JP2000047234A - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP2000047234A
JP2000047234A JP10216326A JP21632698A JP2000047234A JP 2000047234 A JP2000047234 A JP 2000047234A JP 10216326 A JP10216326 A JP 10216326A JP 21632698 A JP21632698 A JP 21632698A JP 2000047234 A JP2000047234 A JP 2000047234A
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liquid crystal
slit
electrodes
crystal element
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JP10216326A
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Yuichi Masaki
裕一 正木
Masaaki Suzuki
正明 鈴木
Takashi Enomoto
隆 榎本
Junji Kawasaki
純二 川▲崎▼
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画素間隙に発生した逆ドメインの画素内への
成長を抑制して駆動マージンの低下を防止するスリット
の、生産上のスリット幅制御を大幅に緩和することので
きる液晶素子を提供する。 【解決手段】 双安定性を示す液晶を挟持する一対の基
板の一方の基板上に形成された第1の電極群と、他方の
基板上に形成された第2の電極群とからマトリクス電極
群を形成する。そして、これら第1及び第2の電極群の
少なくとも一方の電極群の電極21の近傍に、電極21
との電気的導通がなされると共に、電極21の膜厚より
厚く、電極21の幅より狭い第3の電極23を電極21
に沿って配置し、電極21と第3の電極23との間に所
定の幅を有するスリット24Aを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、マトリクス型電極
群を備えた液晶素子に関し、特にマトリクス型電極群の
電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶素子の一例として、液晶分子
の屈折率異方性を利用して偏光素子との組み合わせによ
り透過光線を制御する型の液晶素子がクラーク(Cla
rk)及びラガーウォル(LagerWall)により
提案されている(米国特許第4367934号明細書、
米国特許第4639089号明細書等)。
【0003】ここで、この液晶素子で用いられる液晶
は、一般に特定の温度域において、カイラルスメクチッ
クC相(SmC* )又はH相(SmH* )を有すると共
に、この状態において、加えられる電界に応答して第1
の光学的安定状態と第2の光学的安定状態のいずれかを
とり、且つ電界の印加のない時はその状態を維持する性
質、即ち双安定性を有し、また、電界の変化に対する応
答も速やかである。従って、このような液晶を用いた液
晶素子は、高速並びに記憶型の液晶素子としての広い利
用が期待されている。
【0004】ところで、この液晶素子は、走査電極と情
報電極とで構成したマトリクス電極間に液晶を保持し、
走査電極には順次走査信号を印加し、該走査信号と同期
して情報電極には情報信号を印加するマルチプレクシン
グ駆動によって駆動される。なお、液晶素子に用いられ
る液晶は、強誘電性を有するカイラルスメクチック液晶
であるが、セル厚に対するヘリカルピッチを調整したカ
イラルネマチック液晶素子も双安定性を示し、同様にマ
ルチプレクシング駆動を行うことができる。
【0005】ところが、このような双安定性を利用した
従来の液晶素子において、マルチプレクシング駆動を行
った場合、画素内のスイッチングは良好であるが、隣接
する画素間隙の液晶分子はある条件下でその配列が動い
てしまい、結果的に分子配列が不揃いになる、或いは、
もともと不揃いに配向されていることにより、表示画面
上にざらつきや特定のパターンが残るなどの問題を有し
ていた。
【0006】ここで、このような問題に関しては、カラ
ーフィルタの各色フィルタ間を遮光するブラックマトリ
クス(遮光膜)や、走査電極及び情報電極に形成される
金属補助配線で画素間隙を遮光することで対応すること
が可能である。
【0007】しかしながら、さらなる課題として、画素
内の光学的安定状態が、当該画素の非選択期間(非書込
み期間)の間保持できなくなるという問題があった。
【0008】図12は、マルチプレクシング駆動におけ
