JP2000050695A - ステッピングモータ式計器装置 - Google Patents

ステッピングモータ式計器装置

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JP2000050695A JP21765098A JP21765098A JP2000050695A JP 2000050695 A JP2000050695 A JP 2000050695A JP 21765098 A JP21765098 A JP 21765098A JP 21765098 A JP21765098 A JP 21765098A JP 2000050695 A JP2000050695 A JP 2000050695A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動などにて脱調した場合でも容易に起点へ
の復帰をなしかつ復帰動作に起因した指針の跳ね上がり
現象の目立たないステッピングモータ式計器装置を提供
することを目的とする。 【構成】 測定量に対応したデジタル信号に基づいてス
テッピングモータ式計器5を駆動する駆動回路を構成す
る処理手段3を有し、指針8が文字板6上の所定の起点
位置にて停止されるよう前記指針8を固定したマグネッ
トロータ15からなる可動体8が回動制限されるストッ
パ30を設けるとともに、前記処理手段3は、通常の測
定量に対応した駆動波形、すなわちヨークピッチおよび
マグネットロータ15の磁極ピッチにて定まるステップ
角分を2πだけ変化する電気角信号にて駆動する駆動波
形とは別に前記指針8を固定したマグネットロータ15
を復帰方向に一ステップ角以下の角度だけ回転させる電
気角で約πの復帰信号を出力し、その後可動体を前記ス
トッパ30との当接位置に保持可能な所定電圧を出力す
るよう構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可動コイル式ある
いは交差コイル式マグネットロータ型等からなる電流計
に代ってデジタル制御の容易な計器ムーブメントとして
用いられ、たとえば、車輌用の走行速度やエンジン回転
数のごとき測定量をこれに比例した周波数信号入力に基
づいて計測指示するステッピングモータ式計器の駆動装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にこの種の計器装置にあっては、計
器ムーブメントの駆動軸端に固着した指針を入力信号に
対応して回動し、計測する測定量を表す数字や目盛を施
した文字板との対比判読にて測定指示するよう構成され
る。
【0003】特に、ステッピングモータは、くし歯ヨー
クの歯数やその形成ピッチによってマグネットロータの
ステップ動作が決定し、円滑な回転動作を得るために
は、歯数を多くしてくし歯のピッチを微小にするかある
いは駆動信号により所謂マイクロステップ駆動する必要
があり、使用条件に応じたステッピングモータ本体の許
容できる大きさや駆動回路を含むコストによってそれら
の形態が選択される。
【0004】また、こうしたステッピングモータは、そ
の使用用途の如何にかかわらず小型であることが望まれ
ており、所謂PM型ステッピングモータが簡単な構成の
ため、ロータマグネットやくし歯ヨークの改良によって
使い易くなっている。
【0005】さらに、処理回路のデジタル化(マイクロ
コンピュータによる制御)に対して、パルス信号制御が
なされるこうしたステッピングモータは、指針による文
字板目盛との対比読み取りを行なう指示計器のムーブメ
ントとしても注目され、たとえば、自動車用の走行速度
計やエンジン回転計さらには検出信号のA/D処理によ
り燃料計や温度計にも利用が可能であり、特開昭61−
129575号,特開平1−223312号等にて開示
されているように実用化に向けての種々の提案がなされ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
計器装置のムーブメントとしてステッピングモータを用
いる場合、交差コイル式計器のようにコイル磁界の合成
ベクトル方向にマグネットロータが追従するベクトル追
従式と違って、多くは入力信号の所定周期毎の変化量を
求めこの変化量分ずつステップ駆動するものであり、マ
グネットロータの磁極がくし歯ヨークのピッチ毎もしく
はこのピッチ間のマイクロステップ処理によって駆動す
るため、たとえば電源スイッチオン時のマグネットロー
タの位置を初期値(指示計器としては、文字板のゼロ位
置に強制復帰する等して起点初期化処理を行なう)とし
てこの起点位置からの入力信号の増減分ずつステップ駆
動する構成が一般的である。
【0007】従って、計器装置への外部振動によるマグ
ネットロータへの機械的影響によって本来起点からのス
テップ駆動によって駆動制御された角度位置すなわちく
し歯ヨークとマグネットロータの磁極との正しい位置関
係から外れ、一ピッチ分角度ずれが生じる可能性もあ
り、一旦こうした角度ずれ所謂脱調が発生すると電源の
再投入による起点初期化を行なわない限り本来の正しい
角度位置を示さず、常に脱調誤差分を含んだ角度にて指
示してしまう。
【0008】このような脱調現象は、前述した外部振動
等による機械的変動の他に、入力信号の変化に対してマ
グネットロータが追従しないときにも発生する。すなわ
ち、ステッピングモータのマグネットロータに対するス
テップ駆動トルクが構造的あるいは駆動電流制限等によ
って大きく取れない場合、またそうした駆動トルクの限
界に対して入力信号の変化すなわち角速度が大きい場合
にマグネットロータが追従しきれず脱調が繰り返され結
果として大きな角度誤差を生じてしまうという問題を有
している。
【0009】このようなステッピングモータ式の計器装
置にあっては、こうした脱調による指示誤差を極力なく
すように電源の再投入時等で起点の初期化を行うことが
一般的に行われる最も容易な方法であり、たとえば特開
平6−38593号にて提案されるように、電源投入時
に計器の最大目盛角度以上に相当する角度分を起点(零
点)方向に回動させてストッパにて停止する構成があ
る。
【0010】しかるに、このような指針制御による起点
の位置出し方法は、指針の滞留位置に関係なく確実にス
トッパでの停止位置を起点として捕らえることができる
が、脱調の有無に関係なく全ての条件にて最大目盛角度
以上の帰零動作がなされるため、脱調という希に発生す
る現象に対してほとんどの場合正確な位置(電源投入の
ない状態での指針位置は多くの場合起点位置にあるが)
にあるにもかかわらず、この最大目盛角度以上の大きな
角度分起点方向への強制回動がなされ、ストッパに動き
の規制された指針はステッピングモータのステップ動作
に伴ってストッパとの衝突が生じ、さらなる交流復帰信
号によってストッパによる拘束位置での浮き上がり方向
への波形が作用し、結果として起点位置におけるさらな
る交流復帰信号の波の数だけ指針がストッパから何回も
跳ね上がるといった現象が発生し、きわめて見苦しい違
和感のある動きとなってしまう。
【0011】本発明は、脱調という現象が大きな外部振
動などを原因としたきわめて希に発生するものであっ
て、ほとんどの場合正確な位置(電源投入のない状態で
の指針位置は多くの場合起点位置にあるが)にありさら
にまた脱調したとしてもヨーク配列における一脱調ピッ
チ程度の脱調にすぎず複数ピッチに渡る大きな脱調とな
れば通常使用状態ではほとんどないといった使用環境に
着目し、ただ一ピッチ相当分だけの復帰信号を発生させ
るとともにその復帰信号を電気角で約πとなる波形にし
て復帰動作させるとともに、その復帰信号停止後は復帰
動作による慣性にてストッパ方向側の安定点まで復帰さ
せ、さらに一定の保持電圧にて指針をストッパまで復帰
させ、またその位置にて保持するようにすることを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明におけるステッピ
ングモータ式計器装置は、励磁コイルを巻装したボビン
と、複数の櫛歯を備えたヨークと、回転自在に軸支した
マグネットロータからなるステッピングモータと、測定
量に対応したデジタル信号に基づいて前記ステッピング
