュー
ヘッド5にはスクリュー23の径違いのものが、定着フ
ランジ7には径違いのものがそれぞれ多数用意されてい
て、それらの中から杭本体3に必要な埋設長さや地盤の
性質等に応じて最も適したサイズのものを任意に組み合
わせて完成させる。例えば、砂地等の地盤にはスクリュ
ー23の径が大きいものを使用し、比較的硬質な地盤に
はスクリュー23の径が小さいものを使用する。
【0029】また、構造材支持ステー9としては、図面
に示したもの以外にも、主として受板35の形状が異な
るのバリエーションが用意されていて、所望のものを選
択的に使用できるようになっている。
【0030】次に、基礎杭1の地中埋設と、基礎杭1へ
の上部構造材の取付けの一例を説明する(図1参照)。
基礎杭1の地中埋設は、機械を使用して行うこともでき
るが、ここでは、手作業による方法を説明する。
【0031】基礎杭1を設ける場所の地盤が比較的柔ら
かい場合は、スクリューヘッド5の先端を目的の場所に
突き立て、地盤が比較的硬い場合は、リーマ等を使って
目的の場所に適当な下穴を予め設けておいてここにスク
リューヘッド5の先端部を挿入する。この状態から、杭
本体3のハンドル通し孔15に適宜なトルクバー41
(図2参照)を通してスクリュー23のねじ込み方向へ
杭本体3を回転させる。この回転作用によって、杭本体
3がスクリュー23を先頭にして当該地盤にねじ込まれ
て行く。
【0032】定着フランジ7を杭本体3に挿通するの
は、杭本体3を埋設した後でも良いが、事前に目的の場
所に置いて杭本体3の振れ止めを図るのが望ましい。即
ち、定着フランジ7はスパイク31を地盤に打ち込むこ
とで水平方向での位置が規定されるので、この定着フラ
ンジ7の挿通孔7aに杭本体3を通した状態で杭本体3
を回転させれば、杭本体3の姿勢を垂直に保持しながら
作業することができるからである。
【0033】杭本体3を所望の深さ地盤にねじ込んだ
後、固定ナット33を定着フランジ7の上面に対して圧
着させる。これにより、定着フランジ7の上方への移動
が阻止されるので、杭本体3の沈下が確実に止められ
る。
【0034】こうして所望の深さに埋設された杭本体3
を当該地盤に結着させる必要があるときは、杭本体3の
上側開口からコンクリートミルクを圧入する。このコン
クリートミルクは杭本体3のコンクリート噴出孔19と
スクリューキャップ21のコンクリート噴出孔27から
外に噴射して、杭本体3及びスクリューヘッド5を周囲
の地盤と共に固める。
【0035】杭本体3の埋設が完了した後、杭本体3に
その上側開口から構造材支持ステー9の脚37を挿入
し、ナット39によって受板35の高さを概ね定める。
そして、受板35に土台43等の必要な上部構造材を乗
せて、釘45等の固定部材によって固定し、その他必要
な処理を行う。最後に。もう一度ナット39を微調節し
て上部構造材の水平出し等を行い、それが終了した後、
杭本体3のネジ止め孔17に押しネジ47をねじ込んで
脚37の抜け止めを図る。
【0036】図3は、本発明の第二の実施の形態に係る
基礎杭1Aと、この基礎杭1Aを用いた鉄骨躯体構造の
一部を示すものである。この基礎杭1Aが前記した基礎
杭1と比較して相違する部分は、主として、スクリュー
ヘッド5を杭本体3に予め溶接してある点と、構造材支
持ステー51の形態だけである。従って、構造材支持ス
テー51Aについての説明は構造材支持ステー51につ
いてだけ行い、その余の部分については、図面の各部に
前記基礎杭1における同様の部位に付した符号と同じ符
号を付することによって説明を省略する。このような符
号の使い方とその意味は、図4乃至図6に示す別の形態
においても同様とする。
【0037】構造材支持ステー51は、金属性の平板か
ら成る締結板53と、この締結板53から下へ突出した
脚55とから構成され、締結板53の4つの隅角にはボ
ルト通し孔53aが形成されている。この構造材支持ス
テー51は、その脚55が杭本体3の上端部に挿入さ
れ、押しネジ47によって固定される。
【0038】61は鉄骨建築における柱材、例えば、H
型鋼を示し、その下端部に取付フランジ63が溶接され
ている。この柱材61を支持するための基礎杭1Aは、
4本を、正方形の4つの頂点に格別に位置するように埋
設してある。65は柱材61を直接支持するプレートを
示し、このプレート65は、4本の基礎杭1Aにそれぞ
れ装着された構造材支持ステー51の締結板53にボル
ト・ナット67により固定されている。そして、柱材6
1の取付フランジ63がプレート65にボルト・ナット
69により取り付けられる。
【0039】図4は、基礎杭1等に用いる構造材接続手
段の別の例を示すものである。この接続手段は、垂直で
パイプ状の上部構造材71を支持するのに適しており、
杭本体3の上端部に連結パイプ73を内嵌め状に取り付
け、この連結パイプ73のうち杭本体3から上に突出し
た部分を当該上部構造材71に挿入して固定する。この
接続手段は、柱及び基礎杭が1本だけの場合は曲げモー
メントに弱いと思われるが、図5に示すように、坂路状
の場所に設けられる仮設的な建物75(バンガローや桟
敷小屋等)用の柱材71と基礎杭1との連結等に用いる
場合は、基礎杭1と柱材71に引張力や、圧縮力や横す
べり力等の様々な方向からの外力が掛かるので、これら
が相対的に抗し合って十分な耐モーメントを得ることが
できる。
【0040】図6は本発明に係る基礎杭1Bを1本建て
のポール装置に適用した例を示すものである。この基礎
杭1Bにおいては、平板状の定着フランジ77を有し、
この定着フランジ77を金属杭79によって地盤に固定
するようにしている。そして、杭本体3の上端部にポー