る一般的な強誘電性液晶素子の駆動波形を示す図であ
り、図中(a)は走査信号波形、(b)は白書込みの情
報信号、(c)は黒書込みの情報信号、(d)は白表示
画素に印加される信号波形〔(a)と(b)の合成波
形〕、(e)は黒表示画素に印加される信号波形
〔(a)と(c)の合成波形〕である。尚、点線は基準
電位であり、ここでは非走査信号(非選択期間中の走査
信号)である。
【0009】そして、マルチプレクシング駆動において
は、選択期間に走査電極には走査選択信号を、情報電極
には白(或いは黒)書込み情報信号を印加し、これらの
合成波形を画素の液晶に印加することによって、液晶分
子を第1或いは第2の光学的安定状態にスイッチングさ
せるようにしている。なお、この状態で異なる極性の電
界が全くかからなければ次の選択時まで上記光学的安定
状態が保持される(即ち双安定性)。
【0010】しかしながら、情報電極には順次次行の選
択画素への情報信号が印加されるため、図12の(d)
及び(e)に示されるように、非選択期間においても、
画素には情報信号が印加される。そして、このように情
報信号が印加されると、液晶分子は振動し、動き易い状
態となる。
【0011】ここで、この振動自体は視認できず、表示
上は全く問題がないが、動き易い状態となっている液晶
分子が、画素間隙の液晶の分子配列の影響を受けて反転
してしまうという現象が生じる。次に、この現象を図1
3〜図15を用いて説明する。
【0012】マルチプレクシング駆動を行う液晶素子の
マトリクス電極は、図13に示すように構成されてい
る。即ち、一方の基板には第1の電極群を構成するスト
ライプ状の複数の走査電極22が、他方の基板には第2
の電極群を構成するストライプ状の複数の情報電極21
がそれぞれ間隙を設けて形成されている。
【0013】そして、基板を貼り合わせる際は、同図に
示すように、走査電極21及び情報電極22が互いに交
差するようにして貼り合わせ、この後、基板間(電極
間)に液晶を保持するようにしている。なお、同図にお
いて、30は、走査電極21及び情報電極22の各交差
部に形成される画素である。また、31は、画素間(或
は、電極間)に形成される画素間隙である。
【0014】ところで、図14は上記構成により白表示
を行った場合の、図15は黒表示を行った場合の、それ
ぞれの表示状態を示した図である。なお、図14及び図
15において、(a)は選択期間、(b)は非選択期間
における表示状態をそれぞれを示している。
【0015】そして、画素30に白表示を行った場合、
図14の(a)に示すように、液晶分子が反転した黒ド
メイン32が画素間隙31に存在し、この黒ドメイン3
2が非選択期間に(b)に示すように画素内に成長し、
透過率を低下させる。一方、黒表示を行った場合には、
図15の(a)に示すように、反転した白ドメイン42
が画素間隙31に存在し、この白ドメイン42が同様に
非選択期間に(b)に示すように画素内に成長する。
【0016】ここで、このように反転ドメインが画素内
に成長した場合、コントラストが低下するという表示上
の問題を生じてしまう。なお、この画素間隙31に発生
したドメイン32,42の画素内への成長は、基板上に
形成した不図示の配向制御膜に施された図14及び図1
5において矢印Aで示す一軸配向処理方向に沿って進行
することがわかっている。また、上記逆ドメインの成長
現象は、前記したカイラルネマチック液晶素子の駆動時
にも発生し、問題となっている。
【0017】そこで、従来は、例えば、双安定性を示す
カイラルネマチック液晶をマルチプレクシング駆動する
液晶素子において、液晶素子に、電界を印加しない領域
を電極端部に設ける電極構造の提案(特願平9−249
267)がなされている。
【0018】図16は、このような電極構造を有する液
晶素子の上面図、図17はそのA−A’断面図であり、
図16及び図17において、25は基板、27はショー
ト防止層、28は配向制御膜である。
【0019】また、24は情報電極21の側端部に形成
されたスリットであり、このように情報電極21にスリ
ット24を設けることにより、液晶に電界を印加しない
領域(以下、電界非印加領域という)26を情報電極2
1の側端部に形成することができる。
【0020】そして、このように電界非印加領域26を
情報電極21の側端部に形成することにより、図18の
(a)及び図19の(a)に示すように選択時、両側電
極からのモレ電界によって画素間隙31に生じる反転ド
メイン32,42の非選択期間における成長を、図18
の(b)及び図19の(b)に示すように遮断防止し、
その影響を制御することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の電極構造を有する従来の液晶素子において、
反転ドメインの遮断効果は、スリット24の幅を2μm
以下にしないと現れない。これは、スリット幅が2μm