モータのヨークピッチおよびマグネットロータの磁極ピ
ッチにて定まるステップ角分を2πだけ変化する電気角
信号にて駆動する駆動回路を有し、前記ステッピングモ
ータの駆動軸端に固定した指針により、前記測定量に対
応した文字板上の目盛を指示して前記測定量を表示する
計器装置であって、指示起点位置にて指針を停止するよ
う指針とマグネットロータからなる可動体に当接するス
トッパを設けるとともに、前記駆動回路を、前記指針を
固定したマグネットロータを復帰方向に一ステップ角以
下の角度だけ回転させる電気角でπ/3以上、2π/3
以下の復帰信号を出力可能に構成したことを特徴とする
ステッピングモータ式計器装置。
【0013】また本発明におけるステッピングモータ式
計器装置は、励磁コイルを巻装したボビンと、複数の櫛
歯を備えたヨークと、回転自在に軸支したマグネットロ
ータからなるステッピングモータと、測定量に対応した
デジタル信号に基づいて前記ステッピングモータのヨー
クピッチおよびマグネットロータの磁極ピッチにて定ま
るステップ角分を2πだけ変化する電気角信号にて駆動
する駆動回路を有し、前記ステッピングモータの駆動軸
端に固定した指針により、前記測定量に対応した文字板
上の目盛を指示して前記測定量を表示する計器装置であ
って、指示起点位置にて指針を停止するよう指針とマグ
ネットロータからなる可動体に当接するストッパを設け
るとともに、前記駆動回路を、前記指針を固定したマグ
ネットロータを復帰方向に一ステップ角以下の角度だけ
回転させる電気角で約πの復帰信号を出力可能に構成し
たことを特徴とする。
【0014】また本発明は、励磁コイルを巻装したボビ
ンと、複数の櫛歯を備えたヨークと、回転自在に軸支し
たマグネットロータからなるステッピングモータと、測
定量に対応したデジタル信号に基づいて前記ステッピン
グモータのヨークピッチおよびマグネットロータの磁極
ピッチにて定まるステップ角分を2πだけ変化する電気
角信号にて駆動する駆動回路を有し、前記ステッピング
モータの駆動軸端に固定した指針により、前記測定量に
対応した文字板上の目盛を指示して前記測定量を表示す
る計器装置であって、指示起点位置にて指針を停止する
よう指針とマグネットロータからなる可動体に当接する
ストッパを設けるとともに、前記駆動回路を、前記指針
を固定したマグネットロータを復帰方向に一ステップ角
以下の角度だけ回転させる電気角で約πの復帰信号を出
力し、さらに可動体を前記ストッパとの当接位置に保持
可能な所定電圧を出力するよう構成したことを特徴とす
るまた本発明は、前記復帰信号出力後、一定時間だけ励
磁コイルへの電圧印加を停止し、その後可動体を前記ス
トッパとの当接位置に保持可能な所定電圧を出力するこ
とを特徴とする。
【0015】また本発明は、前記復帰信号を、電源投入
スイッチによる電源投入時もしくは電源解放時に出力す
ることを特徴とする。
【0016】さらに本発明は、前記復帰信号を、測定量
が起点位置に相当する状態にて一定時間継続した時に出
力することを特徴とする。
【0017】さらに本発明は、前記復帰信号を出力する
前に、指針を所定角度起点方向に復帰させるスイープ信
号を出力することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】測定量に対応したデジタル信号に
基づいてステッピングモータ式計器5を駆動する駆動回
路を構成する処理手段3を有し、ステッピングモータ本
体14におけるマグネットロータ15の回転端16に固
定した指針8により、前記測定量に対応した文字板6上
の目盛7を指示して前記測定量を表示するもので、指針
8が文字板6上の所定の起点位置にて停止されるよう前
記指針8を固定したマグネットロータ15からなる可動
体8が回動制限されるストッパ30を設けるとともに、
前記処理手段3は、通常の測定量に対応した駆動波形、
すなわちヨークピッチおよびマグネットロータ15の磁
極ピッチにて定まるステップ角分を2πだけ変化する電
気角信号にて駆動する駆動波形とは別に前記指針8を固
定したマグネットロータ15を復帰方向に一ステップ角
以下の角度だけ回転させる電気角で約πの復帰信号を出
力し、その後可動体を前記ストッパ30との当接位置に
保持可能な所定電圧を出力するよう構成してある。
【0019】これにより、たとえば電源投入によってま
ず処理手段3は電気角でπ/3以上、2π/3以下好ま
しくは約πの復帰信号を出力し、ステッピングモータ式
計器5を駆動して指針8をその電気角分だけ復帰させる
よう駆動し、その慣性動作にて一ステップ角分だけマグ
ネットロータ15(指針8)を復帰させるよう作用し、
その後所定電圧を出力することにより、指針8が一ステ
ップ角浮いている場合にはその角度だけ起点位置に復帰
させ、マグネットロータ15への磁気的作用によって指
針8をその位置に拘束する。
【0020】従って、指針8は起点位置に戻され、一脱
調分が修正された起点の初期化が達成され、あるいは指
針起点位置にあるるとともに、その後所定電圧を出力す
ることで指針8を起点位置に安定的に保持する。
【0021】
【実施例】図1は、本発明の基本的構成を示すもので、
車輌用の速度計を例にとって説明すると、測定量である
走行速度に比例した周波数信号が入力端子1から入力さ
れると、計数手段2において入力信号の立上がりや立下
がりを検出してこれを所定のゲートタイムにてカウント
(ゲートタイム方式)するかもしくは別の高周波クロッ
ク信号を入力信号にてカウント(周期測定方式)し、刻
々と変化する走行速度をデジタルデータDとして算出す
る。
【0022】前記計数手段2にて求められた測定量は、
駆動回路を構成する処理手段3にて所定の変換周期Tで
指示角データAに変換され、前記変換周期Tごとに前回
の指示角データAn と最新の指示角データAn+1 の差の
絶対値ΔAとその増減状態が求められる。
【0023】この出力データAn+1は、次回の更新時に
おける前回時データAn として採用され、同様の演算に
て最新指示角データAn+1 との比較と更新が繰り返され
る。
【0024】こうして更新された指示角データAは、出
力手段4を介してステッピングモータの2相励磁コイル
に適宜の波形処理(マイクロステップ波形や位相変換)
を行なって供給されこれによりステッピングモータ式計
器5を駆動し、文字板6の目盛7に対応した角度指示に
て駆動軸端に固着した指針8を回動するものである。
【0025】ここで、駆動回路を構成する処理手段3へ
の電源供給は、電源スイッチ9を介して電源10から行
われるが、自動車用計器装置の場合には、車載バッテリ
からイグニッションキースイッチを介しての供給(ある
いは車載バッテリの交換などによる電源再接続)とな
り、処理手段3は、こうしたスイッチ9を介しての電源
投入を検知してのステッピングモータ式計器5の起点初
期化をなし、また必要に応じて人為的操作による計器装
置の初期化ができるように処理手段3には初期化スイッ
チ11が接続され復帰信号が出力されるよう構成してい
る。
【0026】前記各手段は駆動回路として入力信号を適
宜処理しステッピングモータ式計器5を駆動するもので
あり、処理手段3は、計器指示特性を任意に設定して走
行速度を指示できるよう計数手段2を含んでマイクロコ
ンピュータにて構成することができ、計数した前記デジ
タルデータDに対応した指示角データAを記憶したメモ
リ(ROM)12を備え、所定の変換周期にて前記デジ
タルデータDを取り込みこれに対応したメモリアドレス
の指示角データAを読み出して出力するものである。
【0027】また、処理手段3のメモリ12への指示角
データAの記憶は、測定量に対応したデジタルデータD
のMINからMAXまでの前指示領域に対応して所望の
分解能を得るためのデータ数を持たせ、たとえば指示角
0度(MIN)から360度(MAX)に対して0.5
度単位の指示角データAを記憶させておき、デジタルデ
ータDに対応してこの記憶した指示角データAnを所定
の変換周期Tで読み出すものである。
【0028】ステッピングモータを駆動する信号波形は
そのくし歯ヨークの歯数やピッチによって任意の2相信
号を設定でき、360度の全指示角度に対応した全駆動
波形のデータを電圧メモリ13に記憶させておくことも