ル81の下端部を挿入し、ポール81の中間辺りに取り
付けたフランジ83と基礎杭1Bの周囲に固定した補助
ネジ杭85との間針金87を渡してある。即ち、この基
礎杭1Bにおいては杭本体3の上端部そのものを上部構
造材支持手段として使用している。このような支持形態
は、アンテナ装置や風力発電設備、鯉のぼり設備等にお
けるポールに適用することができる。
【0041】以上、本発明の実施の形態について詳述し
てきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設
計の変形などがあっても本発明に含まれる。例えば、杭
本体は棒状部材であれば、中空、中実どちらでも良く、
また、スクリューは杭本体に直接取り付けるようにして
も良い。更に、上部構造材支持手段や定着フランジが杭
本体に対する位置調節を要しない場合は、杭本体に予め
固定しておくことも考えられる。そして、定着フランジ
の杭本体に対する取付位置は、杭本体の長手方向におけ
るいずれかの位置であれば、昼間部のみならず上端部や
基端部等であってもよい。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明基礎杭と建物・建
築物躯体構造によれば、杭本体に打撃を加えなくても地
中埋設型の独立基礎を構築することができ、地中に埋設
された杭本体は耐引抜き、耐沈下、耐モーメントに優れ
て埋設状態を安定に保持される。そして本発明は、本格
的な建物等と仮設的な建物等のいずれにも用いることが
でき、基礎杭の埋設には必ずしも専門的な機械を必要と
しないので手作業による埋設も可能である。しかも、建
物や構築物の土台や柱等の上部構造材を直接又は間接的
に取り付けるための手段を備えているので、上部構造を
容易に建て込むこともできる。
【0043】スクリューキャップを設ける場合には、
々なサイズの杭本体やスクリュー等を多数用意しておい
て、それらを所望に応じて組み合わせて基礎杭を完成さ
せるキット方式で提供することができる。
【0044】コンクリート噴出孔を設けた場合には、
本体を利用して杭本体やスクリューの周囲にコンクリー
トを供給することができるので、地盤を掘削しなくて
も、杭本体及び/又はスクリューの周囲の地盤と一体的
にコンクリートで固めることができる。
【0045】フランジ固定手段を設けた場合には、杭本
体の埋設長さを任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る基礎杭と建物
・建築物躯体構造を一部切り欠いて示す正面図である。
【図2】図1に示す基礎杭の分解斜視図である
【図3】本発明の第二の実施の形態に係る基礎杭と建物
・建築物躯体構造を一部切り欠いて示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る基礎杭における上部
構造材接続手段の別の例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る基礎杭を仮設建物に
適用した例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る基礎杭をポール装置
に適用した例を示す一部省略正面図である。
【符号の説明】 1 基礎杭 3 杭本体、上部構造材支持手段取付部 7 上部構造材支持手段 13、33 フランジ固定手段 19 コンクリート噴射孔 21 スクリューキャップ 23 スクリュー 27 コンクリート噴射孔 43 上部構造材 1A 基礎杭 51 上部構造材支持手段 61、63、65 上部構造材 71 上部構造材 73 上部構造材支持手段 1B 基礎杭 77 定着フランジ 81 上部構造材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】棒状をした杭本体と、この杭本体の先端部
    に設けられたスクリュウと、前記杭本体の長手方向にお
    ける一部を地盤に対して位置固定するための定着フラン
    ジと、上部構造材支持手段と上部構造材支持手段取付部
    の少なくとも一方とを備えたことを特徴とする基礎杭。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した基礎杭において、スク
    リューは、杭本体に着脱自在に取り付けられるスクリュ
    ーキャップに設けたことを特徴とする基礎杭。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載した基礎杭におい
    て、杭本体をパイプ材により形成し、この杭本体の先端
    部とスクリューキャップの少なくとも一方にコンクリー
    ト噴出孔を設けたことを特徴とする基礎杭。
  4. 【請求項4】請求項1から3に記載した基礎杭のいずれ
    かにおいて、定着フランジを杭本体に位置調節自在に設
    け、この定着フランジの上方への移動を止めるフランジ
    固定手段を設けたことを特徴とする基礎杭。
  5. 【請求項5】棒状をした杭本体とこの杭本体の先端部に
    設けられたスクリュウと前記杭本体の長手方向における
    一部を地盤に対して位置固定するための定着フランジと
    上部構造材支持手段又は上部構造材支持手段取付部とを
    有した基礎杭と、所要の上部構造材とを備え、基礎杭の
    定着用フランジから先の部分を地中に捩じ込み、上部構
    造材支持手段を介して杭本体に上部構造材を固定したこ
    とを特徴とする建物・構築物躯体構造。
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