以内の場合のみ、スリット24へのモレ電界の大きさが
液晶が反転可能な電界となるからである。
【0022】なお、図20は、コンピューターによる電
界シュミレーションにおける電気力線の分布を示す図で
あり、この電界シュミレーションにおいても、上下電極
間ギャップが1μmの想定でスリットが2μm以下とな
ると、画素間において60%のモレ電界強度となり、反
転ドメインが形成されることが判明した。
【0023】なお、図20において、(a)は液晶素子
の断面図、(b)はスリットを形成した電極基板側の拡
大図である。また、Aで示す矢印以外の矢印は電界密度
であり、矢印の大きさがその位置における電界密度を表
している(なお、矢印の太さは、特に意味を有していな
い)。さらに、横軸において、4〜10(ミクロン)は
画素間、16〜19(ミクロン)が電界非印加領域、0
〜4、10〜16、19〜が情報電極を示している。
【0024】一方、スリットが2μmより大きくなる
と、もれ電界が弱くなり、選択時にスリット内の液晶を
反転させることが出来なくなってしまう。このことか
ら、反転ドメインの遮断効果を生じさせるには、スリッ
ト幅を2μm以下にする必要がある。
【0025】しかしながら、従来のスリット形成方法で
は、例えば大判パネルの電極パターニングの解像度(制
御可能な最小ライン、最小スペース幅)は約4μmであ
り、2μm以内のスリット幅制御は、特に大判パネル等
において困難である。
【0026】そこで、本発明は、このような現状に鑑み
て為されたものであり、画素間隙に発生した逆ドメイン
の画素内への成長を抑制して駆動マージンの低下を防止
するスリットの、生産上のスリット幅制御を大幅に緩和
することのできる液晶素子を提供することを目的とする
ものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対の基板間
に双安定性を示す液晶を挟持すると共に、前記一対の基
板の一方の基板上に形成された第1の電極群と、他方の
基板上に形成された第2の電極群とからなるマトリクス
電極群を有する液晶素子であって、上記第1及び第2の
電極群の少なくとも一方の電極群の電極の近傍に、該電
極との電気的導通がなされると共に、該電極の膜厚より
厚く、かつ該電極の幅より狭い第3の電極を該電極に沿
って配置し、該電極と前記第3の電極との間に所定の幅
を有するスリットを形成することを特徴とするものであ
る。
【0028】また本発明は、前記第3の電極を配置した
基板は、一軸配向処理が施された配向制御膜を有し、該
第3の電極は前記電極の一軸配向処理方向上流側近傍に
配置されていることを特徴とするものである。
【0029】また本発明は、前記スリットの幅は5μm
以下であることを特徴とするものである。
【0030】また本発明は、一対の基板間に双安定性を
示す液晶を挟持すると共に、前記一対の基板の一方の基
板上に形成された第1の電極群と、他方の基板上に形成
された第2の電極群とからなるマトリクス電極群を有す
る液晶素子であって、上記第1及び第2の電極群の少な
くとも一方の電極群の電極の側端部に、該電極の側端に
沿って設けられたスリット部と、前記スリット部内に配
置されて該スリット部との間に所定の幅を有するスリッ
トを形成すると共に、前記スリット部を設けた電極と電
気的導通がなされる第3の電極と、を備えたことを特徴
とするものである。
【0031】また本発明は、前記第3の電極を配置した
基板は、一軸配向処理が施された配向制御膜を有し、前
記スリット部は前記電極の一軸配向処理方向上流側に設
けられていることを特徴とするものである。
【0032】また本発明は、上記スリットの幅は2μm
以下であることを特徴とするものである。
【0033】また本発明は、前記第3の電極を前記電極
の膜厚より厚く形成したことを特徴とするものである。
【0034】また本発明は、前記第3の電極により形成
される前記スリットの幅は5μm以下であることを特徴
とするものである。
【0035】また本発明は、前記液晶はカイラルスメク
チック液晶であることを特徴とするものである。
【0036】また本発明のように、マトリクス電極群を
形成する第1及び第2の電極群の少なくとも一方の電極
群の電極の近傍に、この電極との電気的導通がなされる
と共に、電極の膜厚より厚く、かつ電極の幅より狭い第
3の電極を電極に沿って配置することにより、電極と第
3の電極との間に所定の幅を有するスリットを形成す
る。
【0037】また本発明のように、第1及び第2の電極
群の少なくとも一方の電極群の電極の側端部に、電極の
側端に沿ってスリット部を設ける一方、スリット部内に
電極と電気的導通がなされる第3の電極を配置すること
により、第3の電極とスリット部との間に所定の幅を有