できるが、ここでは、ステッピングモータ式計器5のス
テッピングモータ駆動信号として360度を1/6した
60度分の電圧データを電圧メモリ13に用意し、この
データを各角度領域に展開使用する方式でメモリ容量を
軽減する構成をとっている。
【0029】すなわち、ステッピングモータ式計器5の
指針8(連結したマグネットロータ)の回動角360度
に対して2相式励磁コイルA,Bに加える駆動信号の電
圧波形は、図2に示すごとく、60度の角度内で略SI
N,COS波形の変化を呈し、この電圧波形にて各60
度の全角度領域a〜fに展開する。この展開処理はデジ
タルデータDの指示領域に対応した指示角データAによ
って判定すればよく、電圧メモリ13には60度を12
8分割した分解能の駆動電圧データV(0度に対するA
0から60度に対するA60まで60/128度の角度差
でデータを記憶)を記憶させておき、デジタルデータD
に対応してこの電圧データVを読み出すとともに指示角
領域b〜fのデジタルデータDに対しては、各指示領域
の判定とともに、その判定領域内における電圧データV
を電圧メモリ13から読み出し、その判定領域との組み
合わせで指示計器としての指示位置を求めることができ
る。
【0030】これについては、ステッピングモータはそ
のくし歯ヨークの歯が図2の各指示領域に少なくとも一
組づつ配置されていれば、マグネットロータの磁極位置
はその領域内での励磁位置に移動するだけであるため、
駆動信号が各指示領域にて異なるということではなく、
デジタルデータDに基づく指示領域の判定により、電圧
メモリ13から読み出す電圧データVを読み出せばよい
ということであり、たとえばデジタルデータDが指示角
150度に相当するとすれば、指示領域はcと判定し、
この領域内での30度相当のデータを電圧メモリ13か
ら読み出すことによって、駆動信号としては図2に示し
たようになる。
【0031】ここで、図2に示した駆動波形は、ステッ
ピングモータのくし歯ヨークのくし歯ピッチで決定する
機械的ステップ動作を所謂マイクロステップ駆動によっ
て円滑な動作を得るための典型的な近似波形であり、実
際にはSIN,COS波形はデジタル的な微細階段波形
となっており、そのマイクロステップのピッチは指示計
器にて指示する測定量の変化速度すなわち指針の角速度
と処理回路の処理能力にて設定される。
【0032】こうした基本的構成におけるステッピング
モータ式計器5に用いる計器ムーブメントとしてのステ
ッピングモータ本体としては、積層した2つの樹脂製ボ
ビンに2相の駆動波形を通電する励磁コイルを巻装し、
各ボビンの上下にくし歯ヨークを重ね、このボビンの積
層体中空部にマグネットロータを回転自在に軸支した周
知の構造のPM型を用いている。
【0033】各くし歯ヨークには、6本のくし歯を形成
し、これらを各相ごとに対向して位置合わせし、全周に
て24本のくし歯が並ぶようにしており、15度の機械
的ステップピッチを有し、図2にて示した指示領域a〜
fの各60度の角度範囲で4本のくし歯が対応する構成
とした。
【0034】すなわち図3に示すように、ステッピング
モータ式計器5は、PM型のステッピングモータ本体1
4に計器指示をなすための文字板6を固定し、文字板6
の目盛7を指針8により回動指示することで測定量を指
示することになるが、このときステッピングモータ本体
14は指針8を固着するマグネットロータ15の回転軸
16をモータ上下の軸受けにて軸支し、積層配置した上
下相のくし歯ヨーク17,18を各々の樹脂製ボビン1
9,20に巻装した励磁コイル21,22にて励磁し、
マグネットロータ15をその磁気バランスでの励磁位置
に順次回動制御するものである。
【0035】ここでのマグネットロータ15の形状は、
計器の薄型化をねらいとして上下の軸受け部が内側に入
るよう、上下の面(この面は磁極形成面ではないため磁
気バランスに大きな影響はない)を凹部23とし、樹脂
製上ケース24に一体に形成した上軸受け部25が入り
込むように構成している。
【0036】また、マグネットロータ15の凹部23に
は、図4にて示すようにその内周面から内側に一体に形
成した突起26が設けられ、上軸受け部25に形成した
ストッパ27との当接により、両回動方向への回動を規
制できるようにしている。
【0037】マグネットロータ15の回動規制は、すな
わち回転軸16に固着した指針8の回動範囲を規制する
ことになるが、この回動範囲は、突起26とストッパ2
7の円周幅によって容易に設定することができる。
【0038】たとえば、図に示すように、突起26とス
トッパ27の各反対面が当接することになるため、両方
の円周幅を引いた角度Aがすなわち指針8の回動範囲に
相当するものであり、計器装置の指示特性に合わせてス
トッパ27の幅を設定することでマグネットロータ15
に変更を与えることなく自由にかつ容易に設定すること
ができる。
【0039】なお、端子28,29は樹脂製ボビン20
に埋設されて各励磁コイル21,22を接続し、回転軸
16の軸方向下方に突き出してプリント基板との接続を
なすもので、計器装置としてのプリント基板と接続した
ユニット構成とするうえで工夫をしている。また、樹脂
製上ケース24は、端子28,29に励磁コイル21,
22を接続するために横方向へ突き出した部分を組み付
けの際にの部との衝突や外部機器との電気的短絡を防ぐ
ためのカバー形状に形成してある。
【0040】ここで、理解を容易にするため、こうした
ストッパ27による指示起点位置での回動規制を図5の
原理図(起点位置ストッパは便宜上文字板6上のストッ
パピン30にて置き換えた)にて示すとともに、その動
作を説明する。
【0041】図において、文字板6上での指針8による
指示が指示起点にて拘束されるように、文字板6上にス
トッパピン30を立設し、指針8がこの起点位置にて停
止するとともに初期化されるよう構成する。
【0042】このときのくし歯ヨーク17,18(各々
樹脂製ボビン19,20の上下に配置した外ヨークと内
ヨークからなり、各ヨークは6本のくし歯を形成し、全
周にて24本のくし歯が並ぶ構成としてある)のくし歯
位置と、文字板6の起点位置の位置合わせは、無励磁状
態においてマグネットロータ15の磁極がヨーク17,
18のくし歯にて吸引拘束されるくし歯位置との関係に
て文字板6の起点位置に指針8が拘束されるように回転
軸16に打ち込み角度を調整して固着する。
【0043】以上の構成において、計測指示途中でスイ
ッチ9をオフすると、指針8はそのオフ時の指示位置に
て指示信号が停止するため、その指示位置で滞留するこ
とになるが、回路処理的には、処理手段3にて電源の解
放を検知し(一定時間のバックアップコンデンサなどに
て可能)、その時点での指示位置から起点位置までの擬
似的な復帰信号を発生してやれば、脱調することなく起
点位置にて指示させることができる。
【0044】いま、何らかの理由、たとえば計測指示中
での大きな振動や車両用計器装置の場合の車両搭載まで
の計器装置単品の搬送途中における振動などに起因し
て、一ステップ分の脱調が発生したとすると、指針8
は、図に示す本来の起点位置から本実施例のステッピン
グモータ構造による一ステップ分の60度外れた点を指
示することになる。
【0045】従って、この脱調状態にて電源投入し何の
処理もなく計測指示を行うと、この脱調分の誤差を含ん
だままで指示することになるが、本発明の場合、電源投
入によって前記処理手段3が指針8を固定したマグネッ
トロータ15を復帰方向に一ステップ角以下の角度だけ
回転させる電気角π/3以上2π/3以下の復帰信号こ
こでは約πの復帰信号を出力し、その後可動体を前記ス
トッパ30との当接位置に保持可能な所定電圧を出力す
るものである。
【0046】すなわち、前記構造のステッピングモータ
を用いた計器装置における駆動信号の電気角に対する指
針指示角の関係は図6にて示した信号波形のように説明
されるが、いま大きな外部衝撃によって2ステップ分の
脱調が生じたとし、その脱調位置が本来初期化されるべ
き起点位置からの指針振角にして120度プラスした位
置に指針が滞留しているとした場合、電源スイッチ9を
オンすることにより電気角にして約π(ここではπより
若干小さめの角度である電気角にしてある)の復帰信号
Bを処理回路3から出力する。
【0047】この復帰信号によって指針8(マグネット
ロータ15に連動)は脱調した120度の位置から実施
例のステッピングモータ構造によって一ステップ分の約
半分まで復帰駆動され、その後は駆動信号がなくなるも
ののマグネットロータ15の復帰回転動作による慣性に
よって起点側に回転し、図6(a)のA線にて示すよう
な指針振角特性のようにステッピングモータ構造による
起点側の安定点である振角60度の位置にて滞留するこ
とになる。
【0048】この時点では2脱調に対する1脱調分の補
正しかなされないため、起点位置への完全復帰は行われ
ないが、もう一回電源スイッチ9をオンし直すことによ
り、図6(b)に示すように再度約πの復帰信号Bが処
理回路3から出力され、同様の復帰駆動と慣性動作によ
って起点位置である安定点への復帰がなされるものであ
る。
【0049】従って、2脱調した場合には前述したよう
に、二回の復帰操作によって起点位置への完全な復帰が
なされるが、2脱調といった大きな脱調は極めて希であ
り、脱調が生じたとしても1脱調の可能性が高く、こう
した1脱調分の初期化は図6(b)に示したような一回
の復帰操作で可能となる。
【0050】また、起点位置にはストッパピン30があ
りこのストッパピン30にて指針8が当接規制されるこ
とになるが、ストッパピン30との復帰動作に際しての
当接も単に慣性復帰動作によるものであり当接後の継続
した復帰信号もないため、従来のような最大目盛角度以
上の帰零動作を行う交流波形信号によるストッパ位置か
らの何回もの跳ね上がり現象も生じることがない。
【0051】特に、こうした計器装置においては通常使
用状態ではほとんど脱調が生じないことから、このよう
な脱調初期化のための復帰動作を他に専用の初期化スイ
ッチを設けることなく標準の電源スイッチによる電源投
入のたびに行う場合には、指針8が脱調することなく正
常動作にての起点位置にある通常状態においても、復帰
方向へのストップがなされた状態での上昇方向への駆動
がなされる交流波形を通電するわけではないので、約π
の復帰信号による指針8の復帰駆動が電源スイッチ9の
オン動作によってなされたとしても、指針8は単に起点
方向に駆動力が働くだけで、従来のような目障りな跳ね
上がり現象が生じることはない。
【0052】なお、実施例で説明した約πの電気信号か
らなる復帰信号は、ステッピングモータ構造によるステ
ップ角の約半分に相当する駆動をなすものであり、一ス
テップ分の復帰はその駆動による慣性力によって起点側
の安定点に自然駆動される位置まで動かすことで達成さ
れるが、ステッピングモータ構造によるステップ角度や
復帰信号の角速度によっては、その慣性復帰力が変化す
るため、復帰信号としての電気信号の電気角としてはπ
/3以上、2π/3以下であれば同様の復帰動作が可能
である。
【0053】また、復帰信号Bによる復帰動作にてスト
ッパピン30の起点位置に復帰させた後は、図6(b)
のC線で示すような所定電圧を通電することで、指針8
をストッパピン30の起点位置に安定的にホールドする
ことができ、さらにこの所定電圧によって慣性力による
復帰動作に対しての復帰力も任意の通電タイミングによ
って与えることができ、さらに復帰動作を確実なものと
することができる。
【0054】この所定電圧Cの通電は、復帰信号Bの出
力完了直後から出力するようにしたが、復帰信号B出力
完了後一定時間通電状態を停止した後に通電するように
してもよい。この場合、励磁コイル21,22はハイイ
ンピーダンスに接続されてもよいし接地接続されてもよ
く、この無通電期間では慣性力による復帰がなされると
ともに、その後の所定電圧Cの通電にて指針8をストッ
パピン30の起点位置に安定して保持するものである。
【0055】また、復帰信号Bは、電源スイッチ9のオ
ン操作時に出力されるようにしたが、コンデンサー等に
よるバックアップ電源で一定時間電源供給可能な状態あ
るいは電源直付け状態においては、電源スイッチ9オフ
操作時に同様の復帰動作を行ってもよいしあるいは図示
したような専用の初期化スイッチ11にて脱調したと思
われる任意時に復帰操作を行ってもよい。
【0056】さらに、人為的操作スイッチによる復帰動
作の代わりに、何らかのタイミングで自動的に復帰信号
Bを出力するようにしてもよく、たとえば走行停止し走
行速度信号の入力がゼロといった計器装置の指示起点位
置相当の信号として一定時間継続した場合に処理回路3
から自動的に復帰信号Bを出力するようにすれば、人為
的スイッチ操作によらずともそうした時々にて自動的に
復帰動作がなされるため、運転者が知らない間にそうし
た復帰処理が行われ、特に走行中にて1脱調して浮き上
がったときでも一々電源スイッチや初期化をオンオフ操
作しなくとも初期化されるといった利点がある。
【0057】なお、本発明による復帰動作は1復帰操作
につき1脱調分であるため、大きく脱調した場合などに
は起点位置への完全初期化に何回も復帰操作を行う必要
があるが、たとえば計器装置の搬送過程で大きく脱調し
た場合などのために、計器装置を自動車に搭載するとき
の電源への接続時にのみ大きい角度の復帰方向スイープ
信号を出力しその後復帰信号Bを出力するようにしても
よいし、あるいは通常電源スイッチ9のオン時復帰を優
先させ初期化スイッチ11を操作したときだけスイープ
信号を出力して大きくスイープ復帰させた後復帰信号B
を出力するよう構成してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明になるステッピング
モータ式指示計器によれば、ステッピングモータ特有の
脱調現象を確実に初期化することができ、従来のような
最大盛角度以上の帰零動作を行う交流波形信号によるス
トッパ位置からの何回もの跳ね上がり現象も生じること
がなく、通常使用状態ではほとんど脱調が生じない計器
装置において、上昇方向への駆動がなされる交流波形を
通電することなく約πの復帰信号による駆動とその後の
慣性力が働くだけで、目障りな指針の動きがない安定し
た初期化がなされるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路ブロック図であ
る。
【図2】本発明のステッピングモータ駆動信号波形の一
例を示す駆動波形図である。
【図3】本発明におけるステッピングモータ本体の断面
図である。
【図4】本発明におけるステッピングモータ本体のスト
ッパ構造を示す説明図である。
【図5】本発明における脱調の起点初期化原理を説明す
る動作説明図である。
【図6】本発明における脱調の起点初期化動作を説明す
る復帰信号波形図である。
【符号の説明】
1 入力端子 2 計数手段 3 処理手段 4 出力手段 5 ステッピングモータ式計器 6 文字板 7 目盛 8 指針 9 電源スイッチ 10 電源 11 初期化スイッチ 12 メモリ 13 電圧メモリ 14 ステッピングモータ本体 15 マグネットロータ 16 回転軸 17,18 くし歯ヨーク 19,20 樹脂製ボビン 21,22 励磁コイル 23 凹部 24 樹脂製上ケース 25 上軸受け部 26 突起 27 ストッパ 28,29 端子 30,31 ストッパピン
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月29日(1999.7.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ステッピングモータ式計器装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可動コイル式ある
いは交差コイル式マグネットロータ型等からなる電流計
に代ってデジタル制御の容易な計器ムーブメントとして
用いられ、たとえば、車輌用の走行速度やエンジン回転
数のごとき測定量をこれに比例した周波数信号入力に基
づいて計測指示するステッピングモータ式計器の駆動装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にこの種の計器装置にあっては、計
器ムーブメントの駆動軸端に固着した指針を入力信号に
対応して回動し、計測する測定量を表す数字や目盛を施