するスリットを形成する。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0039】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る
液晶素子の電極構造を示す図であり、図2はそのA−
A’断面図である。なお、同図において、図16及び図
17と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0040】図1及び図2において、23は情報電極2
1の長辺に沿って配置され、情報電極21との間にスリ
ット24Aを形成する第3電極である。ここで、この第
3電極23は情報電極21の膜厚より厚く、かつ幅が情
報電極21より狭くなるように形成されると共に、接続
部23aにて情報電極21と電気的導通がなされてい
る。また、この第3電極23は、共にスリット24Aを
形成する情報電極21に対し一軸配向処理方向上流側に
5μmのスリット幅を形成するように配置されている。
【0041】そして、このように情報電極21の近傍に
膜厚の厚い第3電極23を並設することより、スリット
幅が5μmであっても画素間にある逆ドメインの成長を
止めることが可能となる。なおこのように構成した場
合、従来のようなスリット内の液晶分子の反転が確認さ
れずそのメカニズムは現状では明確でない。
【0042】但し、図3の(a)及び(b)に示すコン
ピューターによる電界強度のシミュレーションでは第3
電極23への電気力線がスリット内において一軸配向処
理方向と反対の水平方向に曲げられた強い領域((b)
の点線内の領域)が発生している事が確認された。な
お、同図の横軸において、4〜10(ミクロン)は画素
間、10〜16(ミクロン)が第3電極、16〜18
(ミクロン)が電界非印加領域、0〜4、18〜が情報
電極を示している。
【0043】これは、スリット24Aの間隔に関係なく
第3電極23の膜厚と情報電極21とのギャップに依存
する為、従来の逆ドメイン成長防止とは現象が異なり、
電気力線水平領域以外の液晶分子配列が関与していると
推定される。しかしながら、スリット幅が更に広がれば
スリット内の逆ドメインが画素内部に成長を始めるので
制限無く広い状態を採れる訳ではない。
【0044】次に、このような構成の電極構造を有する
液晶素子の製造方法について図4を用いて説明する。
【0045】まず、(a)に示すように1.1tmm厚
のガラス基板25の表面にITO(インジュウム・ティ
ン・オキサイド)を700Åスパッタで成膜し、フォト
リソ工程にて幅300μm、パターン間隔31が30μ
mのストライプ状の情報電極21を作製する。
【0046】次に、(b)に示すように情報電極21の
表面にモリブデン(Mo)膜33をスパッタにて成膜す
る。この後、(c)に示すように同じくフォトリソ工程
にてモリブデン膜33の表面にレジスト像34を形成
し、(d)に示すようにエッチングにて幅10μmの第
3電極23を作製する。
【0047】次に、(e)に示すように、これら各電極
上にTaOx27を1000Åの厚みにスパッタにて成
膜し、ショート防止層27を形成し、更にポリイミド
(LQ−1800、日立化成(株))をフレキソ印刷し
て配向制御膜28を形成した後、300℃1時間クリー
ンオーブンにて焼成して200Åの膜厚とする。
【0048】次に、スリット24Aが矢印Aで示す一軸
配向処理方向と交差する、言い換えれば、第3電極23
が情報電極21よりも先に該方向と交差するように両基
板の配向制御膜28に、レーヨン布を巻いたローラー3
5にてラビング処理を施す。この後、該ラビング処理方
向が平行になるように不図示のスペーサを介して両基板
を貼り合わせ、セル厚1.0μmのセルを形成する。そ
して、このセルに強誘電性液晶(CS−1014、チッ
ソ(株))を封入することにより液晶素子を製造する。
【0049】次に、このように製造された液晶素子に対
して行った2つの駆動評価について説明する。
【0050】第1の駆動評価を行うため、情報電極21
の表面にモリブデン(Mo)膜33を下記の表1に示す
3種類の膜厚にそれぞれスパッタにて成膜した(図4の
(b)参照)。この後、情報電極21の一方の側端より
表1に示す7種類の間隔を不図示のアライメント露光機
にて設定した後、フォトリソ工程にてモリブデン膜33
の表面にレジスト像34を形成し、エッチングにて幅1
0μmの第3電極23を作製した(図4の(d)参
照)。
【0051】
【表1】 次に、このようにして作製した21種類(A−7からG
−20まで)の液晶素子に、既述した図12の駆動波形
で、バイアス比1/3.4、走査波形駆動電圧を10v
から30vまでを印加して駆動状態を観察し、画素間か
らの逆ドメインの画素内成長の有無を確認した。この結
果を下記の表2に示す。
【0052】
【表2】 ここで、この表から明らかなように、駆動電圧全域で画
素間からの逆ドメイン成長を防止できたのは、スリット