した文字板との対比判読にて測定指示するよう構成され
る。
【0003】特に、ステッピングモータは、その構造に
よってステップ数が決定し、円滑な回転動作を得るため
には、ステップ数を多くするかあるいは駆動信号により
所謂マイクロステップ駆動する必要があり、使用条件に
応じたステッピングモータ本体の許容できる大きさや駆
動回路を含むコストによってそれらの形態が選択され
る。
【0004】また、こうしたステッピングモータは、そ
の使用用途の如何にかかわらず小型であることが望まれ
ており、所謂PM型ステッピングモータが簡単な構成で
あり使い易くなっている
【0005】さらに、処理回路のデジタル化(マイクロ
コンピュータによる制御)に対して、パルス信号制御が
なされるこうしたステッピングモータは、指針による文
字板目盛との対比読み取りを行なう指示計器のムーブメ
ントとしても注目され、たとえば、自動車用の走行速度
計やエンジン回転計さらには検出信号のA/D処理によ
り燃料計や温度計にも利用が可能であり、特開昭61−
129575号,特開平1−223312号等にて開示
されているように実用化に向けての種々の提案がなされ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
計器装置のムーブメントとしてステッピングモータを用
いる場合、交差コイル式計器のようにコイル磁界の合成
ベクトル方向にマグネットロータが追従するベクトル追
従式と違って、多くは入力信号の所定周期毎の変化量を
求めこの変化量分ずつ駆動するものであり、たとえば電
源スイッチオン時のマグネットロータの位置を初期値
(指示計器としては、文字板のゼロ位置に強制復帰する
等して起点初期化処理を行なう)としてこの起点位置か
らの入力信号の増減分ずつステップ駆動する構成が一般
的である。
【0007】通常ステッピングモータは、その構造上、
駆動信号の持つ所定の電気的入力角度(以下、電気角と
いう)に対して複数の安定位置を持ち、その安定位置は
駆動信号の電気角2π分で回転する角度ピッチで存在す
る。すなわち、ステッピングモータのマグネットロータ
出力軸に指針を固定して計器として指示するような場
合、複数ある安定位置のどこを指示してもその時の電気
角は等しい。従って、計器装置への外部振動によるマグ
ネットロータへの機械的影響によって駆動信号に依らな
い回転力が生じた場合、本来起点からの駆動によって駆
動制御された本来指示すべき角度位置からの電気角2π
分で回転する角度ピッチ分の整数倍のずれが生じる可能
性もあり、一旦こうした電気角2π分で回転する角度ピ
ッチ分の整数倍の角度ずれ(以下、脱調という)が発生
すると電源の再投入による起点初期化を行なわない限り
本来の正しい角度位置を示さず、常に脱調誤差分を含ん
だ角度にて指示してしまう。こうした脱調は前記安定位
置が存在する角度ピッチで発生するため、この角度ピッ
チを「一脱調角」として以下説明する。
【0008】このような脱調現象は、前述した外部振動
等による機械的変動の他に、入力信号の変化に対してマ
グネットロータが追従しないときにも発生する。すなわ
ち、ステッピングモータのマグネットロータに対する駆
動トルクが構造的あるいは駆動電流制限等によって大き
く取れない場合、またそうした駆動トルクの限界に対し
て入力信号の変化すなわち角速度が大きい場合にマグネ
ットロータが追従しきれず脱調が繰り返され結果として
大きな角度誤差を生じてしまうという問題を有してい
る。
【0009】このようなステッピングモータ式の計器装
置にあっては、こうした脱調による指示誤差を極力なく
すように電源の再投入時等で起点の初期化を行うことが
一般的に行われる最も容易な方法であり、たとえば特開
平6−38593号にて提案されるように、電源投入時
に計器の最大目盛角度以上に相当する角度分を起点(零
点)方向に回動させてストッパにて停止する構成があ
る。
【0010】しかるに、このような指針制御による起点
の位置出し方法は、指針の滞留位置に関係なく確実にス
トッパでの停止位置を起点として捕らえることができる
が、脱調の有無に関係なく全ての条件にて最大目盛角度
以上の帰零動作がなされるため、脱調という希に発生す
る現象に対してほとんどの場合正確な位置(電源投入の
ない状態での指針位置は多くの場合起点位置にあるが)
にあるにもかかわらず、この最大目盛角度以上の大きな
角度分起点方向への強制回動がなされ、ストッパに動き
の規制された指針はステッピングモータのステップ動作
に伴ってストッパとの衝突が生じ、さらなる交流復帰信
号によってストッパによる拘束位置での浮き上がり方向
への波形が作用し、結果として起点位置におけるさらな
る交流復帰信号の波の数だけ指針がストッパから何回も
跳ね上がるといった現象が発生し、きわめて見苦しい違
和感のある動きとなってしまう。
【0011】本発明は、脱調という現象が大きな外部振
動などを原因としたきわめて希に発生するものであっ
て、ほとんどの場合正確な位置(電源投入のない状態で
の指針位置は多くの場合起点位置にあるが)にありさら
にまた脱調したとしても一脱調角分の脱調にすぎず複数
の脱調角分に渡る大きな脱調となれば通常使用状態では
ほとんどないといった使用環境に着目し、電気角で約π
の復帰信号を発生させるとともに、その復帰信号停止後
は復帰動作による慣性にてストッパ方向側に復帰させ
さらに一定の保持電圧にて指針をストッパまで復帰さ
せ、またその位置にて保持するようにすることを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明におけるステッピ
ングモータ式計器装置は、励磁コイルへの通電によりマ
グネットロータが回転するステッピングモータと、測定
量に対応したデジタル信号に基づいて前記ステッピング
モータを駆動する駆動回路を有し、前記ステッピングモ
ータの駆動軸端に固定した指針により、前記測定量に対
応した文字板上の目盛を指示して前記測定量を表示する
計器装置であって、指示起点位置にて指針を停止するよ
う指針とマグネットロータからなる可動体に当接するス
トッパを設けるとともに、前記駆動回路を、前記指針を
固定したマグネットロータを復帰方向に回転させる電気
角で約πの復帰信号を出力可能に構成したことを特徴と
する。
【0013】また本発明におけるステッピングモータ式
計器装置は、励磁コイルへの通電によりマグネットロー
タが回転するステッピングモータと、測定量に対応した
デジタル信号に基づいて前記ステッピングモータを駆動
する駆動回路を有し、前記ステッピングモータの駆動軸
端に固定した指針により、前記測定量に対応した文字板
上の目盛を指示して前記測定量を表示する計器装置であ
って、指示起点位置にて指針を停止するよう指針とマグ
ネットロータからなる可動体に当接するストッパを設け
るとともに、前記駆動回路を、前記指針を固定したマグ
ネットロータを復帰方向に回転させる電気角約πの復帰
信号を出力し、さらに可動体を前記ストッパとの当接位
置に保持可能な所定電圧を出力するよう構成したことを
特徴とする。
【0014】また本発明は、前記復帰信号出力後、一定
時間だけ励磁コイルへの電圧印加を停止し、その後可動
体を前記ストッパとの当接位置に保持可能な所定電圧を
出力することを特徴とする。
【0015】また本発明は、前記復帰信号を、電源投入
スイッチによる電源投入時もしくは電源解放時に出力す
ることを特徴とする。
【0016】さらに本発明は、前記復帰信号を、測定量
が起点位置に相当する状態にて一定時間継続した時に出
力することを特徴とする。
【0017】さらに本発明は、前記復帰信号を出力する
前に、指針を所定角度起点方向に復帰させるスイープ信
号を出力することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】測定量に対応したデジタル信号に
基づいてステッピングモータ式計器5を駆動する駆動回
路を構成する処理手段3を有し、ステッピングモータ本
体14におけるマグネットロータ15の回転端16に固
定した指針8により、前記測定量に対応した文字板6上
の目盛7を指示して前記測定量を表示するもので、指針
8が文字板6上の所定の起点位置にて停止されるよう前
記指針8を固定したマグネットロータ15からなる可動
体8が回動制限されるストッパ30を設けるとともに、
前記処理手段3は、通常の測定量に対応した電気角信号
にて駆動する駆動波形とは別に前記指針8を固定したマ
グネットロータ15を復帰方向に回転させる電気角で約
πの復帰信号を出力し、その後可動体を前記ストッパ3
0との当接位置に保持可能な所定電圧を出力するよう構
成してある。
【0019】これにより、たとえば電源投入によってま
ず処理手段3は電気角で約πの復帰信号を出力し、ステ
ッピングモータ式計器5を駆動して指針8をその電気角
分だけ復帰させるよう駆動し、その慣性動作にて一脱調
角分だけマグネットロータ15(指針8)を復帰させる
よう作用し、その後所定電圧を出力することにより、指
針8が一脱調角分浮いている場合にはその角度だけ起点
位置に復帰させ、マグネットロータ15への磁気的作用
によって指針8をその位置に拘束する。
【0020】従って、指針8は起点位置に戻され、一脱
調角分が修正された起点の初期化が達成され、あるいは
指針起点位置にあるとともに、その後所定電圧を出力す
ることで指針8を起点位置に安定的に保持する。
【0021】
【実施例】図1は、本発明の基本的構成を示すもので、
車輌用の速度計を例にとって説明すると、測定量である
走行速度に比例した周波数信号が入力端子1から入力さ
れると、計数手段2において入力信号の立上がりや立下
がりを検出してこれを所定のゲートタイムにてカウント
(ゲートタイム方式)するかもしくは別の高周波クロッ
ク信号を入力信号にてカウント(周期測定方式)し、刻
々と変化する走行速度をデジタルデータDとして算出す
る。
【0022】前記計数手段2にて求められた測定量は、
駆動回路を構成する処理手段3にて所定の変換周期Tで
指示角データAに変換され、前記変換周期Tごとに前回
の指示角データAn と最新の指示角データAn+1 の差の
絶対値ΔAとその増減状態が求められる。
【0023】この出力データAn+1は、次回の更新時に
おける前回時データAn として採用され、同様の演算に
て最新指示角データAn+1 との比較と更新が繰り返され
る。
【0024】こうして更新された指示角データAは、出
力手段4を介してステッピングモータの2相励磁コイル
に適宜の波形処理(マイクロステップ波形や位相変換)
を行なって供給されこれによりステッピングモータ式計
器5を駆動し、文字板6の目盛7に対応した角度指示に
て駆動軸端に固着した指針8を回動するものである。
【0025】ここで、駆動回路を構成する処理手段3へ
の電源供給は、電源スイッチ9を介して電源10から行
われるが、自動車用計器装置の場合には、車載バッテリ
からイグニッションキースイッチを介しての供給(ある
いは車載バッテリの交換などによる電源再接続)とな
り、処理手段3は、こうしたスイッチ9を介しての電源
投入を検知してのステッピングモータ式計器5の起点初
期化をなし、また必要に応じて人為的操作による計器装
置の初期化ができるように処理手段3には初期化スイッ
チ11が接続され復帰信号が出力されるよう構成してい
る。
【0026】前記各手段は駆動回路として入力信号を適
宜処理しステッピングモータ式計器5を駆動するもので
あり、処理手段3は、計器指示特性を任意に設定して走
行速度を指示できるよう計数手段2を含んでマイクロコ
ンピュータにて構成することができ、計数した前記デジ
タルデータDに対応した指示角データAを記憶したメモ
リ(ROM)12を備え、所定の変換周期にて前記デジ
タルデータDを取り込みこれに対応したメモリアドレス
の指示角データAを読み出して出力するものである。
【0027】また、処理手段3のメモリ12への指示角
データAの記憶は、測定量に対応したデジタルデータD
のMINからMAXまでの前指示領域に対応して所望の
分解能を得るためのデータ数を持たせ、たとえば指示角
0度(MIN)から360度(MAX)に対して0.5
度単位の指示角データAを記憶させておき、デジタルデ
ータDに対応してこの記憶した指示角データAnを所定
の変換周期Tで読み出すものである。
【0028】ステッピングモータを駆動する信号波形は
そのくし歯ヨークの歯数やピッチによって任意の2相信
号を設定でき、360度の全指示角度に対応した全駆動
波形のデータを電圧メモリ13に記憶させておくことも
できるが、ここでは、ステッピングモータ式計器5のス
テッピングモータ駆動信号として360度を1/6した
60度分の電圧データを電圧メモリ13に用意し、この
データを各角度領域に展開使用する方式でメモリ容量を
軽減する構成をとっている。
【0029】すなわち、ステッピングモータ式計器5の
指針8(連結したマグネットロータ)の回動角360度
に対して2相式励磁コイルA,Bに加える駆動信号の電
圧波形は、図2に示すごとく、60度の角度内で略SI
N,COS波形の変化を呈し、この電圧波形にて各60
度の全角度領域a〜fに展開する。この展開処理はデジ
タルデータDの指示領域に対応した指示角データAによ
って判定すればよく、電圧メモリ13には60度を12
8分割した分解能の駆動電圧データV(0度に対するA
0から60度に対するA60まで60/128度の角度差
でデータを記憶)を記憶させておき、デジタルデータD
に対応してこの電圧データVを読み出すとともに指示角
領域b〜fのデジタルデータDに対しては、各指示領域
の判定とともに、その判定領域内における電圧データV
を電圧メモリ13から読み出し、その判定領域との組み
合わせで指示計器としての指示位置を求めることができ
る。
【0030】これについては、ステッピングモータはそ
のくし歯ヨークの歯が図2の各指示領域に少なくとも一
組づつ配置されていれば、マグネットロータの磁極位置
はその領域内での励磁位置に移動するだけであるため、
駆動信号が各指示領域にて異なるということではなく、
デジタルデータDに基づく指示領域の判定により、電圧
メモリ13から読み出す電圧データVを読み出せばよい
ということであり、たとえばデジタルデータDが指示角
150度に相当するとすれば、指示領域はcと判定し、
この領域内での30度相当のデータを電圧メモリ13か
ら読み出すことによって、駆動信号としては図2に示し
たようになる。
【0031】ここで、図2に示した駆動波形は、ステッ
ピングモータのくし歯ヨークのくし歯ピッチで決定する
機械的ステップ動作を所謂マイクロステップ駆動によっ
て円滑な動作を得るための典型的な近似波形であり、実
際にはSIN,COS波形はデジタル的な微細階段波形
となっており、そのマイクロステップのピッチは指示計
器にて指示する測定量の変化速度すなわち指針の角速度
と処理回路の処理能力にて設定される。
【0032】こうした基本的構成におけるステッピング
モータ式計器5に用いる計器ムーブメントとしてのステ
ッピングモータ本体としては、積層した2つの樹脂製ボ
ビンに2相の駆動波形を通電する励磁コイルを巻装し、
各ボビンの上下にくし歯ヨークを重ね、このボビンの積
層体中空部にマグネットロータを回転自在に軸支した周
知の構造のPM型を用いている。
【0033】各くし歯ヨークには、6本のくし歯を形成
し、これらを各相ごとに対向して位置合わせし、全周に
て24本のくし歯が並ぶようにしており、15度の機械
的ステップピッチを有し、図2にて示した指示領域a〜
fの各60度の角度範囲で4本のくし歯が対応する構成
とした。この構造における所定の電気角に対するマグネ
ットロータの安定位置は、図2にて示すように60度の
角度間隔で存在し、一脱調角はこの60度となる。
【0034】ステッピングモータ式計器5は、図3に示
すようにPM型のステッピングモータ本体14に計器指
示をなすための文字板6を固定し、文字板6の目盛7を
指針8により回動指示することで測定量を指示すること
になるが、このときステッピングモータ本体14は指針
8を固着するマグネットロータ15の回転軸16をモー
タ上下の軸受けにて軸支し、積層配置した上下相のくし
歯ヨーク17,18を各々の樹脂製ボビン19,20に
巻装した励磁コイル21,22にて励磁し、マグネット
ロータ15をその磁気バランスでの励磁位置に順次回動
制御するものである。
【0035】ここでのマグネットロータ15の形状は、