幅が5μm以内で第3電極23が情報電極21より膜厚
の厚いサンプル・セルであった。このことから、スリッ
ト幅が5μm以内であっても、第3電極23が情報電極
21より膜厚が厚ければ、逆ドメイン防止効果を得るこ
とができることが判明した。
【0053】なお、スリット幅2μm以内ではスリット
内での液晶分子反転が観察され、従来の逆ドメイン成長
防止の現象であった。
【0054】次に、第2の駆動評価を行うため、第1の
駆動評価で効果が確認できたスリット幅5μm、第3電
極23を非晶質ITOにより2000Åの膜厚にて作製
した以外は、既述した製造方法にてサンプルを作製し
た。
【0055】そして、このサンプルに対し、第1の駆動
評価と同様の駆動を行ったところ、同じく画素間の逆ド
メインの成長を防止出来ることが確認された。
【0056】なお、第1及び第2の駆動評価において用
いたサンプル・セルを40℃、1000時間の連続駆動
試験を行ったが効果が消滅することなく耐久性において
も問題がなかった。
【0057】次に、比較のため、第1の駆動評価の際と
同様、ITO膜にて情報電極を形成した後、図5及び図
6に示すようにこれまで述べてきた第3電極23とは別
な第3電極29を、情報電極21の側端に沿わせて、第
3電極23との間のスリット幅が5μmとなるようアラ
イメント露光に設定して作製した。次に、既述した配向
処理を施した後、セルを組立て、この後、強誘電性液晶
(CS−1014)を注入して効果を確認したが画素間
の逆ドメインの成長は防止出来なかった。
【0058】これは、電界強度シミュレーションにおい
て図7に示すように情報電極上の別の第3電極29に向
かった強い水平方向の電気力線が発生し、仮に第3電極
29が無い構成でも情報電極21のエッジに向かって通
常電気力線があり、配向処理方向と平行である場合は逆
ドメイン抑制効果が無いものと推定される。
【0059】なお、同図の横軸において、4〜10(ミ
クロン)は画素間、10〜16(ミクロン)は第3電
極、16〜18(ミクロン)は電界非印加領域、18〜
22(ミクロン)は情報電極の別な第3電極、0〜4、
22〜は情報電極を示している。
【0060】このように、マトリクス電極群を形成する
情報電極群及び走査電極群の少なくとも一方の電極群の
電極の近傍に、電極の膜厚より厚く、かつ電極の幅より
狭い第3電極29を配置することにより、スリット幅を
広くしても逆ドメインの画素内への成長を抑制すること
ができる。これにより、スリット24Aの、生産上のス
リット幅制御を大幅に緩和することができる。
【0061】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。
【0062】図8は本実施形態に係る液晶素子の電極構
造を示す図であり、図9はそのA−A’断面図である。
【0063】図8及び図9において、21Aは情報電極
21に形成されたスリット部であり、23Aはこのスリ
ット部21Aの内側に配置されると共に、この情報電極
21と電気的導通がなされた第3電極である。そして、
このようにスリット部21Aの内側に第3電極23Aを
配置することで、第3電極23Aの左右にスリット24
a,24bを形成することができる。
【0064】ここで、この左右のスリット24a,24
bの幅の標準設計値を(2μm−(アライメント精
度))未満にすることで、少なくとも第3電極23Aの
左右のどちらか一方に2μm以下のスリットを形成する
ことが可能である。例えば、左右のスリット幅の標準設
計値を0.9μmとした場合、第3電極23Aが左右ど
ちらかに1.0μmずれても、左右どちらかに1.9μ
mのスリットを残すことが可能である。
【0065】このように、第3電極23Aの左右にスリ
ット24a,24bを設けることで、マスクアライメン
ト精度が±1.0μm以上であっても±2.0μm未満
であれば、少なくとも第3電極23Aの左右のどちらか
一方に2.0μm未満のスリットを形成することがで
き、2.0μm以上のスリットができることはない。
【0066】このことから、スリット内は常に、選択時
に画素内と同じ液晶分子の反転ドメインとなり、非選択
期間に画素間際より成長してきた逆ドメインの成長をス
リットで遮断防止し、その影響を制御することができ
る。
【0067】次に、このような構成の電極構造を有する
液晶素子の製造方法について図10を用いて説明する。
【0068】まず、(a)に示すように1.1tmm厚
のガラス基板25の表面にITO(インジュウム・ティ
ン・オキサイド)を700Åスパッタで成膜し、フォト
リソ工程にて幅300μmで、かつ端部に幅12μmの
スリット22を設け、パターン間隔31が20μmのス
トライプ状の情報電極21を作製した。
【0069】次に、(b)に示すように情報電極21の
表面にモリブデン(Mo)膜33を700Åスパッタに
て成膜した。この後、(c)に示すように幅10μmの