計器の薄型化をねらいとして上下の軸受け部が内側に入
るよう、上下の面(この面は磁極形成面ではないため磁
気バランスに大きな影響はない)を凹部23とし、樹脂
製上ケース24に一体に形成した上軸受け部25が入り
込むように構成している。
【0036】また、マグネットロータ15の凹部23に
は、図4にて示すようにその内周面から内側に一体に形
成した突起26が設けられ、上軸受け部25に形成した
ストッパ27との当接により、両回動方向への回動を規
制できるようにしている。
【0037】マグネットロータ15の回動規制は、すな
わち回転軸16に固着した指針8の回動範囲を規制する
ことになるが、この回動範囲は、突起26とストッパ2
7の円周幅によって容易に設定することができる。
【0038】たとえば、図に示すように、突起26とス
トッパ27の各反対面が当接することになるため、両方
の円周幅を引いた角度Aがすなわち指針8の回動範囲に
相当するものであり、計器装置の指示特性に合わせてス
トッパ27の幅を設定することでマグネットロータ15
に変更を与えることなく自由にかつ容易に設定すること
ができる。
【0039】なお、端子28,29は樹脂製ボビン20
に埋設されて各励磁コイル21,22を接続し、回転軸
16の軸方向下方に突き出してプリント基板との接続を
なすもので、計器装置としてのプリント基板と接続した
ユニット構成とするうえで工夫をしている。また、樹脂
製上ケース24は、端子28,29に励磁コイル21,
22を接続するために横方向へ突き出した部分を組み付
けの際にの部との衝突や外部機器との電気的短絡を防ぐ
ためのカバー形状に形成してある。
【0040】ここで、理解を容易にするため、こうした
ストッパ27による指示起点位置での回動規制を図5の
原理図(起点位置ストッパは便宜上文字板6上のストッ
パピン30にて置き換えた)にて示すとともに、その動
作を説明する。
【0041】図において、文字板6上での指針8による
指示が指示起点にて拘束されるように、文字板6上にス
トッパピン30を立設し、指針8がこの起点位置にて停
止するとともに初期化されるよう構成する。
【0042】このときのくし歯ヨーク17,18(各々
樹脂製ボビン19,20の上下に配置した外ヨークと内
ヨークからなり、各ヨークは6本のくし歯を形成し、全
周にて24本のくし歯が並ぶ構成としてある)のくし歯
位置と、文字板6の起点位置の位置合わせは、無励磁状
態においてマグネットロータ15の磁極がヨーク17,
18のくし歯にて吸引拘束されるくし歯位置との関係に
て文字板6の起点位置に指針8が拘束されるように回転
軸16に打ち込み角度を調整して固着する。
【0043】以上の構成において、計測指示途中でスイ
ッチ9をオフすると、指針8はそのオフ時の指示位置に
て指示信号が停止するため、その指示位置で滞留するこ
とになるが、回路処理的には、処理手段3にて電源の解
放を検知し(一定時間のバックアップコンデンサなどに
て可能)、その時点での指示位置から起点位置までの擬
似的な復帰信号を発生してやれば、脱調することなく起
点位置にて指示させることができる。
【0044】いま、何らかの理由、たとえば計測指示中
での大きな振動や車両用計器装置の場合の車両搭載まで
の計器装置単品の搬送途中における振動などに起因し
て、一脱調角分の脱調が発生したとすると、指針8は、
図に示す本来の起点位置から本実施例のステッピングモ
ータ構造による一脱調角分の60度外れた点を指示する
ことになる。
【0045】従って、この脱調状態にて電源投入し何の
処理もなく計測指示を行うと、この脱調分の誤差を含ん
だままで指示することになるが、本発明の場合、電源投
入によって前記処理手段3が指針8を固定したマグネッ
トロータ15を復帰方向に一脱調角の半分の角度(半脱
調分)だけ回転させる電気角で約πの復帰信号を出力
し、その後可動体を前記ストッパ30との当接位置に保
持可能な所定電圧を出力するものである。
【0046】すなわち、前記構造のステッピングモータ
を用いた計器装置における復帰信号に対する指針指示角
の関係は図6にて示した信号波形のように説明される
が、いま大きな外部衝撃によって2脱調角分の脱調が生
じたとし、その脱調位置が本来初期化されるべき起点位
置からの指針振角にして120度プラスした位置に指針
が滞留しているとした場合、電源スイッチ9をオンする
ことにより電気角にして約π(ここではπより若干小さ
めの角度である電気角にしてある)の復帰信号Bを処理
回路3から出力する。この復帰信号Bは、励磁コイル2
1,22に通電する各々がの実線表示「●−●」および
波線表示「○---○」(●、○は各々が各波形における
始点と終点を示す)の駆動信号にて供給される。
【0047】この復帰信号によって指針8(マグネッ
トロータ15に連動)は脱調した120度の位置から実
施例のステッピングモータ構造によって一脱調角分の約
半分(半脱調分)まで復帰駆動され、その後は駆動信号
がなくなるもののマグネットロータ15の復帰回転動作
による慣性によって起点側に回転し、図6(a)のA線
にて示すような指針振角特性のようにステッピングモー
タ構造による起点側の安定点である振角60度の位置に
て滞留することになる。
【0048】この時点では2脱調角分に対する一脱調角
の補正しかなされないため、起点位置への完全復帰は
行われないが、もう一回電源スイッチ9をオンし直すこ
とにより、図6(b)に示すように再度約πの復帰信号
Bが処理回路3から出力され、同様の復帰駆動と慣性動
作によって起点位置である安定点への復帰がなされるも
のである。
【0049】従って、2脱調角分の脱調が生じた場合
は前述したように、二回の復帰操作によって起点位置へ
の完全な復帰がなされるが、2脱調角といった大きな脱
調は極めて希であり、脱調が生じたとしても一脱調角
可能性が高く、こうした一脱調角分の初期化は図6
(b)に示したような一回の復帰操作で可能となる。
【0050】また、起点位置にはストッパピン30があ
りこのストッパピン30にて指針8が当接規制されるこ
とになるが、ストッパピン30との復帰動作に際しての
当接も単に慣性復帰動作によるものであり当接後の継続
した復帰信号もないため、従来のような最大目盛角度以
上の帰零動作を行う交流波形信号によるストッパ位置か
らの何回もの跳ね上がり現象も生じることがない。
【0051】特に、こうした計器装置においては通常使
用状態ではほとんど脱調が生じないことから、このよう
な脱調初期化のための復帰動作を他に専用の初期化スイ
ッチを設けることなく標準の電源スイッチによる電源投
入のたびに行う場合には、指針8が脱調することなく正
常動作にての起点位置にある通常状態においても、復帰
方向へのストップがなされた状態での上昇方向への駆動
がなされる交流波形を通電するわけではないので、約π
の復帰信号による指針8の復帰駆動が電源スイッチ9の
オン動作によってなされたとしても、指針8は単に起点
方向に駆動力が働くだけで、従来のような目障りな跳ね
上がり現象が生じることはない。
【0052】なお、実施例で説明した約πの復帰信号
は、ステッピングモータ構造による一脱調角の約半分に
相当する駆動をなすものであり、一脱調角分の復帰はそ
の駆動による慣性力によって起点側の安定点に自然駆動
される位置まで動かすことで達成される。
【0053】また、復帰信号Bによる復帰動作にてスト
ッパピン30の起点位置に復帰させた後は、図6(b)
のC線で示すような所定電圧を通電することで、指針8
をストッパピン30の起点位置に安定的にホールドする
ことができ、さらにこの所定電圧によって慣性力による
復帰動作に対しての復帰力も任意の通電タイミングによ
って与えることができ、さらに復帰動作を確実なものと
することができる。
【0054】この所定電圧Cの通電は、復帰信号Bの出
力完了直後から出力するようにしたが、復帰信号B出力
完了後一定時間通電状態を停止した後に通電するように
してもよい。この場合、励磁コイル21,22はハイイ
ンピーダンスに接続されてもよいし接地接続されてもよ
く、この無通電期間では慣性力による復帰がなされると
ともに、その後の所定電圧Cの通電にて指針8をストッ
パピン30の起点位置に安定して保持するものである。
【0055】また、復帰信号Bは、電源スイッチ9のオ