第3電極23Aが情報電極21のスリット22の中心に
位置するように、即ち左右のスリット幅が1.0μmに
なるようにアライメント露光機にて設定した後、同じく
フォトリソ工程にてモリブデン膜33の表面にレジスト
像34を形成し、エッチングにて(d)に示すように第
3電極23Aを作製した。
【0070】次に、(e)に示すようにこれら電極上に
TaOx26を1000Åの厚みにスパッタにて成膜
し、ショート防止層27を形成し、更にポリイミド膜
(LQ−1800、日立化成(株))27をフレキソ印
刷して配向制御膜28を形成後、300℃1時間クリー
ンオープンにて焼成して200Åの膜厚とした。
【0071】次に、情報電極21に形成したスリット2
4a,24bが矢印Aで示す一軸配向処理方向と交差す
る、言い換えれば情報電極21のスリット24a,24
bを形成した側の側端が先に該方向と交差するように両
基板の配向制御膜28に、レーヨン布を巻いたローラー
35にてラビング処理を施し、該ラビング処理方向が平
行になるようにスペーサを介して両基板を貼り合わせ、
セル厚1.0μmのセルを形成した。このセルに強誘電
性液晶(CS−1014、チッソ(株))を封入して液
晶素子とした。
【0072】次に、このように製造された液晶素子に対
して行った駆動評価について説明する。
【0073】本駆動評価においては、上記のように作製
した20個の液晶素子に、既述した図12の駆動波形で
バイアス比1/3.4、走査波形駆動電圧を20vを印
加して駆動状態を観察し、画素間からの逆ドメインの画
素内成長の有無を確認した。
【0074】この時、すべてのパネルにおいて、2μm
以下のスリットが第3電極23Aの少なくとも左右どち
らか一方に形成されており、駆動時に画素間からの逆ド
メインの画素内成長を防止することができた。
【0075】次に、比較のため、図11の(a)に示す
ように、1.1tmm厚のガラス基板25の表面にIT
0(インジュウム・ティン・オキサイド)を700Åス
パッタで成膜し、フォトリソ工程にて幅300μm、パ
ターン間隔31が30μmのストライプ状の情報電極2
1を作製した。次に、(b)に示すようにモリブデリ
(Mo)膜33を700Åスパッタで成膜した。
【0076】この後、(c)に示すように、情報電極2
1の一方のエッジより1μmの間隔をアライメント露光
機にて設定し、同じくフォトリソ工程にてレジスト像3
4を形成し、エッチングにて幅10μmの第3電極23
を作製した。その後、既述した製造方法にて液晶素子
を、同じような駆動評価を行った。
【0077】その結果、20パネル中2パネルは第3電
極23と情報電極21が完全に接合し、スリットのない
所があり、駆動時に画素間からの逆ドメインの画素内成
長を防止することができなかった。
【0078】このように、スリット部21Aの内側に第
3電極23Aを配置することにより、マスクアライメン
ト精度にかかわらず第3電極23Aの少なくとも一側に
2μm以下のスリットを形成することができる。これに
より、スリットの、生産上のスリット幅制御を大幅に緩
和することができる。
【0079】なお、第3電極23Aの膜厚を、既述した
第1の実施の形態と同様、情報電極21の膜厚より厚く
形成するようにすれば、第3電極23Aにより形成され
るスリットの幅を2μmから5μm以下に広げることが
でき、更にマスクアライメント精度の影響を少なくする
ことができる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
極の近傍、又は電極の側部に形成されたスリット部に第
3の電極を設けて、画素間隙に発生した逆ドメインの画
素内への成長を抑制するスリットを形成することによ
り、生産上のスリット幅制御を大幅に緩和することがで
きる。さらにこれにより、駆動マージンの高い、超高精
細の様な微細な画素での表示が可能となり、かつ信頼性
の高い液晶素子が、量産性のある製造工程で高歩留りで
生産可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶素子の電
極構造を示す図。
【図2】図1のA−A’断面図。
【図3】上記液晶素子における電界強度シミュレーショ
ンによる電気力線の分布を示した図。
【図4】上記液晶素子の製造方法を説明した図。
【図5】上記液晶素子の比較例に係る液晶素子の電極構
成を示す図。
【図6】図5のA−A’断面図。
【図7】上記比較例に係る液晶素子の電界強度シミュレ
ーションによる電気力線の分布を示した図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る液晶素子の電
極構造を示す図。
【図9】図8のA−A’断面図。
【図10】上記液晶素子の製造方法を説明した図。
【図11】上記第2の実施の形態の比較例に係る液晶素
子の製造方法を説明した図。