ン操作時に出力されるようにしたが、コンデンサー等に
よるバックアップ電源で一定時間電源供給可能な状態あ
るいは電源直付け状態においては、電源スイッチ9オフ
操作時に同様の復帰動作を行ってもよいしあるいは図示
したような専用の初期化スイッチ11にて脱調したと思
われる任意時に復帰操作を行ってもよい。
【0056】さらに、人為的操作スイッチによる復帰動
作の代わりに、何らかのタイミングで自動的に復帰信号
Bを出力するようにしてもよく、たとえば走行停止し走
行速度信号の入力がゼロといった計器装置の指示起点位
置相当の信号として一定時間継続した場合に処理回路3
から自動的に復帰信号Bを出力するようにすれば、人為
的スイッチ操作によらずともそうした時々にて自動的に
復帰動作がなされるため、運転者が知らない間にそうし
た復帰処理が行われ、特に走行中にて一脱調角分だけ脱
調して浮き上がったときでも一々電源スイッチや初期化
をオンオフ操作しなくとも初期化されるといった利点が
ある。
【0057】なお、本発明による復帰動作は1復帰操作
につき一脱調角分であるため、大きく脱調した場合など
には起点位置への完全初期化に何回も復帰操作を行う必
要があるが、たとえば計器装置の搬送過程で大きく脱調
した場合などのために、計器装置を自動車に搭載すると
きの電源への接続時にのみ大きい角度の復帰方向スイー
プ信号を出力しその後復帰信号Bを出力するようにして
もよいし、あるいは通常電源スイッチ9のオン時復帰を
優先させ初期化スイッチ11を操作したときだけスイー
プ信号を出力して大きくスイープ復帰させた後復帰信号
Bを出力するよう構成してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明になるステッピング
モータ式指示計器によれば、ステッピングモータ特有の
脱調現象を確実に初期化することができ、従来のような
最大盛角度以上の帰零動作を行う交流波形信号によるス
トッパ位置からの何回もの跳ね上がり現象も生じること
がなく、通常使用状態ではほとんど脱調が生じない計器
装置において、上昇方向への駆動がなされる交流波形を
通電することなく約πの復帰信号による駆動とその後の
慣性力が働くだけで、目障りな指針の動きがない安定し
た初期化がなされるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路ブロック図であ
る。
【図2】本発明のステッピングモータ駆動信号波形の一
例を示す駆動波形図である。
【図3】本発明におけるステッピングモータ本体の断面
図である。
【図4】本発明におけるステッピングモータ本体のスト
ッパ構造を示す説明図である。
【図5】本発明における脱調の起点初期化原理を説明す
る動作説明図である。
【図6】本発明における脱調の起点初期化動作を説明す
る復帰信号波形図である。
【符号の説明】 1 入力端子 2 計数手段 3 処理手段 4 出力手段 5 ステッピングモータ式計器 6 文字板 7 目盛 8 指針 9 電源スイッチ 10 電源 11 初期化スイッチ 12 メモリ 13 電圧メモリ 14 ステッピングモータ本体 15 マグネットロータ 16 回転軸 17,18 くし歯ヨーク 19,20 樹脂製ボビン 21,22 励磁コイル 23 凹部 24 樹脂製上ケース 25 上軸受け部 26 突起 27 ストッパ 28,29 端子 30,31 ストッパピン
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H580 AA08 BB06 CA02 CA12 CB03 DD03 FA14 FB01 FD15 GG04 HH39 JJ02 JJ13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励磁コイルを巻装したボビンと、複数の
    櫛歯を備えたヨークと、回転自在に軸支したマグネット
    ロータからなるステッピングモータと、測定量に対応し
    たデジタル信号に基づいて前記ステッピングモータのヨ
    ークピッチおよびマグネットロータの磁極ピッチにて定
    まるステップ角分を2πだけ変化する電気角信号にて駆
    動する駆動回路を有し、前記ステッピングモータの駆動
    軸端に固定した指針により、前記測定量に対応した文字
    板上の目盛を指示して前記測定量を表示する計器装置で
    あって、指示起点位置にて指針を停止するよう指針とマ
    グネットロータからなる可動体に当接するストッパを設
    けるとともに、前記駆動回路を、前記指針を固定したマ
    グネットロータを復帰方向に一ステップ角以下の角度だ
    け回転させる電気角でπ/3以上、2π/3以下の復帰
    信号を出力可能に構成したことを特徴とするステッピン
    グモータ式計器装置。
  2. 【請求項2】 励磁コイルを巻装したボビンと、複数の
    櫛歯を備えたヨークと、回転自在に軸支したマグネット
    ロータからなるステッピングモータと、測定量に対応し
    たデジタル信号に基づいて前記ステッピングモータのヨ
    ークピッチおよびマグネットロータの磁極ピッチにて定
    まるステップ角分を2πだけ変化する電気角信号にて駆
    動する駆動回路を有し、前記ステッピングモータの駆動
    軸端に固定した指針により、前記測定量に対応した文字
    板上の目盛を指示して前記測定量を表示する計器装置で
    あって、指示起点位置にて指針を停止するよう指針とマ
    グネットロータからなる可動体に当接するストッパを設
    けるとともに、前記駆動回路を、前記指針を固定したマ
    グネットロータを復帰方向に一ステップ角以下の角度だ
    け回転させる電気角約πの復帰信号を出力可能に構成し
    たことを特徴とするステッピングモータ式計器装置。
  3. 【請求項3】 励磁コイルを巻装したボビンと、複数の
    櫛歯を備えたヨークと、回転自在に軸支したマグネット
    ロータからなるステッピングモータと、測定量に対応し
    たデジタル信号に基づいて前記ステッピングモータのヨ
    ークピッチおよびマグネットロータの磁極ピッチにて定
    まるステップ角分を2πだけ変化する電気角信号にて駆
    動する駆動回路を有し、前記ステッピングモータの駆動
    軸端に固定した指針により、前記測定量に対応した文字
    板上の目盛を指示して前記測定量を表示する計器装置で
    あって、指示起点位置にて指針を停止するよう指針とマ
    グネットロータからなる可動体に当接するストッパを設
    けるとともに、前記駆動回路を、前記指針を固定したマ
    グネットロータを復帰方向に一ステップ角以下の角度だ
    け回転させる電気角約πの復帰信号を出力し、さらに可
    動体を前記ストッパとの当接位置に保持可能な所定電圧
    を出力するよう構成したことを特徴とするステッピング
    モータ式計器装置。
  4. 【請求項4】 前記復帰信号出力後、一定時間だけ励磁
    コイルへの電圧印加を停止し、その後可動体を前記スト
    ッパとの当接位置に保持可能な所定電圧を出力すること
    を特徴とする請求項2に記載のステッピングモータ式計
    器装置。
  5. 【請求項5】 前記復帰信号は、電源投入スイッチによ
    る電源投入時もしくは電源解放時に出力されることを特
    徴とする請求項1から請求項3に記載のステッピングモ
    ータ式計器装置。
  6. 【請求項6】 前記復帰信号は、測定量が起点位置に相
    当する状態にて一定時間継続した時に出力されることを
    特徴とする請求項1から請求項3に記載のステッピング
    モータ式計器装置。
  7. 【請求項7】 前記復帰信号を出力する前に、指針を所
    定角度起点方向に復帰させるスイープ信号を出力するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項5に記載のステッピ
    ングモータ式計器装置。
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