【図12】従来のマルチプレクシング駆動における一般
的な強誘電性液晶素子の駆動波形を示す図。
【図13】上記従来の一般的な液晶素子のマトリクス電
極の構成を示す図。
【図14】上記従来の一般的な液晶素子の白表示状態を
示す図。
【図15】上記従来の一般的な液晶素子の黒表示状態を
示す図。
【図16】従来の電界非印加領域を持つ電極構造を有す
る液晶素子の上面図。
【図17】図16のA−A’断面図。
【図18】上記従来の液晶素子の逆ドメイン(黒)成長
防止現象を示す図。
【図19】上記従来の液晶素子の逆ドメイン(白)成長
防止現象を示す図。
【図20】上記従来の液晶素子の電界強度シミュレーシ
ョンによる電気力線の分布を示した図。
【符号の説明】
21 情報電極 21A スリット部 22 走査電極 23,23A 第3電極 23a 第3電極と情報電極との接続部 24,24A,24a,24b スリット部 25 ガラス基板 26 電界非印加領域 30 画素 31 画素間隔 32 (画素間の)黒ドメイン 34 (第3電極の)レジスト像 42 (画素間の)白ドメイン A ラビング処理方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 隆 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 川▲崎▼ 純二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H092 GA05 GA26 NA04 NA25 NA27 NA29 NA30 PA02 PA06 QA12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に双安定性を示す液晶を挟
    持すると共に、前記一対の基板の一方の基板上に形成さ
    れた第1の電極群と、他方の基板上に形成された第2の
    電極群とからなるマトリクス電極群を有する液晶素子で
    あって、 上記第1及び第2の電極群の少なくとも一方の電極群の
    電極の近傍に、該電極との電気的導通がなされると共
    に、該電極の膜厚より厚く、かつ該電極の幅より狭い第
    3の電極を該電極に沿って配置し、該電極と前記第3の
    電極との間に所定の幅を有するスリットを形成すること
    を特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記第3の電極を配置した基板は、一軸
    配向処理が施された配向制御膜を有し、該第3の電極は
    前記電極の一軸配向処理方向上流側近傍に配置されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記スリットの幅は5μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 一対の基板間に双安定性を示す液晶を挟
    持すると共に、前記一対の基板の一方の基板上に形成さ
    れた第1の電極群と、他方の基板上に形成された第2の
    電極群とからなるマトリクス電極群を有する液晶素子で
    あって、 上記第1及び第2の電極群の少なくとも一方の電極群の
    電極の側端部に、該電極の側端に沿って設けられたスリ
    ット部と、 前記スリット部内に配置されて該スリット部との間に所
    定の幅を有するスリットを形成すると共に、前記スリッ
    ト部を設けた電極と電気的導通がなされる第3の電極
    と、 を備えたことを特徴とする液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記第3の電極を配置した基板は、一軸
    配向処理が施された配向制御膜を有し、前記スリット部
    は前記電極の一軸配向処理方向上流側に設けられている
    ことを特徴とする請求項4記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 上記スリットの幅は2μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記第3の電極を前記電極の膜厚より厚
    く形成したことを特徴とする請求項4記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記第3の電極により形成される前記ス
    リットの幅は5μm以下であることを特徴とする請求項
    7記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 前記液晶はカイラルスメクチック液晶で
    あることを特徴とする請求項1又は4の液晶素子。
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